E03727 Japan GAAP
前期
5.46億 円
前期比
103.5%
株価
499 (04/19)
発行済株式数
8,902,600
EPS(実績)
116.82 円
PER(実績)
4.27 倍
前期
679.4万 円
前期比
101.9%
平均年齢(勤続年数)
43.0歳(4.7年)
従業員数
31人(連結:35人)
当社グループは、国内各地に事業拠点を置き、ベンチャーキャピタル事業として、ベンチャー企業への投資及び投資助言、投資事業組合の組成及びその管理・運営、投資事業組合の無限責任組合員となって投資先の選定及び育成支援を行う他、ベンチャーキャピタル事業において管理・運営する投資事業組合と利益相反が生じないM&A案件に限り、投資事業組合の資金に頼らない当社の自己勘定による地域企業のM&Aに積極的に取り組んでおります。
以上に述べた事項を事業系統図によって示しますと、次のとおりであります。
〔事業系統図〕
※画像省略しています。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中に将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項については、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
(1)経営成績
当社は、2022年6月23日付第24期定時株主総会をもちまして、新メンバーによる取締役会が発足し、新たなスタートを切りました。当該取締役会は、2022年9月12日付で、「新・中期ビジョンと成長戦略」を発表し、当社が地方創生・CVCファンド運営におけるこれまでの実績及びブランド力を武器に同業務を拡大しつつ、並行して、永久保有型企業買収の実行を推進することといたしました。
しかし、前述のとおり、当該取締役会が「新・中期ビジョンと成長戦略」を掲げた結果、前代表取締役である金氏らは当社株主から信任を得ることができず、2023年6月13日付第25期定時株主総会において当社監査等委員を除く取締役が総交代し、2年連続での経営体制の変更となりました。
当連結会計年度における経営成績について、地方創生ファンドとして、長野県と連携し、県内金融機関と共同で信州スタートアップ・承継支援投資事業有限責任組合を設立いたしました。当ファンドは、長野県内に本社又は主要な拠点を置き、創業期の企業、第二創業に取り組む企業、事業承継に取り組む企業、地域経済の活性化に資する企業を投資対象としており、コロナ禍においても前向きに創業・企業成長に取組み、地域活性化に資する事業者を積極的に支援するファンドとなっております。また、株式会社チェンジ及び株式会社チェンジ鹿児島と共同でかごしまスタートアップ支援投資事業有限責任組合を設立いたしました。当ファンドは、地域が抱える社会課題解決に資する事業を重点テーマとし、地域を持続可能にするスタートアップ企業に投資をしてまいります。
上記に加え、3月31日には、2つのファンドを新規設立いたしました。ふくしまメディカルヒルズ投資事業有限責任組合は、福島県内の優良な知財を有する医療・福祉機器企業をターゲットに投資育成に努めていくことで、福島県の産業基盤のさらなる強化を図ります。同日付で別途設立したあすかイノベーション投資事業有限責任組合は、女性の健康課題解決、医薬品研究、デジタル医療、アニマルヘルス・診断薬等を投資テーマに、あすか製薬及びグループ企業との事業シナジーが期待されるスタートアップ企業への投資を通じた「戦略的リターン」の確保を目的に投資を行います。
これら施策の結果、新規ファンドの設立や既存ファンドからの追加出資などファンドから受領する管理報酬を中心とした安定的収入が増加したこと等により、売上高は565百万円(前連結会計年度546百万円)と増収となりましたが、定時株主総会対応費用による販売費及び一般管理費が増加したこと等により、営業利益は51百万円(同64百万円)と若干の減益になりました。一方、持分法による投資利益の増加や関係会社株式売却益を計上したこと、2023年2月16日に開催した臨時株主総会で承認可決され、2023年3月末をもって効力発生した当社の減資に伴い法人税等調整額(益)を計上したこと等により、親会社株主に帰属する当期純利益は1,040百万円(同143百万円)と増益となりました。
なお、持分法による投資利益として169百万円を営業外収益に計上しております。これは当社持分法適用関連会社であった株式会社デジアラホールディングスに係るものであります。
また、関係会社株式売却益として275百万円を特別利益に計上しております。これは株式会社デジアラホールディングスの持分を一部売却(2022年6月6日実施)したものであります。
さらに、株式会社デジアラホールディングスの取締役によるストックオプション(新株予約権)の行使により、当社の株式保有割合が低下したことから、同社は2023年3月31日付で持分法適用関連会社から除外となりました。これにより持分変動損失として6百万円を特別損失に計上しております。
① 売上高の分析
当連結会計年度における営業投資有価証券売上高は、上場、及び、未上場の営業投資有価証券の売却が前年同期に比べて減少したことにより、前連結会計年度の8百万円から減少して6百万円となりました。投資事業組合管理収入は、既存ファンドからの追加出資やファンドの新規設立、投資先企業の売却による成功報酬を獲得したこと等により、前連結会計年度の452百万円から増加して479百万円となりました。コンサルティング収入による売上高は、前連結会計年度の37百万円から減少して35百万円となりました。また、コワーキング収入による売上高は、前連結会計年度の41百万円から若干減少して40百万円となりました。
