売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E04106 Japan GAAP

売上高

2,212.8億 円

前期

2,017.9億 円

前期比

109.7%

時価総額

3,414.5億 円

株価

3,011 (04/18)

発行済株式数

113,402,446

EPS(実績)

128.95 円

PER(実績)

23.35 倍

平均給与

597.5万 円

前期

587.3万 円

前期比

101.7%

平均年齢(勤続年数)

44.5歳(22.5年)

従業員数

2,635人(連結:8,905人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

当社の企業グループは、当社、子会社71社及び関連会社6社で構成され、その営んでいる主要な事業内容は、次のとおりであります。

(1)運輸業(35社)

事業の内容

会社名

鉄道事業

当社 泉北高速鉄道株式会社※1

軌道事業

阪堺電気軌道株式会社※1

バス事業

南海バス株式会社※1 和歌山バス株式会社※1 関西空港交通株式会社※1

熊野御坊南海バス株式会社※1 徳島バス株式会社※1

海運業

南海フェリー株式会社※1

貨物運送業

サザントランスポートサービス株式会社※1 株式会社南海エクスプレス※1

車両整備業

南海車両工業株式会社※1(A)

その他23社

 

(2)不動産業(6社)

事業の内容

会社名

不動産賃貸業

当社 泉北高速鉄道株式会社※1

不動産販売業

当社 南海不動産株式会社※1(A)

その他3社

 

(3)流通業(9社)

事業の内容

会社名

ショッピングセンターの経営

当社 株式会社パンジョ※1

駅ビジネス事業

南海商事株式会社※1(A)

 

その他6社

 

(4)レジャー・サービス業(20社)

事業の内容

会社名

旅行業

株式会社南海国際旅行※1(A)

ホテル・旅館業

株式会社中の島※1

ボートレース施設賃貸業

住之江興業株式会社※1

ビル管理メンテナンス業

南海ビルサービス株式会社※1(A)

葬祭事業

南海グリーフサポート株式会社※1

 

その他15社

 

(5)建設業(4社)

事業の内容

会社名

建設業

南海辰村建設株式会社※1 株式会社日電商会※1

その他2社

 

(6)その他の事業(8社)

事業の内容

会社名

情報処理業務代行業

経理業務代行業

南海システムソリューションズ株式会社※1(A)

南海マネジメントサービス株式会社※1(A)

その他6社

(注)1.※1 連結子会社

2.上記部門の会社数には当社及び泉北高速鉄道株式会社が重複して含まれております。

3.当社は(A)の会社に対し業務の委託を行っております。

4.当社は泉北高速鉄道株式会社と相互直通運転を行っております。

 

23/06/20

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルスの感染防止対策と社会経済活動の両立をはかる「ウィズコロナ」の下、景気は緩やかに持ち直す動きが続いたものの、世界的な金融引締めが進む中、原材料の価格上昇や供給面での制約等による下振れリスクを抱えるなど、先行きは依然として予断を許さない状況のまま推移いたしました。

このような経済情勢の下におきまして、当社グループでは、当期を初年度とする中期経営計画「共創140計画」を策定し、各種施策への取組みを進めてまいりました。

この結果、当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況は次のとおりであります。

 

①  財政状態

(資産)

当連結会計年度末における資産合計は、9,351億13百万円となり、前連結会計年度末に比べ141億36百万円増加いたしました。これは主に、連続立体交差化工事の進捗等により建設仮勘定が96億6百万円増加したことや、未収金の増加等により流動資産その他が55億72百万円増加したことによるものであります。

(負債)

当連結会計年度末における負債合計は、6,605億26百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億66百万円増加いたしました。これは主に、有利子負債残高が79億72百万円減少した一方で、前受金の増加等により流動負債その他が59億84百万円増加したことや、繰延税金負債が21億30百万円増加したことによるものであります。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は、2,745億86百万円となり、前連結会計年度末に比べ138億70百万円増加いたしました。これは主に、剰余金の配当により28億33百万円減少した一方、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により146億23百万円増加したことによるものであります。

この結果、自己資本比率は27.9%(前連結会計年度末は26.9%)となりました。

 

