株式会社セブン&アイ・ホールディングス

ブランドなど:セブンイレブンイトーヨーカドーアリオ赤ちゃん本舗デニーズそごう西武ヨークベニマルセブン銀行
小売業コンビニプライムTOPIX Core30

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E03462 Japan GAAP

売上高

11.5兆 円

前期

11.8兆 円

前期比

97.1%

時価総額

5.40兆 円

株価

2,050 (04/25)

発行済株式数

2,633,226,549

EPS(実績)

85.30 円

PER(実績)

24.03 倍

平均給与

776.3万 円

前期

738.9万 円

前期比

105.1%

平均年齢(勤続年数)

43.3歳(15.3年)

従業員数

1,017人(連結:84,154人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

当社グループは、当社を純粋持株会社とする190社(当社を含む)によって形成される、流通業を中心とする企業グループであり、主として国内コンビニエンスストア事業、海外コンビニエンスストア事業、スーパーストア事業、百貨店・専門店事業及び金融関連事業を行っております。

 各種事業内容と主な会社名及び会社数は次のとおりであり、当区分は報告セグメントの区分と一致しております。

 なお、当社は特定上場会社等であります。特定上場会社等に該当することにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することになります。

事業内容等

主な会社名

会社数

国内コンビニエンスストア事業(9社)

株式会社セブン-イレブン・ジャパン

株式会社セブン-イレブン・沖縄

株式会社セブンドリーム・ドットコム

株式会社セブンネットショッピング

株式会社セブン・ミールサービス、タワーベーカリー株式会社*1

 

連結子会社

5社

関連会社

4社

9社

 

海外コンビニエンスストア事業(106社)

7-Eleven, Inc.

SEJ Asset Management & Investment Company

SEI Speedway Holdings, LLC、Speedway LLC

7-Eleven International LLC

SEVEN-ELEVEN HAWAII, INC.

セブン-イレブン(中国)投資有限公司

セブン-イレブン北京有限公司、セブン-イレブン成都有限公司

セブン-イレブン天津有限公司、山東衆邸便利生活有限公司*1

 

連結子会社

102社

関連会社

4社

106社

 

スーパーストア事業

(21社)

株式会社イトーヨーカ堂、株式会社ヨークベニマル

株式会社ヨーク、株式会社シェルガーデン、株式会社丸大

株式会社サンエー、株式会社ヨーク警備、アイワイフーズ株式会社

株式会社セブンファーム、株式会社Peace Deli

イトーヨーカ堂(中国)投資有限公司

華糖洋華堂商業有限公司、成都伊藤洋華堂有限公司

株式会社天満屋ストア*1、株式会社ダイイチ*1

 

連結子会社

16社

関連会社

5社

21社

 

百貨店・専門店事業

(27社)

株式会社そごう・西武、株式会社池袋ショッピングパーク

株式会社ごっつお便、株式会社地域冷暖房千葉

株式会社赤ちゃん本舗、株式会社バーニーズジャパン*2

株式会社セブン&アイ・フードシステムズ、株式会社ロフト

株式会社ニッセンホールディングス、株式会社ニッセン

株式会社SCORE、株式会社マロンスタイル

株式会社Francfranc*1、タワーレコード株式会社*1

ニッセン・クレジットサービス株式会社*1

 

連結子会社

21社

関連会社

6社

27社

 

金融関連事業(16社)

株式会社セブン銀行、株式会社セブン・フィナンシャルサービス

株式会社セブン・カードサービス

株式会社セブンCSカードサービス

株式会社バンク・ビジネスファクトリー

株式会社セブン・ペイメントサービス

FCTI, Inc.、TORANOTEC株式会社*1

 

連結子会社

関連会社

14社

2社

16社

 

その他の事業(9社)

株式会社セブン&アイ・クリエイトリンク

株式会社セブン&アイ・ネットメディア

株式会社セブンカルチャーネットワーク

株式会社八ヶ岳高原ロッジ、株式会社テルべ、アイング株式会社*1

ぴあ株式会社*1

 

連結子会社

6社

関連会社

3社

9社

 

全社

(1社)

株式会社セブン&アイ・フィナンシャルセンター

 

連結子会社

1社

 

(注)*1 上表主な会社名欄に掲げられているタワーベーカリー株式会社、山東衆邸便利生活有限公司、株式会社天満屋ストア、株式会社ダイイチ、株式会社Francfranc、タワーレコード株式会社、ニッセン・クレジットサービス株式会社、TORANOTEC株式会社、アイング株式会社及びぴあ株式会社は関連会社であります。

*2 株式会社バーニーズジャパンは、2023年5月1日付の株式譲渡により、当社の連結の範囲から除外しております。

 

 事業の系統は概ね次の図のとおりであります。

※画像省略しています。

(注)1 コンビニエンスストア加盟店は、株式会社セブン‐イレブン・ジャパン、株式会社セブン‐イレブン・沖縄、7-Eleven, Inc. 、セブン‐イレブン北京有限公司、セブン‐イレブン成都有限公司及びセブン‐イレブン天津有限公司と加盟店基本契約を締結している独立した事業体であります。

2 株式会社セブン銀行は2023年2月末時点で、グループ各店を中心に26,889台のATMを設置しております。

23/05/26

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の概要

① 経営成績

当連結会計年度における国内経済は、新型コロナウイルス感染症拡大への警戒が続く中、感染防止と経済活動の両立を目指し、まん延防止等重点措置等の行動制限が無かったことから個人消費を中心に持ち直しの動きが見られました。しかしながら、ウクライナ情勢等による不透明感に加え急激な円安の進行から、エネルギーコストや原材料価格の高騰による物価上昇の家計への影響、供給面での制約等に注意が必要な状況で推移いたしました。

