売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E04243 Japan GAAP

売上高

1,413.2億 円

前期

1,041.0億 円

前期比

135.8%

時価総額

1,318.8億 円

株価

1,211 (04/25)

発行済株式数

108,900,000

EPS(実績)

214.67 円

PER(実績)

5.64 倍

平均給与

1,143.3万 円

前期

942.3万 円

前期比

121.3%

平均年齢(勤続年数)

37.9歳(13.0年)

従業員数

183人(連結:669人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

 当社グループは、提出会社(飯野海運株式会社、以下当社という。)のほか連結対象子会社65社、持分法適用会社8社及び連結対象外の関係会社9社(2023年3月31日現在)で構成され、外航海運業、内航・近海海運業及び不動産業の3事業を行っております。各事業における当社及び関係会社の位置付けなどは次の通りであります。

 

(外航海運業)

 船舶の運航、貸渡、用船、管理、海運仲立業及び代理店業を行っております。

  主な関係会社

   (船舶の貸渡)        AZALEA TRANSPORT S.A.

   (船舶の管理)        イイノマリンサービス㈱

   (海運仲立業)        イイノエンタープライズ㈱

 

 (内航・近海海運業)

 船舶の運航、貸渡及び管理を行っております。

  主な関係会社

   (船舶の運航、貸渡及び管理) イイノガストランスポート㈱

 

(不動産業)

 ビルの賃貸、管理、倉庫業及び不動産関連事業を行っております。

  主な関係会社

   (ビルの管理)        イイノ・ビルテック㈱

   (倉庫業)          泰邦マリン㈱

   (不動産関連事業)      ㈱イイノ・メディアプロ

   (海外不動産業)       IKK HOLDING LTD

 

事業の系統図は、次の通りです。

 

※画像省略しています。

 

23/06/28

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

業績等の概要

(1) 業績

当連結会計年度(以下、「当期」という。)の世界経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19。以下、「感染症」という。)の流行が一服した一方、ロシア・ウクライナ情勢等に起因する高インフレや金融引き締めを背景に、景気は緩やかに減速しました。また、3月に複数の米国銀行の経営破綻や欧州の大手金融機関の経営不安が発覚し、景気の先行き不透明感が強まりました。

米国では、個人消費や雇用は底堅いものの、高インフレや利上げにより景気は減速しました。欧州では、高インフレによる物価高の影響で個人消費が大幅に減少したこと等から、景気は足踏みが続きました。中国では、景気の停滞が続いておりましたが、ゼロコロナ政策の撤廃により年明け以降経済活動の回復が進み、景気は持ち直しの動きが広がりました。我が国の経済は、一部に弱さがみられるものの、サービス消費を中心に緩やかに持ち直しました。

 

当社グループの海運業を取り巻く市況は、前期より好調であったドライバルク船においては、世界経済の減速等により軟化する場面もありましたが、主力とするケミカルタンカーや、大型ガス船においては、ウクライナ情勢に起因する海上物流の変化等から非常に高い水準で推移しました。このような状況の下、当社グループでは、既存契約の有利更改や効率配船への取り組み等により、運航採算の向上を図りました。不動産業においては、当社所有ビルの商業フロアの営業やイイノホール&カンファレンスセンター等で感染症の影響を受けましたが、オフィスフロアは順調な稼働を継続したことから、全体としては安定した収益を確保しました。

 

以上に加え、為替が前年度と比較し円安(対US$)で推移した結果、売上高は1,413億24百万円(前期比35.8%増)、営業利益は198億35百万円(前期比163.6%増)、経常利益は206億77百万円(前期比119.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は226億81百万円(前期比81.1%増)となり、売上高及び各段階利益において過去最高を達成しました。

 

各セグメント別の状況は次の通りです。

 

①外航海運業

当期の外航海運市況は以下の通りです。

大型原油タンカー市況は、中国の原油輸入量減少の影響により低迷しておりましたが、ロシア産原油の代替として中東、米国及び西アフリカから欧州向け輸送需要が増加したことに加え、OPECプラスの協調減産縮小の影響もあり、夏場より回復しました。秋口から年初にかけて一時軟化する局面もありましたが、引き続き大西洋の荷動きが活発であることに加え、中国経済の回復に伴い原油需要が増加したことから、市況は再び上昇し当期末を迎えました。

ケミカルタンカー市況は、競合するプロダクトタンカーが同市況の上昇を受けケミカルタンカー市場から退出したことに加え、ウクライナ情勢に起因するアジア、米国及び中東から欧州への旺盛な輸送需要を背景に船腹需給が引き締まり、通期にわたって非常に高い水準で推移しました。

