売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率

ニュース

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最終更新:

E37222 

売上高

9.16億 円

前期

6.68億 円

前期比

137.1%

時価総額

18.0億 円

株価

400 (05/17)

発行済株式数

4,508,300

EPS(実績)

-4.66 円

PER(実績)

--- 倍

平均給与

621.3万 円

前期

626.6万 円

前期比

99.2%

平均年齢(勤続年数)

38.5歳(2.6年)

従業員数

51人

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

 当社は、「分断なき持続可能な社会を実現するための手段を提供する」ことを企業パーパスとし、SDGsで掲げられる17の目標のうち特に、「4. 質の高い教育をみんなに」、「5. ジェンダー平等を実現しよう」、「8. 働きがいも経済成長も」、「10. 人や国の不平等をなくそう」を優先課題として、事業に取り組んでいます。

 ビジョンとして、「人を幸せにする評価と教育で、幸せを作る人、をつくる。」を掲げ、個人が持つ多面的な能力を科学的に評価するシステム、評価データにもとづき成長を支援する教育コンテンツ、そして個人がデータを安全かつ主体的に活用するためのプラットフォームを学校法人、企業、自治体などのコミュニティに対して展開しています。当社サービスは、個人と組織のエンパワーメント(*)を支援し、Society5.0時代の産業基盤となるものと考えております。

 変化の著しい昨今の社会情勢においては、学歴という単一の軸だけに頼った人材評価・育成は困難であるとの課題認識のもと、2010年にグローバルに活躍できる人材の育成を目的とした教育事業(塾の企画運営)で創業しました。その後、教育の変革には、人材評価を根本から変えることが必要との想いから、テクノロジーの活用によって多面的な能力を公平に評価する「GROW」を2016年に開発し、2017年以降AI搭載エンジンにより社員や採用候補者の気質(*)・コンピテンシー(*)・スキルを科学的に測定して能力を可視化する「GROW360」を企業の人事領域に拡大して参りました。幅広い業種の多階層(職種×職位)における人材の評価データが蓄積されたことから、採用など人事の一領域に限らず戦略的人事(*)分野での応用を進め、2019年には教育現場に向けて同様の人材評価システム「Ai GROW」の提供を開始しました。さらに2020年以降、今後ESGが進展し、持続的社会の実現に向けて、企業とステークホルダーの関係が変化し、個人が自ら情報を管理・利活用する方向に変化を遂げる中で、当社サービスがそのインフラとなることを目指して、慶應義塾大学経済学部附属経済研究所FinTEKセンターと共同で、個人が主体的かつ安全に自分自身のデータの利活用ができることを目的にブロックチェーン(*)技術を応用したプラットフォームの実証(2023年3月までの3年間)を行いました。

 当社基幹システム「GROW」は、回答者自身の気質(性格)を潜在的な認知バイアス(*)を除去して正確に測る技術(特許取得)や、他者による評価を補正し忖度などの評価におけるバイアスを除去するためのAIアルゴリズム(特許取得)に強みがあり、公平で一貫した評価を行えることから、ハーバード・ビジネス・スクールのPeople Analytics(*)に関する代表ケースとしても取り上げられています(2017年8月25日「GROW: Using Artificial Intelligence to Screen Human Intelligence」)。また、ケンブリッジ大学や慶應義塾大学などとの共同研究をベースにして産官学連携でサービス開発に取り組んでおり、国内の大手企業や先進的な取り組みを行う学校法人のみならず、国際機関や海外の政府機関などでの導入実績があります。

 当社の主なサービスと、各事業の内容は以下のとおりです。また、次の各事業は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」に掲げるセグメントの区分と同一であります。なお当第3四半期会計期間より、「HR事業」に含まれていた新規事業について「プラットフォーム/Web3事業」と名称を変更し、報告セグメントを「HR事業」「教育事業」「プラットフォーム/Web3事業」の3区分に変更しております。前年同期比については、前年同期の数値を変更後の報告セグメントの区分に組み替えて算出しております。

 

(1)HR事業

 HR事業では、企業の人材採用・育成・配置・組織開発を、人材評価システム、オンライン教材、コンサルティング、研修など、多岐にわたるサービスを組み合わせて支援しています。特に、AIによってバイアスを補正した人材評価データを取得、分析し、データに基づく人事を可能にする点に強みを持っています。

