E32673 Japan GAAP
前期
138.1億 円
前期比
113.9%
株価
1,497 (02/06)
発行済株式数
37,969,210
EPS(実績)
15.04 円
PER(実績)
99.54 倍
前期
797.1万 円
前期比
95.3%
平均年齢(勤続年数)
33.0歳(2.5年)
従業員数
373人(連結:779人)
当社及び当社の関係会社(以下、「当社グループ」という。)は、「経済情報の力で、誰もがビジネスを楽しめる世界をつくる」をパーパスに掲げ、世界中の経済情報を人とテクノロジーの力で整理・分析・創出することで、人々の生産性を高め、創造性を解放し、世界中の意思決定を支えるプラットフォームを作りあげたいと考えています。
当該パーパスを達成するために、当社グループは、B2Bサービスである企業・業界分析を行うビジネスパーソンのためのオンライン情報プラットフォーム「SPEEDA」を中心としたSaaS事業及びB2Cサービスであるソーシャル経済メディア「NewsPicks」を中心としたNewsPicks事業を主要事業として運営しています。
また、当社グループは、当社、子会社14社(国内子会社10社(株式会社ミーミル、株式会社ニューズピックス、株式会社NewsPicks Studios、株式会社アルファドライブ、株式会社UB Ventures、UBV Fund-Ⅰ投資事業有限責任組合、UBV Fund-Ⅰ Growth 投資事業有限責任組合、他3社)、海外子会社4社(上海優則倍思信息科技有限公司、Uzabase USA, Inc.、他2社))で構成されています。
SaaS事業では、顧客のアジャイル経営(顧客起点で、変化にスピーディーに適応する経営)の実現をサポートするSaaSプロダクトの提供を行っています。アジャイル経営の実現をサポートするには、顧客の事業戦略・顧客戦略・組織戦略をサポートする必要があると考えており、領域毎に提供しているプロダクトは以下の通りです。
事業戦略:SPEEDA・INITIAL・SPEEDA EDGE
顧客戦略:FORCAS・FORCAS Sales
組織戦略:Alphadrive/NewsPicks(以下、「AD/NP」という。)で提供しているNewsPicks Enterprise及びIncubation Suite
主要なプロダクトについては、以下の通りです。
1.SPEEDAについて
「SPEEDA」は、企業・業界分析を行うすべてのビジネスパーソンのための法人向けオンライン情報プラットフォームです。金融機関・コンサルティングファーム・会計ファームの他、事業会社を顧客とし、2021年12月末現在、顧客の所在地は日本国内に加えアジア諸国を中心として世界15ヶ国にわたっています。利用者は、インターネットが接続できる環境であれば、いつでも「SPEEDA」を利用することができ、世界200ヶ国以上をカバーした企業の財務、株価データ、560を超える業界の地域別の分析レポートの他、統計データ、経済ニュース、M&A情報、特許動向など、幅広いビジネス情報にワンストップでアクセスすることができます。自社アナリストによる独自コンテンツ「SPEEDAトレンド」では、テクノロジーの最新動向やビジネスモデルの変革など、最先端の情報がレポート等で閲覧可能です。また、「SPEEDA」は利用者の目線に立った開発を追求しており、利用者は直観的な操作によりサービスを利用することができます。
「SPEEDA」のサービスの特徴は以下のとおりです。
① 世界の企業・業界情報の統合プラットフォーム
世界200ヶ国以上、950万社の上場・未上場企業データの他、195万件以上のグローバルM&Aデータ、グローバル統計データなどの経済情報にワンストップでアクセスできます。また、当社の専属アナリストによる560を超える業界の地域別分析レポートにより、業界の概要から市場、競争環境を短時間で把握することができます。
説明書が必要ない直観的な操作性により、必要とする世界中の企業・産業データを簡単に探すことができます。また、データはそのまま「SPEEDA」上で編集、加工できる他、ワンクリックでExcel、PowerPointやPDF等の必要な形式にダウンロードすることができます。
専門のコンサルタントや業界のアナリストに、より付加価値の高い分析、リサーチ業務を依頼することができます。テクノロジーと専門家の力を組み合わせることで、利用者の業務を幅広く支援します。
④ 多様な業界・分野における専門家の知見へのアクセスが可能
日本国内に約8,000名のエキスパート・ネットワークを有するミーミル社のエキスパートリサーチ事業をSPEEDAに統合したことにより、企業、業界、トレンドの定量的な情報の取得に留まらず、それらに専門家の知見を組み合わせることで、より精度の高い、スピーディーな意思決定が可能になります。