北米経済においては、歴史的な高インフレが続く中、政策金利の引き上げ等の影響も加わり個人消費の減速が見られました。また、労働力不足や物流障害に伴う供給制約等が、実体経済に影響を及ぼしました。

このような環境の中、当社グループは新たな取締役会・ガバナンス体制の下、事業毎の効率性・成長性を踏まえながらグループ企業価値向上に資する戦略的取り組みに関する議論を進め、当該議論を踏まえたグループ戦略再評価の結果を2023年3月9日に公表し、2030年に目指すグループ像を「セブン-イレブン事業を核としたグローバル成長戦略と、テクノロジーの積極活用を通じて流通革新を主導する、「食」を中心とした世界トップクラスのリテールグループ」といたしました。また、事業ポートフォリオの考え方に基づき、当社が保有する株式会社そごう・西武の発行済株式の全部をFortress Investment Group LLCの関連事業体たる特別目的会社である杉合同会社へ譲渡する契約を締結し、実行に向けて協議を重ねています。今後もグループ戦略再評価の結果及びアップデートされた「中期経営計画2021‐2025」に基づいた中長期的な企業価値創造と持続的成長の具現化に傾注してまいります。

これらの結果、当連結会計年度における当社の連結業績は以下のとおりとなりました。

なお、2023年2月期より収益認識会計基準等を適用しております。

 

 

 

(単位:百万円)

 

2022年2月期

2023年2月期

 

前年同期比

 

前年同期比

総額営業収益(参考値)

12,496,004

142.8%

営業収益

8,749,752

151.7%

11,811,303

135.0%

営業利益

387,653

105.8%

506,521

130.7%

経常利益

358,571

100.3%

475,887

132.7%

親会社株主に帰属する当期純利益

210,774

117.6%

280,976

133.3%

※従前の計上方法による営業収益は「総額営業収益(参考値)」として記載しております。

 

(中期経営計画2021-2025 主な連結財務指標)

(単位:百万円)

 

2022年2月期

2023年2月期

 

前年同期比

 

前年同期比

EBITDA

751,491

119.9%

995,319

132.4%

営業キャッシュ・フロー(除く金融)

630,807

138.1%

832,804

132.0%

フリーキャッシュ・フロー水準(除く金融)

279,597

211.7%

474,055

169.5%

ROE(%)

7.5

8.7

ROIC(除く金融)(%)

4.8

5.2

Debt/EBITDA倍率(倍)

3.9

3.0

1株当たり当期純利益(EPS)(円)

238.68

117.6%

318.14

133.3%

 

為替レート(損益計算書)

U.S.$1=109.90円

U.S.$1=131.62円

1元=17.04円

1元=19.50円

為替レート(貸借対照表)

U.S.$1=115.02円

U.S.$1=132.70円

1元=18.06円

1元=19.01円

※営業キャッシュ・フロー(除く金融)は、金融事業を除くNOPATをベースとした管理会計数値。

フリーキャッシュ・フロー水準(除く金融)は、金融事業を除く管理会計ベース数値。

なお、M&Aは戦略投資として投資キャッシュ・フローからは除外して算出。

ROIC(除く金融)は、{純利益+支払利息×(1-実効税率)}/{自己資本+有利子負債(ともに期首期末平均)}にて算出。

 

なお、株式会社セブン‐イレブン・ジャパン、株式会社セブン‐イレブン・沖縄及び7-Eleven, Inc.における加盟店売上を含めた「グループ売上」は、17,842,688百万円(前年同期比125.3%)となりました。また、当連結会計年度における為替レート変動に伴い、営業収益は14,656億円、営業利益は475億円増加しております。

 

当連結会計年度における事業部門別の営業概況は以下のとおりです。

 

(セグメント別営業収益)

 

 

 

(単位:百万円)

 

2022年2月期

2023年2月期

 

前年同期比

 

前年同期比

国内コンビニエンスストア事業

873,239

101.7%

890,293

102.0%

海外コンビニエンスストア事業

5,194,327

230.5%

8,846,163

170.3%

スーパーストア事業

1,810,728

100.0%

1,449,165

80.0%

百貨店・専門店事業

712,282

104.0%

463,739

65.1%

金融関連事業

194,399

97.7%

194,295

99.9%

その他の事業

20,340

117.4%

26,044

128.0%

8,805,319

151.2%

11,869,702

134.8%

調整額(消去及び全社)

△55,567

△58,398

合 計

8,749,752

151.7%

11,811,303

135.0%

 

(セグメント別営業利益)

 

 

 

(単位:百万円)

 

2022年2月期

2023年2月期

 

前年同期比

 

前年同期比

国内コンビニエンスストア事業

223,396

95.6%

232,033

103.9%

海外コンビニエンスストア事業

159,866

162.0%

289,703

181.2%

スーパーストア事業

18,791

63.3%

12,107

64.4%

百貨店・専門店事業

△8,153

3,434

金融関連事業

37,549

78.1%

37,140

98.9%

その他の事業

△115

△466

431,334

110.0%

573,953

133.1%

調整額(消去及び全社)

△43,681

△67,432

合 計

387,653

105.8%

506,521

130.7%

 

