売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E04235 Japan GAAP

売上高

2.39兆 円

前期

2.62兆 円

前期比

91.3%

時価総額

2.15兆 円

株価

4,663 (07/12)

発行済株式数

461,000,000

EPS(実績)

495.89 円

PER(実績)

9.40 倍

平均給与

1,378.8万 円

前期

1,322.2万 円

前期比

104.3%

平均年齢(勤続年数)

39.8歳(13.9年)

従業員数

1,312人(連結:35,243人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

 当社グループは、定期船事業、航空運送事業、物流事業、不定期専用船事業、不動産業、その他の事業の6部門に属する事業を行っています。各事業における当社及び関係会社の位置付け等は次のとおりです。

 なお、次の6部門は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメント情報の区分と同一です。

 詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりです。

 

 2024年3月31日現在の社名を記載しています。

 

(定期船事業)

 当社及び当社の関係会社が運賃、貸船料、コンテナ関連収益等の収受を目的として、定期船による国際的な海上貨物輸送、コンテナターミナル業、港湾運送業、曳船業を行っています。

主な関係会社

㈱ユニエツクスNCT、㈱新日本海洋社、旭運輸㈱、郵船港運㈱、日本コンテナ輸送㈱、内海曳船㈱、㈱ホンマ、

OCEAN NETWORK EXPRESS PTE. LTD.

 

(航空運送事業)

 当社の関係会社が航空運送業を行っています。

主な関係会社

日本貨物航空㈱

 

(物流事業)

 当社及び当社の関係会社が倉庫業、貨物運送取扱業、沿海貨物海運業をグローバルに展開し、海・陸・空の総合物流ネットワークを提供しています。

主な関係会社

郵船ロジスティクス㈱、近海郵船㈱、カメリアライン㈱、

YUSEN LOGISTICS (AMERICAS) INC.、YUSEN LOGISTICS (CHINA) CO., LTD.、YUSEN LOGISTICS (UK) LTD.、

YUSEN LOGISTICS (DEUTSCHLAND) GMBH、TASCO BHD.

 

(不定期専用船事業)

 当社及び当社の関係会社が運賃、貸船料、運航受託手数料等の収受を目的として、不定期船、タンカー等による国際的な海上貨物輸送、船舶貸渡業、その他海運事業を行っています。

主な関係会社

NYKバルク・プロジェクト㈱、旭海運㈱、三菱鉱石輸送㈱、八馬汽船㈱、太平洋汽船㈱、

INTERNATIONAL CAR OPERATORS N.V.、SAGA SHIPHOLDING (NORWAY) AS、NYK BULKSHIP (ASIA) PTE. LTD.、

NYK BULKSHIP (ATLANTIC) N.V.、NYK BULKSHIP (KOREA) CO., LTD.、NSユナイテッド海運㈱、共栄タンカー㈱、TATA NYK SHIPPING PTE. LTD.

 

(不動産業)

 当社及び当社の関係会社が不動産の賃貸・管理・販売業を行っています。

主な関係会社

共立エステート㈱

 

(その他の事業)

 当社の関係会社が客船事業、機械器具卸売業(船舶用)、その他運輸付帯サービス業、情報処理サービス業、石油製品の卸売業、その他各種事業を行っています。

主な関係会社

郵船商事㈱、㈱NYK BUSINESS SYSTEMS、㈱郵船商事マリン、郵船クルーズ㈱

事業系統図

 以上述べました事項を事業系統図によって示しますと、次のとおりです。

※画像省略しています。

 

24/06/19

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

1.経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は以下のとおりです。

(1)経営成績の状況

 

(単位:億円)

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

増減率

売上高

26,160

23,872

△2,288

△8.7%

売上原価

21,059

19,739

△1,319

△6.3%

販売費及び一般管理費

2,137

2,385

247

11.6%

営業利益

2,963

1,746

△1,216

△41.1%

経常利益

11,097

2,613

△8,484

△76.5%

親会社株主に帰属する当期純利益

10,125

2,286

△7,839

△77.4%

 