大型ガス船のうち、LPG船市況は、夏場の不需要期や年初に一時弱含みましたが、北米の堅調な輸出、アジア向け需要の回復、パナマ運河での滞船増加による船腹需給の引き締まり及び新造船の竣工遅延を背景に急上昇し、歴史的な好況となりました。LNG船市況は、ウクライナ情勢により欧州へのLNG輸送需要が増加したことや、冬場の需要期に備えた船腹確保の動きが活発化したことにより、秋口に高騰したものの、欧米における暖冬の影響によりLNG在庫量が増加したため、年明け以降は下落しやや低調に推移しました。

ドライバルク船市況は、ウクライナ情勢による海上物流の変化や混乱を受け堅調に推移しておりましたが、夏場以降は、高インフレや利上げによる世界的な経済活動の減速や、ゼロコロナ政策を継続した中国経済の回復の遅れを背景に荷動きが大きく減少し、軟化しました。しかしながら、年初以降は中国での粗鋼生産量増加を背景に荷動きが増えたことで市況は底を打ち、緩やかに回復し当期末を迎えました。

 

なお、当期における当社グループの平均為替レートは¥135.07/US$(前期は¥112.06/US$)、平均船舶燃料油価格(適合燃料油)$802/MT(前期はUS$558/MT)となりました。

 

このような事業環境の下、当社グループの外航海運業の概況は以下の通りとなりました。

大型原油タンカーにおいては、支配船腹を長期契約に継続投入し、業績の下支えに貢献しました。

ケミカルタンカーにおいては、当社の基幹航路である中東域から欧州及びアジア向けをはじめとする安定的な数量輸送契約に加え、アジア出しのスポット貨物を積極的に取り込んだことで、運航採算は大きく向上しました。

大型ガス船においては、LPG船・LNG船共に、既存の中長期契約を中心に安定収益を確保したことに加え、一部船舶が好市況を享受しました。また当期末には、LPGを推進燃料とし、温室効果ガスの排出量を削減可能かつ、クリーンエネルギーとして注目されているアンモニアを貨物として積載可能な、当社初の大型LPG船が竣工しました。

ドライバルク船においては、専用船が順調に稼働し安定収益確保に貢献しました。また、ポストパナマックス型及びハンディ型を中心とする不定期船においても、契約貨物への投入を中心に効率的な配船と運航に努め、夏場以降の市況下落の影響を一部で受けながらも、通期では期初の予想を大きく上回る運航採算を確保することができました。

 

以上の結果、外航海運業の売上高は1,179億77百万円(前期比42.9%増)、営業利益は154億40百万円(前期比439.8%増)となりました。

 

②内航・近海海運業

当期の内航・近海海運市況は以下の通りです。

内航ガス輸送の市況は、プラントの定期修繕等による石油化学ガスの一時的な出荷量減少の影響を受けましたが、全体としては産業用LPGの底堅いプラント間転送需要により、総じて堅調に推移しました。民生用LPGにおいては、夏場まで感染症再拡大による外食及び観光産業需要減少の影響を受け低調に推移しましたが、秋口以降は経済活動の回復と、冬場の季節要因により需要が増加したことを背景に、輸送需要は回復傾向となりました。

近海ガス輸送の市況は、中国のゼロコロナ政策による経済鈍化により、夏場からプロピレンや塩化ビニルモノマーの輸送需要が低迷した影響はあったものの、LPGの安定した海上輸送需要に加え、新造船の竣工が限定的であったため、当社が主力とするアジア域では通期にわたって堅調に推移しました。

 

このような事業環境の下、当社グループの内航・近海海運業は、既存契約を中心に効率配船に取り組み、安定的な収入を確保しました。

 

以上の結果、内航・近海海運業の売上高は105億3百万円(前期比10.2%増)、営業利益は5億94百万円(前期比15.6%増)となりました。

 

③不動産業

当期の不動産市況は以下の通りです。

都心のオフィスビル賃貸市場においては、事務所集約移転等の新規の需要もみられるようになりましたが、大企業を中心とするリモートワークの浸透によるオフィス需要減少に伴う賃料の下落が続き、空室率も依然として6%台と高い水準で推移しました。

貸ホール・貸会議室においては、先行して需要の回復がみられていた文化系催事に続き、ビジネス系催事においても、依然として感染症への警戒は根強いものの、需要の持ち直しの動きが顕著となりました。

不動産関連事業のフォトスタジオ事業においては、感染症の影響はあるものの、撮影需要は改善傾向となりました。

英国ロンドンのオフィスビル賃貸市場においては、感染症対策のための各種規制が解除されたことを背景にオフィス需要は回復傾向にありましたが、需要を上回る新規供給がみられ空室率は上昇しました。

 

このような事業環境の下、当社グループの不動産業の概況は以下の通りとなりました。

当社所有ビルにおいては、オフィスフロアが堅調な稼働を継続し、安定した収益を維持しました。商業フロアにおいては、感染症の影響を受けたものの、一部空室を解消することができました。

当社グループのイイノホール&カンファレンスセンターにおいては、文化系催事の需要が回復し、ビジネス系催事においても、配信や収録を利用したイベントに加え、10月以降は対面式イベント需要の回復もみられ、稼働は改善に向かいました。

