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利益

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最終更新:

E38667 

売上高

69.7億 円

前期

58.4億 円

前期比

119.3%

時価総額

51.5億 円

株価

1,838 (04/26)

発行済株式数

2,804,200

EPS(実績)

99.35 円

PER(実績)

18.50 倍

平均給与

595.7万 円

平均年齢(勤続年数)

32.5歳(3.1年)

従業員数

90人(連結:87人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

 

3 【事業の内容】

(1) 事業の内容

<フレキシブルワークプレイス事業>

 フレキシブルワークプレイス事業は、スモールオフィスやシェアオフィスといったフレキシブルワークプレイスを提供することで、不動産に付加価値を付与し収益性を向上させる事業です。ビルオーナーから不動産の運営委託やそれらに付随する設計・施工請負の受託、自社で保有している物件を直接テナントに賃貸することも行っております。

 また、当社のフレキシブルワークプレイス事業は、対象プロジェクトがリノベーション案件か新築案件かによって、再生ソリューションと開発ソリューションという二つの建物ソリューションに分けられます。再生ソリューションは築古ビルを対象として、耐震補強や増築、用途変更などを通じて抜本的な資産価値の向上を図っております。築古ビルを扱うメリットは、イニシャルコストが安く済み、稼働までの期間が短く、新築プレミアムの影響を受けにくいことなどが挙げられます。開発ソリューションは新築ビルを対象として、スモールオフィスやシェアオフィスといったフレキシブルワークプレイスを組み込むことで、付加価値を付与しております。開発ソリューションは、レジデンスに店舗やオフィスを組み合わせるというコンプレックス型が多く、シェアオフィスやスモールオフィスが建物全体の価値をあげるアイテムとなることで、施設価値の向上につながっております。

 

※画像省略しています。

 

(不動産の運用形態)

不動産の運用形態としては、①マスターリース(以下、MLと表記)契約、②プロパティマネジメント(以下、PMと表記)契約、③物件保有(自社保有物件における入居テナントとの賃貸借契約)となっています。物件の個別性や市況に応じて柔軟に運用形態を選択することで、不動産価値の最大化を図っております。また、リーシングマネジメントやイベント開催といった物件運営の附帯事業についても提供しております。

当社のビジネスモデルは、ML・保有(賃貸)におけるテナントからの賃料収受及びPMにおけるオーナーからの運営委託フィー収受といった物件運営を通じて継続的に得られるストック型収入がメインであり、2023年9月期実績で売上全体の71.5%を占めております。ストック型収入の安定的な積み上げをベースとしながらも、物件運営に付随して発生する設計・施工請負契約の受託や保有物件の売却といったフロー型収入が積み上がります。

 

 

売上構成推移/ストック型売上・フロー型売上(単位:百万円)

 

2021年9月期※

2022年9月

2023年9月

ストック型売上

3,357

4,429

4,983

フロー型売上

453

1,414

1,988

3,810

5,843

6,972

 

(注)2021年9月期(第13期)は2020年11月1日から2021年9月30日の11か月決算となっております。

 

①ML契約

 当社のML契約は、競争力の低下した築古ビルを中心に一括借り上げし、運営・管理しております。不動産所有者に賃料を保証し借り上げたのちに、不動産価値を向上させ、その物件を転貸することによりテナントから受取る賃料を収益に計上しております。土地や建物を保有することなく管理物件を転貸にて運用することで資本効率を高め、資産価値下落のリスクを抑えることにより、収益を安定的に確保することが可能となっております。なお、ML契約に付随して、設計・施工請負契約を締結するケースもございます。

 

②PM契約

 当社のPM契約は、テナント誘致、賃貸借契約代行、トラブル対処等のテナント窓口業務、テナント請求業務、建物や設備の点検代行等を行うことでビルオーナーから手数料を収受しております。施設運営の実績と知識を基に、不動産価値を最大化する運営と管理を提供しております。なお、PM契約に付随して、設計・施工請負契約を締結するケースもございます。

 

設計・施工請負契約

a. 設計監理契約(2017年11月一級建築士事務所登録)

