株式会社ALiNKインターネット

上場日 (2019-12-10) 
ブランドなど:tenki.jp
サービス業インターネットグロース

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率

ニュース

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最終更新:

E35288 Japan GAAP

売上高

6.09億 円

前期

6.85億 円

前期比

88.8%

時価総額

21.9億 円

株価

1,026 (05/17)

発行済株式数

2,136,900

EPS(実績)

47.73 円

PER(実績)

21.49 倍

平均給与

584.8万 円

前期

544.2万 円

前期比

107.5%

平均年齢(勤続年数)

42.6歳(2.8年)

従業員数

22人

株価

by 株価チャート「ストチャ」

 

3 【事業の内容】

当社は、経営理念の「未来の予定を晴れにする」を実現すべく、ひとびとの暮らしと天気の関連性を活用し、ちょっと先の未来をより良くするための事業を営んでおります。

当社創業メンバーは2008年から天気予報専門メディア「tenki.jp」の運営を行ってまいりました。当社は、メディア運営及びマネタイズ手法の確立を経て培ったGrowth Hack(注1)やトレーディングデスク(注2)業務のノウハウを蓄積していると考えております。また、設立当初より「気象業界×インターネット」の領域で事業推進を行い、今後も経営理念や現在の当社の対処すべき課題(「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください)に基づいて「天気情報」の社会インフラ化を目的として事業を進めてまいります。

注1:「Growth Hack」とは、ユーザーから得たサービスについてのデータを分析・改善し、マーケティング上の課題を解決する手法を指します。

注2:「トレーディングデスク」とは、アドネットワーク業者(Webサイトやソーシャルメディア等の複数の広告媒体を集めて広告配信ネットワークを作り、それらの媒体に広告をまとめて配信する仕組みを行う業者)とのやり取りを通じ、広告主が求める最適なデジタル広告の運用・設計・分析等を一貫して行うことを指します。

 

現在は主な事業として、日本気象協会との共同事業である天気予報専門メディア「tenki.jp」、「tenki.jp 登山天気」等の運営を行っております。なお、当社はtenki.jp事業の単一セグメントであるため、以下、tenki.jp事業に関する記載としております。

(1) 運営メディアについて

tenki.jpは、生活にかかせない天気予報と気象予報士が日替わりで季節の話題を提供する等のコンテンツに加え、観測データ、地震・津波等の防災情報の提供を行い、気象情報を多種多様な形態で提供しております。PCのWebページ、スマートフォンアプリ、スマートフォンサイトを合わせて年間約78億PV(注3)(2023年2月期実績)、Twitterのフォロワー数が約286万人(2023年2月末時点)に達する天気予報専門メディアです。

注3:「PV(ページビュー)」とは、ウェブサイト内の特定のページが開かれた回数を表し、ウェブサイトがどのくらい閲覧されているかを測るための一般的な指標です。

 

<tenki.jpのページ>

<tenki.jp及びtenki.jp 登山天気のロゴマーク>

※画像省略しています。

(tenki.jp)

(tenki.jp 登山天気)

※画像省略しています。
※画像省略しています。

 

 

 

① 運営メディアの提供情報
ⅰ.tenki.jp

2週間天気や1時間ごとの天気、今いる場所の雨の様子(雨雲レーダー)等、ユーザーの志向やユーザーが必要な場所・時間に合わせた天気予報を無料で提供しております。天気予報だけでなく、一般的な気象情報として、観測データや天気図、防災情報もリアルタイムで提供しております。

また、ユーザーの未来の行動の判断材料を提供するために、気象予報士のポイント解説(日直予報士)や洗濯指数、お出かけ指数等の指数情報、天候と関係のある主要レジャーの天気情報を提供するレジャー天気、花粉飛散情報、紅葉見ごろ情報等の季節に応じた季節情報等の各ユーザーの志向に応じた多種多様な情報を提供しております。

なお、スマートフォン用天気予報アプリ「tenki.jp」では、広告を非表示にする定期購読サービス「ライトプラン」も実施しております。

 

