バルミューダ株式会社

上場日 (2020-12-16) 
ブランドなど:バルミューダ
電気機器家電グロース

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率

ニュース

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最終更新:

E36091 Japan GAAP

売上高

130.1億 円

前期

176.0億 円

前期比

73.9%

時価総額

104.9億 円

株価

1,239 (04/26)

発行済株式数

8,464,400

EPS(実績)

-244.67 円

PER(実績)

--- 倍

平均給与

726.9万 円

前期

795.9万 円

前期比

91.3%

平均年齢(勤続年数)

40.8歳(3.6年)

従業員数

137人

株価

by 株価チャート「ストチャ」

 

3 【事業の内容】

当社グループは、当社及び連結子会社(BALMUDA Europe GmbH、BALMUDA North America, Inc.)の3社で構成されています。製品の企画、デザイン、設計、開発、国内外での製品等の販売を軸に、「家電事業」の単一セグメントで事業を展開しているファブレス(自社工場を保有せず、外部の製造工場に製品の生産を委託する)メーカーです。また、消費者に製品のコンセプトをできるだけ的確にお伝えするために、製品のプロモーションに係る写真、動画等のコンテンツについては、社内で制作しています。なお、連結子会社BALMUDA Europe GmbHは、主に欧州を中心に当社製品の販売を、BALMUDA North America, Inc.は、米国内での広告宣伝・販売促進活動を行っています。

当社が取り扱う製品の特徴については以下のとおりです。

 

・空調関連

GreenFan seriesは、累計で80万台以上を販売する代表的な製品です。

「扇風機から自然界の風を送り出すことはできないだろうか」というアイディアを実現したのが、特徴的な二重構造の羽根です。速い風と遅い風を同時に作り出し、そしてぶつけ合わせることにより風のもつ渦をなくすことで、面で移動する空気の流れに生まれ変わります。

二重構造の羽根が作り出すのは、自然界の風と同じ、大きな面で移動する空気の流れであり、広がる風はまさに自然界の風の気持ちよさを体感することができるものです。

また、羽根面積が大きいため、通常の回転数で回すと風が出すぎてしまうことから、回転数を制御することができる「DCブラシレスモーター(※)」という、当時、それまで扇風機に使われたことのないモーターを採用しています。さらに、オプションのバッテリー&ドックを組み合わせると、自由に持ち運べるコードレス扇風機としても使用することができます。バッテリー駆動時間は最大20時間で、付属のドックの上に本体を置くだけで充電が開始されるため、持ち運びたい時にアダプターの線の抜き差しをする必要もありません。

(※)低回転で回すことができ、細かい制御も可能なうえ、消費電力が低いという特徴を持つモーター。

2010年の発売当時、数千円程度の扇風機が一般的であった市場に、3万円台の価格の製品を投入しましたが、これまでの扇風機では実現できなかった、自然界の風と同じような気持ちよさや、特徴的なデザイン(グッドデザイン賞受賞)等が高く評価され、「DC扇風機(又は高級扇風機)」というジャンルを新たに築いた製品です。

その他、水を上から注ぎ入れるだけで給水ができるタンクレス構造を実現した「加湿器(Rain)」、航空機のジェットエンジン等で使われるテクノロジーを応用した整流翼を使用し、大容量の空気を静かに循環させることができる「空気清浄機(BALMUDA The Pure)」、送風と同時に脱臭が可能な「ポータブルサーキュレーター(GreenFan C2)」等を展開しています。

※画像省略しています。

 

・キッチン関連

2015年に、キッチン関連製品第一弾として販売した「スチームトースター(BALMUDA The Toaster)」は、簡単においしいトーストを作ることができるトースターとして、累計で200万台以上を販売しています(BALMUDA The Toaster Proを含む)。

開発のきっかけは、会社近くの公園で行った土砂降りの中でのバーベキュー大会でした。食パンを炭火で焼き始めたところ、表面がパリッとして中に水分が残ることにより、これまでにない食感となり、この味の再現ができれば、理想のトースターを開発できる、と次の日から再現実験を繰り返す試行錯誤を続けました。土砂降りの雨の中で焼いていたことから、水分がポイントになると考え、これを実現したのが、独自のスチームテクノロジーと温度制御です。古くからある窯やヨーロッパの街並みなどから着想を得たモダンクラシックなデザインはグッドデザイン賞金賞を受賞しています。