 物件の設計監理の請負契約についても対応しております。不動産は商品としての個別性が強くそれぞれに特有の事情を抱えております。従って、個別性の強い築古ビルの抜本的な資産価値向上のためには、経験に基づく高度な技術力が必要となります。また、設計変更の内製化など事業推進の迅速化にも繋がっております。

 

b. 工事請負契約(2020年2月特定建設業許可取得)

 リノベーション工事や新築工事だけでなく、運営物件における附帯工事の発生(補修、指定工事等)といった工事請負契約についても対応しております。特定建設業許可を取得したことによって、工事請負金額の制限が無くなっただけでなく、社内へのノウハウの蓄積や事業推進の迅速化にも繋がっております。

 

③物件保有(入居テナントとの定期建物賃貸借契約)

 自社で物件を保有した上で、入居テナントと定期建物賃貸借契約を締結することで賃料収入を得るケースもございます。自らが不動産所有者となることで賃料支払い負担がなくなることから、借入利息を勘案しても粗利では収益アップに繋がっております。また、保有物件の売却により、売却益を確保しながらも、資産入替による財務バランスの確保を行う場合もございます。この場合、保有物件売却後もML契約もしくはPM契約を締結することで、物件運営による安定的なストック収入を継続させております。

 

 当社の事業はフレキシブルワークプレイス事業の単一セグメントであり、セグメント情報を記載しておりません。

 

 事業系統図は、以下のとおりです。

 

①ML契約

※画像省略しています。

 

②PM契約

※画像省略しています。

 

③物件保有

※画像省略しています。

 

(運営物件)

 2023年9月末時点において、累計プロジェクト(終了物件も含んだ累計プロジェクトを指します)は95件、獲得済プロジェクト(竣工前物件を含めたプロジェクトを指します)は69件、運営物件(竣工後のML・PM・保有物件を指します)は58件となっております。

 

獲得済プロジェクト内訳(69件)

対象物件

再生

  56件

開発

  13件

 

 

 

 

運用形態

ML

  42件

PM

  20件

保有

 5件

その他※

 2件

 

※ASIA BUILDING(リーシングマネジメント契約)及びneu.ROOM(ワーケーション施設のためその他に分類)
 

運営物件内訳(58件)

対象物件

再生

  50件

開発

 8件

 

 

 

 

運用形態

ML

  38件

PM

  16件

保有

 2件

その他※

2件

 

※ASIA BUILDING(リーシングマネジメント契約)及びneu.ROOM(ワーケーション施設のためその他に分類)

 

(東京都心部を中心としたエリア展開)

 当社は、築30年前後で延床面積300~600坪程度のコンパクトな築古ビルが主な仕入物件となっております。オフィス需要並びに収益性を鑑み、東京都心部を中心に展開しております。コンパクトな築古ビルを対象としているため、価格優位性の高い東京都心部での事業展開が可能となっております。事業展開の規模を大きくせずに東京都心部の得意エリア内での当社物件数を増やしていくというドミナント戦略を採用することで、他社との差別化を行っております。当社の得意とするエリアは、潜在性を秘めた築古ビルの供給ストックが豊富であり、テナント需要にも恵まれています。その上、当社がマーケットを熟知している地域であるからこそ、都心部で個性的なオフィスを適正価格で借りたいというエリア特有のニッチな需要に応えることが可能となっております。また、エリアを集中させることにより、管理面での人的資源の投下が効率化され、運営費の抑制に繋がることも大きなメリットです。なお、2023年9月末時点の獲得済プロジェクト69件のうち、渋谷区は27件、港区は17件、目黒区は15件です。

 

(入居テナント・契約内容)

 2023年10月1日時点の入居テナント数は、区画契約920件、フリーデスク契約356件となっております。区画契約920件のうち、事務所契約が780件と区画契約の約85%を占めております。そして当社の入居テナントの多くを占めるのが区画専有面積50㎡未満のスモールオフィスであり、事務所契約の約63%を占めております。

 また、入居テナントの業種は情報サービス業等がおよそ4分の1を占め、創立年数が10年以内の社歴の若い会社がおよそ6割を占めております。

 

