E01734 Japan GAAP
前期
42.8億 円
前期比
217.9%
株価
871 (05/01)
発行済株式数
22,052,426
EPS(実績)
45.04 円
PER(実績)
19.34 倍
前期
459.9万 円
前期比
102.5%
平均年齢(勤続年数)
39.2歳(10.8年)
従業員数
154人(連結:157人)
当社グループは、当社(株式会社エヌ・ピー・シー)、海外連結子会社である NPC America Automation Inc.及び非連結子会社であるNPC Korea Co., Ltd.により構成されており、装置関連事業と環境関連事業に従事しております。
当社グループの事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりであります。なお、以下それぞれの事業は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。
(1) 装置関連事業
装置関連事業では、太陽電池業界、電子部品業界、自動車業界等に対して、各種FA装置を提供しております。当社グループの松山工場は、ものづくりに必要とされる開発から設計(メカ・ソフト)・調達・組立の全ての機能を有しており、このような体制の下、品質の維持・向上を図るとともに、顧客ニーズに応じた高品質の製品を低コストで提供することができます。また、松山工場は1棟あたり天井高約8m、スペースが約40m×100mの組立工場5棟を有しているため、あらゆる製品に対応した大型ラインの組立が可能であり、単体装置のみならず一貫ラインを製作することができます。この他の製造拠点として、NPC America Automation Inc.は、小規模ながら製造能力を備えた海外拠点であり、顧客ニーズに応じた製品の製造や改造に現地できめ細かく対応することができます。なお、業界毎の主な製品は以下のとおりであります。
①太陽電池業界
主に米国の太陽電池メーカーに対して、高性能かつ高効率な太陽光パネルを製造するための各種FA装置(電極形成装置、溶接装置、真空ラミネーター、検査装置、その他組立・搬送装置等)を提供しております。また、国内外の太陽光パネルメーカーに対し、ペロブスカイト型などの次世代型太陽電池用の装置を提供しております。
太陽光パネルの製造工程は、太陽電池セルを製造する「セル工程」とそれらをモジュール化して太陽光パネルを製造する「モジュール工程」がありますが、当社グループの特長は、「モジュール工程」において結晶系シリコン太陽電池及び薄膜系太陽電池の両方に対応した装置を提供できること、また、顧客の要望に応じたオーダーメイド装置を提供できることです。
②電子部品業界、自動車業界等
様々な業界に向けて、自動化・省力化のための各種FA装置を提供しております。主に太陽電池業界にFA装置を提供することで蓄積した様々な技術(真空技術、塗布技術、接合技術、検査・計測技術、ハンドリング技術、搬送技術等)を太陽電池業界以外の業界に展開しております。具体例として、電子部品の搬送装置、車載部品の自動組立装置、新製品の開発や板状製品の貼り合わせに使用する真空貼合装置、食品や薬剤の梱包装置等、多種多様な製品に対応した装置を提供しております。
(2) 環境関連事業
太陽光パネルの検査から廃棄までのトータルサービスを提供しております。具体的には、太陽光発電所の検査サービスや、発電所等から排出された太陽光パネルのリユース・リサイクル、パネル解体装置に関連する製品やサービスを提供しております。また、人工光植物工場で栽培した野菜を販売しております。取扱製品やサービス毎の内容は以下のとおりであります。
①太陽光発電所の検査サービス
全国の太陽光発電所を中心に、オンサイトでの使用前自主検査(竣工前検査)や定期検査等を実施しております。法定で定められた検査メニュー(接地抵抗試験、接地導通試験、絶縁抵抗試験、絶縁耐力試験等)に加え、独自技術を搭載した検査機器を用いた精密検査や、ドローンを活用した簡易的かつ低価格な検査等、幅広い検査メニューを用意しております。また、当社が主幹している「ソーラーウェルネス」という検査ネットワークにより、全国の太陽光発電所を検査できる体制を構築しております。
②太陽光パネルのリユース・リサイクル
太陽光発電所等から排出された太陽光パネルについて、当社が再利用可能と判断したものをリユース品として国内外に販売しております。排出パネルの確保については、太陽光発電所の検査サービスを通じて日本全国に構築してきた太陽光発電所、EPC、電気工事会社等とのネットワークを活用しております。
また、主に四国内で発生した廃棄パネルについて、松山工場において当社の解体装置を用いた中間処理を行っております。中間処理により分離・解体した有価物はリサイクルしております。四国以外の地域で発生した廃棄パネルについては、全国の協力業者に仲介し、廃棄パネルの適正処理を促進しております。
③太陽光パネル解体装置
太陽光パネルをリサイクルするための解体装置を、全自動ラインから普及型のフレーム除去装置まで幅広く、国内外の産業廃棄物業者等へ提供しております。特許技術を活かした「ホットナイフ分離法」を搭載した解体装置は、高温の刃で太陽光パネルのガラスとセルシートを分離することができ、有価物である金属とガラスを低コストで効率よくリサイクル処理することができます。また、他の処理方法よりも処理能力やリサイクル率等において優位性があります。
④植物工場ビジネス
松山工場に密閉性の高い植物工場を設置し、LEDを使用して栽培した野菜(フリルレタス、グリーンリーフ、サニーレタス)を主にスーパーや食品加工場等に販売しております。気候変動による植物栽培への影響が増加していることを背景に、安心・安全な野菜の安定供給へのニーズが高まっているため、菌の付着の少ない安全で鮮度の長持ちする野菜を安定的に生産し、このニーズに対応します。また、植物工場の屋上にリユースパネルを使用した太陽光発電システムを設置し、生産に必要な電力を一部自家発電で賄っております。
[事業系統図]
※画像省略しています。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
イ.経営成績
