売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E03992 Japan GAAP

売上高

1,188.6億 円

前期

0.0 円

前期比

0%

時価総額

1,081.4億 円

株価

1,097 (07/16)

発行済株式数

98,580,887

EPS(実績)

101.95 円

PER(実績)

10.76 倍

平均給与

667.7万 円

平均年齢(勤続年数)

40.0歳(5.0年)

従業員数

282人(連結:442人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

 当社グループは、分譲マンション・戸建販売事業、収益不動産販売事業、不動産賃貸事業、アセットマネジメント・プロパティマネジメント事業、海外等出資事業、納骨堂事業、仲介・コンサルティング事業を展開しております。

 なお、事業の区分は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメント情報の区分と同一であります。

 

(1)不動産販売事業

 不動産販売事業は、主に自社を事業主とする分譲マンション「レ・ジェイド」「グラン レ・ジェイド」の名称で5大都市圏を中心に企画・開発・販売を行っております。

 当社の分譲事業は、上質な暮らしを提供できる商品企画に人的資源を集中させるとともに、ライフスタイルの変化や地域の特性を踏まえ、そこに暮らす人たちの幸せを思い描き、暮らしそのものを開発する「ライフ・デベロッパー」を目指しております。当該事業を中核事業として位置付け、事業を推進しております。

 また、分譲事業と並ぶ中核事業の位置付けで、自社ブランド「tonarie」シリーズとして地域密着型商業施設の開発・運営や、稼働中の商業施設の活性化、商業底地開発等の事業のほか、eコマース市場の拡大に伴う物流ニーズへ対応すべく、自社ブランド「LOGITRES」シリーズとして物流事業に取組んでおります。また、賃貸マンションやオフィス開発事業、区画整理事業、海外事業も展開しております。当社の強みとする企画提案力、ノウハウ等を駆使し、商業底地開発や収益不動産開発等による高収益物件の構築の後、外部への売却、土地の企画販売等多面的な事業も展開しております。

 なお、当該事業は当社及び連結子会社である株式会社エスコンリビングサービス、株式会社エスコンホーム、株式会社エスコンクラフト並びに連結子会社その他1社と持分法適用関連会社1社が行っております。

 

(2)不動産賃貸事業

 不動産賃貸事業は、当社グループが保有する商業施設、商業底地、賃貸マンションの自社ブランド「TOPAZ」等の資産における賃料収入や配当収入等を得る事業であります。また、保有資産の価値向上を目的にプロパティマネジメント事業やアセットマネジメント事業を行い、不動産ビジネスを多面的に展開しております。

 なお、当該事業は当社及び連結子会社である株式会社エスコンプロパティ、株式会社エスコンアセットマネジメント、株式会社エスコンリビングサービス、株式会社ピカソ他1社、株式会社四条大宮ビル並びにFUEL株式会社が行っております。

 

(3)不動産企画仲介コンサル事業

 不動産企画仲介コンサル事業は、当社の企画力・情報力・技術力を活かし、不動産再生、分譲、商業施設開発等の事業化に係る企画・コンサルティング等の業務受託、販売の仲介等、不動産に関連する業務を受託しております。

 また、現代社会の課題解決を図るべく、東京都港区において都市型の納骨堂の運営管理事業及び永代使用権の販売を行っております。

 なお、当該事業は当社及び連結子会社である株式会社エスコンリビングサービス、株式会社エスコンホーム、株式会社エスコンクラフト、株式会社了聞、株式会社エスコンスポーツ&エンターテイメント並びに持分法適用関連会社1社が行っております。

 

 なお、2024年3月公表の「報告セグメントの変更に関するお知らせ」のとおり、当社はこれまで「不動産販売事業」「不動産賃貸事業」「不動産企画仲介コンサル事業」の3つのセグメントで開示を行っておりましたが、事業ポートフォリオの明確化、セグメントごとの戦略立案による安定成長を目指すことを目的に、2025年3月期第1四半期より、多様化した事業領域に即して「住宅分譲事業」「不動産開発事業」「不動産賃貸事業」「資産管理事業」「その他事業」の5つのセグメントに細分化し、報告いたします。

 

 

 以上述べた事項を事業系統図によって示しますと、次のとおりであります。

 

※画像省略しています。

 

24/06/26

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 また、当社グループは決算期変更に伴い、当連結会計年度は15ヶ月の変則決算となっております。このため、前年同期との比較は行っておりません。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、国内経済活動の正常化とインバウンド需要の回復が進み、個人消費や雇用環境に持ち直しの動きがみられる等、内需を中心に景気の緩やかな回復基調が続いております。一方で、物価上昇や円安の継続、金融の引き締め等、依然として景気の下振れ要因が存在し、国外においては、中国経済の減速や中東情勢等の地政学リスクの高まり等、景気の下振れリスクがあります。

 当社グループが属する不動産業界においては、土地取得価格や原材料高騰による建築コストの上昇、人手不足による人件費の高騰等のコスト上昇が懸念され、マーケットに与える影響を注視すべき状況が続いております。

 このような先行きの見通しが非常に難しい事業環境ではありますが、第4次中期経営計画「IDEAL to REAL 2023」(2021年12月期から2024年3月期までの3ヶ年を対象)の基本方針「転換&飛躍」のもと、いかなる経済環境にも耐えうる強固な経営基盤を確立し、企業価値の最大化により持続的な成長を目指した結果、第4次中期経営計画の最終年度である当連結会計年度の経営成績は、主に主力事業である分譲マンション販売が堅調に進捗し、売上高118,861百万円(当初計画比0.9%減)、営業利益19,074百万円(同6.0%増)及び経常利益16,585百万円(同7.0%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は10,050百万円(同0.5%増)と過去最高利益となりました。

 

イ.第4次中期経営計画「IDEAL to REAL 2023」の達成状況

 

