売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E27622 IFRS

売上高

1.59兆 円

前期

1.45兆 円

前期比

109.7%

時価総額

1.57兆 円

株価

5,091 (04/25)

発行済株式数

309,000,000

EPS(実績)

338.12 円

PER(実績)

15.06 倍

平均給与

1,114.2万 円

前期

1,130.3万 円

前期比

98.6%

平均年齢(勤続年数)

41.2歳(16.4年)

従業員数

535人(連結:23,532人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

 当社は、親会社であるサントリーホールディングス㈱を中心とするサントリーグループの飲料・食品セグメントの中核をなす企業で、飲料・食品の製造・販売事業を行っています。当社グループは、当社、子会社68社及び持分法適用会社9社より構成されています。

 

 当社は、当社グループの事業持株会社として、役員・従業員派遣を通じてグループ会社に対する企業統治を行うとともに、当社グループの事業戦略・活動方針の策定、予算策定、品質保証の推進、事業開発、商品開発等を行い、当社グループの中枢として機能しています。また、このような当社グループの中枢としての業務のほか、当社グループの国内外の事業展開に資するM&A戦略の策定、M&A相手先の選定も行っています。当社グループでは、以下に記載するとおり、グループ各社にその権限を委譲し、グループ各社が高度の専門性を発揮し、グループ全体として迅速な事業活動の展開を行うべく、当社はグループビジョンの構築、グループ全体での事業の拡大・推進の役割を担っています。

 

 当社グループは飲料・食品事業という単一の事業を行っているため、報告セグメントはエリア区分により記載するものとします。

 なお、組織変更に伴い、従来「アジアパシフィック事業」に含めていたアフリカ事業を、当連結会計年度より「アジアパシフィック事業」から「欧州事業」に組み替えています。

 

[日本事業]

 当社グループは、日本国内において、ミネラルウォーター、コーヒー飲料、茶系飲料、炭酸飲料、スポーツ飲料、特定保健用食品等の製造・販売を行っています。

 当社グループにおける清涼飲料事業のマーケティング・商品企画については、当社が担っています。

 当社グループにおける製品の製造については、サントリープロダクツ㈱が担っています。同社は、関東甲信越エリアに「榛名工場(群馬県)」「羽生工場(埼玉県)」「多摩川工場(東京都)」「神奈川綾瀬工場(神奈川県)」「天然水南アルプス白州工場(山梨県)」「天然水北アルプス信濃の森工場(長野県)」を、関西エリアに「宇治川工場(京都府)」「高砂工場(兵庫県)」を置き、中間地点である愛知県に「木曽川工場」を、また、鳥取県に「天然水奥大山ブナの森工場」を置くことにより、日本全国への安定した製品供給を可能とする体制を整えています。また、効率的経営を課題に、新製品量産化、製造技術改善、人材育成の推進等に取り組んでいます。同社が製造する製品は、ミネラルウォーター、コーヒー飲料、茶系飲料、炭酸飲料、スポーツ飲料、特定保健用食品等であり、当社グループが日本国内で販売する製品の多くを占めています。

 当社グループが製造・輸入する製品の販売については、サントリーフーズ㈱及びサントリービバレッジソリューション㈱が主にその役割を担っています。

 サントリーフーズ㈱は、当社グループが製造・輸入する清涼飲料の国内におけるスーパー、量販店、コンビニエンスストアを通じた販売及び自動販売機オペレーターを通じた販売を担当しています。サントリービバレッジソリューション㈱は、当社グループが製造・輸入する清涼飲料の自動販売機等による直接販売を担当しています。両社は、清涼飲料販売についての高い専門性とプロ意識を確立すべく、販売機能に特化した事業活動を実施しています。

 ㈱ジャパンビバレッジホールディングスは、サントリービバレッジソリューション㈱への清涼飲料等の販売を担当しています。

 サントリーフーズ沖縄㈱は、沖縄県において、清涼飲料等の販売を担当しています。

 

