E01797 Japan GAAP
前期
911.1億 円
前期比
133.2%
株価
1,223 (04/23)
発行済株式数
25,000,000
EPS(実績)
33.92 円
PER(実績)
36.06 倍
前期
632.5万 円
前期比
105.4%
平均年齢(勤続年数)
44.7歳(16.0年)
従業員数
411人(連結:15,574人)
当企業集団は、2023年3月31日現在、フォスター電機株式会社(当社)及び連結子会社27社により構成されており、「スピーカ事業」、「モバイルオーディオ事業」のセグメント区分及びそれらに含まれない「その他事業」の製造と販売を行っています。
事業内容と当社及び関係会社の当該事業に係る位置付けは、次のとおりです。
区分 |
主要事業 |
主要な会社 |
スピーカ事業 |
車載用スピーカ・スピーカシステム、 薄型テレビ用スピーカ・スピーカシステムや、 オーディオ用等の スピーカ製品の 製造・販売 |
当社 フォスター電子株式会社 フォスターエレクトリックCo.,(ホンコン)Ltd. 広州豊達電機有限公司 豊達音響(河源)有限公司 广州富星電声科技股份有限公司 豊達電機台湾股份有限公司 フォスターエレクトリック(シンガポール)Pte.Ltd. フォスターエレクトリック(ティラワ)Co.,Ltd. フォスターエレクトリック(タイランド)Ltd. フォスターエレクトリック(バクニン)Co.,Ltd. フォスターエレクトリック(クアンガイ)Co.,Ltd. フォスターエレクトリック(ユー.エス.エー.),Inc. フォスターエレクトリック(ヨーロッパ)GmbH フォスターエレクトリック(ハンガリー)kft. ESTec コーポレーション ESTec Electronics (JIAXING) Co.,Ltd. ESTec VINA Co.,Ltd. ESTec America Corporation ESTec ジャパン株式会社 |
モバイルオーディオ 事業 |
携帯電話用ヘッドセット、 ヘッドホン、 小型スピーカ、 振動アクチュエータ等の モバイルオーディオ製品の 製造・販売 |
当社 フォスター電子株式会社 フォスターエレクトリックCo.,(ホンコン)Ltd. 広州豊達電機有限公司 豊達電機(南寧)有限公司 豊達電機台湾股份有限公司 フォスターエレクトリック(シンガポール)Pte.Ltd. フォスターエレクトリック(ベトナム)Co.,Ltd. フォスターエレクトリック(ダナン)Co.,Ltd. フォスターエレクトリック(バクニン)Co.,Ltd. フォスターエレクトリック(ユー.エス.エー.),Inc. フォスターエレクトリック(ヨーロッパ)GmbH ESTec コーポレーション ESTec Phu Tho Co.,Ltd. |
その他事業 |
警報音用等のブザー・サウンダ等の小型音響部品、 「フォステクス」ブランドの製品、の製造・販売 並びに物流サービス等の提供 |
当社 フォスタービジネスサービス株式会社 广州富星電声科技股份有限公司 FSK(タイランド)Co., Ltd. |
事業の系統図は次のとおりです。
※画像省略しています。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
(1)経営成績等の状況の概要
① 業績の概要
当期における世界経済は、約3年にわたり地球規模で甚大な被害をもたらした新型コロナウイルス感染拡大の終息がようやく視野に入り、経済活動も正常化し始めました。一方で、ロシアによるウクライナ侵攻の影響等によるエネルギー価格や原材料価格の高騰、先進諸国でのインフレ加速や米欧での急速な利上げ、加えて当期後半には米欧で金融不安が生じる等、先行き不透明感はさらに高まりました。
当社グループが注力する自動車関連市場では、半導体不足の継続に加え、ウクライナ情勢、中国のゼロコロナ政策、先進国での急激なインフレ進行等による世界的な景気停滞等により需給両面で不安定な状況が続き、自動車生産・新車販売は期初予想を下回る状況が続きました。一方で、電気自動車(EV)の生産・販売は、中国メーカの取り組みが勢いを増したのをはじめ大幅に伸びており、EV拡大が電子部品の需要をますます高めてきています。
こうした中、当社グループは車載関連ビジネスの受注活動において、パートナー戦略に基づきターゲット顧客への提案活動を強化した効果もあり、中期事業計画完了時(2025年3月期)の9割程度の受注を確保しました。モバイルオーディオ事業においても、他社との業務提携や共同開発を含めた協業を強化し、さらに研究開発型ビジネスを進展させる等、当社の強みを活かした事業展開により、期初から黒字基調にて推移しました。
生産体制面では、米中対立の先鋭化を視野に入れ、ベトナムでのスピーカ増産に向け、ベトナム(ビンズオン省)工場での体制整備に取り組みました(2023年下期生産開始予定)。加えて地産地消推進の観点から、欧州・ハンガリーに生産子会社(孫会社)を設立しました。本施策は物流面でのCO2削減にも寄与します。高騰した原材料費・部材費や国際物流運賃への対応に関しては、国際物流運賃の高騰に一服感が出るとともに、多くのお客様からご理解をいただき、コストの価格転嫁が進捗したことから収益改善が進みました。
以上の結果、当期連結業績における売上高は121,338百万円(前期比33.2%増)、営業利益は2,445百万円(前期は営業損失7,757百万円)、経常利益は2,327百万円(前期は経常損失7,473百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は848百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失7,017百万円)となりました。
セグメント別の業績は、次のとおりです。
[スピーカ事業]
自動車関連市場を取り巻く環境が厳しい中、出荷数量の増加や円安効果から、売上高は99,087百万円(前期比42.2%増)となりました。損益面では、韓国の連結子会社(12月決算)が2022年初の空輸費用の発生で第1四半期に7億円余りの赤字を計上しましたが、全体としては原価改善、固定費削減及び価格転嫁の進捗により、営業利益は2,004百万円(前期は営業損失6,955百万円)と増加しました。
[モバイルオーディオ事業]
