E00434 Japan GAAP
前期
2,604.1億 円
前期比
93.8%
株価
1,952 (07/12)
発行済株式数
33,508,446
EPS(実績)
202.70 円
PER(実績)
9.63 倍
前期
753.2万 円
前期比
101.3%
平均年齢(勤続年数)
44.0歳(17.0年)
従業員数
1,021人(連結:1,275人)
当社グループは、株式会社J-オイルミルズ(当社)、子会社6社、関連会社6社により構成され、油脂事業を中心に複数の事業を営んでおります。油脂事業は主に家庭用油脂・業務用油脂・ミールの製造・加工・販売を行い、スペシャリティフード事業は乳系PBF(プラントベースフード)・食品素材等の製造・加工・販売を行っております。その他の事業は主に不動産賃貸等を行っております。当社グループの事業に係る位置付けおよびセグメントとの関連は次のとおりであります。なお、事業区分はセグメントと同一であります。
(事業の系統図)
(注) 共同新設分割により、製油パートナーズジャパン株式会社は、関連会社となりました。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において入手可能な情報に基づき、当社グループが判断したものであります。
油脂事業環境につきましては、主原料である大豆相場は、米国産地における順調な作付け進捗などから5月には一時1ブッシェル当たり12米ドル台まで下落しましたが、事前予想を下回る米国作付面積発表などを受け、7月には16米ドル台まで上昇しました。その後は米国産大豆の順調な収穫進展を受けて9月には再び12米ドル台まで下落しました。10月以降はブラジルの天候懸念から14米ドル目前まで上昇しましたが、南米の豊作期待の高まりから2月には11米ドル台まで再度下落しました。3月末にかけては12米ドル目前まで値を戻しましたが、前年同期との比較では低位での推移となりました。菜種相場は、カナダでの順調な作付け進捗を受けて5月には1トン当たり一時600加ドル台前半まで下落しましたが、米国の植物油需要の増加期待から上昇傾向に転じ、7月には800加ドル台中盤まで上昇しました。その後、カナダ産菜種の需給緩和予想などから軟調な展開が続き、2月には500加ドル台後半まで下落しました。3月末にかけては600加ドル台を回復しましたが、前年同期との比較では低位での推移となりました。ドル円相場は、日米の金融政策の方向性の違いが意識される中、円安ドル高傾向が継続し、11月には151円台/1米ドルを付けました。その後は、米国の利下げ予想や日銀のゼロ金利政策解除などを受けて一時的に円高ドル安へ振れる局面は見られたものの、大きな流れとしては円安ドル高の傾向は変わらず、3月下旬には再び151円台/1米ドルまで円安ドル高が進行しました。前年同期との比較では円安水準での推移となりました。
当連結会計年度は、原料価格の軟化に伴い油脂の販売価格が低下したことに加え、ミールも搾油量の低下により販売数量が減少したことで、売上高は2,443億19百万円(前年同期比6.2%減)となりました。
当連結会計年度は、原料価格の軟化に加え、製造費用の継続的なコストダウンにより、売上原価は2,090億1百万円(前年同期比10.2%減)となりました。販売費及び一般管理費は、各種経費の抑制に取り組んだものの、経済活動の正常化に伴い活動費が増加したことで、280億74百万円(前年同期比3.8%増)となりました。
原材料価格の良化および油脂の適正価格での販売やスペシャリティフード事業の収益改善により、営業利益は72億43百万円(前年同期比886.4%増)となりました。
受取配当金や持分法による投資利益の計上により、経常利益は90億43百万円(前年同期比529.6%増)となりました。
投資有価証券売却益や製油パートナーズジャパン株式会社の設立に伴う持分変動利益を特別利益として計上し、特別損失では固定資産除却損やスペシャリティフード事業の事業資産で減損損失等を計上しました。以上により、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は67億92百万円(前年同期比588.6%増)となりました。
(油脂事業)
油脂部門につきましては、家庭用油脂は、値上げによる節約志向の高まりや外食への回帰などの影響で需要が減少し、販売数量は前年同期をやや下回りました。汎用油においては、販売数量は前年同期と同程度ながら、販売単価が下落したことから売上高は前年同期を下回りました。原料価格高騰の影響によりオリーブオイルの市場は足元では縮小傾向にあるものの、価格改定により売上高は前年同期を大きく上回りました。環境負荷の低減や生活者の使いやすさが特長である「スマートグリーンパック®」のパッケージを刷新し、ラインナップを拡充しました。販売店舗数も増加し、6月および11月にはTVCMと連動した各種キャンペーンを展開することで、認知度向上を図り拡販に努めました。なお、「スマートグリーンパック®」の技術は流通プライベートブランドや業務用商品へも拡大されています。業務用油脂は、油脂価格高騰によるお客様のフライ油の使用日数の延長やフライメニューの減少の影響を受けたものの、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴う人流の回復やインバウンド需要の拡大による外食市場の回復により、販売数量は前年同期をわずかに上回りました。売上高については、価値に見合った適正価格での販売に努めたものの、前年同期を下回りました。当社独自技術「SUSTEC®(サステック)」については、市場の回復により深刻化する人手不足を背景に、長持ちすることによるフライ油交換に伴う労働負荷の軽減と、対象商品を拡大したCFP(Carbon Footprint of Products)認証による環境負荷の低減という二つの低負荷を軸とした提案を推進しました。
