売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率

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最終更新:

E01056 Japan GAAP

売上高

684.6億 円

前期

557.6億 円

前期比

122.8%

時価総額

1,516.3億 円

株価

4,270 (04/17)

発行済株式数

35,511,000

EPS(実績)

397.89 円

PER(実績)

10.73 倍

平均給与

716.4万 円

前期

678.2万 円

前期比

105.6%

平均年齢(勤続年数)

42.3歳(12.8年)

従業員数

538人(連結:859人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

当社グループ(当社および連結子会社6社)は、「ライフサイエンス事業」および「電子材料および機能性化学品事業」の2分野に関係する事業を行っています。当社グループにおける各事業の位置付けは次のとおりです。なお、次の2部門は「第5  経理の状況  1.連結財務諸表等  (1)連結財務諸表  注記事項」に掲げるセグメントの区分と同じです。

(ライフサイエンス事業)

当セグメントにおいては、(a)果実酸類、有機酸類、(b)応用開発商品の製造・販売を行っています。

(a)果実酸類、有機酸類

リンゴ酸、クエン酸、グルコン酸等の果実酸類および無水マレイン酸等の有機酸を中心に製品構成しています。果実酸類は飲料、加工食品に使用する酸味料、pH調整剤、酸化防止剤等の食品分野での用途を中心に、洗剤、化粧品、表面処理剤、コンクリート用混和剤、電子機器等の工業分野での用途に至るまで幅広く使用されています。

(b)応用開発商品

果実酸等の当社グループ製品を原料として、食品分野、工業分野に幅広く用途開発する商品であり、① 麺食品の品質改良剤、② 加工食品の日持ち向上剤、③食品製造メーカーにおけるトータル・サニテーション、④ 金属加工の改善等に用いられています。

[主な関係会社]

当社(本社、東京本社、新大阪事業所、鹿島事業所、東京研究所、大阪工場、十三工場)、株式会社扶桑コーポレーション、青島扶桑精製加工有限公司、青島扶桑貿易有限公司、扶桑化学(青島)有限公司、FUSO (THAILAND) CO.,LTD.、PMP Fermentation Products, Inc.

(電子材料および機能性化学品事業)

当セグメントにおいては、(a)電子材料、(b)機能性化学品の製造・販売を行っています。

(a)電子材料

研磨剤原料用途として利用されている超高純度コロイダルシリカを中心に製品構成しています。この製品は、半導体業界を中心に需要があり、微細化、高集積化される次世代半導体集積回路の製造に必要なCMP(化学的機械的平坦化)スラリーにも対応しています。

(b)機能性化学品

プラスチック、塗料の添加剤および香料、化粧品の原料としての用途に使用される樹脂添加剤や、精密化学薬品製造の技術を活かしたファインケミカルを販売しています。

 

[主な関係会社]

当社(東京本社、京都事業所、神戸研究所、東京研究所)、青島扶桑精製加工有限公司、扶桑化学(青島)有限公司

[事業系統図]

以上述べた事項を事業系統図によって示すと、次のとおりです。

※画像省略しています。

 

23/06/26

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 

①  財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、経済活動の正常化が進み回復傾向で推移しました。一方でウクライナ問題は長期化し、世界的にインフレは継続しています。また、中国経済の動向や欧米の利上げによる景気後退懸念、米国の銀行破綻による信用不安の拡大、経済安全保障リスクも高まり、経済への影響が懸念される状況が継続しています。日本経済においても、社会活動の制限解除により経済の持ち直しの動きが見られますが、物価上昇による消費動向の落ち込みが懸念されるほか、日銀の政策変更により今後の利上げによる景気後退懸念が高まるなど、依然として先行きは不透明な状況が継続しています。

当社の事業環境としましては、食品関連市場は底堅く推移しましたが、半導体市場においては中長期的な成長は見込まれるものの、足元ではメモリー市場を中心に落ち込みが顕在化し、関連する工業分野でも停滞の動きが見られました。