(クライアントとしてのビルオーナー)

 2023年9月末時点において獲得済プロジェクト69件に対して、クライアント数は46となっております。狭域エリアでの展開ながら、特定のクライアントに大きく偏ることなく業務を受託しております。クライアントの属性も、不動産デベロッパーや鉄道会社などの大企業から個人ビルオーナーまで多種多様となっております。ビルオーナー向け物件内覧会の実施、ダイレクトメールでのアプローチ、講演会の実施・専門誌でのコラム等の発信、プロモーション活動による会社自体の認知度の向上などによりクライアントを獲得しています。

 

 

<社会的課題と解決>

 不動産業界における社会的課題として、競争力を失った築古ビルの増加が挙げられます。その背景として、都心部における止まらない大規模開発と二次空室問題や、コロナ禍で進行した働き方改革や、大規模災害のたびに改正される建築基準法や消防法などが挙げられます。当社のフレキシブルワークプレイス事業は、ビルオーナーの遊休不動産の有効活用をしたいというニーズと、入居テナントの個性的なオフィスを適正価格で借りたいというニーズの双方に応えることで、社会的課題に対するソリューションを提供しております。

 

(ビルオーナーのニーズ:遊休不動産の有効活用をしたい)

 税法上、事務所用鉄筋コンクリート構造の減価償却資産の耐用年数は50年であるため、機能として鉄筋コンクリート構造の寿命はそれ以上にも関わらず、耐用年数を経過すると帳簿価額はゼロとなり、取引実態としての資産価値も極めて低くなってしまう現状がございます。税法上の償却年数という一律の考え方に加え、1981年建築基準法の改正によって「旧耐震」というだけで、著しく資産価値が低下してしまう事態となりました。また、かつては検査済証を取得する習慣がなかったことを背景に、未だに検査済証未取得の築古ビルが数多く存在しております。当社は、東京都心部の優良エリアに位置しているにも関わらず競争力を失った築古ビルに対して、抜本的な改良を行い資産価値を向上させております。

 

抜本的な改良による資産価値向上について

 築古ビルに対しては、資産価値向上のために建物の素地に対して抜本的な改良を行います。代表的な施策としては、耐震補強(旧耐震基準の建物を新耐震基準に適合させて安全性を向上させる)、エレベーター新設(エレベーターがない建物にエレベーター新設することで上層部の価値を高める)、用途変更(住居からオフィス、オフィスから店舗等、用途変更をすることで賃料単価を向上)、増築(余剰面積を計算し増築を行うことで賃料収入総額をあげる)、検査済証取得(検査済証や適合認定書の再取得で建物の遵法性を確保)、耐久性の向上(コンクリートの劣化診断と補強、外壁への特殊塗装などで建物の耐震性を向上)などが挙げられます。

 

耐震補強(旧耐震基準と新耐震基準)

 1981年(昭和56年)に構造に関する建築基準法改正が行われ、その年を境に以前は旧耐震基準の建築物、以後は新耐震基準の建築物と呼ばれています。旧耐震基準であること自体は建築基準法上、違法となるわけではなく、現行の構造設計基準には適合しない既存不適格物扱いとなりますが、耐震補強を行うことで新耐震基準並みの耐力まで向上させることができます。

 

法適合状況調査業務及び検査済証の取得

 平成26年以前までは検査済証のない建築物の増改築や用途変更に伴う確認申請にあたり、原則として既存建築物が新築時に建築基準法令に適合していることを確かめる必要がありました。工事完了後に完了検査を受けておらず検査済証の交付を受けていない建築物は、既存不適格建築物(既存不適格建築物とは、新築当時は旧法・旧規定の基準で合法的に建てられた建築物が、その後、法令改正や都市計画変更などにより、現行法に対して不適格な部分が生じた建築物を指します)であるか違反建築物であるかの判断が難しく、結果として確認申請が実現できないケースが多く存在しました。そのため、平成26年から「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関等を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン」を用いた法適合調査を行えるようになり、調査報告書は増改築等の確認申請の際の既存不適格調書の添付資料として活用でき、法適合性が証明できることで、検査済証のない建築物の確認申請が以前より容易になりました。なお、法適合状況調査の実施にあたり、調査及び調査報告書作成においては既存の図面や当社事業の計画図を基に第三者の指定確認検査機関等に依頼する場合や、その他工程において必要に応じて設計事務所等へ一部再委託を行う場合があります。

