売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E37466 

売上高

334.6億 円

前期

247.9億 円

前期比

135.0%

時価総額

614.6億 円

株価

1,050 (04/23)

発行済株式数

58,530,900

EPS(実績)

9.60 円

PER(実績)

109.35 倍

平均給与

970.0万 円

前期

910.0万 円

前期比

106.6%

平均年齢(勤続年数)

35.1歳(3.8年)

従業員数

7人(連結:1,590人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

 

3 【事業の内容】

当社グループは「Make Every Business Borderless」というミッションのもと、ブランド構築、生産管理、メディア運営、ECサイト構築・運営、マーケティング、物流管理等のソリューションをワンストップで支援するプラットフォームを提供しております。

アジア・中東を中心に世界15ヵ国・地域にて事業を展開しており、2023年度における地域別売上収益比率(注)は日本が46.4%(前連結会計年度末47.0%)、東南アジアが38.2%(前連結会計年度末36.5%)、インド・中華圏等のその他地域が15.4%(前連結会計年度末16.5%)となっております。

なお、当社は有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当し、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準のうち上場会社の規模との対比で定められる数値基準については連結ベースの計数に基づいて判断することとなります。

(注)地域別売上高比率は、子会社の所在地における内部取引消去前の売上収益に基づいて算定しております。

 

昨今のインターネット・テクノロジーの進化を通じて個人も法人も誰もがブランドを築き、グローバルにビジネスを展開できる世の中になってきていると考えております。一方で、まだ国や業界を跨ぐと情報の非対称性や、サプライチェーンの複雑さ、地理的・文化的な制約などが存在しております。そのような制約や複雑性はブランド構築や商品販売を行うための工程において複数の事業者や異なるサービスと連携をするハードルが要因の1つとしてあげられます。当社グループは15ヵ国・地域において事業展開を行い、マーケティング支援とパブリッシャー支援(注1)及びクリエイター支援(注1)を軸に、EC戦略(注1)やECサイト構築運用、生産管理、物流管理に至るまでのバリューチェーンのあらゆる側面にて法人クライアントや個人の事業支援を行っております。当社プラットフォーム上で様々なデータを活用し、一気通貫で事業支援をすることで、ビジネスをより簡単によりシンプルに行える世界の実現を目指しております。当社グループはインターネット関連事業の単一セグメントでありますが、ブランドコマース、パートナーグロースの2つの領域にて事業を展開しております。

 

事業領域

プロダクト種別

具体的な当社プラットフォームの名称

ブランドコマース

マーケティング

AnyDigital

AnyTag

D2C(注1)

AnyFactory

AnyShop

AnyX

AnyChat

AnyLogi

パートナーグロース

パブリッシャーグロース

AnyManager

クリエイターグロース

AnyCreator

 

 

 (1) ブランドコマース領域について

当社グループはインフルエンサーマーケティング等のマーケティングと、ブランドの設計・企画から、生産管理、ECサイトの構築・運用、物流管理に至るまでのバリューチェーン全体を「ブランドコマース」と定義し、その各プロセスでサービスを提供しております。当社グループは創業以来、事業の軸として展開するインフルエンサーマーケティング、モバイルマーケティング、デジタルマーケティング支援のためのマーケティングプラットフォームについて、アジア全域にて法人クライアントへの提供をしております。また、新しくブランドを立ち上げたいクリエイターにはD2Cブランド企画から販売・物流までのバリューチェーン全体を支援し、既にブランドを有する法人クライアントへはクライアントのニーズに合わせて、生産管理、ECサイト構築・運営、マーケティング、物流管理、越境対応等の個別ソリューションでの支援を行っております。また、自社D2Cブランドの構築・運営も行っております。

これらのブランドコマース領域においては、マーケティングプラットフォーム「AnyTag」「AnyDigital」と、生産管理、ECサイト構築・運営、複数ECチャネルの一元管理、会話型コマース(注1)、物流管理を支援するD2Cプラットフォーム「AnyFactory」「AnyShop」「AnyX」「AnyChat」「AnyLogi」を提供しております。

