日清食品ホールディングス株式会社

ブランドなど:カップヌードルチキンラーメン
食料品食品製造プライムTOPIX Mid400

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E00457 IFRS

売上高

6,692.5億 円

前期

5,697.2億 円

前期比

117.5%

時価総額

1.28兆 円

株価

4,140 (04/26)

発行済株式数

308,584,500

EPS(実績)

145.05 円

PER(実績)

28.54 倍

平均給与

790.2万 円

前期

782.0万 円

前期比

101.0%

平均年齢(勤続年数)

40.5歳(11.2年)

従業員数

767人(連結:15,227人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

 当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、持株会社制を採っており、即席めんを主とするインスタント食品の製造及び販売を中核として、その他食品事業、物流業等の周辺事業への展開を図っております。

 海外においても、現地子会社及び関連会社による即席めん等の製造・販売やこれら現地法人に対する技術援助などにより業域を拡大しております。

 以上についての概要図は次のとおりであります。

※画像省略しています。

 

 なお、当社は特定上場会社等であります。特定上場会社等に該当することにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することになります。

23/06/28

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

    文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社グループが判断したものであります。

 

  (1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響長期化に加え、地政学的リスクの高まり・インフレや政策金利の引き上げ・金融不安の拡大などの要因により、大きな影響を受けました。国内においても、約32年ぶりの円安水準や資源価格の高騰に伴う消費者物価指数の上昇など、先行きが不透明な状況が継続し、消費者の動向にも変化が生じています。

 かかる環境下、即席めん業界においては、原材料価格の高騰を中心とした不安定要因があったものの、新型コロナウイルス感染症の期間を通じて生じた生活様式・働き方の変化と相まって、インフレ的な環境下においても、即席めんの簡便性・利便性や相対的な価格の手頃感、そしてタイムパフォーマンスに優れている点などの商品価値が世界的に評価され、多くの地域で需要が増加し、世界総需要は過去最高となりました。

 こうした中で、当社グループは、2030年に向けた「中長期成長戦略2030」で掲げたビジョンの実現と持続的成長に向け、成長戦略テーマである①既存事業のキャッシュ創出力強化、②EARTH FOOD CHALLENGE 2030、③新規事業の推進に取り組んでおります。

 

a. 財政状態

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ249億50百万円増加し、7,083億74百万円となりました。

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ15億91百万円増加し、2,404億24百万円となりました。

 当連結会計年度末の資本合計は、前連結会計年度末に比べ233億59百万円増加し、4,679億49百万円となりました。

 なお、詳細につきましては「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載しております。

 

b. 経営成績

 当連結会計年度の経営成績は、売上収益では前期比17.5%増の6,692億48百万円となりました。利益面では、既存事業コア営業利益(注1)は前期比21.5%増の601億92百万円、営業利益は前期比19.4%増の556億36百万円、税引前利益は前期比17.8%増の579億50百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は前期比26.4%増の447億60百万円となりました。

 また、為替変動による影響を除くと、売上収益では前期比10.9%増の6,316億62百万円、既存事業コア営業利益は前期比13.1%増の560億68百万円となりました。(注2)

 なお、詳細につきましては「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載しております。

 

(注1)既存事業コア営業利益とは、営業利益から新規事業にかかる損益および非経常損益としての「その他収支」

を控除したものであり、中長期成長戦略上、2022年3月期以降、積極的かつ継続的な先行投資を予定する新規

事業にかかる損益を分離し、その成長投資の基盤となる既存事業の実質的な成長を測定することを目的に採用

している指標であります。

(注2)2023年3月期の外貨金額を、前期の為替レートで円換算して比較しております。

 

     <連結業績>

 

 

 

(単位:百万円)

区分

前連結会計年度

当連結会計年度

前期比

自 2021年4月1日

至 2022年3月31日

自 2022年4月1日

至 2023年3月31日

金額

売上収益

569,722

669,248

99,526

17.5

既存事業コア営業利益

49,559

60,192

10,633

21.5

営業利益

46,614

55,636

9,022

19.4

税引前利益

49,182

57,950

8,767

17.8

親会社の所有者に

帰属する当期利益

35,412

44,760

9,347

26.4

 

   報告セグメント別の経営成績は次のとおりであります。

 なお、当連結会計年度より、従来、「調整額」に含めて記載していた「新規事業」について、「その他」に含めて記載する方法に変更しております。

 以下の前期比較は前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。

  (日清食品)