 2023年6月発出の『経済財政運営と改革の基本方針2023(仮称)』の原案において、三位一体の労働市場改革の方針の中で、「リ・スキリングによる能力向上支援」、「個々の企業の実態に応じた職務給の導入」、「成長分野への労働移動の円滑化」の施策が定められており、当社がソリューションを提供している人事評価・育成市場の環境は引き続き良好で、拡大を見込んでおります。また、人的資本に関する文脈では、2022年6月公表の金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ報告において、有価証券報告書及び有価証券届出書の記載事項の改正内容に「人的資本、多様性に関する開示」が取り入れられ、企業は2023年3月期決算から対応が義務付けられることになりました。これにより、今後もますます人材評価データの蓄積と活用シーンは拡大が続くと見込んでおります。

 2017年のGROW360開発後は、主に新卒採用で企業の人事部を中心に展開をしてまいりました。2019年以降は大企業の事業戦略に直結するサービス(組織開発・人的資本経営支援)も提供するようになり、人事部のみならず経営企画部、DX(*)推進部との連携も進んでいます。2022年度当事業の実績では、累計売上高10百万円以上の大型顧客は10社(前年同期+3社)と増加したものの、総顧客数は62社(前年同期は65社)に留まりました。顧客単価(注1)は5百万円超の高水準は維持したものの、前年同期比△5%とやや減少し、事業売上は前期比減収となりました。リカーリングレベニュー(注2)は82%となりました。なお、主要なサービスは以下のとおりです。

 

 

(注1)HR事業の各年度の売上を、当該年度の顧客数で除して算出。2022年3月期実績は5,400千円、2023年3月期実績は5,100千円。

(注2)前年度に取引のあった顧客からの売上が事業全体の売上に占める割合。

 

① GROW360

 「GROW360」は、スマートフォンを用いて受検する人材評価システム(サービス)です。被評価者自身の自己評価に加えて、他者による360度コンピテンシー評価も行います。評価に費やした時間、評価の偏りなどをもとに、AIアルゴリズム(特許取得)が評価データのバイアスを是正するほか、IAT(Implicit Association Test*。特許取得)を用いて本人の潜在的な性格をBIG5(*)による気質診断に基づき判定する人材分析システムであり、採用、人材育成、配置など企業の組織開発全般で活用されています。バイアス補正による公平で一貫した人材評価をシステムを通じて実施することで、1回1人あたり受検費用4,000円以下で提供しています。これにより、従来は特定の階層に限定して行われてきた360度評価を、大企業の全社員対象でも実施し、データ化を進めることが可能です。また、ダイバーシティ&インクルージョン(多様な人材を積極的に受容し、組織づくりに生かす取り組み)推進において無意識のバイアスが障壁となっているとの認識が社会で広く共有される中で、評価バイアスを補正したうえで精緻に気質・行動特性を評価できる点で顧客企業のニーズを捉え、導入が増えています。「GROW360」のユーザー(登録アカウント)数は77.5万人、累計他者評価件数(25項目のコンピテンシーを84問で評価。1人の被評価者に対し最低3人が他者評価を実施)は6,700万件(2023年3月末時点)となっています。

 

② 人的資本理論の実証化研究会

 人的資本理論の実証化研究会(Human Capital and Corporate Value)は、2023年3月期決算から義務化される「人的資本の情報開示」に向けて、「そもそも人的資本が企業価値にどれだけ寄与するものか(人的資本の投資対効果)」を明らかにすることで、経営者へデータに基づいた人材施策の投資判断を促し、かつ投資家への戦略的な情報開示を実現するために発足しました。「人的資本」の概念を提唱したノーベル経済学者のゲーリー・ベッカー教授の理論の元、本研究会では人的資本を「能力」と捉えています。

 これまで人材能力は測定・定量化が難しく、日本では人的資本の投資対効果の研究はあまり進んでいませんでしたが、本研究会では、当社の360度人材評価システム「GROW360」を活用し、社員の多様な能力を測定し、一橋大学 小野教授の人的資本理論に基づきながら、人材能力データ・財務データ等を含めた企業の実データを分析し、研究を進めています。なお、2023年3月期は9社が参画しています。

