E00434 Japan GAAP
前期
2,015.5億 円
前期比
129.2%
株価
1,970 (04/26)
発行済株式数
33,508,446
EPS(実績)
29.43 円
PER(実績)
66.95 倍
前期
744.6万 円
前期比
101.2%
平均年齢(勤続年数)
44.0歳(17.0年)
従業員数
1,080人(連結:1,330人)
当社グループは、株式会社J-オイルミルズ(当社)、子会社6社、関連会社5社により構成され、油脂事業を中心に複数の事業を営んでおります。油脂事業は主に家庭用油脂・業務用油脂・ミールの製造・加工・販売を行い、スペシャリティフード事業は乳系PBF(プラントベースフード)・食品素材等の製造・加工・販売を行っております。その他の事業は主に不動産賃貸等を行っております。当社グループの事業に係る位置付けおよびセグメントとの関連は次のとおりであります。なお、事業区分はセグメントと同一であります。
(事業の系統図)
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において入手可能な情報に基づき、当社グループが判断したものであります。
油脂事業環境につきましては、主原料である大豆相場は、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や米国産大豆の需給逼迫予想、植物油相場の高騰などから、1ブッシェル当たり17米ドル台後半まで上昇しましたが、その後、米国産地の良好な天候推移や世界的な景気後退懸念の高まりを受け軟調に推移し、9月には1ブッシェル当たり13米ドル台後半まで下落しました。10月以降は中国の需要回復期待やアルゼンチンの乾燥天候懸念などを材料に再度上昇に転じ、12月に1ブッシェル当たり15米ドル台まで上昇し、その後も15米ドル付近で推移しました。前年同期との比較では1月までは高位、2月以降は低位での推移となりました。菜種相場は、鉱物原油相場や植物油相場の高騰などを受け4月には期近限月で1トン当たり1,200加ドル台まで上昇しましたが、カナダ菜種の生産量回復予想や世界的な景気後退懸念、鉱物原油相場の高値修正を受けて軟調に推移し、7月には1トン当たり800加ドル割れまで下落しました。その後は700加ドル台後半から900加ドル台前半で推移しましたが、3月には鉱物原油価格の下落に伴い、700加ドル台前半まで下落しました。前年同期と比較して第1四半期は高位、第2四半期以降は低位での推移となりました。ドル円相場は、米国のインフレ懸念の高まりを受け利上げペースが加速するとの観測が強まる中で、日米の金融政策の方向性の違いから一時150円/1米ドルを超える円安ドル高が進行したものの、政府日銀の為替介入や米国でのインフレ率上昇の一服と米国経済減速懸念の高まりから12月末には130円/1米ドル付近まで円が買い戻されました。その後も130円台/1米ドルでの値動きが続きましたが、前年同期と比較して円安水準での推移となりました。
当連結会計年度は、原料価格高騰を受けた価格改定とミール価格の上昇により、売上高は2,604億10百万円(前年同期比29.2%増)となりました。
当連結会計年度は、製造費用のコストダウンを継続的に進めたものの、原料価格高騰に為替相場の円安進行も重なった影響により、売上原価は2,326億40百万円(前年同期比32.7%増)となりました。販売費及び一般管理費は、各種経費の抑制に取り組んだものの、物流費の高騰や経済活動の緩やかな正常化に伴い活動費が増加したことで、270億35百万円(前年同期比3.1%増)となりました。
高騰する原料価格に見合った販売価格への改定に努めたことに加え、高付加価値品の拡販、継続的なコストダウンを推進した結果、油脂事業の採算性が改善し、営業利益は7億34百万円(前年同期は営業損失21百万円)となりました。
受取配当金や持分法による投資利益の計上により、経常利益は14億36百万円(前年同期比140.7%増)となりました。
遊休資産の売却による固定資産売却益、委託先倉庫での損害に対する受取損害賠償金を特別利益として計上し、特別損失では台風被害による災害損失を計上しました。また、繰延税金資産の一部を取り崩し、法人税等調整額を計上した影響により法人税等合計は増加しました。以上により、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は9億86百万円(前年同期比49.5%減)となりました。
(油脂事業)
油脂部門につきましては、家庭用汎用油においては、急激な原料コスト上昇に伴う度重なる価格改定による節約志向の高まりや外食の回復等の影響により、販売数量は前年同期を下回ったものの、価格改定により売上高は前年同期を上回りました。家庭用高付加価値品においても、主原料の原料コストが大幅に上昇したため価格改定を実施いたしました。市場価格の上昇に伴い、オリーブオイルは市場が縮小したものの、売上高は前年同期と同程度となりました。環境負荷の低減やお客様の使いやすさが特長である「スマートグリーンパック®」(紙パック製品)のラインナップを拡充し、汎用油から高付加価値油まで幅広いアイテムを展開しました。業務用は、10月以降のインバウンド需要の回復や全国旅行支援など、外食の需要を喚起する動きがあったものの、物価高騰による厳しい経営状況の継続を反映して、油脂価格高騰に伴うお客様の使用日数延長やフライメニュー減少の影響で需要が減退し、販売数量は前年同期をわずかに下回りました。家庭用と同様に、更なる価格改定を実施した結果、売上高は前年同期を大きく上回りました。市場価格の上昇に伴い、「長徳®」シリーズについては、お客様のコスト負担軽減への貢献とCFP(Carbon Footprint of Products)認証を軸にした店頭でのコミュニケーション(BtoBtoC)を強化したことが奏功し、販売数量は前年同期を大きく上回りました。