②  経営成績

当連結会計年度におきましては、運輸業における輸送人員の増加や、建設業における完成工事高の増加等により、営業収益は2,212億80百万円(前期比9.7%増)となり、営業利益は、資源価格や物価の高騰による影響等があったものの、210億23百万円(前期比72.5%増)、経常利益は189億65百万円(前期比91.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は146億23百万円(前期比263.6%増)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 

<運輸業>

鉄道事業におきましては、営業面では、国内外旅客による空港線需要の回復に伴い、昨年5月、平日ダイヤで一部運休していた特急ラピートの運行を再開するとともに、本年2月には、午前時間帯に始発駅を発車する特急ラピートを増便いたしました。また、アフターコロナを見据えた取組みとして、クレジットカードによるタッチ決済が可能な改札機設置駅の拡大や、デジタルきっぷの商品拡大を行い、キャッシュレス化を推進するなど、旅客の利便性向上と旅客サービスのデジタル化に努めましたほか、新たな需要喚起施策として、世界的な人気を誇るK-POPグループとのコラボレーションによる特急ラピートのラッピングや企画乗車券の販売等を実施いたしました。施設・車両面では、旅客の利便性と満足度向上を目的として、中百舌鳥駅のリニューアル工事を推進するとともに、より安全で安心な輸送サービスを提供するため、同駅4番線のホームドア設置に向けた準備工事に着手いたしましたほか、通勤車両の一部に防犯カメラを試験設置し、今後の導入に向けた検討を開始いたしました。また、旅客対応を一元化する「駅総合案内センター」の開設準備を進めました。

なお、沿線人口の減少や新しい行動様式の定着等が進展する中、安全・安心と輸送サービスの安定性確保に必要な投資を維持していくために、当社では昨年10月に鉄道線旅客運賃変更認可申請を行い、本年2月に認可されましたので、本年10月1日から変更を実施する予定にしております。また泉北高速鉄道株式会社におきましても、同日から、大人普通運賃及び通勤定期運賃を引き上げる一方、子育てしやすい環境づくりの一環として、小児IC運賃を一律50円に引き下げることを決定しております。

 

バス事業におきましては、南海バス株式会社において、世界的農機メーカーの新社屋移転に伴い、バス路線の新設等による通勤需要の取込みに努めたほか、徳島バス株式会社において、利便性の高い持続可能な公共交通としての事業基盤を構築していくために、四国旅客鉄道株式会社と共同し、一部区間においてバスと鉄道を乗り継ぐ場合に、乗換え時の初乗り運賃を不要とする等の取組みを開始いたしました。

以上のような諸施策を進めました結果、運輸業の営業収益は955億32百万円(前期比14.6%増)となり、営業利益は11億52百万円(前期は営業損失73億82百万円)となりました。

提出会社の運輸成績

区分

単位

当連結会計年度

(2022.4~2023.3)

対前連結会計年度増減率

 

営業日数

 

 

365

0.0

営業キロ

キロ

154.8

0.0

客車走行キロ

千キロ

95,954

0.8

旅客人員

定期外

千人

82,077

24.4

定期

千人

121,694

4.1

千人

203,771

11.4

運輸収入

旅客収入

定期外

百万円

27,486

33.8

定期

百万円

18,971

2.6

百万円

46,457

19.0

運輸雑収

百万円

3,029

13.5

収入合計

百万円

49,487

18.7

乗車効率

26.5

(注) 乗車効率の算出は 延人キロ/(客車走行キロ×平均定員)によります。

営業成績

業種

当連結会計年度(2022.4~2023.3)

営業収益

対前連結会計年度増減率

 

百万円

鉄道事業

56,393

17.3

軌道事業

1,489

10.7

バス事業

20,262

15.7

海運業

1,871

29.8

貨物運送業

18,071

6.4

車両整備業

4,325

0.6

調整額

△6,881

営業収益計

95,532

14.6

 

