HSホールディングス株式会社

ブランドなど:ハーン銀行キルギスコメルツ銀行ソリッド銀行
証券、商品先物取引業地方銀行スタンダード

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率

ニュース

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最終更新:

E03770 Japan GAAP

売上高

777.0億 円

前期

29.6億 円

前期比

2,627.6%

時価総額

394.8億 円

株価

964 (04/26)

発行済株式数

40,953,500

EPS(実績)

277.68 円

PER(実績)

3.47 倍

平均給与

796.8万 円

前期

740.7万 円

前期比

107.6%

平均年齢(勤続年数)

46.0歳(9.2年)

従業員数

5人(連結:5,372人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

 

3 【事業の内容】

当社及び当社の関係会社(連結子会社4社、持分法適用関連会社1社)の主たる事業は、銀行業務を中心に、信用保証業務、リース業務、クレジットカード業務などの各種金融サービスに係る事業を行っております。また、リユース事業、M&A仲介・コンサルティング事業等、様々な事業を展開しております。

なお、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。

 

事業の系統図は次のとおりであります。

※画像省略しています。

 

セグメントごとの分類は次のとおりであります。

 

銀行関連事業      ハーン銀行(Khan Bank LLC)、キルギスコメルツ銀行(OJSC Kyrgyzkommertsbank)、

ソリッド銀行(JSC Solid Bank)

リユース事業      株式会社STAYGOLD ※

債権管理回収関連事業  エイチ・エス債権回収株式会社 ※

その他事業       当社、H.S. International (Asia) Limited

 

持分法適用関連会社の業績は、持分法による投資損益に反映されます。

 

※ なお、第3四半期連結会計期間において、当社は、当社の連結子会社であるエイチ・エス債権回収株式会社の全保有株式を譲渡し、同社は第3四半期連結会計期間期首より連結の範囲から除外されることとなりました。また、第2四半期連結会計期間において、当社は、株式会社STAYGOLDの株式を取得し、同社を持分法適用関連会社とすることとなり、第3四半期連結会計期間期末より、実質支配力基準に基づき同社は連結子会社に該当することとなりました。

以上の結果、当連結会計年度末において、セグメント区分には、新たにリユース事業が加わることとなりました。

 

23/06/29

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による各種の活動制限が緩和され経済社会活動が徐々に正常化しつつありますが、円安等の急激な為替変動や資源・エネルギー価格の高騰などによるインフレ懸念など景気の先行きは不透明な状況が続いております。世界経済においても、資源・エネルギー価格の高騰やインフレ率の高止まり、ロシア・ウクライナ情勢の長期化、世界的な金融引締めによる景気悪化懸念など世界経済の先行きは依然として不透明な状況にあります。

このような環境の中、当社グループの当連結会計年度の営業収益は776億98百万円(前期比161億31百万円増)、経常利益は256億93百万円(前期比78億80百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益は113億72百万円(前期比48億27百万円増)となりました。

 

当社グループは、当社、連結子会社4社及び持分法適用関連会社1社で構成されており、セグメントごとの分類は次のとおりであります。

 

銀行関連事業      ハーン銀行(Khan Bank LLC)、キルギスコメルツ銀行(OJSC Kyrgyzkommertsbank)、

ソリッド銀行(JSC Solid Bank)

リユース事業      株式会社STAYGOLD ※1

債権管理回収関連事業  エイチ・エス債権回収株式会社 ※2

その他事業       当社、H.S. International (Asia) Limited、株式会社外為どっとコム ※3

 

※1 第2四半期連結会計期間において、当社は、株式会社STAYGOLDの株式を取得し、同社を持分法適用関連会社とすることとなりました。また、第3四半期連結会計期間において、同社は連結子会社に該当することとなりました。なお、第3四半期連結会計期間においては持分法による投資損益に同社の業績をもとにした損益が反映され、同社の損益計算書は当第4四半期連結会計期間より連結されます。

※2 第3四半期連結会計期間において、当社は、当社の連結子会社であるエイチ・エス債権回収株式会社の全保有株式を譲渡いたしました。本株式譲渡により、同社は第3四半期連結会計期間期首より連結の範囲から除外されることとなりました。