その後、ハンドドリップでのコーヒーの淹れやすさを志向し、手になじむハンドルと湯切れの良いノズルを採用し、注ぎ心地を追求した「電気ケトル(BALMUDA The Pot)」、釜を二重にして、蒸気の力で炊き上げることで、粒立ちとほぐれの良さ、抜けるような香ばしさ、透明感のある味わいを実現する「炊飯器(BALMUDA The Gohan)」、これまでの電子レンジにはないギターの音色による特徴的な操作音を採用し、シンプルなデザインで使いやすい大きさにまとめた、キッチンを楽しくする「オーブンレンジ(BALMUDA The Range)」、精緻な温度制御、0.2ml単位の正確なドリップ、バイパス注湯による独自の抽出方法(Clear Brewing Method)でストロング&クリアな味わいを実現した「オープンドリップ式コーヒーメーカー(BALMUDA The Brew)」、ライブキッチンのおいしさと楽しさを実現する「ステンレスホットプレート(BALMUDA The Plate Pro)」等を展開しています。

 

※画像省略しています。

 

・携帯端末関連

2021年11月、IT機器やAV機器等、技術集積度の高い製品を扱う新ブランド「BALMUDA Technologies」の第一弾製品として、曲線だけで構成された美しいプロポーションに、シンプルながら使い心地の良さを追求した基本アプリを搭載した「4.9インチ 5Gスマートフォン(BALMUDA Phone)」を発売しました。発売後は、専用アプリの機能追加等を通してBALMUDA Phoneの体験価値向上に取り組みました。

並行して、BALMUDA Phoneに続く新たな携帯端末の開発に取り組みましたが、原材料価格の高騰や急激な円安の進行等、様々な条件の変化により開発を中止せざるを得ない状況となりました。そのような状況下で、持続的な成長のために、どの領域に経営資源を投入すべきかを慎重に検討した結果、家電事業の強化と当社の独自性を発揮できる新たな商品ジャンルの開発に集中すべきと判断し、2023年5月、携帯端末事業の終了を決定しました。

 

・その他

2018年10月、手術灯のテクノロジーを基にした「太陽光LEDデスクライト(BALMUDA The Light)」を発売しました。従来の白色LEDでは失われてしまっていた本来の色を照らし出し、自然界の色に非常に近いスペクトルが特徴となる太陽光LEDを採用しており、また、光源が視界に入らないよう、前方の低い位置から斜めに手元を照らすことが可能となるフォワードビームテクノロジーを搭載した製品です。

その後、2019年10月にキャンドルのように揺らぐ暖色の灯りから、読書灯にも使える温白色の灯りまで、幅広い場面で活用できるバッテリー内蔵の「ポータブルLEDランタン(BALMUDA The Lantern)」、2020年6月に360°全方位に広がる立体的で抜けるような気持ちよいサウンドと、グルーヴを増幅させる輝きでライブステージのような臨場感を作り出す充電式でポータブルな「ワイヤレススピーカー(BALMUDA The Speaker)」を展開しています。さらに、2020年11月には操作性を追求した「ホバー式クリーナー(BALMUDA The Cleaner)」を発売しました。摩擦抵抗を低減するデュアルブラシヘッドと、それを自在に操るための360°スワイプ構造によって実現した独自のホバーテクノロジーにより、クリーナー自体が浮いているかのような操作感を実現、2022年5月には、さらに軽いかけ心地を実現した「ホバー式クリーナー(BALMUDA The Cleaner Lite)」を発売しました。

※画像省略しています。

 

事業の系統図は、以下のとおりです。

※画像省略しています。
24/03/25

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

(1) 経営成績の状況

当社グループに関連する家電業界においては、一般社団法人日本電機工業会(JEMA)によると、2023年における民生用電気機器の国内出荷金額は2兆5,433億円(前年同期比98.9%)と2年ぶりのマイナスとなりました。5月に新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に移行したことにより、旅行や飲食等のサービス消費へのシフトが進んだことに加え、物価上昇による消費マインドの冷え込みが影響を与えているとみられています。