<提供情報一覧>

※画像省略しています。

 

ⅱ.tenki.jp 登山天気

登山準備に使用できる指数情報や山々の山頂・登山口・ふもと別の天気、雨雲の動き・雷危険度・台風情報等のリアルタイム情報をチェックできます。なお、日本の三百名山全てを網羅しております。

※なお、「tenki.jp 登山天気」は、山のふもとから山頂までのルート沿いのピンポイント予報等、気象業務法の観点から不特定多数に公開できない情報も含まれているため、スマートフォンアプリの有料会員サービスとして提供しております。

 

ⅲ.tenki.jp ゴルフ天気

全国2100カ所以上のゴルフ場のピンポイント天気予報に加えて、気象条件によるゴルフ場検索を可能としたほか、プレー中にスマホの向きに合わせて風向きを表示する機能や、プレー後にスコアや写真と一緒に天気や気温を記録する機能などを提供しております。

※なお、「tenki.jp ゴルフ天気」は、気象業務法の観点から不特定多数に公開できない情報も含まれているため、スマートフォンアプリの有料会員サービスとして提供しております。

 

ⅳ.tenki.jp キャンプ天気

全国約2000カ所以上のキャンプ場の天気予報に加えて、日の出・日の入りや紫外線、服装、落雷、星空指数、熱中症アラートなど、キャンプに特化した豊富な情報を提供します。さらに、1カ月先までの気温・降水量の予測、1年間の晴天率も確認することができます。

※なお、「tenki.jp キャンプ天気」は、気象業務法の観点から不特定多数に公開できない情報も含まれているため、スマートフォンアプリの有料会員サービスとして提供しております。

 

 

 

② tenki.jpのPV数

サービス開始当初はPCのWebページのみでしたが、スマートフォンの普及に伴い、iOS、Androidのそれぞれに対応したアプリケーションを提供しております。

日本では、災害をもたらす気象事例が度々発生していることや、年平均気温が様々な変動を繰り返しながら上昇していること、全国の1時間降水量80mm以上の年間発生回数が増加していることから、人々の天気及び防災情報への関心が高まり、tenki.jpのPV数が増加していると考えております。

なお、2023年2月期より、PV数の取得方法を変更しております。

 

※画像省略しています。

日本の年平均気温偏差

アメダス(1時間降水量80㎜以上の年間発生回数)

※画像省略しています。
※画像省略しています。

 

 

日本の年平均気温偏差

細線:各年の平均気温の基準値からの偏差、太線:偏差の5年移動平均値、直線:長期変化傾向。基準値は1981~2010年の30年平均値。

 

アメダス

棒グラフは各年の年間発生回数を示す(全国のアメダスによる観測値を1,300地点あたりに換算した)。直線は長期変化傾向(この期間の平均的な変化傾向)を示す。

 

 

 

③ マネタイズ方法

当社運営メディアであるtenki.jpの主な収益は各ページに掲載される広告収入となります。アドネットワークを駆使した運用型広告の収入と枠売りやタイアップ広告等の純広告の収入が大半を占めますが、2023年2月期の実績では運用型広告の収入が全体の90%以上を占めております。

当社は、収益の拡大を図るべく、日々アドネットワーク業者とやり取りを重ね、自社で広告運用を担っております。当該業界は日進月歩で最新のテクノロジーが開発されていますが、当社は常に最先端のアドテクノロジーを追い求め、既存の業者だけでなく、海外の新興系のプロダクトも活用して0.01円単位の広告チューニング(注4)を行い、最適な運用を行うよう心掛けております。

また、広告単価や広告配信比率を「気象データ」を加味した独自のアルゴリズムで運用できる体制を構築し、天候変化に連動して広告を調整すること(以下、天気マッチング広告)で収益性の向上を目指しております。

 

天気マッチング広告の具体例は、以下の通りとなります。

 

※画像省略しています。

 

注4:「広告チューニング」とは、広告の効果を最適化することを指します。例えば、入札制を採用している広告では、入札金額の高い広告を上位表示し、入札単価の低い広告を下位表示します。