このような情勢下、当社グループは引き続き新型コロナウイルス感染症の感染対策を徹底したうえで事業の継続に注力するとともに、成長を維持するため、拡販・価格改定などの営業活動の強化、研究施設の拡充などの研究開発体制を強化し新製品開発に取り組みました。さらに、原料資材の安定確保、既存設備の維持・強化による供給体制の強化を進めると共にコストダウンや効率化を図りました。また、進行中の大型製造設備投資計画を推進し、さらなる供給体制の強化を進めています。加えて、就業環境や社内体制の整備等、ガバナンスの強化を推進し、経営基盤の一層の強化にも取り組みました。

 

a. 財政状態

(資産の部)

当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末に比べ3,265百万円増加し、55,344百万円となりました。これは主に、原料価格の上昇や円安の進行により、棚卸資産が増加したためです。

固定資産は、前連結会計年度末に比べ18,253百万円増加し、58,184百万円となりました。これは主に、鹿島事業所の超高純度コロイダルシリカ製造設備建設工事に係る建設仮勘定が増加したためです。

以上の結果、資産合計は前連結会計年度末に比べ21,519百万円増加し、113,528百万円となりました。

(負債の部)

当連結会計年度末の流動負債は、前連結会計年度末に比べ9,241百万円増加し、23,908百万円となりました。これは主に、鹿島事業所の超高純度コロイダルシリカ製造設備建設工事に係る設備関係未払金が計上されたためです。

固定負債は、前連結会計年度末に比べ78百万円増加し、2,117百万円となりました。これは主に、退職給付に係る負債が増加したためです。

以上の結果、負債合計は前連結会計年度末に比べ9,319百万円増加し、26,026百万円となりました。

(純資産の部)

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ12,199百万円増加し、87,502百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上によるものです。

b. 経営成績

当連結会計年度の売上高は68,459百万円(前連結会計年度比22.8%増、12,698百万円増)となりました。営業利益は18,930百万円(同25.9%増、3,895百万円増)、経常利益は19,740百万円(同27.3%増、4,230百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益は14,129百万円(同29.7%増、3,239百万円増)となりました。

売上高、営業利益は、後述の各セグメントの要因により増収増益となりました。経常利益は、営業利益の増加に加え円安による為替差益が計上されたこと増益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券売却益計上の影響も加わり増益となりました。

 

当社グループの報告セグメントの業績は、次のとおりです。

(ライフサイエンス事業)

ライフサイエンス事業の業績は、外部顧客に対する売上高が37,803百万円(前連結会計年度比20.3%増、6,372百万円増)、営業利益は7,403百万円(同49.9%増、2,463百万円増)となりました。

主力製品のリンゴ酸の需要は、景気後退の影響はあるものの価格改定や円安の効果もあり売上高は増加しました。工業用途の製商品は、当連結会計年度下期より世界的な景気後退の影響が顕在化しつつあり、需要が落ち込みました。日本においては、原料価格の高騰は一時ほどではないものの前連結会計年度に比べ上昇しました。そのため販売価格が原料価格に連動する契約となっている製品の販売単価が上昇し、売上の増加要因となりました。輸入商品価格は当連結会計年度上期において高騰していましたが、下期には円安の影響があるものの急激に低下したため、適正な販売価格の改定を継続し、収益の維持に努めました。海外子会社においても、原料価格の高騰に対して価格改定を実施し、販売促進の取り組みによる売上増加、円安による円換算後の増加効果もあり、売上高は増加しました。その結果、セグメント全体の売上高は前連結会計年度を上回りました。営業利益は、世界的な原料価格の高騰、円安による輸入価格の上昇、エネルギー価格の上昇、物流費増加等のコストアップの影響があったものの、売上高の増加により、前連結会計年度を上回り増収増益となりました。

 

(電子材料および機能性化学品事業)