[アジアパシフィック事業]

 Suntory Beverage & Food International (Thailand) Co., Ltd.及びその子会社が、タイを含む東南アジア、台湾等において「BRAND'S Essence of Chicken」シリーズ等の健康食品の製造・販売を行っています。

 PT SUNTORY GARUDA BEVERAGE及びその子会社が、インドネシアにおいて、ゼリードリンク「Okky」、茶飲料「MYTEA」等の製造・販売を行っています。

 Suntory PepsiCo Vietnam Beverage Co., Ltd.が、ベトナムにおいて、エナジードリンク「Sting」、サントリーブランドの茶飲料「TEA+」等の販売を行っています。

 Suntory PepsiCo Beverage (Thailand) Co., Ltd.が、タイにおいて、炭酸飲料「PEPSI」等の販売を行っています。

 FRUCOR SUNTORY NEW ZEALAND LIMITED、FRUCOR SUNTORY AUSTRALIA PTY.LIMITED等が、ニュージーランド、オーストラリアを中心に清涼飲料の製造・販売を行っています。エナジードリンク「V」、果汁飲料「JUST JUICE」等の幅広い製品を販売しています。

 マレーシア、香港、シンガポール等においても、各地の子会社が、「Ribena」「Lucozade」等の販売を行っています。

 

[欧州事業]

 フランス、英国、スペインを含む欧州等においては、Orangina Schweppes Holding B.V.及びその子会社が、炭酸飲料「Orangina」「Schweppes」、果汁飲料「Oasis」等の製造・販売を行い、Lucozade Ribena Suntory Limited及びその子会社が、果汁飲料「Ribena」、エナジードリンク・スポーツドリンク「Lucozade」等の製造・販売を行っています。

 

[米州事業]

 Pepsi Bottling Ventures LLC及びその子会社が、北米においてノースカロライナ州を中心に清涼飲料の製造・販売を行っています。

 

 当社の親会社であるサントリーホールディングス㈱を中心とするサントリーグループは、飲料・食品の製造・販売、スピリッツ・ビール類・ワイン等の製造・販売、更にその他の事業活動を行っています。その他の事業では、健康食品の製造・販売、高級アイスクリームの製造・販売等を行うとともに、料飲店経営等の外食事業を行っています。

 サントリーホールディングス㈱は寿不動産㈱の子会社であるため、寿不動産㈱もまた、当社の親会社ですが、当社と寿不動産㈱の間に事業上の関係はありません。

 当社グループの2023年12月31日現在の状況について、事業系統図を示すと次のとおりです。

※画像省略しています。

 

24/03/28

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

①財政状態及び経営成績等の状況の概要

(ⅰ)経営成績

当連結会計年度の業績は、売上収益は1兆5,917億円(前年同期比9.7%増、為替中立5.7%増)、営業利益は1,417億円(前年同期比1.5%増、為替中立3.6%減)となりました。

販売費及び一般管理費は、4,454億円計上しましたが、この主な内容は、広告宣伝及び販売促進費が1,507億円、従業員給付費用が1,562億円等であり、その結果、営業利益は1,417億円(前年同期比1.5%増、為替中立3.6%減)となりました。

金融収益は43億円となりました。また、金融費用は42億円となりました。

これらの結果、税引前利益は1,418億円(前年同期比1.8%増、為替中立3.2%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は827億円(前年同期比0.5%増、為替中立4.0%減)となりました。また、1株当たり当期利益は267円78銭となりました。

 

セグメント別の業績は次のとおりです。

 なお、組織変更に伴い、従来「アジアパシフィック事業」に含めていたアフリカ事業を、当連結会計年度より「アジアパシフィック事業」から「欧州事業」に組み替えています。これに伴い以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しています。

 

[日本事業]

売上収益は7,081億円(前年同期比8.4%増)、セグメント利益は405億円(前年同期比21.0%増)となりました。

[アジアパシフィック事業]