平均為替レート

135.07円/US$

143.82円/US$

8.75円 円安

平均消費燃料油価格

US$760.72/MT

US$620.83/MT

139.89US$ 安

 

(概況)

 当連結会計年度の業績は、売上高2兆3,872億円、営業利益1,746億円、経常利益2,613億円、親会社株主に帰属する当期純利益2,286億円となりました。なお、営業外収益で持分法による投資利益として996億円を計上しました。うち、当社持分法適用会社であるOCEAN NETWORK EXPRESS PTE. LTD.(“ONE社”)からの持分法による投資利益計上額は534億円となりました。

 

<セグメント別概況>

 当連結会計年度のセグメント別概況は以下のとおりです。

(単位:億円)

 

 

売上高

経常利益

前連結

会計年度

当連結

会計年度

増減額

増減率

前連結

会計年度

当連結

会計年度

増減額

ロラ

ジイ

スナ

テ|

ィ&

定期船事業

2,007

1,923

△83

△4.2%

7,906

678

△7,227

航空運送事業

2,180

1,611

△569

△26.1%

615

57

△557

物流事業

8,624

7,022

△1,601

△18.6%

542

259

△283

不定期専用船事業

12,408

12,316

△91

△0.7%

2,104

1,702

△401

不動産業

33

31

△2

△6.7%

13

15

2

その他の事業

2,345

2,196

△149

△6.4%

5

20

14

 

 当連結会計年度より、報告セグメント別の経営成績をより適切に反映させるため、各セグメントに帰属する利息額等の算定方法を変更しています。各セグメントの売上高に与える影響はありません。なお、前連結会計年度の経常利益は、変更後の測定方法に基づき作成したものを開示しています。

 

<定期船事業>

 コンテナ船部門:第3四半期までは欧米を中心とした金利上昇、インフレ等により貨物需要が低迷したことに加え、新造船竣工によって船腹供給量が増加したことで、市況は低調に推移しました。第4四半期においては、紅海情勢に起因する需給逼迫により市況が上昇しましたが、通年では前連結会計年度の水準を下回りました。ONE社においても、通年では運賃が大幅に下落したことにより、利益水準は前連結会計年度を下回りました。

 

 ターミナル関連部門:国内では、コンテナ船のスケジュールが正常化したことにより、取扱量は前連結会計年度比で増加しました。海外では、9月末に北米西岸ターミナルの関係会社株式を売却したことにより、取扱量は前連結会計年度比で減少しました。

 

 以上の結果、定期船事業全体では前連結会計年度比で減収減益となりました。

 

<航空運送事業>

 9月半ばから12月半ばにかけて一時的な需要の回復が見られましたが、通年では需要の低迷が継続し、また国際旅客便の回復に伴う供給スペースの増加により、運賃水準は前連結会計年度比で低下しました。

 

 以上の結果、航空運送事業では前連結会計年度比で減収減益となりました。

 

<物流事業>

 航空貨物取扱事業:下期はアジア発を中心に荷動きの回復が見られたものの、通年では取扱量は前連結会計年度比で減少し、利益水準は低下しました。

 

 海上貨物取扱事業:年間を通じて長距離航路を中心に荷動きが低迷し、また市況下落により販売価格が低下したことにより、取扱量は前連結会計年度比で減少し、利益水準は低下しました。

 

 ロジスティクス事業:北米域内における一般消費財の底堅い需要や、欧州域内でのEコマース・ヘルスケア・自動車関連産業の好調な荷動きにより、安定的に推移しました。

 

 以上の結果、物流事業全体では前連結会計年度比で減収減益となりました。

 

<不定期専用船事業>

 自動車事業部門:港湾混雑やパナマ運河の通航制限、中東情勢の影響等が続く中、完成車生産台数の回復及び堅調な販売により、輸送台数は前連結会計年度並みの水準となりました。自動車物流は欧州やインド、メキシコ、東南アジアの一部地域において取扱台数が前連結会計年度比で増加しました。

 

 ドライバルク事業部門:ケープサイズは、8月まで中国の景気低迷の影響を受けましたが、9月以降は季節的な需要や中国の追加景気刺激策によりセンチメントが好転したことに加え、大西洋水域の船腹需給が引き締まったことにより、通年の市況は下期が牽引し前連結会計年度の水準を上回りました。パナマックスサイズ以下は、石炭と穀物の荷動きは堅調に推移し、市況は12月以降に前連結会計年度を上回る水準となったものの、通年では好調だった前連結会計年度の水準を下回りました。このような環境下、先物取引を用いた市況変動リスク低減に取り組み、長期契約獲得による収入の安定化と効率的な運航によるコスト削減に努めました。

 

 エネルギー事業部門:VLCC(大型原油タンカー)の市況は、第2四半期は主要産油国による減産や季節的な不需要期のため軟化しましたが、需要期の第3四半期以降は米国・中南米出しの輸出が伸びたことで回復したことにより、通年では前連結会計年度の水準を上回りました。石油製品タンカーにおいては、ロシア・ウクライナ情勢の影響により航路の長距離化が継続したことで、船腹需給が引き締まりました。VLGC(大型LPGタンカー)の市況は、米国からアジア地域への長距離輸送が増加し、パナマ運河の通航制限により船腹需給が引き締まった結果、9月に過去最高値を更新しました。第4四半期には米国からの輸送需要が鈍化したことで市況は下落しましたが、通年では前連結会計年度の水準を上回りました。LNG船は、安定的な収益を生む長期契約に支えられて順調に推移しました。海洋事業は、FPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)、ドリルシップ、シャトルタンカーが順調に稼働しました。

 

 以上の結果、不定期専用船事業全体では前連結会計年度比で減収減益となりました。

 

<不動産業、その他の事業>

 不動産業:前連結会計年度比で減収増益となりました。

 

 その他の事業:燃料価格低下に伴い燃料油販売事業が低調に推移したものの、船用品・船用資材販売事業は堅調に推移しました。客船事業においては、11月中旬から電気関係機器の新換装を含む船体整備を実施しました。その結果、その他の事業全体では前連結会計年度比で減収増益となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比べて513億円減少し、1,448億円となりました。

 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益3,188億円、減価償却費1,416億円、持分法による投資損益△996億円、利息及び配当金の受取額1,715億円等により4,014億円(前年同期8,248億円)となりました。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、船舶を中心とする固定資産の取得及び売却等により△2,856億円(前年同期△2,529億円)となりました。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、短期及び長期借入金の増加、自己株式の取得や配当金の支払い等により△1,634億円(前年同期△5,812億円)となりました。

 

(3)生産、受注及び販売の実績

 当社グループは国際的な海上貨物運送業を中核として多角的事業を展開しているため、生産、受注の各実績を求めることが実務的に困難であり、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示していません。

 当連結会計年度における売上高をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

定期船事業

192,353

95.8

航空運送事業

161,186

73.9

物流事業

702,299

81.4

不定期専用船事業

1,231,654

99.3

不動産業

3,127

93.3

その他の事業

219,604

93.6

2,510,225

91.0

消去

(122,984)

85.5

合計

2,387,240

91.3

(注) 売上高に対する割合が10%以上の顧客はいません。

 

2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの財政状態及び経営成績等の状況に関する分析・検討の内容は以下のとおりです。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

(1)財政状態及び経営成績等の分析

 当連結会計年度末の総資産は、船舶を中心とする有形固定資産や投資有価証券の増加等により、前連結会計年度末に比べ4,779億円増加し、4兆2,547億円となりました。有利子負債は、短期借入金の増加等により2,197億円増加して9,138億円となり、負債合計額も3,096億円増加し、1兆5,614億円となりました。純資産の部では、利益剰余金が866億円増加し、株主資本とその他の包括利益累計額の合計である自己資本が2兆6,503億円となり、これに非支配株主持分429億円を加えた純資産の合計は、2兆6,933億円となりました。これらにより、有利子負債自己資本比率(D/Eレシオ)は0.34に、また自己資本比率は62.3%となりました。なお、D/Eレシオ算定上の有利子負債は連結貸借対照表上に計上されている負債のうち、借入金、社債、コマーシャル・ペーパー及びリース債務を対象としています。経営成績については「1.経営成績等の状況の概要(1)経営成績の状況」をご参照ください。