(ア)業績計画

(単位:百万円)

 

2021年12月期

2022年12月期

2024年3月期

 

実績

実績

実績

修正計画

(15ヶ月)

増減

増減率

売上高

79,017

99,431

118,861

120,000

△1,139

△0.9%

営業利益

10,381

15,492

19,074

18,000

1,074

6.0%

 

(イ)経営目標

 

2021年12月期

2022年12月期

2024年3月期

実績

実績

実績

修正計画

(15ヶ月)

増減

賃貸利益割合

(注)1

21.2%

21.5%

27.1%

28.0%

△0.9%

ROE

11.8%

11.3%

14.5%

15.0%

△0.5%

ROIC

(注)2

3.2%

4.6%

3.6%

4.0%

△0.4%

自己資本比率

24.8%

25.0%

18.1%

20.0%

△1.9%

長期収益不動産割合

(注)3

20.6%

19.5%

18.6%

21.0%

△2.4%

純資産額

626億円

641億円

707億円

710億円

△2億円

(注)1 賃貸利益割合:賃貸セグメント利益/セグメント利益合計(調整額除く)

2 ROIC:税引後営業利益/(株主資本+有利子負債)

3 長期収益不動産割合:固定資産計上の賃貸収益不動産/総資産

 

(ウ)投資計画

(単位:億円)

 

 

3ヶ年累計

2021年12月期

2022年12月期

2024年3月期

実績

実績

実績

修正計画

(15ヶ月)

増減

実績

修正計画

(15ヶ月)

収益不動産

への投資額

767

108

609

665

△56

1,484

1,540

その他開発

への投資額

191

261

577

308

269

1,029

760

グロス投資額

959

369

1,186

972

214

2,514

2,300

 

ロ.「長期ビジョン2030」及び「第5次中期経営計画」の策定

 当社が持続的・長期的成長を続けるための指針・戦略として、2030年度までに当社の理想とする姿や目指すべき方向性を定めた「長期ビジョン2030」及び、その実現のための“Phase Ⅰ”である「第5次中期経営計画」(2025年3月期から2027年3月期までの3ヶ年を対象)を2024年3月に公表しました。

 

(ア)「長期ビジョン2030」

・目指すべき方向性 “深化”と“進化”

「事業戦略」「サステナビリティ経営」の両輪で持続的成長の好循環を創出し、財務指標だけでは測れない真の企業価値向上を目指す

・2030年度指標 経常利益300億円、不動産アセット※1兆円

※不動産アセット:当社保有資産+エスコンジャパンリート投資法人及びFUEL株式会社組成ファンド等におけるAUM

 

(イ)「第5次中期経営計画」

・業績計画

2025年3月期は、当期(2024年3月期)と同水準の売上利益計画(実質増収増益)。その後、安定的な増収増益計画

 

(単位:億円)

 

2024年3月期

2025年3月期

2026年3月期

2027年3月期

 

実績

計画

計画

計画

売上高

1,188

1,180

1,330

1,570

営業利益

190

180

200

220

 

 

・投資計画

第5次中期経営計画期間中の3カ年累計投資額は2,500億円。想定以上に投資が進捗した第4次中期経営計画の着地見込みとほぼ同水準

(単位:億円)

 

第4次中期経営計画

第5次中期経営計画

 

 

2021年

12月期

2022年

12月期

2024年

3月期

3ヶ年累計

A

2025年

3月期

2026年

3月期

2027年

3月期

3ヶ年累計

B

A+B

実績

実績

実績

計画

計画

計画

グロス投資額 計

976

375

1,249

2,600

610

770

1,120

2,500

5,100

 

分譲マンション開発

192

176

276

644

200

200

250

650

1,294

 

収益物件開発

57

122

408

587

200

300

500

1,000

1,587

 

稼動中収益物件取得

711

71

500

1,283

150

200

300

650

1,933

 

海外投資

7

4

55

66

50

60

60

170

236

 

その他

9

2

10

21

10

10

10

30

51

回収額

48

65

104

217

284

308

417

1,009

1,226

 

内、収益物件

34

42

23

99

121

142

242

505

604

ネット投資額

928

310

1,145

2,383

326

462

703

1,491

3,874

 

・経営指標

ストック収益の積み上げによる安全性の維持・向上と、高い資本効率性の維持を両立させた経営

資本コストや株価を意識し、ステークホルダーの期待に応える利益成長の実現とともに、具体的指標として、ROEが株主資本コストを、ROICがWACCを上回ることを目指す

 

2024年3月期

2025年3月期

2026年3月期

2027年3月期

実績

計画

計画

計画

ROE

14.5%

13.4%

13.9%

14.0%

ROIC(注)1

4.5%

3.4%

3.5%

3.6%

ストック収益割合(注)2.3

26.2%

30.4%

28.2%

30.0%

ストック収益/一般管理費

カバー率(キャッシュベース)

(注)4

115.5%

119.0%

114.2%

116.8%

自己資本比率

18.1%

17.5%

17.6%

17.5%

(注)1 ROIC:(連結経常利益+支払利息-受取利息-法人税等)/(「有利子負債+純資産」の期首期末平均)

2 ストック収益:不動産賃貸セグメント利益+資産管理セグメント利益

3 ストック収益割合:ストック収益/セグメント利益合計

4 ストック収益/一般管理費カバー率:(ストック収益+不動産賃貸セグメントの減価償却費+不動産賃貸セグメントののれん償却額)/(一般管理費-一般管理費の減価償却費-全体ののれん償却額)

 

・配当政策

2016年11月より配当政策の方針として導入していた累進的配当政策(1株当たりの配当額を前年度の1株当たり配当額(DPS)を下限とし、原則「減配なし、配当維持もしくは増配のみ」とする配当政策)について、「第5次中期経営計画」においても引き続き継続

