E38082
前期
471.5億 円
前期比
179.6%
株価
931 (05/02)
発行済株式数
60,329,400
EPS(実績)
94.91 円
PER(実績)
9.81 倍
前期
544.7万 円
前期比
97.5%
平均年齢(勤続年数)
37.1歳(8.2年)
従業員数
2,393人
当社は、長らく大手数社の寡占により運賃が高止まり状態にあった航空業界に競争原理を起こすべく設立された航空会社であります。当社は設立以来、安全運航を使命とし、社会に役立つ存在となるべくお客様に適正な運賃を提供することを理念としております。なお、当社は、航空事業の単一セグメントであり、セグメント情報の記載を省略しております。
(1)事業の概要
当社の航空事業の概要は次のとおりであります。
事業 |
概要(2023年3月31日現在) |
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航空事業 |
旅客運送事業 |
定期航空運送事業 |
羽田―新千歳線(1日9往復) |
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羽田―神戸線(1日6往復) |
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羽田―福岡線(1日12往復) |
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羽田―鹿児島線(1日4往復) |
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羽田―那覇線(1日6往復) |
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羽田―宮古(下地島)路線(1日1往復) |
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茨城―新千歳線(1日2往復) |
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茨城―福岡線(1日1往復) |
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茨城―那覇線(1日1往復) |
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中部―新千歳線(1日3往復) |
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中部―鹿児島線(1日2往復) |
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中部―那覇線(1日3往復) |
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神戸―新千歳線(1日3往復) |
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神戸―仙台線(1日2往復) |
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神戸―茨城線(1日3往復) |
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神戸―長崎線(1日3往復) |
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神戸―鹿児島線(1日2往復) |
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神戸―那覇線(1日4往復) |
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神戸―宮古(下地島)路線(1日1往復) |
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福岡―新千歳線(1日1往復) |
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福岡―那覇線(1日3往復) |
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鹿児島―奄美線(1日2往復) |
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那覇―宮古(下地島)路線(1日2往復) |
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不定期航空運送事業 |
国内外への不定期旅客(チャーター)便を運航しております。 |
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附帯事業 |
旅客運送附帯業務 |
旅客運送において予約のキャンセル及び変更サービス、手荷物受託サービス及びペット受託サービス等を提供しております。 |
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広告宣伝業務 |
当社が運航する航空機にて提供している機内誌、機内サービス等を活用し、広告枠の販売を行っております。 |
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訓練設備等賃貸業務 |
他の航空会社に対し、模擬操縦訓練装置(シミュレーター)及び航空機地上作業車両等の貸し出しを行っております。 |
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商品販売業務 |
当社が運航する航空機の機内にて当社のグッズ等を販売しております。 |
(2)事業の特徴