電子材料および機能性化学品事業全体の業績は、外部顧客に対する売上高が30,655百万円(前連結会計年度比26.0%増、6,326百万円増)、営業利益は13,394百万円(同15.3%増、1,782百万円増)となりました。

主力製品の超高純度コロイダルシリカは当連結会計年度下期に半導体市場停滞の影響を受けましたが、年間での需要は堅調に推移しました。また、半導体の微細化の進展により最先端分野での需要は増えており、採用も増加しています。さらに、原料価格の変動に対する販売価格改定や円安効果が売上高の増加要因となりました。加えて、在宅勤務の普及によるトナー需要減退の影響を受けていたナノパウダーの需要は回復し、セグメント全体の売上高は前連結会計年度を上回りました。営業利益は、原料価格やエネルギー価格の上昇が製造コストに大きく影響し、物流費を中心として販売費及び一般管理費も増加したものの、売上高の増加、増産によるコストダウン効果、生産設備に係る減価償却費の減少により、前連結会計年度を上回り増収増益となりました。

 

②  キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益および減価償却費の発生により取得した資金を有形固定資産の取得、法人税等の支払、配当金の支払に充てた結果、前連結会計年度末に比べ1,109百万円減少し、22,350百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果取得した資金は、13,925百万円(前連結会計年度は10,199百万円の取得)となりました。これは主に、棚卸資産の増加および法人税等の支払いによる支出が発生しましたが、税金等調整前当期純利益および減価償却費による収入が発生したためです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、13,417百万円(前連結会計年度は9,375百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が発生したためです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、2,124百万円(前連結会計年度は2,882百万円の使用)となりました。これは主に、配当金の支払いを行ったためです。

③  生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2022年4月1日

至  2023年3月31日)

前年同期比

ライフサイエンス

31,807,534千円

34.9%

電子材料および機能性化学品

36,238,967

27.3

合計

68,046,501

30.7

(注) 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっています。

b.受注実績

当社グループは、見込み生産を行っているため、受注高および受注残高を把握していません。

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2022年4月1日

至  2023年3月31日)

前年同期比

ライフサイエンス

37,803,853千円

20.3%

電子材料および機能性化学品

30,655,539

26.0

合計

68,459,392

22.8

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しています。

2.最近2連結会計年度の主要な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりです。

相手先

前連結会計年度

(自  2021年4月1日

至  2022年3月31日)

当連結会計年度

(自  2022年4月1日

至  2023年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

A社

5,928,602

10.6

FUJIFILM Electronic Materials Taiwan Co.,Ltd.

9,006,874

13.2

3.当連結会計年度のA社に対する販売実績および前連結会計年度のFUJIFILM Electronics Materials Taiwan Co.,Ltd.に対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため、記載を省略しています。

4.A社との契約において秘密保持契約条項が存在するため、社名の公表は控えさせていただきます。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

①   重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。

当社グループの連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度末における資産、負債の報告金額および収益、費用の報告金額に影響を与える見積り、判断および仮定を使用することが必要となります。当社グループの経営陣は連結財務諸表作成の基礎となる見積り、判断および仮定を過去の経験や状況に応じ合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っています。しかしながら、これらの見積り、判断および仮定は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。

なお、連結財務諸表の作成のための重要な会計方針等は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりです。

 

②  連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は以下のとおりです。

a. 経営成績等の状況

 

経営成績の分析

(ライフサイエンス事業)

 「Ⅰ.果実酸コンビナート構想の実現」、「Ⅱ.生産体制の再構築及び設備増強」、「Ⅲ.次世代製品の早期戦列化」、「Ⅳ.FFAトップメーカーへの挑戦」の各テーマに取り組みました。

Ⅰ. 果実酸コンビナート構想の実現

 2017年11月に鹿島事業所の承継を完了し、リンゴ酸、フマル酸の原料である無水マレイン酸から製品までの一貫生産体制が確立され、国内№1のフマル酸メーカーとなりました。2019年7月には、鹿島事業所にリンゴ酸新製造設備が竣工し、鹿島事業所と大阪工場の2拠点での供給体制が確立し、日本唯一のリンゴ酸メーカーとして体制が強化されました。