油糧部門につきましては、大豆ミールは搾油量が前年同期を下回ったことから、販売数量は前年同期を下回りました。販売価格はシカゴ相場が下落したものの、為替相場の円安進行により前年同期と同程度となりました。菜種ミールは搾油量が前年同期を下回ったことに加え、ミール歩留がやや低下したことから販売数量は前年同期を下回りました。販売価格は大豆ミール価格に連動して前年同期と同程度となりました。
(スペシャリティフード事業)
乳系PBF部門につきましては、家庭用はマーガリン・ファットスプレッド市場の縮小傾向の影響を受け、販売数量は前年同期を下回りました。売上高は価格改定後の販売単価の価格維持に努めたものの、前年同期をやや下回りました。なお、2024年3月をもって家庭用マーガリン類の生産および販売を終了することとなりました。プラントベースブランド「Violife」は、引き続きターゲット層への認知・理解促進に努めました。業務用はインバウンド需要の回復傾向が続き、土産菓子向けや外食の需要が堅調に推移する一方、原材料価格の上昇などにより、菓子やパンの販売個数や容量の減少、油脂使用量の削減などの影響を受けた結果、販売数量は前年同期を下回りました。売上高は前年度に実施した価格改定後の単価維持に努めたものの、前年同期をやや下回りました。粉末油脂は安定した受注量、生産量を確保したことから販売数量は前年同期をやや上回りましたが、原料価格の低下による販売価格の下落により、売上高は前年同期と同程度となりました。
食品素材部門につきましては、テクスチャーデザインは段ボール用およびビール用コーンスターチの出荷が伸びず、販売数量は前年同期をやや下回る結果となりましたが、売上高は価格改定およびアプリケーション提案の推進により、順調に推移しました。「TXdeSIGN®(テクスデザイン)」シリーズにつきましては、製菓製パン用途や畜肉用途への提案を強化することでターゲット顧客での採用が進み、売上高は前年同期を大きく上回りました。ファインは、ビタミンK2が国内市場を中心に新規採用や使用量拡大が進んだことに加え、米国や台湾など海外への輸出拡大に取り組んだ結果、売上高は前年同期を大きく上回りました。大豆たん白をベースとしたシート状大豆食品「まめのりさん®」は流通在庫調整の影響を受けたものの、価格改定に努めた結果、売上高は前年同期を上回りました。
(その他)
その他の事業につきましては、売上高10億40百万円(前年同期比0.9%減)、セグメント利益1億68百万円(前年同期比8.5%増)、セグメント資産6億96百万円(前期末比6百万円減)となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりになります。
(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しております。
2 金額は製造原価によっております。
当社グループは受注生産を行っておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりになります。
(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
当社グループは、2026年度を最終年度とする第六期中期経営計画「Transforming for Growth」を推進しており、その達成・進捗状況は以下のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は1,088億6百万円で、前連結会計年度末に比べ19億86百万円減少しました。主な増加は、現金及び預金が18億22百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が11億78百万円であります。主な減少は、棚卸資産54億19百万円であります。
固定資産は692億63百万円で、前連結会計年度末に比べ14億65百万円増加しました。主な増加は、投資有価証券が90億64百万円、退職給付に係る資産が9億30百万円であります。主な減少は、有形固定資産が82億39百万円、無形固定資産が2億56百万円であります。
これにより、総資産は1,780億93百万円(前期末比5億28百万円減)となりました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は429億71百万円で、前連結会計年度末に比べ85億56百万円減少しました。主な増加は、支払手形及び買掛金が24億82百万円、未払法人税等が22億76百万円、流動負債その他が13億49百万円であります。主な減少は、短期借入金158億円であります。