売上収益は3,714億円(前年同期比5.3%増、為替中立0.0%増)、セグメント利益は431億円(前年同期比25.4%減、為替中立27.7%減)となりました。

[欧州事業]

売上収益は3,393億円(前年同期比13.4%増、為替中立4.1%増)、セグメント利益は517億円(前年同期比22.8%増、為替中立10.8%増)となりました。

[米州事業]

売上収益は1,729億円(前年同期比18.8%増、為替中立11.2%増)、セグメント利益は210億円(前年同期比15.2%増、為替中立7.8%増)となりました。

 

(ⅱ)財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、売上債権及びその他の債権の増加等により、前連結会計年度末に比べ1,291億円増加して1兆9,124億円となりました。

負債は、社債及び借入金の減少等があった一方、仕入債務及びその他の債務の増加等により、前連結会計年度末に比べ41億円増加して7,274億円となりました。

資本合計は、利益剰余金の増加等により、前連結会計年度末に比べ1,249億円増加して1兆1,850億円となりました。

以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は56.9%となり、1株当たり親会社所有者帰属持分は3,519円00銭となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりです。

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ289億円減少し、1,718億円となりました。

 営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益1,418億円、減価償却費及び償却費731億円等に対し、法人所得税の支払365億円、売上債権及びその他の債権の増加293億円、棚卸資産の増加47億円等により、資金の収入は前連結会計年度に比べ78億円増加し、1,583億円の収入となりました。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産及び無形資産の取得による支出792億円等により、資金の支出は前連結会計年度と比べ354億円増加し、778億円の支出となりました。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払501億円、長期借入金の返済による支出300億円、社債の償還による支出150億円等により、資金の支出は前連結会計年度に比べ232億円増加し、1,154億円の支出となりました。

 

③生産、受注及び販売の実績

(ⅰ)生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

日本

656,794

109.4

アジアパシフィック

368,195

106.7

欧州

249,626

114.9

米州

129,754

108.0

合計

1,404,371

109.5

(注)1.金額は、最終販売価格によっています。

2.生産実績には外注分を含んでいます。

 

(ⅱ)受注実績

 当社グループは、原則として見込み生産を主体としているため、記載を省略しています。

 

(ⅲ)販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

日本

708,141

108.4

アジアパシフィック

371,435

105.3

欧州

339,274

113.4

米州

172,871

118.8

合計

1,591,722

109.7

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しています。

2.主な相手先別の記載については、相手先別の販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満のため記載を省略しています。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されています。

 連結財務諸表を作成するに当たり、重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」に記載しています。重要な見積り及び判断については「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しています。また、過去の実績や取引状況を勘案し、合理的と判断される前提に基づき見積りを行っている部分があり、これらの見積りについては不確実性が存在するため、実際の結果と異なる場合があります。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(ⅰ)経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループは、中期経営戦略及び中期経営計画を「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)中期経営戦略及び(3)中期経営計画(2024-2026)」に記載のとおり策定しています。その実現に向けて、当社グループが実施した活動は以下のとおりです。

当社グループは、お客さまの嗜好・ニーズを捉えた上質でユニークな商品を提案し、お客さまとともに新たなおいしさ、健やかさ、楽しさを創造し続けそれぞれの市場で最も愛される会社となることを目指すという考えのもと、ブランド強化や新規需要の創造に注力したほか、品質の向上に取り組みました。また、各エリアにおいて事業構造改革を進め、収益力の強化にも取り組みました。

2023年は、主要国の需要を着実に捉え、全セグメントでコアブランドへの集中活動を継続しました。日本においては、好天の影響もあり、販売数量は過去最高を達成するとともに、市場シェアを更に拡大しました。海外においても、欧州における天候不順やベトナムにおける景況感の悪化等の影響を受けましたが、主要国において販売数量が堅調に推移しました。

売上収益は、日本における価格改定及び海外における機動的な価格改定を含めたRGMも寄与し、1兆5,917億円(前年同期比9.7%増、為替中立5.7%増)となりました。