(a)国内コンビニエンスストア事業

国内コンビニエンスストア事業における営業収益は890,293百万円(前年同期比102.0%)、営業利益は232,033百万円(同103.9%)となりました。

株式会社セブン‐イレブン・ジャパンは、新型コロナウイルス感染症の影響により小商圏化が加速し、個店ごとのお客様ニーズの違いが顕在化する中で、セブン‐イレブン店舗へ目的の商品をお求めに来店されるお客様の増加を目指し、「高付加価値商品の品揃え拡充」「取り扱いアイテム数増加を図る売場レイアウトの変更」「イベント感を演出する販売促進」の3つの施策を融合させた取り組みを継続的に実施してまいりました。また、デリバリーサービス需要の更なる高まりを受け、スマートフォンで注文された商品を最短30分で指定の場所にお届けするサービス「7NOW」は本年度時点で約3,800店舗まで取扱店舗を拡大し取り組みを強化してまいりました。

これらの取り組みに加え、当連結会計年度は、客層の幅を拡げる新たなファスト・フード商品や株式会社イトーヨーカ堂の青果ブランド「顔が見える野菜。」の取り扱い店舗拡大及び各種フェア等の積極的な販売促進策が奏功したこと、人流回復や好天に恵まれたこと等により、既存店売上は前年を上回りました。燃料費調整単価高騰による水道光熱費の増加は続いているものの、営業利益は232,873百万円(前年同期比104.4%)となりました。また、自営店と加盟店の売上を合計したチェーン全店売上は5,148,742百万円(同104.0%)となりました。

(b)海外コンビニエンスストア事業

海外コンビニエンスストア事業における営業収益は8,846,163百万円(前年同期比170.3%)、営業利益は289,703百万円(同181.2%)となりました。

北米の7-Eleven, Inc.は、米国市場での労働力不足や物流障害による供給制約等の問題が一部顕在化する中で安定した店舗運営に努め、品質及び収益性の高いオリジナル商品(フレッシュフード、専用飲料、プライベートブランド商品)の開発と販売の強化、約5,700店舗で対応しているデリバリーサービス「7NOW」の取り組み強化等の施策を積み重ねてまいりました。

当連結会計年度は、物価高騰による消費抑制の動きが見られましたが、ドルベースの米国内既存店商品売上は前年を上回り、営業利益は396,568百万円(前年同期比176.4%)となりました。また、自営店と加盟店の売上を合計したチェーン全店売上は10,442,360百万円(同161.5%)となりました。

なお、2021年5月に取得したSpeedway事業との統合に関するプロセスは順調に進捗しており、シナジー発現は当連結会計年度における当初計画値の450百万米ドルを大幅に上回り約682百万米ドルとなりました。また、コストリーダーシップ委員会を設立し抜本的なコスト構造の見直しを行っており、適正な意思決定の仕組みとコスト管理に対する意識改革等を行うことで更なる収益性改善を推進してまいります。

(c)スーパーストア事業

スーパーストア事業における営業収益は1,449,165百万円(前年同期比80.0%)、営業利益は12,107百万円(同64.4%)となりました。

総合スーパーである株式会社イトーヨーカ堂は、不採算店舗の閉鎖や人員の適正化、IT活用による生産性改善等の再成長戦略を推進してまいりました。

当連結会計年度においては、人流回復や前年の営業時間短縮及び入店者数制限の反動を主因にテナント等の売上が伸長し、テナント含む既存店売上は前年を上回りましたが、食品の荒利率悪化や燃料費調整単価高騰による水道光熱費の増加等により、営業利益は408百万円(前年同期比25.2%)となりました。

また、食品スーパーである株式会社ヨークベニマルはコロナ禍発生以降、好調に推移してきた食品売上が減少に転じたことを主因に既存店売上は前年を下回りましたが、ヨークベニマル店舗において総菜を製造、販売していた株式会社ライフフーズと2022年3月1日付で合併したこと等により商品荒利率は改善し、営業利益は18,013百万円(同122.5%)となりました。

(d)百貨店・専門店事業

百貨店・専門店事業における営業収益は463,739百万円(前年同期比65.1%)、営業利益は3,434百万円(前年同期は8,153百万円の営業損失)となりました。

百貨店においては、前年の営業時間短縮や入店者数制限からの反動による衣料品売上の回復及びラグジュアリーブランド品の販売好調等を主因に既存店売上が前年を上回りました。また、レストランにおいては前年の営業時間短縮や酒類提供制限からの反動、外食ニーズの回復等により既存店売上は改善傾向であるものの営業損失となりました。

なお、事業ポートフォリオの考え方に基づき、当社が保有する株式会社そごう・西武の発行済株式の全部をFortress Investment Group LLCの関連事業体たる特別目的会社である杉合同会社へ譲渡する契約を締結し、実行に向けて協議を重ねています。

(e)金融関連事業

金融関連事業における営業収益は194,295百万円(前年同期比99.9%)、営業利益は37,140百万円(同98.9%)となりました。

株式会社セブン銀行における当連結会計年度末時点の国内ATM設置台数は26,889台(前連結会計年度末差695台増)となりました。各種キャッシュレス決済に伴う現金チャージ取引件数が伸長したことに加え、預貯金金融機関の取引件数が持ち直したこと等により、1日1台当たりのATM平均利用件数は101.1件(前年同期差4.4件増)となり、当連結会計年度のATM総利用件数は前年を上回りました。なお、同行における現金及び預け金は、ATM装填用現金を含めて10,243億円となりました。

(f)その他の事業

その他の事業における営業収益は26,044百万円(前年同期比128.0%)、営業損失は466百万円(前年同期は115百万円の営業損失)となりました。

(g)調整額(消去及び全社)