<不動産業>

不動産賃貸業におきましては、なんばスカイオやパークスタワー等のなんばエリアの物件をはじめ、キーノ和歌山ほか沿線各物件の収益性の維持向上に努めました。また、北大阪トラックターミナル高度化利用計画の一環として、Ⅱ期棟の開発計画を推進するとともに、近隣地において大阪府食品流通センターE棟を竣工いたしました。

駅を拠点としたまちづくりにおきましては、なんばエリアでは、新たに「なんばパークス サウス」と名付けた「難波中二丁目開発計画」の開発エリアにおいて、本年3月、オフィスビル「パークス サウス スクエア」の供用を開始するとともに、ビジネスホテルが先行開業いたしました。また、大阪市と協働で進めるなんば駅前広場の歩行者空間拡大に向け、「なんば駅周辺における空間再編推進事業」の取組みを本格化させました。泉北エリアにおいては、沿線中核都市への成長をめざし、「泉ケ丘駅前活性化計画」を鋭意推進する一方、デジタル技術を活用したサステナブルなまちづくりを推進するため、官民協働で設立された「SENBOKUスマートシティコンソーシアム」に参画したほか、運動習慣の定着と健康増進をはかることを目的としたヘルスケアアプリ「へるすまーと泉北」を活用した新たなサービスの実現に向けた実証実験に取り組みました。また、開発資金調達の手段として準備を進めております私募リート事業につきましては、昨年10月、私募リートの運用を担う南海リートマネジメント株式会社を設立し、運用開始に向けた諸手続きを進めました。

不動産販売業におきましては、南海くまとり・つばさが丘において、新街区「ブライトビューガーデン」の分譲を開始したほか、当社沿線にあっては三国ヶ丘、沿線外では大阪市福島区等において、当社グループの分譲マンションブランド「ヴェリテ」シリーズを展開いたしました。

 

以上のような諸施策を進めましたが、不動産販売業におけるマンション販売の減少等により、不動産業の営業収益は446億27百万円(前期比2.1%減)となり、営業利益は125億70百万円(前期比0.1%減)となりました。

営業成績

業種

当連結会計年度(2022.4~2023.3)

営業収益

対前連結会計年度増減率

 

百万円

不動産賃貸業

33,968

4.4

不動産販売業

10,943

△18.8

調整額

△284

営業収益計

44,627

△2.1

 

<流通業>

ショッピングセンターの経営におきましては、昨年春にグランドオープン15周年を迎えたなんばパークスにおいて、段階的な大規模リニューアル計画を推進し、エリア最大級となるアウトドアショップをはじめとする大型店舗を誘致したほか、なんばスカイオにおいても、商業エリアにおいて開業以来初となる1フロア全体のリニューアルを実施いたしました。また、なんばエリアでの買い物や飲食をより便利に、より快適にお客さまに楽しんでいただくために、当社がなんばエリアで運営する4つの商業施設(「なんばパークス」「なんばCITY」「なんばスカイオ」「なんばEKIKAN」)における共通アプリ「NAMBAMARUTTO(なんばまるっと)」の提供を開始いたしました。

駅ビジネス事業におきましては、株式会社セブン‐イレブン・ジャパンとの間で業務提携契約を締結し、駅構内等のコンビニエンスストアを同社ブランドによるフランチャイズ店に順次転換することにより、さらなる利便性向上に努めました。

以上のような諸施策を進めました結果、流通業の営業収益は236億7百万円(前期比7.5%増)となり、営業利益は17億10百万円(前期比49.4%増)となりました。

 

営業成績

業種

当連結会計年度(2022.4~2023.3)

営業収益

対前連結会計年度増減率

 

百万円

ショッピングセンターの経営

13,981

14.0

駅ビジネス事業

11,002

2.8

その他

386

△36.5

調整額

△1,763

営業収益計

23,607

7.5

 

<レジャー・サービス業>

旅行業におきましては、観光案内所や新型コロナワクチン接種の運営業務等について自治体からの受託に努めましたほか、感染防止対策としての行動制限の撤廃に伴い、期の後半にかけて回復が顕著に見られた企業の出張やMICE等の旅行需要の取込みに注力いたしました。