 

 

(2)教育事業

 教育事業では、学校や教育機関向けに、生徒の能力と教育効果をAIで可視化する評価システム「Ai GROW」、Society5.0時代を切り拓く基礎となる非認知能力などを育むSTEAM教育(*)動画コンテンツ「GROW Academy」、AIを搭載したオンライン英語学習ツール「e-Spire」を利用したサービスの提供を行い、日本の次世代を担う人材育成支援を行っています。GROW Academy及びe-Spireは、2022年度も経済産業省の「EdTech導入補助金(*)」対象サービスとして採択されました。

 文部科学省が実現を目指すGIGAスクール構想(*)によって、公教育現場におけるICT(情報通信技術)環境が急速に整備され、タブレットで受検を行うAi GROWや、オンライン学習教材であるGROW Academyの活用シーンも大幅に拡大しました。また、教育現場での働き方改革という課題に対しても、日々相互評価でデータ蓄積するAi GROWにより、期末ごとの生徒の定性評価が自動生成され教員負担が大幅に低減されることから、採用が拡大しております(2023年3月末時点で、私立中高一貫、国公立中高、通信制高校、塾、小学校などを含めて210校超がAi GROWを有償導入)。

 従来からの学校法人への直接のサービス提供に加えて、2020年以降は自治体や教育委員会などへのサービス提供も本格化しています。2022年度当事業の実績では、顧客数(注)は335校(前年同期は324校)となり、業績成長をけん引しました。なお、主要なサービスは以下のとおりです。

 

① Ai GROW

 GROW360と蓄積された人材評価をベースに、学校・教育機関向けに開発したシステムです。360度コンピテンシー評価と気質診断により、生徒・学生の能力と可能性に加え、さまざまな教育活動の教育効果を可視化することができます。カリキュラム・デザインやクラス・マネジメント、就職までを見据えた進路指導等、多面的な活用が可能です。GROW360と共通尺度で評価を行うことで、子どもから大人まで一貫した評価軸を実現しています。1年間いつでも利用可能なサブスクリプションモデルとして提供しており、Ai GROWのこれまでのユーザー(登録アカウント)数は15.9万人、累計他者評価件数は3,500万件(2023年3月末時点)となっています。2021年の文部科学省「学校教育総括」によると、当社が主なターゲットとしている全国の中高生の生徒数は664万人となります。

 

② GROW Academy

 生徒のコンピテンシーを伸ばすための動画コンテンツと学習指導案、ワークシートを、生徒の人数に関わらず、学校単位で提供しています。生徒のコンピテンシーを伸ばすためのフレームワークを、学校生活を舞台に設定したアニメ形式の動画で分かりやすい事例を交えて習得することができます。カリキュラムや生徒の習熟度に応じて自由に組み合わせて利用でき、指導案も完備しています。Ai GROWとの併用により、新学習指導要領でも求められているコンピテンシー・ベースの教育とその評価を実現できるコンテンツ構成です。

 

③ e-Spire

 TOEFL®テストの構造に沿って設計されたオンライン英語学習プラットフォームです。VOCABULARY、READING、LISTENING、WRITING(AIによる自動判定付き)の4つのユニットで構成されています。各ユニットには単語や表現を限定した入門・初級レベルから英語の母語話者に近い上級レベルまで幅広い難易度の問題を用意しています。生徒は各自の英語力や学習ペースに合わせて、豊富な演習問題とトレーニングに自由に取り組むことができます。

 

(注)上記の顧客数は、サービス別で有償利用校数をカウントし、合算した延べ数(自治体案件なども学校ごとに個別カウント)。経済産業省「未来の教室」事業は除外。

 

 

 

(3)プラットフォーム/Web3事業

 ブロックチェーン技術を用いて個人が主体的かつ安全に自らの情報をコントロールするシステム(BCシステム)を構築し、慶應義塾大学経済学部附属経済研究所FinTEKセンターと共同で、学校、企業、自治体などでの個人情報の利活用を広げ、AIを活用することで教育・キャリア形成・人材育成支援を強化する実証事業「STAR(Secure Transmission And Recording)プロジェクト」は、12団体の参画、8,671名の登録者、参画企業への採用選考参加400名を持って、2023年3月に無事に3か年の実証が完了いたしました。