 

(入居テナントのニーズ:個性的なオフィスを適正価格で借りたい)

 入居テナントの悩みとして、適正価格での個性的なオフィスの供給が少ないことが挙げられます。例えば、魅力的なヴィンテージ物件にあこがれるテナントからの需要は一定数あるにも関わらず、テナントの求めるような物件自体が希少であり、ニーズに対応しきれていないのが現状です。コストをかけてヴィンテージ風オフィスをつくるケースが多くみられますが、オフィス退去時には全て借主負担で原状回復工事をすることが求められます。対して当社は、必要以上にコストをかけて内装をつくりこむのではなく、天井はスケルトンでの貸し出しを基本とするなど無駄な仕上げをなくし内装の自由度を高め、原状回復工事についても極力抑えることで、不要なコストを削減することに努めています。

 

 

 

(2) 事業の特色

 <当社の強み>

 当社の強みは、確かなフレキシブルワークプレイス事業の運営実績により培われた、企画力・技術力・運営力だと考えております。企画・デザイン、設計・建設、リーシング、運営までワンチーム・ワンストップでプロジェクトを推進しております。プロジェクトが発足すると6名~10名程度のチームを編成し、各専門家がワンチーム・ワンストップでプロジェクトに取組むことで、事業推進の迅速化・効率化とノウハウの蓄積を実現しております。

 各専門家についてですが、各許認可・登録の下で有資格者が以下のとおり在籍しております。一級建築士事務所であり、2023年9月末時点で一級建築士が7名(役員1名除く)在籍しております。特定建設業許可を取得しており、2023年9月末時点で1級建築施工管理技士が6名(役員1名除く)在籍しております。宅地建物取引業者として、2023年9月末時点において、宅地建物取引士が41名(役員3名除く)在籍しております。

 

※画像省略しています。

 

(企画・設計・デザイン)

新規案件の検討において、設計図書や現地調査を行い改修方法の可能性や法的検証の上、マーケティングや資産価値向上に繫がる事業計画やスキームの立案を行い、また各業者やデザイナーの調整等を通じてクリエイティブな空間創りに注力しております。企画設計段階のみならず、確認申請や工事現場監理等を行い、竣工後は建物の品質を損なわないよう、テナントの内装監理や物件調査により修繕計画のサポートなども行っております。

また、一定のインフラ設備は備えつつ、床・壁・天井等の内装を自由にリノベーションできる「オーダーメイドオフィス」サービスも提供しております。空調などのインフラ設備を設置したシンプルな空間を提供し、一定の条件をクリアした場合は退去時の原状回復義務を免除するなど、入退去時のコストを抑えながらも自由なオフィス空間創りを可能としております。

 

(建設)

仕入段階における工事の積算や施工業者の調整、自社企画運営する建物の元請工事の安全品質管理、コスト管理及び工事監理補助、オーナーや施工業者等の様々な関係者との調整を行いながら安全な現場運営を行っております。また、築古ビルの再生に携わるため竣工時の図面や改修履歴などを確認しながら工事を行っております。

 

 

(リーシング)

当社オフィスの魅力を的確に伝え、シェアオフィス特有の入退去の回転率の速さに対応できるリーシングツールと体制を整えております。リーシングツールとしては、オウンドメディアの機能も兼ね備えたメディア型オフィス検索サイトである「ORDERMADE TOKYO」を提供しています。その他、イベント企画による集客や、ビルオーナーリスト・入居テナントリスト・反響リスト等をもとに作成されたメーリングリストなどを駆使しております。

 

(運営)