 

 

(2) 当社の特徴

① システム構築・運用

当社は少人数(2023年2月末現在、従業員22名)であるものの、年間で約78億PV(2023年2月期実績)という規模のサービスを運用できる体制を構築しております。

過年度に発生している大災害時のユーザーの行動傾向等を蓄積しており、過去の異常気象時や災害時等の突発的なユーザー増加状況を踏まえ、さくらインターネット株式会社と連携を取り、緊急時の対応に備えております。tenki.jpに係るプログラム・システムは社内でマニュアル化されており、また、オープンソースのプログラム言語で運用しているため、どのエンジニアが入社してもすぐに対応できるよう社内体制を整えることで、少人数で対応できる組織となっております。

 

② Growth Hack

当社はtenki.jpのユーザーの行動等を分析し、世の中のトレンドに合わせて改善活動を行っております。上述の「(1) 運営メディアについて ① 運営メディアの提供情報」に記載のとおり、気象情報のみならず、周辺情報も提供しておりますが、各ページへの改善活動・施策を毎回、効果測定し、日々PDCAを回すことで当社内にナレッジを蓄積しております。

tenki.jpのPV数は年間で約78億PV(2023年2月期実績)あることから、当社はインターネットプラットフォーマー(注5)と日頃から直接、コミュニケーションを取ることができており、当該プラットフォーマーの動きにフレキシブルに対応しております。

上記から、気象情報はもとより、気象情報が関わらないと思われる周辺のキーワードでもtenki.jpへアクセスされるような取組みを担うことでアクセス数の増加を企図しております。

 

注5:「インターネットプラットフォーマー」とは、企業や個人等が、特定のインターネットサイトの利用者を対象に、販売、広告、情報発信を行う際のサービスやシステムといった基盤(プラットフォーム)を提供する事業者を指します。

 

③ トレーディングデスク

当社は国内のみならず、海外でも最新のアドテクノロジーを導入すべく、アドネットワーク業者と情報交換を行っております。当社は自社で年間約78億PV(2023年2月期実績)のメディアを運営しているため、アドネットワーク業者を選ぶ立場として最適な価格設定や配信比率(同一の広告枠に複数の素材を配信する際に設定する表示頻度)を実現するよう日々の業務を行っております。また、tenki.jpの運営を開始してから、天候によるPVの上下と価格の連動・相関関係を把握しているため、独自のツール等を利用して、天候連動(注6)によった広告配信を一部行うことにより、広告主の細かな配信条件に対応できることで単価の向上に努めております。

 

注6:「天候連動」とは、市区町村単位(全国約2,000カ所)の狭域に対して、「雨が降っているエリア」等、広告主が指定した天気条件にマッチングし、一般広告よりも優先的に広告を掲載するものです。

 

 

(3) 日本気象協会との共同運営について

当社は設立以来、気象情報等をメディア上で提供し、メディア運営ノウハウ及びメディアマネタイズノウハウを蓄積しながら、気象業界に関連したインターネット事業を営んでまいりました。一方で、気象予報士を抱え、予報業務をリアルタイムで行うだけのリソースは保有しておりませんでしたので、気象予報士を300名以上抱え、予報業務や気象に係るコンテンツの制作・設計に長けている日本気象協会と互いのリソースを活かした共同事業(天気予報専門メディアの運営)を行うことで、現在の当社の経営理念を達成することを意図しております。

『「tenki.jp」の運営に関する業務提携契約書』に基づき、当該事業の事業方針及び事業計画は、両者の協議によって合意・決定しておりますが、当該事業における両者の主な役割については、以下のとおりとなっております。なお、契約の詳細は「第2 事業の状況 4 経営上の重要な契約等」に記載しております。

 

