E05462 Japan GAAP
前期
2,499.1億 円
前期比
103.3%
株価
3,685 (04/23)
発行済株式数
21,539,071
EPS(実績)
297.97 円
PER(実績)
12.37 倍
前期
701.4万 円
前期比
109.8%
平均年齢(勤続年数)
43.1歳(13.4年)
従業員数
703人(連結:866人)
当社グループは当社、連結子会社59社、持分法適用関連会社48社で構成され、官公庁・自治体や大企業から中小企業までの幅広い顧客層に対してリース・割賦・企業融資等のファイナンスサービスを提供しております。
また、当社グループとNECグループは、当社が金融商品を顧客に提供する際に製品・サービスを購入する購入者と仕入先の関係にあります。
当社グループの主な事業領域は、リース事業、ファイナンス事業、インベストメント事業及びその他の事業の4事業に分類されます。
(1) リース事業
情報通信機器、事務用機器及びその他各種設備機器等のリース・レンタル・割賦販売
リースに関連する物品売買、満了・中途解約に伴う物件売却及びリース機器の保守サービス等
(2) ファイナンス事業
金銭の貸付、ファクタリング及び配当収益の収受を目的とする有価証券投資等
(3) インベストメント事業
有価証券の売却益の収受を目的とするベンチャー企業向け投資等
株式会社リサ・パートナーズが行っているアセット、不動産及びアドバイザリーの各ビジネス
(4) その他の事業
エネルギー・観光・農業・ヘルスケアを領域とする新事業、PFI・PPP事業及びその他各種サービス等
事業系統図については、次のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けながらも、afterコロナに向けた経済活動の再開が進んだ一年となりました。その一方で、2022年2月に勃発したロシアによるウクライナ侵攻は長期化の様相を呈し、原油や穀物などの商品価格の高騰を招くと共に、世界の中央銀行はインフレ対策として利上げを含めた金融引き締め政策で対応に追われるなど、先行きの不透明感が増す状況となりました。また12月には、日本銀行によるイールドカーブコントロールにおいて長期金利の許容変動幅が0.5%に拡大されるなど、国内においても金融緩和の修正を想起させる動きが見られるようになりました。このような国内外の環境変化を踏まえ、今後の経済活動の見通しについてはこれまで以上に注視していく必要があると考えています。
当社グループの属するリース業界においては、業界全体の2022年4月から2023年3月累計のリース取扱高は、前期比2.2%増の4兆3,106億円となっています。(出典:2023年5月29日付公表 公益社団法人リース事業協会「リース統計」)
このような状況下において、当社リース事業の契約実行高は前期比1.4%減、成約高は同8.7%増となりました。契約実行高が前年割れとなっている主な要因は、前期に大型のGIGAスクール案件の計上があったことによるものであり、その影響を除くと前期を上回る水準となっています。成約高については官公庁、民需双方が伸長したことにより前期比増となっています。
ファイナンス事業においては、ファクタリングや企業融資の増加により、契約実行高、成約高共に前期を上回る結果となりました。これは主に国内外の短期の資金ニーズを取り込めたことによるものであります。
インベストメント事業においては、大型の販売用不動産売却収益等を計上したことから売上高は増加したものの、ベンチャーファンドビジネスのEXIT収益減少等により、売上総利益、営業利益については前年割れとなりました。
その他の事業においては、PFI・PPP手数料の増加や太陽光売電収益等を計上したことにより、売上高、営業利益共に前期を上回る水準を維持しました。
経営成績においては、前期に大型の賃貸資産の売却を計上したリース事業はほぼ横ばいの売上高となるものの、ファイナンス事業、インベストメント事業、その他の事業が伸長したことから売上高、売上総利益共に前期比増加となりました。また与信関連費用の改善に伴い販売費及び一般管理費は減少し、営業利益、経常利益については前期を上回る結果となりましたが、親会社株主に帰属する当期純利益については、非支配株主に帰属する当期純利益の増加に伴い前年割れとなりました。
以上により、当連結会計年度の業績は、売上高2,581億7百万円(前期比3.3%増)、営業利益117億15百万円(同12.1%増)、経常利益124億40百万円(同8.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益64億18百万円(同7.5%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
売上高は、前年並みの2,243億7百万円となり、営業利益は貸倒引当金繰入額の計上等により、前期比7億51百万円減少の63億68百万円となりました。
売上高は、金利収益の増加等により前期比25.9%増の65億69百万円となり、営業損益は前期比28億9百万円増加の21億54百万円となりました。
売上高は、当期に大型の販売用不動産の売却があったこと等から、前期比39.4%増の228億13百万円となったものの、営業利益は営業投資有価証券売却益の減少等により、前期比9億83百万円減少の44億12百万円となりました。
売上高は、ヘルスケア不動産の賃料収入や太陽光売電売上等により、前期比6.8%増の44億62百万円となり、営業利益は前期比2億18百万円増加の4億93百万円となりました。
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて252億58百万円増加し、1兆558億75百万円となりました。主な要因としては、リース債権及びリース投資資産が116億65百万円減少したものの、営業貸付金が143億57百万円、投資有価証券が128億16百万円増加したことによります。
負債は、前連結会計年度末に比べて181億83百万円増加し、9,270億60百万円となりました。主な要因としては、社債(1年内償還予定の社債を含む)が100億円減少したものの、コマーシャル・ペーパーが270億円増加したことによります。
純資産は、前連結会計年度末に比べて70億74百万円増加し、1,288億15百万円となりました。主な要因としては、利益剰余金が親会社株主に帰属する当期純利益等により47億17百万円、為替換算調整勘定が13億47百万円、非支配株主持分が7億98百万円増加したことによります。
当社グループは、官公庁・自治体や大企業から中小企業までの幅広い顧客層に対して、主としてリース、割賦及び企業融資等のファイナンスサービスを提供している他、ファクタリング、決済・回収代行及び債権流動化等のサービスについても行っており、割賦債権、リース債権及びリース投資資産並びに営業貸付金等の営業債権を保有しております。また、営業投資有価証券、有価証券及び投資有価証券は、主に株式、債券及び組合出資金であり、純投資目的及び営業推進目的で保有しています。さらにこれらに加えて、外貨建ての海外投融資に取り組む他、当社グループの一部の連結子会社では、自己勘定やファンドを通じて、企業(株式)、貸付債権及び不動産を対象に投融資を行っております。
当社グループの資金調達は営業資産との整合を基本としており、営業資産等の増減にあわせて資金調達を行っています。具体的には、市場の状況を踏まえ、長期と短期や直接と間接等のバランスを図りつつ、金融機関からの借入れを中心に、社債やコマーシャル・ペーパーの発行並びに債権流動化といった様々な方法で資金調達をしております。
また、当社グループの主たる営業資産は、リースや割賦取引を中心とした固定金利の資産でありますが、資金調達は主に変動金利での借入を中心に行っているため、営業資産及び負債の総合管理(ALM)により、金利変動リスク及び流動性リスクの低減に努めております。その一環として、現在及び将来の獲得利鞘が変動するリスクをヘッジするために金利スワップ取引を利用しています。
なお、外貨建の営業資産の為替変動リスクについては、外貨建資産・調達の残高を両建てとする取引を行う他、通貨スワップ取引を用いてヘッジしております。
資金調達に係る流動性リスク(支払期日に支払を実行できなくなるリスク)に対しては、営業資産のキャッシュ・フローと営業負債のキャッシュ・フローの対応関係を適切に維持することのほか、資金調達手段の多様化への取組みや適正な水準の手許流動性を維持することなどによりリスクの低減を図っております。なお、金融環境の変化に対応した財務戦略を実施した結果、当連結会計年度末の現金及び預金は354億82百万円となりました。また、複数の金融機関との間で締結しているコミットメントライン等契約の当連結会計年度末時点における未使用総額は3,164億11百万円となっております。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下資金という。)は、355億57百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果によって得られた資金は29百万円(前期は468億15百万円の収入)となりました。これは税金等調整前当期純利益124億43百万円を計上していることに加え、主に営業貸付金の増加額174億91百万円、利息の支払額49億6百万円及び法人税等の支払額16億48百万円があったものの、リース債権及びリース投資資産の減少額128億39百万円があったことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果によって使用した資金は95億81百万円(前期は5億1百万円の支出)となりました。これは主に投資有価証券の償還による収入119億42百万円があったものの、投資有価証券の取得による支出176億75百万円及び社用資産の取得による支出40億67百万円があったことによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果によって得られた資金は78億75百万円(前期は469億32百万円の支出)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出1,805億11百万円、社債の償還による支出300億円及び非支配株主への配当金の支払額50億8百万円があったものの、長期借入れによる収入1,775億54百万円、コマーシャル・ペーパーの増加額270億円及び社債の発行による収入200億円があったことによります。
「特定金融会社等の開示に関する内閣府令」(1999年5月19日 大蔵省令第57号)に基づく、当社の貸付金(営業貸付金)の状況は次のとおりであります。
①貸付金の種別残高内訳
2023年3月31日現在
②資金調達内訳
2023年3月31日現在
③業種別貸付金残高内訳
2023年3月31日現在
④担保別貸付金残高内訳
2023年3月31日現在
⑤期間別貸付金残高内訳
2023年3月31日現在
①契約実行高
当連結会計年度における契約実行高をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。なお、契約実行高は提出会社の取引が大半を占めているため、提出会社の状況について記載しております。
(注)リース事業については、当事業年度に取得した資産の購入金額を表示しております。
②営業資産残高
当連結会計年度における営業資産残高をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)当連結会計年度におけるインベストメント事業の営業資産残高の内訳は、営業貸付金が14,373百万円、買取
債権が12,419百万円、営業投資有価証券が22,875百万円、販売用不動産が7,115百万円、投資有価証券が27,292百万円となっております。
③営業実績
連結会計年度における営業実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
前連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(注) 1.セグメントの区分は、主な営業取引の種類により区分しております。
2.各セグメントの主要品目は以下のとおりであります。
①リース事業
情報通信機器、事務用機器及びその他各種設備機器等のリース・レンタル・割賦販売
リースに関連する物品売買、満了・中途解約に伴う物件売却及びリース機器の保守サービス等
②ファイナンス事業
金銭の貸付、ファクタリング及び配当収益の収受を目的とする有価証券投資等
③インベストメント事業
有価証券の売却益の収受を目的とするベンチャー企業向け投資等
株式会社リサ・パートナーズが行っているアセット、不動産及びアドバイザリーの各ビジネス
④その他の事業
エネルギー・観光・農業・ヘルスケアを領域とする新事業、PFI・PPP事業及びその他各種サービス等
(4) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、基本となる重要な事項は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。なお、当社グループは、連結財務諸表の期間比較可能性及び企業間の比較可能性を考慮し、日本基準で連結財務諸表を作成しております。IFRSの適用につきましては、国内外の諸情勢を考慮の上、適切に対応していく方針です。
当社グループの連結財務諸表に関して、認識している重要な見積りを伴う会計方針は以下のとおりです。
貸倒引当金
当社は、官公庁・自治体等や大企業から中小企業までの幅広い顧客層に対して、主としてリース、割賦及び企業融資等の営業取引を行っており、これらの営業債権の回収は、景気変動やその他の事由により延滞や倒産等が生じた場合、契約条件に従った債務履行がなされない可能性があります。そのため当社の営業債権である割賦債権、リース債権及びリース投資資産、賃貸料等未収入金並びに営業貸付金等については、顧客の契約不履行によってもたらされる信用リスクに晒されており、重要な会計上の見積りを必要とします。
当社の営業債権に関する信用リスクの管理にあたっては、社内管理規程に沿って顧客毎の状況を定期的にモニタリングし、期日及び残高を管理するとともに、財政状態の悪化等による回収懸念の早期把握や軽減を図っております。取組時において個別案件毎の与信審査、与信限度額、与信情報管理、内部格付及び成約条件の設定を行っておりますが、途上の与信管理で与信不安情報等を入手した際は与信ランクの変更をしております。
当社は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)1.貸倒引当金」に記載のとおり、営業債権の貸倒損失に備えるため、顧客の信用リスクの度合いに応じて債務者区分を決定し、債務者区分に基づき債権を一般債権、貸倒懸念債権及び破産更生債権等に分類しております。貸倒引当金は、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権及び破産更生債権等については保全による回収見込額に加え債務者の財政状態及び経営成績を考慮して個別に回収可能性を検討することにより、回収不能見込額を計上しております。
債務者区分の判定は、予め定めている債務者区分別引当基準に基づき、延滞情報を含む返済状況及び顧客の財務指標等の定量的要因並びに将来の業績見通し等の定性的要因に関連する情報を勘案して行っております。
当社は、当連結会計年度末時点で入手可能な情報に基づき、貸倒引当金を計上しておりますが、保有する営業債権の回収期間が中長期にわたることから、経済及びその他の事象または状況の変化や顧客の経営成績・財政状態の悪化により、顧客の延滞・倒産等の不測の事態を被り、翌連結会計年度に追加の引当金の計上が必要となってくる可能性があります。
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高2,581億7百万円(前期比3.3%増)、営業利益117億15百万円(同12.1%増)、経常利益124億40百万円(同8.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益64億18百万円(同7.5%減)となりました。前期に大型の賃貸資産の売却を計上したリース事業はほぼ横ばいの売上高となるものの、ファイナンス事業、インベストメント事業、その他の事業が伸長したことから売上高、売上総利益共に前期比増加となりました。また与信関連費用の改善に伴い販売費及び一般管理費は減少し、営業利益、経常利益については前期を上回る結果となりましたが、親会社株主に帰属する当期純利益については、非支配株主に帰属する当期純利益の増加に伴い前年割れとなりました。
なお、上記実績により、当連結会計年度を最終年度とした「中期計画2020」で掲げた3か年の累計利益計画(親会社株主に帰属する当期純利益累計額170億円)について目標を達成いたしました。
「中期計画2020」は、新型コロナウイルス感染症拡大という、前例のない状況と対峙しながら事業に取り組んだ3年間となりました。加えて、2022年2月にはロシアによるウクライナ侵攻という想定外の紛争が勃発するなど、国内外に様々な不確定要因が生じることとなりました。このような足元の事業環境はあるものの、「中期計画2020」の最終年度となる当連結会計年度を含めたこの3年間を振り返ると、withコロナ&afterコロナにおいて生じた新たなニーズを捉えながら、CSV経営実現に向けた歩みを着実に進めることができたと認識しております。「中期計画2020」の成果と課題については以下の5つの観点から総括を行いました。
①当期純利益は3か年累計計画を達成、収益力向上は継続課題
一つめは、利益計画と収益力についてです。この3か年においては、リース事業がコロナ禍における需要増を取込み利益を拡大すると共に、高収益アセットの積み上げやインベストメント事業の取り組みも収益貢献したことから、利益計画を達成することができました。こうした収益力拡大は外部格付の向上にもつながり、R&I格付が「BBB+」→「A-」、JCR格付が「A-」→「A」とそれぞれ1ノッチずつ格上げとなっています。一方で、同業他社比の水準からみれば改善余地が残る収益性の向上については、顧客基盤拡充や付加価値の高い取り組み推進等を通して、改善を図っていく必要があると考えております。
②新規事業における収益化は領域ごとに進捗のばらつき
二つめは、新規事業における収益化は領域ごとに進捗のばらつきが出ているという点になります。エネルギー領域は事業範囲を拡大、ヘルスケア領域はウェアハウジング事業のアセットを順調に獲得する等、収益化を実現する一方で、コロナ禍の影響を大きく受けた観光領域は観光資源を活用した投融資・オペレーション・ファンド事業を推進したものの、収益化はこれからという状況になりました。
また農業領域は6次産業化やバリューチェーン最適化の推進による農業収入の安定化・収益化に苦戦し、今後の方向性を含めた検討が必要になっていると考えております。一方で、PFI事業についてはコロナ影響や物価高の影響を受け、市場がシュリンクする一時期もありましたが、その中でも少ない機会を捉え、代表企業としての案件獲得などによって収益化を進展することができました。
③新たなサービスの立ち上げ等は道半ば
三つめは新たなサービスの立ち上げ等は道半ばであるという整理です。成果のひとつとしてはサービス化で先行する北米において「NEC Financial Services, LLC」を子会社化し海外事業の拡大につなげることができました。一方で、ベンダーとの新たなサービスモデルの立ち上げや新たなサービス創出に取り組むものの、事業化に向けた道筋としては道半ばと考えております。この点については、改めて当社らしい新たなサービスの創出・確立に向け、体制を含め強化が必要と認識しています。
④従業員エンゲージメント向上に向けた取り組みを強化
四つめは従業員エンゲージメントの向上に向けた取組を強化した点になります。リモートワーク環境の整備や業務プロセスの見直し等、働き方の見直しを推進する中で、「健康経営優良法人2023(大規模法人部門)」の認定や、えるぼし認定取得(3段階目)が出来た点は成果だと思っています。引き続き、働きがい向上に向けた活動を加速し、一層のエンゲージメント向上につなげていきたいと考えております。
⑤サステナビリティへの取り組みを強化
最後はサステナビリティへの取り組みを強化した点になります。当社初のサステナビリティボンドの発行や、サステナビリティ経営の推進体制を強化するためのサステナビリティ委員会の新設と運用開始、またTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures :気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同表明を行うなど、目に見えるかたちでのアウトプットを出せたと考えております。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、日銀の異次元金融緩和政策が挙げられます。この影響により、銀行をはじめとする金融機関の競合が激化し、国内のリース市場にも影響を与えていると考えております。また、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う国内外の経済の停滞や混乱は、国内設備投資の減少やリース市場へのマイナス影響にもつながる可能性があるものと想定されます。加えて、2022年2月に勃発したロシアによるウクライナ侵攻は、商品価格の高騰や金利上昇、為替変動幅の拡大など、当社事業に影響を与える要因となりうるものと考えております。
当社グループの当連結会計年度における資本の財源及び資金の流動性について、営業活動によるキャッシュ・フロー、投資活動によるキャッシュ・フローは共に、問題ない状態と考えております。外貨調達に関してはFRBの段階的な利上げ影響もあり、今後の動向を注視する必要があると考えておりますが、当社の外貨建てアセットについては、変動金利アセットとなっていることから、米国金利が上昇したとしてもその損益影響は軽微であります。一方で、円貨調達においては、日銀の金融緩和政策の継続に伴い、会計年度を通じて安定した調達を行うことができました。
なお、当連結会計年度においては、特筆すべき資本的支出はありません。
当連結会計年度におけるセグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
リース事業
リース事業の営業状況におきましては、リース業界全体の国内リース取扱高は前期比2.2%増(2023年5月29日付公表)となり、当社グループにおいては、契約実行高は前期比1.4%減、成約高は同8.7%増となりました。契約実行高が前年割れとなっている主な要因は、前期に大型のGIGAスクール案件(小中学校向け端末配備事業)の計上があったことによるものであり、その影響を除くと前期を上回る水準となっています。足元の営業動向を示す成約高については官公庁、民需ともに伸長したことから前期比増となりました。これは主に当社の主力取扱い機種である情報通信機器の取扱いが拡大したことによるものであります。なお当連結会計年度のセグメント損益については、前期と同様に今期についても大型の賃貸資産売却を計上したことから売上総利益はほぼ前期並みとなりました。しかしながら、前期に与信コストの戻入益があったことや、業績連動による今期の賞与増加などから販管費が増加、営業利益水準では前期比マイナスとなりました。来期以降の見通しは、Windows10の更新やGIGAスクール案件のような特需が想定できないことから、大幅な資産の積み上げは難しいと考えているものの、当社ならではの強みを活かし、5G対応やコロナ禍における民間のICT需要、またデジタル庁創設に伴う官公庁自治体のICT化推進の需要等を着実に取り込むことで、安定的な成長を実現していきたいと考えております。
ファイナンス事業
ファイナンス事業においては、ファクタリングや企業融資の増加により、契約実行高、成約高共に前期を上回る結果となりました。これは主に国内外の短期の資金ニーズを取り込めたことによるものであります。なお当連結会計年度のセグメント損益については、有価証券償還益の計上などによる売上総利益の増加に加え、与信費用の前期比大幅改善などから、前期営業赤字より営業損益は大幅に改善しました。来期以降の見通しは、リース事業のような差別化が難しいなか厳しい事業環境が継続するものと考えておりますが、再生可能エネルギ―や社会インフラなど特定の領域にリソースを集中する等の施策を講じながら、収益性を重視した事業活動を推進してまいります。
インベストメント事業
インベストメント事業においては、大型の販売用不動産売却収益等を計上したことにより、売上高は前期を上回ったものの、前期にベンチャー企業向け投資において大型IPOのEXIT収益を計上した反動に加え、リサ・パートナーズにおいて今期与信コストの追加引当を行ったことから売上総利益、営業利益共に前期を下回る結果となりました。来期以降の見通しは、リサ・パートナーズ、ベンチャーファンドビジネス双方において、既に投資した案件のバリューアップ及び回収最大化を目指すと共に、リサ・パートナーズについては更にインカムゲインの獲得など多様な収益の組み合わせにより、利益の拡大を図っていく予定です。
その他の事業
その他の事業においては、ヘルスケアの賃料収入や太陽光売電収益、並びにPFI手数料収益の増加等により、売上高、売上総利益、営業利益共に前期比増加となりました。エネルギー、ヘルスケア領域については、引き続き安定的な収益確保が可能と考えていますが、観光、農業領域においてはコロナ禍の影響を大きく受け、収益化に向けては厳しい状況が続いています。コロナ禍は収束に向かいつつあると認識しておりますが、来期以降の見通しについては慎重に見極める必要があると考えております。