 

(マーケティングプラットフォーム)

当社グループのマーケティングプラットフォームでは、インフルエンサーマーケティングの企画・推進・管理を行うプラットフォームである「AnyTag」、デジタル・モバイルマーケティング支援プラットフォームである「AnyDigital」を中心にブランド運営事業者に対してマーケティングソリューションの提供を行っており、2023年度で当社グループの全社売上収益に対して50.1%の割合を占めております。

インフルエンサーマーケティングとは、ソーシャルメディア上で影響力を持つインフルエンサー(クリエイターを含む)がクライアント企業の商品・サービスを直接体験し、その価値を伝えることによるマーケティング活動の支援を行うアプローチです。ソーシャルメディアを通じてユーザー目線で商品の価値を写真や体験談等を伝えることにより、商品・サービスの特性や価値が消費者に伝わりやすく、ブランディングや認知度の更なる向上が期待できることから、その手法に対する需要は高まっております。

当社グループのインフルエンサーマーケティングプラットフォーム「AnyTag」の提供により、クライアント企業にとってはマーケティング対象の商品・サービスやターゲット・ユーザー層に適したインフルエンサーの選定、市場調査、インフルエンサーとの交渉・マーケティング準備、マーケティングキャンペーンの実施とリアルタイムでのモニタリング・効果検証を可能にしております。また、インフルエンサーにとってはそれぞれの特性やフォロワー層に適した案件機会を提供しております。既にグローバルでの630,000人以上(2023年12月末時点)のインフルエンサーの情報がプラットフォーム上で登録されており、クロスボーダー案件や海外マーケティング案件含めて、多様なブランドの支援を行っております。

当社グループのデジタルマーケティングプラットフォーム「AnyDigital」は、当社グループが各国で直接連携する優良インターネットメディアに対して、動画や音声を表示するリッチメディア広告(注1)を使用した様々なフォーマットでの広告配信を支援しております。また、インターネットメディアに対してのみならず、当社が連携するグローバル大手ゲーム事業者及びパブリッシャーの運営するモバイルアプリ上での広告配信も可能としております。これらのソリューションにより、各メディア及びアプリが持つ優良かつ広範なユーザー層に対して、効果的なターゲティングを行い広告効果の最適化を行うことが可能になっております。

当社グループはインフルエンサーマーケティング、デジタル・モバイルマーケティングも含めた多様なマーケティングソリューションを展開し、マーケティング戦略策定、広告運用の最適化、クリエイティブ制作支援、効果検証とモニタリング等、幅広いソリューションを提供しております。特に展開する15ヵ国・地域に跨るクロスボーダーでのマーケティング支援、各国でローカライズされた専門チームによる高度なマーケティング施策への対応により、グローバル企業のクライアント層を拡大しております。2023年12月期に当社グループがマーケティングプラットフォームによる取引を行った顧客は1,000社を超えております。

 

(D2Cプラットフォーム)

D2Cプラットフォームとして、複数ECチャネルの一元管理ができるECマネジメントプラットフォーム「AnyX」、東南アジア及び中華圏へのアクセスを活かし、現地生産工場を直接ネットワーク化し、様々な商品に適した生産体制の構築・運営を支援する生産管理プラットフォーム「AnyFactory」を提供しております。またECサイトの構築・運営を支援する「AnyShop」、会話型コマースを支援する「AnyChat」、国内外の物流パートナーのネットワークを活かして在庫や物流の管理を行う物流管理プラットフォーム「AnyLogi」を提供しております。2023年度で当社グループの全社売上収益に対して13.5%の割合を占めております。