営業利益は、原材料高及び為替変動によるコスト増の影響を概ね想定どおりに受けましたが、売上収益の伸長とコストマネジメントの徹底により吸収し、1,417億円(前年同期比1.5%増、為替中立3.6%減)となり、グループ全体で前連結会計年度に比べ20億円の増益となりました。

税引前利益は、営業利益の増加により、前連結会計年度に比べ25億円増加して1,418億円(前年同期比1.8%増、為替中立3.2%減)となりました。

当期利益は、税引前利益の増加により、前連結会計年度に比べ34億円増加して1,045億円(前年同期比3.3%増、為替中立1.9%減)となりました。

非支配持分に帰属する当期利益は、Suntory PepsiCo Vietnam Beverage Co., Ltd.やPepsi Bottling Ventures LLCにおいて業績が伸長した影響により30億円増加し、親会社の所有者に帰属する当期利益は、827億円(前年同期比0.5%増、為替中立4.0%減)となりました。

 

セグメント別の業績は次のとおりです。

なお、組織変更に伴い、従来「アジアパシフィック事業」に含めていたアフリカ事業を、当連結会計年度より「アジアパシフィック事業」から「欧州事業」に組み替えています。これに伴い以下の前年同期比較については、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しています。

 

[日本事業]

人流の回復や、第3四半期連結会計期間における記録的な猛暑に伴い需要が増加しましたが、価格改定の影響もあり、清涼飲料市場(当社推定)は前年同期並みとなりました。水・コーヒー・無糖茶カテゴリーを中心にコアブランド強化に取り組み、新商品発売やマーケティング活動が貢献したことに加え、清涼飲料市場と同様に猛暑が寄与し、販売数量は当連結会計年度において過去最高を達成するとともに、市場シェアを更に拡大しました。「サントリー天然水」及び「GREEN DA・KA・RA」が、当連結会計年度において、過去最高の販売数量となりました。

「サントリー天然水」は、ナチュラルミネラルウォーターで、力強い伸長が続いたことに加え、「きりっと果実」シリーズが販売数量の増分に寄与しました。「BOSS」は、ブランド全体の販売数量が前年同期をわずかに下回りましたが、「ボス カフェイン」等の増分もあり缶製品の販売数量は市場を上回って堅調に推移しました。「伊右衛門」は、緑茶市場全体が価格改定の影響を大きく受ける中、ブランド全体の販売数量が前年同期を下回りました。機能性表示食品の「伊右衛門 濃い味」は、引き続き好調に推移しました。「GREEN DA・KA・RA」は、2023年4月に「GREEN DA・KA・RA」本体及び「やさしい麦茶」のリニューアルを実施したことや、新商品の「やさしいルイボス」が好調に推移したことが販売数量の増分に寄与しました。

売上収益は、販売数量増に加え、価格改定効果も寄与したことにより、増収となりました。

セグメント利益については、売上収益の伸長に加え、原材料高及び為替変動の影響が想定内に収まったこともあり、増益となりました。

日本事業の売上収益は7,081億円(前年同期比8.4%増)、セグメント利益は405億円(前年同期比21.0%増)となりました。

 

[アジアパシフィック事業]

アジアパシフィックでは、清涼飲料事業及び健康食品事業のコアブランド集中活動を継続しました。

売上収益は、ベトナム経済の回復や健康食品事業の回復に時間がかかっている中、タイ及びオセアニアにおける清涼飲料事業の堅調な販売数量増に加え、主要市場における価格改定効果も継続的に寄与し、前年同期並みとなりました。

セグメント利益については、清涼飲料事業は増収効果により原材料高等のコスト影響を吸収しましたが、健康食品事業の売上収益減少の影響を大きく受けるとともに、前第2四半期連結会計期間において計上したオセアニアのフレッシュコーヒー事業譲渡による譲渡益の反動もあり、減益となりました。

