E05235 Japan GAAP
前期
703.3億 円
前期比
45.3%
平均年齢(勤続年数)
41.3歳(6.9年)
従業員数
0.0人(連結:339人)
当社グループは、当社(ケネディクス株式会社)、子会社39社及び関連会社22社により構成されており、当社グルー
プの事業は、(1)アセットマネジメント事業、(2)不動産管理事業、(3)不動産運営事業、(4)不動産投資事業の4つの
事業から成ります。これらの事業は連結財務諸表の注記事項に記載のセグメントの区分と同一の記載であります。
(1)アセットマネジメント事業
アセットマネジメント事業とは、当社の顧客たる不動産投資家に対し、不動産及び不動産担保付債権等への投資機会や運用・管理サービス提供(アセットマネジメント)を通じて、不動産投資家に対してリターンを提供するものです。収益の源泉はこれらサービスの対価としてのフィー収入であり、大きく4つに分けられます。
① アクイジションフィー(取得報酬):不動産投資家への投資機会提供に関するフィー
― 不動産投資家のニーズに合わせ投資案件を発掘し、投資家が出資し組成したファンドで不動産等の取得を行います。
― 不動産等の取得の際、取得額に対し一定料率を掛けて算出されるフィーを受領します。
② アセットマネジメントフィー(運用報酬):不動産の運用に関するフィー
― 不動産等の運用・管理を通して収益を維持・向上させ、資産価値向上を図ります。
― 保有物件の運用状況を不動産投資家に対し報告します。
― これらのサービスの対価として、一般的に物件取得総額に対し一定料率を掛けて算出されるフィーを受領します。
③ ディスポジションフィー(譲渡報酬):不動産等の売却と資本回収に関するフィー
― 不動産等の売却を行い、投下した資本の回収を図り利益を確保します。
― 物件売却の際、売却価格に対し一定料率を掛けて算出されるフィーを受領します。
④ インセンティブフィー(成果報酬):投資リターンの実現に関するフィー
― 不動産等の売却を完了し、投資が完了した時点で、投資家と予め決められた目標リターンのハードルを超過した部分のうち一定額をフィーとして受領します。
また、アセットマネジメント事業には、上記で挙げられた4つの代表的な収益源の他に、その他のフィー収入とし
て、不動産の仲介を行うことによる仲介手数料を受領するブローカレッジフィー(媒介報酬)、当社の不動産投資ノウ
ハウを利用したコンサルティングやアドバイザリーに対してフィーを受領するコンサルティングフィー等があります。
(2)不動産管理事業
不動産管理事業とは、当社グループがアセットマネジメント業務を受託したファンドが保有する不動産を中心に、
下記に掲げる管理業務を行う対価として収益が計上されるものです。
① プロパティマネジメント業務
― 建物の日常的な修繕、清掃等を行う建物管理業務や、テナントに対して賃料の請求・回収等を行うテナント管理業務を受託します。
② 賃貸マネジメント業務
― 不動産を賃借するテナントの誘致や賃貸借契約交渉等を行います。
③ 工事監理業務
― 大規模リニューアル工事の計画立案、設計・施工及び工事監理を行います。
(3)不動産運営事業
不動産運営事業とは、当社グループが建物を賃借し、物件を運営することから収益を獲得するもので、主として次のような形態があります。
① サービスアパートメント事業
― 海外等からの中長期の出張や仮住まい等の際に、キッチンや家具を備え付けた賃貸マンションを、オペレーターとして提供します。
② サービスオフィス事業
― 新規事業の立上げや外資系企業の日本現地法人立上げ等の際に、大規模ビルと同等の質の高い小規模オフィスを都心部で提供します。
③ マスターリース事業
― 建物所有者とマスターリース契約を締結し、テナントに転貸借(サブリース)します。
(4)不動産投資事業
不動産投資事業とは、当社グループによるファンド組成を円滑に行うため、ファンドに組み入れるための不動産の
一時保有のほか、ファンドと当社グループとの利害関係を一致させるための共同投資等、自己の資金をもって不動産
投資を行うものです。また、当社における純投資を目的として、債権投資を行うことがあります。この事業の収益は
下記にまとめられます。
① 賃貸事業収益
― 販売用不動産及び固定資産として保有する不動産から得られる賃貸収益です。
② 不動産売却収益
― 販売用不動産を売却することで得られる収益です。
③ 匿名組合分配損益
― 当社はアセットマネジメント事業の推進のため、当社が組成しアセットマネジメントを行っているファンドに対し、顧客である不動産投資家とともに少額投資を行うことがあります。
― 匿名組合分配損益は、ファンドに発生した損益のうち、当社持分に対応する部分が計上されます。
④ 棚卸資産評価損
― 当社が保有する販売用不動産は、四半期毎に時価評価を行っております。
― 販売用不動産の簿価より時価が下回っている場合、その差額は棚卸資産評価損として計上されます。
⑤ 債権売却損益・回収損益
― 当社は、不動産投資に関するノウハウを利用した、債権投資を行っています。
― 取得した債権を売却・もしくは回収した場合に損益が発生した場合に計上されます。
当社グループの状況を図示すると次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、個人消費の持ち直しの動きは緩慢であるものの、輸出の増加や生産の持ち直しにより企業の収益及び業況判断は改善しており、緩やかながら息の長い景気回復基調が続いております。
海外経済は、全体としては緩やかな成長が続いておりますが、アメリカの政権運営に不透明感がある他、地政学リスクの高まりなどによりわが国の景気が下押しされるリスクがあることに留意する必要があります。
当社グループが関わる不動産及び不動産金融業を取り巻く環境を俯瞰しますと、不動産賃貸市場においては、全国の主要都市において堅調な企業業績を背景とした増床や拡張移転需要が継続したことにより、オフィスビルの稼働率が2000年以降の過去最高水準を示しております。さらに東京都心5区のオフィスビルでは、賃料が緩やかではありますが着実に上昇しております。不動産売買市場においては、日銀による低金利政策の効果により良好な資金調達環境が続く中、活発な不動産投資活動が続いております。