常駐ではなく狭域でのこまめな巡回対応での物件運営を行っております。巡回対象の物件が狭域にまとまっていることで運営コストを削減しながらも、WEBカメラでの監視などを無人管理にプラスして定期的な巡回をすることで物件の質を担保しております。このように運営業務を取捨選択して効率化を進めながらも、入居テナントのニーズを的確に掴むためにコミュニケーションを重視しております。新規契約時において当社独自の基準で入居審査を実施していることでサービスクオリティーを維持し、また、入居テナントと担当者の距離が近く滞納などの兆候を事前に察知しやすいなどの利点が挙げられます。その他、クレーム対応等を通じて入居テナントのニーズを聴取し、次の企画に反映していきます。例えば、ラウンジでのWEB会議への騒音クレームに対してWEB会議ルームを新設する、インターネット通信速度の低下の苦情に対してはサーバー補強などの対策を実施する、床材の劣化などの指摘に対しては設計時の建材選定の参考にするなど、迅速に対応しながら次の企画へフィードバックしていきます。

その他、福利厚生サービスを提供するなど、テナント入居者の満足度を高め、定着率アップの施策を実施しております。具体的には、福利厚生サービスを「JOINT HUB」と総称し、運営するワーケーション施設の利用機会の提供やスポーツジム施設であるゴールドジムの利用チケットの提供、入居者参加型イベントや経営者の交流会の実施などを提供しております。

 

※画像省略しています。

 

 <参入障壁>

 フレキシブルワークプレイス市況における入居テナントのニーズを的確に掴む難しさこそが、参入障壁だと考えております。一般的なオフィスマーケットは立地や築年数である程度固定化されてはいるものの、フレキシブルワークプレイスにおいては相場が固定化されておりません。そのため、運営実績に基づく需要予測と賃料設定が必要であり、資金があったからといって過去の成功事例を模倣することは困難です。当社は創業以来累計90件のフレキシブルワークプレイス物件の運営実績により培われた企画力・技術力・運営力があり、フレキシブルワークプレイスを求める入居テナントのニッチな需要への対応を可能としています。

 また、フレキシブルワークプレイスは企画やデザイン次第で単価が大きく上下します。例えば、当社の「THE WORKS」は、運営延床面積2,753㎡、築45年のエレベーター無し旧倉庫兼事務所ビル一棟をシェアオフィスを中心とした複合施設にリノベーションし人気物件に再生した物件です。1階倉庫を店舗に用途変更したことや、エレベーターの新設、ラウンジやスカイテラスなどを設置し共有部などを充実した上で、スモールオフィスを配置しました。その結果、2023年9月期で年間支払賃料94百万円(延床面積あたりの売上単価が月額0.9万円/坪)の物件が、フレキシブルワークプレイス事業によって、年間売上高244百万円(延床面積あたりの売上単価が月額2.4万円/坪)と大幅に収益性が向上する物件となっております。これは、入居テナントのニッチな需要にマッチすれば、築古ビルであっても企画やデザイン次第で高収益をあげることができるという事例の一つです。

 「会社の財力といったステータスを示すわかりやすい高級な事務所」を求める会社は、新築ないし築浅の大型S級ビル(大型S級ビルは、好立地、延床2万坪以上、基準階500坪以上、築11年未満、ランドマーク性等を備えたビルを指します)を選択する傾向にあり、「最低限の執務スペースとしての事務所」を求める会社は、一般的なオフィスビルを選択する傾向にあると考えます。対して、「オフィスは会社のカルチャーを作り発信する場所」と考える会社は、一般的なオフィスビルを好まない傾向にあります。このようなニッチな需要に応えるために、品質担保のための社内会議体を設けることによる一定のクオリティの担保を行いながら、物件独自のセンスのある共用部や外観、専有空間に自由度のあるオフィスを提供しております。

 

※画像省略しています。
※画像省略しています。

「THE WORKS」Before and After

23/12/07

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態の状況
(資産)

当事業年度末における流動資産は4,007,328千円となり、前事業年度末に比べ1,964,011千円増加いたしました。これは主に固定資産からの保有目的変更により販売用不動産が421,078千円、新規上場に伴う公募増資等により現金及び預金が1,319,814千円増加したこと等によるものです。固定資産は7,399,641千円となり、前事業年度末に比べ1,682,848千円増加いたしました。これは主に「ランディック原宿ビル」の取得等による土地の増加1,184,032千円、建物の増加582,867千円等によるものです。