 日清食品㈱の販売状況は、カップめん類、袋めん類が売上を伸ばし、前期比で増収となりました。カップめん類では、2023年2月に発売した鶏のうまみをしっかりときかせた“コク旨”な鶏塩スープの「カップヌードル ねぎ塩」が大きく売上に貢献しました。また、「カップヌードル」のおいしさはそのままに塩分を30%カットするとともに、1日分のカルシウムとビタミンDを配合した2023年3月新発売の「カップヌードル 塩分控えめPRO 1日分のカルシウム&ビタミンD」をはじめ、「カップヌードルPRO」シリーズが順調に推移し、前期比で増収となりました。袋めん類では、2022年7月に発売を再開した“そのままかじる用”に新開発された「0秒チキンラーメン」、2022年9月にリニューアルした「日清これ絶対うまいやつ♪」シリーズ、おかずに、おやつに、お夜食にちょうどいい「お椀で食べる」シリーズが好調に推移し、前期比で増収となりました。カップライス類は、「日清カレーメシ」シリーズが引き続き好調で売上に貢献し増収となりました。

 利益面では、売上の増加による利益の増加がありましたが、原材料価格の上昇等により減益となりました。

 この結果、報告セグメントにおける日清食品の売上収益は、前期比4.5%増の2,202億4百万円、コア営業利益(注3)は、前期比13.2%減の265億54百万円、営業利益は、前期比13.1%減の267億95百万円となりました。

 

  (明星食品)

明星食品㈱の販売状況は、“全麺改良”をテーマに主要ブランドからプレミアム商品、バリュー商品まで商品価値向上を推進し、前期比で増収となりました。

カップめん類では、「明星 濃いぜ!一平ちゃんBIG」が貢献したほか、麺にねり込むソース量を増量し、香ばしさをアップした「明星 一平ちゃん夜店の焼そば」が好調でした。また、“アレンジして楽しめる一杯”として2022年9月に新発売した「でっせ」シリーズや、2022年7月にリニューアルした「明星 至極の一杯」シリーズなどバリュー商品も好調で、前期比で増収となりました。

袋めん類では、ホッとする味わいを訴求した「明星 チャルメラ」が、幅広い層から支持を得ている“ちいかわ”とのコラボパッケージの好評もあり売上を伸ばし、前期比で増収となりました。

利益面では売上の増加による利益の増加がありましたが原材料価格の上昇等により前期比で減益となりました

この結果、報告セグメントにおける明星食品の売上収益は、前期比6.8%増の405億11百万円、コア営業利益(注3)は、前期比3.9%減の23億13百万円、営業利益は、前期比2.9%減の23億73百万円となりました。

 

  (低温・飲料事業)

チルド事業は、「麺の達人」や「スープの達人」が伸長したほか、「日清焼うどん」や冷しめん類等が堅調に推移しました。一方、市場環境の変化等によりラーメン群全体では販売減となり前期比で減収となりました。利益面では、エネルギー費・原材料費の高騰により前期比で減益となりました。

冷凍事業は、ラーメン類では「冷凍 日清ごくり。」、「冷凍 日清本麺」、パスタ類では「冷凍 日清スパ王プレミアム」の各シリーズの売上が堅調に推移し、前期比で増収となりました。利益面では、原価率の上昇により前期比で減益となりました。

飲料事業は、日清ヨーク㈱の「ピルクル400」シリーズや「十勝のむヨーグルト」シリーズが好調に推移、更に2022年9月に発売した“睡眠の質を改善し、疲労感を軽減する”「ピルクル ミラクルケア」がプラスオンとなり、前期比で増収となりました。利益面では、エネルギー費・原材料費の高騰がありましたが、増収により吸収し、前期比で増益となりました。

この結果、報告セグメントにおける低温・飲料事業の売上収益は、前期比7.4%増の868億38百万円、コア営業利益(注3)は、前期比20.0%増の39億23百万円、営業利益は、前期比12.9%増の38億90百万円となりました。

 

  (菓子事業)

 菓子事業では、日清シスコ㈱は菓子の販売が堅調に推移したものの、シリアルの販売の伸び悩みや原材料高騰等により、前期比で減収減益となりました。ぼんち㈱は「ピーナツあげ」や「辛子明太子大型揚せん」をはじめとした主力商品が好調に推移しましたが、原材料高騰等の影響により、前期比で増収減益となりました。また、㈱湖池屋においては高付加価値戦略を着実に推進するとともに、主力商品の「湖池屋ポテトチップス」シリーズやリニューアルをした「スコーン」を中心に販売が拡大し、前期比で増収となりました。利益面では、海外における急激な原材料高騰等がありましたが、国内において順次実施している価格改定が奏功し、前期比で増益となりました。