営業損失は67,432百万円(前年同期は43,681百万円の営業損失)となりました。

2030年に目指すグループ像を実現すべく、顧客接点の拡大に向けた「7iD」会員基盤の整備、新たな体験価値を創造するデリバリーサービス「7NOW」やネットスーパーに代表されるラストワンマイルDXプラットフォームの深化、更なる業務効率化やセキュリティ強化等を目的としたグループ共通基盤システム構築に係る費用等を計上しております。

 

② 財政状態の状況

(a)資産、負債及び純資産の状況

総資産は、前連結会計年度末に比べ1,811,676百万円増の10,550,956百万円となりました。

流動資産は、主に現金及び預金の増加により、前連結会計年度末に比べ455,879百万円増加いたしました。

固定資産は、主に海外コンビニエンスストア事業における「Accounting Standards Updates」(以下「ASU」という。)第2016-02号「リース(Topic842)」適用による使用権資産の増加により、1,356,536百万円増加いたしました。

負債は、主に海外コンビニエンスストア事業におけるASU第2016-02号「リース(Topic 842)」適用によるリース債務の増加により前連結会計年度末に比べ1,311,247百万円増の6,902,794百万円となりました。

純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益及び為替換算調整勘定の増加等により、前連結会計年度末に比べ500,429百万円増の3,648,161百万円となりました。

なお、利益剰余金の当期首残高は、収益認識会計基準等の適用により、11,948百万円減少し、ASU第2016-02号「リース(Topic 842)」の適用により、34,764百万円増加しております。

(b)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ259,897百万円増加したことにより、1,674,787百万円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、928,476百万円の収入(前年同期比126.1%)となりました。これは、税金等調整前当期純利益が402,761百万円、減価償却費が376,097百万円となりましたが、法人税等の支払額が96,856百万円となったこと等によるものであります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、413,229百万円の支出(前年同期比16.5%)となりました。これは、主に店舗の新規出店や改装などに伴う有形固定資産の取得による支出が305,217百万円となったこと等によるものであります。

財務活動によるキャッシュ・フローは、270,373百万円の支出(前年同期は937,077百万円の収入)となりました。これは、長期借入れによる収入が163,652百万円となったものの、長期借入金の返済による支出が262,650百万円、社債の償還による支出が60,000百万円、配当金の支払額が89,762百万円となったこと等によるものであります。

 

(2)生産、受注及び販売の実績

①生産及び受注の実績

該当事項はありません。

 

②仕入実績

当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

仕入高(百万円)

前年同期比(%)

国内コンビニエンスストア事業

67,146

100.0

海外コンビニエンスストア事業

7,125,144

175.7

スーパーストア事業

1,009,659

76.6

百貨店・専門店事業

237,555

47.7

金融関連事業

21,519

99.1

その他の事業

826

95.1

8,461,851

141.9

(注)1 海外コンビニエンスストア事業の主な変動理由は、前連結会計年度は期中に7-Eleven, Inc.によるSpeedway LLC他20社の株式その他持分の取得を行ったため実績の取込期間が通年ではなく、当連結会計年度は年間実績を取り込んだことによるものであります。

2 スーパーストア事業及び百貨店・専門店事業の主な変動理由は、当連結会計年度の期首から収益認識会計基準等を適用し、会計処理方法を変更したことによるものであります。

3 上記国内及び海外コンビニエンスストア事業の仕入高には、自営店仕入のみが含まれております。

4 上記仕入実績は、連結会社間の取引高を消去した金額となっております。

 

③販売実績

当連結会計年度における販売実績(営業収益のうちの売上高)をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

売上高(百万円)

前年同期比(%)

国内コンビニエンスストア事業

93,025

99.7

海外コンビニエンスストア事業

8,424,695

173.8

スーパーストア事業

1,348,500

76.3

百貨店・専門店事業

376,563

53.9

金融関連事業

20,982

98.4

その他の事業

1,384

91.4

10,265,151

138.2

(注)1 海外コンビニエンスストア事業の主な変動理由は、前連結会計年度は期中に7-Eleven, Inc.によるSpeedway LLC他20社の株式その他持分の取得を行ったため実績の取込期間が通年ではなく、当連結会計年度は年間実績を取り込んだことによるものであります。

2 スーパーストア事業及び百貨店・専門店事業の主な変動理由は、当連結会計年度の期首から収益認識会計基準等を適用し、会計処理方法を変更したことによるものであります。

3 上記国内及び海外コンビニエンスストア事業の売上高には、自営店売上のみが含まれております。

4 上記販売実績は、連結会社間の取引高を消去した金額となっております。

 

   5 主要な子会社の売上状況は、次のとおりであります。

    (1)国内コンビニエンスストア事業

株式会社セブン‐イレブン・ジャパン

区分

チェーン全店売上(百万円)

前年同期比(%)

構成比(%)

加工食品

1,311,714

104.3

25.4

ファスト・フード

1,523,448

104.6

29.5

日配食品

645,528

101.0

12.5

食品計

3,480,692

103.8

67.4

非食品

1,683,539

105.2

32.6

合計

5,164,231

104.3

100.0

(注) 上記金額は収益認識会計基準等を適用する前の数値であり、消費税等は含まれておりません。チェーン全店売上は、フランチャイズ・ストア(加盟店)とトレーニング・ストア(自営店)の売上の合計金額であります。

 

    (2)海外コンビニエンスストア事業

7-Eleven, Inc.

