売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率

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最終更新:

E05242 Japan GAAP

売上高

165.0億 円

前期

133.6億 円

前期比

123.5%

時価総額

674.8億 円

株価

1,610 (07/26)

発行済株式数

41,915,480

EPS(実績)

155.53 円

PER(実績)

10.35 倍

平均給与

1,475.9万 円

前期

1,356.0万 円

前期比

108.8%

平均年齢(勤続年数)

51.4歳(10.0年)

従業員数

30人(連結:186人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

 (1) 事業の内容について

ⅰ.当社グループの事業の概要について

 当社グループは、スパークス・グループ株式会社を持株会社として、日本及び海外子会社で構成される、資産運用業(投資顧問業・投資信託委託業)を中核業務とする企業集団であります。

 当社グループが提供する資産運用業は主として、スパークス・アセット・マネジメント株式会社による日本株式、再生可能エネルギー発電事業(発電事業等の開発段階から運転開始までのフェーズにおける投資)、未公開株式などを投資対象とした調査・運用のほか、スパークス・アセット・トラスト&マネジメント株式会社による不動産及び再生可能エネルギー発電事業(発電事業等の運転開始後の安定稼動フェーズ)などを投資対象とした調査・運用、SPARX Asset Management Korea Co., Ltd.による韓国株式を投資対象とした調査・運用及びケイマン諸島籍のSPARX Asia Capital Management Limitedの100%子会社であり、香港を主要拠点とするSPARX Asia Investment Advisors Limitedによるアジア株式を投資対象とした調査・運用から成っております。

 

ⅱ.資産運用業の仕組みについて

 投資顧問業とは、株式、債券などの有価証券に対する投資判断(有価証券の種類、銘柄、数、価格、売買時期などの判断)について、報酬を得て専門的立場から、投資家に助言を行う業務です。投資顧問業はさらに、「投資助言業務」と「投資一任業務」に大別されます。このうち投資助言業務は投資家との間で「投資顧問契約」を結び、その契約内容にしたがって投資助言のみを行う業務です。この場合、実際の投資判断と有価証券の売買・発注は投資家自身で行うこととなります。一方、投資一任業務は、投資家と「投資一任契約」を締結し、顧客から投資判断の全部又は一部と売買・発注などの投資に必要な権限を委任される業務です。投資一任契約の場合、どの有価証券への投資を通じて投資家の資産を運用するかという投資判断と実際の売買発注までを投資顧問会社が行います。

 

投資助言業務の仕組み

 

※画像省略しています。

投資一任業務の仕組み

※画像省略しています。

  他方、投資信託委託業とは、業として委託者指図型の投資信託の委託者となることであります。運用の専門家である投資信託委託業者(委託者)として、投資信託への投資として投資家(受益者)から集めた資金を一つにまとめ有価証券に分散投資し、その成果(運用損益)を投資家に配分することを業務としております。

投資信託(契約型)の仕組み

※画像省略しています。

 

 (注)投資信託には契約型と会社型があります。このうち、わが国の主流は契約型でありますので、上記では契約型の仕組みを記載しております。

ⅲ.当社グループの提供する投資戦略の変遷について

 当社は、1989年7月1日の業務開始以来、独立系の投資顧問会社として日本株を中心に企業への個別訪問によるボトムアップ・アプローチを軸に、店頭登録企業を主体とする中小型株への投資に専門性を持った投資顧問会社として創業し、独創的な資産運用を行ってまいりました。

 日本経済に大規模な構造変革が起きることを想定し、その変革の担い手は大企業ではなく、店頭登録企業に代表される新興の成長企業、中でも経営者が自社のマネジメントに哲学をもつオーナー企業であるとの確信に基づき、そのような企業を対象とする運用に特化いたしました。その結果、創業時より必然的に採用された運用調査手法が、会社訪問による企業調査を中心にした「ボトムアップ・アプローチ」です。当社の調査対象である企業の分析は公開情報を机上で検証するのみでは十分とは言えません。投資対象企業に直接赴き、企業経営者の「生の声」を聞くことを通じて確認できる経営哲学、企業の現場でのみ体感できる成長企業の胎動を確認することで単なる文字や数字の羅列に過ぎない公開情報の奥に潜む真の企業像を浮き彫りにすることができると考えているからです。
 この「ボトムアップ・アプローチ」に基づく個別企業訪問では主に「企業収益の質」「市場成長性」「経営戦略」を丹念に調査し、事業リスクなどを勘案したうえで将来の収益及びキャッシュ・フローの予測を行い、企業の実態面から見た株式価値を計測します。この企業実態から見た株式価値と日々の株価との間に存在する乖離(バリュー・ギャップ)を投資機会として捉えます。これに独自の調査や投資仮説に基づき把握したバリュー・ギャップ解消のカタリスト(きっかけ・要因)を加味して投資判断を下しています。

 

 1990年代の日本の株式市場では、市場における「勝ち組企業」と「負け組企業」の評価が明確化するとともに、大企業においても事業の再構築の進展度合いにより、市場の評価の二極化が進展しました。この結果、業種間の評価格差や同一業種内での株価の二極化が急速に進展し始めました。この様な市場の変化に的確に対応するために、1997年6月よりロング・ショート運用を開始いたしました。また同年、世界各国のヘッジ・ファンドを投資対象としたファンド・オブ・ファンズ運用も開始いたしました。

 

 1999年からは、TOPIXをベンチマークとする年金基金の運用を開始し、国内大手証券会社のラップ口座の運用を受託いたしました。また、投資対象銘柄数を絞り込んだ集中投資型のファンドも同年運用を開始しております。加えて、2000年3月の投資信託委託業の認可取得後は国内公募投資信託、国内私募投資信託の運用を開始し、さらに2000年4月より国内の未公開企業を投資対象とした運用も開始いたしました。
 2003年1月からは、企業統治(コーポレート・ガバナンス)を基軸とした日本企業の価値の拡大を促す投資ファンドの運用を開始いたしました。この投資では、投資対象企業を絞り込むことで一社当たりの持ち株比率を大きくし、投資先の企業の経営者と建設的な意見交換や議論を行い、十分な理解を得た上で、株主、従業員、その他利害関係者の利益のために、企業価値向上のための諸施策を求めてまいりました。この投資を行うに当たっても、投資先企業の選定方法は、当社が永年に渡り培ってきた「ボトムアップ・アプローチ」であることには変わりありません。これは、企業価値の本質を深く調査する従来のリサーチを進める過程でコーポレート・ガバナンスの観点から効率的な経営に転換できる企業を発掘することが可能であると判断しているためであります。

 

 その後は、世界中の投資家の皆様にアジアの投資インテリジェンスを提供する最強のブランドを構築すべく、「Center for Asia Investment Intelligence」の旗印を掲げ、アジア経済の発展を享受すべくアジア地域での業務拡大を積極的に行ってまいりました。具体的には、2005年2月に韓国の資産運用会社 旧Cosmo Investment Management Co.,Ltd.(現、SPARX Korea社)の株式の過半数を取得し、韓国株式の調査・運用拠点をグループ内に持つことといたしました。さらに2006年6月に、日本を除くアジア地域で最大規模のオルタナティブ運用資産を保有する旧PMA Capital Management Limited(現 SPARX Asia社)の全株式を取得し、SPARXグループが培ってきた運用手法・ノウハウをグループ全体で共有しつつ、経営資源を配分しております。

 

 2012年からは、世界的な低金利と資金余剰を背景に、安定的なインカム・ゲインが期待できる投資に、国内外からの強い関心が寄せられていることから、2012年9月にSPARX Asia Capital Management Limitedにおいて、海外の機関投資家を対象に日本の居住用不動産を投資対象としたファンドを設定いたしました。更に2014年4月に全株式を取得したSATM社における不動産投資のノウハウを活かし、住宅、オフィスビル、倉庫、商業施設のみならず、ヘルスケア関連施設等への投資も開始いたしました。

 また、2012年6月に東京都の官民連携インフラファンドの運用事業者に指名され、太陽光を中心とする再生可能エネルギー発電事業を投資対象とする投資事業組合を組成し、その具体的な運用を開始いたしました。現在では複数のファンドからの投資実績が着実に積み上がっております。また、これまで提供してきた発電事業等の開発段階から運転開始までのフェーズにおける投資(グリーン・フィールド投資)に加えて、運転開始後のフェーズにおける投資(ブラウン・フィールド投資)にフォーカスした、長期的に安定したキャッシュ・フローを源泉としたファンドを設立し、運用を開始しております。

 2015年11月に新たな取り組みとして、次世代の成長に資する投資を長期的な視点から実践し、投資会社として未来を創造する新たな領域を開拓するため、トヨタ自動車様及び三井住友銀行様と未来創生ファンドを設立し、国内外のベンチャー企業への投資を着実に実行しております。また、2020年に宇宙企業に投資を行う宇宙フロンティアファンド、日本における高い技術・技能を維持しモノづくりの力を今後も発展させていくために、優れた技術・人材・サービスを有する国内のモノづくり企業に投資する日本モノづくり未来ファンドを設立しております。

 上記の投資戦略に加えて、AIの利用が前提となった新しい時代の成長領域は、エネルギー、医療・介護、そして量子コンピュータなどの領域と考えており、次のスパークスのビジネスの柱にしようと考えております。量子コンピュータ分野への投資は、東北大学及び量子アニーリングコンピュータの世界的権威である大関真之教授からのご理解を得て、この分野に特化した株式会社シグマアイに2019年4月に設立と同時に出資し、参画しております。2023年には、量子アニーリング技術の早期実用化のため、株式保有持分の一部を株式会社SCREENホールディングスに譲渡しております。医療介護については、医療法人社団五葉会の社員持分を2020年4月に取得し、2021年には介護分野への投資も開始いたしました。2023年には持分の売却を行い、投資有価証券売却益として約11億円を計上しております。

 

 今後も市場ニーズに応えた多様な商品を提供するとともに、バランスの取れた事業構造を確立してまいります。

 

  (事業系統図)

   当社グループの主要な取引の概略を以下に図示いたします。

 

※画像省略しています。

 

24/06/24

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

業績等の概要

(1)業績

 当連結会計年度の日本株式市場は、1989年12月以来の最高値を更新し歴史的な転換点となりました。年度初めは軟調な米国経済指標が相次ぎ、景気後退懸念が高まったことから下落して始まりましたが、その後日銀総裁の金融緩和維持を支持する発言や、米国著名投資家の日本株追加投資を巡る思惑から上昇に転じ、5月には海外投資家による資金流入が続き、TOPIXと日経平均株価ともに高値を更新しました。さらに東京証券取引所の市場改革への期待の高まりから堅調に推移いたしました。大手格付会社による米国債の格下げを背景とする米国株安の流れ、中国の軟調な経済指標(消費者物価指数など)や中国不動産開発大手の米国破産法適用の申請などが嫌気された場面では日本株式市場も下げの影響を受け、また中東情勢の緊迫化による乱高下などにも見舞われましたが、11月には再度日経平均株価は上昇し、堅調な水準での推移となりました。年明け以降は、日本株が再評価され、日本株式市場は海外投資家主導もあり急速に上昇いたしました。当連結会計年度末にかけては日銀が金融政策決定会合でマイナス金利政策の解除や長短金利操作の撤廃、上場投資信託(ETF)の買い入れ終了などを決定したものの、当面は緩和的な金融環境が継続するとの見通しが示されたことなどを受けて、日経平均株価は前期末に比べ44.0%と大幅に上昇し40,369.44円で取引を終えました。

 このような市場環境のもと、当社グループの当連結会計年度末運用資産残高は、1兆8,893億円(注1)と前期末に比して25.9%増加しました。上記の結果、当連結会計年度における残高報酬(注2)は前期比12.0%増の142億58百万円となりました。成功報酬(注3)は、前期比463.8%増の20億54百万円となり、営業収益は前期比23.5%増の164億98百万円となりました。

 営業費用及び一般管理費は、前期比17.8%増の90億22百万円となりました。これは主に事務委託費が減少した一方で、公募投信の運用資産残高増加に伴う支払手数料の増加及び人件費の増加によるものです。これらの結果、営業利益は前期比31.1%増の74億76百万円、経常利益は前期比28.6%増の80億90百万円となりました。また、投資有価証券売却益を13億35百万円計上し、法人税等を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比44.2%増の65億19百万円となりました。

 なお、事業の持続的かつ安定的な基盤となる収益力を示す指標である基礎収益(注4)は、経常的経費の増加はあるものの、それを上回る残高報酬の増加により、前期比5.7%増の63億48百万円(前期は60億5百万円)となり、過去最高値を更新いたしました。

 

(注1)当連結会計年度末(2024年3月末)運用資産残高は速報値であります。

(注2)残高報酬には、日本再生可能エネルギー投資戦略に関連する発電所等の管理報酬を含んでおります。

(注3)成功報酬には、株式運用実績から発生する報酬の他に、日本再生可能エネルギー投資戦略に関連する発電所スキームの組成の対価等として受ける一時的な報酬(アクイジションフィー)及び再生可能エネルギーファンドが投資する合同会社の匿名組合出資持分を売却して譲渡益が発生する場合に受領する報酬等を含んでおります。

(注4)基礎収益とは、経常的に発生する残高報酬(手数料控除後)の金額から経常的経費を差し引いた金額であり、当社グループの最も重要な経営指標のひとつであります。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ38百万円増加し、当連結会計年度末は220億66百万円(前期比0.2%増)となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主たる要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは59億94百万円の収入(前期は31億5百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益93億33百万円、法人税等の支払額18億64百万円の計上等があったことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは31億26百万円の支出(前期は20億1百万円の収入)となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出41億42百万円、投資有価証券の売却及び償還による収入13億82百万円、無形固定資産の取得による支出12億23百万円の計上等があったことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは32億92百万円の支出(前期は24億8百万円の支出)となりました。これは主に配当金の支払い24億43百万円、自己株式の取得による支出17億1百万円、自己株式の処分による収入12億15百万円の計上等があったことによるものです。

 

 

営業の実績

 (1)営業収益の実績

当社グループの連結営業収益の項目別内訳は以下のとおりです。

項目

前連結会計年度(2023年3月期)

当連結会計年度(2024年3月期)

金額
(百万円)

構成比(%)

金額
(百万円)

構成比(%)

残高報酬

12,735

95.3%

14,258

86.4%

成功報酬(注)

364

2.7%

2,054

12.5%

その他

260

2.0%

186

1.1%

営業収益合計

13,360

100.0%

16,498

100.0%

(注)成功報酬には、上場株式投資戦略1,716百万円(前期は211百万円)、再生可能エネルギー投資戦略からのアクイジションフィー75百万円(前期は114百万円)、再生可能エネルギーファンドが、投資対象である発電所を売却して譲渡益が発生する場合に受領する報酬247百万円、その他にかかる報酬13百万円が含まれております。


・残高報酬
 残高報酬料率(ネット・ベース)の推移は以下のとおりです。

区分

前連結会計年度

(2023年3月期)

当連結会計年度

(2024年3月期)

当社グループ残高報酬料率
(ネット・ベース)

0.73%

0.70%

(注) 残高報酬料率(ネット・ベース)=(残高報酬-残高報酬に係る支払手数料)÷ 期中平均運用資産残高
 
・成功報酬
(株式運用ファンド関連)

 成功報酬は、単純なケースでは過去のファンド計算期間末日の「一口当たり純資産価額」=「Net Asset Value Per Share」(以下、「NAVPS」と言います。)の最高値を、今ファンド計算期間末日のNAVPSと比較して、今ファンド計算期間末日のNAVPSの方が高かった場合に、値上がり部分に一定料率をかけて計算します(これを「ハイ・ウォーター・マーク方式」といいます)。

 また、契約によっては、ベンチマークを一定以上上回った部分に一定料率をかけて計算するものもあります。

(再生可能エネルギーファンド関連)

 事業計画を策定、工事業者の選定・管理、固定価格買取制度の認定手続き、資金調達など、一連の発電所開発プロセスが成就した場合に、プロジェクトコストに一定料率を乗じた成功報酬(アクイジションフィー)を受領する場合があります。

 また、当社子会社が運用する再生可能エネルギーファンド(グリーン・フィールド投資ファンド(*))が投資対象である発電所を売却して譲渡益が発生する場合には、その売却益に一定料率を乗じた成功報酬を受領する場合があります。

 なお、この売却に際しては、上記とは別の当社子会社が運営する再生可能エネルギーファンド(ブラウン・フィールド投資ファンド(*))も売却先候補となりますが、その場合であっても、双方のファンドを運用する両子会社は、それぞれ適切な利益相反管理のもとで独立した意思決定を行っており、双方のファンドの投資家にとって、それぞれが最良の条件で譲渡取引を執行しております。譲渡価格の決定に際して外部評価機関の評価を利用しております。

(*)グリーン・フィールド投資ファンドとは、発電所の開発段階から運転開始までのフェーズに投資するファンドであります。また、ブラウン・フィールド投資ファンドとは、発電所の運転開始後のフェーズに投資するファンドであります。

絶対リターン追求型の運用に多いハイ・ウォーター・マーク(HWM)方式の成功報酬の仕組み

※画像省略しています。

(注)1.上記の図は成功報酬の仕組みを簡便に説明したもので、実際の成功報酬の体系及びファンドの基準価格の
     計算方法を厳密に説明しているものではありません。
(注)2.上記では、説明の都合上、成功報酬の料率を便宜的に20%として計算しております。

 

(2)運用資産残高の実績

 以下の表は、当社グループの当期の運用資産残高の実績を示したものです。なお、日本円建て以外の運用資産残高を日本円に換算する際には、それぞれの時点における月末為替レートを用いております。

 当社グループは、市場に影響されない安定的な投資戦略と収益性の高い投資戦略によるハイブリッドのビジネスモデルを強化・拡大して成長することを目指しており、現在「日本株式」、「OneAsia」、「実物資産」及び「プライベート・エクイティ」の投資戦略を4本の柱としております。


 ① 投資戦略別の四半期運用資産残高の推移                        (単位:億円)

投資戦略

2023年6月

2023年9月

2023年12月

2024年3月

日本株式

10,718

10,891

10,936

13,131

OneAsia

1,083

1,050

1,103

1,262

実物資産

2,697

2,730

2,855

2,855

プライベート・エクイティ

1,994

1,740

1,681

1,643

合計

16,493

16,412

16,576

18,893

(注) 1.金額は、時価純資産額であり、表示単位未満を切り捨てて表示しております。

   2.2024年3月末運用資産残高は速報値となっております。

 

   ② 平均運用資産残高                                  (単位:億円)

 

2023年3月期

連結会計年度

2024年3月期

連結会計年度

当社グループ合計

15,126

16,743

(注) 1.各期の月末運用資産残高の単純平均であります。

2.金額は、時価純資産額であり、表示単位未満を切り捨てて表示しております。

3.2024年3月末運用資産残高は速報値となっております。

 

   ③ 成功報酬付運用資産残高及び比率

会社名

 

2023年3月

2024年3月

当社グループ合計

残高(億円)

5,691

6,673

比率(%)

37.9

35.3

(注) 1.金額は、時価純資産額であり、表示単位未満を切り捨てて表示しております。

   2. 2024年3月末運用資産残高は速報値となっております。

 

経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1) 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、後述の「第5経理の状況」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」をご参照ください。

 

(2)当連結会計年度の経営成績の分析

当年度のグループ運用資産残高(AUM)は前年度末比25.9%増加して、1兆8,893億円(注1)となり、AUMが増加したことで残高報酬は前年度比15億22百万円増加し、142億58百万円となりました。残高報酬の増加により、また適切にコストコントロールを続けた結果、安定的に稼ぐ力である基礎収益(注2)は過去最高を更新し、スパークスを支える土台は着実に強くなっております。さらに成功報酬が増加したため営業利益は増加し、加えて、新しい投資戦略等へのシード投資の役割を終えた投資有価証券を精査し、売却したことで最終利益の大幅な増益をもたらしております。

 