 2023年2月には、「STARプロジェクト」の後継として「ONGAESHI(オンガエシ)プロジェクト」が始動し、当社はDAO(*)構築に向けて主にサービス開発・運営を担う形で参画しています。プロジェクトの重要な要素である暗号資産関連事業を行うことを目的に、2023年4月にはONGAESHI Corporation(当社の100%子会社)を設立しておりますが、今後、本プロジェクトに賛同する企業や個人からの出資により当社の持株比率を下げ、2024年3月期中に子会社から除外した後、翌2025年3月期以降のIEO実施を想定しております。

 2023年9月のサービスローンチに向け、システム開発、技術的優位性の確保に向けた特許申請、アカデミアとの連携(金融モデル構築・マーケットデザインなど)について取り組みを継続しています。

 

<事業系統図>

 当社の事業系統図は、以下のとおりであります。既存のHR・教育の2事業においては、企業や学校が直接の顧客となり、その社員や生徒がユーザーとなるビジネスモデルです。

 

※画像省略しています。

 

用語集

用語

用語の定義

Society 5.0

サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)のこと。第5期科学技術基本計画(2016年度~2020年度)において、我が国が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱された(出所:内閣府)。

エンパワーメント

個人や組織が本来持っている潜在能力を引き出し、発揮させること。「権限委譲」や「能力開花」と訳される。社員に自発的な行動や判断を促し、本来持っている能力を発揮させることで、意思決定の迅速化や組織力の向上などが期待できます。

気質

パーソナリティー。本人も認識できない生まれ持った潜在的な性格のこと。当社では、IAT(潜在連合テスト)技術を活用し、時間差・指の軌跡・間違いの回数などを基に、BIG5と呼ばれる最も代表的なパーソナリティ理論に基づいて気質診断を行います。

コンピテンシー

思考力や判断力、創造力や表現力など個人の行動特性のこと。一般的に経験によって上がっていき、開発が可能な能力のことを指します。当社では、東京大学中原淳研究室(当時)と共同開発したコンピテンシーフレームワーク&モデルをもとに、最低3人からの360度評価に基づいて、25項目(認知・自己・他者・コミュニティの4領域)を測定します。

戦略的人事

労務管理、給与計算などの管理やオペレーション業務だけでなく、自社の経営戦略の実現に向けて、人的マネジメントを行っていくこと(出所:HRプロ)。

ブロックチェーン(BC)

インターネット上に構築された価値交換のための基盤技術のこと。通貨や不動産、株式やライセンスなどの価値(資産)をインターネット上で特定の管理者を介することなく安全かつ安価に取引できるようにする仕組み。

認知バイアス

不合理な判断に繋がる、先入観や直感、願望などによる思考の偏りのこと。当社では、IAT技術の活用により、気質以外にも幅広い対立概念に対する認知バイアスの測定が可能で、実際にデジタル-リアルへの親和性などを測定するサービスを提供しています。

People Analytics

人事に関する情報や数字を収集、分析し、客観的なデータを用いて、採用や教育、評価など一連の人事業務の意思決定に活用すること(出所:HRプロ)。

DX

デジタルトランスフォーメーション(DX)は、企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること(出所:経済産業省「DX推進指標」)。

IAT

Implicit Association Test(IAT、潜在連合テスト)は、社会心理学の分野において心的表象と対象物及び対象概念との潜在的な関連の強さを測る手法として、アンソニー・グリーンワルド、デビー・マギー、ジョーダン・シュワルツによって1998年に開発されました。偏見、固定観念、差別を見極めるための手法として、被検者の自己分析よりも信頼性の高い指標と考えられています。

BIG5

人間の性格を、5つの因子を用いて説明するパーソナリティ特性の分類法のこと。解放性(O)・誠実性(C)・外向性(E)・協調性(A)・神経症傾向(N)の5つの因子から、OCEANモデルとしても知られています。パーソナリティの対立軸に優劣はありませんが、傾向が強く出過ぎた時のリスクや、自身の気質から生じやすい行動特性を理解することが大切とされます。