 この結果、報告セグメントにおける菓子事業の売上収益は、前期比7.3%増の740億57百万円、コア営業利益(注3)は、前期比10.1%減の28億40百万円、営業利益は、前期比15.0%減の27億68百万円となりました。

 

  (米州地域)

 米州地域においては、既存商品の収益力向上に加え、新たな需要の創造に向けた付加価値商品の提案強化や導入推進に取り組んでおります。

 売上については、インフレや資材価格高騰等に伴い価格改定を実施し、価格浸透を図りつつ各国の戦略を着実に実行しております。ブラジルでは積極的な営業・マーケティング施策の連動により主力商品「Nissin Lamen」や「CUP NOODLES」の堅調な売上に加え、新商品「U.F.O.」の販売開始も売上増に貢献しました。米国においても、引き続き高い即席めん需要が続く中、価格改定の実施・浸透や差別優位性を明確にした付加価値商品の販売好調に加え、普及価格帯商品の堅調な推移により、セグメント全体で増収となりました。

 利益については、主要原材料の高騰がありましたが、価格改定による販売単価増の増収効果、高価格帯商品の販売食数増、為替影響等によりセグメント全体で増益となりました。

 この結果、報告セグメントにおける米州地域の売上収益は、前期比60.4%増の1,400億42百万円、コア営業利益(注3)は、前期比324.2%増の124億97百万円、営業利益は、前期比316.7%増の124億83百万円となりました。

 なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は、前期比31.1%増の1,145億29百万円となり、コア営業利益は、前期比247.0%増の102億23百万円となりました。(注4)

 

  (中国地域)

 中国地域においては、中国大陸での高付加価値商品市場が拡大しており、販売エリア拡大と中国版カップヌードル「合味道」のブランド強化に取り組んでおります。売上については、即席めんの価格改定影響により前期比で増収となりました。利益については、原材料費の上昇を売上増により吸収し、前期比で増益となりました。なお、対円での現地通貨高についても、売上、利益ともにポジティブな影響となりました

 この結果、報告セグメントにおける中国地域の売上収益は、前期比19.2%増の661億28百万円、コア営業利益(注3)は、前期比27.5%増の78億36百万円、営業利益は、前期比39.4%増の84億21百万円となりました。

 なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は、前期比3.5%増の574億2百万円となり、コア営業利益は、前期比11.2%増の68億35百万円となりました。(注4)

 

 また、報告セグメントに含まれない事業セグメントである国内のその他事業並びに欧州地域、アジア地域、新規事業を含んだ「その他」の売上収益は、前期比46.5%増の414億64百万円となり、コア営業利益(注3)は、前期比62.4%増の56億25百万円、営業利益は、前期比71.8%増の53億32百万円となりました。

 なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は、前期比34.6%増の381億19百万円となり、コア営業利益は、前期比37.9%増の47億77百万円となりました。(注4)

 

(注3)コア営業利益とは、営業利益から非経常損益としての「その他収支」を控除したものであります。

(注4)2023年3月期の外貨金額を、前期の為替レートで円換算して比較しております。

 

     <報告セグメントの売上収益及びセグメント利益>

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

報告セグメント

売上収益

前期比

セグメント利益

前期比

2022年3月期

2023年3月期

2022年3月期

2023年3月期

日清食品

210,783

220,204

9,421

30,839

26,795

△4,043

明星食品

37,920

40,511

2,590

2,445

2,373

△71

低温・飲料事業

80,867

86,838

5,971

3,444

3,890

445

菓子事業

69,031

74,057

5,026

3,257

2,768

△488

米州地域

87,328

140,042

52,713

2,995

12,483

9,487

中国地域

55,478

66,128

10,650

6,039

8,421

2,382

そ の 他

28,312

41,464

13,152

3,103

5,332

2,229

合  計

569,722

669,248

99,526

52,124

62,065

9,940

(注)セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、資金という。)は、873億88百万円となり、前連結会計年度末に比べ146億17百万円の減少となりました。当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

 

 

(単位:百万円)

区分

前連結会計年度

当連結会計年度

前期比

自 2021年4月1日

至 2022年3月31日

自 2022年4月1日

至 2023年3月31日

営業活動によるキャッシュ・フロー

52,936

64,809

11,873

投資活動によるキャッシュ・フロー

△3,468

△32,057

△28,588

財務活動によるキャッシュ・フロー

△44,449

△47,676

△3,226

現金及び現金同等物に係る換算差額

6,692

306

△6,386

現金及び現金同等物の増減額(△は減少)