※3 第2四半期連結会計期間において、当社は、当社の持分法適用関連会社である株式会社外為どっとコムの全保有株式を譲渡いたしました。本株式譲渡により、株式会社外為どっとコムは持分法の範囲から除外されることとなりました。なお、持分法による投資損益には、売却実行時までの同社の業績をもとにした損益が計上されております。

 

報告セグメントごとの業績を示すと、次のとおりであります。

 

a) 銀行関連事業

銀行関連事業の当連結会計年度の営業収益は728億81百万円(前期比177億18百万円増)、営業利益は249億52百万円(前期比99億3百万円増)となりました。また、持分法適用関連会社であるソリッド銀行の業績は、持分法による投資損益に反映されます。

 

ハーン銀行(本店所在地:モンゴル国)

モンゴル経済につきましては、中国における新型コロナウイルス感染拡大防止策の影響を受け、中国向けの資源輸出は減少しましたが、輸出全体では石炭や金の輸出が増加したことから、実質GDP(1-12月)は前期比で4.8%増加しました。インフレ率は食品価格等の上昇により前期比13.2%上昇と依然として高水準にあります。また、貿易収支(1-12月)は前期比60.1%増加しましたが、外貨準備高は国際収支の赤字拡大により33億ドル台(前期比22.1%減少)まで減少しております。外貨準備高の減少により、為替市場では米ドルに対して現地通貨トゥグルグ(以下、MNTという。)の通貨安が進行し前期比で米ドルに対して20.9%下落(ドル高)しました。このようなインフレ率の上昇や通貨安の状況を受け、モンゴル中央銀行は政策金利を断続的に引き上げております。

モンゴルの銀行業界につきましては、モンゴル政府が実施した低金利融資や延滞している融資の返済期限延長等の景気対策の結果、金融セクターの融資残高は前期比で6.8%増加しました。また、延滞債権残高は20.3%増加、不良債権残高は2.6%減少となりました。

このような環境の中、モンゴルにおいて最大級の商業銀行であるハーン銀行につきましては、大口企業向け融資や中小企業向け融資、また、モンゴル国のデジタル化の方針に従い個人向けのデジタルバンキングサービスを中心に積極的に展開してまいりました。当期は、モンゴル政府が実施した低金利融資の景気対策により個人向けや農牧業向けの融資が大きく増加したことから資金運用収益が増加するとともに、第3四半期まで預金残高が減少傾向にあったことや預金金利が低水準で推移したことにより資金調達費用が大きく減少し、加えてデジタルバンキングサービスの推進による手数料収入が増加したことから、大幅な増収増益となりました。

結果として、現地通貨ベースでは、預金残高は前期比で4.0%増加、融資残高は12.3%増加、資金運用収益は18.1%増加、当期純利益は53.9%増加いたしました。また、融資残高の内訳としましては、法人向け融資は前期比で8.1%増加、個人向け融資は33.7%増加、農牧業向け融資は18.9%増加いたしました。

 

キルギスコメルツ銀行(本店所在地:キルギス共和国)

キルギス経済につきましては、ロシア・ウクライナ情勢の悪影響が懸念されましたが、新型コロナウイルス感染症の収束に伴いサービス業や製造業の回復が続き、実質GDP(1-12月)は前期比で7.0%の増加となりました。また、世界的なエネルギーや食料品価格の上昇などにより、インフレ率は前期比で13.9%の上昇と高止まりしております。

キルギスコメルツ銀行は、ロシア・ウクライナ情勢を背景に、貸出業務では既存顧客のサポートに注力し、慎重に融資を行いました。預金業務では、預金残高の維持のために預金金利を引き上げました。また、ロシアの各大手銀行に対する制裁を受けて、外貨取引、コロレス口座ネットワーク、海外送金などの決済業務の見直しを行い、非金利収入を増加させることができました。一方で、高止まりしているインフレ率や不透明な国際情勢を背景に、資金調達コストや預金コスト、人件費等の経費が増加しておりますが、最終損益は黒字を維持しております。

今後につきましては、ロシア・ウクライナ情勢を背景にキルギス経済の先行きが不透明な状況となっております。このような環境の中、キルギスコメルツ銀行は、リスク管理とコンプライアンス体制を強化し、安定した預金基盤の構築と顧客のニーズに応える融資商品の提供に注力するとともに、引き続き中小企業融資とリテール事業に特化し、カード業務とオンライン決済業務の強化、非金利収入の割合の拡大を図ります。

 

ソリッド銀行(本店所在地:ロシア連邦)

ロシア経済につきましては、ウクライナ侵攻による幅広い経済制裁を受けている影響から実質GDP(1-12月)は前期比で2.1%の減少となり、各種経済制裁などの影響からインフレ率は前期比で12.2%の上昇となりました。インフレ率は前期比では大きく上昇しておりますが、前月比などの直近では落ち着いており、通貨ルーブル相場も安定しているため、ロシア中央銀行は景気下押し圧力を緩和するため政策金利の引き下げを実施しております。

このような環境の中、ソリッド銀行につきましては、預金残高の維持と預金コストの削減に注力しました。また、新規顧客への融資を慎重に行い、銀行保証や外為取引などの非金利収入の拡大にも注力いたしました。一方で、ロシア大手銀行や企業に対する制裁を受け、国際業務の見直しを行いました。

今後につきましては、ロシア・ウクライナ情勢に起因する幅広い経済制裁を背景に、ロシア経済の先行きについては依然として厳しい状況が続くと予想されます。このため、現地通貨ルーブルの為替動向、原油価格の推移、経済制裁及び国際情勢の緊迫化等の様々な要因により、ソリッド銀行の業績に影響を与える可能性がありますが、今後もソリッド銀行は優良企業への貸出増加、預金コストの削減等に注力するとともに、新たなビジネスに取り組み収益拡大を図ってまいります。

 

b) リユース事業

株式会社STAYGOLDの業績は、当第4四半期連結会計期間より連結されます。

当第4四半期連結会計期間では、事業拡大に伴い販管費が増加している一方で売上が伸びなかったこと、のれんや無形固定資産の償却が多額に計上されていることなどから営業損失となっております。

なお、当第4四半期連結会計期間の営業収益は32億2百万円、営業損失は2億76百万円となりました。また、株式会社STAYGOLDは2月決算のため、2ヶ月間のみの連結となっております。

 

c) 債権管理回収関連事業

債権管理回収関連事業であるエイチ・エス債権回収株式会社は、株式譲渡により連結の範囲から除外されております。

なお、第2四半期連結累計期間の営業収益は16億11百万円、営業利益は3億37百万円となりました。(第2四半期までの連結となるため、前期比較は記載しておりません。)

 

d) その他事業

当社(単体)の他、他のセグメントに分類されていない連結子会社及び持分法適用関連会社は、その他事業に分類しております。なお、持分法適用関連会社の業績は、持分法による投資損益に反映されます。

当社(単体)の営業収益は主に関係会社からの配当金及び経営管理料で構成され、当連結会計年度においては、子会社からの配当金の減少や販管費の増加により減収減益となりました。なお、子会社からの受取配当金は、連結上は相殺消去されるため連結業績には影響を与えません。

その他事業の当連結会計年度の営業収益は86億6百万円(前期比12億94百万円減)、営業利益は73億34百万円(前期比21億1百万円減)となりました。

 

e) 持分法による投資損益

持分法適用関連会社であるソリッド銀行の業績は、持分法による投資損益に反映されます。また、株式会社STAYGOLDの業績については、第3四半期連結会計期間においては持分法による投資損益に反映されます。株式会社外為どっとコムは、持分法の範囲から除外されておりますが、売却実行時までの業績は持分法による投資損益に反映されます。

ソリッド銀行につきましては、法人貸出の金利収入や外貨取引の非金利収入の増加により増収増益となっておりますが、外為どっとコムの持分法からの除外やSTAYGOLDに関するのれんの償却等が影響し、持分法による投資利益は前期比で減少となりました。

結果として、当連結会計年度の持分法による投資利益は7億58百万円(前期比4億13百万円減)となりました。

 

② 財政状態の状況
(資産)

当連結会計年度末の資産合計につきましては、6,217億27百万円となり、前期比442億77百万円増加しました。

これは主に、「現金及び預金」が615億56百万円、「貸出金」が234億円増加し、一方で「有価証券」が392億7百万円減少したことによるものであります。

主な増減要因は、「貸出金」はハーン銀行から顧客への貸出金の増加、「現金及び預金」及び「有価証券」はハーン銀行における資金運用に伴う増減によるものであります。

 

(負債)

当連結会計年度末の負債合計につきましては、5,403億15百万円となり、前期比372億93百万円増加しました。

これは主に、「預金」が210億35百万円、「1年内返済予定の長期借入金」が109億93百万円、「長期借入金」が56億60百万円増加したことによるものであります。

主な増減要因は、「預金」はハーン銀行が顧客から預かる預金の増加、「1年内返済予定の長期借入金」及び「長期借入金」はハーン銀行における長期借入金の増加によるものであります。

 

(純資産)

当連結会計年度末の純資産合計につきましては、814億11百万円となり、前期比69億84百万円増加しました。

これは主に、「利益剰余金」が110億60百万円増加し、一方で「資本剰余金」が21億93百万円、「為替換算調整勘定」が11億51百万円減少したことによるものであります。なお、資本剰余金の減少は株式会社STAYGOLDの株式追加取得における持分変動による差額であります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、1,860億57百万円(前期比50億13百万円減)となりました。なお、当連結会計年度においては、営業活動および財務活動によるキャッシュ・フローは資金増加となりましたが、一方で、投資活動によるキャッシュ・フローは資金減少となりました。これは、主にハーン銀行が営業活動および財務活動により得た資金を投資活動に充てた結果であります。

また、現金及び現金同等物に係る換算差額の影響により、当連結会計年度末の現金及び現金同等物残高は前期比で減少しております。なお、現金及び現金同等物に係る換算差額は、主に、在外子会社の現金及び現金同等物の換算手続の結果生じた円貨による差額であります。

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、185億5百万円の資金増加(前期は47億85百万円の資金減少)となりました。

これは主に、「税金等調整前当期純利益」309億63百万円、「預金の純増減(△)」432億24百万円の資金が増加した一方、「貸出金の純増(△)減」395億26百万円、「売現先勘定の純増減(△)」80億88百万円、「法人税等の支払額」74億23百万円の資金が減少したことによるものであります。

主な増減要因は、ハーン銀行が顧客から預かる預金の増加、ハーン銀行から顧客への貸出金の増加、ハーン銀行における売現先取引により発生した金銭債務の減少、主に当社及びハーン銀行が支払った法人税等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、179億38百万円の資金減少(前期比102億82百万円減)となりました。

これは主に、「投資有価証券の売却及び償還による収入」76億90百万円、「関係会社株式の売却による収入」129億円の資金が増加した一方、「投資有価証券の取得による支出」320億34百万円、「関係会社株式の取得による支出」66億42百万円の資金が減少したことによるものであります。

主な増減要因は、当社における関係会社株式の売却または取得、ハーン銀行における投資有価証券の売却及び償還または取得によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、25億78百万円の資金増加(前期は17億19百万円の資金減少)となりました。

これは主に、「長期借入による収入」419億78百万円の資金が増加した一方、「長期借入金の返済による支出」276億59百万円、「非支配株主への配当金の支払額」69億9百万円、「連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の追加取得による支出」65億円の資金が減少したことによるものであります。

主な増減要因は、ハーン銀行における長期借入金の借入または返済、ハーン銀行における非支配株主持分への配当金の支払い、株式会社STAYGOLDの株式追加取得によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

該当事項はありません。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、営業収益は776億98百万円(前期比161億31百万円増)、経常利益は256億93百万円(前期比78億80百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益は113億72百万円(前期比48億27百万円増)となりました。

引き続きハーン銀行の業績が好調なため増収増益となりましたが、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、ハーン銀行の業績は当社グループの経営成績の主たる割合を占めており、その業績の変動が当社グループに重要な影響を及ぼすことになります。また、当社グループには海外の関係会社が複数存在するため、海外の経済情勢や政治情勢から影響を受けております。さらに、国内の関係会社においても、国内の景気動向、金利や為替等の市況環境に影響を受けるため、当社グループの経営成績が変動する要因となります。

昨年度より継続的にお知らせしておりましたとおり、ハーン銀行は2023年4月13日よりモンゴル証券取引所への新株発行によるIPOを開始し、この結果、当社が保有するハーン銀行株式の持分比率は過半数を下回り、持分法適用関連会社となりました。これにより、来期2024年3月期第2四半期以降、営業収益および営業利益は大幅な減収減益となる見込みです。さらには、2023年12月末までに当社のハーン銀行株式保有比率を20%以下に引き下げる必要があり、これにより持分法による投資利益も減少していく見込みとなっております。

経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、資本の効率性を示すROE(株主資本当期純利益率)を連結ベースで10%以上を安定的に維持していくことを中期的な経営目標としておりますが、当連結会計年度においては主に銀行関連事業の大幅な増収増益により20.3%となりました。

 

セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

a) 銀行関連事業

銀行関連事業の当連結会計年度における営業収益は728億81百万円(前期比177億18百万円増)、営業利益は249億52百万円(前期比99億3百万円増)となりました。

 

ハーン銀行においては、現地通貨ベースでの資金運用収益や当期純利益は前期比で大幅な増収増益となり、融資残高や預金残高も前期比で増加しました。

ハーン銀行の業績は、モンゴル国において、10兆トゥグルグ規模の景気対策が実施されたことなどが引き続き影響し大幅な増収増益となっております。ハーン銀行の業績に影響を与えた景気対策の主な内容としては、低金利融資や普通預金と当座預金の金利免除などがあります。低金利融資により法人向け融資や住宅ローンなどの個人向け融資、ひいては資金運用収益が増加し、また、預金金利の免除や期中に預金残高が減少傾向にあったことなどにより資金調達費用が大幅に減少しました。

モンゴル国内においては、新型コロナウイルス感染症はほぼ収束しており、中国の感染防止策の緩和を受け、中国向けを主とする輸出が好調に推移しており、モンゴル経済は今後も成長を維持していくと思われます。一方で、財政の悪化やインフレ率の高止まりなど不安要素も存在します。

ハーン銀行は国の景気対策に協力する形で、低金利の融資や融資の返済猶予等を実施しております。このため、来期以降、この信用リスクが顕在化し、貸倒引当金繰入額が増加する可能性もあります。さらには、普通預金と当座預金に対する金利免除の施策が2022年12月に終了しているため、来期以降、資金調達費用が増加し、ハーン銀行の業績に影響を与えると考えられます。

今後も、ハーン銀行ではお客様満足度の向上のため、顧客のセグメンテーションを推進し、お客様それぞれに合ったサービスの提供に努めてまいります。顧客の利便性を図るため、パソコンやスマートフォンからのインターネット取引を推進しており、支店における取引の8割程度がデジタルバンキングでの取引となっております。また、本社ビルを新築し、窓口業務と本社機能の効率化を図っております。今後、ハーン銀行は個人向け・法人向け融資に注力しつつ、カード事業やデジタルバンキングサービス等を含めた手数料収入の増加にも注力いたします。

 

キルギスコメルツ銀行においては、融資残高の増加により金利収入は増加しましたが、キルギス国の金融引き締め政策の影響から預金コストが増加した結果、純金利収入は減少しました。一方で、デジタルバンキングやカード事業の推進による手数料収入が増加、外為取引による非金利収入が大幅に増加しております。以上の結果、今期においても増収増益を達成しておりますが、ロシアウクライナ問題を受け、リスク回避のため融資の実行には慎重な姿勢を続けており、そのため金利収入が伸び悩んでいるため、どのように融資を増加させていくかが今後の課題となっております。

キルギス国内では、銀行は飽和状態であることから、サービス面を改善することで他社との差別化を図り、収益の獲得に努めてまいります。新決済システムの導入によるデジタルバンキングの推進、キルギス国内唯一のクレジットカードのプロセシングセンターを設立するなど、キルギスにおける「最も便利で信頼できる先進的な銀行」に成長することを目指し、銀行業務だけでなく幅広い金融サービスの展開に向けて、個人向けのカード事業とオンラインサービスを強化しております。

 

ソリッド銀行においては、法人向けを中心とした融資残高の増加、外為取引による非金利収入の増加により増収増益となっております。ソリッド銀行は、現在のところ、ロシアウクライナ問題による業績への影響はなく、預金残高・融資残高も増加しており増収増益を続けておりますが、ロシアは依然としてウクライナ問題に起因する幅広い経済制裁を受けており、今後のロシア経済の悪化がソリッド銀行の業績にも影響を与える可能性があります。ロシア経済はインドや中国などの新興大国との繋がりを強めており、そのような環境の変化がソリッド銀行にどのような影響を与えるか注視している状況であります。

