売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E03363 Japan GAAP

売上高

4,467.1億 円

前期

4,285.2億 円

前期比

104.2%

時価総額

2,323.0億 円

株価

2,381 (04/24)

発行済株式数

97,564,700

EPS(実績)

100.31 円

PER(実績)

23.74 倍

平均給与

768.6万 円

前期

776.2万 円

前期比

99.0%

平均年齢(勤続年数)

41.0歳(9.1年)

従業員数

897人(連結:3,574人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

 

3 【事業の内容】

当社グループは、当社および連結子会社13社により構成され、eコマース事業を主な事業として取り組んでおります。当社グループの事業における、当社と当社の関係会社の位置付けおよびセグメントとの関連は、次のとおりであります。なお、以下に示す区分は、セグメントと同一の区分であります。

<eコマース事業>

OA・PC用品、事務用品、オフィス生活用品、オフィス家具、食料品、酒類、医薬品、化粧品、MRO商材(注)、ペット用品等の販売事業を行っており、販売チャネル別にはBtoB事業とBtoC事業に区分されます。

BtoB事業の主たる内容は、インターネット経由ならびにFAXの注文によるオフィス現場用品の翌日配送(一部、当日配送)サービスであります。このサービスを支える販売システム(以下、「アスクルシステム」という。)は、当社とお客様との間にアスクルシステムの販売店(以下、「エージェント」という。)を置くことにより、お客様の新規開拓および代金回収を含む債権管理をエージェントが担当するという独自のビジネスモデルにより構築されております。お客様からのご注文情報は当社が直接受け付け、商品は当社よりお客様にお届けしておりますが、お客様の商品ご購入代金は、エージェント経由で回収しております(次頁図参照)。これによりエージェントは、お客様への販売価格と当社からの仕切り価格の売買差額を利益として得る一方、当社はお客様開拓や代金回収コストを軽減しております。また、当社グループの事業は上記エージェントをはじめとして、商品のサプライヤー、運送会社、情報システムの開発および運用会社等多くの協力会社によって支えられています。これら協力会社との間で、それぞれの機能に応じて、役割を分担・補完し合い、お互いにパートナーとして戦略的にコラボレーションをすることにより時間やコストの無駄を排除しております。

連結子会社については、ASKUL LOGIST株式会社は、物流・配送サービスの提供において、競合他社との差別化および環境先進企業としてのプラットフォームの構築を進めております。また、株式会社アルファパーチェスにおいては、消耗品・補修用品等企業内で日常的に使用されるサプライ用品(MRO商材)をはじめとする取扱商材拡大に取り組んでおり、当社グループとしてお客様に提供する商品およびサービスの拡大を図っており、当社グループ全体で「機能主義」と「社会最適」を実現するバリューチェーン構築を目指しております。ソロエル株式会社は、巨大な間接材市場において、お客様の購買代理人として、間接材購買コストの削減および間接材の確実な供給を目指し、ビジネスのさらなる拡大にチャレンジしております。フィード株式会社は、全国の歯科医院に幅広く認知されている「FEED デンタル」の運営等の医療関連の通信販売事業を営んでおり、海外商品を含めたコストパフォーマンスの高い歯科材料や歯科用品など専門商材の幅広い品揃えを強みにしております。

一方、BtoC事業は、これまでBtoB事業において提供してきた事業所に対するオフィス現場用品の翌日配送(一部、当日配送)サービスを一般消費者向けに展開すべく、2012年11月20日に一般消費者向け通信販売サイト「LOHACO(ロハコ)」としてサービスを開始し、業務・資本提携契約を結ぶZホールディングス株式会社およびその子会社であるヤフー株式会社とノウハウや人的リソースを結集することで、他のBtoCの通信販売事業者に比べて価格、商品品質、配送その他のあらゆる点において優位性を有するeコマース事業(インターネット等を介して行われる電子商取引ビジネス)の構築に取り組んでまいりました。連結子会社である株式会社チャームは、ペット・ガーデニング用品の品揃えに強みがあります。グループで協業していくことにより、「LOHACO」においてはペット用品の取扱商品数が拡大し、多種多様なライフスタイルをもつ消費者ニーズに対応することで、売上高の拡大を図っております。