「SPEEDA」の契約単位はIDであり、「SPEEDA」の主な収益源は、利用者から受領する「SPEEDA」の契約ID数に応じた月額の定額利用料金です。この他、オプション機能の契約によって追加で発生する月額のオプション利用料金、他社の提供する企業のクレジットレポート(注)・業界レポートの購入に応じて課金されるレポート料金も「SPEEDA」の収益源となっています。
(注) クレジットレポートとは、企業の信用情報に関するレポートを指します。
「SPEEDA」のARRの推移は、以下のとおりです。
(注) ARRとはAnnual Recurring Revenueの略称で、年間経常収益を指し、サブスクリプションにより得られる今後1年の収益を表します。MRR(Monthly Recurring Revenue:月間経常収益)の12倍の値です。またARRは国内と海外の合算です。
「SPEEDA」において、主に以下の情報の取得及び機能の利用が可能です。
各業界のオリジナル業界レポートを閲覧することができます。560を超える業界のオリジナル業界レポートが格納されており、地域は、日本のみならず、中国、マレーシア、インドネシア、タイ、シンガポールなどアジア諸国を中心に世界各国をカバーしています。オリジナル業界レポートは、当社グループに在籍するアナリストによって執筆され、「SPEEDA」のみで提供されるオリジナルコンテンツであり、各業界の特徴などの定性情報、市場の伸びなどの定量情報、業界プレイヤー等について短時間で把握可能な内容になっています。また、当該オリジナル業界レポートに加え、当社提携先の作成する業界レポートを無料又は有料で取得することができます。
世界約200ヶ国以上の企業に関するデータを閲覧することができます。上場企業については、世界中の上場企業の内、99%以上の情報を格納しており、企業概要、財務データ、セグメント情報、役員情報、株主情報、株価データ、開示資料等が格納されています。また、未上場企業については、国内企業約140万社の会社概要、主要財務データ(一部レンジ表記)等を格納、海外企業は、アジアを中心に約690万社以上の企業概要、主要財務データ、役員情報、株主情報等を格納しています。なお、「SPEEDA」に格納されている各種データは、当社グループ独自で作成したものに加え、外部のデータサプライヤーから有償提供されたものが含まれています。
2000年以降の、世界のM&Aデータ195万件以上を格納しています。M&Aデータには案件概要、案件の金額規模、当該案件にかかるアドバイザー、資金供給者等が含まれます。
日本語160媒体以上、英語2,000媒体以上のニュース情報を提供しています。キーワードや企業を設定し、該当するニュースをメール通知する機能もあります。
企業の財務比較分析、株価分析、ヒストリカルマルチプル(注)分析といった比較・時系列分析、有価証券報告書、その他の開示資料の全文検索、ニュース検索、レポート検索、企業のIRデータ、各国の統計情報の検索などが可能です。
ビジネスシフトを促す変化とその影響を「トレンド」と位置づけ、テクノロジーの最新動向やビジネスモデルの変革など、最先端の情報が自社アナリストによる独自コンテンツレポート等で閲覧可能です。
⑦ その他オプション機能
上記の標準データ・標準機能に加え、オプション申込みによって利用できるデータ・機能があります。主なオプション契約には、変化も激しく注目度が高い技術分野を中心に、各企業の特許出願数や被引用回数等での序列、その経年変化を把握できる「特許動向検索」や、Excelに「SPEEDA」のデータを直接ダウンロードすることのできる「Excel Plug-in」機能があります。
「SPEEDA」のサービス利用者は、当社のコンサルタントやアナリストによるサポートデスクを原則として契約料金の範囲内で利用することができます。当該サポートデスクは、利用方法の案内を行うのみならず、利用者からの依頼により、データ作成、リサーチ業務のサポートも行っています。
⑨ 「今、専門家に聞く」機能、FLASH Opinion
SPEEDA上から専門家に質問し、24時間以内に5人以上からテキスト回答が得ることができます。またSPEEDAのアナリストがトレンドや業界の「今」に関して定期的に専門家に質問し、その回答をSPEEDAユーザーが閲覧可能なコンテンツとして掲載しています。なお、専門家の回答を深堀りしたい場合における専門家インタビュー、個別リサーチ等もSPEEDA上で「SPEEDA EXPERT RESEARCH」として提供しています。
上記に加え、ワンクリックで業界データや企業情報をWord・Excel・PowerPoint・PDF形式等でダウンロードできる他、簡単な操作により、企業概要、財務諸表、業績推移のグラフ等の資料冊子を30秒程度で自動生成することができます。
(注) ヒストリカルマルチプルとは企業の株価倍率(財務数値と株価の倍率)の過去推移のことを指します。
事業系統図(SPEEDA)
2.INITIALについて