 リンゴ酸においては、強化された供給力を背景に各国子会社、販売店と連携、関係を強化して海外でのシェア拡大に努めました。下期には工業用途において市場減速の影響がありましたが、成長著しい東南アジア市場、特に飲料メーカーでシェアは拡大したほか、欧米においては新規に獲得した顧客のシェア維持に努めました。

 鹿島事業所で生産するフマル酸、無水マレイン酸も安定生産を継続しました。主原料であるベンゼン価格の高止まり、エネルギー価格の上昇、設備の維持費用の増加等コストアップ要因が発生しましたが、顧客とのコミュニケーションを密にし、価格フォーミュラの改定、シェア維持に努めました。

 クエン酸類は、上期は調達価格が高騰しましたが、中国子会社の青島扶桑精製加工有限公司と連携し、安定供給に努めシェア維持を目指すとともに、価格の高騰に対しては価格改定を実施しました。下期は一転、価格が下落傾向となりましたが、適正な価格の改定に努めシェアを維持しました。

 グルコン酸類は米国子会社PMP Fermentation Products, Inc.(以下PMP社)において安定供給体制を維持確立し、拡大する北米市場において成長分野での拡販、既存顧客との関係強化を目指しました。2022年度において北米市場は堅調に拡大し、フル生産を継続しましたが、需要が供給を上回って推移する状況のため、PMP社において設備増強を決定し、2023年度の稼働を目指し、設備投資を実施しています。

Ⅱ. 生産体制の再構築及び設備増強

 大阪工場を西日本の主要工場として最適化、合理化を進めビジネス拡大を目指しています。新製品であるコート果実酸(油脂でコーティングした有機酸)の設備は2021年度に完成し稼働を開始しています。顧客の評価も進捗し、採用も進みました。生産性向上、衛生環境強化を目的に製剤類の製造を行う十三工場の機能を大阪工場へ集約するためのプラントは、2022年12月に完工しました。2023年度上期より生産を開始し、下期より十三工場より移行できるように進めています。引き続き生産体制の見直し、効率化を進め、供給力の強化、コストダウンに取り組みます。

Ⅲ. 次世代製品の早期戦列化

 次世代の主力製品として、優れたコート性能をもち、様々な顧客ニーズへ対応したコート果実酸の開発および生産体制の確立を進めました。製造プラントは2021年度に完成し、クエン酸、リンゴ酸、ビタミンCのコート果実酸3品目を上市しました。国内外の顧客でサンプル評価が進捗し、採用も進みました。バイオスティミュラント(ストレスフリー製剤)については、ゴルフ場のグリーンの芝枯れ防止等で採用され、水稲、野菜等に対する効果の評価を継続しています。引き続き開発を継続し、拡販を行います。

Ⅳ. FFAトップメーカーへの挑戦

 食品添加物製剤(Formulation of Food Additives) 、食品素材・食品添加物製剤(Formulation of Food Materials and Food Additives)、機能性食品素材・食品添加物(Functional Food Material and Food Additive)、 機能性果実酸(Functional Fruits Acid)の商品群をFFAと総称しています。Food Tech等の新技術の台頭、食の多様化、フードロス意識の高まり等、食品業界を取り巻く環境は変革期に突入しています。この変革をチャンスととらえ、当社の製品、設備、販売チャネル、技術等のリソースを有効活用してこの領域でのビジネス拡大を進め、目標として2025年度の売上3倍、利益2%アップを目指します。供給体制を確立したコート果実酸に加え、テクノアシッドA(粉末酢酸)、テクノアシッドF(易溶化フマル酸製剤)ランチフレッシュR/RW(米飯用製剤)ウェルドゥS(豆粉向け製剤)の開発を行い、サンプル評価では高い評価を受けています。今後も、開発、拡販を継続し、供給体制の確立を目指します。また、海外拠点において各国の食品事情に適した製品開発を進め、新製品の開発、拡販を行っています。中国上海において上海食品調味料開発センターを開設し、中国における調味料ビジネスの確立を進めました。引き続き外部研究機関との共同研究の推進、試験機器の導入により開発スピードを加速させ、各地域のニーズをキャッチした製品のラインナップを積み重ね、中長期で着実な成長につなげます。