 

(注)Maintenance, Repair and Operationsの頭文字をとった略称で、工場・建設現場等で使用される、消耗品・補修用品等の間接材全般を指します。

 

(主な関係会社)ASKUL LOGIST㈱、㈱アルファパーチェス、㈱チャーム、ビジネスマート㈱、ソロエル㈱、㈱AP67、フィード㈱

 

<ロジスティクス事業>

eコマース事業で培った物流ノウハウを生かし、連結子会社のASKUL LOGIST株式会社を通じてメーカー等の通販商品の保管、物流、配送の請け負い等、企業向け物流・小口貨物輸送サービスを行っております。

(主な関係会社)ASKUL LOGIST㈱

 

<その他>

2015年8月に株式を取得し連結子会社とした嬬恋銘水株式会社にて、水の製造販売を行っております。

(主な関係会社)嬬恋銘水㈱

 

以上で述べた主な事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。

 

※画像省略しています。

 

(注)1 当社グループは、当社および連結子会社13社により構成され、eコマース事業を主たる事業としております。

2 当社は、2002年11月に新たな電子調達システムを利用した企業購買の変化に対応するノウハウの蓄積を目的に100%子会社としてASKUL e-Pro Service株式会社(現ソロエル株式会社)を設立しております。なお、超大企業向けの間接材購買の最適化を支援するソロエルエンタープライズの営業代行を行っております。

3 当社は、2005年5月に当社エージェント(販売店)であるビジネスマート株式会社の発行済株式全株を取得し、100%子会社といたしました。当社がエージェント運営に関わり、エージェントとして培った運営ノウハウを他のエージェントにも展開することで、新しいエージェント機能を模索し、お客様の満足度をさらに高めていくことを目的としております。

 

4 当社は、2009年4月に、プラス株式会社の100%子会社であるプラスロジスティクス株式会社より、プラスロジスティクス株式会社が行った新設会社分割において、(1)物流事業の一部(当社が委託している当社の物流センターの庫内運営に係る事業)および(2)Bizex事業(配送に係る事業)を承継して新設分割により設立されたBizex株式会社(現ASKUL LOGIST株式会社)の発行済株式全株を取得し、100%子会社といたしました。これまで外部に依存していた物流面でのお客様への直接リーチを取り込み、当社の強みであるワンストップ・ショッピング機能を強化することで、顧客満足度の向上を図ることおよび物流コストの節減による効率化を目的としております。

5 当社は、2010年11月に株式会社アルファパーチェスの株式の78.8%(2023年5月20日現在における議決権の所有割合は64.0%)を取得し、連結子会社といたしました。当社と株式会社アルファパーチェスが持つお客様基盤と取扱商材の相互補完によるシナジー効果が見込まれ、当社グループの業績拡大に寄与することを目的としております。

6 当社は、2015年8月に、水の製造販売を行っております嬬恋銘水株式会社の株式を取得いたしました。

7 当社は、2017年7月に、ペット・ガーデニング用品を専門に扱う株式会社チャームの全株式を取得いたしました。株式会社チャームで取り扱う商品を「LOHACO」でも販売することで、多種多様なお客様のニーズにお応えし、BtoC事業の業績拡大に寄与することを目的としております。

8 当社は、2023年2月に、歯科業界向け通販サービス「FEED デンタル」を運営するフィード株式会社および他子会社を傘下におさめる、株式会社AP67の発行済株式の85%を取得し、連結子会社といたしました。当社とフィード株式会社が持つお客様基盤の相互活用による販路拡大など、グループ全体でのシナジー最大化を目指し、より幅広く仕事場を支えるインフラ企業として、企業価値の向上を図ることを目的としております。