昨今、企業のデジタル化、オンライン化、越境ECのニーズは高く、クリエイターも多様な収益源を求めています。法人クライアントやクリエイターがブランドを立ち上げ、運営する際の課題として、適切な製造業者を選定するための情報が不足する、生産スケジュール・品質管理が柔軟に行えないといったものがあります。また製品の生産から販売、マーケティング、物流まで異なる領域で最適な外部パートナーを選定し、バリューチェーンを構築することにハードルがあると考えています。それらの課題解決を行うために、当社グループはブランドの設計・企画から、生産管理、ECサイトの構築・運用、複数ECモールのデータ管理会話型コマース、マーケティング、物流管理に至るまでのバリューチェーン(ブランドコマース)における主要ソリューションをワンストップで提供し、またアジア全域でのサービス提供を行うことでクロスボーダーでの連携ができる体制で運営を行っており、2023年12月末時点で展開又は支援するブランド数は191ブランドとなっております。(クリエイター向け38ブランド、法人向け153ブランドを含む)

また、自社プラットフォームを活用して自社ブランドの構築・運営も行っており、連結子会社である株式会社LYFTにおいてフィットネス用のアパレルやプロテイン製品を企画・生産・販売するブランドである「LYFT」を運営しております。

 

 (2) パートナーグロース領域について

 当社グループはインターネットメディアやモバイルアプリ運営事業者などのパブリッシャーやYouTuberやTikToker等のクリエイターを中心とする当社パートナーに対して、データ分析、収益化支援、ユーザーエンゲージメント向上支援を行っており、これらのパートナーの成長支援を行う一連のソリューションを「パートナーグロース」と定義しております。具体的にはパブリッシャー向けにはパブリッシャーグロースプラットフォーム「AnyManager」、クリエイター向けにはクリエイターグロースプラットフォーム「AnyCreator」を提供しております。2023年度で当社グループの全社売上収益に対して36.0%の割合を占めております。

 

(パブリッシャーグロースプラットフォーム)

当社グループのパブリッシャーグロースプラットフォーム「AnyManager」は、パブリッシャーであるインターネットメディア事業者が運営するニュースメディア等のオンライン媒体やモバイルアプリについて、収益一元管理や分析を行えるダッシュボード機能の提供、インターネットメディア上の広告枠の管理・運用による収益最大化、ウェブページの表示速度の高速化を支援する機能やユーザーへのプッシュ通知機能などメディアパフォーマンス改善のためのソリューション提供を行っております。当社グループはGoogleに公式認定されたメディアソリューションパートナーとなっている他、150社を超えるネットワークと連携しインターネットメディア向けの収益最大化支援をアジア全域で行い、当社AnyManagerに接続されたパブリッシャーは2023年12月末時点で1,645媒体となっており、2023年の月間解約率(注1)は約1.0%で低く推移しております。また、2023年12月末時点で取引を行うパブリッシャーのうち、海外のパブリッシャー数は全体の63%を占めております。

インターネットメディア事業主は、運営するオンライン媒体やモバイルアプリを当社AnyManagerプラットフォームと連携いただくことにより、自社メディアの広告枠のパフォーマンスや収益状況の可視化、CPM(注1)の最適化、広告枠消化率の向上などの様々な収益向上のためのソリューションを活用いただくことが可能となっております。パブリッシャーグロースプラットフォームの収益としては、当社プラットフォームに連携するインターネットメディアの広告枠を各種ネットワーク上で販売することによる広告収益が主たるものであり、当社グループと広告配信ネットワーク事業者との契約により当社グループが広告収益を一括して受け取り、当社グループから各メディア事業者に対して売上シェア(注1)の契約に基づいて広告収益の一部を支払っております。

 

 

 (クリエイターグロースプラットフォーム)

当社グループのクリエイターグロースプラットフォーム「AnyCreator」は、YouTubeやTikTok等の動画配信サイトにおいてコンテンツを配信するクリエイターの活動やアカウント(YouTubeチャンネル等)マネジメントに関連するサポートを行っております。具体的には、YouTubeチャンネル等で動画視聴者を増加させ収益を最大化するための施策やデータ分析、動画コンテンツや著作権の管理、広告主のタイアップ(注1)案件のマッチング、イベント企画開催、グッズ販売、動画企画制作支援、また各種法律や規制の遵守のための支援を行っております。