この結果、資産合計は11,406,970千円となり、前事業年度末に比べて3,646,860千円増加いたしました。

 

(負債)

当事業年度末における流動負債は4,327,304千円となり、前事業年度末に比べ2,353,584千円増加いたしました。これは主に物件取得等に伴い短期借入金が1,842,000千円増加したこと等によるものです。固定負債は4,798,113千円となり、前事業年度末に比べ251,361千円減少いたしました。これは主に「ARCHES KAMIYAMACHO」の売却に伴い長期借入金を繰上返済したこと等に伴い、長期借入金が426,471千円減少した一方で、テナントの増加に伴い、預り保証金が112,962千円増加したこと等によるものです。

この結果、負債合計は9,125,418千円となり、前事業年度末に比べて2,102,223千円増加いたしました。

 

(純資産)

当事業年度末における純資産合計は2,281,552千円となり前事業年度末に比べて1,544,636千円増加いたしました。新規上場に伴う公募増資等による資本金635,697千円及び資本準備金635,697千円の増加、当期純利益278,593千円の計上によるものであります。

 

② 経営成績の状況

当事業年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が緩和され、インバウンド需要やサービス消費の回復をはじめとして、社会経済活動の正常化に向けた動きがみられました。しかしながら、不安定な海外情勢などを背景に資源・エネルギーや原材料価格の高騰や、円安などの影響により過度にインフレを恒常化させる可能性がある等、依然として景気の先行きは不透明な状況が続いております。

当社の主たる事業である不動産賃貸業界におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響が緩和されたことにより、穏やかにではありますが長らく低迷していたオフィス市況も回復傾向にあります。その中でもスタートアップ企業やIT企業が多く拠点を構えている渋谷区オフィス市況は回復が早く、当社の主な展開エリアであることからも業績の堅調な推移につながっています。また、オフィスの在り方は多様化を見せており、とりわけ大型オフィスビルの分散化や低稼働率に悩むホテルや商業施設からオフィスへの用途変更やサテライトオフィスの需要拡大など、働き方や働く場所の多様化が進むことによって、新たなオフィス需要が生まれております。

このような状況の中、当社は技術力・企画力・運営力を柱に、時代のニーズを敏感に捉えながら、競争力の低下した不動産をフレキシブルなワークプレイスへと再生させ、新たな価値を生み出してまいりました。実績により蓄積されたソリューション力は、築古ビルのみに留まらず、新築・築浅物件や競争力の低下したホテルや商業施設につきましても需要が高まり、順調に事業を拡大しております。また、当事業年度においては設計・施工請負の増加や、販売用不動産の売却などが収益に貢献しております。

その結果、当事業年度の業績につきましては、売上高は6,972,224千円(前年同期比19.3%増)、営業利益は548,902千円(前年同期比27.9%増)、経常利益は484,642千円(前年同期比25.0%増)、当期純利益は278,593千円(前年同期比671.7%増)となりました。

 

当社の事業セグメントは、フレキシブルワークプレイス事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度における現金及び現金同等物の期末残高は1,962,754千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とその主な要因は以下のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、1,505,901千円(前事業年度は410,604千円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純利益425,872千円(前事業年度は40,180千円)、減価償却費367,464千円(前事業年度は372,773千円)、販売用不動産の増減額458,368千円(前事業年度は△589,914千円)や減損損失46,858千円(前事業年度は329,526千円)等が計上されたことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、3,051,036千円(前事業年度は2,528,670千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出2,911,956千円(前事業年度は2,255,840千円)等が計上されたことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果得られた資金は、2,864,949千円(2,376,795千円の獲得)となりました。これは主に、短期借入金の純増減額1,842,000千円(前事業年度は△157,000千円)や、長期借入れによる収入922,042千円(前事業年度は3,181,000千円)等が計上されたことによるものです。

 

④ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績及び受注実績

当社が提供するサービスの性格上、生産実績及び受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

b 販売実績

販売実績は、次のとおりであります。なお当社はフレキシブルワークプレイス事業の単一セグメントであるため、サービス別に記載しております。

サービス区分の名称

売上高(千円)

前期比

ML・保有(賃貸)

4,523,281

12.4%

PM

449,398

14.3%

設計・施工

1,287,513

△8.9%

保有(販売)

701,015

-

その他

11,015

△11.8%

合計

6,972,224

19.3%

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高)

ストック型収入についてはマスターリース物件の賃貸におけるテナントからの賃料収受売上は4,298,493千円、自社保有物件の賃貸におけるテナントからの賃料収受売上は224,787千円、プロパティマネジメント売上は449,398千円、リーシング報酬といったその他売上は11,015千円となっております。またフロー型収入として、設計・施工請負契約売上1,287,513千円、販売用不動産の売却による売上701,015千円が計上されております。その結果として、売上高は6,972,224千円(前年同期比19.3%増)となりました。当社は、ストック型収入の安定的な積み上げをベースとしつつも、特定建設業許可の取得以降、マスターリース物件やプロパティマネジメント契約の受託に付随する形で継続的に設計・施工請負を受託しており、ストック型収入に連動し、設計・施工請負契約売上が安定的に発生しております。また資産の効率的運用の観点から固定資産の保有目的の変更を行い、販売用不動産の売却を行っております。

 

(売上原価、販売費及び一般管理費、営業利益)

運営物件数の増加、建設請負案件にかかる請負原価及び事業部門の人員増加等により売上原価は5,988,986千円(前年同期比18.4%増)、上場関連費用の発生等に伴い販管費は434,334千円(前年同期比20.9%増)となりました。結果として、営業利益は548,902千円(前年同期比27.9%増)となりました。

 

(営業外収益、営業外費用及び経常利益)

営業外収益は1,503千円(前年同期比126.3%増)と大きな発生はありません。営業外費用は主に不動産購入及び設備投資にかかる借入に伴う支払利息の発生、上場関連費用の発生等により、65,763千円(前年同期比55.1%増)となりました。その結果、経常利益は484,642千円(前年同期比25.0%増)となりました。

 

(特別損益、当期純利益)

特別利益は5,338千円(前年同期比974.0%増)と大きな発生はありません。特別損失は主に固定資産の減損損失46,858千円の発生等により64,108千円(前年同期比81.6%減)、税引前当期純利益は425,872千円(前年同期比959.9%増)、当期純利益は278,593千円(前年同期比671.7%増)となりました。

 

② 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社の資本の財源及び資金の流動性について、当社の事業活動における運転資金需要の主なものは、運営物件にかかる支払賃料、管理経費及び人件費等の販売費及び一般管理費となります。投資資金需要のうち主なものは、新規物件契約に伴う保証金及びリノベーション設備投資によるものであります。また、投資資金は金融機関からの長期借入を基本としております。

当事業年度末における借入金残高は5,711,181千円(前年同期比39.4%)となっております。

 

なお、財政状態の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」に、キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

この財務諸表の作成に当たりまして、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項」に記載のとおりであります。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

⑤ 経営者の問題認識と今後の方針について

「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりとなります。

 

⑥ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、売上高及び営業利益を最重要の経営指標としつつも、売上高及び営業利益を向上させるための客観的な指標として運営面積、運営プロジェクト数、平均坪単価、物件稼働率を重要な経営指標と位置付けています。

当重要な経営指標について個別に目標値は設定しておりません。運営面積、運営物件数については2023年9月末時点においても「ランディック原宿ビル」の物件取得をはじめ、安定的に新規案件が獲得できている一方で、運営終了物件があったことから、2023年9月末時点の運営面積85,437㎡は2022年9月期末の運営面積84,565㎡と比べて増加は限定的となっております。また平均坪単価、稼働率については、2023年9月末時点(平均坪単価25,200円、稼働率98.3%)と2022年9月期末時点(平均坪単価24,332円、稼働率95.8%)と比較して指標の改善がみられ、期間を通じて安定的な推移となっております。