このような環境下、当社は新たな体験価値を提供すべく、国内外で製品ラインナップを拡大しました。国内においては10月に「BALMUDA The Plate Pro」を発売、海外においては、「BALMUDA The Brew」を中華人民共和国とアメリカ合衆国で、「BALMUDA The Gohan」を韓国で、「BALMUDA The Range」を台湾で発売しました。11月にはタイ、マレーシア、シンガポールでのブランド展開を開始し、「BALMUDA The Toaster」「BALMUDA The Pot」を発売しました。

加えて、「BALMUDA The Range」「BALMUDA The Toaster」「BALMUDA The Toaster Pro」のリニューアルモデルの発売、「BALMUDA The Light」の製造工場移管を実施し、既存製品の体験価値・機能性の向上と利幅の改善に取り組みました。

また、メディア向けの新製品発表会や旗艦店BALMUDA The Store Aoyamaを活用した期間限定カフェ等、製品の体験価値を伝えるためのコミュニケーション活動を展開、SNSアカウントでの情報発信も継続的に実施するなど、BALMUDAブランドの構築及び製品の認知度向上策を推進しました。

一方で、BALMUDA Phoneに続く新たな携帯端末の開発については、原材料価格の高騰や急激な円安の進行等、様々な条件の変化により中止せざるを得ない状況となり、今後、持続的な成長のためにどの領域に経営資源を投入すべきかを慎重に検討した結果、5月に携帯端末事業の終了を決定しました。

上述のような諸施策を推進した結果、新製品やリニューアルモデルの投入が奏功し、当第4四半期連結会計期間の国内家電売上高(携帯端末関連を除く売上高)は過去最高を更新しました。しかしながら、当連結会計年度の業績は、想定以上に厳しい外部環境の影響を受けて売上高が減少したこと、原材料価格の高止まりと記録的な円安ドル高による仕入コストの上昇、旧品在庫のセール及び評価減等により売上総利益率が低下したこと、並びに携帯端末事業の終了決定に伴い特別損失を計上したことなどにより、以下のとおりとなりました。

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

2022年12月

2023年12月

前期差

前期比(%)

売上高

17,595

13,011

△4,584

△26.1

営業利益又は営業損失(△)

75

△1,375

△1,450

経常利益又は経常損失(△)

14

△1,237

△1,252

親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失(△)

3

△2,071

△2,074

 

 

(売上高)

国内においては、新製品やリニューアルモデルの投入、販売促進施策の強化等を実施したものの、物価上昇による消費マインドの冷え込みやポストコロナに移行したことによる外出機会の増加の影響を受けました。

海外においては、製品ラインナップの拡大や東南アジアでのブランド展開の開始等を推進しましたが、国内と同様、厳しい外部環境の影響を受けたこと、また、流通在庫調整のため韓国向けの出荷を調整したことなどにより、売上高が減少しました。

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

地域別売上高

2022年12月

2023年12月

前期差

前期比(%)

日本

10,918

8,806

△2,111

△19.3

韓国

4,328

2,329

△1,999

△46.2

北米

658

631

△27

△4.1

その他

1,690

1,244

△446

△26.4

合計

17,595

13,011

△4,584

△26.1

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

製品カテゴリー別売上高

2022年12月

2023年12月

前期差

前期比(%)

空調関連

3,798

2,442

△1,356

△35.7

キッチン関連

10,837

9,278

△1,558

△14.4

携帯端末関連

868

2

△866

△99.7

その他

2,091

1,288

△802

△38.4

合計

17,595

13,011

△4,584

△26.1

 

 

(売上原価、売上総利益)

売上高が減少したこと、並びに原材料価格の高止まりと記録的な円安ドル高による仕入コストの上昇、旧品在庫のセール及び評価減等によって売上総利益率が低下したことにより、売上原価は9,508百万円(前期比2,619百万円減)、売上総利益は3,503百万円(前期比1,964百万円減)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業損失)

販売費及び一般管理費は、売上規模に対応した組織・人員体制の再構築(携帯端末事業の終了決定等)により人件費や人材募集に関する費用が減少したこと、広告宣伝や販売促進に関する費用を効率的に運用したことなどにより、4,878百万円(前期比513百万円減)となりました。この結果、営業損失は1,375百万円(前年度は75百万円の営業利益)となりました。

 