これらのサポートへの取り組みの結果、「AnyCreator」は、2023年12月末時点で、グローバルで1,783名のクリエイターを支援しております。そのうち、海外にて活動するクリエイター数は全体の68%を占めております。また、100万人以上のチャンネル登録者を有するYouTubeチャンネルは2023年12月末時点で、120チャンネル超となっております。

クリエイターグロースプラットフォームにおける収益は複数あり、1つはYouTube上に流れる広告による収益の一部をYouTubeから受領する広告収益です。YouTube上の動画視聴に付随して発生する広告収益のうち、一部が広告収益としてクリエイターに還元されておりますが、当社グループ所属のクリエイターについては当社グループとGoogle社等の動画配信事業者との契約により当社グループが広告収益を一括して受け取り、当社グループからクリエイターに対して各クリエイターとの契約に基づく広告収益の一部の支払いを行っております。

もう一点の収益としてクライアント企業からの直接の依頼に基づいて行われるタイアップ案件に紐づく収益です。タイアップ案件としては、クリエイターは顧客企業の商品やサービスを紹介する動画を作成し、自身のチャンネルやソーシャルメディア上において公開することで、顧客企業より対価を受け取ります。クライアント企業にとっても広告効果が高いマーケティングが可能になると考えられております。

また、クリエイター向けの支援としては「YouTube Shorts」や「TikTok」といった新たなプラットフォームへの対応だけでなく、オンライン・オフラインを問わず、動画コンテンツ作成、ライブ配信、音楽配信、イベント参加、テレビ出演、パートナーシップ等様々な領域でクリエイターの活動を支援しております。

 

     (注)1.本項「3 事業の内容」において使用しております用語の定義について以下に記します。

項番

用語

用語の定義

1

パブリッシャー

ウェブサイト等のインターネットメディアやモバイルアプリを運営する事業者をパブリッシャーと呼びます。

2

クリエイター

YouTubeやTikTok等のソーシャルメディアにおいて動画等のコンテンツを作成・投稿する活動を継続的に行っている個人をクリエイターと呼び、ソーシャルメディアにおいて他のユーザーへの口コミ等の影響力が強い個人をインフルエンサーと呼びます(インフルエンサーの定義はクリエイターを含みます)。

3

EC

Electronic commerce(電子商取引)の略でありインターネット上でモノやサービスを売買することを指します。

4

会話型コマース

リアルタイムでのオンラインチャットによる接客体験やカスタマーサポート、ECサイトとの連携により購買や商品発送をトリガーにした配信などの機能でオンランチャットにより直接顧客とコミュニケーションして商品を販売することを指します。

5

D2C

Direct to Consumerの略であり中間流通等を介さずに製造者が直接的に消費者とインターネット上で取り引きをするは販売方法を指します。

6

リッチメディア広告

リッチメディア広告とは動画や音声の要素を含む広告のことで、限られた広告スペースや時間で多様な表現が可能であり効果的なメッセージを配信することができます。

7

月間解約率

月間解約率とは、前四半期末時点の顧客企業(全体の使用比率に対して0.1%未満の顧客企業を除く)の数に対する当四半期に離脱した顧客企業数の割合を月平均したものです。

8

CPM

「Cost Per Mille(コスト・パー・マイル)」の略であり、インターネット広告において広告単価を表現する単位であり、Web広告を1,000回表示するごとに発生する広告費となります。

9

売上シェア

当社のパートナーグロース領域においての取引形態で、パブリッシャーやクリエイター等のパートナーの広告枠を収益化し、当社が総収益を受領した後にパートナーと合意した比率(%)にて収益の一部を支払う取引となります。

また、ブランドコマース領域のD2C関連取引でも一部活用しており、その場合は当社グループが支援するブランドの収益実績に基づいて合意した比率に基づいて報酬支払を当社グループが受けるといった形態となっております。