 日本株式を投資対象とする運用戦略は1兆3,131億円と大きく増加いたしました。米国著名投資家による日本株の追加投資や政府の政策など、日本株に対する期待が高まったことで、日本株の投資魅力は世界的に大きくクローズアップされ、その結果、日本の株式市場は大幅に上昇いたしました。海外投資家の要望に応え、資金を運用することはスパークスの強みであり、追加で資金を受託する動きも具体化してきております。このような動きを捉え、運用資産残高増加の飛躍のエンジンにしたいと考えております。

 アジア株式を投資対象とするOneAsia運用戦略は、良好なファンド・パフォーマンスもあり、運用資産残高は1,262億円に増加いたしました。東京・香港・韓国のファンドマネジャーがアジア企業への調査などを共同で行うなど、投資アイディアを共有することで良好なファンド・パフォーマンスを実現させております。引き続き当社グループが注力しなければならない最も重要な戦略の一つと考えており、新たに旗艦ファンドを立ち上げました。日本株式の運用で培ってきた投資力でこのファンドを大きく成長させ、「アジア株もスパークス」とのSPARXブランドを幅広く認知いただくよう努めております。

 再生可能エネルギー発電事業のインフラ資産や不動産を投資対象とする実物資産の運用戦略は、全国の発電施設への投資を実行しており、再生可能エネルギー投資戦略の運用資産残高は2,855億円の規模となっております。太陽光に加え、風力・バイオマス発電所も運営させておりますが、これに加え安定稼働した太陽光発電所を外部から積極的に取得し、運用資産残高を増加させております。また、グリーン水素の製造設備の実証事業や蓄電池ファンドの設立を具体的な形にしてきており、今後も引き続き再生可能エネルギーファンドのパイオニアとして皆様のご期待にお応えするべく、魅力的な投資商品の提供を行ってまいります。

 プライベート・エクイティ投資戦略は、次世代の企業の成長に資する投資を長期的な視点から実践し、投資会社として未来を創造する新たな領域を開拓するため設立した未来創生ファンドを中心に当該運用戦略のAUMは1,643億円となっております。IPO等のイグジット案件も出ており、これまでの投資の成果が、具体的に投資家の皆様へのリターンとして実現してきております。これらのファンドについても質の高い投資を着実に実行し、投資実績を積み上げ、革新的な技術やビジネスモデルで世界をリードする企業を発掘・育成することで未来社会に貢献することを引き続き目指してまいります。加えて、日本モノづくり未来ファンドによるIJTT社のTOB(株式公開買付)が完了いたしました。日本モノづくり未来ファンドは2020年に設立し、日本で優れた技術・人材・サービスを持つモノづくり企業に投資し、TPS(トヨタ生産方式)を活用して各社を支援し、適切な経営戦略を展開することで、社会に貢献することを目指したいという理念のもと設立いたしました。これはスパークスとして新たな投資領域の始まりであり、大きな一歩となりました。

 

 なお、経営成績の分析については、「第2事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)業績」に含めて記載しております。

 

   (次期の見通し)

 当社グループの主たる事業である投信投資顧問業は、業績が経済情勢や相場環境によって大きな影響を受けるため将来の業績予想は難しいと認識しており、次期の見通しについての具体的な公表は差し控えさせていただきます。

 

(3)当連結会計年度の財政状態の分析

<資産の部>

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ67億29百万円増加し、461億12百万円となりました。主な増減内訳は、現金及び預金が38百万円の増加、投資有価証券が58億52百万円の増加となっております。

 

<負債の部・純資産の部>

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ13億56百万円増加し、146億92百万円となりました。主な増減内訳は、未払法人税等が7億円の増加となっております。

 

 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ53億72百万円増加し、314億19百万円となりました。主な増減内訳は、利益剰余金が40億73百万円の増加、資本剰余金が4億4百万円の減少、その他有価証券評価差額金が14億89百万円の増加となっております。

 

(4)資本の財源及び資金の流動性

① キャッシュ・フロー

 キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(2)キャッシュ・フローの状況」に含めて記載しております。

 

② 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの投資を目的とした主な資金需要につきましては、シードマネー投資等によるものであります。

短期運転資金は自己資金を基本としており、シードマネー投資等につきましては、自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。

なお、当連結会計年度末における借入金等の有利子負債の残高は90億57百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は220億66百万円となっております。