清涼飲料事業では、ベトナムでは、景況感の悪化や前年の需要拡大の反動影響を受ける中、主力のエナジードリンク「Sting」、茶飲料「TEA+」を含め、主要ブランドの活動を強化した結果、販売数量が堅調に推移しました。タイでは、インフレの低下や観光客需要の回復が進む中、低糖製品を含めた「PEPSI」及び「TEA+」が好調に推移し、販売数量が伸長しました。オセアニアでは、主力ブランドであるエナジードリンク「V」のマーケティング活動強化や、「BOSS」の販売数量が前年同期と比べ二桁成長したことが寄与し、引き続き販売数量が前年同期を上回りました。健康食品事業では、健康食品市場全体に対する消費者の需要減少の影響を大きく受ける中、主力の「BRAND'S Essence of Chicken」のマーケティング活動を徹底し、販売トレンドは徐々に回復してきました。

アジアパシフィック事業の売上収益は3,714億円(前年同期比5.3%増、為替中立0.0%増)、セグメント利益は431億円(前年同期比25.4%減、為替中立27.7%減)となりました。

 

[欧州事業]

欧州では、不安定な天候の影響を大きく受けたこともあり、当連結会計年度において、主要国において需要が減少し、主要国の販売数量は前年同期を下回りました。

売上収益は、主要国における価格改定を含めたRGMも寄与し、増収となりました。

セグメント利益については、原材料高やエネルギー価格上昇の影響を受けましたが、売上収益の伸長及びコスト削減活動により吸収し、増益となりました。

主要国別には、フランスでは、主力ブランド「Oasis」、「Schweppes」及び「Orangina」に引き続き活動を集中しました。「Oasis」の販売数量は過去最高となりました。英国では、主力ブランド「Lucozade」の販売数量が前年同期を上回りました。無糖製品「Lucozade Sport Zero」が好調に推移したことも寄与し、「Lucozade Sport」が、大きく伸長しました。スペインでは、天候の影響を大きく受ける中、主力ブランド「Schweppes」の活動を強化した結果、販売数量が前年同期並みとなりました。

欧州事業の売上収益は3,393億円(前年同期比13.4%増、為替中立4.1%増)、セグメント利益は517億円(前年同期比22.8%増、為替中立10.8%増)となりました。

 

 

[米州事業]

米州では、主力の炭酸カテゴリー及び非炭酸カテゴリーの活動強化に加えて、「Gatorade」の販路拡大が寄与し、販売数量は堅調に推移しました。売上収益は、価格改定効果も寄与し、想定を上回る進捗となりました。

セグメント利益については、売上収益の伸長により、原材料価格や人件費高騰の影響を吸収し、想定を上回る進捗となりました。

米州事業の売上収益は1,729億円(前年同期比18.8%増、為替中立11.2%増)、セグメント利益は210億円(前年同期比15.2%増、為替中立7.8%増)となりました。

 

セグメント利益合計は1,417億円(前年同期比1.5%増、為替中立3.6%減)であり、連結損益計算書の営業利益と一致しています。

2024年は、不透明なマクロ環境や厳しい競争環境が続くとの想定のもと、コアブランドを中心とした積極的なマーケティング投資・販促活動を徹底することに加え、RGM活動を強化し、更なる売上収益成長を目指します。コストマネジメント徹底も継続し、全セグメントで増益を目指します。

また、各セグメントにおいては以下の取組みに注力します。

日本では、「コアブランドイノベーション」、「自販機事業の構造改革」、「サプライチェーン構造革新」を事業戦略の重点領域とし、売上収益と利益を成長させていきます。

アジアパシフィックでは、フルバリューチェーンの総合力を発揮し、コアブランドの更なる成長を目指します。売上収益の伸長及び生産設備の増強による収益力の強化に取り組みます。

欧州では、各国のコアブランドへの集中活動を更に強化し、販売数量を成長させることで売上収益の伸長を目指します。RGM活動を進化させ、更なる収益性の強化に取り組みます。