項目

分担

サイト、アプリの企画制作・設計

主担当:当社、副担当:日本気象協会

「tenki.jp」は天気予報専門メディアとしてWebサイト・アプリ上で気象情報等(データ元は日本気象協会)を提供しております。気象情報等は広く一般ユーザーが目にする情報であり、どのメディアも基本的に気象庁のデータを一次情報として使用している(特に防災情報は一次情報を変更せずに使用する必要があります)ため、同業他社との差別化のためにはユーザー目線に立ったWebサイト・アプリ設計が重要となります。当社は当該役割を担い、日々、ユーザー目線に立ったWebサイト、アプリ上での企画立案や課題への対応を行っております。

気象コンテンツの企画制作・設計

主担当:日本気象協会、副担当:当社

「tenki.jp」に掲載される気象関係のコンテンツについて、日本気象協会は日々、予報業務等を行い、気象に係るデータを制作しております。Webサイト、アプリ上での新たな企画案(指数情報やレジャー天気等)が発案された場合は、その実現可能性を調査、考察します。実現可能性があると判断された場合はデータ設計を行います。

各種データの提供

主担当:日本気象協会

日々の予報業務を通じて制作される天気予報等の各種データ提供は日本気象協会が行っております。なお、各種データには、他の業者等から購入した情報も含まれております。

システムの運用保守管理、システム設計・開発

主担当:当社

日本気象協会から提供された気象情報等の各種データをWebサイト・アプリ上に提供するためのシステム設計・開発や当該システムの運用保守管理は当社が一括して担っております。

運用型広告業務(トレーディングデスク業務)

主担当:当社

収入の大半を占める運用型広告に関する業務は当社が担っております。日々の広告チューニングやアドネットワーク業者選定、アドテクノロジーの導入可否の検討等、tenki.jpのサービス特性を勘案した最適な広告運用を行い、収益の最大化に取り組んでおります。

広告商品企画

主担当:当社、副担当:日本気象協会

広告商品の企画については、Webサイト、アプリに表示される広告枠の調整やユーザー目線のUI、UXへの影響や、システムを活用して売買するプログラマティック広告及び代理店を通じて売買する天気マッチング広告(注7)等、システムや運用型広告の販売に直結するため、基本的には当社が担っております。一方で、広告商品の企画として気象コンテンツとの連携のために当社だけでなく、日本気象協会も一部関与しております。

注7:「天気マッチング広告」とは、天気と連動したWeb広告配信サービスを指します。市区町村単位(全国約2,000カ所)に個別ページが存在するtenki.jpにおいて、「雨が降っているエリア」等、広告主が指定した天気条件にマッチングし、一般広告よりも優先的に広告を掲載することが可能になります。

業務に必要な契約手続き等

主担当:日本気象協会

契約の内容確認等は両者で担いますが、業務に必要な契約の手続きは日本気象協会で対応しております。また、日々のWebサイト・アプリへの問い合わせ対応は日本気象協会で対応しており、特殊な対応が必要な場合は両者協議の上、対応を検討することしております。

 

 

項目

分担

市場調査及び分析

主担当:当社・日本気象協会

日々のtenki.jpのユーザー行動をアクセスログの分析等を通じて、中長期的なスパンにおけるtenki.jpユーザーのデモグラフィック(注8)や、tenki.jpを取り巻く市場環境の調査分析等を実施しております。当該業務はtenki.jp全般に関わることから両者で担当しております。

注8:「デモグラフィック」とは、性別、年齢、居住地域、所得、職業、家族構成等人口統計学的な属性の総称のことであり、これらの属性をもとに市場を分類し、マーケティングのターゲットを明確にするための指標となります。

Growth Hack(マーケティング)

主担当:当社

サイト利便性の向上のため、ユーザー行動データや市場動向等を分析し、仮説検証・施策実行を行い、PV向上につなげるためのPDCAサイクルを回しております。当社専門部署で日々、対応を重ねております。

ブランディングやプロモーションの企画、実施

主担当:当社・日本気象協会

広告媒体やイベントでのtenki.jpのブランディングやプロモーションを両者で協議して進めております。

 

 

主担当:当該当事者がその裁量により役割を全うする。

副担当:当該当事者は他の当事者と必要に応じて協議し、一部役割を担う。

※双方が主担当とする役割については、双方協議により合意・決定し、実施するものとする。

 

