E32381 Japan GAAP
前期
832.4億 円
前期比
99.6%
株価
845 (03/31)
発行済株式数
14,236,564
EPS(実績)
22.20 円
PER(実績)
38.07 倍
当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社、及び連結子会社8社、並びに関連会社3社の計12社により構成されております。当社グループは、主にドラッグストアと調剤薬局の運営を行うリテール事業を中心に、ITソリューション事業にてPOSアプリケーションの開発や販売等を行っております。
当社グループの事業における当社及び関係会社の位置付け及びセグメントとの関連は、次の通りであります。また、以下に示す区分は、セグメントと同一の区分であります。
当社は有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。
事業系統図は次のとおりであります。
当連結会計年度(2020年5月16日~2021年5月15日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、企業収益、景況感の悪化、個人消費の減退や、入国制限措置などによるインバウンド需要消失など厳しい状況で推移いたしました。2020年5月に政府による緊急事態宣言が解除されて以降、個人消費や企業の経済活動に一部持ち直しの動きが見られたものの、その後の感染再拡大により緊急事態宣言が複数回発出されるなど、依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社グループが主に事業を行うドラッグストア業界においては、新型コロナウイルス感染症の予防を目的とする新しい生活様式の浸透により、マスクや消毒液などの衛生関連用品の需要が高く推移したことや、巣ごもり消費の拡大による食料品、日用品の需要増加など、販売動向が大きく変化いたしました。また、非接触志向の高まりなどにより、キャッシュレス決済の利用が増加するなど、消費者のデジタルシフトが進みました。一方で、リモートワークの普及といったライフスタイルの変化に伴う化粧品需要の減少のほか、インバウンド需要の消失、業界の垣根を越えた競争の激化やM&Aによる業界再編の動きが見られるなど、経営環境が大きく変化しております。
このような状況のもと、当社グループは、地域社会のインフラとして、地域における商品供給の役割を果たすべく、感染予防策や衛生管理の徹底に取り組みながら店舗の営業を継続いたしました。また、不採算店舗の整理、販促の見直しや、非接触志向が高まるなかキャッシュレス決済の加盟店拡大に取り組むなど、外部環境の変化に機動的に対応いたしました。
2020年9月には、社内外の多様な人材の交流を促進し、北海道の地域課題を解決する場所として活用することを目指した店舗併設の新社屋に本社を移転いたしました。本社1階の店舗では、AIカメラソリューションなどを活用し、店舗におけるデジタルトランスフォーメーションの取り組みを進めております。
また、当社は2019年12月に生活協同組合コープさっぽろと包括業務提携契約を締結し、相互に協力して北海道経済の活性化及び地域住民の利便性向上に向け取り組んでまいりました。その取り組みの一環として、2020年12月に合弁会社を設立し、両社の商品仕入集約による規模のメリットを発揮することで、流通コストの低減を目指しております。このほか、自治体及び教育機関との間で各種協定を締結し、相互に連携、協力することにより、地域の活性化に向けた取り組みも進めております。
上記に加えて、経営資源の効率的活用、財務体質の強化の観点から、2020年9月に新社屋に係る固定資産の譲渡を行ったほか、資金調達の安定化と金融費用の圧縮を行い、中長期的な経営基盤強化を図ることを目的に、金融機関との間でシンジケートローン契約を締結いたしました。また、取締役会の監督機能を強化し、コーポレート・ガバナンスの充実を図るため、2020年8月に監査等委員会設置会社に移行いたしました。これにより、業務執行と監督を分離するとともに、経営の意思決定を迅速化し、更なる企業価値の向上を図っております。
以上の結果、売上高は832億40百万円(前年同期比 6.8%減)、営業利益は6億40百万円(前年同期比 22.0%減)、経常利益は6億7百万円(前年同期比 31.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は5億74百万円(前年同期比 396.5%増)となりました。
セグメントの業績などの概要は、次のとおりであります。
<リテール事業>
主に北海道内でのドミナント化を目指したドラッグストアフォーマット店舗のチェーン展開と、訪日外国人が多く訪れる観光地などでのインバウンドフォーマット店舗の運営を行っております。戦略面では、エブリデー・セイム・ロープライス(ESLP)を中心とする低価格戦略を推進することで、お客様から支持される店舗づくりや、作業平準化による業務効率の改善を目指しております。また、エリア本部制による意思決定の質・スピードの向上にも、引き続き取り組んでおります。このほか、フィットネス事業や管理栄養士による特定保健指導といった生活サービスの提供にも取り組んでおります。
当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、引き続き、衛生関連用品や食料品、日用品などの需要が高く推移するなか、ワンストップショッピングのニーズの高まりなどから客数は減少した一方、買上点数増加に伴って客単価が上昇した結果、ドラッグストアフォーマットの売上高は前年同期を上回りました。一方で、訪日外客数が前年を大きく下回った結果、インバウンドフォーマットの売上高は僅かなものとなりました。調剤薬局につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により医療機関への受診を控える動きが広がったことから、多くの店舗で処方箋枚数の減少が見られたものの、長期処方への移行による処方箋単価上昇などの結果、売上高は前年同期を上回りました。
店舗の出退店の状況につきましては、インバウンドフォーマットを中心に不採算店舗の閉店を進めた結果、下表の通りとなりました。
(出店状況)
以上の結果、リテール事業の売上高は827億61百万円(前年同期比 6.9%減)、セグメント利益は5億90百万円 (前年同期比 22.7%減)となりました。
<ITソリューション事業>
当社グループ向けに開発した技術をもとに、ユーザー目線での課題解決を目指したPOSアプリケーションなどの販売を行っております。なお、当セグメントの業績には、前期までAWL株式会社、及び当該会社の100%子会社であるAWL VIETNAM CO., LTD.の業績数値が含まれておりました。当該会社の株式の一部は、2019年9月30日付にて譲渡し、前期の第2四半期連結会計期間より当社連結から除外しております。