 

(2)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況

 当社グループは、2023年4月から開始する4カ年の中期経営計画として“Sail Green, Drive Transformations 2026 - A Passion for Planetary Wellbeing -”を策定しました。“Sail Green, Drive Transformations 2026 - A Passion for Planetary Wellbeing -”の利益・財務目標並びに2023年度実績については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)中長期的なグループ経営戦略及び目標とする経営指標及び(3)中長期的なグループ経営戦略と優先的に対処すべき課題」をご参照ください。

 

(3)キャッシュ・フローの状況の分析並びに資本の財源及び資金の流動性

① キャッシュ・フローの状況

 「1.経営成績等の状況の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

② 資金需要

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループの不定期専用船事業運営に関する海運業費用です。この中には燃料費・港費・貨物費等の運航費、船員費・船舶修繕費等の船費及び借船料などが含まれます。このほか物流事業や航空運送事業等の運営に関する労務費等の役務原価、各事業についての人件費・情報処理費用・その他物件費等の一般管理費があります。一方、設備資金需要としては、中期経営計画における船舶脱炭素化投資など既存事業への投資、新規事業やM&A投資を予定しています。当連結会計年度中には3,358億円の設備投資を行いました。

 

③ 財務政策

 当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金については、財務の健全性を損なうことなく、また、過度に特定の市場リスクに晒されることなく安定的に確保するために、金融機関からの借入や社債、コマーシャル・ペーパーの発行による調達を行うこととしているほか、船舶に関してはリース等を活用しています。

 当社グループの主要な設備である船舶投資については、営業活動によって個々の船舶が将来収受する運賃もしくは貸船料収入の通貨や期間にあわせた長期の借入のほか、社債発行により調達した資金や内部留保した資金も投入しています。運転資金については、主に期間が1年以内の短期借入並びにコマーシャル・ペーパーの発行により調達することとしていますが、一部長期の借入によっても調達しています。2024年3月31日現在の短期及び長期借入金の残高は6,560億円で、通貨は円のみならず米ドル等の外貨建借入金を含んでおり、金利は変動及び固定です。また、資本市場から調達した社債の残高は、2024年3月31日現在1,070億円となっています。

 当社グループは、資金の流動性確保に努めており、2024年3月31日現在1,000億円のコマーシャル・ペーパー発行枠に加え、予備的借入枠として円建て及び米ドル建てコミットメントライン(借入枠)を有しているほか、キャッシュマネージメントシステム等を活用しグループ内金融による資金効率向上にも取組んでいます。

 なお、当社は国内2社、海外1社の格付機関から格付を取得しています。2024年3月31日現在の負債格付(長期)は、日本格付研究所(JCR):「AA-」、格付投資情報センター(R&I):「A」、ムーディーズ・インベスターズ・サービス:「Ba1」となっています。

 

(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されています。その作成にあたっては経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りが必要となります。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案して合理的に判断していますが、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社は、特に以下の重要な会計方針が、当社の連結財務諸表の作成における重要な見積りの判断に影響を及ぼすと考えています。

① 収益の認識

 当社グループの収益の認識は、主に一定の期間にわたり充足される履行義務として、航海期間及び輸送期間における日数等に基づき進捗度を見積り、当該進捗度に基づき収益を一定の期間にわたり認識しています。

 

② 貸倒引当金

 当社グループは、売上債権等の貸倒損失に備えて回収不能となる見積額を貸倒引当金として計上しています。将来、債務者の財政状況の悪化等の事情によってその支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。

 

③ 投資の評価について

 当社グループは、金融機関や取引先等の株式を保有しています。これらの株式は、市場価格が存在する株式等に関して原則として市場価格にて評価を行い、市場価格の存在しない株式等に関しては投資先の財政状態等を勘案し、価値の下落が一時的でないと判断する場合には減損処理を行います。

 