区分

チェーン全店売上(百万円)

前年同期比(%)

構成比(%)

加工食品

1,602,855

139.5

15.3

ファスト・フード

470,858

135.8

4.6

日配食品

125,296

137.6

1.2

食品計

2,199,010

138.6

21.1

非食品

1,393,702

130.2

13.3

商品計

3,592,712

135.2

34.4

ガソリン

6,849,647

179.9

65.6

合計

10,442,360

161.5

100.0

(注) チェーン全店売上は、加盟店と自営店の売上の合計金額であります。

 

    (3)スーパーストア事業

① 株式会社イトーヨーカ堂

区分

売上高(百万円)

前年同期比(%)

構成比(%)

ライフスタイル

217,398

98.8

20.9

専門店

13,455

114.1

1.3

食品

488,764

96.5

47.0

商品計

719,618

97.5

69.3

テナント

317,230

106.7

30.5

その他

2,252

66.4

0.2

合計

1,039,102

100.0

100.0

(注) 上記金額は収益認識会計基準等を適用する前の数値であり、消費税等は含まれておりません。

 

② 株式会社ヨークベニマル

区分

売上高(百万円)

前年同期比(%)

構成比(%)

生鮮食品

167,563

100.3

35.1

加工食品

116,252

101.3

24.4

デイリー食品

97,652

102.4

20.5

デリカテッセン

58,235

12.2

食品計

439,703

116.5

92.1

衣料

10,156

98.5

2.1

住居

18,062

97.6

3.8

商品計

467,922

115.2

98.0

テナント

9,455

14.9

2.0

合計

477,377

101.7

100.0

(注) 1 上記金額は収益認識会計基準等を適用する前の数値であり、消費税等は含まれておりません。

2 2022年3月1日付で、主に株式会社ヨークベニマルの店舗において惣菜を製造・販売していた株式会社ライフフーズを吸収合併いたしました。

  これにより、従来テナントに含まれていた株式会社ライフフーズの売上は、デリカテッセンの数値に反映しております。

 

    (4)百貨店・専門店事業

株式会社そごう・西武

区分

売上高(百万円)

前年同期比(%)

構成比(%)

衣料

144,005

107.2

29.0

雑貨

49,371

108.0

9.9

食品

100,791

104.4

20.3

商品計

294,169

106.4

59.3

テナント

169,847

118.5

34.2

法人外商

32,326

119.6

6.5

合計

496,342

111.0

100.0

(注) 上記金額は収益認識会計基準等を適用する前の数値であり、消費税等は含まれておりません。

 

 

(3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 経営成績の分析

(a)営業収益及び営業利益

当連結会計年度の営業収益は、前連結会計年度に比べ3,061,550百万円増加の11,811,303百万円(前年同期比135.0%)、営業利益は、118,868百万円増加の506,521百万円(前年同期比130.7%)となりました。

 

  前連結会計年度

(自 2021年3月 1日

 至 2022年2月28日)

  当連結会計年度

(自 2022年3月 1日

 至 2023年2月28日)

増減額

営業収益(百万円)

 

 

 

国内コンビニエンスストア事業

873,239

890,293

17,054

海外コンビニエンスストア事業

5,194,327

8,846,163

3,651,835

スーパーストア事業

1,810,728

1,449,165

△361,563

百貨店・専門店事業

712,282

463,739

△248,543

金融関連事業

194,399

194,295

△103

その他の事業

20,340

26,044

5,703

8,805,319

11,869,702

3,064,382

消去及び全社

△55,567

△58,398

△2,831

 合  計

8,749,752

11,811,303

3,061,550

営業利益(百万円)

 

 

 

国内コンビニエンスストア事業

223,396

232,033

8,637

海外コンビニエンスストア事業

159,866

289,703

129,836

スーパーストア事業

18,791

12,107

△6,683

百貨店・専門店事業

△8,153

3,434

11,588

金融関連事業

37,549

37,140

△409

その他の事業

△115

△466

△350

431,334

573,953

142,619

消去及び全社

△43,681

△67,432

△23,750

 合  計

387,653

506,521

118,868

国内コンビニエンスストア事業における営業収益は890,293百万円(前年同期比102.0%)、営業利益は232,033百万円(同103.9%)となりました。

株式会社セブン‐イレブン・ジャパンは、新型コロナウイルス感染症の影響により小商圏化が加速し、個店ごとのお客様ニーズの違いが顕在化する中で、セブン‐イレブン店舗へ目的の商品をお求めに来店されるお客様の増加を目指し、「高付加価値商品の品揃え拡充」「取り扱いアイテム数増加を図る売場レイアウトの変更」「イベント感を演出する販売促進」の3つの施策を融合させた取り組みを継続的に実施してまいりました。また、デリバリーサービス需要の更なる高まりを受け、スマートフォンで注文された商品を最短30分で指定の場所にお届けするサービス「7NOW」は本年度時点で約3,800店舗まで取扱店舗を拡大し取り組みを強化してまいりました。

これらの取り組みに加え、当連結会計年度は、客層の幅を拡げる新たなファスト・フード商品や株式会社イトーヨーカ堂の青果ブランド「顔が見える野菜。」の取り扱い店舗拡大及び各種フェア等の積極的な販売促進策が奏功したこと、人流回復や好天に恵まれたこと等により、既存店売上は前年を上回りました。燃料費調整単価高騰による水道光熱費の増加は続いているものの、営業利益は232,873百万円(前年同期比104.4%)となりました。また、自営店と加盟店の売上を合計したチェーン全店売上は5,148,742百万円(同104.0%)となりました。

 