 

※当社と共同事業を行う日本気象協会の概要

日本気象協会は、「安全・安心・快適な社会づくり」のために、気象・環境・防災・情報サービスを通じて社会に貢献する使命を担い、1950年に財団法人日本気象協会として設立されております。日本における気象会社として、日本で初めて気象情報をオンライン提供する等、気象業務法に基づいた気象データの提供を気象業界の創生期より継続的に行っております。2009年より一般財団法人へ移行し、民間の気象会社として、現在は、気象・環境・防災等に関わる調査解析や気象に関わるリアルタイムの情報提供等、気象コンサルティングのプロフェッショナルファームとして活動しております。

 

日本気象協会の基本情報

名称

一般財団法人日本気象協会(Japan Weather Association)

代表者名

会長  春田 謙

設立

1950年5月10日(2009年10月より一般財団法人へ移行)

従業員数

844名(2022年7月1日現在)

主要な事業区分

防災ソリューション事業

環境・エネルギー事業

メディア・コンシューマ事業(tenki.jp事業等)

 

 

※気象産業の構造

気象データ等は気象庁から一般財団法人気象業務支援センターを通して、民間気象事業者へ気象データ等が配信されております。民間気象事業者は気象庁から提供された気象データ等を天気予報等に活用しておりますが、気象庁以外の事業者が天気や波浪等の予報業務を独自に行う場合は、気象庁から予報業務許可を受ける必要があります。下記は、一般的な情報の流れを図示したものになります。なお、tenki.jpに掲載する予報業務が必要な情報については、日本気象協会が制作・提供しているため、当社は予報業務許可を受ける必要がありません。なお、日本気象協会は下図の民間気象事業者に該当します。

 

※画像省略しています。

 

 

[事業系統図]

当社の事業系統図は以下のとおりであります。当社の売上の大半をtenki.jp事業が占めることから、下記はtenki.jpに係る事業系統図を示しております。なお、実線は役務提供と対価の流れ、点線は事業上の役割等を示しております。

 

※画像省略しています。

 

※tenki.jpは業務提携契約書に基づき、互いのリソースを提供し、共同事業を行っております。収入について、「主要な契約手続き」を日本気象協会が担っていることから、広告収入は一旦、日本気象協会に入金され、当社は定められたレベニューシェア(注9)の割合に応じて日本気象協会から配分されております。

注9:「レベニューシェア」とは、パートナーと提携し、相互の協力で生み出した事業収益をあらかじめ決めておいた配分率で分配することを指します。

 

23/05/25

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の分析は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

(1) 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

① 経営成績の状況

tenki.jp事業においては、安定的なPV(ページビュー)数の増加とPV当たり広告単価の維持に取り組んでまいりました。「tenki.jp」に新機能の追加や機能の拡充を図り、また、記事コンテンツ「気象予報士によるポイント解説(日直予報士)」において、話題性の高い記事を効果的かつ効率的に配信することで、認知度の向上を図ってまいりました。さらには、地点天気、雨雲レーダー、防災等の「tenki.jp」における基軸コンテンツのPV数を高めるよう、集中的にSEO対策等の施策を実施いたしました。

それらの結果、年間のPV数は、78億PV(前年同期比104.9%)を達成し、特に9月は、台風接近に伴う押し上げ効果もあり過去最高のPV数を記録しております。なお、当事業年度よりアプリのPV取得方法を変更しているため、PV数は、仮定に基づく推定値を含んでおります。

一方でPV当たり広告単価は、個人情報保護の観点によるCookie規制の影響等により低迷基調となりましたが、行動制限の緩和等による経済活動の緩やかな回復に伴い、ネット広告の需要が高まった影響もあり前年同期比99.4%と前事業年度の水準を維持することができております。