11,711

△14,617

△26,328

現金及び現金同等物の期首残高

90,294

102,005

11,711

現金及び現金同等物の期末残高

102,005

87,388

△14,617

 

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動による資金の増加は648億9百万円(前期比118億73百万円の資金の増加)となりました。これは主に税引前利益579億50百万円、減価償却費291億98百万円に対して、法人所得税の支払額が131億58百万円、運転資金等の増加が76億44百万円となったことによるものであります。

 

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動による資金の減少は320億57百万円(前期比285億88百万円の資金の減少)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出が252億79百万円、投資の取得による支出が105億54百万円となったことによるものであります。

 

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動による資金の減少は476億76百万円(前期比32億26百万円の資金の減少)となりました。これは主に配当金の支払額が127億33百万円、自己株式の取得による支出が98億12百万円、長期借入金の返済による支出が86億75百万円、連結範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出が82億53百万円となったことによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2022年4月1日

  至 2023年3月31日)

 前期比(%)

 

日清食品(百万円)

159,879

13.8

 

明星食品(百万円)

28,844

8.5

 

低温・飲料事業(百万円)

49,955

8.9

 

菓子事業(百万円)

78,589

11.9

 

米州地域(百万円)

101,982

53.4

 

中国地域(百万円)

43,795

17.9

 

報告セグメント計(百万円)

463,047

19.7

 

その他(百万円)

26,875

43.8

合計(百万円)

489,922

20.8

 (注)1 米州地域が大きく増加したのは、好調な製品販売及び製造コストの上昇等に伴う増加のほか、為替変動の影響を受けたものであります。

    2 セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

b. 受注実績

 重要な受注生産は行っておりませんので、記載を省略しております。

 

c. 販売実績

    当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2022年4月1日

  至 2023年3月31日)

 前期比(%)

 

日清食品(百万円)

220,204

4.5

 

明星食品(百万円)

40,511

6.8

 

低温・飲料事業(百万円)

86,838

7.4

 

菓子事業(百万円)

74,057

7.3

 

米州地域(百万円)

140,042

60.4

 

中国地域(百万円)

66,128

19.2

 

報告セグメント計(百万円)

627,783

16.0

 

その他(百万円)

41,464

46.5

合計(百万円)

669,248

17.5

 

 (注)1 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

 相手先

 前連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

 当連結会計年度

(自 2022年4月1日

  至 2023年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

三菱食品㈱

75,589

13.3

81,654

12.2

2 米州地域が大きく増加したのは、価格改定及び高付加価値製品の販売が好調であることに加えて、為替変動の影響を受けたものであります。

3 セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

  (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務諸表規則」という。)第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。

 なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計方針 5.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 経営成績

 当連結会計年度の売上収益は、前期比17.5%増の6,692億48百万円となりました。

 国内即席めん事業においては、価格改定の影響により増収となりました。

 国内非即席めん事業においては、高付加価値製品が好調に推移していることに加えて価格改定の影響もあり、増収となりました。

 海外事業においては、価格改定による販売単価増や高付加価値商品の販売強化のほか、為替変動もポジティブな影響をもたらしたことで各地域において増収となりました。

 

 

 当連結会計年度の既存事業コア営業利益は、前期比21.5%増の601億92百万円となり、また当連結会計年度の営業利益は、前期比19.4%増の556億36百万円となりました。

 国内即席めん事業においては、価格改定による増収効果がありましたが、原材料・包材・エネルギーコスト上昇の影響により減益となりました。

 国内非即席めん事業においては、日清ヨーク㈱や㈱湖池屋が貢献し、増益となりました。

 海外においては、資材価格高騰の影響を価格改定、高付加価値製品の販売増により吸収し、さらにPremier Foods plcに対する株式投資について当連結会計年度より持分法を適用していることもあり、増益となりました。

 

 当連結会計年度の税引前利益は、前期比17.8%増の579億50百万円となり、また当連結会計年度の親会社の所有者に帰属する当期利益は、前期比26.4%増の447億60百万円となりました。これらは主に、営業利益の増加によるものであります。

 

 なお、当社グループの経営に影響を与える主な要因は、「第2[事業の状況]3[事業等のリスク]」に記載しております。

 

b. 資本の財源及び資金の流動性

(キャッシュ・フローの状況)

 キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2[事業の状況]4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

(資金の需要と調達)

