売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率

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最終更新:

E05209 Japan GAAP

売上高

137.4億 円

前期

151.8億 円

前期比

90.5%

時価総額

61.0億 円

株価

441 (07/12)

発行済株式数

13,831,091

EPS(実績)

-79.27 円

PER(実績)

--- 倍

平均給与

609.5万 円

前期

594.6万 円

前期比

102.5%

平均年齢(勤続年数)

38.3歳(7.0年)

従業員数

106人(連結:429人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

当社グループは、当連結会計年度末現在、当社および子会社16社、関連会社3社により構成されており、「プラットフォーム事業」および「コンテンツ事業」を主たる業務として行っております。

当社グループの事業内容および当社と主な関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりであります。

(1) プラットフォーム事業

『マルチコンテンツ&マルチデバイス戦略』を推進すべく、コンテンツの制作・プロデュースから配信プラットフォーム技術の開発・提供、コンテンツ配信のためのネットワークシステムの構築・運用、ユーザー向けコンテンツ配信サービスまで、ワンストップ・ソリューションを提供しております。

また、小売業向けにポイントサービスの提供等を行っております。

(主な関係会社)当社およびグッディポイント㈱

(2) コンテンツ事業

音源・映像などの企画、制作、販売その他音楽著作権取得管理事業および製造販売受託事業ならびに施設、イベントの受託事業等を行っております。

(主な関係会社)日本コロムビア㈱、㈱ドリーミュージックおよび㈱KSR

[事業系統図]

※画像省略しています。

24/06/24

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概況は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

国内の情報通信分野においては、2022年においてもインターネット普及率は84.9%と高水準で推移しており、その中でもスマートフォンを保有している世帯割合は90.1%と、パソコンを保有する世帯割合69.0%を大きく上回る状況となっております(※1)。また、2000年以降、若年層を中心にテレビ離れの動きが継続して進んでいるなか、2023年の日本の広告費はインターネット向け広告費が前年比7.8%増の3兆3,330億円となり、マスコミ4媒体広告費(新聞、雑誌、ラジオ、テレビメディア広告費の合算)の2兆3,161億円を大きく上回り、日本の総広告費の45.5%に達しました(※2)。世界においてもその傾向は顕著であり、2024年の世界のデジタル広告費は前年比6.5%増の約65兆円(4,426億ドル)となり、デジタル広告費が構成比で58.8%を超える見通しです(※3)。

※1 出所:総務省 「令和4年通信利用動向調査の結果」

※2 出所:株式会社電通 「2023年 日本の広告費」

※3 出所:株式会社電通 グループ「世界の広告費成長率予測(2023~2026)」

また、エンタテインメント市場においては、2023年の世界の音楽市場の売上高は約4兆3,186億円(286億ドル)と前年比10.2%増加し、9年連続で拡大、今世紀に入ってから最高の売上高を記録しております。特に有料サブスクリプションを含むストリーミングは全体の67.3%のシェアを占め2兆9,143億円(193億ドル)まで増加しております(※4)。日本においては、音楽市場全体の売上合計金額は3,372億円と前年比110%で推移し、有料音楽配信の売上実績は1,165億円と前年比111%、ストリーミングの売上は1,056億円と前年比14%増加し、有料配信売上全体の9割を超えるシェアまで伸長しております(※5)。

2022年のライブ・エンタテインメント市場は、感染拡大抑制と経済活動の両立が図られる中で経済の正常化が進み、市場規模は5,652億円とコロナ禍前2019年比10.2%減(前年は51.2%減)まで急速なペースで回復の兆しをみせております。2023年には6,408億円、その後も年成長率0.9%の拡大が見込まれており、2025年には6,525億円の市場規模にまで拡大するものと予測されております(※6)。

※4 出所:IFPI「Global Music Report 2024」

※5 出所:一般社団法人日本レコード協会「日本のレコード産業2024」

※6 出所:ぴあ総研「ライブ・エンタテインメント市場の調査結果及び最新の将来予測値
  (2023年12月22日公表)」

当社は1992年に創業され着信メロディを世界で初めて事業化するなど、携帯電話の普及とともに音楽配信事業を中核として順調に成長してまいりました。現在の音楽市場はスマートフォンの普及に伴い、ストリーミング、一般ユーザーが社会へ容易に情報発信できるユーザー生成コンテンツ(UGC)(※7)やソーシャルメディアといったメディアが多様化するなか、コンテンツの流通方法をはじめ、消費スタイルや、コンテンツの制作方法等、音楽業界のあらゆる活動が変化している状況にあります。