「INITIAL」(イニシャル)は、日本国内のスタートアップ企業に関する、資金調達情報、関連ニュース、類似企業の検索などができるオンライン情報サービスです。「SPEEDA」同様、金融機関・コンサルティングファーム・会計ファームの他、ベンチャーキャピタルや事業会社を顧客とする法人向けサービスです。国内17,600社以上のスタートアップ企業に関する様々な公開情報を情報源にしており、各種ニュースの他、スタートアップ企業やVC(ベンチャーキャピタル)などの公式ウェブサイト・プレスリリース、登記簿、官報などから、当社グループにおいてデータの収集・蓄積を行っています。月額の定額利用料でサービスを提供しています。
「INITIAL」のサービスの特徴は以下のとおりです。
国内17,600社以上のスタートアップ企業の情報データを保有しており、事業概要や資金調達、提携先、関連ニュースに加え、15,600社以上の投資家、102,000件以上の投資ラウンド、2,700本以上のファンドの情報も網羅しています。スタートアップに関する情報をワンストップで取得することが可能です。
業種や技術、シリーズ情報など、スタートアップを検索・分析するためのさまざまな情報を付与しています。「INITIAL」に蓄積された豊富な資金調達データをもとに、スタートアップ企業の成長フェーズを『INITIALシリーズ』として「INITIAL」独自で定義しています。また、独自スコアリングにより、類似するスタートアップをリストアップし、比較が可能です。
独自取材・データを活用した資金調達・IPO分析記事やレポートや、起業家・投資家へのインタビュー記事をオリジナルコンテンツとして作成しており、データだけにとどまらない、スタートアップのリアルな情報及び投資実務における情報を提供します。
「FORCAS」(フォーカス)は、B2B領域でサービス展開する企業のAccount Based Marketing(ABM)の実行を支援する、マーケティングプラットフォームです。ユーザーが保有する顧客データ及び当社グループが「SPEEDA」事業において蓄積してきた企業属性情報(所属業界、従業員規模等の企業の定性・定量的特徴)を組み合わせ、(ユーザーの)既存顧客の特徴を自動的に分析します。そして、ユーザーにとっての営業成約確度の高い潜在顧客を具体的にリストアップし、データ分析ドリブンなマーケティング戦略策定を支援します。月額の定額利用料でサービスを提供しています。また、営業組織向けプロダクトである「FORCAS Sales」も提供しています。
「FORCAS」におけるサービスの特徴は以下のとおりです。
ユーザーが保有する既存顧客のデータを「FORCAS」に取り込むことで、業界、シナリオ、地域、売上、従業員数などを自動的に分析し、成約確度が高いと予測される見込み顧客を特定して、当社が保有する150万社以上の企業データの中から、独自のスコアを付与したターゲットリストを自動作成します。作成したリストは、Excel形式データでダウンロードが可能です。
企業の業種、活動状況や課題、導入している外部サービスなど多様な切り口から、企業リストを作成することが可能です。外部サービスは、各企業のWebサイトに設置されているウェブサービスタグの情報を収集することにより、マーケティングオートメーション、eコマース系ツール、ウェブ広告など、1,500種類以上の利用サービスデータを取得しています。さまざまな仮説を立てて、ターゲット企業を特定することができます。
顧客管理システムや営業ターゲットリスト、請求情報、名刺データなど、社内に点在する顧客情報と「FORCAS」が持つ豊富な企業情報、そして強力な名寄せエンジンによって、精度の高い顧客データ統合を実現し、顧客データの名寄せ業務の負担を大きく軽減します。
事業系統図(INITIAL、FORCAS及びFORCAS Sales)
「INITIAL」のARRの推移は、以下のとおりです。
(注) ARRとはAnnual Recurring Revenueの略称で、年間経常収益を指し、サブスクリプションにより得られる今後1年の収益を表します。MRR(Monthly Recurring Revenue:月間経常収益)の12倍の値です。
「FORCAS」及び「FORCAS Sales」のARRの推移は、以下のとおりです。
(注) ARRとはAnnual Recurring Revenueの略称で、年間経常収益を指し、サブスクリプションにより得られる今後1年の収益を表します。MRR(Monthly Recurring Revenue:月間経常収益)の12倍の値です。
人材育成・組織風土活性化・新規事業開発に課題を持つ企業に対して、「NewsPicks」を活用した企業向けソリューション(NewsPicks Enterprise)及び新規事業開発支援のコンサルティング並びに当該プログラムを円滑に進める支援ツール「Incubation Suite」を提供しています。具体的には、社内コミュニケーションの活性化やインナーブランディング等を容易にする社内メディアの提供、現在日本経済で注目されているトピックスやテーマについて、従業員の意識レベル・知識レベルの向上を図るクローズドな研修プログラムの提供、また、社内起業家の育成と事業創出をサポートするサービスを法人向けに提供しています。