2025年3月期の1株当たり配当は48円以上を予定しております。

 

ハ.経営理念体系の改訂

 どのような環境においても持続的・長期的に成長し続けるために、企業活動におけるグループ全役職員の「よりどころ」となる経営理念体系を2023年11月に改訂いたしました。新たな経営理念体系は、「パーパス」「ビジョン」「行動理念」の3つで構成し、当社グループが社会に存在する意義を示す「パーパス」には、「IDEAL to REAL」を継続して掲げます。これまでの経営理念体系の本旨は変えずその精神は継承していきながら、新たな経営理念体系のもとで、全社グループ一丸となって社会への貢献を続け、今後の持続的成長を確たるものへとしてまいります。

 

ニ.中部電力グループとのシナジー効果発揮状況

 中部電力株式会社(以下「中部電力」といいます。)の100%子会社である中電不動産株式会社(以下「中電不動産」といいます。)との共同事業として、現在5プロジェクト目となる「TSUNAGU GARDEN 千里藤白台(大阪府吹田市)」の開発を行っております。本プロジェクトは、約2万坪の土地に集合住宅、戸建て住宅、クリニックモール、認可保育園、商業施設及び公園を一体開発し、「多世代共生型新街区」へ整備する中電不動産と取り組む初の複合開発事業です。事業名称には、「つながり、つづく暮らしの未来。」というコンセプトのもと、自然、多世代、暮らし、環境、安心安全がつながりあう、というメッセージが込められております。区画全体のうち、2023年11月7日に商業街区がまちびらきしました。住居街区では、分譲マンション「レ・ジェイドシティ千里藤白台(総戸数244戸)」を2023年10月より販売開始しております。

 また、長野県の軽井沢において中電不動産と共同で開発した分譲マンション「SEVENS VILLA 軽井沢(総戸数7戸)」が、緑豊かな自然に囲まれた希少立地の特徴を活かした商品企画を行った結果、2023年10月に全戸完売しております。

 中部電力との共同事業としては、現在2つのプロジェクトが進行中です。2022年8月に、名古屋競馬場跡地の開発事業において、中部電力を代表法人とし、当社も構成メンバーとして参画する事業者グループが当該事業に係る基本計画協定を締結しました。

 また、中部電力及び株式会社スプレッドとともに「合同会社TSUNAGU Community Farm」を設立しました。世界最大規模となる1日10トンのレタスを生産できる完全人工光型植物工場「テクノファーム袋井」を建設し、2024年2月に初出荷いたしました。

 引き続き中部電力グループとの連携を強化し、大型まちづくりや「新しいコミュニティの形」の実現に向けて積極的に取り組んでまいります。

 

ホ.北海道における事業の進捗

 2023年3月、当社がネーミングライツ契約を締結している、北海道北広島市に建設された北海道日本ハムファイターズの新球場「ES CON FIELD HOKKAIDO(エスコンフィールドHOKKAIDO)」が開業いたしました。当社は、新球場を核とした北海道ボールパークFビレッジ(総開発面積約36.7ha、以下「Fビレッジ」といいます。)におけるまちづくり構想に参画しており、新球場から直線距離約80mの希少立地に分譲した「レ・ジェイド北海道ボールパーク(総戸数118戸)」は好評のうちに完売となりました。さらに、Fビレッジの南東の一角において開発に着手しているメディカルモールを併設したアクティブシニア向けのレジデンスは「マスターズヴェラス北海道ボールパーク」に名称が決定し、メディカルモール「Fビレッジ メディカルスクエア」のテナント6店舗も内定し、2024年6月より入居を開始する予定です。2023年11月には、新球場の外野スタンド側から通路を挟んだ対面地に事業用地を取得しており、シンガポールに拠点を置く世界有数の独立系ホスピタリティグループ「バンヤン・グループ」のブランドホテルを誘致することが決定しております。Fビレッジに訪れる人や北海道への観光客の需要を取り込むべく、立地環境を最大限に活かしたホテル開発を行ってまいります。

 また、Fビレッジへの重要なアクセス拠点としてさらなる期待が集まるJR北広島駅での「駅西口周辺エリア活性化事業」について、当社は事業パートナーとして開発を推進しております。2021年11月に続き2023年3月にも同事業における開発用地の一部を取得し、北広島駅の目の前の「駅前広場」、商業施設とホテルからなる「複合交流拠点施設」、屋内外の「立体的広場・公園」、「居住交流施設」の開発を行っております。この開発事業の内、商業施設及びホテルは地上14階建てとし、1階から3階を占める当該商業施設の名称を「tonarie北広島」に決定しました。「tonarie北広島」は、2025年3月の開業予定であり、「KITAHIRO“The GOOD” BASE」のコンセプトのもと、地元産の食材や製品の物販店、地域食材の味覚が楽しめる飲食店、そして市内で行われるエンターテイメントを提供し、「食・居・楽・美・医」のあらゆる分野の店舗、空間を備え、「北広島」を愉しんでいただける施設を目指してまいります。当社の商業施設ブランド「tonarie」シリーズとしては11店舗目となります。

 さらに、北広島駅及び「tonarie北広島」とペデストリアンデッキで繋がる場所に開発する「レ・ジェイド北海道北広島(北海道北広島市、総戸数197戸)」について、2024年5月から販売を開始する予定です。

 同市以外においても、昨年以降、分譲マンション「レ・ジェイド札幌元町(札幌市東区、総戸数39戸)」や「レ・ジェイド札幌苗穂(札幌市東区、総戸数42戸)」が完売したほか、千歳市における物流施設の事業用地、札幌市におけるホテル、オフィス、分譲マンションの事業用地の取得が進む等、北海道での事業が順調に進捗しております。

 引き続きスポーツや文化振興等にも協力し、北海道地域の皆様に喜ばれるよう、地域全体の活性化と発展に貢献してまいります。

 

ヘ.新会社「株式会社エスコンスポーツ&エンターテイメント」の設立

 当社は、株式会社ファイターズ スポーツ&エンターテイメント、株式会社ディー・エヌ・エーとともに、スポーツを含むエンターテイメントに特化した不動産開発、及び国内スタジアム・アリーナを核としたまちづくりプロジェクトへの事業参画・サポート等を目的とした「株式会社エスコンスポーツ&エンターテイメント」を2023年12月1日に設立いたしました。スポーツを含むエンターテイメントを活用したまちづくり(不動産開発・地域ディベロップメント)の検討並びに開発に取り組んでいきます。2024年3月には、スタジアム・アリーナとエンターテイメントを活用した持続的なまちづくり・地方創生モデルの展開を更に推進していくことを目的として、EY ストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社と提携いたしました。今後の北海道ボールパークFビレッジ内の事業だけでなく、日本全国のスタジアム・アリーナを核としたまちづくりの支援・コンサルティング等に従事してまいります。

 

ト.不動産開発を通じた地方創生・地域活性化への取組み

 2022年2月から、福島県いわき市において、いわき駅並木通り地区市街地再開発組合及び株式会社フージャースコーポレーションとともに住宅・商業・駐車場棟一体の「並木の杜シティ」開発プロジェクトとして、同駅周辺にさらなる賑わいを創出するべく再開発を行っております。住宅棟について同市最高層のバリアフリー仕様・免震構造タワーマンションとして、「ミッドタワーいわき(福島県いわき市、総戸数216戸)」の販売を行っております。

 また、長崎県大村市での西九州新幹線「新大村」駅周辺において、大和ハウス工業株式会社、株式会社イズミとともに共同事業を行っております。当該事業は「SAKURA MIRAI SHIN OMURA(サクラミライ新大村)」に名称が決定し、2022年9月の駅開業に伴い、大村市のまちづくり方針に沿って住民や市外からの来訪者が交流できる分譲マンションや商業施設等を開発しております。当社は2区画において、「レ・ジェイド新大村ステーションフロント(総戸数119戸)」及び「レ・ジェイド新大村パークサイド(同72戸)」の2棟の分譲マンション開発を行っており、2棟ともに外観は水平、垂直方向だけの床や壁で構成するのではなく、樹木が成長していく過程で屈折しながら上へと伸びる様を彷彿とさせる有機的なデザインとし、周辺の豊かな自然との調和を図ります。

 さらに、2023年2月には「tonarie宇都宮(栃木県宇都宮市)」を地域のさらなる活性化に貢献できる施設へとリニューアルし、同年3月には「星田駅北土地区画整理事業」(施行面積約26.4ha)区域内において、「tonarie」シリーズの10店舗目である地域密着型ショッピングセンター「tonarie星田(大阪府交野市)」が開業しております。

 

チ.希少立地における多様な分譲マンション開発の推進

 単に分譲戸数を拡大することではなく、仕入れた用地が持つ価値を最大限に引き出す商品企画を軸に多様な展開を行っております。

 2023年1月、長野県北佐久郡軽井沢町に事業用地を取得しました。軽井沢エリアでは、「オストレジデンス軽井沢(総戸数33戸、2021年完売)」が上質な商品企画を評価され、2022年度グッドデザイン賞を受賞しております。また、前述のとおり、中電不動産との共同事業である「SEVENS VILLA 軽井沢(総戸数7戸)」は、約5,000㎡超の開発敷地に僅か7邸かつ、全戸100㎡超のゆとりある贅沢な住空間を実現し、全戸引渡完売しております。

 また、神奈川県三浦郡葉山町において2つの事業用地を取得しており、「森戸海岸」等豊かな自然環境を最大限活かした分譲マンション開発に取り組むほか、東京都千代田区景観まちづくり重要物件に指定された歴史的建造物「東方学会本館」の隣接地で開発した定期借地権付新規分譲マンション「レ・ジェイド クロス 千代田神保町(総戸数50戸、2023年9月竣工済)」は2022年12月に早期完売を実現する等、付加価値の高い商品企画を推進しております。

 

リ.戦略的なM&Aの実施

 2021年10月のピカソグループに続いて、不動産賃貸事業等を手掛ける株式会社四条大宮ビルを2023年7月に子会社化しました。同社は京都市において2010年に創業、同市を中心に不動産賃貸事業を展開しており、賃貸マンションや商業施設等、優良な収益資産を多数保有しております。

 引き続き、戦略的なM&Aを積極的に展開し、当社グループの事業強化・領域拡大を図ってまいります。

 

ヌ.新領域への挑戦

 当社が首都圏において初めて開発したオフィスビル「ESCON九段北ビル」(2022年11月竣工)が2023年度グッドデザイン賞を受賞しました。眺望を最大限に活かした、この場所でしかできない「体験型のオフィス」を命題とする新たなオフィスビルのかたちを具現化しております。

 2023年9月に兵庫県姫路市において、当社初のクリニックモール開発事業である「tonarie medical姫路夢前川」を開業しました。地域の方にとってより身近なクリニックモールであり、新しい取組みとなるものです。

 海外事業について、2023年11月にハワイ州ホノルルにおけるラグジュアリーコンドミニアム「ALIA(アリア)」プロジェクトの販売並びにマーケティングを開始するため、東京本社内に販売ギャラリーを開設いたしました。さらに、同プロジェクトのファンドとして組成するSPC「888 ALIA LLC」に、子会社を通じて出資いたします。今後も海外における事業拡大に注力してまいります。

 2024年1月に、地方都市の課題を希望に変える街づくり会社、株式会社SHONAI(旧ヤマガタデザイン株式会社)の子会社である株式会社LOCAL RESORTS(旧ヤマガタデザインリゾート株式会社、以下「LOCAL RESORTS」といいます。)及び株式会社NEWGREEN(旧有機米デザイン株式会社、以下「NEWGREEN」といいます。)とともに、日本全国に『農』をコンセプトとしたホテル「(仮称)SUIDEN RESORT」を展開していくこととなりました。 本プロジェクト実施に向けて、LOCAL RESORTSと業務提携契約を締結し、NEWGREENへ2億円を出資しております。

 2024年2月には、VR(仮想現実)・AR(拡張現実)・MR(複合現実)を総称したXRプラットフォーム「STYLY」の運営及びXRコンテンツ制作を行う株式会社STYLYと資本業務提携契約を締結しました。同社と協働することにより、当社グループが保有・運営する商業施設において、XRの活用により施設内の遊休空間に新たな付加価値を提供することや、スタジアム・アリーナのコンサルティングにおいてXR技術を用いた協同事業の展開等を検討してまいります。

 また、現在本社及び支店がある5大都市圏に加え、沖縄においても本格的な事業展開を推進するため沖縄支店を2024年4月9日に開設いたしました。

 引き続き、次代を見据えた新たな事業分野への取組みに注力し、多面的に不動産ビジネスを展開いたします。

 

ル.気候関連財務情報開示タスクフォース提言への賛同表明及び情報開示

 当社は2050年のカーボンニュートラル社会の実現に向け、次世代型まちづくり等、新たな環境価値を創造する

ことを目指しております。

 気候変動課題を経営の重点戦略の一つと捉え、経営層及び全社各部署から選抜したESG推進グループメンバ

ーが一体となり、「気候変動が事業にもたらすリスクや機会を分析するとともに、その情報開示を推進する」と

いう気候関連財務情報開示タスクフォース(以下「TCFD」といいます。)提言の枠組みに基づく情報開示に

向け取り組んでおります。また、当社グループは2022年6月にTCFDへの賛同を表明いたしました。

 TCFD提言に基づく情報開示(気候変動のリスク・機会に関するガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目

標)の詳細については、当社ホームページ(https://www.es-conjapan.co.jp/esg/environment.html)をご参照

ください。

 

ヲ.ESG活動の取組み状況

 当社における重要な経営戦略として「ESG推進による社会課題への対応」を掲げております。「ESG推進グループ」及び健康経営をより促進するための「健康文化醸成チーム」を中心に全社で取組みを推進し、財務情報だけでは測れない本質的な企業価値向上に注力いたします。

 直近の主要な取組み内容は以下のとおりです。

 

(ア)環境「E」

・各種認証取得

 当社は、環境省が策定した日本独自の環境マネジメントシステム(EMS)である「エコアクション21」の認証を取得しているほか、当社が保有する商業施設「tonarieふじみ野」について、一般財団法人建築環境・省エネルギー機構より認定を受けたCASBEE(※1)評価認証機関より、CASBEE不動産評価認証の最高ランクである「Sランク」を取得しております。また、エスコンジャパンリート投資法人(以下「EJR」といいます。)が保有している「tonarie大和高田」「tonarie栂・美木多」「tonarie南千里」「tonarie清和台」「あすみが丘ブランニューモール」の各商業施設について、株式会社日本政策投資銀行よりDBJ Green Building認証を取得しております。上記6物件は、連結子会社である株式会社エスコンプロパティが運営管理を行っており、グループ全体で施設の価値向上に向けて取り組んでおります。

※1 Comprehensive Assessment System for Built Environment Efficiency / 「建築環境総合性能評価システム」は、建築物の環境性能を評価し格付けするもので、省エネルギーや環境負荷の少ない資機材の使用といった環境配慮はもとより、室内の快適性や景観への配慮等も含めた建物の品質を総合的に評価するシステムです。

・環境に配慮したZEH対応住宅の継続的・積極的な開発

 2021年度グッドデザイン賞を受賞した「レ・ジェイド大倉山(横浜市港北区、総戸数25戸)」をはじめとし、優れた断熱性能を有し年間の一次エネルギー消費量削減に資する「ZEH(※2)-M Oriented(ゼッチ・マンション・オリエンテッド)」の認証を、「レ・ジェイド八尾桜ヶ丘(大阪府八尾市、総戸数72戸)」「レ・ジェイド本川越コエドテラス(埼玉県川越市、総戸数102戸)」「レ・ジェイド金山グランデ(名古屋市中区、総戸数87戸)」「レ・ジェイド名古屋(名古屋市中村区、総戸数125戸)」の物件で取得しております。また、2024年2月に分譲を開始した「レ・ジェイド美章園駅前(大阪市東住吉区、総戸数35戸)」は現在ZEH認証の申請をしております。

 今後も、総合デベロッパーの開発ノウハウを最大限活かし、お客様に評価され、かつ環境に配慮したZEHマンションの開発に積極的に取組みます。

※2 ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは、「外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅」です。

・完全人工光型植物工場の建設・運営「テクノファーム袋井」

 前述のとおり、世界最大規模となる1日10トンのレタスを生産できる完全人工光型植物工場「テクノファーム袋井」を開発し、2024年2月に初出荷いたしました。当社を含む3社は、植物工場事業を通じて、食や農業分野の課題を解決するとともに、クリーンエネルギーの積極的な利用や栽培過程におけるCO2の有効活用等、脱炭素化に向けた取組みを進めていくことで、持続可能で暮らしやすい社会の実現とSDGsの達成に貢献してまいります。

・名古屋競馬場跡地の開発事業における木材の使用促進の取組み

 当該事業に参加する各社は、愛知県と「建築物木材利用促進協定」を締結しております。愛知県産木材を積極的に活用する等、当該事業を通じて脱炭素に資する取組みを行ってまいります。

 

 

(イ)社会「S」

・一般事業主行動計画の策定

 育児や介護を行う社員の家庭と仕事の両立支援の促進、女性を含めた全ての人材が継続して就業し活躍できる職場づくりを目指し、次世代育成支援対策推進法や女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画(計画期間:2023年1月1日~2025年3月31日)を策定し、公表しております。

・「健康経営優良法人 2024」の認定取得

 社員の健康は事業活動の礎であり、当社の持続的成長には必要不可欠な要素であると捉え、健康経営の推進を図っております。その結果、社員の健康促進・増進に向けた取組み、働きやすさの向上に向けた取組み、ダイバーシティへの取組みが主に評価され、2023年に続き2024年も「健康経営優良法人」として認定されました。

・『農』をコンセプトとするホテル「(仮称)SUIDEN RESORT」の開発

 ヌ記載のとおり、株式会社SHONAI及びそのグループ各社と当社のノウハウを連携させて「(仮称)SUIDEN RESORT」を日本全国に展開してまいります。豊かな自然や農業の営み、地産地消の食材等地域の観光資源を磨き・守り・育て、観光と農業を柱に、地方への誘客促進、農業支援、新規雇用の創出等、活力あるまちづくりに取り組んでまいります。

・「企業版ふるさと納税」を活用した北海道北広島市への支援

 北海道北広島市のまちづくりのさらなる発展に寄与するとともに、交通、観光、スポーツ及び教育等様々な分野に波及することにより、同市のさらなる発展の一助になればとの想いから、2022年及び2023年「企業版ふるさと納税」を活用し、同市に3億円を寄附しました。当該資金は将来にわたって活力あるまちを維持していくために活用されます。

・医療への貢献

 病気や怪我で苦しんでいる多くの方々のために、iPS細胞による治療を早期にかつ安価で提供実現する活動を支援するため、京都大学「iPS細胞研究基金」に毎年寄附を行っております。

 2022年及び2023年に、チャリティイベント「Osaka Great Santa Run」(主催:グレートサンタラン・オーガニゼーション(一般社団法人 OSAKA あかるクラブ内))に協賛いたしました。当イベントでは、参加費の一部を病気と闘うこどもたちへのプレゼントとして届ける取組みを行っております。

・スポーツ振興への貢献

 2021年4月には、プロサッカーチーム「FC琉球」を運営する琉球フットボールクラブ株式会社に出資し、これを通じて沖縄での事業機会創出の橋頭堡とするとともに、同チームの沖縄に密着した地域活性化活動を支援することにより、スポーツ振興を通して地域社会に貢献してまいります。また前述のとおり、当社は2024年4月9日に沖縄支店を開設いたしました。

・人的資本の充実

 持続的な成長の実現には組織力の強化が必要であり、そのためには社員又は社員が持つ知識、技能、資質等である「人的資本」のさらなる充実が重要であるとの認識のもと、当社では経営企画本部に人材戦略担当部を設置するとともに、「人財育成・社員の成長」を加速させていくための指針として「育成基本方針(人財基本要件)」を策定いたしました。この「育成基本方針(人財基本要件)」を全社員が理解し、実践していくための人財育成プログラムを構築し、2024年3月期からスタートさせております。また、昨今の物価高の影響や社員のエンゲージメント向上、及び優秀な人財の確保を図るため、2023年4月に当社グループの社員を対象に平均約7.7%のベースアップを実施、2024年5月にも平均8.0%のベースアップをしております。

・人権尊重への取組み

 当社は、国際社会による企業の人権尊重の取組みに対する要請の一層の高まりを踏まえ、当社の事業活動に関わる全ての方々の人権尊重に取り組んでおります。

 中部電力グループが定める「中部電力グループ人権基本方針(2023年7月)」においても、人権に関する国際規範の支持・尊重や、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」の実践に努めることが記されており、事業活動が及ぼす人権への負の影響を特定・評価し、そのリスクを防止又は軽減するための仕組みである人権デュー・ディリジェンスの継続的な実施や、社員への教育・研修の実施等、中部電力グループの一員として、人権尊重に向けた取組みを着実に推進いたします。

 

(ウ)ガバナンス「G」

・取締役指名及び報酬に関する任意の委員会設置

 取締役の指名、報酬等にかかる取締役会の機能の独立性・客観性と説明責任を強化することを目的として、「指名・報酬諮問委員会」を設置しております。2023年3月より、4名の委員の内3名を監査等委員である取締役から独立社外取締役に交代し、取締役の選任及び報酬等につき公平性・透明性を確保することに加え、取締役の選任及び報酬等に関する監査等委員の意見陳述権の明確化を図る等、企業統治の向上に努めております。

・後継者育成

 後継者候補制度いわゆるサクセッションプランへの取組みも開始し、2024年4月には計8名を雇用型執行役員として選任しております。

・取締役会の多様性

 2023年3月開催の第28回定時株主総会において、社外取締役及び監査等委員である取締役がそれぞれ1名ずつ新たに選任され、当社の取締役会は業務執行取締役3名、社外取締役3名、監査等委員である取締役4名の計10名の構成となりました。また、2024年5月には取締役の半数となる6名(内女性1名)を独立役員としたことで、取締役会の多様性を拡充するとともに、よりガバナンスの効いた体制を構築しております。

・コンプライアンス経営の推進

 2022年10月に、法令遵守態勢及び内部管理態勢を強化するため、社長直下組織にコンプライアンス室を設置しております。

 また、2023年3月にはコンプライアンス行動規範を見直し、コンプライアンス宣言を制定しました。こうした取組みにより、当社及びグループ全体におけるコンプライアンス経営の推進を徹底強化してまいります。

 

(エ)その他

 不動産セクターのESG配慮を測る年次のベンチマーク評価であるGRESBに2018年より毎年参加し、継続的な評価結果の向上を目指しております。2023年10月には、「ディベロップメント・ベンチマーク」における環境への配慮やサステナビリティへの取組みについて、総合スコアでの相対評価に基づく5段階評価のGRESBレーティングにおいて、「2 Stars」の評価(報告期間:2022年1月1日~2022年12月31日)を取得し、また5年連続で「Green Star(※3)」を取得しております。

※3 「ディベロップメント・ベンチマーク」における「Green Star」とは、「マネジメント・コンポーネント」及び「ディベロップメント・コンポ―ネント」の2軸で絶対評価の上、双方ともの得点率が50%以上の参加者へ与えられます。

 

ワ.株式会社エスコンアセットマネジメントの現況について

 当社の連結子会社である株式会社エスコンアセットマネジメント(以下「EAM」といいます。)は、2022年7月15日に金融庁より業務停止命令及び業務改善命令の行政処分を受けましたが、同年8月15日に業務改善報告を金融庁長官宛に提出・受理され、金融庁への対応はすべて完了しております。当社は、EAMの親会社であり、EAMを資産運用受託者とするEJRのメインスポンサーとして、このEAMに対する行政処分を重く受け止め、再発防止をグループ全体の重要課題と認識し、前述のとおり利益相反管理態勢を構築するためコンプライアンス室を設置しております。

 また、EAMでは、2023年1月に代表者変更や当社との兼務解除等の経営体制見直しを行い、同年6月には一部業務(第二種金融商品取引業及び投資助言・代理業等)を廃止する等、組織及び業務の改革を着実に進めてきました。さらに2023年9月公表のEJRの「運用ガイドライン」の変更においては、生活利便性の高い大都市及び大都市へのアクセスが容易な周辺地域に住まうことへのニーズは安定的であるとの考えのもと、これまで行ってきた商業施設及び底地への投資に加え、新たに住宅への投資と、持続可能な社会の実現に資する資産への投資(地域コミュニティが抱える暮らしの中に存在する多種多様な社会問題の解決につながる取組み)、すなわち主に五大都市圏に所在する「暮らし密着型資産」への投資を通じて、運用資産の着実な成長と投資主価値の最大化を図ることとしております。今後とも高度なコンプライアンス態勢は維持しつつ、EJRの収益の長期安定性と成長性を追求してまいります。

 

カ.セグメント別の事業展開

a. 中核事業である不動産販売事業においては、収益不動産の販売等を行うとともに、分譲マンションの販売が順調に進捗しております。

 分譲事業においては、「レ・ジェイド阿倍野播磨町(大阪市阿倍野区、総戸数48戸)」「レ・ジェイドシティ橋本Ⅰ・Ⅱ(相模原市緑区、総戸数Ⅰ/69戸、Ⅱ/87戸)」「レ・ジェイド箕面船場ノースレジデンス(大阪府箕面市、総戸数30戸)」「レ・ジェイド札幌苗穂(札幌市東区、総戸数42戸)」「レ・ジェイド茅ヶ崎東海岸南(神奈川県茅ケ崎市、総戸数31戸)」「レ・ジェイド新横浜(横浜市港北区、総戸数190戸)」「レ・ジェイド袋井駅前(静岡県袋井市、総戸数48戸)」「レ・ジェイド谷町五丁目(大阪市中央区、総戸数42戸)」「レ・ジェイド上通(熊本市中央区、総戸数138戸)」「レ・ジェイド金山グランデ(名古屋市中区、総戸数87戸)」「レ・ジェイド新大村ステーションフロント/パークサイド(長崎県大村市、総戸数119戸/同72戸)」「レ・ジェイド千里藤白台3丁目(大阪府吹田市、総戸数127戸)」「レ・ジェイドシティ千里藤白台(大阪府吹田市、総戸数244戸)」「レ・ジェイド名古屋(名古屋市中村区、総戸数125戸)」「レ・ジェイド南港 HANA-TERRACE(大阪市住之江区、総戸数55戸)」「レジアス大橋DUX(福岡市南区、総戸数90戸)」「レ・ジェイド美章園駅前(大阪市東住吉区、総戸数35戸)」の新規分譲案件を販売開始しております。販売の進捗としては、今期の竣工物件のうち「レ・ジェイド北海道ボールパーク(北海道北広島市、総戸数118戸)」をはじめ14物件が全戸引渡し済み、来期引渡し予定物件のうち「レ・ジェイド袋井駅前(静岡県袋井市、総戸数48戸)」等4物件は契約完売しております。

 また、前述のとおり、北海道での分譲マンションを含む開発事業は順調に進展中、九州では福岡、熊本に続き長崎での開発にも着手しており、加えて沖縄にも進出する等、事業エリアの拡大を進めております。

 

b. 不動産賃貸事業においては、前述のとおり、ピカソグループに加えて株式会社四条大宮ビルを子会社化することで、時価評価額420億円、物件数43物件がグループ保有資産に加わることとなり、賃貸事業のさらなる強化による安定収益確保が実現いたしました。また、「自分らしさを表現し、人生の『いま』を楽しむレジデンス」とのコンセプトのもと、賃貸レジデンスの新ブランド「TOPAZ(トパーズ)」を立ち上げました。首都圏では新御徒町や本厚木、関西では江坂で開発いたしました。「TOPAZ新御徒町」は2023年度グッドデザイン賞を受賞しております。今後も新たなプロジェクトを展開していく予定です。

その他では、前述の地域密着型ショッピングセンター「tonarie星田(大阪府交野市)」が2023年3月に開業しており、2025年3月には「tonarie北広島(北海道北広島市)」も加わる予定である等、商業施設の安定的な賃料収入の確保と資産価値の向上に努めております。

 

c. 不動産企画仲介コンサル事業においては、納骨堂了聞の永代使用権の販売を行う等、当社が強みとする企画力等を活かし、業務受託、企画仲介コンサル事業等ノンアセットで利益率の高い事業として注力しております。

 