油糧部門につきましては、大豆ミールは、搾油量が前年同期を大きく上回ったことから、販売数量は前年同期を大きく上回りました。販売価格はシカゴ相場の上昇と為替相場の大幅な円安進行により前年同期を大きく上回りました。菜種ミールは、搾油量が前年同期を大きく下回ったことから、販売数量は前年同期を大きく下回りました。販売価格は大豆ミール価格の上昇に連動して前年同期を大きく上回りました。
(スペシャリティフード事業)
乳系PBF部門につきましては、家庭用はマーガリンの主原料であるパーム油や大豆油、菜種油など原料相場の高騰や為替相場の円安進行などを受け、価格改定に注力しましたが、マーガリン市場の縮小の影響や価格改定による反動により販売数量は前年同期を大きく下回り、売上高は前年同期をやや下回りました。プラントベース食品「Violife(ビオライフ)」は2022年3月より全国展開をスタートし、6月にはブランド認知度アップのために関東エリアでテレビCMを実施しました。また秋季新商品としてプラントベースチーズ3商品を発売し、植物性チーズの新たな楽しみ方の創出に努めるとともに、商品ラインナップの見直しを進めました。業務用は行動制限の緩和による人流回復により、土産菓子、外食等の需要に回復傾向が見られましたが、パンの需要は引き続き低迷しており、お客様の油脂使用量の削減や最終製品の容量減もあり販売数量は前年同期を下回りました。家庭用と同様に、価格改定に注力したことにより、売上高は前年同期を上回りました。粉末油脂事業は、販売数量は前年同期を下回りましたが、原料油脂相場の上昇により販売価格が上昇し売上高は前年同期を上回りました。
食品素材部門につきましては、テクスチャーデザインは高付加価値食品用澱粉および工業用澱粉の販売が好調に推移しましたが、鳥インフルエンザの影響で飼料用の出荷は伸びず販売数量は前年同期と同程度となりました。売上高は、原料とうもろこし相場や、為替相場の影響を受けた製品価格の適正化を推進したため、前年同期を大きく上回りました。前年度第2四半期に上市しました業務用スターチ製品の新ブランド「TXdeSIGN ®(テクスデザイン)」シリーズにつきましては、専用ホームページの設置など、拡販に向けて提案を強化することで、ターゲット顧客に採用が進みました。ファインはビタミンK2の価格改定の実施などにより、売上高は前年同期をわずかに上回りました。大豆たん白をベースとした大豆シート食品「まめのりさん®」の販売は、主要販売先である北米において秋頃より景気に陰りが見え始め、現地での流通在庫が増加したため出荷が鈍化し、販売数量は前年同期を大きく下回りました。原料価格などの大幅な上昇に伴い価格改定を進めましたが、売上高は前年同期を下回りました。
(その他)
その他の事業につきましては、売上高10億49百万円(前年同期比49.0%減)、セグメント利益1億55百万円(前年同期比43.3%減)、セグメント資産7億2百万円(前期末比2億42百万円減)となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりになります。
(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しております。
2 金額は製造原価によっております。
当社グループは受注生産を行っておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりになります。
(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
当社グループは、2026年度を最終年度とする第六期中期経営計画「Transforming for Growth」を推進しており、その達成・進捗状況は以下のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は1,107億93百万円で、前連結会計年度末に比べ165億97百万円増加しました。主な増加は、棚卸資産が99億99百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が91億82百万円であります。主な減少は、流動資産その他14億29百万円であります。
固定資産は677億97百万円で、前連結会計年度末に比べ3億31百万円増加しました。主な増加は、無形固定資産が4億24百万円、投資有価証券が3億81百万円であります。主な減少は、有形固定資産4億49百万円であります。
これにより、総資産は1,786億21百万円(前期末比169億21百万円増)となりました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は515億27百万円で、前連結会計年度末に比べ107億78百万円増加しました。主な増加は、短期借入金が81億円、支払手形及び買掛金が11億87百万円、流動負債その他が10億30百万円であります。