② 売上原価の分析
当連結会計年度における売上原価は、299百万円(前連結会計年度287百万円)となりました。
売上原価の内訳は、上場、及び、未上場株式の売却原価3百万円(同1百万円)、営業投資有価証券の減損等2百万円(同0百万円)、投資損失引当金繰入額6百万円(同繰入額4百万円)、その他売上原価287百万円(同281百万円)となっております。
③ 販売費及び一般管理費の分析
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、213百万円(前連結会計年度193百万円)となりました。
当該増加は、定時株主総会対応費用や営業体制の強化によるものであります。
<ベンチャーキャピタル事業>
a.営業投資関連損益の状況
(単位:百万円)
|
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
増減 |
営業投資有価証券売上高 |
8 |
6 |
△2 |
営業投資有価証券売却額(上場) |
3 |
- |
△3 |
営業投資有価証券売却額(未上場) |
1 |
3 |
1 |
営業投資有価証券利息・配当金 |
3 |
3 |
0 |
営業投資有価証券売上原価 |
1 |
5 |
4 |
営業投資有価証券売却原価(上場) |
0 |
- |
△0 |
営業投資有価証券売却原価(未上場) |
0 |
3 |
2 |
営業投資有価証券減損額 |
0 |
2 |
2 |
投資損失引当金繰入額 |
4 |
6 |
1 |
投資損失引当金繰入額 |
4 |
8 |
3 |
売却に係る投資損失引当金戻入額(△) |
△0 |
△0 |
△0 |
減損に係る投資損失引当金戻入額(△) |
― |
△1 |
△1 |
営業投資関連損益 |
2 |
△5 |
△7 |
(注) 当連結会計年度末における営業投資有価証券に対する投資損失引当金の割合は、12.8%(前連結会計年度末9.0%)となりました。
b.投資損失引当金の状況
当社は、投資先企業の経営成績及び財務状況を個別に精査し、さらに投資実行の主体である各ファンドの解散時期を勘案した上で、それぞれの営業投資有価証券を四半期ごとに評価し、償却処理又は投資損失引当金を計上しております。なお、新型コロナウイルスの感染拡大による投資先企業への影響など、昨今の急激な外部環境の変化が投資先企業に及ぼす影響も、極力タイムリーに反映した評価を行っております。
当連結会計年度においては、投資損失引当金繰入額は6百万円(前連結会計年度は繰入額4百万円)、当連結会計年度末における投資損失引当金残高は18百万円(前連結会計年度末12百万円)となりました。なお、投資損失引当金の戻入額と繰入額は相殺し、純額表示しております。
また、当連結会計年度末における営業投資有価証券に対する投資損失引当金の割合は、12.8%(前連結会計年度末9.0%)となりました。
c.投資の状況
当連結会計年度における当社の投資実行の状況は、67社、1,883百万円(前連結会計年度95社、2,345百万円)となり前連結会計年度に比べ28社、462百万円減少しております。また、当連結会計年度末における投資残高は353社、9,828百万円(前連結会計年度末367社、8,789百万円)となりました。
① 証券種類別投資実行額
証券種類 |
投資実行額 |
|||
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
|||
金額(百万円) |
投資企業数(社) |
金額(百万円) |
投資企業数(社) |
|
株式 |
2,042 |
78 |
1,683 |
55 |
社債等 |
302 |
17 |
200 |
15 |
合計 |
2,345 |
95 |
1,883 |
67 |
(注)1.投資企業数の合計値は、株式、社債等双方に投資している重複社数を調整しております。
2.金額及び投資企業数は、連結グループ間の取引及び持分法適用の投資事業組合によるものを含めております。
② 証券種類別投資残高
証券種類 |
投資残高 |
|||
前連結会計年度末 (2022年3月31日) |
当連結会計年度末 (2023年3月31日) |
|||
金額(百万円) |
投資企業数(社) |
金額(百万円) |
投資企業数(社) |
|
株式 |
7,668 |
328 |
8,679 |
322 |
社債等 |
1,121 |
50 |
1,148 |
45 |
合計 |
8,789 |
367 |
9,828 |
353 |
(注)1.投資企業数の合計値は、株式、社債等双方に投資している重複社数を調整しております。
2.金額及び投資企業数は、連結グループ間の取引及び持分法適用の投資事業組合によるものを含めております。
d.投資先企業の上場状況
当連結会計年度において上場した投資先企業は、以下の2社であります。
|
会社名 |
公開年月 |
公開市場 |
主要業務 |
本店所在地 |
国内 2社 |
株式会社スマサポ |
2022年12月 |
東証グロース市場 |
不動産管理業界に向けた複数ソリューション提供と入居者アプリ「totono」を活用したDX推進事業 |
東京都 |
株式会社Arent |
2023年3月 |
東証グロース市場 |
建設業界を中心としたDXコンサルティング、システム開発、システム販売等 |
東京都 |
e.投資事業組合の状況
|
前連結会計年度末 (2022年3月31日) |
当連結会計年度末 (2023年3月31日) |
投資事業組合出資金総額(百万円) |
23,432 |
22,209 |
投資事業組合数(組合) |
50 |
50 |