当連結会計年度における国内経済は、緩やかに回復する一方で、エネルギー価格や原材料費の上昇が継続しました。世界経済においても、各国の金融引き締めにより景気後退が懸念されるなど、先行きが不透明な状況が続いています。
当社の装置関連事業が主な対象とする、米国の太陽電池関連市場におきましては、政策的支援を背景に長期的な市場の成長が見込まれ、太陽電池メーカーによる生産能力拡大や研究開発のための設備投資が活発化しています。また、日本の太陽電池関連市場においても、日本政府の太陽光発電設置拡大目標を背景に、従来の太陽光パネルよりも用途の広いペロブスカイト型等の次世代型太陽電池の事業化に向けた開発が進展しています。太陽電池製造装置以外のFA装置に関しては、日本国内では電子部品業界、自動車業界などで設備投資の継続が見込まれています。
当社の環境関連事業が属する太陽光発電業界におきましては、大規模太陽光発電所が順次設置され、竣工前検査のほか、稼働済発電所の定期検査へと当社検査サービスの対象が広がっています。また、企業や自治体でも自家消費用の太陽光発電の導入が進んでいること、10kW以上50kW未満の小規模な太陽光発電所にも新たに使用前自己確認が義務化されたことから、当社の検査サービスの対象となる発電設備が増加しています。また、将来的な使用済み太陽光パネルの排出を見越して、日本政府や自治体によりリユース、リサイクルの仕組みの整備が検討されています。太陽光パネルのリサイクルに関しては、国内外でリサイクル技術の導入が進んでおり、補助金による継続的支援が行われています。日本国内のみならず、欧州、豪州等でも太陽光パネルのリサイクル事業に参入する事業者が増加しています。
このような状況下、当連結会計年度の売上高は9,320百万円(前期比4,941百万円の増収)となりました。利益面においては、営業利益は976百万円(前期比356百万円の増益)、経常利益は963百万円(前期比345百万円の増益)となりました。2024年8月期の利益計画にもとづき繰延税金資産を積み増したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は993百万円(前期比613百万円の増益)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりです。
(装置関連事業)
装置関連事業におきましては、米国の太陽電池メーカーである主要顧客に対し予定通り新工場2カ所向けの装置を売り上げました。また、安定的取引のある電子部品業界の国内主要顧客や、自動車業界等の顧客に対するFA装置もほぼ予定通り売り上げました。また、部品販売が好調となったことで、売上高は8,689百万円(前期比4,599百万円の増収)となりました。利益面においては、仕入コストの低減、製造工程や現地作業での原価低減、部品の売上増加により一定の利益率を確保し、営業利益は1,489百万円(前期比271百万円の増益)となりました。
(環境関連事業)
環境関連事業におきましては、太陽光発電所の検査サービス、リユース・リサイクルやパネル解体装置、植物工場ビジネスによる売上を予定通り計上し、売上高は631百万円(前期比342百万円の増収)となりました。利益面においては、パネル解体装置等での仕入コストをはじめとする原価低減、付加価値の高い検査サービスの提供等により営業利益132百万円(前期は営業損失25百万円)となりました。
ロ.財政状態
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は9,963百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,261百万円の増加となりました。これは主として、現金及び預金の増加1,795百万円、売掛金の増加736百万円があった一方で、仕掛品の減少1,090百万円、流動資産のその他の減少161百万円があったことによるものであります。固定資産は3,647百万円となり、前連結会計年度末に比べ53百万円の増加となりました。これは主として、繰延税金資産の増加221百万円があった一方で、建物及び構築物の減少158百万円があったことによるものであります。
この結果、総資産は、13,611百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,314百万円の増加となりました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は5,463百万円となり、前連結会計年度末に比べ336百万円の増加となりました。これは主として、買掛金の増加169百万円、電子記録債務の増加106百万円、未払法人税等の増加203百万円、賞与引当金の増加95百万円があった一方で、前受金の減少257百万円があったことによるものであります。固定負債は73百万円となり、前連結会計年度末に比べ14百万円の増加となりました。これは主として、退職給付に係る負債の増加10百万円があったことによるものであります。
この結果、負債合計は、5,537百万円となり、前連結会計年度末に比べ351百万円の増加となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は8,074百万円となり、前連結会計年度末に比べ963百万円の増加となりました。これは主として、親会社株主に帰属する当期純利益993百万円の計上があった一方で、利益剰余金の配当42百万円があったことによるものであります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、税金等調整前当期純利益の計上963百万円、減価償却費の計上、棚卸資産の減少、仕入債務の増加があった一方で、売上債権の増加、前受金の減少、有形及び無形固定資産の取得による支出、配当金の支払額があったことにより、前連結会計年度末に比べ1,795百万円増加し、4,880百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は1,841百万円(前連結会計年度は83百万円の取得)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益の計上963百万円、減価償却費の計上209百万円、棚卸資産の減少1,096百万円、仕入債務の増加268百万円あった一方で、売上債権の増加722百万円、前受金の減少257百万円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は14百万円(前連結会計年度は4百万円の支出)となりました。これは主として、有形及び無形固定資産の取得による支出15百万円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は48百万円(前連結会計年度は353百万円の支出)となりました。これは主として、配当金の支払額42百万円があったことによるものです。