■ NewsPicks事業
「NewsPicks」はソーシャル機能も兼ね備えた、経済ニュースメディアです。100以上の国内外のメディアが配信する経済ニュースをワンストップで読めることに加え、「NewsPicks」独自の編集部が取材・編集した記事や動画等によるオリジナルコンテンツを提供しています。「NewsPicks」は、ニュースを配信するプラットフォーム及びオリジナルコンテンツを提供するメディアとしての性格に加えて、ユーザー同士やユーザーと企業とのコミュニケーションの場を提供するコミュニティとしての性格も備えており、ソーシャル経済メディアとして独自のポジショニングを確立しています。「NewsPicks」は、iPhoneやAndroidに対応しているアプリ版とPCからご利用いただけるWeb版を展開しています。また、従来よりSPEEDAのコアコンテンツとしてNewsPicksのオリジナル記事を提供していましたが、当連結会計年度よりINITIAL及びFORCAS SalesにおいてもNewsPicks記事の提供を開始しました。今後もアプリ版及びWeb版のみならず、各SaaSプロダクトを通じて、NewsPicksのコンテンツの価値を多くの方に届けていきます。
「NewsPicks」のサービスの特徴は以下のとおりです。
100以上の国内外のメディア、専門メディアの配信ニュースを「NewsPicks」上においてワンストップで読むことができます。
「NewsPicks」を通じて、ユーザー同士のコミュニティが形成されています。ユーザーはニュースにコメントを投稿することができ(コメントを投稿するユーザーは「ピッカー」と呼ばれます)、気になるピッカーをフォローし、「探す」ページよりフォローしているピッカーのコメントを閲覧することが可能です。
独自の編集部が取材・編集し、社会性の高いテーマやビジネスに示唆を与えるストーリーを深堀し、記事や動画によるオリジナルコンテンツを作成、提供しています。
「NewsPicks」には主に以下の機能があります。
ユーザーは、「NewsPicks」上のニュースを「Pick」することができます。「Pick」したニュースは、ユーザーごとに蓄積され、ユーザーは過去に「Pick」したニュースを「NewsPicks」上でいつでも見ることができます。また、ユーザーは「Pick」したニュースにコメントを投稿することができ、投稿されたコメントは「NewsPicks」上に公開されます。ユーザーは、「NewsPicks」上のニュースについて、ニュースの内容のみならず、当該ニュースに寄せられた専門家、著名人等のコメントを合わせて読むことでより多角的にニュースを読み解いたり、アイデア発想に役立てたりすることができます。
ユーザーは、「NewsPicks」を利用する他のユーザーをフォローすることができます。「NewsPicks」内の「探す」というページ内の「フォロー」タブには、自分がフォローした他のユーザーが「Pick」したニュースが配信されます。これにより、「フォロー」タブは、ユーザーのフォローする専門家、著名人、友人・知人等の「Pick」するニュースで構成されることとなり、ユーザーは好みのニュースを自分に配信させることが可能となります。
ユーザーは、「NewsPicks」に自らニュース記事を投稿することができます。インターネット上に公開されているニュースのURLを「NewsPicks」上の投稿ページに入力することにより、「NewsPicks」上で他のユーザーにニュースを共有することができます。
ユーザーは、「NewsPicks」内のニュース記事、ユーザーコメント、ユーザー名を検索することができます。これにより、過去のニュース検索や、コメントからのキーワード検索、他のユーザーの検索をすることが可能となっています。また、Web版では、「SPEEDA」との連携により、「SPEEDA」に格納されている財務データや統計情報などの経済データもワンストップで検索することができます。
「NewsPicks」の主な収益源は、有料課金ユーザーから受領する月額利用料、「NewsPicks」上に掲載する広告に関して広告主から得る広告収入、「NewsPicks」上に掲載する採用情報に関して募集企業から得る採用記事に関する報酬等です。
「NewsPicks」の主な収益源における各サービスの内容は以下のとおりです。
有料課金ユーザーであるプレミアム会員は、「NewsPicks」オリジナルコンテンツや海外の有料媒体の記事、各界の著名人が出演する動画コンテンツ等を閲覧できます。また、NewsPicksパブリッシングが刊行している電子書籍を20%割引で購入することや、職業の情報・経験を共有する姉妹メディアである「JobPicks」に掲載されている経験談を無制限で閲覧することが可能です。さらに、自分の好みのトピックをフォローし、各トピックのオーナーが発信する記事の購読やその記事のコメント欄にてオーナーとの双方向のやり取りができる「NewsPicksトピックス」というサービスを利用できます。