10

タイアップ

クライアント企業の商品やサービスに関する動画をクリエイターが制作し、クリエイターのチャンネル又はその他ソーシャルメディアで公開することによるプロモーション施策です。ブランドコマース領域にて行うインフルエンサーマーケティングと同様のプロモーション施策ですが、当社グループにおいては所管部門に合わせて売上の管理区分がなされております。

11

ECイネーブラー

eコマース戦略立案、倉庫・物流管理、店舗運営、マーケティング、カスタマーサポート等、eコマースのバリューチェーン全体にわたって様々なサービスを提供する企業です。

 

 

 

[事業系統図]

(a) ブランドコマース領域:マーケティング

 

※画像省略しています。

 

(b)ブランドコマース領域:D2C

 

※画像省略しています。

 

 

(c)パートナーグロース領域

 

※画像省略しています。

 

24/03/29

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。

 

① 財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末に比べて、4,433百万円増加し23,255百万円となりました。これは主に、売上の拡大に伴う営業債権及びその他の債権が2,112百万円及び契約債権が527百万円増加したことによるものです。その他、PT. Digital Distribusi Indonesia (以下、「DDI」という。)の事業買収に伴うのれんが767百万円増加したことと棚卸資産が509百万円増加したことによるものであります。

 

(負債)

当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べて、2,344百万円増加し9,651百万円となりました。これは主に、営業債務及びその他の債務が2,025百万円増加したこと及びDDIの買収に伴いその他金融負債が299百万円増加したことによるものであります。

 

(資本)

当連結会計年度末の資本は、前連結会計年度末に比べて、2,089百万円増加し、13,604百万円となりました。これは主に、新株発行による増資859百万円によるものです。また、在外営業活動体の換算差額の増加等によりその他の資本の構成要素が540百万円増加、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上により利益剰余金が559百万円増加いたしました。

 

② 経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、企業収益が総じて改善するなど、緩やかな回復の兆しが見られました。しかしながら、世界的な金融引き締めや物価上昇、円安による国内物価の上昇、中東・東欧における地政学的緊張など、世界経済の先行きは不透明な状況が続きました。このような状況の中、当社グループは様々な地域で多様な事業を展開していることから、こうした市場変化の影響を緩和することができました。当期は一部のセグメントで課題があったものの、すべての事業において売上収益及び売上総利益が成長いたしました。マーケティング事業におけるインフルエンサーマーケティングプラットフォーム「AnyTag」、パートナーグロース事業におけるパブリッシャーグロースプラットフォーム「AnyManager」及びクリエイターグロースプラットフォーム「AnyCreator」が引き続きグループ全体の成長に寄与したことに加え、D2C・Eコマース事業においても、国内外の法人向けEコマースが堅調に成長しました。

当社グループは、既存事業に加え引き続きD2CプラットフォームのEC領域に注力しており、特に法人向けEC支援は日本だけではなくアジア各国における高い需要を取り込むべく体制強化を継続しております。また、マーケティング、パートナーグロース及びD2Cの既存事業に加えて、越境ECを含むEC支援においても、代理店や競争力のあるブランドを有するメーカー各社との協業を進めることで継続的な事業拡大及び成長に注力しております。これに関連して、当社グループは、2023年9月25日にインドネシア国内において法人向けにEC支援事業を展開している、ECイネーブラー(IT、流通及びマーケティング機能を複合的に備えECバリューチェーン全体を支援する企業)であるPT Digital Distribusi Indonesia(以下「DDI社」)の全株式の取得手続きを完了し、同社を完全子会社化いたしました。本件子会社化に伴い、2023年12月期第3四半期より同社を連結しております。本件子会社化により、当社グループのEC関連プロダクトとテクノロジー開発体制やグローバルネットワークと、DDI社のインドネシアにおけるECオペレーションチームやクライアントネットワークを相互に連携することにより、アジアにおけるEC支援事業の基盤を確立させていきたいと考えております。