 

23/12/28

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度(2022年5月21日から2023年5月20日まで)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が徐々に緩和され、社会経済活動の正常化が進んできましたが、感染症法上の位置付けが5類に移行されたこと等により、経済活動の活性化が一層期待されます。一方、国際情勢、原料・エネルギー価格の高騰や円安等の為替動向の懸念等により、依然として先行きは不透明な状況となっております。

このような状況の中、当社グループは、2023年5月期を「売上高の成長カーブを変える」を最大のミッションと位置付け、中期経営計画(2022年5月期~2025年5月期)に掲げた最終年度の業績目標達成に向け、取扱い商品数の拡大に加え、重要施策である「ASKUL東京DC」の物流設備や新アスクルWEBサイトの構築等、当社グループの成長に繋がる積極的な設備投資を進めてまいりました。

この結果、当連結会計年度の当社グループの業績は、売上高4,467億13百万円(前期比4.2%増)、営業利益146億20百万円(前期比2.2%増)、経常利益144億48百万円(前期比1.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益97億87百万円(前期比6.3%増)の増収増益となり、売上高、利益ともに過去最高額を更新しました。

 

セグメント別の経営成績につきましては、以下のとおりです。

<eコマース事業>

当社グループの主力分野であるBtoB事業につきましては、仕事場で働く全てのお客様のご要望にお応えすべく、飲料、日用消耗品等の生活用品商材、抗原検査キット等の新型コロナウイルス感染症関連商材、袋・梱包資材等のMRO(注)商材など、幅広く商品を取り揃えております。前期に特需のあった感染症関連商材の反動減の影響がありましたが、生活用品、戦略的に強化しているMRO商材が伸長したこと、従来から取扱うOA・PC、文具等の消耗品需要が回復基調にあること等により、当連結会計年度は大幅な増収となりました。

2022年7月の新アスクルWEBサイト構築に関連する一部機能(中堅大企業向けのWEBサイトであるソロエルアリーナサイトのオープン化)の先行リリースにより、ソロエルアリーナご利用のお客様がサーチエンジンでの検索結果からソロエルアリーナサイトへ直接遷移することが可能となった結果、サーチエンジン経由でご購入いただくお客様数が増え、また、医療・MRO等の戦略カテゴリの売上構成比の上昇による注文単価の増加等により、サーチエンジン経由での売上高が増加しました。

また、インターネット広告等のさらなる強化によるお客様基盤の拡大に加え、医療・介護業種および製造業を中心とする専門商材の品揃え強化と動画広告による取扱い認知度向上施策が相乗効果となり、売上高の成長にそれぞれ貢献しております。

この結果、BtoB事業の売上高は、前期比で258億43百万円増収3,738億68百万円(前期比7.4%増)となりました。

BtoC事業につきましては、当連結会計年度において目標としておりました「LOHACO」の黒字化を実現しました。売上高については、キャンペーン変更等の影響もあり減収となりましたが、販促手法の見直しや配送バー改定の効果等により一箱あたりの売上高が増加し、売上総利益率は上昇しました。BtoB事業との融合を進めたことで、固定費の低減等により利益構造が改善し黒字化に大きく貢献しました。

この結果、「LOHACO」の売上高は、前期比で81億53百万円減収の461億76百万円(前期比15.0%減)となり、BtoC事業合計で、前期比で74億21百万円減収632億52百万円(前期比10.5%減)となりました。

以上の結果、両事業を合計したeコマース事業の売上高は4,371億20百万円(前期比4.4%増)となりました。売上総利益は、1,066億50百万円(前年同期比2.2%増)となりました。

2022年11月に稼働を開始しました「ASKUL東京DC」の準備期間中の地代家賃および立上時の費用発生、また、新アスクルWEBサイトの構築の設備投資に関連した一過性のコストが発生しましたが、一箱あたりの売上高の増加、売上高配送運賃比率の低いBtoB事業の売上割合の増加等により、売上高販管費比率が0.5ポイント減少し、販売費及び一般管理費が917億10百万円となり、営業利益は149億40百万円(前期比4.1%増)となりました。