フォトスタジオ事業を運営する㈱イイノ・メディアプロにおいては、感染症の影響を受けたものの、主力のスタジオ部門は稼働が改善傾向となりました。

英国ロンドンのオフィスビル賃貸事業においては、オフィスフロア・商業フロア共に順調に稼働し、収益を維持しました。

 

以上の結果、不動産業の売上高は129億30百万円(前期比5.5%増)、営業利益は38億1百万円(前期比8.4%減)となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当期の「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、352億68百万円のプラス(前期は157億82百万円のプラス)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益241億92百万円を計上したことによるものです。

「投資活動によるキャッシュ・フロー」は184億88百万円のマイナス(前期は31億15百万円のマイナス)となりました。これは主に船舶及び不動産への設備投資を中心とした固定資産の取得による支出216億73百万円によるものです。

「財務活動によるキャッシュ・フロー」は132億46百万円のマイナス(前期は148億24百万円のマイナス)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出248億63百万円が、長期借入れによる収入181億91百万円を上回ったことによるものです。

以上の結果、「現金及び現金同等物の当期末残高」は155億21百万円(前期末は116億54百万円)となりました。

 

生産、受注及び販売の実績

この項目は「業績等の概要(1)業績」の記載に含めて記載しております。

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、期末日における資産・負債の報告金額及び報告期間における収益・費用の報告金額に影響を与える見積り及び仮定設定を行わなければなりません。当社グループ経営陣は、債権の貸倒、棚卸資産、投資、法人税等、財務活動、退職金、偶発事象や訴訟等に関する見積り及び判断に対して、継続して評価を行っております。過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行い、その結果は、他の方法では判定しにくい資産・負債の簿価及び収益・費用の報告金額についての判断の基礎となります。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループにおける重要な会計上の見積りに関する情報は、「第5 経理の状況 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照下さい。

 

(2) 経営成績の分析

① 損益の分析

 当期における売上高は、前期比35.8%増の1,413億24百万円となりました。なお、各セグメントの売上高の概要は、「業績等の概要(1)業績」に記載の通りであります。

 営業利益は前期比163.6%増の198億35百万円となりました。なお、各セグメントの営業利益の概要は、「業績等の概要(1)業績」に記載の通りであります。

 経常利益は、前期比119.2%増の206億77百万円となりました。これは為替差損益の減少もありましたが、主に営業利益の増加によるものです。

 親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比81.1%増の226億81百万円となりました。これは固定資産売却益の減少もありましたが、主に経常利益の増加によるものです。

 

② 財政状態の分析

 当期末の総資産残高は前期末に比べ183億23百万円増加し、2,654億53百万円となりました。これは主に船舶の竣工による増加や設備投資の進捗に伴う建設仮勘定の増加によるものです。

 負債残高は前期末に比べ10億32百万円減少し、1,547億65百万円となりました。これは主に長期借入金の返済によるものです。

 純資産残高は前期末に比べ193億55百万円増加し、1,106億88百万円となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益計上に伴う利益剰余金の増加によるものです。

以上の結果、当期末の連結自己資本比率は41.7%(前期末は36.9%)となりました。

 

(3) 流動性及び資金の源泉

① 資金需要

 当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは当社グループの外航海運業と内航・近海海運業により構成される海運業に関わる運航費、船費、借船料と不動産業に関わる管理費、営繕費等の不動産業費用、各事業についての一般管理費等があります。また、設備資金需要としては船舶投資と不動産投資に加え、情報処理の為の無形固定資産投資等があります。

② 財務政策

 当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用や金融機関からの借入及び社債の発行により資金調達を行っており、運転資金及び設備資金につきましては、国内、海外子会社のものを含め当社において一元管理しております。

 当社グループの主要な事業資産である船舶の調達に当たっては、船主からの中長期用船や裸用船のバランスも考慮に入れ、当社グループ全体の有利子負債の削減を図っております。円建て、米ドル建ての借入金を含む当期末の有利子負債残高(リース債務を除く)は1,146億84百万円となりました。

 また、資金調達コストの低減に努める一方、過度に金利変動リスクに晒されないよう、設備資金の借入の大部分について金利スワップなどの手段を活用しております。

 当社グループは国内2社の格付機関から格付を取得しており、本報告書提出時点において、日本格付研究所:

「BBB+」、格付投資情報センター:「BBB」となっております。また、金融機関には充分な借入枠を有しており、当社グループの事業の維持拡大、運営に必要な運転、設備資金の調達は今後も可能であると考えております。また、国内金融機関において複数年を含む合計180億円並びにUS$6千万のコミットメントラインを設定しており、流動性の補完にも対応が可能となっております。

 

③ キャッシュ・フロー

 「業績等の概要(2)キャッシュ・フローの状況」をご覧下さい。