第4四半期連結会計期間においては、韓国、サウジアラビアという新たな市場への進出を果たし、アジア全域に構築したネットワークを活用し効率的な事業拡大を図ってまいりました。このような状況の中、2024年1月4日に韓国・フィリピン・タイにおける新役員体制の決定を発表いたしました。経営陣に経験豊かな人材を迎え入れることで、当社グループの将来のさらなる成長に向けた体制を強化するものです。

 

当社グループは、新機能の開発やプラットフォームの利便性向上のために積極的に投資を継続しています。国際配送プラットフォーム「AnyLogi」においては、大手国際輸送会社DHLとの統合によるグローバル配送ニーズに対応した物流ネットワークの拡充、インフルエンサーマーケティングプラットフォーム「AnyTag」においては、パフォーマンス重視のインフルエンサーマーケティングとモバイルアプリマーケティングを連携させた「AnyTag Performance for Apps」の提供を開始いたしました。また、AnyMind LLM Labを通じて、人工知能(AI)及び大規模言語モデリング(LLM)技術の研究開発を強化しています。これらの継続的な機能改善・向上は、当社グループが提供するサービスの付加価値の増大に貢献し、当連結会計年度の成長のみならず、今後の継続的な成長に資すると考えております。

 

これらの結果、当連結会計年度の売上収益は33,460百万円(前連結会計年度比35.0%増)、売上総利益が12,699百万円(前連結会計年度比36.7%増)営業利益は747百万円(前連結会計年度比2,353.5%増)、税引前利益は628百万円(前連結会計年度比92.4%増)、当期利益は562百万円(前連結会計年度比129.2%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は559百万円(前連結会計年度比133.8%増)となりました。

 

なお、当社グループは、インターネット関連事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しております。

 

 

(参考)当社グループの売上収益の推移

当社グループは2017年12月期以降、安定した成長を実現しており2023年12月期までの売上収益の年平均成長率は51%となっております。2017年12月期の東南アジアにおけるマーケティングプラットフォーム「AnyTag」、「AnyDigital」中心の収益構造から、2018年12月期は日本及び中華圏においてパブリッシャーグロースプラットフォーム「AnyManager」を積極的に展開し、2019年12月期にはクリエイターグロースプラットフォーム「AnyCreator」をグローバルに展開開始したことに加え日本における「AnyTag」の事業の強化を行っております。

2020年12月期にはインド及び中東において企業買収を経て事業展開したことに加えて、D2Cプラットフォームのソリューション展開を積極的に行うことで事業拡大を実現してまいりました。企業買収も活かして短期間で既存事業の周辺領域へ事業展開していくこと、東南アジアを中心とした安定した市場成長が期待できる市場に事業基盤を持っていること、エンジニアによりプラットフォーム開発や機能拡大をタイムリーに行えていることが足元までの高い成長性を支えていると考えております。

2022年12月期においてはD2Cプラットフォームからの収益貢献の拡大もあり、収益モデルの分散が更に進んでおり、広告主からのマーケティング報酬(マーケティング支出)に加えて、D2Cプラットフォームにおいて、商品販売収益、法人クライアントとの売上シェア(レベニューシェア)、月額固定報酬(サブスクリプション)、利用料に応じた従量課金等の重要性が高まっております。また、パートナーグロースプラットフォームにおいてもパブリッシャーやクリエイターとの広告収益に基づいた売上シェアだけでなく、各種サービス提供による月額固定報酬を受ける収益形態もございます。

2023年12月期においてはD2C/EC事業におけるEC領域の拡大に取り組みました。2023年9月25日のDDI社の取得も追い風となりD2C/EC事業は前年同期比で過去最高の成長を記録しました。クロスボーダービジネスを含めた法人EC支援を推進することで、日本をはじめとするアジア諸国の旺盛な需要を取り込み、継続的な事業成長を達成しております。

 

 