費用面に関しては、将来の売上高及び利益の向上を目的として、新規事業を含めた新たな収益事業の構築に向けた人件費や開発費等の先行投資を行っております。

以上の結果、当事業年度の売上高は685,491千円(前期比5.5%増)、営業利益202,686千円(前期比8.0%減)、経常利益197,879千円(前期比8.1%減)、当期純利益140,176千円(前期比31.7%減)となりました。

なお、当社はtenki.jp事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

② 財政状態の状況

(資産)

当事業年度末における総資産は1,561,593千円となり、前事業年度末に比べ243,477千円減少いたしました。これは主に、現金及び預金が154,591千円減少したこと及びその他の流動資産に含めて表示しております未収入金が101,678千円減少したことによるものであります。

 

(負債)

当事業年度末における負債合計は72,860千円となり、前事業年度末に比べ45,416千円減少いたしました。これは主に、未払法人税等が59,395千円減少したこと及び未払金が8,634千円減少したこと、一方で契約負債が8,167千円増加したこと及び資産除去債務が5,695千円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

当事業年度末における純資産は1,488,733千円となり、前事業年度末に比べ198,061千円減少いたしました。これは、当期純利益の計上により利益剰余金が140,176千円増加したこと、一方で自己株式の取得により自己株式が338,238千円増加したことによるものであります。

なお、自己資本比率は95.3%(前事業年度末は93.4%)となりました。

 

 

③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ154,591千円減少し、当事業年度末残高は1,194,559千円となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は185,009千円(前事業年度は179,046千円の増加)となりました。これは、主に税引前当期純利益が195,319千円となり、未収入金の減少額101,787千円があったものの、法人税等の支払額が113,792千円であったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は2,294千円(前事業年度は5,517千円の減少)となりました。これは、主に有形固定資産の取得による支出が4,800千円であったものの、投資不動産の賃貸による収入が3,852千円であったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は338,914千円(前事業年度は5,485千円の増加)となりました。これは、自己株式の取得による支出が338,914千円であったことによるものです。

 

 

④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績

当社が提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

b.受注実績

当社が提供するサービスの性質上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

c.販売実績

当社はtenki.jp事業の単一セグメントであるため、事業別に記載をしております。

 

事業の名称

当事業年度

(自 2022年3月1日

至 2023年2月28日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

tenki.jp

681,276

105.6

その他

4,215

98.5

合計

685,491

105.5

 

なお、最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

相手先

前事業年度

(自 2021年3月1日

至 2022年2月28日)

当事業年度

(自 2022年3月1日

至 2023年2月28日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

一般財団法人日本気象協会

645,415

99.3

681,276

99.4

 

(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.上記の金額は、日本気象協会が取りまとめた上で、レベニューシェアとして当社に分配される形となっております。

3.日本気象協会との共同事業である天気予報専門メディア「tenki.jp」における最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。なお、下表記載の金額については、日本気象協会が取りまとめた上で、レベニューシェアとして当社に分配される形となっております。

 

相手先

前事業年度

(自 2021年3月1日

至 2022年2月28日)

当事業年度

(自 2022年3月1日

至 2023年2月28日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

グーグル合同会社

261,045

40.2

259,957

37.9

タブーラ・ジャパン株式会社

11,701

1.8

141,964

20.8

Outbrain Japan株式会社

94,482

14.5

146

0.0

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営者は「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載されている様々な課題に対処し、ユーザーにより良いサービスを継続的に提供していくことが必要であると認識しております。そのため、経営者は、外部環境の変化に関する情報の入手及び分析を行い、現在及び将来における事業環境を把握する中で課題を抽出し、それに対する対応策を実施していく方針であります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に準拠して作成されております。この財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りとは異なる場合があります。

当社の財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1) 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容」に含めて記載しています。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性

当社の運転資金需要のうち主なものは、人件費、広告宣伝費等の営業費用であり、必要な資金は自己資金、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等で資金調達していくことを基本方針としております。なお、これらの資金調達方法の優先順位等に特段方針はなく、資金需要の額や使途に合わせて柔軟に検討を行う予定であります。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」をご参照下さい。

 

⑤ 経営者の問題意識と今後の方針について

経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照下さい。