海外コンビニエンスストア事業における営業収益は8,846,163百万円(前年同期比170.3%)、営業利益は289,703百万円(同181.2%)となりました。

北米の7-Eleven, Inc.は、米国市場での労働力不足や物流障害による供給制約等の問題が一部顕在化する中で安定した店舗運営に努め、品質及び収益性の高いオリジナル商品(フレッシュフード、専用飲料、プライベートブランド商品)の開発と販売の強化、約5,700店舗で対応しているデリバリーサービス「7NOW」の取り組み強化等の施策を積み重ねてまいりました。

当連結会計年度は、物価高騰による消費抑制の動きが見られましたが、ドルベースの米国内既存店商品売上は前年を上回り、営業利益は396,568百万円(前年同期比176.4%)となりました。また、自営店と加盟店の売上を合計したチェーン全店売上は10,442,360百万円(同161.5%)となりました。

なお、2021年5月に取得したSpeedway事業との統合に関するプロセスは順調に進捗しており、シナジー発現は当連結会計年度における当初計画値の450百万米ドルを大幅に上回り約682百万米ドルとなりました。また、コストリーダーシップ委員会を設立し抜本的なコスト構造の見直しを行っており、適正な意思決定の仕組みとコスト管理に対する意識改革等を行うことで更なる収益性改善を推進してまいります。

スーパーストア事業における営業収益は1,449,165百万円(前年同期比80.0%)、営業利益は12,107百万円(同64.4%)となりました。

総合スーパーである株式会社イトーヨーカ堂は、不採算店舗の閉鎖や人員の適正化、IT活用による生産性改善等の再成長戦略を推進してまいりました。

当連結会計年度においては、人流回復や前年の営業時間短縮及び入店者数制限の反動を主因にテナント等の売上が伸長し、テナント含む既存店売上は前年を上回りましたが、食品の荒利率悪化や燃料費調整単価高騰による水道光熱費の増加等により、営業利益は408百万円(前年同期比25.2%)となりました。

また、食品スーパーである株式会社ヨークベニマルはコロナ禍発生以降、好調に推移してきた食品売上が減少に転じたことを主因に既存店売上は前年を下回りましたが、ヨークベニマル店舗において総菜を製造、販売していた株式会社ライフフーズと2022年3月1日付で合併したこと等により商品荒利率は改善し、営業利益は18,013百万円(同122.5%)となりました。

百貨店・専門店事業における営業収益は463,739百万円(前年同期比65.1%)、営業利益は3,434百万円(前年同期は8,153百万円の営業損失)となりました。

百貨店においては、前年の営業時間短縮や入店者数制限からの反動による衣料品売上の回復及びラグジュアリーブランド品の販売好調等を主因に既存店売上が前年を上回りました。また、レストランにおいては前年の営業時間短縮や酒類提供制限からの反動、外食ニーズの回復等により既存店売上は改善傾向であるものの営業損失となりました。

なお、事業ポートフォリオの考え方に基づき、当社が保有する株式会社そごう・西武の発行済株式の全部をFortress Investment Group LLCの関連事業体たる特別目的会社である杉合同会社へ譲渡する契約を締結し、実行に向けて協議を重ねています。

金融関連事業における営業収益は194,295百万円(前年同期比99.9%)、営業利益は37,140百万円(同98.9%)となりました。

株式会社セブン銀行における当連結会計年度末時点の国内ATM設置台数は26,889台(前連結会計年度末差695台増)となりました。各種キャッシュレス決済に伴う現金チャージ取引件数が伸長したことに加え、預貯金金融機関の取引件数が持ち直したこと等により、1日1台当たりのATM平均利用件数は101.1件(前年同期差4.4件増)となり、当連結会計年度のATM総利用件数は前年を上回りました。なお、同行における現金及び預け金は、ATM装填用現金を含めて10,243億円となりました。

(b)営業外損益及び経常利益

営業外損益は、前連結会計年度の29,081百万円の損失(純額)から30,633百万円の損失(純額)となりました。これは7-Eleven, Inc.による社債利息が増加したこと等によるものであります。

この結果、経常利益は、前連結会計年度に比べ117,316百万円増加の475,887百万円となりました。

 

(c)特別損益及び税金等調整前当期純利益

特別損益は、前連結会計年度の46,716百万円の損失(純額)から73,126百万円の損失(純額)となりました。これは減損損失が増加したこと等によるものであります。

この結果、税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べ90,906百万円増加の402,761百万円となりました。

(d)法人税等(法人税等調整額を含む)及び親会社株主に帰属する当期純利益

法人税等は、前連結会計年度に比べ21,977百万円増加の110,591百万円となりました。また、税効果会計適用後の負担率は27.5%となりました。

この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ70,202百万円増加の280,976百万円となりました。1株当たり当期純利益は、318.14円となり、前連結会計年度の238.68円に比べ79.46円増加しました。

② 財政状態の分析

(a)資産、負債及び純資産の状況

 

前連結会計年度

(2022年2月28日)

当連結会計年度

(2023年2月28日)

増減額

総資産(百万円)

8,739,279

10,550,956

1,811,676

負 債(百万円)

5,591,546

6,902,794

1,311,247

純資産(百万円)

3,147,732

3,648,161

500,429

総資産は、前連結会計年度末に比べ1,811,676百万円増加して10,550,956百万円となりました。

流動資産は、現金及び預金が250,219百万円増加したこと等から、前連結会計年度末に比べ455,879百万円増加し、3,060,653百万円となりました。

有形固定資産は、主に海外コンビニエンスストア事業における「Accounting Standards Updates」(以下「ASU」という。)第2016-02号「リース(Topic842)」適用による使用権資産の増加により1,109,402百万円の増加となりました。無形固定資産は、為替レート変動に伴うのれんの増加等により224,670百万円の増加となりました。また、投資その他の資産においては、株式会社セブン銀行が取得する地方債や社債が増加したこと等により22,463百万円増加しております。これらの結果、固定資産は前連結会計年度末に比べ1,356,536百万円増加し、7,489,195百万円となりました。