※7 インターネット上にユーザー自身が生成し投稿した画像や動画。User Generated Contentsの略称。

このような環境の下、当社グループは、創業以来コンテンツのデジタル流通に注力してきた取り組みを活かし、引き続き『マルチコンテンツ&マルチデバイス戦略(様々なコンテンツを、必要なときに、必要な場所で楽しむことができる環境の創造)』を推進し、インターネット上に溢れる情報を収集、整理し、付加価値を高めてユーザーに提供するプラットフォームの開発など市場環境の変化に応じた新規サービス展開に取り組んでまいりました。

新たなプラットフォーム「sprayer®(スプレーヤー)」は、アーティストがオリジナル楽曲を登録するだけで、世界中で配信・収益化できるだけでなく、独自の「spray LINK」機能を通しミュージックビデオやライブなど様々な活動をダイレクトに届けることができる新しい音楽ディストリビューションサービスです。「spray LINK」はサポーターを募集できる機能(楽曲の配信収益の一部をリワードとして還元できるクラウドファンディング)を搭載し、アーティストは活動資金を集められるだけでなく、サポーターと利益を共有することで楽曲をより多くのリスナーに届けることが可能です。2023年12月には国内のみならず海外における著作権管理や、音声合成キャラクターを使用した配信にも対応いたしました。今後もアーティスト自身がダイレクトに作品の情報をリスナー・ファンに届けることで、より深いエンゲージを構築しマネタイズできるプラットフォームを提供し、あらゆる層のアーティストエコノミーの拡充と「アーティストがファンと一緒に成長できる」仕組み作りに取り組んでまいります。

当社グループは時代に即した組織を目指し、2023年4月1日付でコンテンツ事業における組織再編を実施いたしました。各社が今までに培ってきた機能を分解しそれぞれのコア・コンピタンスを明確化することで、より事業展開をしやすい組織体制とし、利益構造の差別化と一層の効率化を目的としております。目まぐるしく嗜好・流行が変わる音楽市場に対し迅速に対応する体制を構築することで、魅力的なコンテンツの創出力および競争力の向上を図ります。主要レーベルの集約、管理機能や営業機能の一層の強化および効率化、レーベルの保有する資産と当社が保有するテクノロジーの融合など、より一層のグループシナジーの発現を目指してまいります。また、行動様式の変化や新たな価値観の定着を見据え、今後もよりフレキシブルな働き方を追求する方針です。

なお、当社は、東京証券取引所プライム市場に上場しておりましたが、2023年4月1日施行の東京証券取引所の規則改正に基づくスタンダード市場への上場の選択申請を行ったことから、2023年10月20日より東京証券取引所スタンダード市場へ移行しております。今後も組織運営の柔軟性を確保し、事業戦略の一元化と意思決定のスピードアップ、ノウハウ・人材等のリソースの効率的な活用を可能とすることにより、当社グループにおける音楽業界の変革期に対応する創造力を一層強化し、当社グループ全体の更なる企業価値向上に取り組んでまいります。

2018年以降、国内の音楽市場におけるパッケージ商品の売上が急速に減少する中で、当社グループは保有するカタログ音源資産を活用し、市場の縮小による事業への影響の逓減に努めてまいりました。しかしながら、近年はコンテンツ事業の総売上に占めるパッケージ商品の割合の減少が続き、当社を取り巻く事業環境は依然として厳しい状況が続いております。音楽業界の変革期に対応する体制を再構築するため、2024年3月26日に公表したとおり、転進支援施策の実施による組織改革に取り組むことといたしました。既存事業の選択と集中を一層推し進めると共に、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するために、抜本的な組織改革を着実に推進してまいります。

 

当社グループの当連結会計年度の業績については、売上高は前期比9.5%減の13,738百万円、営業損失は534百万円(前期は営業損失183百万円)、経常損失は564百万円(前期は経常損失148百万円)となりました。親会社株主に帰属する当期純損失は、コンテンツ事業セグメントにおけるシステム開発等に伴う減損損失106百万円、事業構造改善費用68百万円、今後の回収可能性を鑑みた繰延税金資産の取り崩しによる法人税等調整額367百万円等を計上したため、1,096百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失421百万円)となりました。

 

一方、当社グループの当連結会計年度末における財政状態については、次のとおりであります。

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ2,323百万円減少し、前期比9.6%減の21,903百万円となりました。主として、現金及び預金の減少、売掛金の増加ならびに投資その他の資産の減少によるものであります。