 

<ロジスティクス事業>

ASKUL LOGIST株式会社の当社グループ外の物流業務受託の売上高が前期と同水準で推移したものの、生産性が低下したこと等により、減益となりました。

この結果、当連結会計年度の売上高は87億1百万円(前期比3.6%減)、営業損失は3億24百万円(前期は営業損失34百万円)となっております。

 

<その他>

嬬恋銘水株式会社での飲料水の販売が好調であることに加え、2021年11月に完成した新製造ラインの生産性が改善し、増収増益となりました。

この結果、当連結会計年度の売上高は19億5百万円(前期比27.2%増)、営業利益は12百万円(前期比1,285.5%増)となっております。

 

(注) Maintenance, Repair and Operationsの頭文字をとった略称で、工場・建設現場・倉庫等で使用される消耗品・補修用品等の間接材全般を指します。

 

 

財政状態の状況は以下の通りであります。

 

(資産の部)

当連結会計年度末における総資産は2,275億6百万円となり、前連結会計年度末と比べ394億81百万円増加いたしました。主な増加要因は、株式会社AP67の株式を取得し同社およびその子会社を連結範囲に含めたことに伴い顧客関連資産が79億88百万円、当連結会計年度末日が金融機関の休日であったため、決済日が連結会計年度末日である電子記録債務84億44百万円が連結会計年度末残高に含まれていたこと等により現金及び預金が74億33百万円「ASKUL東京DC」の稼働等に伴いリース資産が67億13百万円、増収により受取手形、売掛金及び契約資産が57億94百万円増加したことであります。

 

(負債の部)

当連結会計年度末における負債は1,606億30百万円となり、前連結会計年度末と比べ298億76百万円増加いたしました。主な増加要因は、電子記録債務が92億8百万円、長期借入金(1年内返済予定を含む)が82億8百万円、リース債務(長期)が64億62百万円増加したことであります。

 

(純資産の部)

当連結会計年度末における純資産は668億76百万円となり、前連結会計年度末と比べ96億5百万円増加いたしました。主な増加要因は、親会社株主に帰属する当期純利益97億87百万円の計上に対し、配当金の支払31億18百万円があったことにより利益剰余金が66億68百万円連結子会社の株式会社アルファパーチェスの上場に関連した公募増資等により、非支配株主持分が22億15百万円増加したことであります。

以上の結果、自己資本比率は28.2%(前連結会計年度末は30.2%)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は662億23百万円となり、前連結会計年度末に比べ74億33百万円増加いたしました。なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と、それらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは201億31百万円の収入(前期は179億52百万円の収入)となりました。これは、法人税等の支払額46億89百万円、売上債権の増加額45億9百万円があった一方、税金等調整前当期純利益144億67百万円、仕入債務の増加額104億円、減価償却費、ソフトウエア償却費、のれん償却額および顧客関連資産償却額の合計71億14百万円があったこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは229億29百万円の支出(前期は107億48百万円の支出)となりました。これは、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出87億85百万円、ソフトウエアの取得による支出77億87百万円、有形固定資産の取得による支出66億93百万円があったこと等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは102億32百万円の収入(前期は146億74百万円の支出)となりました。これは、長期借入金の返済による支出53億91百万円があった一方、長期借入れによる収入105億円、セール・アンド・リースバックによる収入89億54百万円があったこと等によるものであります。

 

③ 生産、仕入および販売の状況

  a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

その他 (注)1

1,335

+27.9

合計

1,335

+27.9

 

(注) 1 「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、水の製造を行っております。

2 金額は、製造原価によっております。

3 eコマース事業およびロジスティクス事業につきましては、生産業務を行っていないため該当事項はありません。

 

  b. 仕入実績

当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

仕入高(百万円)