2017年

12月期

2018年

12月期

2019年

12月期

2020年

12月期

2021年

12月期

2022年

12月期

2023年

12月期

年平均

成長率

売上収益

(百万円)

2,820

5,285

6,502

11,080

19,252

24,790

33,460

  51%

 

(注)2019年12月期の売上収益については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に準じて、PwC Japan有限責任監査法人により監査を受けております。また、2020年12月期、2021年12月期及び2022年12月期の売上収益については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、PwC Japan有限責任監査法人により監査を受けております。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における「現金及び現金同等物」の残高は、前連結会計年度末比125百万円増加し6,266百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度末において、営業活動によるキャッシュ・フローは1,028百万円の収入となりました(前年同期比では1,730百万円の収入の増加)。これは、税引前利益628百万円を計上したことに加え、減価償却費及び償却費の計上1,060百万円があった一方で、運転資金の増加による支出693百万円等があったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度末において、投資活動によるキャッシュ・フローは1,261百万円の支出となりました(前年同期比では1,159百万円の支出の増加)。これは主に、DDI社株式の取得により706百万円の支出があったこと、子会社の株式会社LYFTがLÝFT GÝM(リフト ジム)を東京・表参道ヒルズに開店したこと及び子会社のオフィス移転等による固定資産の取得等により422百万円の支払があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度末において、財務活動によるキャッシュ・フローは204百万円の収入となりました(前年同期比では3,119百万円の収入の減少)。オフィスに係るリース負債の返済により771百万円の支出があったものの、新株の発行による収入859百万円があったことによるものです。

 

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社グループは、提供するサービスの性格上、生産活動を行っておりませんので、記載しておりません。

 

b.受注実績

当社グループは、受注から役務提供の開始までの期間が短いため、受注実績に関する記載はしておりません。

 

c.販売実績

第4期連結会計年度及び第5期連結会計年度の主要なプラットフォームごとにおける販売実績は、次のとおりであります。なお、当社グループはインターネット関連事業の単一セグメントであります。

 

第4期連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

第5期連結会計年度

(自 2023年1月1日

  至 2023年12月31日)

金額(百万円)

前期比(%)

金額(百万円)

前期比(%)

マーケティングプラットフォーム

13,115

+37.9

16,762

+27.8

パートナーグロースプラットフォーム

8,612

+6.9

12,052

+39.9

D2Cプラットフォーム

2,898

+86.8

4,518

+55.9

その他

162

+26.1

127

-21.9

合計

24,790

+28.8

33,460

+35,0

 

 

(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります

 

第4期連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

第5期連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

Google Ireland limited

1,607

6

3,888

12

Google Asia Pacific Pte. Ltd

3,285

13

2,146

6

 

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準審議会によって公表されたIFRSに基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たっては、決算日における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような経営者の見積り及び予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、見積り及び予測を行っておりますが、前提条件やその後の環境等に変化がある場合には、実際の結果がこれら見積りと異なる可能性があります。

なお、当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要性がある会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」に記載しております

また、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりであります。

 

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度においては、全事業部門において前年同期比で増収増益となりました。マーケティング事業におけるインフルエンサーマーケティングプラットフォーム「AnyTag」、パブリッシャー成長プラットフォーム「AnyManager」、パートナーグロース事業におけるクリエイター成長プラットフォーム「AnyCreator」が引き続きグループ全体の成長に寄与しました。また、D2C/EC事業のEC領域も積極的に拡大し、前年同期比55.9%の増収となりました。

 

経営成績等の分析・検討内容は以下のとおりであります。

a.売上収益

売上収益は、全事業において取引社数が増加し33,460百万円(前連結会計年度比8,670百万円増)となりました。2023年12月期における地域別売上収益比率(注)は、日本が46.4%、東南アジアが38.2%、インド・中華圏等のその他地域が15.4%(前連結会計年度は、日本が47.0%、東南アジアが36.5%、インド・中華圏等のその他地域が16.5%)となっております。