負債は、前連結会計年度末に比べ211百万円減少し、前期比2.4%減の8,629百万円となりました。主として、支払手形及び買掛金の増加ならびに長期借入金の返済による減少によるものであります。

純資産は、前連結会計年度末に比べ2,111百万円減少し、前期比13.7%減の13,274百万円となりました。主として親会社株主に帰属する当期純損失ならびにその他有価証券評価差額金の減少によるものであります。自己資本比率は60.6%となりました。

 

セグメントの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

<プラットフォーム事業>

プラットフォーム事業においては、既存配信事業の売上が減少を続けているため、新規性ある商品開発、多様化する収益機会の獲得に向けて各サービスの連動やプラットフォーム化を行い、今後も新たな成長分野への投資を行ってまいります。

「FaRao PRO」は、業務用BGMの提供のみならず、店舗のブランディングを提案するソリューションやアナウンス機能など、店舗運営に必要な機能拡充を中心とした営業活動を積極的に展開しております。今後とも、新たなBGM市場の創造と活性化を目指してまいります。アーティスト向けプラットフォーム「Fans'」は、オフィシャルサイトの構築、楽曲・映像配信、アーティストグッズの販売、ファンクラブ運営などアーティスト活動に必要な機能を有し、SNSとの連携強化によりファンがクリエイターの発信する情報を拡散することでコミュニティの創出に貢献できるサービスです。

また、ポイントサービスは小売業向けポイントシステム運営等のプラットフォームを提供するだけでなく、ポイント発行データ取得・分析・販促活用を一連のサイクルとして企画から運用までトータルでサポートし、小売業の販促効率を最大限に高めるアウトソーシングサービスを提供しております。ライブ配信プラットフォーム「Thumva」(サムバ)は、リアルライブ市場の回復に伴い、感染症拡大による行動制限下において「オンラインで心躍るライブ体験を届ける」という当初の目的を果たし、2023年11月末でサービスを終了いたしました。なお、「Thumva」のリソースを活用した新たな店舗向けサービス「Thumva BIZ」(サムバビズ)については、2023年12月1日付で事業譲渡を完了しております。

業績については、アーティスト向けプラットフォームでの売上は増加し、携帯電話向けコンテンツ配信におけるキャリア公式サイトサービスの売上は前年同規模を維持いたしましたが、小売業向けポイントシステム運営プラットフォームにおいて既存加盟店向けポイント発行が減少いたしました。また、前述の一部サービス終了に伴い、売上高は前期比9.0%減の1,955百万円、セグメント損失は216百万円(前期はセグメント損失236百万円)となりました。

 

<コンテンツ事業>

コンテンツ事業は、音楽市場の変化に伴う音楽・映像関連業界の厳しい環境の下、パッケージ商品に依存している状況からの脱却を図るため、将来を見据えた新規事業の強化を進めております。日本コロムビア、ドリーミュージック、KSRのレーベル3社においては、新たなヒットを創出すべく、次世代音楽ビジネスに適合するコンテンツの開発と育成を進めております。また、豊富なカタログ資産を新たなスキームで積極的に活用し、国内だけでないグローバルなIP領域の展開を目指しております。

業績については、所属アーティストの大型ライブイベントおよび自主公演が期間内に開催され、また利益率の高い音源使用にかかる売上が増加いたしましたが、新譜商品の発売中止や延期、主要パッケージ商品の売上減少などにより、売上高は前期比9.6%減の11,782百万円、セグメント利益は前期比70.9%減の125百万円となりました。

 

※本文書に記載されている商品・サービス名は株式会社フェイスの日本またはその他の国における商標または登録商標です。

 

② キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1,215百万円減少し、前期比11.1%減の9,758百万円となりました。

当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失664百万円、減価償却費186百万円、のれん償却額120百万円、法人税の還付額190百万円、法人税等の支払額24百万円等により、288百万円の支出(前期は158百万円の収入)となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出79百万円、ソフトウエアの取得による支出70百万円、貸付による支出276百万円等により、324百万円の支出(前期は339百万円の支出)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出495百万円、配当金の支払額110百万円があったこと等により、602百万円の支出(前期は329百万円の支出)となりました。

 

 

③生産、受注及び販売の実績

当社グループは、生産活動を行っておりません。仕入実績については、サーバー管理費及び労務費が売上原価の大半を占めるため、記載を省略しております。当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

プラットフォーム(千円)

1,955,852

△9.0

コンテンツ(千円)

11,782,502

△9.6

合計(千円)

