E03363 Japan GAAP
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
① 経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間(2023年5月21日から2024年2月20日まで)におけるわが国経済は、経済活動の正常化が進んだことにより企業活動・個人消費行動に持ち直しがみられ、大手企業から先行して雇用・所得環境の改善が進んでいることから緩やかな回復が続くことが期待されています。一方、ロシアのウクライナ侵攻等による原材料・エネルギー価格の上昇や円安による輸入価格の上昇は国内物価を上昇させ、家計・企業の活動に影響を与えています。
このような状況の中、当社グループは、前連結会計年度に達成した「売上成長カーブを変える」を継続しながら、2024年5月期では「利益成長カーブも変える」を最大のミッションと位置付け、中期経営計画(2022年5月期~2025年5月期)に掲げた最終年度の業績目標達成に向け、取扱い商品数の拡大に加え、BtoB事業での積極的な広告費・販促費の投下、本格稼働した新アスクルWEBサイトへのお客様の移行等、当社グループの成長に繋がる積極的な施策を進めております。
また、当社は「エシカルeコマース」の実現を目指していることから、いわゆる「物流2024年問題」解決の一助となるべく、BtoB事業のASKULおよびソロエルアリーナの2023年10月31日18時以降のご注文分から、配送バー(注1)を変更しております。お客様にまとめてご注文いただくことで、サプライチェーン全体における環境負荷・労働負荷低減を進め、サステナブルな社会の実現に向けた取り組みも進めております。
この結果、当第3四半期連結累計期間の当社グループの業績は、売上高3,500億63百万円(前年同期比4.7%増)、営業利益124億93百万円(前年同期比20.6%増)、経常利益122億90百万円(前年同期比19.7%増)、「ALP首都圏」火災に係る損害賠償請求訴訟の判決確定により受取損害賠償金117億7百万円を特別利益に計上したことで親会社株主に帰属する四半期純利益161億46百万円(前年同期比127.6%増)となり、第3四半期連結累計期間としては、売上高、営業利益、経常利益および親会社株主に帰属する四半期純利益いずれも過去最高となりました。
セグメント別の経営成績につきましては、以下のとおりです。
<eコマース事業>
当社グループの主力分野であるBtoB事業につきましては、仕事場で働く全てのお客様のご要望にお応えすべく、飲料、日用消耗品等の生活用品商材、抗原検査キット等の新型コロナウイルス感染症関連商材、袋・梱包資材等のMRO(注2)商材など、幅広く商品を取り揃えております。新型コロナウイルス感染症関連商材については、新型コロナウイルス感染症対策の落ち着きにより、抗原検査キット、消毒剤等の売上高が減少しましたが、ペットボトル飲料や日用消耗品等の生活用品の売上高が順調に増加しました。新型コロナウイルス感染症関連商材の特需の減少やご注文数の計画未達等の影響はあるものの、主力商品の一部の価格改定等による購入単価の上昇や2022年7月の新アスクルWEBサイト構築に関連する一部機能(中堅大企業向けのWEBサイトであるソロエルアリーナサイトのオープン化)のリリースの効果等により、当社サービスによる中小企業向け、中堅大企業向け売上高は、ともに増加しております。2023年7月に本格稼働した新アスクルWEBサイトへのお客様の移行は、当第3四半期連結会計期間末で約3割が完了しており、2024年8月までに全ての移行が完了するように進めてまいります。
また、前連結会計年度末に連結子会社化した株式会社AP67の事業子会社であるフィード株式会社等の業績が当第3四半期連結累計期間を通じて寄与したことや、連結子会社である株式会社アルファパーチェスの業績が順調であることが、売上高の成長に貢献しております。
この結果、BtoB事業の売上高は、前年同期比で263億2百万円増収の3,039億10百万円(前年同期比9.5%増)となりました。
BtoC事業につきましては、当第3四半期連結累計期間の売上高は、LINEヤフー株式会社(旧Zホールディングス株式会社)のコマース事業のコスト最適化によるキャンペーン変更も影響し、減収となりましたが、概ね計画通り進捗しました。2023年10月に「LOHACO by ASKUL(LOHACO本店)」と「LOHACO Yahoo!店」を統合し、両店舗の特長を結集した形で Yahoo!ショッピング店内にてリニューアルオープンしており、第4四半期においてはLINEヤフー株式会社と連携した販促施策や商材拡大等により「LOHACO」の売上高再成長を進めてまいります。