こうした中、当連結会計年度において当社グループでは、顧客投資家への投資機会を提供するために、オフィス、住宅、ホテル及び太陽光発電所等への投資を積極的に進め、これらの物件のアセットマネジメント業務を受託することにより、着実に受託資産残高(AUM)を拡充いたしました。この結果、当連結会計年度末における受託資産残高(AUM)の総額は2兆33億円となり、前連結会計年度末比では、3,002億円(17.6%)の純増となりました。
当連結会計年度における代表的な取組みとして、横浜みなとみらい地区に所在する三菱重工横浜ビルを対象に新規コアファンドを組成し、当社グループでアセットマネジメント業務及びプロパティマネジメント業務を受託いたしました。また、同ビルに隣接する開発用地についても、パナホーム株式会社と鹿島建設株式会社を事業パートナーとして迎え入れ、3社による共同開発プロジェクトを推進する体制を整えました。海外においては、アメリカの賃貸住宅に対する投資機会を本邦投資家向けに創出した他、シンガポール子会社であるKenedix Asia Pte. Ltd.では、スポンサー参加するマレーシアの上場REITのポートフォリオ拡充をサポートするため、マレーシアのオフィスビルへの投資を行いました。また、新たな事業領域への取組みとして、不動産を対象とした投資型クラウドファンディング事業を推進するため、株式会社野村総合研究所と共同でビットリアルティ株式会社を設立いたしました。
これらの取り組みにより、当連結会計年度の営業収益は26,349百万円(前期比15.8%増)、営業利益は12,285百万円(前期比28.9%増)、経常利益は11,455百万円(同7.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は10,516百万円(同3.6%増)となりました。
財務面につきましては、発行済株式総数に対して4.5%にあたる自己株式の取得及び消却を行い、株主還元水準の向上及び資本効率の改善を図りました。
この結果、平成27年2月に公表した中期経営計画「Partners in Growth 2017」において定量目標として掲げた最終年度ベース利益*140億円、3年平均ROE*28.0%に対し、当連結会計年度では目標数値を上回るベース利益67億円、3年平均ROE11.9%を達成いたしました。
*1 :ベース利益は、アセットマネジメント事業及び不動産関連事業の営業総利益の合計から販売費及び一般管理費を控除したものをいいます。
*2 :3年平均ROEは、親会社株主に帰属する当期純利益を自己資本(期初・期末平均)で除した各年度ROEの平均
上記*1及び*2の目標数値算定にあたり、企業買収等に伴う「のれん」の影響を除外
セグメントの業績は、次のとおりであります。
① アセットマネジメント事業
受託資産残高(AUM)が拡大した結果、安定収益であるアセットマネジメントフィーが着実に増加しました。また、不動産仲介により受領するブローカレッジフィーや資産取得時に受領するアクイジションフィーが増加したことから、営業収益が前期と比較して3,713百万円増加しました。この結果、営業収益は12,060百万円(前期比44.5%増)、営業利益は7,914百万円(同49.3%増)となりました。
② 不動産管理事業
プロパティマネジメント事業の拡大により、営業収益は2,845百万円(前期比18.7%増)、営業利益は798百万円(同24.6%増)となりました。
③ 不動産運営事業
サービスオフィス事業の業績は堅調に推移したものの、サービスアパートメント事業における運営物件の減少や修繕による稼働貸室数の減少等が影響し、営業収益は3,429百万円(前期比5.2%減)、営業損失は263百万円(前期は42百万円の営業損失)となりました。
④ 不動産投資事業
連結対象不動産の売却に伴い賃料収入が減少した一方で、堅調な不動産市況を背景に投資回収が順調に推移し、営業収益は8,460百万円(前期比6.0%減)、営業利益は4,799百万円(同1.5%増)となりました。
当連結会計年度のキャッシュ・フローは、営業活動により12,549百万円減少し、投資活動により2,584百万円減少し、また、財務活動により20,922百万円増加いたしました。この結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ、5,711百万円増加し、49,050百万円となりました。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
連結会計年度において営業活動の結果使用した資金は、12,549百万円(前期比14.0%減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益12,640百万円の発生があった一方、たな卸資産の増加額が21,642百万円、営業貸付金の増加額が2,230百万円、買取債権の増加額が2,147百万円あったことによるものであります。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は、2,584百万円(前期比219.1%増)となりました。これは主に、有形固定資産の売却による収入額が19,370百万円、関係会社株式の売却による収入額が4,697百万円あった一方、有形固定資産の取得による支出額が27,276百万円、投資有価証券の取得による支出額が5,702百万円であったことによるものであります。
なお、当連結会計年度末の有形固定資産の金額は前連結会計年度末に比べ26,691百万円減少しておりますが、これは主に、有形固定資産を保有する連結SPCの出資持分の一部を償還し、連結範囲から除外したことにより31,096百万円、さらに有形固定資産とたな卸資産の保有区分の見直しにより4,333百万円有形固定資産が減少したことによります。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度において財務活動の結果得られた資金は、20,922百万円(前期比95.9%増)となりました。これは主に、ノンリコ―ス長期借入れによる収入額44,859百万円、非支配株主からの払込みによる収入額が7,167百万円あった一方、ノンリコ―ス長期借入金の返済による支出額が19,795百万円、自己株式の取得による支出額が4,999百万円あったことによるものであります。