米州では、主力である炭酸カテゴリーの強化を進めるとともに、伸長する非炭酸カテゴリーの更なる拡大に取り組みます。併せて、更なるサプライチェーンの取組みにより、収益力の強化を図ります。

経営陣一体となって、以上の取組みを、強力に迅速に進めていきます。

 

(ⅱ)財政状態の分析

 当社グループは日本のみならずアジアパシフィック、欧州、米州の各地に活動拠点を有しています。各拠点の機能通貨で算定された資産・負債は連結財務諸表の表示通貨である日本円に換算するため、当社グループの資産・負債残高は各種通貨の日本円に対する為替変動に大きく影響されます。各通貨の期首及び期末の為替レートについては「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針 (3)外貨換算」に記載のとおりです。当連結会計年度は主要な通貨が期末にかけて円安に推移したことが要因となり、資産・負債がそれぞれ増加しています。

 

 のれん及び無形資産は当社グループの資産総額の約40.4%を占める重要な構成要素であり、過去に実施した企業買収等の結果、取得したブランドや統合により得られるシナジーを評価して計上したものです。このうち、のれん及び耐用年数を確定できない無形資産については定期的な償却は行わず、年に一度実施する減損テストを実施しています。減損テストの回収可能価額は、使用価値と処分コスト控除後の公正価値のうちいずれか大きい金額として算定しています。これらの回収可能価額は、経営者が承認した事業計画及び事業計画期間後の長期成長率に基づいたキャッシュ・フローの見積額を、当該資金生成単位及び資金生成単位グループの税引前加重平均資本コスト(WACC)により現在価値に割り引いて算定しています。ブランドごとに販売する地域の景気や天候、ブランドコンディションには違いがあり、翌連結会計年度以降、個別には減損損失が発生する場合がありますが、現時点において、当社グループがこれまでに実施したM&Aとその後の統合プロセスはいずれも全体としては順調に推移していると評価しています。当社グループは、今後ものれん及び無形資産の適正な評価に取り組む方針です。

 

 また、負債は、社債及び借入金の減少等により減少しています。借入金が毎期着実に減少しており、ネットD/Eレシオは△0.04となりました。

 

 

(ⅲ)キャッシュ・フローの状況の分析

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ289億円減少し、1,718億円となりました。

 営業活動によるキャッシュ・フローは、法人所得税の支払額の増加65億円に対し、税引前利益の増加25億円、子会社株式売却益の減少160億円等により、資金の収入が前連結会計年度に比べ78億円増加し、1,583億円の収入となりました。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産及び無形資産の取得による支出の増加190億円、子会社の売却による収入の減少184億円等により、資金の支出は前連結会計年度と比べ354億円増加し、778億円の支出となりました。フリーキャッシュフローは805億円の収入となり、前連結会計年度から276億円減少しました。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度は短期借入金及びコマーシャル・ペーパー、長期借入金の減少による支出375億円、配当金の支払額411億円等に対し、当連結会計年度は短期借入金及びコマーシャル・ペーパー、長期借入金、社債の減少による支出498億円、配当金の支払額501億円等により、資金の支出は前連結会計年度と比べ232億円増加し、1,154億円となりました。

 

(資本の財源及び資金の流動性について)

 当社グループにおける資金需要のうち、主なものは設備投資、事業投資、有利子負債の返済及び運転資金等です。当社グループは資金の流動性確保のため、市場環境や長短のバランスを勘案して、銀行借入やリース等による間接調達のほか、社債やコマーシャル・ペーパーの発行等の直接調達を行い、資金調達手段の多様化を図っています。

 また、事業活動等により創出したキャッシュ・フローに加えて、金融機関より随時利用可能な信用枠を確保しており、資金需要に対応しています。

 なお、今後予定されている設備投資に係る資金需要の主なものは、「第3 設備の状況 3設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりです。