E04806 Japan GAAP
前期
140.7億 円
前期比
173.7%
株価
1,742 (04/25)
発行済株式数
56,060,000
EPS(実績)
133.68 円
PER(実績)
13.03 倍
前期
1,252.5万 円
前期比
109.1%
平均年齢(勤続年数)
42.0歳(14.0年)
従業員数
117人(連結:147人)
当社の事業は、ファンドの運用を通じたベンチャー投資とバイアウト投資に特化しています。ファンドの運用資金は、3年前後に一度、機関投資家や事業会社などから募集しています。また、すべてのファンドに当社の自己資金を投入し、自らファンドパフォーマンス向上にコミットします。ファンドの運用期間は10年、2年の延長期間を設定しています。
ファンド募集のタイミングにかかわらず、当社は常に有望企業を開拓し、3年前後を目途に新規投資を積み上げ、ファンドごとに良質のポートフォリオを構築していきます。
また、投資後の経営関与を高め、起業家とともに事業の成長と企業価値の向上を図ります。そして、新規上場(IPO)やM&A等によるEXIT(売却)を目指します。ファンド出資を通じたキャピタルゲイン、ファンドの管理報酬、成功報酬が当社の主な収益源となります。
当社グループはファンド運用事業の1セグメントからなっております。
当社グループの状況について事業系統図を示すと、次のとおりであります。
※画像省略しています。
(注)用語説明
名 称 |
定 義 |
ファンド |
当社グループが管理運営するファンド(投資事業有限責任組合契約に関する法律上の組合、外国の法制上のリミテッドパートナーシップ等) |
JAFCO |
当社及び連結子会社 |
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。
(1)連結経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の当社グループの連結業績は、売上高14,073百万円(前期27,677百万円、増減率△49.2%)、営業利益△4,414百万円(前期16,876百万円)、経常利益△3,048百万円(前期18,360百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益40,571百万円(前期15,080百万円、増減率169.0%)となりました。
当連結会計年度における当社グループの投資先の新規IPOは5社(国内5社、海外なし)でありましたが、厳しい市場環境の影響を受け、投資倍率は低下しキャピタルゲインは低水準にとどまり、また、投資損失引当金の繰入も増加しました。
当連結会計年度において当社が保有する株式会社野村総合研究所の全株(普通株式 23,968,100株、ただし単元未満株を除く。)を売却しました。これにより、売却益63,796百万円(うち特別利益62,783百万円)を計上しております。
当連結会計年度における当社グループの財政状態について、当連結会計年度において当社が保有する株式会社野村総合研究所の全株を売却した一方、自己株式17,002,200株(取得価額42,384百万円)を取得したことから、資産・負債・純資産が減少しております。
2021年10月22日開催の取締役会決議に基づき2022年4月1日から2022年4月4日までに自己株式384百万円、2022年12月21日開催の取締役会決議に基づき、自己株式の公開買付けによって、自己株式42,000百万円の取得を実行しました。
また、2022年4月22日開催の取締役会決議に基づき2022年5月10日付で7,630,000株、2023年2月16日開催の取締役会決議に基づき2023年3月1日付で17,220,000株の自己株式の消却を実施したことから、利益剰余金及び自己株式が58,318百万円減少しました。
当社グループはファンド運用事業の単一セグメントであります。
②キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは7,245百万円のキャッシュアウトフロー(前期12,958百万円のキャッシュアウトフロー)となりました。これは主に営業投資有価証券の増加によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは69,640百万円のキャッシュインフロー(前期748百万円のキャッシュインフロー)となりました。これは主に投資有価証券の売却等による収入によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは46,225百万円のキャッシュアウトフロー(前期43,474百万円のキャッシュアウトフロー)となりました。これは主に自己株式の取得による支出によるものであります。
これらの結果、現金及び現金同等物は16,878百万円増加し、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は69,481百万円(前期末52,603百万円)となりました。そのうち8,491百万円(前期末8,838百万円)はファンド出資持分であります。また、当社グループが管理運営するファンドに対して当社グループが出資金として今後支払を約束している金額は、当連結会計年度末で40,868百万円(前期末28,125百万円)であります。
(2)生産、受注及び販売の実績
営業投資活動の状況
当社グループは、下図のとおり、原則としてファンド(下図①)の資金により、国内外の有望未上場企業等への投資を行っております。
ファンドにおける営業投資有価証券の売却損益等は、ファンドの出資持分に応じて、当社グループに直接帰属いたします。また、当社グループは、ファンドから契約に基づいて管理運営に対する管理報酬と投資成果に対する成功報酬を受領しております。
連結貸借対照表の営業投資有価証券残高は、ファンドの当社グループ出資持分(下図②)に応じた営業投資有価証券残高と当社グループ(下図③)の営業投資有価証券残高の合計額であります。
次ページ以降の「投資実行額」「投資残高」につきましては、当社グループの営業投資活動(投資及びファンドの管理運営)を表すため、ファンド(下図①)と当社グループ(下図③)を合算した投資活動の状況を記載しております。
※画像省略しています。
(注)用語説明
名 称 |
定 義 |
ファンド |
当社グループが管理運営するファンド(投資事業有限責任組合契約に関する法律上の組合、外国の法制上のリミテッドパートナーシップ等) |
当社グループ |
当社及び連結子会社 |
①投資実行状況
①-1 エクイティ投資実行額:業種別
(単位:百万円) |
|
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
|
金 額 |
金 額 |
エレクトロニクス |
1,917 |
293 |
ソフトウェア |
1,860 |
1,621 |
ITサービス |
27,138 |
21,631 |
医療・バイオ |
1,484 |
1,580 |
サービス |
500 |
6,149 |
製造業 |
3,740 |
4,360 |
流通・小売・外食 |
300 |
6,017 |
住宅・金融 |
111 |
136 |
合計 |
37,053 |
41,790 |
①-2 エクイティ投資実行額:地域別
(単位:百万円) |
|
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
||
金額 |
社数 |
金額 |
社数 |
|
日本 |
23,216 |
56 |
27,873 |
47 |
米国 |
7,775 |
16 |
8,630 |
16 |
アジア |
6,060 |
21 |
5,286 |
22 |
合計 |
37,053 |
93 |
41,790 |
85 |
(注)1.「投資実行額」は、当社グループ及びファンドの投資実行額の合計であります。
2.外貨建の「投資実行額」については、四半期連結会計期間ごとにそれぞれの四半期末為替レートで換算した額を合計しております。
3.日本のベンチャー投資部門が担当する海外投資先は日本に含めております。
②投資残高
②-1 投資残高
(単位:百万円) |
|
前連結会計年度 (2022年3月31日) |
当連結会計年度 (2023年3月31日) |
||
金 額 |
社 数 |
金 額 |
社 数 |
|
上場 |
4,698 |
33 |
7,332 |
33 |
未上場 |
185,347 |
236 |
217,696 |
261 |
合計 |
190,046 |
269 |
225,028 |
294 |
②-2 未上場エクイティ投資残高:業種別
(単位:百万円) |
|
前連結会計年度 (2022年3月31日) |
当連結会計年度 (2023年3月31日) |
|
金 額 |
金 額 |
エレクトロニクス |
8,561 |
9,030 |
ソフトウェア |
9,893 |
11,710 |
ITサービス |
124,679 |
140,725 |
医療・バイオ |
8,451 |
9,690 |
サービス |
14,369 |
19,004 |
製造業 |
11,877 |
15,323 |
流通・小売・外食 |
5,348 |
9,804 |
住宅・金融等 |
2,166 |
2,406 |
合計 |
185,347 |
217,696 |
②-3 未上場エクイティ投資残高:地域別
(単位:百万円) |
|
前連結会計年度 (2022年3月31日) |
当連結会計年度 (2023年3月31日) |
|
金 額 |
金 額 |
日本 |
110,201 |
129,940 |
米国 |
50,314 |
61,698 |
アジア |
24,831 |
26,057 |
合計 |
185,347 |
217,696 |
(注)1.「投資残高」は、当社グループ及びファンドの投資残高の合計であります。
2.「投資残高」は取得原価で表示しております。
3.外貨建の「投資残高」については、各連結会計年度末為替レートで換算しております。
4.日本のベンチャー投資部門が担当する海外投資先は日本に含めております。
③ファンドの運用状況
当連結会計年度に設立したジャフコSV7シリーズは、募集活動を継続しており、2023年3月末コミットメント総額は74,400百万円であります。なお、ジャフコSV7シリーズ全体のファンド総額は、前回SV6シリーズの総額80,000百万円を上回る金額(上限額95,000百万円)を目標としております。また、第3四半期連結会計期間において設立した「JAFCO Taiwan II Venture Capital Limited Partnership」は、2023年3月末コミットメント総額は、501百万台湾ドルであり、募集活動を継続中であります
|
前連結会計年度 (2022年3月31日) |
当連結会計年度 (2023年3月31日) |
|||
ファンド数 |
コミットメント 総額 |
ファンド数 |
コミットメント 総額 |
||
円建 |
|
|
(百万円) |
|
(百万円) |
運用中 |
11 |
215,000 |
11 |
229,400 |
|
延長中 |
- |
- |
5 |
60,000 |
|
小計 |
11 |
215,000 |
16 |
289,400 |
|
米ドル建 |
|
|
(千米ドル) |
|
(千米ドル) |
運用中 |
7 |
843,656 |
5 |
654,978 |
|
延長中 |
2 |
44,700 |
4 |
235,700 |
|
小計 |
9 |
888,356 |
9 |
890,678 |
|
台湾ドル建 |
|
|
(百万台湾ドル) |
|
(百万台湾ドル) |
運用中 |
1 |
2,006 |
2 |
2,507 |
|
小計 |
1 |
2,006 |
2 |
2,507 |
合計 |
|
|
(百万円) |
|
(百万円) |
運用中 |
19 |
326,780 |
18 |
327,764 |
|
延長中 |
2 |
5,470 |
9 |
91,473 |
|
合計 |
21 |
332,251 |
27 |
419,237 |
コミットメント総額に占める 当社グループの 出資持分割合 |
40.9% |
40.1% |
(注)1.「コミットメント総額」は、契約上出資が約束されている額の総額であります。
2.合計欄における外貨建「コミットメント総額」は、各連結会計年度末為替レートで換算しております。
④投資先会社IPO(新規上場)の状況
前連結会計年度(2021年4月1日~2022年3月31日)
|
投資先会社名 |
上場年月日 |
上場市場 |
事業内容 |
本 社 所在地 |
国内:4社 |
ビジョナル㈱ |
2021年4月22日 |
マザーズ (現 グロース) |
HR Techプラットフォーム、HR SaaS、事業承継M&A、SaaSマー ケティング、サイバーセキュリティ、物流DXプラットフォーム等 |
東京都 |
ワンダープラネット㈱ |
2021年6月10日 |
マザーズ (現 グロース) |
エンターテインメントサービス事業 |
愛知県 |
|
㈱Photosynth |
2021年11月5日 |
マザーズ (現 グロース) |
Akerun入退室管理システム等のクラウド型IoTサービスの開発・提供 |
東京都 |
|
㈱Finatextホールディングス |
2021年12月22日 |
マザーズ (現 グロース) |
次世代ウェルス・マネジメント・サービスの開発、提供 |
東京都 |
|
海外:2社 |
PLAYSTUDIOS, Inc. |
2021年6月22日 |
NASDAQ |
オンラインゲーム開発・提供 |
米国 |
Confluent, Inc. |
2021年6月24日 |
NASDAQ |
イベントストリーミングプラットフォームの提供 |
米国 |
当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)
|
投資先会社名 |
上場年月日 |
上場市場 |
事業内容 |
本 社 所在地 |
国内:5社 |
マイクロ波化学㈱ |
2022年6月24日 |
グロース |
マイクロ波化学プロセスを用いた製造・販売及びライセンス事業 |
大阪府 |
㈱エアークローゼット |
2022年7月29日 |
グロース |
インターネットを用いたファッションのスタイリングおよびレンタルサービス「airCloset」の運営 |
東京都 |
|
リンカーズ㈱ |
2022年10月26日 |
グロース |
事業パートナー・サプライヤーの探索サービス「Linkers」の運営 |
東京都 |
|
note㈱ |
2022年12月21日 |
グロース |
個人/法人クリエイターの作品配信メディアプラットフォームの運営 |
東京都 |
|
AnyMind Group㈱ |
2023年3月29日 |
グロース |
ワンストップ型次世代コマース・イネーブルメント・プラットフォームの開発、運営 |
東京都 |
(注)海外企業の本社所在地は、主たる営業地域又は実質的な本社所在地を基準に記載しております。
(3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、資産、負債、収益及び費用の額に影響を与える仮定や見積りを必要とします。 これらの仮定や見積りは、過去の実績や現在の状況等を勘案し合理的に判断していますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる可能性があります。
当社の連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
②当年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績
「(1)連結経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載の通り、当年度の当社グループの売上高は14,073百万円(前期比49.2%減)、営業利益は△4,414百万円(前期16,876百万円)となりました。営業外収益は、為替差益、他社ファンド運用益の減少等により、1,505百万円(前期比4.8%減)となりました。また、営業外費用は、自己株式取得費用等により、139百万円(前期比43.8%増)となりました。この結果、経常利益は△3,048百万円(前期18,360百万円)となりました。特別利益は、投資有価証券売却益、償却債権取立益により、64,417百万円(前期186百万円)となりました。特別損失の計上はありませんでした(前年度の特別損失の計上もありません)。税効果会計適用後の法人税等は20,797百万円(前期比499.8%増)となりました。以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は40,571百万円(前期比169.0%増)となりました。
b.財政状態
当連結会計年度末における当社グループの財政状態は、流動資産156,079百万円(前期比16.1%増)、固定資産3,767百万円(前期比96.2%減)、流動負債25,678百万円(前期比462.7%増)、固定負債3,423百万円(前期比89.0%減)、純資産は130,745百万円(前期比33.8%減)となり、総資産は159,847百万円(前期比31.4%減)となりました。
流動資産については、現金及び預金が主に投資有価証券の売却により前年度から16,878百万円、営業投資有価証券は投資の進捗により前年度から10,350百万円増加しています。固定資産については、投資有価証券の売却による減少により前年度から94,848百万円減少しています。流動負債については、未払法人税等が前年度から21,455百万円増加し、固定負債については繰延税金負債が前年度から27,634百万円減少しております。純資産のうち、自己資本については、2021年10月22日開催の取締役会決議に基づき、2022年4月1日から2022年4月4日までに自己株式384百万円、 2022年12月21日開催の取締役会決議に基づき、自己株式の公開買付けによって、自己株式42,000百万円の取得を実行しました。また、2022年4月22日開催の取締役会決議に基づき2022年5月10日付で7,630,000株、2023年2月16日開催の取締役会決議に基づき2023年3月1日付で17,220,000株の自己株式の消却を実施したことから、利益剰余金及び自己株式が58,318百万円減少しました。
これらの結果、当連結会計年度末において、利益剰余金は前連結会計年度末から21,431百万円減少し、自己株式は16,153百万円減少しております。
c.キャッシュ・フローの状況
「(1)連結経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご覧ください。
d.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績等に特に重要な影響を与える要因である、投資実行、キャピタルゲイン、投資損失引当金、営業投資有価証券の残高、ファンドの管理運営業務の各状況に関する認識及び分析・検討は次の通りです。
(投資実行の状況)
「(2)生産、受注及び販売の実績 ①投資実行状況」に記載の通り、当連結会計年度の当社グループ及びファンドの投資実行額は、41,790百万円(前期37,053百万円)、投資会社数は85社(前期93社)となりました。事業承継ニーズの増加等を背景に国内バイアウト投資を中心に投資が進捗しました。
当連結会計年度の国内ベンチャー投資における業種分類では、引き続きインターネットスペースの投資先が大半となっています。IT関連の投資先の比率が高まっていますが、ITサービスの中には、最新のテクノロジーにより様々な既存産業のビジネスモデルを変えていくようなスタートアップが数多く含まれています。
また、新規投資のステージでは、創業期のシードや、事業の立ち上げ時期のアーリーステージがほとんどで
す。その大半がインターネットスペースにあります。事業の立ち上げ方次第で、スタートアップの変化率は
非常に高いものになります。一方で、競合先も多く立ち上げの遅れが致命傷になりかねません。当社は、投
資先の「CO-FOUNDER」として、事業の構想段階から関わり、起業家とともに事業の成長に踏み込んでいきます。
(キャピタルゲインの状況)
当連結会計年度における当社グループの投資先の新規IPOは5社(国内5社、海外なし)でありましたが、厳しい市場環境の影響を受け、投資倍率は低下し、キャピタルゲインは低水準にとどまりました。前連結会計年度には大型の新規IPOがあったこともあり、キャピタルゲインは対前期比で大幅に減少しました。
高水準のファンドパフォーマンスを長期にわたって継続していくことが、当社の経営における最大のテーマです。今後もIPOの数にこだわることなく、大きなキャピタルゲインを伴うIPOやM&A等のEXITを追求していきます。各年度の業績は、大型のEXITの実現数により大きく変動するものの、運用中の各ファンドのパフォーマンスを継続的に高めていくことが、当社の長期的な好業績につながっていきます。
(単位:百万円) |
|
前連結会計年度(A) (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度(B) (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
対前期比(%) (B)/(A) |
|
金 額 |
金 額 |
|||
営業投資有価証券 売上高① |
20,257 |
9,665 |
47.7 |
|
|
売却高 |
20,147 |
9,523 |
47.3 |
|
配当金・債券利子 |
109 |
142 |
130.7 |
営業投資有価証券 売上原価② |
7,619 |
5,981 |
78.5 |
|
|
売却原価 |
6,848 |
5,508 |
80.4 |
|
強制評価損 |
770 |
473 |
61.4 |
キャピタルゲイン①-② |
12,638 |
3,684 |
29.2 |
投資倍率①÷② |
2.66 |
1.62 |
- |
上場キャピタルゲイン |
12,596 |
3,026 |
24.0 |
|
上場以外キャピタルゲイン |
41 |
658 |
1,586.4 |
|
|
売却益 |
3,142 |
2,153 |
68.5 |
売却損 |
3,100 |
1,495 |
48.2 |
(投資損失引当金の状況)
当連結会計年度においては、金融環境の悪化やEXITマーケットが低迷する想定を織り込んだ投資損失引当金 を第4四半期に大幅に計上した結果、投資損失引当金の繰入が取崩を大きく上回り、投資損失引当金残高は増加し ております。未上場営業投資有価証券残高に対する引当率も増加いたしました。
なお、一括引当金は残高が僅少になったため、当連結会計年度末において全額取り崩しました。
(単位:百万円) |
|
前連結会計年度(A) (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度(B) (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
対前期比(%) (B)/(A) |
|
金 額 |
金 額 |
|||
投資損失引当金繰入額① |
1,108 |
7,853 |
708.4 |
|
|
個別繰入額 |
1,137 |
7,969 |
700.5 |
|
一括繰入(△取崩)額 |
△29 |
△116 |
- |
投資損失引当金取崩額② |
3,094 |
2,369 |
76.6 |
|
投資損失引当金繰入額 (純額・△は戻入額) ①-② |
△1,985 |
5,484 |
- |
(単位:百万円) |
|
前連結会計年度 (2022年3月31日) |
当連結会計年度 (2023年3月31日) |
|
金 額 |
金 額 |
||
投資損失引当金残高 |
8,969 |
14,490 |
|
|
個別引当残高 |
8,853 |
14,490 |
|
一括引当残高 |
116 |
- |
未上場営業投資有価証券残高に対する引当率 |
12.1% |
17.0% |
(営業投資有価証券残高の状況)
新規投資、追加投資ともに堅調に積み上がったことにより、ファンド投資を通じた投資残高における当社の持
分も増加しています。上場した投資先の含み益は10,809百万円(前期末12,510百万円)となっています。投資先
上場株式の売却や一部株式の株価下落等により前連結会計年度より減少しています。
(単位:百万円) |
|
前連結会計年度 (2022年3月31日) |
当連結会計年度 (2023年3月31日) |
|
金 額 |
金 額 |
||
上場営業投資有価証券の取得原価と時価の差額 |
12,510 |
10,809 |
|
|
時価が取得原価を超えるもの |
12,510 |
10,990 |
|
時価が取得原価を超えないもの |
- |
△181 |
(単位:百万円) |
|
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
金 額 |
金 額 |
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部分純資産直入法に基づく営業投資有価証券評価損(△戻入益) |
- |
181 |
営業投資有価証券残高
(単位:百万円) |
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前連結会計年度 (2022年3月31日) |
当連結会計年度 (2023年3月31日) |
||
取得原価 |
連結貸借対照表計上額 |
取得原価 |
連結貸借対照表計上額 |
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上場 |
1,755 |
14,266 |
2,462 |
13,271 |
未上場 |
70,515 |
73,914 |
80,507 |
85,258 |
合計 |
72,271 |
88,180 |
82,970 |
98,530 |
(ファンドの管理運営業務の状況)
前連結会計年度には大型の新規IPOがあったこともあり、成功報酬は対前期比で大幅に減少しました。管理報酬はSV7シリーズの運用開始に伴い、対前期比で増加しました。
(単位:百万円) |
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前連結会計年度(A) (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度(B) (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
対前期比(%) (B)/(A) |
|
金 額 |
金 額 |
|||
投資事業組合管理収入 |
7,410 |
4,402 |
59.4 |
|
|
管理報酬 |
2,949 |
3,391 |
115.0 |
|
成功報酬 |
4,461 |
1,011 |
22.7 |
(注)管理報酬及び成功報酬は、当社グループの出資持分相当額を相殺した後の金額となっております。
e.当社グループの資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要のうち主なものはファンドへの投資資金、販売費及び一般管理費等であり、販売費及び一般管理費等の主なものは、人件費及び不動産費等であります。ファンドの運用資産の大半は未上場企業であり、時価もなく流動性が極めて限定されます。従って、どのような環境にあっても、継続して投資を行うために強固な財務基盤が求められます。当連結会計年度は、純資産額は130,745百万円(前期末197,390百万円)、自己資本比率については81.8%(前期末84.7%)となりました。連結貸借対照表に計上されている69,481百万円の現金及び預金の中には、各ファンドに当社が既に出資した分も含まれています。
当連結会計年度においては、2021年10月22日開催の取締役会決議に基づく自己株式の取得(2022年4月1日から2022年4月4日までに202,200株、取得価額384百万円)、2022年12月21日開催の取締役会決議に基づく自己株式の取得(2022年12月22日から2023年1月25日までを買付け期間とする公開買付けを実施し、2023年2月16日を決済日として16,800,000株、取得価額42,000百万円)を行い、2022年4月22日開催の取締役会決議に基づき2022年5月10日付で自己株式7,630,000株、2023年2月16日開催の取締役会決議に基づき2023年3月1日付で自己株式17,220,000株の消却を実施しております。後述の「株主還元についての方針」に基づき、投資継続のための必要資金を将来にわたり段階的に縮小させ、必要金額を一定程度超過する部分については自己株式取得を含めた株主還元を検討します。
株主還元についての方針
当社は、当連結会計年度において株主還元方針を見直し、以下の内容を新たな方針といたしました。
配当金については、1株当たり株主資本の期首期末の平均値の3%と当期純利益の50%のいずれか大きい金額とします。
ただし、2023年3月期の配当金に限りましては、当社株式1株当たり、以下のうちいずれか大きいほうの金額とします。
a. 150円
b. 株式会社野村総合研究所の株式売却に係る売却益も含めた2023年3月期における当社の親会社株主に帰属する当期純利益から、2022年12月21日開示の公開買付けに基づく自己株式取得額を控除した金額を、配当基準日時点の当社の発行済株式総数(ただし、同時点の当社が所有する自己株式数を除きます。)で除して計算される金額
上記の配当方針に加え、投資継続のために確保すべき必要資金600億円程度(有利子負債、未払税金、各年度 3月末においては配当支払予定額を控除した金額)を将来にわたり段階的に縮小させ、それを超える部分は自己株式取得を含めた株主還元を検討します。
f.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通り、当社グループにおける最大の経営テーマは、ファンドパフォーマンスを持続的に向上させることです。当社グループは、ファンド運用事業の単一セグメントであり、収益の源泉はファンドからの管理収入(管理報酬・成功報酬)とファンドへの直接出資持分からのキャピタルゲインであることから、運用中の各ファンドのパフォーマンスを高めていくことが、中長期的な好業績の継続につながっていきます。
当社は、以下をファンドパフォーマンスの具体的な目標としております。
グロス倍率(売却金額(未売却投資先の評価金額を含む)÷投資金額)2.5倍以上
ネット倍率((分配金累計額+純資産額)÷払込済出資金額)2.0倍以上
また、運用中(延長中を含む)の主な国内ファンドのパフォーマンスは次の通りです。
ファンド |
設立年月 |
出資金 総額 (億円) |
払込済 出資金額 (億円) |
分配金 累計額 (億円) |
純資 産額 (億円) |
グロス倍率 (倍) |
ネット倍率 (倍) |
||
2023年3月末 |
2022年3月末 |
2023年3月末 |
2022年3月末 |
2023年3月末 |
|||||
SV-4(B) |
2013年3月 |
291 |
291 |
469 |
64 |
2.15 |
2.21 |
1.79 |
1.84 |
SV-5(B) |
2016年8月 |
498 |
473 |
58 |
345 |
1.03 |
0.98 |
0.92 |
0.85 |
SV-6 |
2019年6月 |
640 |
595 |
- |
512 |
1.01 |
0.97 |
0.91 |
0.86 |
(注)純資産額において、未売却投資先の評価については、上場株式は期末日の時価で評価しており、外貨建の上場株式は期末日の為替レートで換算しております。未上場投資先については、時価算定会計基準の適用に伴い、新株予約権付社債、新株予約権等の株式以外の投資等は時価で評価し、未上場株式は、マークアップ(未実現評価益の計上)せず、マークダウン(未実現評価損の計上)のみを行っています。なお、外貨建の未上場株式についても期末日の為替レートで換算しております。
g.セグメントごとの財政状態及び経営成績に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、ファンド運用事業の単一セグメントであります。