イノベーションスコア

GROW360で定義している25項目のコンピテンシーのうち、特にゼロから1を生み出す(イノベーション)上で重要な6つのコンピテンシー(個人的実行力、外交性、課題設定、共感・傾聴力、創造性、地球市民)をもとに、イノベーションスコアを算出しています。

LMS

Learning Management System(LMS)は、eラーニングの実施に必要な学習管理システムのこと。

STEAM教育

S(Science科学)、T(Technology技術)、E(Engineering工学)、A(Art芸術)、M(Mathematics数学)の頭文字を組み合わせた造語で、各教科での学習を実社会での課題解決に生かしていくための教科横断的な教育を指します。

EdTech導入補助金

教育現場における先端的教育用ソフトウエア・サービスを導入する「EdTech事業者」が行う①EdTechツールの導入及び②利活用に関しての手厚いサポートに要する経費の一部を補助することにより、学校等設置者等とEdTech事業者の協力によるよりよい学校環境づくりを後押しすることを目的として、経済産業省が実施する事業。

GIGAスクール構想

児童生徒1人1台端末の整備及び校内通信ネットワークの整備によって、多様な子供たちを誰一人取り残すことのない、公正に個別最適化された学びを全国の学校現場で持続的に実現させるために、文部科学省が2019年12月に発表した取り組み。

DAO

Decentralized Autonomous Organization(DAO、分散型自律組織)は、特定の所有者や管理者なしに、意思決定・事業推進ができるよう設計された組織のこと。ブロックチェーン上のプログラムであるスマートコントラクトを活用し、参加者が行う意思決定のための投票(ガバナンストークンを利用)の結果や、運営ルールなどを記録する。記録された情報は、誰でも閲覧可能かつ改ざんが困難で、透明性が高いことが特徴。

23/06/27

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。

 なお、前事業年度において、「営業活動によるキャッシュ・フロー」の「その他」に含めていた「未払法人税等(外形標準課税)の増減額」、「未払又は未収消費税等の増減額」は金額的重要性が増したため、当事業年度より独立掲記することとしました。この表示方法の変更を反映させるため、前事業年度の財務諸表の組替えを行っております。

 

① 財政状態の状況

(資産)

 当事業年度末における資産は、前事業年度末と比較し146,790千円減少し、1,088,087千円となりました。これは主に、現金及び預金が53,319千円、売掛金が51,495千円、繰延税金資産が41,004千円減少したことによるものです。

 

(負債)

 当事業年度末における負債は、前事業年度末と比較し38,567千円減少し、55,170千円となりました。これは主に、未払法人税等が28,811千円、未払消費税等が13,149千円減少したことによるものです。

 

(純資産)

 当事業年度末における純資産は、前事業年度末と比較し108,223千円減少し、1,032,917千円となりました。これは主に、当期純損失の計上により利益剰余金が125,401千円減少したことによるものです。なお、減資及び欠損填補により、資本金が301,013千円、資本準備金が118,460千円減少し、利益剰余金が419,474千円増加しております。

 

② 経営成績の状況

 当事業年度における我が国の経済及び世界経済は、コロナの落ち着きによる経済回復が見込まれる一方で、ウクライナ情勢の長期化に伴う資源・原材料価格の上昇、米国の地銀発の金融リスクの高まりにより、先行きの不透明感が高まっています。

 当社は、こうした短期の経済変動に多少の影響は受けるものの、世界の長期的、構造的な変化のエンジンとなるべく、「分断なき持続可能な社会を実現するための手段を提供する」ことを企業パーパスとし、個人が持つ多面的な能力を科学的に評価するシステムや、評価データにもとづき成長を支援する教育コンテンツ、そして個人がデータを安全かつ主体的に活用するためのプラットフォームを学校法人、企業、自治体などのコミュニティに対して展開する、個人と組織のエンパワーメントを支援するSociety5.0時代の産業基盤となるべくサービスを提供しています。

 こうした変化により対応した体制を整えるべく、当社は、デジタル人材育成・採用一体型の新サービス「ONGAE SHI(オンガエシ)」の実現に向けて「ONGAESHIプロジェクト」に参画し、翌事業年度の事業化に向けた取り組みを開始いたしました。そのため、当第3四半期会計期間より、「HR事業」に含まれていた新規事業について「プラットフォーム/Web3事業」と名称を変更し、報告セグメントを「HR事業」「教育事業」「プラットフォーム/Web3事業」の3区分に変更しております。前年同期比については、前年同期の数値を変更後の報告セグメントの区分に組み替えて算出しております。