③生産、受注及び販売の実績
イ.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
生産高(千円) |
前期比(%) |
装置関連事業 |
7,424,340 |
89.0 |
環境関連事業 |
534,145 |
133.4 |
合計 |
7,958,485 |
91.1 |
(注)金額は販売価格によっております。
ロ.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前期比(%) |
受注残高(千円) |
前期比(%) |
装置関連事業 |
10,698,641 |
171.4 |
9,952,866 |
125.3 |
環境関連事業 |
467,843 |
69.5 |
322,125 |
66.4 |
合計 |
11,166,485 |
161.5 |
10,274,992 |
121.9 |
ハ.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
販売高(千円) |
前期比(%) |
装置関連事業 |
8,689,483 |
212.4 |
環境関連事業 |
631,124 |
218.5 |
合計 |
9,320,608 |
212.8 |
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
前連結会計年度 FIRST SOLAR,INC. 442,717千円 10.1%
当連結会計年度 FIRST SOLAR,INC. 3,397,866千円 36.5%
FS India Solar Ventures Private Limited. 2,828,358千円 30.3%
新光電気工業株式会社 1,351,221千円 14.5%
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度における当社グループの経営成績については、売上高は9,320百万円(前期比4,941百万円の増収)となりました。米国の太陽電池メーカーである主要顧客に対し、新工場2か所に装置を売上計上しました。FA装置については、国内電子部品業界の国内主要顧客や、自動車業界等の顧客へ売上計上しました。また、太陽光発電所の検査サービス、リユース・リサイクルやパネル解体装置を売上計上しました。
営業利益は976百万円(前期比356百万円の増益)となり、業績予想を上回りました。これは主に、仕入コストの低減、製造工程や現地作業での原価低減が要因であります。
なお、研究開発費の総額は38百万円となり、前連結会計年度よりも13百万円の減少となりました。当社顧客の需要動向や、太陽電池業界を中心とした様々な市場動向に合致したFA装置、太陽光発電所の検査サービス、太陽光パネルリサイクル等の研究開発活動、パネル解体装置、また、ペットボトルの自動選別装置や鶏糞による肥料製造等、新規事業の開発に取り組み、将来の成長に向けた投資を引き続き強化しております。
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
イ.装置関連事業
当連結会計年度における当セグメントの事業環境は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
売上高は、前期比112.4%増の8,689百万円となりました。太陽電池製造装置の主要顧客の新規ライン向け装置の売上が増加したため、前連結会計年度を上回りました。セグメント利益については、前期比22.3%増の1,489百万円となりました。売上総利益率では20.1%となり、前期比16.2ポイントの減少となりました。
ロ.環境関連事業
当連結会計年度における当セグメントの事業環境は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
売上高は、前期比118.5%増の631百万円となりました。検査サービス、太陽光パネル解体装置の売上が増加したため、前連結会計年度を上回りました。セグメント利益については、パネル解体装置等の仕入コストの低減、付加価値の高い検査サービスの増加により132百万円(前期はセグメント損失25百万円)となりました。売上総利益率では31.9%となり、前期比18.2ポイントの増加となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
イ.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
ロ.資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資金需要の主なものは、原材料の仕入、外注費及び労務費などの製造費用のほか、人件費、研究開発費等を中心とする販売費及び一般管理費の支出によるものであります。これらの資金需要につきましては、自己資金にて対応することを基本としており、必要に応じて銀行借入を行うこととしております。そのために銀行2行と総額10億円の当座貸越契約を締結しており、柔軟に資金調達できる体制を構築しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表で採用する重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
④経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。