そのような環境のなかで、ソリッド銀行は貸出業務の改善と強化を図り、融資審査体制を本部に集中化させ、リスク管理を大幅に厳格化するとともに、組織の再構築や継続的なコスト削減等を実行しております。さらに、非金利収入の増加に向けたサービスの拡大に取り組み、ロシア極東地域における存在感のある銀行を目指してまいります。

 

b) リユース事業

株式会社STAYGOLDの業績については、第3四半期連結会計期間において持分法による投資損益に反映され、第4四半期連結会計期間より連結されております。

近年、リユース市場は、循環型社会への促進を受けて成長を続けており、スマホの普及によるフリマアプリの拡大・浸透は市場を活性化させ、現代のサステナビリティの風潮も追い風となり、人口減少時代に突入した我が国においても引き続き成長が見込める市場となっております。STAYGOLDは、中古品をメインとした宝石・貴金属、時計、バッグ、衣料、シルバーアクセサリー、スニーカー等の買取・仕入・販売・仲介及びオークション運営を行っております。

第4四半期連結会計期間のリユース事業の業績は、事業拡大に伴い販管費が増加している一方で売上が想定より伸びなかったこと、のれんや無形固定資産の償却が多額に計上されていることなどから営業損失となっておりますが、足元の業績は好調であり、今後も、積極的な新規出店等を行うとともに買取チャネルの拡大を継続することにより個人のお客様からの買取りを強化するほか、様々な営業施策を実施してまいります。

なお、第4四半期連結会計期間における営業収益は32億2百万円、営業損失は2億76百万円となりました。

 

c) 債権管理回収関連事業

債権管理回収関連事業であるエイチ・エス債権回収株式会社は、株式譲渡により連結の範囲から除外されております。

なお、第2四半期連結累計期間の営業収益は16億11百万円、営業利益は3億37百万円となりました。

 

d) その他事業

その他事業の当連結会計年度における営業収益は86億6百万円(前期比12億94百万円減)、営業利益は73億34百万円(前期比21億1百万円減)となりました。

当社単体においては、グループ各社における適切な会社運営に加え、グループ間でのシナジー効果を高めるべく適切な管理や助言を行っております。当社単体の営業収益は、主に関係会社からの配当金で構成されており、当連結会計年度においては、子会社からの配当金の減少や販管費の増加により減収減益となりました。投資事業については、国内における独自性や特長のある事業のみならず、国外における将来性のある国や地域での事業に対しても積極的な投資を展開し、今後もグループの拡大に向け、更なる発展を続けてまいります。

 

e) 持分法による投資損益

当連結会計年度における持分法による投資利益は7億58百万円(前期比4億13百万円減)となりました。

ソリッド銀行につきましては、前述のとおり、法人貸出の増加による金利収入の増加や外為取引による非金利収入の増加により増収増益となっておりますが、外為どっとコムの持分法からの除外やSTAYGOLDに関するのれんの償却等が影響し、持分法による投資利益は前期比で減少となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a) キャッシュ・フロー

「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

b) 資本の財源及び資金の流動性

当社グループにおける資金需要のうち主なものは、顧客への貸出金、人件費や不動産賃借料等の販売費及び一般管理費によるものであります。設備投資を目的とした資金需要は、デジタルバンキングサービスなどの情報システムの構築、ATM増設及び支店開設、改築等によるものであります。

また、当社グループにおける必要な運転資金、投資資金及び融資資金は、自己資金、金融機関からの借入、顧客からの預り金により調達しております。当連結会計年度末における主な有利子負債残高は、長期借入金(1年内含む)774億96百万円、短期借入金12百万円となっております。また、現金及び現金同等物の残高は1,860億57百万円となっております。主な借入先として、ハーン銀行においてモンゴル中央銀行から247億59百万円、オランダ開発金融公庫から196億36百万円、Blue Orchardから57億10百万円、欧州復興開発銀行からから45億92百万円、ResponsAbilityAGから34億13百万円となっております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、当連結会計年度末における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に影響を与えるような見積り及び予測が必要となります。当社グループは、過去の実績値や状況に応じて、合理的かつ妥当な判断により、見積り及び予測を行っておりますが、当該見積り及び予測については、不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。

なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。