 売上高は、教育事業におきましては、「Ai GROW」「e-Spire」の採用校が順調に増加し、前年同期比で増収となりました。しかし、HR事業におきましては、人的資本開示の企業の対応が当社の見込みより大幅に遅れ、他の施策への移行を試みたものの、既存顧客に対するプロダクト拡充の不足、新規顧客の開拓経路多角化の遅れが結果として生じたこと、足元の経済情勢により既存顧客のビジネスにマイナスの影響が出たこと等により、前年同期比で減収となりました。また、プラットフォーム/Web3事業におきましても、前事業年度に計上した大型案件の影響により、前年同期比で減収となりました。

 コスト面では、「ONGAESHIプロジェクト」につなげるための「STARプロジェクト」プラットフォームの追加機能開発、「GROW360」「Ai GROW」のAI精度向上や機能拡充、UI/UX改善等のソフトウエア開発及び研究開発活動に積極的に取り組みました。業容拡大のための人材採用にも継続して取り組む一方で、テレワークを推奨し、経常費用の削減に努めております。

 この結果、当事業年度の売上高は668,135千円(前年同期比7.3%減)、営業損失80,704千円(前年同期は営業利益39,864千円)、経常損失80,317千円(前年同期は経常利益21,287千円)、当期純損失125,401千円(前年同期は当期純利益44,433千円)となりました。

 セグメント別の経営成績を示すと、次のとおりであります。

 なお、報告されている事業セグメントの会計処理の方法は、財務諸表を作成するために採用される会計方針に準拠した方法であります。報告セグメントの利益(又は損失)は、営業利益(又は損失)ベースの数値であります。

HR事業

 HR事業では、AI搭載エンジンにより社員や採用候補者の気質・コンピテンシー・スキルを科学的に測定して能力を可視化する「GROW360」を利用したサービスを主に大手企業向けに提供しております。また、人的資本の情報開示に向けた政府の議論が加速する中、産学協働の「人的資本理論の実証化研究会」を大手企業9社と発足しました。

 人的資本の情報開示は追い風となっているもののスピード感が予想より遅れたこと、既存顧客に対するフォローアップ営業の不足やプロダクト拡充の不足、新規顧客の開拓経路多角化の遅れ、一部顧客の経済情勢の悪化による案件規模の縮小等により、前年同期比で減収となりました。

 この結果、当セグメントの売上高は317,684千円(前年同期比9.5%減)、セグメント利益は99,838千円(同26.9%減)となりました。

 

教育事業

 教育事業では、生徒の多様な能力とその成長に加え、各種教育活動の教育効果を可視化する評価システム「AiGROW」、生徒のコンピテンシー育成のための動画コンテンツ「GROW Academy」、オンライン英語学習プラットフォーム「e-Spire」を提供しております。また、高等学校含め全面実施となった新学習指導要領下で重視される探究型学習の効果を網羅的に評価する「探究力測定パッケージ」を2022年5月より販売開始いたしました。

 コロナ禍での教育のデジタル化が追い風となっており、学校・教育機関向け「Ai GROW」につきましては、非認知能力の重要性が高まる中、採用校も全国に拡大し、受注活動も引き続き順調に推移しました。また、EdTech導入補助金2022につきましても、ほぼ交付決定額どおりに確定しました。

 この結果、当セグメントの売上高は294,323千円(前年同期比3.8%増)、セグメント利益は124,703千円(同21.4%増)となりました。

 

プラットフォーム/Web3事業

 慶應義塾大学経済学部附属経済研究所FinTEKセンターとともに、ブロックチェーンを用いて個人情報の管理・活用を実現するための「STARプロジェクト」が無事に完了いたしました。12団体が参画し、2023年3月末現在の登録学生数は8,671名となり、順調に推移いたしました。この成功を受けて、「STARプロジェクト」実証後のWeb3事業展開として「ONGAESHIプロジェクト」にリソースを集中させ、他の実証プロジェクトの開発をストップいたしました。

