E27622 IFRS
(1) 業績の状況
当社グループは、お客さまの嗜好・ニーズを捉えた上質でユニークな商品を提案し、お客さまとともに新たなおいしさ、健やかさ、楽しさを創造し続けそれぞれの市場で最も愛される会社となることを目指すという考えのもと、ブランド強化や新規需要の創造に注力したほか、品質の向上に取り組みました。また、各エリアにおいて事業構造改革を進め、収益力の強化にも取り組みました。
当第3四半期連結累計期間(2023年1月1日~9月30日)において、主要国の需要状況を着実に捉え、全セグメントでコアブランドへの集中活動を継続しました。日本においては、好天の影響もあり、販売数量が清涼飲料市場成長(当社推定)を上回りシェアを拡大したことに加え、海外においても、欧州における天候不順やベトナムにおける景況感の悪化等の影響を受けましたが、主要国において販売数量が堅調に推移しました。
売上収益は、日本における2022年10月からのPET製品及び2023年5月からの缶製品の価格改定並びに海外における機動的な価格改定を含めたRGM(レベニューグロースマネジメント)も寄与し、全セグメントで増収となりました。
営業利益は、原材料高及び為替変動によるコスト増の影響を概ね想定通りに受ける中、売上収益の伸長とコストマネジメントの徹底により吸収し、増益となりました。
当第3四半期連結累計期間(2023年1月1日~9月30日)の連結売上収益は1兆1,934億円(前年同期比10.4%増、為替中立6.3%増)、連結営業利益は1,168億円(前年同期比1.6%増、為替中立3.4%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は672億円(前年同期比1.3%減、為替中立5.4%減)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりです。
なお、組織変更に伴い、従来「アジアパシフィック事業」に含めていたアフリカ事業を、第1四半期連結累計期間(2023年1月1日~3月31日)より「アジアパシフィック事業」から「欧州事業」に組み替えています。これに伴い以下の前年同四半期比較については、前年同四半期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しています。
[日本事業]
当第3四半期連結累計期間において、人流の回復に伴う需要増や、当第3四半期連結会計期間(2023年7月1日~9月30日)における記録的な猛暑が寄与しましたが、価格改定の影響もあり、清涼飲料市場(当社推定)は前年同期をわずかに下回りました。水・コーヒー・無糖茶カテゴリーを中心にコアブランド強化に取り組み、新商品発売やマーケティング活動が貢献したことに加え、清涼飲料市場と同様に猛暑が寄与し、販売数量は当第3四半期連結累計期間において過去最高を達成するとともに、市場シェアを更に拡大しました。
「サントリー天然水」は、前年の大幅伸長を更に上回り、当第3四半期連結累計期間において販売数量は過去最高となりました。ナチュラルミネラルウォーターで、力強い伸長が続いていることに加え、「きりっと果実」シリーズや「特製レモンスカッシュ」が販売数量の増分に寄与しました。「BOSS」は、ブランド全体の販売数量が前年同期をわずかに下回りましたが、既存製品が堅調に推移したことに加え、「ボス カフェイン」が増分に寄与したこと等もあり、缶製品の販売数量は前年同期を上回りました。「伊右衛門」は、緑茶市場全体が価格改定の影響を大きく受ける中、ブランド全体の販売数量が前年同期を下回りました。2022年2月に機能性表示食品として新発売した「伊右衛門 濃い味」は、引き続き好調に推移しました。「GREEN DA・KA・RA」は、ブランド全体の販売数量が前年同期を上回り、当第3四半期連結累計期間において過去最高の販売数量となりました。2023年4月に「GREEN DA・KA・RA」本体及び「やさしい麦茶」のリニューアルを実施したことや、新商品の「やさしいルイボス」が好調に推移したことが販売数量の増分に寄与しました。
売上収益は、販売数量増に加え、2022年10月及び2023年5月からの価格改定効果も寄与したことにより、増収となりました。
セグメント利益については、売上収益の伸長に加え、原材料高及び為替変動の影響が想定内に収まったこともあり、増益となりました。
日本事業の売上収益は5,387億円(前年同期比8.6%増)、セグメント利益は373億円(前年同期比30.3%増)となりました。
[アジアパシフィック事業]
アジアパシフィックでは、清涼飲料事業及び健康食品事業のコアブランド集中活動を継続しました。健康食品事業の回復に時間がかかっている中、清涼飲料事業は当第3四半期連結累計期間において、堅調に推移しました。
売上収益は、清涼飲料事業の堅調な販売数量に加え、主要市場における価格改定効果も継続的に寄与し、前年同期を上回りました。
セグメント利益については、清涼飲料事業は増収効果により原材料高等のコスト影響を吸収しましたが、健康食品事業の売上収益減少の影響を大きく受けるとともに、前第2四半期連結会計期間において計上したオセアニアのフレッシュコーヒー事業譲渡による譲渡益の反動もあり、減益となりました。
主要事業別には、ベトナムでは、景況感の悪化や前年の需要拡大の反動影響を受ける中、主力のエナジードリンク「Sting」、茶飲料「TEA+」を含め、主要ブランドの活動を強化した結果、販売数量が伸長しました。タイでは、インフレの低下や観光客需要の回復が進む中、低糖製品を含めた「PEPSI」及び「TEA+」が好調に推移し、販売数量が伸長しました。健康食品事業では、健康食品市場全体に対する消費者の需要減少の影響を大きく受ける中、主力の「BRAND'S Essence of Chicken」のマーケティング活動を徹底し、販売トレンドは徐々に回復してきました。オセアニアでは、主力ブランドであるエナジードリンク「V」のマーケティング活動強化や、「BOSS」の販売数量が前年同期と比べ二桁成長したことが寄与し、引き続き販売数量が前年同期を上回りました。