(注) 「投資事業組合出資金総額」は、コミットメント総額であります。
① 出資金総額が増加した投資事業組合
当連結会計年度において出資金総額が増加した投資事業組合は、以下の6組合であります。
(単位:百万円) |
投資事業組合名 |
増加した出資金額 |
増加の理由 |
信州スタートアップ・承継支援投資事業有限責任組合 |
707 |
新規設立 |
日本スタートアップ支援2号投資事業有限責任組合 |
30 |
追加出資 |
かごしまスタートアップ支援投資事業有限責任組合 |
300 |
新規設立 |
創発の莟1号投資事業有限責任組合 |
200 |
追加出資 |
あすかイノベーション投資事業有限責任組合 |
1,000 |
新規設立 |
ふくしまメディカルヒルズ投資事業有限責任組合 |
300 |
新規設立 |
合計(6組合) |
2,537 |
|
② 出資金総額が減少した投資事業組合
当連結会計年度において出資金総額が減少した投資事業組合は、以下の4組合であります。
(単位:百万円)
投資事業組合名 |
減少した出資金額 |
減少の理由 |
日本スタートアップ支援1号投資事業有限責任組合 |
650 |
出資持分譲渡 |
日本スタートアップ支援2号投資事業有限責任組合 |
90 |
出資持分譲渡 |
京葉銀事業承継投資事業有限責任組合 |
1,500 |
出資持分譲渡 |
創発の莟1号投資事業有限責任組合 |
1,520 |
出資持分譲渡 |
合計(4組合) |
3,760 |
|
(2)財政状態
資産、負債及び純資産の分析
総資産額については、当連結会計年度末は、4,054百万円(前連結会計年度末3,142百万円)となりました。その内訳は流動資産2,843百万円(同2,221百万円)、固定資産1,210百万円(同921百万円)です。
負債額については、当連結会計年度末は、371百万円(同393百万円)となりました。
また、純資産額については、親会社株主に帰属する当期純利益1,040百万円を計上したことや新株予約権の発行等により、3,682百万円(同2,749百万円)になりました。なお、純資産には投資事業組合の組合員の持分である非支配株主持分等が含まれるため、これらを控除して算出した自己資本は3,677百万円(同2,746百万円)、自己資本比率は90.7%(同87.4%)になりました。
(3)キャッシュ・フロー
当社グループの資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、売上原価、販売費及び一般管理費の人件費、営業費用、管理費用であります。また、投資を目的とした資金需要は、ファンドへの投資資金、M&A等による関係会社株式の取得等によるものであります。当社及び当社が管理運営するファンドが保有する株式及び社債は、ベンチャーキャピタルの特質上、そのほとんどが未上場の株式及び社債であり、時価もなく流動性が極めて限定されています。そのため、自己資本の充実と安定的な収益を確保することに努めております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入及び資本による資金調達を基本としております。当社グループは、調達コストとリスク分散の観点から、低コストかつ安定的な資金を確保するよう努めております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高はなく、手元資金により賄われております。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「キャッシュ」という。)は、前連結会計年度末より593百万円増加し、2,651百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と主な要因は次のとおりであります。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは190百万円のキャッシュインフロー(前連結会計年度228百万円のキャッシュインフロー)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益425百万円、関係会社株式売却益275百万円、利息及び配当金の受取額188百万円、持分法による投資利益169百万円、投資有価証券評価損50百万円、法人税等の支払額24百万円によるものであります。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは399百万円のキャッシュインフロー(前連結会計年度42百万円のキャッシュアウトフロー)となりました。これは主に、関係会社株式の売却による収入400百万円、有形及び無形固定資産の取得による支出1百万円によるものであります。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは3百万円のキャッシュインフロー(前連結会計年度167百万円のキャッシュアウトフロー)となりました。これは主に、新株予約権の発行による収入によるものであります。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて過去の実績や適切な仮定に基づいて合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
なお、新型コロナウイルスの感染拡大による事業への影響については不確実性が大きく、投資先企業の業績や資
金繰りの悪化による投資損失引当金や減損損失が増加する可能性があります。今後の事業に対する影響につきまし
ては、注視していく必要があるものと考えております。