 営業活動により獲得したキャッシュ・フローは、企業価値向上に資する各種投資および配当を中心とする株主還元に優先的に配分を行っておりますが、一時的に資金が不足する場合には、必要に応じて、金融機関からの調達および保有資産の売却等によりキャッシュ・フローの確保を行っております。

 

 

(資金の流動性)

 当社グループは、従来より営業活動により安定したキャッシュ・フローを得ており、今後も引き続き資金源になると見込んでいることに加え、主要な国内金融機関に対して、アンコミットメントベースの融資枠を設定しております。また、当社及び主要な国内連結子会社における余剰資金の一元管理を図り、資金効率の向上と金融費用の削減を目的として、CMS(キャッシュマネジメントシステム)を導入しております。

 

c. 財政状態

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ249億50百万円増加し、7,083億74百万円となりました。

 これは主に非流動資産のその他の金融資産が340億85百万円、現金及び現金同等物が146億17百万円減少した一方、持分法で会計処理されている投資が435億32百万円、営業債権及びその他の債権が118億83百万円、棚卸資産が95億49百万円、有形固定資産が53億32百万円増加したことによるものであります。

 

 負債は、前連結会計年度末に比べ15億91百万円増加し、2,404億24百万円となりました。これは主に非流動負債の借入金が84億円、繰延税金負債が49億28百万円減少した一方、営業債務及びその他の債務が170億95百万円増加したことによるものであります。

 

 資本は、前連結会計年度末に比べ233億59百万円増加し、4,679億49百万円となりました。これは主にその他の資本の構成要素が112億18百万円、資本剰余金が62億77百万円減少した一方、利益剰余金が398億65百万円増加したことによるものであります。

 これらの結果、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末の59.6%から60.8%となり、1.1ポイント増加しました。

 

d. 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、2030年に向けた「中長期成長戦略2030」を策定いたしました。

 ビジョンの実現と持続的成長に向け、成長戦略テーマである①既存事業のキャッシュ創出力強化、②EARTH FOOD CHALLENGE 2030、③新規事業の推進に取り組んでおります。

 「中長期成長戦略2030」では、持続的な利益成長に加え、効率的な資本活用、安全性ある負債活用、そして安定的な株主還元の4つをCSV経営上の中長期的経済価値ターゲットとして掲げ、非財務目標との同時実現を追求してまいります。「中長期成長戦略2030」の2022年度の実績数値は下表のとおりです。

 

価値区分

経営指標

中長期的目標

2023年3月期実績

(※直近実績)

財務

成長性

既存事業コア営業利益(注1)

CAGR

1桁台半ば

19.9%

効率性

ROE

長期的に10%

10.7%

安全性

純有利子負債/EBITDA倍率

≦2倍

△0.4倍

安定的株主還元

配当政策

累進的配当

1株当たり140円

(2022年3月期:130円)

相対TSR(TOPIX食料品対比)(注2)

>1倍

1.13倍

非財務

(注3)

有限資源の

有効活用

持続可能なパーム油の調達比率(注4)

100%

37.7%

(注6)

水使用量(IFRS売上100万円あたり)

12.3㎥以下

10.5㎥

(注6)

流通廃棄物削減率(2015年度対比/日本国内)

△50%

△47.1%

(注7)

気候変動

インパクトの

軽減

CO₂排出削減(Scope1+2) (2018年対比)(注5)

△30%

△4.0%

(注6)

CO₂排出削減(Scope3)(2018年対比)(注5)

△15%

0.4%

(注6)

(注)1 IFRS上の営業利益から、積極的な先行投資を予定する「新規事業に係る損益」および非経

     常損益としての「その他収支」を控除したNon-GAAPの重要経営管理指標

   2 相対TSR(TOPIX食料品対比)は、以下の算定式に基づき算出

      ※画像省略しています。

A:当事業年度の3事業年度前の1月~3月における3か月間の当社株式の終値平均

B:当事業年度の1月~3月における3か月間の当社株式の終値平均

C:当事業年度を含む過去3事業年度における1株当たり配当額の累計

D:当事業年度の3事業年度前の1月~3月における3か月間のTOPIX食料品(配当 込み)の終値平均

E:当事業年度の1月~3月における3か月間のTOPIX食料品(配当込み)の終値平均

   3 非財務目標については、2030年度の目標値

   4 外部認証の活用および独自アセスメントによる

   5 2023年5月にCO₂排出削減の目標値をScope1+2 △42%(2020年対比)、Scope3 △25%

     (2020年対比)に上方修正

   6 2022年実績

   7 2021年度実績