 ライフサイエンス事業の経営成績は、外部顧客に対する売上高は、前連結会計年度に比べ6,372百万円増加し37,803百万円となりました。営業利益は、前連結会計年度に比べ2,463百万円増加し、7,403百万円となりました。

 販売数量面では、果実酸全般では、底堅く推移した食品市場を背景に安定した販売を維持しました。リンゴ酸は、国内販売は堅調に推移し、輸出は新規に獲得した顧客のシェア維持に努め、東南アジア、欧米市場の開拓を進めました。下期より工業用途(メッキ、洗浄剤)向けが市場減速の影響を受け、中国経済減速の影響を受けましたが、全般的には堅調に推移しました。コロナ禍の影響で海上輸送が混乱しましたが、グループの連携を密にして対応し、安定供給に努めました。

 販売価格面では、原料価格は高止まりし、商品の仕入価格は上昇しましたが、顧客とのコミュニケーションを密にとり適切な価格改定を実施し対応しました。輸出や海外子会社の現地売上における円安の影響もあり、売上高は前年比増加しました。

 営業利益は、原料、商品の仕入価格、エネルギー価格の上昇等のコストアップ要因はありましたが、価格改定、円安効果による売上増加により、前年比増加しました。

 既存商品では国内外の市場で販売網の強化、拡大を図り、シェアの維持、拡大に努めるとともに、新商品の開発、拡販を進め、業績の拡大を目指します。

(電子材料および機能性化学品事業)

 「Ⅰ.半導体研磨微細化への対応」、「Ⅱ.生産・研究・品質保証体制強化」、「Ⅲ.外部環境変化への迅速な対応」の各テーマに取り組みました。

Ⅰ.半導体研磨微細化への対応

 半導体市況は、2022年度下期よりメモリー市場を中心に調整局面に入り、当社の売上にも影響が出始めました。しかし、半導体の10nm以下世代の最先端の製品の比率は高まり、半導体メーカー各社は設備投資を行っており、中長期では市場の成長が予測されています。当社も最先端分野への製品供給へ対応するため開発体制の強化、新設備建設、既存設備の効率化により供給力の強化を進めました。今後も顧客と綿密に連携し、微細化に対応した製品の開発、供給体制の強化を図ります。

 

Ⅱ.生産・研究・品質保証体制強化

 拡大する半導体市場へ対応するため生産体制の強化を継続して進めています。鹿島事業所の新設備は2023年4月に完工し、試作を開始し、認定の作業を継続しています。京都事業所と鹿島事業所の2拠点生産体制が確立し、BCPの面でも生産体制が強化されました。2022年11月に新たに鹿島事業所に新設備の建設を決定し、2024年に完成予定の京都事業所の新設備、2025年完成予定の鹿島事業所の新設備が立ちあがると2022年度比約1.5倍の供給力を確保できます。今後も設備投資により供給力を増加させるとともに、品質、生産効率の向上を行い生産体制の強化を図ります。

半導体の微細化が進展していることに対応するため、研究体制の強化を継続して進めています。2022年7月に神戸に新研究拠点を開設し、京都事業所から移転しました。半導体の微細化に対応した研究開発を進めるとともに、立地や周辺環境を活かして新規領域への用途展開も企画しています。新規領域への研究開発拠点である東京研究所と2拠点体制で研究開発の深化を進めます。