なお、プレミアム会員は月額1,700円(年割プランは月額1,250円、3年割プランは月額1,083円、学割プランは月額500円)です。
(注) 新規にお申込された場合の価格となります。なお、2021年11月15日以降、Apple Store / Google Play経由でプレミアムプランを新規にお申込みされた方は、月額1,850円となります。
事業系統図(NewsPicks事業)
「NewsPicks」のARRの推移は以下のとおりです。
(注) ARRとはAnnual Recurring Revenueの略称で、年間経常収益を指し、サブスクリプションにより得られる今後1年の収益を表します。MRR(Monthly Recurring Revenue:月間経常収益)の12倍の値です。なお、セグメント変更に伴い、当該変更後の数値を記載しています。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び当社の連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものです。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成に当たって、決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定の設定を行っています。当該見積りは、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる各種の要因に関して仮定設定、情報収集を行い、見積金額を算出していますが、実際の結果は見積り自体に不確実性があるために、これらの見積りと異なる可能性があります。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しています。
また、連結財務諸表の作成にあたって採用している会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しています。
(2) 経営成績等の概況及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 経営成績
当社グループを取り巻く経営環境については、国内情報サービス業の売上高規模は2021年においては14兆1,566億円(前年比9.7%増)と10年連続で成長を続けています(経済産業省「特定サービス産業動態統計調査(2022年2月公表)」)。その中で、SaaS(Software as a Serviceの略称。月額課金や年額課金の仕組みを取っているウェブサービス)の国内市場規模は、年平均成長率が約13%で拡大しており、2025年に向けてDX(デジタル・トランスフォーメーション)の取り組みが加速しており、カテゴリーを問わずパッケージソフトからSaaSへの移行ニーズがますます高まっています。加えて新型コロナウイルス感染症の影響でリモートワークが拡大し、IT投資に消極的であった中堅、中小企業においてもソフトウェア導入が進展しています。こうした流れから、SaaSの国内市場規模は2025年には約1兆4,607億円に拡大する見込みです(富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場2021年版」)。また、スマートフォンの個人保有率は2020年において69.3%(前年比1.7ポイント増)と普及が進んでいます(総務省「令和2年通信利用動向調査(2021年6月18日公表)」)。更に、インターネット広告費の市場規模は、2019年に初めて2兆円を超えてテレビメディア広告費を抜き、2021年には2兆7,052億円(前年比21.4%増)と拡大しています(株式会社電通「2021年 日本の広告費(2022年2月24日公表)」)。
一方で、2020年3月ごろから拡大している新型コロナウイルス感染症は、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置に基づく人流抑制や、ワクチン接種の浸透により、一時的に感染者数は大きく減少しました。しかしながら、新たな変異株が流行するなどし、依然として予測が難しい経済状況が継続しています。
今後、withコロナ時代において、クラウドサービス導入や良質なメディアコンテンツなど、当社グループの提供サービスへのニーズは、より一層高まっていくものと認識しています。
このような環境の下、当連結会計年度における当社グループの事業は順調に拡大を続けており、売上高は16,063百万円(前年同期比16.3%増加)、EBITDAは1,904百万円(前年同期比107.5%増加)、営業利益は1,460百万円(前年同期は営業利益104百万円)となりました。また、当社子会社であるUBV Fund-Ⅰ 投資事業有限責任組合が投資有価証券売却益303百万円を計上したこと等により、経常利益は1,576百万円(前年同期は経常損失281百万円)となりました。なお、NewsPicks事業において、国内拠点である「NewsPicks GINZA」からの撤退を決定したことに伴い、減損損失289百万円並びに拠点撤退損失引当金繰入額210百万円を特別損失としてそれぞれ計上したこと及び法人税等を438百万円計上したこと等により、親会社株主に帰属する当期純利益は589百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失6,472百万円)となりました。
また、当第4四半期連結会計期間より、報告セグメント区分の変更を行っています。
これまでB2B向け事業について、「SPEEDA事業」と「その他B2B事業(2020年12月期までは「その他事業」と呼称)」に区分して業績開示をしてきましたが、「SaaS事業」セグメントとして統合して開示しています。
同様に、従来「NewsPicks事業」として開示していた、連結子会社である株式会社アルファドライブ、株式会社アルファドライブ高知、及び株式会社ニューズピックスにおいて法人向けに展開している「NewsPicks Enterprise」「NewsPicks Learning(法人版)」をAlphaDrive/NewsPicks(以下、「AD/NP」という。)として、これらも「SaaS事業」セグメントに含める形で開示しています。
さらに、報告セグメントに含まれない事業セグメントである「その他」に含まれていたSPEEDA EDGEも「SaaS事業」セグメントに含めています。
変更理由は以下のとおりです。
① SPEEDA事業とその他B2B事業は共通のコアアセットを活用したSaaS事業であり、また、今後クロスセルを含めたより一体的な事業経営をしていくため
② AD/NPはNewsPicksを活用したSaaSプロダクトによる法人ソリューション事業であること
③ AD/NPと同様に、SPEEDA・FORCAS・INITIALいずれもNewsPicksをサービス上、活用しており、AD/NPのみをNewsPicks事業に含めることが実態にそぐわないため
以上のことから、今後の当社の報告セグメントは、「SaaS事業」と「NewsPicks事業」の2セグメントとなります。
なお、当社は前連結会計年度においてQuartz事業より撤退しています。
各報告セグメントの業績は次の通りです。
なお、当社グループにおいては複数の事業を国内外で展開しており、コーポレート業務に係るコストが複雑化しています。そこで、報告セグメント別の経営成績を適切に反映させるため、グループ共通のコーポレート業務に係るコストを、各セグメントの事業実態に合った合理的な配賦基準に基づき配賦しています。
具体的には、当社グループのコーポレート業務に係るコストを以下の2つに分類し、Direct Costに関しては、費目ごとに事業実態に合った合理的な配賦基準に基づき配賦し、Indirect Costに関しては、各報告セグメントの売上高を基準として配賦しています。
・Direct Cost:提供サービスや事業に直接紐づくコスト
・Indirect Cost:提供サービスや事業に直接紐づかない連結グループ全体経営のために発生する全社費用(例:上場維持コスト、監査報酬、役員報酬など)
また、各報告セグメント別のEBITDAについては、適切に各報告セグメントの収益力を表示する観点から、経営上の業績評価となる指標であるDirect EBITDA及びセグメントEBITDAを表示しています。
セグメント利益又は損失、Direct EBITDA及びセグメントEBITDAは下記の通り算出しています。
・セグメント利益又は損失:Direct Costのみ配賦して算出した金額
・Direct EBITDA:セグメント利益又は損失に、減価償却費及びのれんの償却費を加えた金額(上記Indirect Costである全社費用配賦前の金額)
・セグメントEBITDA:Direct EBITDAに、Indirect Costである全社費用を配賦した金額
■ SaaS事業
SaaS事業では、顧客のアジャイル経営(顧客起点で、変化にスピーディーに適応する経営)の実現をサポートするSaaSプロダクトの提供を行っています。アジャイル経営の実現をサポートするには、顧客の事業戦略・顧客戦略・組織戦略をサポートする必要があると考えており、領域毎に提供しているプロダクトは以下の通りです。
事業戦略:SPEEDA・INITIAL・SPEEDA EDGE
顧客戦略:FORCAS・FORCAS Sales
組織戦略:AD/NPで提供しているNewsPicks Enterprise・Incubation Suite