アジアパシフィック事業の売上収益は2,737億円(前年同期比6.2%増、為替中立0.5%増)、セグメント利益は323億円(前年同期比31.0%減、為替中立33.9%減)となりました。
[欧州事業]
欧州では、天候不順の影響を大きく受ける中、当第3四半期累計連結期間において、主要国において需要が減少し、主要国の販売数量は前年同期を下回りました。
売上収益は、主要国における価格改定を含めたRGM(レベニューグロースマネジメント)も寄与し、増収となりました。
セグメント利益については、原材料高やエネルギー価格上昇の影響を受けましたが、売上収益の伸長及びコスト削減活動により吸収し、増益となりました。
主要国別には、フランスでは、主力ブランド「Oasis」、「Schweppes」及び「Orangina」に引き続き活動を集中しました。「Oasis」の販売数量は引き続き前年同期を上回りました。英国では、主力ブランド「Lucozade」の販売数量が前年同期を上回りました。無糖製品「Lucozade Sport Zero」が好調に推移したことも寄与し、「Lucozade Sport」が、大きく伸長しました。スペインでは、天候不順の影響を大きく受ける中、主力ブランド「Schweppes」の活動を強化した結果、販売数量が前年同期並みとなりました。
欧州事業の売上収益は2,609億円(前年同期比13.0%増、為替中立4.1%増)、セグメント利益は418億円(前年同期比17.2%増、為替中立7.7%増)となりました。
[米州事業]
主力の炭酸カテゴリー及び非炭酸カテゴリーの活動強化に加えて、「Gatorade」の販路拡大が寄与し、販売数量は堅調に推移しました。売上収益は、価格改定効果も寄与し、想定を上回る進捗となりました。
セグメント利益については、売上収益の伸長により、原材料価格や人件費高騰の影響を吸収し、想定を上回る進捗となりました。
米州事業の売上収益は1,201億円(前年同期比24.3%増、為替中立15.4%増)、セグメント利益は151億円(前年同期比20.2%増、為替中立11.6%増)となりました。
(2) 財政状態の分析
当第3四半期連結会計期間末の資産合計は、売上債権及びその他の債権の増加等により、前連結会計年度末に比べ1,542億円増加して1兆9,375億円となりました。
負債は、仕入債務及びその他の債務の増加等により前連結会計年度末に比べ312億円増加して7,545億円となりました。
資本合計は、その他の資本の構成要素の増加等により、前連結会計年度末に比べ1,230億円増加して1兆1,831億円となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況の分析
当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ528億円減少し、1,479億円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前四半期利益1,175億円、仕入債務及びその他の債務の増加554億円、減価償却費及び償却費533億円等に対し、売上債権及びその他の債権の増加796億円、棚卸資産の増加90億円等により、資金の収入は前年同四半期と比べ353億円減少し、960億円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産及び無形資産の取得による支出508億円等により、資金の支出は前年同四半期と比べ261億円増加し、498億円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出300億円、配当金の支払250億円、非支配持分への配当金の支払207億円等により、資金の支出は前年同四半期と比べ194億円増加し、1,050億円の支出となりました。
(4) 重要性がある会計方針及び見積り
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の重要性がある会計方針及び見積りについて重要な変更はありません。
(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(6) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発活動の金額は68億円です。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(7) 主要な設備
当第3四半期連結累計期間において、新たに確定した主要な設備の新設計画は次のとおりです。
会社名 |
所在地 |
セグメントの |
設備の |
投資予定金額 |
資金調達 |
着手及び 完了予定年月 |
完成後の |
||
総額 |
既支払額 |
着手 |
完了 |
||||||
FRUCOR SUNTORY AUSTRALIA PTY. LIMITED |
オーストラリア クイーンズランド |
アジア |
飲料・酒類 製造工場 |
39,580 |
17,099 |
自己資金 |
2023年 第1四半期 |
2025年 上半期 |
(注)1 |
Suntory PepsiCo Beverage(Thailand)Co.Ltd. |
タイ サラブリ― |
アジア パシフィック |
飲料製造設備 |
8,768 |
- |
自己資金 |
2024年 1月 |
2025年 10月 |
(注)2 |
Pepsi Bottling Ventures LLC |
アメリカ ノースカロライナ |
米州 |
製品倉庫 |
6,220 |
- |
自己資金 及びリース |
2023年 10月 |
2025年 6月 |
- |
Suntory PepsiCo Vietnam Beverage Pte. Ltd. |
ベトナム バクニン省 |
アジア |
飲料製造設備 |
3,308 |
- |
自己資金 |
2023年 6月 |
2025年 2月 |
(注)3 |
(注)1.完成後の清涼飲料及び酒類生産能力は、50百万ケース/年です。
2.完成後の清涼飲料生産能力の増加は、31百万ケース/年です。
3.完成後の清涼飲料生産能力の増加は、19百万ケース/年です。