13,738,355

△9.5

 (注)  セグメント間の取引については相殺消去しております。

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。これらの作成にあたり、以下の事項が当社グループの重要な判断および見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。

a. 収益の認識

 当社グループでは、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を適用しており、約束した財又はサービスの支配が顧客に移転した時点で、当該財又はサービスと交換に受け取ると見込まれる金額で収益を認識することとしております。

 プラットフォーム事業のうち、一部の子会社で営むポイント事業においては、顧客へのポイント発行ならびにポイントを使用された取引が返品権付の買戻契約に該当するため、純額で収益を認識しております。また、主としてコンテンツ事業における著作権者への印税の分配については、代理人として行われる取引であるため、楽曲使用者等から受け取る額から著作権者に支払う額を控除した純額で収益を認識することとしております。さらに、コンテンツ事業におけるカラオケの音源使用許諾料等については、一定期間にわたり収益を認識することとしております。また、コンテンツ事業における返品権付きの販売については、返品されると見込まれる商品の対価を除いた対価で収益を計上することとしております。

b. 売上原価

プラットフォーム事業につきましては、サービスをするにあたって必要なサーバー保守費用やシステム構築費用、楽曲等を制作するための費用及び著作権料等並びにそれらに係る労務費や諸経費を売上原価としております。また、プラットフォーム事業のうち、一部の子会社が営むポイント事業につきましては、加盟店から返却されるフルマークカード(交換済ポイント)ならびにポイント交換のための仕入商品、加盟店に販売する販促ツールの制作費等を販売原価としております。また、売上高と売上原価を期間対応させるため出荷ポイントのうち未交換ポイント残高を一定の計算方式により見積原価として計上しております。見積原価は、総未交換ポイント残高のうち4年(統計的分析結果に基づく最終的な未使用状態の固定化に要する年数)を経過した未交換ポイントは使用される可能性が低いことから当該見積原価より控除して計上しております。

コンテンツ事業につきましては、録音費、アーティスト印税、他社所有原盤権使用料などの原盤制作費は、関連作品に係る売上高を認識するまで資産計上し、同時点で原価に計上しております。関連作品の売上予定が無くなったと判断した場合、資産計上されていた原盤制作費は、その事由が判明した時点で全額原価として処理しております。前払費用にはアーティストに支払う契約金や前払印税が含まれております。契約金は契約期間に対応して償却を行っており、前払印税は売上高に対応して原価計上し、また個々のアーティストの過去の作品の販売実績等に基づく販売見込み額を勘案し、予想される将来の売上高に対応して原価計上しております。

c. 固定資産の減損

① 固定資産等の含まれる資産又は資産グループ(以下資産グループ)の識別

 減損が生じている可能性を示す事象(以下「減損の兆候」)は資産グループごとに識別しておりますが、当社グループではその決定にあたり、事業部門ごとに異なった事業を営んでいることから、原則として事業部門ごとにグルーピングしております。一方、のれんについては、のれんを含めた子会社ごとにグルーピングを行っております。

② 減損の兆候の識別

 当該資産グループが使用されている営業活動から生ずる損益又はキャッシュ・フローが、継続してマイナスとなっているか、又は、継続してマイナスとなる見込みである場合や、経営環境の悪化を把握した場合等に、減損の兆候を識別しております。

③ 減損の認識

 減損の兆候があった資産グループについては中長期の事業計画等を基礎として割引前将来キャッシュ・フローを算定し、資産グループの帳簿価額を下回る場合には減損損失を認識しております。

④ 減損の測定

 減損損失を認識すべきであると判定された資産又は資産グループについては、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として当期の損失としております。

 なお、上述の見積りや仮定には不確実性があり、事業計画や市場環境の変化により、見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。

d. 投資の減損

売買目的有価証券以外の有価証券のうち市場価格のない株式等以外のものについて、時価が著しく下落したときは、回復する見込みがあると認められる場合を除き、投資の減損を行います。この場合における「時価が著しく下落したとき」とは、個々の銘柄の有価証券の時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合をいいます。また、下落率が30%以上50%未満の銘柄については、過去の株価の推移や発行会社の業績等を勘案し、減損処理の要否を検討しております。市場価格のない株式については、当該株式の発行会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく低下したときは、投資の減損を行います。この場合における「実質価額が著しく低下したとき」とは、株式の実質価額が取得原価に比べ50%以上低下した場合をいいます。ただし、当該発行会社の財政状態及び経営成績、将来の事業計画等により回復可能性が認められる場合には、投資の減損を行わない場合もあります。