負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,311,247百万円増加し、6,902,794百万円となりました。

流動負債は、1年内償還予定の社債が295,823百万円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ784,363百万円増加し、3,265,089百万円となりました。

固定負債は、社債が188,178百万円減少した一方、海外コンビニエンスストア事業におけるASU第2016-02号「リース(Topic 842)」適用によるリース債務の増加等により、前連結会計年度末に比べ526,883百万円増加し、3,637,704百万円となりました。

純資産合計は、前連結会計年度末に比べ500,429百万円増加し、3,648,161百万円となりました。

利益剰余金は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による280,976百万円の増加、配当金の支払いによる89,787百万円の減少などにより、前連結会計年度に比べ213,336百万円増加しております。

為替換算調整勘定は、主に7-Eleven, Inc.の財務諸表の換算などにより、286,908百万円増加しております。

これらの結果、1株当たり純資産額は、前連結会計年度末に比べ558.43円増加し3,933.93円となり、自己資本比率は前連結会計年度末の34.1%から32.9%となりました。

 

(b)キャッシュ・フローの状況

 

  前連結会計年度

(自 2021年3月 1日

 至 2022年2月28日)

  当連結会計年度

(自 2022年3月 1日

 至 2023年2月28日)

増減額

営業活動によるキャッシュ・フロー(百万円)

736,476

928,476

191,999

投資活動によるキャッシュ・フロー(百万円)

△2,505,566

△413,229

2,092,336

財務活動によるキャッシュ・フロー(百万円)

937,077

△270,373

△1,207,450

現金及び現金同等物の期末残高(百万円)

1,414,890

1,674,787

259,897

現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、国内及び海外コンビニエンスストア事業を中心とする店舗の新規出店及び改装などに伴う支出等があったものの、国内及び海外コンビニエンスストア事業を中心とした高い営業収益力によりキャッシュ・フローを創出したこと等により、前連結会計年度末に比べ259,897百万円増加し、1,674,787百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によって得た資金は、928,476百万円(前年同期比126.1%)となりました。前年同期に比べ191,999百万円増加した主な要因は、税金等調整前当期純利益が90,906百万円、減価償却費が83,535百万円増加した一方、預り金の減少額が44,247百万円増加したこと等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動に使用した資金は、413,229百万円(前年同期比16.5%)となりました。前年同期に比べ2,092,336百万円減少した主な要因は、前連結会計年度において海外コンビニエンスストア事業のSpeedway取得により発生した連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が2,295,104百万円減少したこと等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動に使用した資金は、270,373百万円(前年同期は937,077百万円の収入)となりました。前年同期との変動額の主な要因は、前連結会計年度において7-Eleven, Inc.による社債の発行による収入1,192,710百万円が発生したこと等によるものであります。

③ 戦略的現状と見通し

国内においては、新型コロナウイルス感染症の影響による制限から経済活動が回復に向かう一方で、地政学リスクの高まりによる原材料価格や燃料価格の高騰及び諸物価の上昇が継続すると予想され、消費者マインドの低下や家計の節約志向が個人消費に影響を及ぼす等、依然として先行き不透明な状態が想定されます。

北米においては、高インフレ・高金利が続く中、これまで堅調だった個人消費が減速し景気後退の局面を迎えることが懸念されております。

このような不透明な経営環境を踏まえつつ、グループ戦略の軸となる「食」の強みを活かしコンビニエンスストア事業を中心とした成長に向けて様々な戦略的施策を推進してまいります。

なお、グループ戦略再評価の結果を踏まえた2030年に目指すグループ像の実現に向けて、2024年2月期より従来の「国内コンビニエンスストア事業」、「海外コンビニエンスストア事業」、「スーパーストア事業」、「百貨店・専門店事業」、「金融関連事業」、「その他の事業」の6区分から、「国内コンビニエンスストア事業」、「海外コンビニエンスストア事業」、「スーパーストア事業」、「金融関連事業」、「その他の事業」の5区分に変更いたします。

(a)国内コンビニエンスストア事業

株式会社セブン‐イレブン・ジャパンは、2023年に創業50周年を迎えます。創業以来、時代の変化に柔軟に対応し便利の創造に努めてまいりました。引き続き高齢化や単身世帯の増加、働く女性の増加に加えコロナ禍を通じて顕在化したお客様の購買行動の変化への対応に引き続き注力すべく、「ファスト・フード等のオリジナル商品やセブンプレミアムの開発強化」「取り扱いアイテム数増加を図る売場レイアウトの変更」「イベント感を演出する販売促進」の3つの施策を融合させた取り組みを更に強化することにより、店舗集客力・収益力の向上を図ってまいります。

また、デリバリーサービス「7NOW」を2024年度中に全国展開させるべく取扱店舗を積極的に拡大してまいります。その他、社会構造の変化によるお客様ニーズを的確にとらえ、将来の成長に向けた新規ビジネス等の新たな挑戦を進めてまいります。引き続き、常にお客様の立場に立った新たな体験価値を提供することで次の「便利」の扉を開き、加盟店や取引先も含めたバリューチェーン全体での持続的な成長の実現に取り組んでまいります。