民生用アクチュエータや車載用ヘッドホンは、半導体チップ不足により悲観的な予想もありましたが、計画通りの出荷となりました。一方、スマートフォン同梱用ヘッドセットの販売は引き続き減少しました。これらの結果、売上高は14,691百万円(前期比3.3%増)となりました。損益面では、付加価値の高い製品への注力に加え、研究開発型ビジネスの導入・推進に伴い、営業利益は1,203百万円(前期は営業損失896百万円)と期初から黒字基調で推移しました。
[その他事業]
小型音響部品事業や「フォステクス」ブランドの製品を含むその他事業は、2021年9月設立の中国子会社(广州富星電声科技股份有限公司)の当社グループへの部品売上高が増加(連結上は消去されます。)したことから、売上高は10,403百万円(前期比24.9%増)と増加しました。一方、損益面は、棚卸資産の評価減等による損失の影響から762百万円(前期は営業利益94百万円)の営業損失となりました。
② 販売の状況
当連結会計年度における販売の状況は下記のとおりです。
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
スピーカ事業 |
99,087 |
42.2% |
モバイルオーディオ事業 |
14,691 |
3.3% |
その他事業 |
7,558 |
4.9% |
合計 |
121,338 |
33.2% |
スピーカ事業 車載用スピーカ・スピーカシステム、薄型テレビ用スピーカ・スピーカシステムや、オーディオ用等のスピーカ製品の製造・販売
モバイルオーディオ事業 携帯電話用ヘッドセット、ヘッドホン、小型スピーカ、振動アクチュエータ等のモバイルオーディオ製品の製造・販売
その他事業 警報音用等のブザー・サウンダ等の小型音響部品、「フォステクス」ブランドの製品の製造・販売並びに物流サービス等の提供
(注)1 受注高、受注残高及び生産高につきましては、主として見込生産方式を採用しているため、記載を省略しています。
2 セグメント間の取引については相殺消去しています。
(2)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
経営者の視点による当社グループ(以下「当社」)の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における今後又は将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日(2023年6月27日)現在において当社が判断したものです。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の報告金額及び偶発債務の開示、ならびに報告期間における収益・費用の報告金額に影響を与えるような見積り・予測が必要とされます。当社経営陣は、継続的に、過去の実績や状況に応じ合理的と判断される範囲での様々な仮定に基づきその見積り・予測を評価します。その様な評価の結果は、他の方法からは即時に判定しえない資産・負債の簿価あるいは収益・費用の報告金額についての判断の基礎となります。実際の結果は、見積特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社は、以下の重要な会計方針が、当社の重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えています。
a 投資有価証券
長期的な取引関係の維持等のために、特定の金融機関及び取引先等に対する非支配持分を所有しています。これらの株式は、価格変動性が高い公開会社の株式です。公開会社への投資の場合、決算日における株価が取得価額を50%以上下回った場合及び2期連続して取得価額を30%以上下回り、かつ、回復する見込みがあると認められない場合に評価損を計上しています。将来の市況悪化又は投資先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失または簿価の回収不能が発生した場合、評価損の計上が必要となる可能性があります。
b 貸倒引当金
顧客等の支払不能時に発生する損失の見積額について、貸倒引当金を計上しています。顧客等の財務状況が悪化しその支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。
c 固定資産の減損
固定資産の減損会計の適用に際し、独立したキャッシュ・フローを生み出す最小単位でグルーピングし、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しています。回収可能価額は、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しているため、この前提条件に変更が生じた場合、追加の減損損失の計上が必要となる可能性があります。
d 繰延税金資産
繰延税金資産については、将来の課税所得を検討することによって回収可能性のある金額を検証しており、繰延税金資産の全部又は一部を将来実現困難と判断した場合は、相応の評価性引当額を計上しています。これは財務諸表上、法人税等調整額として表示され、当期純利益を減額させることとなります。
② 財政状態の分析
総資産は、主に売上債権の増加により前連結会計年度末に比べ6,722百万円増加して92,871百万円となりました。
主な増減の内訳ですが、流動資産は、売上債権の増加等により、6,750百万円増加の73,893百万円となりました。また、固定資産は27百万円減少の18,977百万円となりました。
負債は、主に短期借入金の増加により前連結会計年度末に比べ1,839百万円増加して36,356百万円となりました。純資産は、主に為替換算調整勘定の増加により前連結会計年度末に比べ4,882百万円増加して56,515百万円となり、また自己資本比率は前連結会計年度末比0.3ポイント増加の55.0%となりました。
③ 当連結会計年度の経営成績の分析
当期の連結売上高は、円安や新型コロナウイルス禍からの自動車生産の回復に伴い、車載スピーカ・スピーカシステムや戦略製品である接近通報音スピーカや警報音用ブザー等の販売が増加したことから、前期比33.2%増の121,338百万円(前期売上高91,106百万円)となりました。利益面につきましては、高騰した原材料費・部材費や国際物流運賃への対応に関しては、国際物流運賃の高騰に一服感が出るとともに、多くのお客様からご理解をいただき、コストの価格転嫁が進捗したことから収益改善が進みました。これらの結果、営業利益は2,445百万円(前期営業損失7,757百万円)、経常利益は2,327百万円(前期経常損失7,473百万円)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、848百万円(前期は、親会社株主に帰属する当期純損失7,017百万円)となりました。
④ キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,556百万円増加し、当連結会計年度末には13,646百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
a 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動による資金の増加は、棚卸資産の減少等により354百万円(前年同期は、12,767百万円の資金の減少)となりました。
b 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動による資金の減少は、設備投資等により1,321百万円(前年同期比56.9%減)となりました。
c 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動による資金の増加は、短期借入金の増加等により1,776百万円(前年同期比73.7%減)となりました。
当社のキャッシュ・フロー関連指標の推移は、次のとおりです。
|
2019年 3月期 |
2020年 3月期 |
2021年 3月期 |
2022年 3月期 |
2023年 3月期 |
自己資本比率 |
59.5% |
66.5% |
65.6% |
54.7% |
55.0% |
時価ベースの自己資本比率 |
41.1% |
31.2% |
37.6% |
18.6% |
27.5% |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 |
0.8 |
0.6 |
7.0 |
△1.0 |
49.2 |
インタレスト・カバレッジ・レシオ |
95.9 |
86.3 |
10.9 |
△163.6 |
0.7 |
(注)1.自己資本比率:自己資本/総資産
2.時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
3.キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
4.インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
※各指標は、いずれも連結ベースの財務指標により計算しています。
※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数により計算しています。
※キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しています。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としています。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しています。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性
a 資本政策の基本方針
当社は、持続的な成長による企業価値及び株主価値の向上を図るため、資本効率の向上と財務の安定性のバランスを考慮し、資本政策を実施します。
また、適時適切な情報開示や投資家との積極的な対話等のIR活動を通じて資本コストの低減に努めると同時に、資本と負債の最適な構成に鑑み資本効率を高めていきます。
b 利益配分に関する基本方針
当社は、利益配分について、企業価値の向上を経営課題としつつ、業績に対応した利益配分と長期的な視野に立った内部留保の充実との調和を図りながら、総合的に株主利益の向上を図ることを基本的方針とし、連結ベースでの配当性向30%以上を目標としています。
C 資金の流動性
2024年3月期の設備投資は約50億円、研究開発費は約30億円を予定しており、所要資金については自己資金及び借入金を充当する予定です。また、(連結貸借対照表関係)及び(貸借対照表関係)に記載のとおり、コミットメントライン契約を締結しております(当連結会計年度末融資枠設定金額14,000百万円、提出日現在融資枠設定金額14,000百万円、当連結会計年度末借入実行残高6,337百万円)。
事業展開に伴う所要資金に対する機動的な対応のため、また不確実性が高まる環境下での不測の事態に備えて、十分な現金及び現金同等物を保有しています。現金及び現金同等物の保有額については厳密な目標水準を定めていません。
⑥ 経営方針・経営戦略・経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当連結会計年度の連結業績目標の達成状況は以下のとおりです。
当社は、中期財務目標として売上高1,200億円、営業利益50億円、営業利益率4.2%を目標としています。当期は、高騰した原材料費・部材費や国際物流運賃への対応に関して、国際物流運賃の高騰に一服感が出るとともに、多くのお客様からご理解をいただき、コストの価格転嫁が進捗したことから営業利益が前期の赤字から黒字化し収益改善が進みました。しかしながら営業利益率は2.0%と低水準にあることから、今後は「守り」から「攻め」への施策を講じていきます。また、様々な危機に直面する中で、対処すべき課題を明確にし、構造改革を含め高まる不確実性に対しての即応体制を引き続き強化し、中期事業計画を着実に実行することで拡大するビジネスチャンスを確実に捉え、企業価値・株主価値の向上に努めていきます。
|
2019年3月期 |
2020年3月期 |
2021年3月期 |
2022年3月期 |
2023年3月期 |
売上高(百万円) |
140,303 |
107,298 |
85,220 |
91,106 |
121,338 |
営業利益(百万円) |
3,937 |
2,064 |
0.7 |
△7,757 |
2,445 |
営業利益率(%) |
2.8 |
1.9 |
0.0 |
- |
2.0 |