当社は、1996年11月の設立後、定期航空運送事業に係る路線免許(当時)取得の活動を経て1998年9月19日、航空機1機(ボーイング767-300型機)により羽田=福岡線(3往復/日)に就航いたしました。航空運送事業における規制緩和政策を受け、大手航空会社(当時3社)に対し半額運賃を武器に、適正な航空輸送サービスの提供を理念に新規航空会社として参入いたしました。当社の参入によって新たに航空運送事業での競争状態の創出に貢献し、効率的な航空機への転換、運航路線の拡充に努め、世界有数の市場規模を誇り、寡占的な構造を持つ日本の国内航空市場において、国内航空会社の第三極として航空運送事業での足場を固めました。現在は、北は北海道から南は沖縄県・宮古(下地島)まで、12空港・23路線・1日当たり152便の運航(2023年夏ダイヤ、2023年3月31日時点)をボーイング737-800型機にて行っております。
当社は、世界的にも利用旅客数の多い空港の一つであり、首都圏からのアクセスもよい東京国際空港(羽田空港)を主要拠点としております。羽田空港を拠点とする路線は、旅客単価が高く、収益性に優れているため、当社は、これらの路線に戦略的に集中して運航することとしており、2022年度の当社の旅客収入、旅客数及び運航便数における羽田空港国内路線の占める割合は、それぞれ、約62%、約56%及び約51%となっております。
また、当社は、保有・運用コストが比較的低廉な小型機(ボーイング737-800型機)のみの単一機材で運航しています。これにより、運航乗務員や整備士に必要なライセンスも1種類となり、人的資源を効率的に活用することができます。加えて、航空機部品などの物的資源についても複数機種を運用する場合に比べて大きくコストが抑制されます。
当社は、「リーズナブルな価格」「シンプル・わかりやすい商品」をコンセプトに、大手航空会社、LCC(格安航空会社)各社との運賃競争での価格優位性を確保し、継続的に利用者に対し、利用し易い価格帯を訴求し続けることを行っております。また、運航品質の向上(定時運航率№1(注)、低い欠航率)、顧客満足度の向上(無料でのコーヒー、チョコレートの提供)、地域共生の強化(特定地域を対象とした需要喚起キャンペーンの実施など)は、営業活動を行う上での認知度向上に役立っており、低運賃に加え、一定重量までの手荷物無料受託、変更・取消に係る制限(手数料等)の緩和等、付加価値を提供することで旅客の支払総額における優位性を確保しております。
当社については、伝統的にレジャーやVFR(知人・家族訪問)等の非ビジネスの旅客の割合が高く、ポストコロナにおける非ビジネスの旅客需要は、ビジネスの旅客需要に比べ、より早いものとなっております。加えて、当社は、大手航空会社、LCC各社と異なり国内線のみを運航しておりますが、国内線需要は、国際線需要に比べて、安定して推移するほか、新型コロナウイルス感染拡大による需要減少からの回復は早く足元はコロナ前を上回る旅客需要となっております。また、円安による国内旅行への需要シフトやインバウンド回復など事業環境の好転も見られております。
当社は、2015年の民事再生手続以降、ガバナンスの強化、機材の統一、運用コスト削減、路線の選別等の改革を実施し、柔軟な運航便数調整による変動費抑制や、機材コストや委託費を中心とした固定費削減の施策を実施するなど、コスト削減に取り組んで参りました。今後とも当社は適正な運賃水準を確保しながら、安定した高い運航品質の維持及びお客様へ温かく誠実なサービスを提供することで顧客満足度を高め、高い座席利用率を安定的に維持することで収益の安定確保を図って参ります。
(注)出典:国土交通省HP「航空輸送サービスに係る情報公開」
事業の系統図は次のとおりであります。
※画像省略しています。
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度における経営環境は、新型コロナウイルス感染症の影響で引き続き景気に一部弱さがみられたものの、日常生活や経済社会活動の継続に向けた各種政策の効果により、持ち直しの動きが見られました。一方、世界的な金融引き締め等が続く中、記録的な円安や資源価格の高騰など、依然として先行きには注視が必要な状況が続いております。
当社事業においては、2022年3月まで発出されていたまん延防止等重点措置の影響で、第1四半期会計期間を中心に旅客需要に弱含みの状況が続きましたが、行動制限の解除や2022年10月に開始された全国旅行支援等に伴う観光需要の喚起により秋以降は回復基調がより顕著になりました。さらに新型コロナウイルス感染症の感染症法上における分類が「5類」へ移行されること、またマスク着用ルール緩和の方針が打ち出されたこと等により旅行需要は一層の高まりを見せ、第4四半期会計期間の平均座席利用率がコロナ禍の影響を大きく受けた前年同四半期比で31.2ポイント増の77.8%となるなど、有償旅客数は新型コロナウイルス感染症流行前と同水準まで力強く回復いたしました。
また、当社は中長期における成長戦略施策の一つとして高品質なサービス提供を目指す中で、継続して運航品質を磨き上げた結果、定時運航率5年連続第1位、2022年度JCSI(日本版顧客満足度指数)国内長距離交通部門顧客満足第1位を獲得、加えて第4回日本サービス大賞国土交通大臣賞を受賞しました。
事業規模の拡大を視野に入れた羽田空港発着枠の獲得についても、羽田発着枠政策コンテストにおいて「羽田=宮古(下地島)線」の運航継続が2025年3月まで認められました。さらに2025年度から省燃費のボーイング737MAXシリーズの導入を決定するなど、着実に中長期戦略の実現に向けて進捗しております。
今後も当社のビジネスモデルをより一層磨き上げ、一人でも多くのお客様に安全で快適な空の旅を提供し、一番に選んでいただけるエアラインを目指して参ります。
当事業年度の財政状態及び経営成績は次のとおりとなりました。
a.財政状態
当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べ14,277百万円増加し、107,837百万円となりました。