 鹿島事業所の設備の完成に対応して、品質保証体制の強化を進めました。新組織を立ち上げ、人員の拡充、分析機器の導入等の増加する供給能力に相応しい分析体制の構築を進めました。

 引き続き、設備増強による供給能力の強化、半導体の微細化に対応した新製品開発のための研究開発体制の強化、高品質、供給能力を支えるための品質保証体制の強化を継続し、成長する半導体市場に対応していきます。

 

Ⅲ.外部環境変化への迅速な対応

 2022年度はコロナ禍の影響が継続する一方で経済回復が進展し、外部環境が目まぐるしく変化する一年であり、物流、調達環境に大きな影響がありました。国際物流網は、コロナ禍の影響により混乱が継続し、物流コストも高騰しました。物流網の混乱に対しては、海上輸送の経由地変更等あらゆる手段を講じて安定供給に努めました。物流コストの高騰に対しては、効率化によりコスト吸収に努めましたが、顧客との協議のうえ一部は価格転嫁を行い対応しました。直近では混乱は収束しつつありますが、情報収集に努め、安定した供給体制の構築を進めます。

 主原料である金属ケイ素は主供給地である中国のロックダウンや価格の高止まりの影響を受けましたが、在庫水準の引き上げや複数の購買ルートの確保等で安定調達に努めました。また、複数の原産国からの調達の検討を進め調達リスクの低減に努めています。その他の原料、副資材、電気、ガス等のエネルギーコストも上昇しており、効率化に努めるとともに、価格転嫁について交渉を行っています。

 コロナ禍で落ち込んでいたトナー用途で使用されるナノパウダーの需要は回復しました。新製品である中空シリカの新規採用に向けた活動等、電子材料分野で培われたコア技術をベースに新規市場の開拓を進めました。

 変化する外部環境に的確に対応して、増加する物量に対応した安定供給体制の構築を引き続き進めるとともに、新規市場開拓を行い、安定した事業体制の構築、業績の拡大を目指します。

 

 電子材料および機能性化学品事業の経営成績は、外部顧客に対する売上高は前連結会計年度に比べ6,326百万円増加し、30,655百万円となりました。営業利益は前連結会計年度に比べ1,782百万円増加し、13,394百万円となりました。

 販売数量面では、超高純度コロイダルシリカの需要は、下期からメモリー向け需要の減速の影響がありましたが、ロジック向けの影響は限定的で、最先端半導体向けは顕著な需要を維持し、年間通してみると堅調に推移しました。また、物流網の混乱から各社在庫水準を引き上げたことも需要の増加につながりました。特に上期から第3四半期にかけて生産計画を上回る需要に対し、フル生産を継続しつつ、効率化の推進、稼働日数の増加等生産量の増加に努め、需要に対応しました。トナー用途で使用されるナノパウダーも景気回復とともに需要も増加し販売数量が増加しました。

 販売価格面では、主原料の価格の変動に対する製品価格改定の実施、新製品、高付加価値製品の販売増加、円安の影響により販売価格は上昇傾向で推移した結果、売上高は増加しました。

 営業利益は、原料、副資材、エネルギー等の価格上昇がコストアップ要因となり、加えて物流費の増加、新設備立ち上げの準備費用等の販管費が増加しましたが、売上の増加の影響が大きく営業利益は、増加しました。

 短期的には半導体の需要は調整局面にありますが、中長期的な成長は継続すると予測され、微細化の進展、需要の増加に対応した体制を構築する必要があります。引き続き、最先端分野へ対応した製品開発、供給能力の強化等、課題への対応を継続し、業績の拡大を目指します。

(売上高)

前述のとおり、前連結会計年度に比べライフサイエンス事業、電子材料および機能性化学品事業ともに増加したため、12,698百万円増加し、68,459百万円となりました。

 

(営業利益)

前述のとおり、前連結会計年度に比べライフサイエンス事業、電子材料および機能性化学品事業ともに増加したため、3,895百万円増加し、18,930百万円となりました。