固定負債は328億29百万円で、前連結会計年度末に比べ64億2百万円増加しました。主な増加は、長期借入金が63億90百万円、繰延税金負債が2億32百万円であります。主な減少は、リース債務1億68百万円であります。
これにより、負債は843億57百万円(前期末比171億80百万円増)となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は942億63百万円で、前連結会計年度末に比べ2億59百万円減少しております。主な増加は、その他有価証券評価差額金3億13百万円であります。主な減少は、繰延ヘッジ損益が5億6百万円、利益剰余金が1億80百万円であります。
当連結会計年度の現金及び現金同等物は、前年同期と比べ10億81百万円減少し、24億24百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ67億84百万円増加し、△100億22百万円となりました。この主な要因は、棚卸資産や売上債権が増加したことによります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ56億27百万円減少し、△37億9百万円となりました。この主な要因は、有形固定資産の取得による支出を計上したことによります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ20億52百万円増加し、126億28百万円となりました。この主な要因は、長期借入れによる収入を計上したことによります。
(注)自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業活動によるキャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業活動によるキャッシュ・フロー/利払い
※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により算出しております。
※有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としています。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
※2021、2022年度のキャッシュ・フロー対有利子負債比率およびインタレスト・カバレッジ・レシオは、営業キャッシュ・フローがマイナスのため記載しておりません。
主要な資金需要は、製造および販売活動に必要な運転資金、有利子負債の返済、配当金の支払い、法人税等の支払い、事業基盤整備のための設備投資、新規事業への投資であり、これらの資金需要に対しましては、営業活動によるキャッシュ・フローおよび内部留保資金、社債発行、金融機関からの借入により資金調達しております。
当社グループは、現金及び現金同等物において、グループ各社の余剰資金を一元管理することによって資金の効率化と金融費用の極小化を図っております。また、当座貸越契約、コミットメントライン契約、売掛債権の流動化による機動的な資金調達手段を備えており、十分な資金の流動性を確保しております。
当社グループは、資本効率性と格付を考慮した財務健全性の最適バランスを取りながら、営業活動によるキャッシュ・フロー創出力を強化し、持続的な企業価値の向上を追求していく方針であります。これにより、事業活動の維持に必要な手許資金の水準を確保するとともに、安定した株主還元と、企業体質の強化や積極的な事業展開のためへの成長投資など、長期的視野に立った安定的かつ適正な利益配分を行うこととしております。加重平均資本コスト(WACC)等を用いて資産効率向上を進めてROA等の改善を図ることとし、原料相場高騰や為替相場の円安進行等による経営環境の変化を踏まえ、財務政策における目標値を見直すこととしております。
なお、キャッシュ・フローの推移実績は以下のとおりであります。
(注)フリー・キャッシュ・フロー:営業活動によるキャッシュ・フロー+投資活動によるキャッシュ・フロー
※借入金残高は、社債を含みます。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを用いることが必要となりますが、これらの見積りについては過去の実績や現状等を総合的に勘案し合理的に判断しております。しかしながら実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。詳細は「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
当社グループは確定給付制度を採用しております。退職給付債務及び勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割引くことにより算定しております。数理計算上の仮定には、割引率、昇給率、期待運用収益率等の様々な計算基礎があり、当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。
なお、投資有価証券の評価、繰延税金資産の回収可能性および棚卸資産(原材料)の評価については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。