この結果、「LOHACO」の売上高は、前年同期比で100億54百万円減収の263億68百万円(前年同期比27.6%減)となり、BtoC事業合計で、前年同期比で101億61百万円減収の393億4百万円(前年同期比20.5%減)となりました。
以上の結果、両事業を合計したeコマース事業の売上高は3,432億15百万円(前年同期比4.9%増)となりました。
売上総利益は、生活用品の売上高の増加や一部商品の価格改定等により売上総利益率が改善し、867億71百万円(前年同期比8.5%増)と大幅な増益となりました。
販売費及び一般管理費は、主力商品の一部の価格改定や配送バーの変更によるお客様のまとめ買いが進んだ影響等により、一箱あたり売上単価が上昇し、売上高配送費比率が減少しました。一方で、投資を行ってきた新アスクルWEBサイトや「ASKUL東京DC」の稼働によりソフトウエア償却費や減価償却費が増加し、また、当連結会計年度の重点施策の一つとして、BtoB事業のサービス名称や戦略商材の取扱い認知度向上を目的としたテレビCMの実施とそれと連携したインターネット広告出稿の増加等により、売上高販管費比率が前年同期比0.4ポイント増加しました。以上の結果、販売費及び一般管理費は741億70百万円(前年同期比6.8%増)となり、営業利益は126億1百万円(前年同期比19.6%増)となりました。
<ロジスティクス事業>
ASKUL LOGIST株式会社の当社グループ外の物流業務受託の売上高は概ね前年同期と同水準で推移しました。価格改定等により収益性は改善しており、当第3四半期連結会計期間(3か月)においては営業損失から営業利益への転換を達成しております。
この結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は62億65百万円(前年同期比2.3%減)、営業損失は1億15百万円(前年同期は営業損失1億95百万円)となっております。
<その他>
嬬恋銘水株式会社での飲料水の販売が上期において堅調に推移したものの、製造ラインの一時的な不具合等により製造数量および販売数量が減少し、減収減益となりました。
この結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は14億6百万円(前年同期比7.0%減)、営業利益は24百万円(前年同期比44.3%減)となっております。
(注) 1 基本配送料を当社が負担する注文金額基準。
2 Maintenance, Repair and Operationsの頭文字をとった略称で、工場・建設現場・倉庫等で使用される消耗品・補修用品等の間接材全般を指します。
②財政状態の状況
(資産の部)
当第3四半期連結会計期間末における総資産は2,332億17百万円となり、前連結会計年度末と比べ57億10百万円増加いたしました。これは主に、「ALP首都圏」火災に係る損害賠償請求訴訟の判決確定に伴い未収入金が138億71百万円、増収により受取手形、売掛金及び契約資産が35億49百万円増加した一方、前連結会計年度末日が金融機関の休日であったため、決済日が連結会計年度末日である電子記録債務84億44百万円が前連結会計年度末残高に含まれていたこと等により現金及び預金が79億76百万円減少したことによるものであります。
(負債の部)
当第3四半期連結会計期間末における負債は1,532億48百万円となり、前連結会計年度末と比べ73億82百万円減少いたしました。これは主に、電子記録債務が107億84百万円が減少した一方、支払手形及び買掛金が60億61百万円増加したことによるものであります。
(純資産の部)
当第3四半期連結会計期間末における純資産は799億69百万円となり、前連結会計年度末と比べ130億92百万円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純利益161億46百万円の計上に対し、配当金の支払いが35億9百万円あったことにより、利益剰余金が126億37百万円増加したことによるものであります。
以上の結果、自己資本比率は33.0%(前連結会計年度末は28.2%)となりました。
(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(3) 研究開発活動
該当事項はありません。
(4) 主要な設備
当社は、2023年12月6日開催の取締役会において、新設物流センターへの設備投資を決議いたしました。
内容は以下のとおりであります。
(注)完成後の増加能力についての記載は困難なため、省略しております。