ホテル・旅館業におきましては、「碧き島の宿 熊野別邸 中の島」において、アフターコロナにおける需要回復を見据え、リブランド3周年を記念した特別プランの販売やメディアへの露出による知名度向上に取り組みました。

ビル管理メンテナンス業におきましては、既存物件において提供するサービスの品質向上に注力するとともに、物流施設や商業施設、研究施設等の新規管理物件の受託と設備工事の受注に努めました。

eスポーツ事業におきましては、事業推進体制の構築として、昨年4月、eスポーツ施設の運営管理等を行うeスタジアム株式会社を設立するとともに、大阪府泉佐野市や岐阜市等において、eスポーツ専門施設の運営を開始し、事業基盤の確立に努めました。

海外IT人財紹介事業(「Japal」事業)におきましては、共創140計画に掲げる「外国人との共生」の実現に資する事業として、当社のブランドやネットワークの活用を強化し、成約件数の拡大に努めました。

以上のような諸施策を進めました結果、レジャー・サービス業の営業収益は398億51百万円(前期比4.2%増)となりましたが、ビル管理メンテナンス業において利益率が低下したこと等により、営業利益は35億50百万円(前期比7.4%減)となりました。

営業成績

業種

当連結会計年度(2022.4~2023.3)

営業収益

対前連結会計年度増減率

 

百万円

旅行業

3,302

39.5

ホテル・旅館業

619

63.0

ボートレース施設賃貸業

6,384

8.7

ビル管理メンテナンス業

23,684

△0.3

葬祭事業

2,928

6.2

その他

5,032

1.1

調整額

△2,099

営業収益計

39,851

4.2

 

 

<建設業>

建設業におきましては、民間住宅工事のほか、物流施設等の民間非住宅工事や公共工事の受注活動に注力いたしました。

この結果、完成工事高の増加等により、建設業の営業収益は436億62百万円(前期比14.5%増)となったものの、利益率の低下等により、営業利益は18億89百万円(前期比3.6%減)となりました。

営業成績

業種

当連結会計年度(2022.4~2023.3)

営業収益

対前連結会計年度増減率

 

百万円

建設業

43,689

14.5

調整額

△26

営業収益計

43,662

14.5

 

<その他の事業>

その他の事業におきましては、営業収益は29億63百万円(前期比11.7%増)となり、営業利益は1億75百万円(前期比0.5%減)となりました。

営業成績

業種

当連結会計年度(2022.4~2023.3)

営業収益

対前連結会計年度増減率

 

百万円

その他

2,998

12.6

調整額

△34

営業収益計

2,963

11.7

 

③  キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ14億39百万円増加し、375億40百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は390億86百万円(前期は418億79百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益193億74百万円のほか、減価償却費276億19百万円等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は263億5百万円(前期は196億69百万円の使用)となりました。これは主に、固定資産の取得による支出329億48百万円のほか、工事負担金等受入による収入60億48百万円等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は113億41百万円(前期は270億26百万円の使用)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出399億2百万円のほか、長期借入れによる収入224億70百万円等によるものであります。

 

④  生産、受注及び販売の実績

当社グループ(当社及び連結子会社)の受注及び販売品目につきましては多種多様であり、セグメントごとに金額及び数量で示すことはしておりません。

このため生産、受注及び販売の実績につきましては、「② 経営成績」におけるセグメントごとの経営成績に関連付けて示しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 経営成績等に重要な影響を与える要因

経営成績等に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

② 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗状況

「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、「共創140計画」における経営指標として、「営業利益」及び「純有利子負債残高/EBITDA倍率」をそれぞれ採用しております。

当連結会計年度末における各指標の状況、及び「共創140計画」で掲げる数値目標はそれぞれ以下のとおりであります。

経営指標

2022年度

(実績)

2024年度

(目標)

営業利益(※1)

220億円

280億円

純有利子負債残高/EBITDA(※2)倍率

8.8倍

7.5倍以下

(※1)営業利益+受取配当金

(※2)営業利益+受取配当金+減価償却費

 