(注)地域別売上収益比率は、子会社の所在地における内部取引消去前の売上収益に基づいて算定しております。

 

b.売上原価、売上総利益

売上原価は、主に売上収益増加に伴うマーケティング原価、パブリッシャー及びクリエイターへの支払の増加等により20,761百万円(前連結会計年度比5,262百万円増)となりました。この結果、当連結会計年度の売上総利益は12,699百万円(前連結会計年度比3,407百万円増)となりました。また、当連結会計年度の売上総利益率は、38.0%(前連結会計年度は37.5%)となりました。

 

c.販売費及び一般管理費、営業利益

販売費及び一般管理費は、主に事業拡大に伴う人件費、業務委託料及び販売促進費等の増加により11,880百万円(前連結会計年度比2,580百万円増)となりました。この結果、当連結会計年度の営業利益は747百万円(前連結会計年度比717百万円増)となりました。

 

d.金融収益・金融費用、税引前利益

金融費用は、主に為替差損の影響により134百万円となりました。金融収益は、主に利息収入により15百万円となりました。この結果、税引前利益は628百万円(前連結会計年度比301百万円増)となりました。

 

e.親会社の所有者に帰属する当期利益

法人所得税費用66百万円及び非支配株主持分3百万円を計上した結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は559百万円(前連結会計年度比320百万円増)となりました。

 

 

③ 資本の財源及び資金の流動性の分析

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループの業容拡大のための運転資金と人件費等の営業費用であります。当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。運転資金の調達は自己資金及び金融機関からの借入を基本としております。なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、6,266百万円であり、十分な流動性を確保しております。当社グループはM&Aを行う場合等に投資活動によるキャッシュ・フローが支出超過となる場合がありますが、投資からの想定回収期間が中長期に亘る場合、当該タイミングにおける金利及び資本コスト、資金需要の額を考慮した上でエクイティファイナンスを行う場合があります。

 

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に影響を与えるおそれがあることを認識しております。そのため、当社グループは常に外部環境の変化に留意しつつ、内部管理体制の強化、優秀な人材の確保及び育成等により、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。

 

⑤ 経営者の問題意識と今後の方針について

経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照下さい。売上収益及び売上総利益は市場成長も背景に堅調に成長が続く中、「優秀な人材の確保」が足元の事業成長を継続するために重要と考えており、当社グループの知名度向上による採用力の強化とグループ内の従業員に対する育成について優先的に対応を行っていく予定です。

 

 

(参考情報)

当社グループは、経営成績を評価するために売上収益及び売上総利益に加えて、調整後EBITDAを重要な経営指標と考えております。売上収益及び売上総利益の伸長の背景については「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」をご参照ください。その事業規模の拡大に伴い調整後EBITDAについては継続的に改善しております。

 

① 売上収益及び売上総利益

(単位:百万円)

決算期

国際会計基準

第2期

(2020年12月期)

第3期

(2021年12月期)

第4期

(2022年12月期)

第5期

(2023年12月期)

 売上収益

11,080

19,252

24,790

 33,460

 売上総利益

3,860

6,272

9,291

12,699

 

 

② 調整後EBITDA

(単位:百万円)

決算期

国際会計基準

第2期

(2020年12月期)

第3期

(2021年12月期)

第4期

(2022年12月期)

第5期

(2023年12月期)

 営業利益又は営業損失(△)

△524

△213

30

 747

+減価償却費及び償却費

620

766

893

 1,060

+株式報酬費用

8

1

81

 50

 調整後EBITDA

104

554

1,005

 1,858

 

(注)1.調整後EBITDA=営業利益又は営業損失(△)+減価償却費及び償却費+株式報酬費用

2.調整後EBITDAはIFRSにより規定された指標ではなく、当社グループが、投資家にとって当社グループの業績を評価するために有用であると考える財務指標です。当社グループにおける調整後EBITDAは、同業他社の同指標あるいは類似の指標とは算定方法が異なるために、他社における指標とは比較可能でない場合があり、その結果、有用性が減少する可能性があります。