固定負債は330億71百万円で、前連結会計年度末に比べ2億41百万円増加しました。主な増加は、繰延税金負債7億16百万円であります。主な減少は、退職給付に係る負債が3億50百万円、リース債務が1億41百万円であります。
これにより、負債は760億42百万円(前期末比83億15百万円減)となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は1,020億51百万円で、前連結会計年度末に比べ77億87百万円増加しております。主な増加は、利益剰余金が54億59百万円、その他有価証券評価差額金が10億41百万円、退職給付に係る調整累計額が8億円であります。
当連結会計年度の現金及び現金同等物は、前年同期と比べ18億22百万円増加し、42億46百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ324億90百万円増加し、224億68百万円となりました。この主な要因は、棚卸資産が減少したことによります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ3億72百万円増加し、△33億36百万円となりました。この主な要因は、有形固定資産の取得による支出を計上したことによります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ299億75百万円減少し、△173億47百万円となりました。この主な要因は、短期借入金が減少したことによります。
(注)自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業活動によるキャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業活動によるキャッシュ・フロー/利払い
※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により算出しております。
※有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としています。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
※2021、2022年度のキャッシュ・フロー対有利子負債比率およびインタレスト・カバレッジ・レシオは、営業キャッシュ・フローがマイナスのため記載しておりません。
主要な資金需要は、製造および販売活動に必要な運転資金、有利子負債の返済、配当金の支払い、法人税等の支払い、事業基盤整備のための設備投資、新規事業への投資であり、これらの資金需要に対しましては、営業活動によるキャッシュ・フローおよび内部留保資金、社債発行、金融機関からの借入により資金調達しております。
当社グループは、現金及び現金同等物において、グループ各社の余剰資金を一元管理することによって資金の効率化と金融費用の極小化を図っております。また、当座貸越契約、コミットメントライン契約、売掛債権の流動化による機動的な資金調達手段を備えており、十分な資金の流動性を確保しております。
当社グループは、資本効率性と格付を考慮した財務健全性の最適バランスを取りながら、営業活動によるキャッシュ・フロー創出力を強化し、持続的な企業価値の向上を追求していく方針であります。これにより、事業活動の維持に必要な手許資金の水準を確保するとともに、安定した株主還元と、企業体質の強化や積極的な事業展開のための成長投資など、長期的視野に立った安定的かつ適正な利益配分を行うこととしております。加重平均資本コスト(WACC)等を用いて資産効率向上を進めてROA等の改善を図ることとし、原料相場や為替相場の変動等による経営環境の変化を踏まえ、財務政策における目標値を見直すこととしております。
なお、キャッシュ・フローの推移実績は以下のとおりであります。
(注)フリー・キャッシュ・フロー:営業活動によるキャッシュ・フロー+投資活動によるキャッシュ・フロー
※借入金残高は、社債を含みます。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを用いることが必要となりますが、これらの見積りについては過去の実績や現状等を総合的に勘案し合理的に判断しております。しかしながら実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。詳細は「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
当社グループは確定給付制度を採用しております。退職給付債務及び勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割引くことにより算定しております。数理計算上の仮定には、割引率、昇給率、期待運用収益率等の様々な計算基礎があり、当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。
なお、投資有価証券の評価、棚卸資産(原材料)の評価および固定資産の減損については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。