 この結果、当セグメントの売上高は56,127千円(前年同期比35.0%減)、セグメント損失は106,807千円(前年同期はセグメント損失15,162千円)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末と比較し53,319千円減少し、912,714千円となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの変動要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により使用した資金は、60,767千円(前事業年度は115,356千円の獲得)となりました。これは主に、減価償却費23,553千円、売上債権の回収に伴う売上債権の減少額51,495千円があったものの、税引前当期純損失の計上80,317千円、未払法人税等(外形標準課税)の減少額10,953千円、未払消費税等の減少額13,149千円、法人税等の支払額26,792千円があったこと等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により使用した資金は、8,412千円(前事業年度は8,890千円の獲得)となりました。これは主に、ソフトウエア開発に伴う固定資産取得による支出によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により獲得した資金は、16,932千円(前事業年度は638,149千円の獲得)となりました。これは新株予約権の行使による株式の発行による収入によるものです。

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、記載を省略しております。

 

b.受注実績

 当事業年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

受注高

(千円)

前期比

(%)

受注残高

(千円)

前期比

(%)

HR事業

330,545

93.3%

58,083

128.4%

教育事業

340,883

112.9%

102,721

182.9%

プラットフォーム/Web3事業

877

1.5%

合計

672,307

94.3%

160,804

102.7%

 (注)プラットフォーム/Web3事業における、受注高の前期からの減少は、前事業年度に大型案件を計上した影響によるものであります。

 

c.販売実績

 当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

金額(千円)

前期比(%)

HR事業

317,684

90.5

教育事業

294,323

103.8

プラットフォーム/Web3事業

56,127

65.0

合計

668,135

92.7

 (注)最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

当事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

金額

(千円)

割合

(%)

金額

(千円)

割合

(%)

経済産業省

134,973

18.7

141,279

21.1

日本郵便株式会社

82,473

11.4

64,118

9.6

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上高)

 売上高は668,135千円(前年同期比7.3%減)となりました。セグメント別の売上高については次のとおりとなっております。

HR事業

 HR事業では、AI搭載エンジンにより社員や採用候補者の気質・コンピテンシー・スキルを科学的に測定して能力を可視化する「GROW360」を利用したサービスを主に大手企業向けに提供しております。また、人的資本の情報開示に向けた政府の議論が加速する中、産学協働の「人的資本理論の実証化研究会」を大手企業9社と発足しました。

 人的資本の情報開示は追い風となっているもののスピード感が予想より遅れたこと、既存顧客に対するフォローアップ営業の不足やプロダクト拡充の不足、新規顧客の開拓経路多角化の遅れ、一部顧客の経済情勢の悪化による案件規模の縮小等により、前年同期比で減収となりました。

 この結果、当セグメントの売上高は317,684千円(前年同期比9.5%減)となりました。

 

教育事業

 教育事業では、生徒の多様な能力とその成長に加え、各種教育活動の教育効果を可視化する評価システム「AiGROW」、生徒のコンピテンシー育成のための動画コンテンツ「GROW Academy」、オンライン英語学習プラットフォーム「e-Spire」を提供しております。また、高等学校含め全面実施となった新学習指導要領下で重視される探究型学習の効果を網羅的に評価する「探究力測定パッケージ」を2022年5月より販売開始いたしました。

 コロナ禍での教育のデジタル化が追い風となっており、学校・教育機関向け「Ai GROW」につきましては、非認知能力の重要性が高まる中、採用校も全国に拡大し、受注活動も引き続き順調に推移しました。また、EdTech導入補助金2022につきましても、ほぼ交付決定額どおりに確定しました。

 この結果、当セグメントの売上高は294,323千円(前年同期比3.8%増)となりました。

 

プラットフォーム/Web3事業

 慶應義塾大学経済学部附属経済研究所FinTEKセンターとともに、ブロックチェーンを用いて個人情報の管理・活用を実現するための「STARプロジェクト」が無事に完了いたしました。12団体が参画し、2023年3月末現在の登録学生数は8,671名となり、順調に推移いたしました。この成功を受けて、「STARプロジェクト」実証後のWeb3事業展開として「ONGAESHIプロジェクト」にリソースを集中させ、他の実証プロジェクトの開発をストップいたしました。