e. 返品制度と契約負債

著作権保護の観点から著作物であるCD等に関しては、レコード会社が市場での販売価格を定め、小売店が決められた定価で販売する再販売価格維持制度が定められております。これを背景として、一般にレコード会社と特約店等との販売契約において、レコード会社に製品を返品することができる旨約定されております。このため当社グループは将来の返品に備えて、過去の返品実績に基づく合理的な見積りにより算出した契約負債を計上しております。

f. 貸倒引当金

当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。なお、取引先の財政状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる場合があります。

g. 退職給付に係る会計処理

従業員の退職給付に備えるため、当連結会計年度末における退職給付債務から年金資産の額を控除した額を退職給付に係る負債として計上し、未認識数理計算上の差異を退職給付に係る調整累計額として計上しております。

日本コロムビア㈱及び一部の子会社においては、受給者向けには確定給付企業年金制度を、従業員向けには退職慰労金支給規程に基づく退職一時金制度と確定拠出年金制度を併用した年金制度を採用しております。

当社及び一部の国内連結子会社は、退職一時金制度又は確定拠出年金制度を採用しており、退職給付に係る期末自己都合要支給額を退職給付債務とする方法を適用しております。

退職給付費用及び退職給付債務は数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、死亡率及び年金資産の期待収益率などが含まれております。割引率は日本証券業協会の「格付けマトリクス表」によるダブルA格相当以上を得ている社債の利回りを勘案して算出しており、年金資産の期待収益率は年金資産が投資されている資産の種類毎の長期期待収益率に基づいて算出しております。将来、年金資産の運用利回りが低下した場合や、退職給付債務を計算する前提となる数理上の前提・仮定に変更があった場合には、退職給付債務や退職給付費用が増加し、影響を及ぼす可能性があります。

h. 繰延税金資産

当社グループでは、一部の連結子会社において、繰延税金資産を計上しております。

将来の課税所得を見積り、回収可能性がある将来一時減算差異についてのみ、繰延税金資産として資産計上を行い、回収不能なものについては評価性引当額を計上しております。経営環境等の変化により、課税所得の見積りの変更が必要となった場合は、繰延税金資産の計上額は変動し、当社グループの業績に重要な影響を与える可能性があります。

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の業績については、売上高は前期比9.5%減の13,738百万円、営業損失は534百万円(前期は183百万円の営業損失)、経常損失は564百万円(前期は経常損失148百万円)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純損失は1,096百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失421百万円)となりました。

a. 売上高

売上高は前期比1,439百万円減の13,738百万円となりました。これは主として、コンテンツ事業において前期に比べ売上が減少したためであります。

b. 売上原価、販売費及び一般管理費

売上原価は前期比835百万円減の8,547百万円、販売費及び一般管理費は前期比252百万円減の5,725百万円となりました。主として、売上高の減少によるものであります。

c. 営業利益

営業損失は、534百万円(前期は183百万円の営業損失)となりました。これは主として、a.にて前述した売上高の減少によるものであります。

d. 経常損益

経常損益は、前期比416百万円減の564百万円の損失となりました。これは主として、営業損失534百万円、未払印税整理益110百万円、持分法による投資損失154百万円を計上したこと等によるものであります。

e. 税金等調整前当期純損益

税金等調整前当期純損益は664百万円の損失となりました。(前期は175百万円の損失)これは主として、経常損失564百万円に、減損損失106百万円を計上したことによるものであります。

f. 親会社株主に帰属する当期純損益

親会社株主に帰属する当期純損益は1,096百万円の損失となりました。(前期は421百万円の損失)これは主として、税金等調整前当期純損失664百万円計上したこと及び法人税、住民税及び事業税並びに繰延税金資産の取崩による法人税等調整額367百万円計上したことによるものであります。

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

当社グループの当連結会計年度における資本の財源および資金の流動性については、従前より営業活動並びに投資活動においては、手元資金で賄っております。一方、財務活動におきましては、借入金の返済並びに配当金の支払には手元資金を充当いたしました。

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1,215百万円減少し、前期比11.1%減の9,758百万円となりました。

 

当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失664百万円、減価償却費186百万円、のれん償却額120百万円、法人税の還付額190百万円、法人税等の支払額24百万円等により、288百万円の支出(前期は158百万円の収入)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出79百万円、ソフトウエアの取得による支出70百万円、貸付けによる支出276百万円等により、324百万円の支出(前期は339百万円の支出)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出495百万円、配当金の支払額110百万円があったこと等により、602百万円の支出(前期は329百万円の支出)となりました。