(経常損失)

営業損失を1,375百万円、為替差益を126百万円等計上した結果、経常損失は1,237百万円(前年度は14百万円の経常利益)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純損失)

経常損失を1,237百万円計上し、法人税等を225百万円(前期比214百万円増)計上した結果、親会社株主に帰属する当期純損失は2,071百万円(前年度は3百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。

 

なお、当社グループは家電事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しています。

 

経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等として掲げている、売上高及び営業利益率は以下のとおりです。企業価値向上のため、引続き新製品の発売、ブランドや認知度向上を図るための各種コミュニケーション施策の実施等を通じて、収益力の向上及び堅実な経営基盤の構築に努めていきます。

 

2022年12月

2023年12月

前期差

前期比(%)

売上高(百万円)

17,595

13,011

△4,584

△26.1

営業利益率(%)

0.4

△10.6

△11.0

 

 

 

生産、受注及び販売の実績は、以下のとおりです。

 

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績は以下のとおりです。なお、当社グループは、家電事業の単一セグメントであるため、製品カテゴリー別に記載しています。

製品カテゴリー

金額(百万円)

前期比(%)

空調関連

1,808

△34.9

キッチン関連

5,998

△27.9

携帯端末関連

21

△96.3

その他

611

△64.7

合計

8,440

△37.0

 

(注)金額は、総製造費用によっています。

 

② 仕入実績

当連結会計年度における仕入実績は以下のとおりです。なお、当社グループは、家電事業の単一セグメントであるため、製品カテゴリー別に記載しています。

製品カテゴリー

金額(百万円)

前期比(%)

キッチン関連

11

△71.4

合計

11

△71.4

 

(注)金額は、仕入価格によっています。

 

③ 受注実績

当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しています。

 

④ 販売実績

当連結会計年度における販売実績は、前述(売上高)の製品カテゴリー別売上高をご確認ください。

なお、主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は以下のとおりです。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

Limotech Korea Co., Ltd.

4,328

24.6

1,932

14.8

株式会社ミツバ

1,347

7.7

1,508

11.6

 

(注)当該割合が100分の10未満である相手先別の販売実績については、記載を省略しています。

 

(2) 財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末における資産合計は7,803百万円となり、前連結会計年度末と比べて2,104百万円減少しました。流動資産は6,893百万円(前連結会計年度末比1,419百万円減)となり、これは主に商品及び製品が1,078百万円減少したことによるものです。固定資産は909百万円(前連結会計年度末比684百万円減)となり、これは主に携帯端末事業の終了決定に伴う有形固定資産及び無形固定資産の減損損失を293百万円計上したこと、繰延税金資産が221百万円減少したことによるものです。

 

(負債)

当連結会計年度末における負債合計は3,537百万円となり、前連結会計年度末と比べて57百万円減少しました。流動負債は3,209百万円(前連結会計年度末比101百万円減)となり、これは主に1年内返済予定の長期借入金が183百万円増加した一方で、短期借入金が200百万円減少したこと、製品保証引当金が75百万円減少したことによるものです。固定負債は328百万円(前連結会計年度末比43百万円増)となり、これは長期借入金が増加したことによるものです。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は4,265百万円となり、前連結会計年度末と比べて2,046百万円減少しました。これは主に利益剰余金が2,071百万円減少したことによるものです。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は1,167百万円となり、前連結会計年度末と比べて78百万円減少しました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により獲得した資金は246百万円(前連結会計年度は840百万円の獲得)となりました。主な要因は棚卸資産の減少1,053百万円、売上債権の減少237百万円です。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により使用した資金は371百万円(前連結会計年度は621百万円の使用)となりました。主な要因は有形固定資産の取得による支出398百万円です。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により獲得した資金は44百万円(前連結会計年度は5百万円の獲得)となりました。主な要因は長期借入れによる収入800百万円、長期借入金の返済による支出572百万円、短期借入金の純増減額200百万円です。

 

当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、当社の資金需要の主なものは、運転資金、金型等の設備投資、法人税等の支払、借入金の返済等であり、その資金の源泉としては、営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入、新株発行等により、必要とする資金を調達することとしています。また、不測の事態に備えて、金融機関とコミットメントライン契約を締結し、必要な資金を適時に確保する体制を整えています。