以上の結果、ITソリューション事業の売上高は1億6百万円(前年同期比 13.9%減)、セグメント利益は19百万円(前年同期はセグメント損失55百万円)となりました。
<その他事業>
北海道共通ポイントカード「EZOCA」を活用した地域マーケティング事業や決済サービス事業、小中学生向けのプログラミングスクールの運営などを行っております。当社グループの強みとなる北海道共通ポイントカード「EZOCA」の会員数は、2021年4月末現在、196万人を超えております。決済サービス事業においては、インバウンド需要の消失を受け、海外向けキャッシュレス決済は低調に推移したものの、非接触型決済への需要が高まったことで国内キャッシュレス決済は拡大いたしました。
その他事業の売上高は7億43百万円(前年同期比 14.3%増)、セグメント損失は22百万円(前年同期はセグメント損失30百万円)となりました。
(仕入及び販売の状況)
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
3.リテール事業における分類別売上高は次のとおりであります。
(注) 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表作成に際し、経営者は決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える様々な要因・仮定に対し、過去の実績等を勘案し合理的に判断して見積りを行っております。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があり、個々の「重要な会計方針及び見積り」については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
イ.繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産の計上にあたっては、回収可能性を考慮して、繰延税金資産総額から評価性引当額を減額しております。繰延税金資産の回収可能性については、当社グループの業績の推移などから将来の課税所得を合理的に見積り判断しておりますが、今後、課税所得の予測に影響を与える変化が生じた場合には、繰延税金資産の回収可能性が変動する可能性があります。
ロ.固定資産の減損処理
当社グループは、重要な店舗資産を有しており、店舗の収益性が低下するなど、固定資産の回収可能価額が帳簿価額を下回った場合に減損処理を行っております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ.財政状態
当連結会計年度末における流動資産は182億67百万円となり、前連結会計年度末に比べ38億27百万円増加いたしました。これは主に商品が12億36百万円増加したことに加え、当連結会計年度末日が金融機関の休日であったことにより売掛金が8億45百万円増加したことによるものであります。固定資産は200億30百万円となり、前連結会計年度末に比べ21億62百万円減少いたしました。これは主に有形固定資産が売却などにより24億25百万円減少したことによるものであります。
この結果、総資産は382億99百万円となり、前連結会計年度末に比べ16億56百万円増加いたしました。
当連結会計年度末における流動負債は166億17百万円となり、前連結会計年度末に比べ6億92百万円減少いたしました。これは主に当連結会計年度末日が金融機関の休日であったことにより短期借入金が24億円減少、買掛金が35億75百万円増加したことに加え、既存借入金のリファイナンスなどにより1年内返済予定の長期借入金が27億15百万円減少したことによるものであります。固定負債は130億9百万円となり、前連結会計年度末に比べ19億28百万円増加いたしました。これは主に既存借入金のリファイナンスなどにより長期借入金が18億95百万円増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は296億27百万円となり、前連結会計年度末に比べ12億36百万円増加いたしました。
当連結会計年度末における純資産合計は86億72百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億20百万円増加いたしました。これは主に、利益剰余金が剰余金の配当により1億28百万円減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益により5億74百万円増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は22.5%(前連結会計年度末は22.4%)となりました。
ロ.経営成績
経営成績の分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
ハ.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
ニ.資本の財源及び資金の流動性
a.キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、26億59百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は33億72百万円(前年同期は16億51百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益9億74百万円、減価償却費11億64百万円、金融機関休日による仕入債務の増加額35億75百万円などの増加要因と、たな卸資産の増加13億38百万円の減少要因によるものであります。
投資活動の結果得られた資金は12億1百万円(前年同期は21億63百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の売却による収入39億10百万円、敷金及び保証金の回収による収入2億61百万円などの増加要因と、有形固定資産の取得による支出21億13百万円、敷金及び保証金の差入による支出6億39百万円などの減少要因によるものであります。
財務活動により支出した資金は33億94百万円(前年同期は2億4百万円の獲得)となりました。これは主に、既存借入金のリファイナンスなどにより長期借入れによる収入118億円及び長期借入金の返済による支出126億19百万円、金融機関休日による短期借入金の減少額24億円などによるものであります。
b.資金需要
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、店舗で販売するための商品の仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、投資を目的とした資金需要は、主に自社店舗の建設費用及び店舗賃貸借契約に基づく差入保証金、敷金などであります。
c.資金の流動性
運転資金につきましては、自己資金を基本としており、設備投資資金につきましては、銀行借入によっております。