③  資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.資金調達の方法及び状況

資金調達につきましては、鉄道事業等における設備投資に対する㈱日本政策投資銀行からの借入金のほか、社債及び金融機関からの借入金など、市場の環境や金利の動向等を総合的に勘案したうえで決定しております。

また、資金調達手法の一つとして複数の金融機関との間でコミットメントライン契約を締結しております。

さらに、当社グループの資金効率向上のため、キャッシュマネジメントシステム(CMS)を導入し、極力グループ内資金を有効活用する仕組みを構築しております。

このほか、大規模自然災害等が発生した場合の対処として、震災対応型コミットメントライン契約を締結しております。

 

b.資金需要の動向

「南海グループ経営ビジョン2027」達成に向けた10年間(2018年度~2027年度)は、基本的には営業キャッシュ・フローを成長投資に優先配分し、収益力向上を通じた財務体質の強化をめざすこととしておりますが、当連結会計年度は新型コロナウイルス感染症の影響を受け、コスト削減を徹底するとともに、安全性・緊急性を判断した上で設備投資の抑制に努めました。なお、当連結会計年度における各セグメントの設備投資等の概要については、「第3 設備の状況」に記載のとおりであります。

配当の基本方針は、長期にわたる安定的な経営基盤の確保と財務体質の強化に努めつつ、収益のさらなる向上をはかることにより安定的な配当を実施することとしております(配当政策については、「第4 提出会社の状況 3.配当政策」をご覧下さい。)。なお、内部留保資金は、鉄道事業の安全対策を中心とする設備投資のほか、当社グループの持続的な成長のための投資、財務体質の強化等に充当する考えであります。

 

④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたり、経営者は、決算日における資産・負債及び報告期間における収入・費用の金額並びに開示に影響を与える見積り及び予測を行わなければなりません。これらの見積りについては、過去の実績や状況等に応じ合理的だと考えられるさまざまな要因に基づき見積り及び判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 

なお、当社グループの連結財務諸表で採用されている重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

 

当連結会計年度における、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響に関する仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

当社グループで重要であると考える会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定には、以下のようなものがあります。

a.固定資産の減損損失

当社グループは、管理会計上の区分を基礎に、事業ごと又は物件ごとに資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。回収可能価額は、資産グループの事業計画に基づく将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額など多くの前提条件に基づいて算出しております(当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結損益計算書関係)」に記載しております。)。これらの前提条件は長期的な見積りに基づくため、将来の当該資産グループを取り巻く経営環境の変化による収益性の変動や市況の変動により、回収可能価額を著しく低下させる変化が見込まれた場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。

 

b.退職給付に係る資産・負債

当社グループは、退職給付債務及び費用について、年金資産の長期期待運用収益率や割引率等数理計算上で設定される仮定に基づいて算出しております(当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(退職給付関係)」に記載しております。)。これらの仮定と実際の結果との差額は累計され、将来の会計期間にわたって費用化されます。使用した仮定は妥当なものと考えておりますが、実際の結果との差異又は仮定自体の変更が生じた場合には、損益及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

c.繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保でき、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について算出しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積額の前提条件や仮定に変更が生じた場合には、繰延税金資産が増額又は減額され、損益及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

d.完成工事高及び完成工事原価

工事契約において、一定の期間にわたり充足される履行義務については、期間がごく短い工事を除き、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗度に基づく収益及び費用を計上しております。計上にあたっては取引価格、工事原価総額及び当連結会計年度末における履行義務の充足に係る進捗度を合理的に見積っております。

取引価格については、当初契約金額及び追加変更契約金額に基づいておりますが、過去に実績のある一部の工事については、自社で合理的な見積りを実施しております。工事原価総額については、図面や仕様書に基づき、詳細な積み上げ計算を行い、状況の変化に応じて見直しを実施しております。

また、当連結会計年度末における履行義務の充足に係る進捗度についてはインプット法を採用し、当連結会計年度末までに発生した工事原価累計額が予想される工事原価総額に占める割合をもって決算日における進捗度とする方法を採用しております。

この見積りが、建設資材及び労務外注の調達遅れや価格高騰、市況の変動等も含め、工事着工後の状況の変化により大きく変動した場合は、当社グループの損益及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。