 

(経常利益)

当連結会計年度の営業外収益は、前連結会計年度に比べ340百万円増加し、821百万円となりました。これは主に、受取利息の増加および、対ドル円安が進行したことによる為替差益の増加によるものです。営業外費用は、前連結会計年度に比べ5百万円増加し、12百万円となりました。これは主に、支払手数料および投資事業組合運用損が増加したためです。

上記要因により、経常利益は前連結会計年度に比べ4,230百万円増加し、19,740百万円となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度の特別利益は、前連結会計年度に比べ161百万円増加し、388百万円となりました。これは主に、政策保有株式の売却による投資有価証券売却益が増加したためです。特別損失は、前連結会計年度に比べ23百万円増加し、46百万円となりました。これは主に、減損損失が計上されたためです。法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額は、利益の増加により法人税等合計で前連結会計年度に比べ1,129百万円増加し、5,952百万円となりました。

経常利益の増加に加え、特別損失が増加したものの特別利益の増加の影響が大きく、税金等調整前当期純利益は増加しました。法人税等は増加しましたが、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べて3,239百万円増加し、14,129百万円となりました。

 

財政状態の分析

財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 a.財政状態」に記載のとおりです。

キャッシュ・フローの分析

キャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

b. 資本の財源および資金の流動性についての分析

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、棚卸資産の購入費用、製造経費、販売費及び一般管理費等の営業費用です。運転資金の財源は、自己資金および金融機関からの短期借入等を基本としています。当連結会計年度は、新たな短期借入は行っておらず、当連結会計年度末に短期借入金の残高はありません。

投資を目的とした資金需要のうち主なものは、設備投資、事業買収等によるものです。投資資金の財源は主に、自己資金および金融機関からの長期借入等によります。当連結会計年度は、設備投資に対する資金に対し、新たな長期借入は行っておらず、当連結会計年度末に長期借入金の残高はありません。当連結会計年度に実施した設備投資に係る資金の財源は、自己資金を充当しています。

 

c. 経営成績に重要な影響を与える要因

「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりです。

d. 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当連結会計年度における当社の最重要指標である「償却前営業利益」(営業利益に減価償却実施額を加えた金額)は、前連結会計年度に比べ3,780百万円増加し、23,268百万円となりました。

減価償却費は、両事業において前連結会計年度に比べ減少しました。ライフサイエンス事業における鹿島事業所のリンゴ酸設備投資は、稼働開始後3年が経過し、電子材料および機能性化学品事業における京都事業所の新設備も稼働開始から4年が経過したことが要因です。減価償却費が減少しましたが、営業利益が両事業で増加したため、全体で償却前営業利益が増加しました。

総資産回転率は0.66回で前連結会計年度から横ばいで推移しました。売上高が増加しましたが、総資産も増加したためです。

ROE(自己資本利益率)は17.4%で、前連結会計年度に比べて上昇しました(前連結会計年度は15.4%)。分母である純資産が利益の計上により増加しましたが、分子である親会社株主に帰属する当期純利益が、純資産の増加割合以上に増加したためです。今後、大型の設備投資計画に伴い、減価償却費の増加による一時的な利益の低下が想定されるものの、償却前営業利益の最大化を目指し、純資産は安全性とのバランスを考慮して、自己資本利益率の維持向上を目指します。

自己資本比率は77.1%で前連結会計年度より低下しましたが、水準以上の安全性は確保できています。利益の増加により純資産は増加しましたが、大型設備投資の開始に伴う設備関係未払金の増加や、利益増加に伴う未払法人税等の増加により負債が増加したため、自己資本比率は低下しました。今後も、増加が見込まれる需要に対応するため、継続的な設備投資や研究開発投資が成長の源泉であり、投資を継続するためにも、一定水準以上の純資産の厚みが必要であると考えています。

投資計画、配当政策を考慮して、効率性、収益性のより一層の向上を目指します。