前期比(%)

eコマース事業

331,995

+5.8

その他 (注)1

151

△0.5

合計

332,147

+5.8

 

(注) 1 「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、水の製造を行っております。

2 セグメント間取引については、相殺消去しております。

3 金額は、仕入価格によっております。

4 ロジスティクス事業につきましては、物流・小口貨物輸送サービスの提供が主要な事業であるため、記載を省略しております。

 

  c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

eコマース事業

437,120

+4.4

ロジスティクス事業

8,701

△3.6

その他 (注)1

890

+13.0

合計

446,713

+4.2

 

(注) 1 「その他」の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、水の製造を行っております。

2 セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針および見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。連結財務諸表の作成にあたっては、報告期間の期末日における資産・負債の計上、期中の収益・費用の計上を行うため、必要に応じて会計上の見積りを用いております。この会計上の見積りには、その性質上不確実性があり、実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りのうち、重要なものは以下のとおりであります。なお、当連結会計年度の連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りのうち、翌連結会計年度の連結財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがあるものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

(固定資産の減損)

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産グループについて、資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識および測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、新たに減損処理が必要となる可能性があります。

 

(のれんおよび顧客関連資産の減損)

当社グループは、のれんおよび顧客関連資産について、その効果の発現する期間にわたって均等償却しております。また、その資産性について子会社の業績や事業計画等を基に検討しており、将来において当初想定していた収益が見込めなくなった場合、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上する可能性があります。

 

(繰延税金資産の回収可能性)

繰延税金資産については、将来の利益計画に基づく課税所得を慎重に見積り、回収可能性を判断した上で計上しております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積額が減少した場合は、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容

a. 経営成績等

「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。

b. キャッシュ・フローの分析

「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

 ③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループが属するeコマース市場は引き続き成長が見込まれているものの、競合とのサービス競争は激化しており、競合他社の状況が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があります。当社グループといたしましては、BtoB事業は、新たに位置付けた2大戦略業種(医療・介護、製造業)向けを中心に、お客様のご要望にあった品揃えの拡大や当社オリジナル商品の拡充を進めるとともに、既存サイトの特長を結集し、新たな機能も兼ね備えた新アスクルWEBサイトの構築により、他社との差別化を図ってまいります。BtoC事業は、BtoB事業との事業部統合のシナジー効果として期待される商品領域拡大とオリジナル商品強化に加え、Zホールディングスグループの持つ集客力の活用により、黒字を維持しつつ2024年5月期第4四半期以降の再成長を目指してまいります。その他、経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載の通りです。

 

 ④ 資本の財源および資金の流動性についての分析

当社グループの資金需要の主なものは、物流センターの新設・増強やWEBサイトの刷新等の設備投資資金、各事業の成長を加速させるためのシナジー効果のある事業者の買収資金等があります。

設備投資資金や買収資金等の資金については、金利コスト等を勘案しながら、自己資金または金融機関からの借入金、リース契約等により調達しております。

 

 ⑤ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは劇的に変化する競争環境を勝ち抜くため、2021年7月2日に2025年5月期を最終年度とする4年間の中期経営計画を発表いたしました。中期経営計画では、オフィス通販からすべての仕事場とくらしを支えるインフラ企業へのトランスフォーメーションを成し遂げるべく、2025年5月期の経営目標として連結売上高5,500億円、連結営業利益率5%、ROE20%を新たな目標に掲げております。なお、当連結会計年度においては連結売上高4,467億円、連結営業利益率3.3%、ROE16.2%となっております。今後は、BtoB事業における「戦略業種と品揃え拡大」、「BtoB最強eコマースサイトの構築」、BtoC事業における「LOHACO」再成長に向けた施策、新たなチャレンジとしてのBtoBビジネスの新サービスを最重要戦略として、中期経営計画の経営目標達成に向けて各施策を推進してまいります。