 この結果、当セグメントの売上高は56,127千円(前年同期比35.0%減)となりました。

 

(売上原価及び売上総利益)

 売上原価は、ソフトウエアの新規開発及び機能追加等により減価償却費が1,663千円、人員増加に伴い人件費が23,801千円、新規案件の受注に伴い外注費が17,878千円、それぞれ増加したこと等により、195,137千円(前年同期比29.8%増)となりました。この結果、売上総利益は472,997千円(前年同期比17.1%減)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 販売費及び一般管理費は、テレワークを推奨し、効率化を図る等のコスト最適化に努めた一方、業容拡大により人件費が27,757千円、システム費が13,625千円、支払報酬が18,392千円それぞれ増加したこと等により、553,702千円(前年同期比4.4%増)となりました。

 この結果、営業損失は80,704千円(前年同期は営業利益39,864千円)となりました。

 

(営業外収益、営業外費用、経常利益)

 営業外収益は、主に印税収入1,946千円の計上により1,956千円(前年同期は94千円)となりました。

 営業外費用は、為替差損1,097千円、株式交付費245千円、暗号資産評価損225千円の計上により1,569千円(前年同期は18,671千円)となりました。

 この結果、経常損失は80,317千円(前年同期は経常利益21,287千円)となりました。

 

(特別損益、法人税等合計、当期純利益)

 特別利益は、発生しておりません(前年同期は発生なし)。

 特別損失は、発生しておりません(前年同期は発生なし)。

 法人税等合計は、法人税、住民税及び事業税1,947千円、法人税等調整額43,135千円の計上により45,083千円(前年同期は△23,146千円)となりました。

 この結果、当期純損失は125,401千円(前年同期は当期純利益44,433千円)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析

 キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社の運転資金需要のうち主なものは、従業員の人件費、ソフトウエア開発に係る外注費、販売費及び一般管理費の営業費用であります。現在、運転資金は自己資金で賄っている一方、資金流動性確保のため、金融機関と当座貸越契約を締結しております。今後、更なるサービス開発や優秀な人材の採用等を通じ、事業規模の拡大を図る方針であり、資金調達手段の多様化を検討してまいります。

 なお、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は912,714千円であり、当社の事業を推進していく上で十分な流動性を確保していると考えております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

 この財務諸表の作成にあたっては財政状態経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り予測を必要としております当社は過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき継続的に見積り予測を行っておりますそのため実際の結果は見積り特有の不確実性があるためこれらの見積りと異なる場合があります

 

④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、持続的な成長と企業価値の向上のための客観的な指標として、売上高、営業利益の成長性を重視しております。

 HR事業では、売上高を「顧客企業数」×「顧客あたりの売上」と捉え、高い売上高成長率の継続に向けて、「顧客数の最大化」と、「複数階層・全社利用や複数のサービスの提供による顧客あたり売上の増大」に積極的に取り組んでまいります。

 教育事業では、売上高を「採用学校数」×「顧客あたりの売上」と捉え、売上高と営業利益の両方で高い成長率を継続するべく、特に「採用学校数の積み上げ」と、「複数のサービスの提供による学校あたり売上の増大」に積極的に取り組んでまいります。

 プラットフォーム/Web3事業は、事業の立ち上げ期であり、短期的には計画どおりに事業を進めることを最優先に取り組んでまいります。

 セグメント別の各指標の推移は以下のとおりであります。

 

セグメントの名称

当事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

売上高

(千円)

増減率

(%)

営業利益又は損失(△)

(千円)

増減率

(%)

HR事業

317,684

△9.5

99,838

△26.9

教育事業

294,323

3.8

124,703

21.4

プラットフォーム/Web3事業

56,127

△35.0

△106,807

 

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因

 当社の将来の経営成績に重要な影響を与えるリスク要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスクに記載のとおりであります

 

⑥ 経営者の問題意識と今後の方針

 第2 事業の状況 1 経営方針経営環境及び対処すべき課題等に記載のとおり今後更なる業容拡大と成長を遂げるには様々な課題に対処していくことが必要であると認識しておりますまた当社を取り巻く外部環境及び内部環境を適宜適切に把握し市場におけるニーズを識別して経営資源の最適化に努めてまいります