④ 減価償却資産の償却

 当社グループは、有形及び無形の減価償却資産を保有しています。これらの減価償却資産は、合理的と判断される償却方法及び償却期間で償却されていますが、実際の資産価値の減価は会計上の減価償却による貸借対照表価額の減少とは異なる場合があります。

 

⑤ 退職給付

 従業員の退職給付債務及び費用は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されています。これらの前提条件には、割引率、昇給率、退職率及び年金資産の長期期待運用収益率等が含まれます。当社グループは毎年数理計算の基礎となる前提条件を見直しており、必要に応じて、その時々の市場環境等をもとに調整を行っています。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、退職給付債務及び費用に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 繰延税金資産

 当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積っています。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存しますので、その見積額が減少し繰延税金資産の一部又は全部を将来実現できないと判断した場合、あるいは税率変動等を含む各国税制の変更等があった場合、その判断を行った期間に繰延税金資産が減額され税金費用が計上されます。

 

⑦ 固定資産の減損

 当社グループは、原則として事業用資産においては投資の意思決定を行う事業ごとにグルーピングを行い、賃貸不動産、売却予定資産及び遊休資産等においては個別物件ごとにグルーピングを行っています。資産グループの回収可能価額が帳簿価額を下回った場合は、帳簿価額を回収可能価額まで減額しています。なお、資産グループの回収可能価額は正味売却価額と使用価値のいずれか高い価額としています。正味売却価額は第三者により合理的に算定された評価額等により、使用価値は将来キャッシュ・フローに基づき算定しています。

 

(5)今後の見通し

<定期船事業>

 コンテナ船部門:輸送需要の本格的な回復には時間を要し、また新造船竣工がピークを迎えることにより需給バランスの軟化が見込まれますが、上期は紅海情勢に起因する喜望峰ルートの利用が継続し、船腹需給が引き締まった状態が続くことを想定しています。

 

<航空運送事業>

 アジア発北米向けの貨物需要は堅調な見通しですが、当連結会計年度(2024年3月期)に予定していた一部の整備が翌連結会計年度(2025年3月期)へ延期になったこと等により、コスト増加を見込んでいます。なお、2024年3月22日付の適時開示のとおり、一部の国・地域における当局による競争法の審査が継続していることから、日本貨物航空株式会社とANAホールディングス株式会社との株式交換の実行時期が2024年4月1日(予定)から2024年7月1日(予定)に変更となりました。

 

 (注)上記は当連結会計年度末における見通しです。その後、日本貨物航空株式会社とANAホールディングス株式会社との株式交換の実行時期が2024年7月1日(予定)から2025年3月31日(予定)に変更となったことを2024年6月10日に適時開示しています。

 

<物流事業>

 航空貨物取扱事業・海上貨物取扱事業:取扱量は当連結会計年度比で増加するものの、運賃水準の低下により利益水準は低下することを見込んでいます。

 

 ロジスティクス事業:北米域内を中心に引き続き堅調な需要を見込んでいます。

 

<不定期専用船事業>

 自動車事業部門:欧州を中心に景気後退の懸念があり、またロシア・ウクライナ情勢や中東情勢等の地政学リスクにも注視が必要であるものの、輸送需要は引き続き強い見通しです。

 

 ドライバルク事業部門:ケープサイズの市況は、中国向けの鉄鉱石の荷動きやギニア出しのボーキサイトの輸送需要に支えられ、概ね当連結会計年度と同水準となることを見込んでいます。パナマックスサイズ以下の市況は、当連結会計年度の水準を上回ることを想定しています。

 

 エネルギー事業部門:VLCCは、業界全体で新造船の竣工が限定的であり、また老朽化に伴う解撤が進むことにより船腹需給が引き締まり、市況は当連結会計年度比で上昇することを想定しています。VLGCの市況は、好調であった当連結会計年度の水準は下回るものの、引き続き高水準で推移することを想定しています。また、LNG船は中長期契約による安定収益及び新規プロジェクトの開始に支えられ、堅調に推移する見通しです。

 

 以上を踏まえ、翌連結会計年度は当連結会計年度比で減収減益を見込んでいます。