 この結果、当連結会計年度の経営成績は売上高118,861百万円、営業利益19,074百万円、経常利益16,585百万円、親会社株主に帰属する当期純利益10,050百万円となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

(1)不動産販売事業

 不動産販売事業においては、分譲マンション及び収益不動産の販売等を行った結果、売上高99,606百万円、セグメント利益20,660百万円となりました。

 

(2)不動産賃貸事業

 不動産賃貸事業においては、保有する収益不動産の賃料収入の増加を含めた資産価値の向上を図るべくリーシング活動及びプロパティマネジメント事業に注力した結果、売上高18,325百万円、セグメント利益7,841百万円となりました。

 

(3)不動産企画仲介コンサル事業

 不動産企画仲介コンサル事業においては、企画力、多面的な事業構築力を最大限に活かし、企画コンサル等の業務受託等に積極的に取組んだ結果、売上高929百万円、セグメント利益419百万円となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて13,107百万円増加し、48,712百万円(前連結会計年度末は35,604百万円)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの変動要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において営業活動により減少した資金は68,892百万円(前連結会計年度は1,501百万円の資金の増加)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益15,203百万円、棚卸資産の増加額72,095百万円、法人税等の支払額8,818百万円等があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において投資活動により減少した資金は32,611百万円(前連結会計年度は1,620百万円の資金の減少)となりました。これは主として投資有価証券の取得による支出1,227百万円、固定資産の取得による支出4,972百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出27,462百万円及び預り保証金の受入による収入1,082百万円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において財務活動により増加した資金は114,585百万円(前連結会計年度は2,144百万円の資金の増加)となりました。これは主として、長期・短期借入金の借入れ、返済による純収入117,664百万円、配当金の支払3,672百万円等によるものであります。

 

③契約及び販売の実績

(1)契約実績

最近2連結会計年度における不動産販売事業の契約実績は、次のとおりであります。

区分

前連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2024年3月31日)

期中契約高

期末契約残高

期中契約高

期末契約残高

物件戸数

(戸)

金額

(百万円)

物件戸数

(戸)

金額

(百万円)

物件戸数

(戸)

金額

(百万円)

物件戸数

(戸)

金額

(百万円)

中高層住宅等

1,094

55,334

743

44,869

1,358

73,275

885

48,855

その他

30,347

19,478

18,346

7,508

1,094

85,682

743

64,348

1,358

91,622

885

56,364

 

(2)主な販売実績

最近2連結会計年度の主な販売実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

前連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2024年3月31日)

物件名

物件

戸数

(戸)

金額

(百万円)

物件名

物件

戸数

(戸)

金額

(百万円)

不動産販売事業

分譲マンション

1,185

58,532

分譲マンション

1,216

69,290

古賀市玄望園区画6

5,479

岐阜県羽島市物流施設

8,380

ライオンズスクエア川口

4,000

LOGITRES東条Ⅱ

6,600

ソルプラーサ堺

3,300

町田市原町田2丁目

4,059

楠葉花園

3,275

分譲戸建

3,627

分譲戸建

3,199

TOPAZ新御徒町

2,500

千葉リサーチパーク

3,001

吹田市藤白台5丁目(商業)

1,680

名古屋市中区栄4丁目

1,794

大阪市東成区深江南

1,411

吹田市藤白台5丁目(完成宅地)

1,439

高槻市南松原Ⅱ底地

400

セレクション青葉台

800

吹田市藤白台5丁目(老健用地)

308

西国立

373

名古屋市東区主税町

95

鶴間駅前

323

その他

1,252

四条大宮駅前

296

 

 

 

西所沢

268

 

 

 

その他

450

 

 

 

小計

1,185

86,531

小計

1,216

99,606

不動産賃貸事業

 

 

11,824

 

 

18,325

不動産企画仲介

コンサル事業

 

 

1,074

 

 

929

 

合計

99,431

合計

118,861

(注)セグメント間の取引はありません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。連結財務諸表を作成するにあたり、重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」をご参照ください。

 この連結財務諸表の作成にあたっては、必要な見積りを行っており、それらは資産・負債及び収益・費用の計上金額に影響を与えております。これらの見積りについては、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づき合理的と考えられる要因を考慮したうえで行っておりますが、結果としてこのような見積りと実績が異なる場合があります。

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 イ.当連結会計年度の経営成績の分析

 当連結会計年度の経営成績の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。

 

 ロ.当連結会計年度の財政状態の分析

(資産)

 資産については、前連結会計年度末比135,966百万円増加し、399,696百万円となりました。これは主に現金及び預金が13,188百万円、棚卸資産が87,522百万円、固定資産が31,876百万円それぞれ増加したことによるものであります。

(負債)

 負債については、前連結会計年度末比129,409百万円増加し、328,994百万円となりました。これは主に長期・短期の借入金が124,729百万円増加したことによるものであります。

(純資産)

 純資産については、前連結会計年度末比6,557百万円増加し、70,702百万円となりました。これは配当金の支払3,673百万円がありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益10,050百万円を計上したこと等によるものであります。この結果、自己資本比率は18.1%(前連結会計年度末は25.0%)となりました。

 

 ハ.経営成績に重要な影響を与える要因について

 「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

 ニ.資本の財源及び資金の流動性についての分析

(キャッシュ・フロー)

 「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

(資金需要)

 当社グループの資金需要の主なものは、販売用不動産の取得資金であります。資金調達については、物件ごとに金融機関から借入れ、借入条件を勘案し決定しております。また、当社グループが成長を続けるためには、仕入物件の確保及び財政状態の健全性が重要であると認識しており、成長資源である物件の確保、自己資本比率の上昇及び有利子負債依存度の低減により、財政状態の健全性を確保いたします。

 今後も成長資金として、金融機関からの借入れ等、手許資金とのバランスを考慮し、資金調達を行ってまいります。