c. 目標とする経営指標の達成状況等
経営方針・経営戦略等又は経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標として、当社は「中期計画2020」において、連結ROA(連結経常利益÷連結営業資産残高平残)を公表いたしました。これはアセットビジネスを中心とした当社のビジネス特性から、中計3か年における収益性の向上を図るうえで適切な指標であると判断したためであります。当連結会計年度の連結ROAの実績は1.3%であり、「中期計画2020」において最終年度(2023年3月期)の目標とした1.3%を達成しました。今後は「中期計画2025」で掲げた諸施策の着実な遂行を通して、更なる収益力向上を目指してまいります。
d. 気候変動への対応について
事業等のリスクにおいても記載した通り、地球規模の気候変動に係るリスクが、中長期的な将来のものではなく、今そこにある危機として認識されるようになってきました。昨今の異常気象がもたらすビジネス上の損失は、個別企業によっては事業継続上無視できないレベルに達しており、日々の経営判断においても気候変動に係るリスクを意識することが必要になってきたと認識しております。
工場等の製造設備を持たない当社にとって、気候変動への対応は自社の環境負荷軽減活動以上に、事業活動を通した環境負荷軽減活動が重要になってくると考えております。当社はこれまでも「リースは循環型産業である」という考え方のもと、各種取り組みを進めてまいりましたが、こうした状況を踏まえTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures :気候関連財務情報開示タスクフォース)に賛同すると共に、その枠組みに準拠したPDCA体制を構築し、気候変動に係るリスクへの対応を開始しております。
2023年度のわが国経済は、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが2023年5月に「5類」への移行が決定されるなど、新型コロナウイルス感染症拡大に関するリスクは沈静化し、経済活動の正常化に向けた動きは継続していくものと想定されます。一方で、2022年2月に勃発したロシアによるウクライナ侵攻は長期化の様相を呈し、欧米諸国の経済制裁と相俟って世界経済に大きな影響を与えています。侵攻以来、原油や穀物などの商品価格の高騰は続き、世界の中央銀行は利上げを含めた金融引き締め政策で対応を図っているものの、その効果は限定的なものにとどまっています。また国内では日銀がイールドカーブコントロールの変動幅を拡大するなど、金融政策の転換が想起されるような動きも出てきており、これまで以上に注視が必要な状況となっています。
このような状況において、新型コロナウイルスの影響が世界的に鎮静化するなか、グローバルなテーマとして改めてサステナビリティが議論されるようになりました。SDGsをはじめサステナビリティについてはこれまでもその必要性、重要性について多くが語られてきましたが、企業経営に直接的にアプローチするものではありませんでした。しかしながら、昨今の異常気象による世界的な経済損失の拡大が無視できない規模となってきたことから、企業経営者に直接サステナビリティ経営の推進を促す国際的なフレームワークが確立されました。その代表的なものがTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures :気候関連財務情報開示タスクフォース)であり、東証の市場再編に合わせプライム市場上場企業については2023年3月期以降、その枠組みに沿った取り組みの開示が義務化されることとなりました。このような足元の環境変化を踏まえ、当社は、これまで掲げてきたCSV経営をさらに進化させるべく、SDGsのゴールでもある2030年に向けた新たなグループビジョン「次世代循環型社会をリードするSolution Company」を策定すると共に、「次世代循環型社会」の実現に向けた第一段階として「中期計画2025」を策定いたしました。グループビジョン実現に向けた最初のステップとなる「中期計画2025」では、2030年の目指す姿・持続的な成長実現に向けて変革に挑戦する3年間とし、CSV経営を実践し事業を通じてお客様と社会の課題を解決すると共に、次世代循環型社会の実現に向けて当社らしい循環型サービスを創出していきます。
上記方針のもと、2024年3月期の通期連結業績予想は、リース事業、ファイナンス事業の持続的な成長とインベストメント事業の収益拡大を図り、経常利益は当期比0.5%増の125億円、親会社株主に帰属する当期純利益は当期比16.8%増の75億円といたしました。
また、配当予想につきましては、安定配当の維持を基本方針とする当社の配当政策を前提に、上記利益予想を踏まえ、当期よりも20円増配となる1株当たり年間130円の配当(うち中間配当65円)を実施する予想とさせていただきました。
なお、以上の文中における業績見通し等の将来に関する記述は、当社が当連結会計年度末現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。