なお、当社ではストック型収益の拡大を重要視していることから、ARR(Annual Recurring Revenueの略で、年間経常収益、サブスクリプションにより得られる今後1年の収益を表します。MRR(Monthly Recurring Revenue)月間経常収益の12倍の値です。)を最重要KPIとしています。
複数のプロダクトを提供している中でも、主力は創業プロダクトであるSPEEDAとなります。SPEEDAは、当連結会計年度においては、国内ではカスタマーサクセスチームを含めた営業組織の強化によって、新規受注が安定的に積み上げられ、また、既存顧客からのアップセルも進みました。中国を中心としたアジア地域においても、新型コロナウイルス感染症の影響は落ち着きを見せ、新規獲得が進みました。直近12ヶ月平均解約率については、1.0%と第3四半期連結会計期間末から0.2ポイント改善しており、期初に掲げた目標を達成することができました。また、当連結会計年度においては、SPEEDA EXPERT RESEARCHの立ち上げを重点投資領域に掲げ、マーケティングや営業職を中心とした人材採用を強化しています。SPEEDA EXPERT RESEARCHへの投資は順調に進んでおり、SPEEDA上から専門家に質問し、24時間以内に5人以上からテキスト回答が得られる新機能「Flash Opinion」も売上高の拡大に貢献しています。
SPEEDAからスピンアウトする形で2017年にリリースした、顧客戦略をサポートするFORCASに関しては、エンタープライズ企業での導入も進み、また、2020年にリリースしたFORCAS Salesにおいても、FORCASの顧客における導入が進み、高い成長率を維持しています。
組織戦略をサポートするAD/NPに関しては、NewsPicksを法人向けにカスタマイズした、人材開発と組織活性化を実現するプロダクトである「NewsPicks Enterprise」と、新規事業開発に必要なサポートを1つのプラットフォームにした、新規事業開発特化型の総合支援プロダクト「Incubation Suite」の新規顧客開拓が進み、高い成長率を実現しています。
これらのことから、SaaS事業の当連結会計年度末におけるARRは9,828百万円となり、前年同期比29.5%増と順調に拡大し、当連結会計年度におけるセグメント売上高は10,012百万円(前年同期比32.0%増加)となりました。利益の観点では、主力プロダクトであるSPEEDAが高い収益率を実現している一方で、FORCASやFORCAS Sales、NewsPicks Enterprise、Incubation Suiteといったプロダクトに関しては、高成長を目指すフェーズであるため、積極的な成長投資を行っており、現時点では赤字となっています。そのため、セグメント利益は2,178百万円(前年同期比0.8%減少)、Direct EBITDAは2,388百万円(前年同期比2.1%増加)、セグメントEBITDAは1,580百万円(前年同期比15.4%減少)となりました。
なお、前年同期との比較・分析は、変更後の新セグメントに基づいて記載しています(以下、NewsPicks事業についても同様です)。
NewsPicks事業においては、前第2四半期連結会計期間において年割契約の有料課金ユーザーが大幅に増加した反動によって、第2四半期連結会計期間に、個人の有料課金ユーザー数の伸び率が鈍化しました。しかしながら、反動の影響は一時的なものであったため、第3四半期連結会計期間以降は再度純増ペースに回復しています。広告売上においても、四半期毎に季節性はあるものの、ビジネスパーソンに信頼されるメディアとしての立ち位置が確立されつつあり、当連結会計年度では安定的に拡大しています。一方、当連結会計年度において、動画コンテンツや、NewsPicks Expertを含むコミュニティ強化に向けた開発投資、マーケティング投資を積極的に実行しました。
これらの結果、当連結会計年度末におけるARRは、2,583百万円(前期比2.6%増加)、当連結会計年度におけるセグメント売上高は6,106百万円(前年同期比15.5%増加)と増加しました。また、セグメント利益は846百万円(前年同期比4.9%増加)、Direct EBITDAは980百万円(前年同期比8.0%増加)、セグメントEBITDAは488百万円(前年同期比15.6%減少)となりました。
② 財政状態
資産合計は、前連結会計年度末と比較して4,371百万円増加し、20,286百万円となりました。これは主に、流動資産において現金及び預金が3,028百万円増加したこと、投資その他の資産において投資有価証券が1,386百万円増加したこと等によるものです。
負債合計は、前連結会計年度末と比較して1,519百万円増加し、10,316百万円となりました。これは主に、流動負債において、SaaS事業の事業規模拡大により前受収益が821百万円増加したこと、未払法人税等が240百万円増加したこと等によるものです。