(b)海外コンビニエンスストア事業

北米の7-Eleven, Inc.は、引き続き質の高いオリジナル商品を提供するために、バリューチェーンの構築を強化してまいります。取り組みの一環として、2023年度に大型の共配センター併設型のフレッシュフード製造工場が稼働し、品質向上と生産効率の改善を実現してまいります。加えて、デリバリーサービス「7NOW」強化や、デジタル技術の活用による顧客ロイヤリティの向上に傾注してまいります。

また、2021年5月に取得したSpeedwayとの統合シナジーについては2022年度の順調な進捗を踏まえ、2023年度の計画値を当初計画値の650百万米ドルから800百万米ドルに引き上げます。引き続き、店舗レベル/全社レベルでSpeedwayとの統合の完遂に向けて、単品管理の考え方に基づいた店舗運営を実施すること等によりシナジー発現の最大化を図ってまいります。

このような北米における様々な取り組みを推進し、お客様ニーズに対応するとともに、新たな体験価値を提供する仕組みを、グローバル展開にも活かしてまいります。既存展開国の成長に向けた取り組みの一環で、7-Eleven International LLCによるベトナム事業に対する投融資を2023年2月に決定いたしました。

引き続き、7-Eleven International LLCでは、既存展開国と新規展開国の両輪で成長戦略を推し進め、2025年度までに日本及び北米を除く地域で5万店の店舗網の確立、2030年度までに日本、北米を含めた全世界で30の国と地域での店舗出店を目指す方針の下、質とスピードを伴った成長の実現に取り組んでまいります。

(c)スーパーストア事業

スーパーストア事業については、株式会社イトーヨーカ堂において2022年度まで実施した構造改革の成果を発揮するとともに、スーパーストア事業の収益性改善に向けた抜本的な変革施策を実行してまいります。3年間の時限を設定した中で、自社が運営するアパレル事業から撤退し「食」へのフォーカスを強め、展開エリアを首都圏に集中し、首都圏事業の統合再編をいたします。また、高品質商品の開発、生産性の改善を目的にプロセスセンターやセントラルキッチン、ネットスーパーのセンターも稼働する等、成長に向けたインフラ整備を進めてまいります。

これらの取り組みに対し、外部プロフェッショナルの起用による工程管理と、当社の取締役会及び戦略委員会によるモニタリングにより、着実に改革を遂行することで2025年度にスーパーストア事業のEBITDA850億円以上の達成に向けて取り組みを進めてまいります。

(d)金融関連事業

金融関連事業におきましては、引き続きATMプラットフォーム事業の拡大に加え、電子マネー及びクレジットカード事業等に注力するとともに、グループ金融戦略として、当社グループの共通IDである「7iD」を基軸とした独自の金融サービスを開発し、新たな価値の創造を図ってまいります。

その一環として、バンキング事業・ノンバンク事業の一体運営によるシナジーを追求するため、株式会社セブン・カードサービスを株式会社セブン銀行傘下に異動することといたしました。

(e)その他の事業

事業ポートフォリオの考え方に基づき、2023年4月6日に当社が保有する株式会社バーニーズジャパンの発行済株式の全部をラオックスホールディングス株式会社へ譲渡する契約を締結し、2023年5月1日に当該株式譲渡を完了いたしました。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性

資金需要

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入並びに販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、新規出店、店舗改装及びソフトウエア投資等の設備投資、M&A等によるものであります。

なお、当連結会計年度中に実施した設備投資に必要な資金は、金融機関からの借入金及び自己資金により充当いたしました。

 

財務政策

当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入と社債の発行により資金調達を行っております。

長期借入金、社債等の長期資金の調達については、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境、既存借入金の償還時期等を考慮の上、調達規模、調達手段を適宜判断して実施していくこととしております。

財務方針については、持続的に企業価値を向上させるため、資本コストを上回るリターンを拡大するとともに、キャッシュ・フローの創出力を高めることを基本方針としております。

なお、当連結会計年度末における借入金、社債及びリース債務を含む有利子負債の残高は3,054,948百万円となっております。

 

⑤ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は、持続的に企業価値を向上させるため、資本コストを上回るリターン(利益)を拡大するとともに、キャッシュ・フローの創出力を高めることを基本方針とし、以下の財務目標を設定しております。

 

(2025年度 主要連結財務数値目標)

 

2022年度 実績

2025年度

アップデート目標

EBITDA

995,319

百万円

1.1

兆円以上

営業キャッシュ・フロー(除く金融)

832,804

百万円

9,000

億円以上

フリーキャッシュ・フロー水準(除く金融)

474,055

百万円

5,000

億円以上

ROE

8.7

11.5

%以上

ROIC(除く金融)

5.2

8.0

%以上

Debt/EBITDA倍率

3.0

1.8

倍未満

調整後Debt/EBITDA倍率

-

2.0

倍未満

EPS成長率(CAGR)

-

18

%以上

※営業キャッシュ・フロー(除く金融)は、金融事業を除くNOPATをベースとした管理会計数値。

 フリーキャッシュ・フロー水準(除く金融)は、金融事業を除く管理会計ベース数値。

 なお、M&Aは戦略投資として投資キャッシュ・フローからは除外して算出。

 ROIC(除く金融)は、{純利益+支払利息×(1-実効税率)}/{自己資本+有利子負債(ともに期首期末平均)}にて算出。

 調整後Debt/EBITDA倍率は、金融事業を除く管理会計ベース数値。

 Net Debt / EBITDAR(Net Debt:有利子負債+オンバランスリース-現預金等調整)

 EPS成長率(CAGR)は、2020年度に対してのCAGR(年平均成長率)にて試算。

 

⑥ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

なお、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。