純資産合計は、前連結会計年度末と比較して2,851百万円増加し、9,970百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益589百万円を計上したことにより利益剰余金が589百万円増加したこと、VC事業における外部投資家からの払込等により非支配株主持分が2,133百万円増加したこと等によるものです。
③ キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は前連結会計年度末と比べ3,100百万円増加し、10,613百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、2,696百万円の収入(前年同期は1,026百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益1,214百万円を計上したこと、SaaS事業の事業規模拡大等に伴い前受収益が815百万円増加したこと、減価償却費349百万円を計上したこと、減損損失289百万円を計上したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、1,066百万円の支出(前年同期は2,028百万円の支出)となりました。これは主に、VC事業における投資及び業務提携等を目的としたマイノリティ投資による投資有価証券の取得等による支出968百万円、無形固定資産の取得による支出396百万円、VC事業における投資有価証券の売却による収入356百万円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、1,404百万円の収入(前年同期は613百万円の収入)となりました。これは主に、VC事業における組合員からの払込による収入1,735百万円、長期借入れによる収入800百万円、長期借入金の返済による支出990百万円等によるものです。
生産に該当する事項がないため、生産実績に関する記載はしておりません。
受注生産を行っていないため、受注実績に関する記載はしておりません。なお、NewsPicks事業における広告サービスにおいて受注はありますが、受注から役務提供までの期間が短いため、受注状況に関する記載を省略しています。
当連結会計年度におけるセグメントごとの販売実績は、次のとおりです。
(注)1 セグメント間取引は相殺消去しています。
2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
3 前連結会計年度及び当連結会計年度の主な相手先別販売実績及び当該販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため、記載を省略しています。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況分析 (2) 経営成績等の概況及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ③キャッシュ・フロー」に記載しています。
当社グループにおける各事業はシステムを利用したプラットフォームサービスの提供を主としており、多額の設備投資などは必要とせず、主たる資金需要は人件費や広告宣伝費などの運転資金です。収益基盤の確立した既存ビジネスの獲得するキャッシュ・フローを原資に、新規に開始するビジネスの運転資金を賄うことを基本方針としていますが、成長投資資金の一部については、既存ビジネスによる獲得資金に加え、必要に応じて金融機関からの借入によって賄うこととしています。
この方針に従い、当連結会計年度においては、事業成長資金及び運転資金については、自己資金及び金融機関からの借入により充当しました。
今後の資金需要のうち、主なものは、運転資金のほか成長投資資金や本社移転に係る設備投資資金等です。これらの資金についても、基本方針に基づき主に自己資金により充当する予定ですが、必要に応じて金融機関からの借入を実施する等、必要な対応を行います。
当社グループの将来の財政状態及び経営成績に重要な影響を与えるリスク要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しています。
経営戦略の現状と見通しについては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しています。
当社グループが今後業容を拡大し、より高品質なサービスを継続的に提供していくためには、経営者は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の課題に対処していく必要があると認識しています。それらの課題に対応するため、経営者は常に市場におけるニーズや事業環境の変化に関する情報の入手及び分析を行い、現在及び将来における事業環境を認識したうえで、当社グループの経営資源を最適に配分し、最適な解決策を実施していく方針です。