当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べ340百万円減少し、83,919百万円となりました。
当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べ14,618百万円増加し、23,917百万円となりました。
b.経営成績
当事業年度における事業収益は84,661百万円(前事業年度比79.6%増)、営業利益3,453百万円(前事業年度は営業損失16,694百万円)、経常利益3,713百万円(前事業年度は経常損失15,079百万円)、当期純利益5,726百万円(前事業年度は6,729百万円の当期純損失)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)残高は、前事業年度末に比べて13,236百万円増加し、22,519百万円となりました(前事業年度末は9,282百万円)。
各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動の結果、獲得した資金は5,911百万円(前事業年度は12,459百万円の支出)となりました。これは主に契約負債の増加5,501百万円(前事業年度は2,100百万円の増加)によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動の結果、支出した資金は2,269百万円(前事業年度は380百万円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出1,471百万円(前事業年度は388百万円)によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動の結果、獲得した資金は9,608百万円(前事業年度は8,852百万円の獲得)となりました。これは主に株式の発行による収入13,755百万円(前事業年度は2,000百万円)によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.営業実績
当事業年度の営業実績の状況は、次のとおりであります。
科目 |
当事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
前年同期比 |
||
金額(百万円) |
構成比(%) |
(%) |
||
航空運送事業収入 |
旅客収入 |
82,044 |
96.9 |
179.8 |
貨物収入 |
27 |
0.0 |
126.8 |
|
航空運送事業収入合計 |
82,072 |
96.9 |
179.7 |
|
附帯事業収入 |
附帯事業収入 (航空運送に附帯関連する事業) |
2,588 |
3.1 |
174.4 |
合計 |
84,661 |
100.0 |
179.6 |
(注)1.当社は航空事業の単一セグメントであるため、セグメント毎の記載はしておりません。
2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がいないため、記載を省略しております。
b.輸送実績
当事業年度の輸送実績の状況は、次のとおりであります。
項目 |
当事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
前年同期比 (%) |
国内線 |
|
|
有償旅客数(人) |
7,022,017 |
168.5 |
有償旅客キロ(千人・キロ) |
7,450,098 |
171.7 |
有効座席キロ(千席・キロ) |
10,025,049 |
119.7 |
有償座席利用率(%) |
74.3 |
143.4 |
(注)1.有償旅客キロは、各路線各区間の有償旅客数(千人)に各区間距離(キロ)を乗じたものの合計であります。
2.有効座席キロは、各路線各区間の有効座席数(千席)に各区間距離(キロ)を乗じたものの合計であります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に準拠して作成しております。この財務諸表の作成に当たり、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の開示に影響を与える見積りを必要とする項目があります。経営者は、これらの見積りについて旅客需要の過去の動向や将来の機材導入及び整備計画、過去の整備実績等を勘案してその時点で最も合理的と考えられる見積りや仮定を継続的に使用しております。しかしながら見積り特有の不確実性から、実際の結果はこれら見積りと異なる場合があります。
また、当社の財務諸表で採用する重要な会計方針及び見積りに用いた仮定は、後記「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであり、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載の翌事業年度の財務諸表に与える影響は、翌事業年度以降においても同様に影響を及ぼす可能性があります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(資産合計)
当事業年度末の資産合計は107,837百万円となり、前事業年度末に比べ14,277百万円増加しました。流動資産合計は10,657百万円増加しましたが、これは主に2022年12月の新規上場時の公募増資により調達した資金並びに、長期預け金の返還に伴う現金及び預金の増加によるものです。また、固定資産合計は3,620百万円増加しましたが、これは主に中期経営計画における課税所得見込みの増加に伴う繰延税金資産の増加6,101百万円によるものです。
(負債合計)
負債合計は83,919百万円となり、前事業年度末に比べ340百万円減少しました。これは主に、旅客需要の回復が進んだことにより契約負債が5,501百万円増加した一方で、短期借入金2,000百万円及び長期借入金2,000百万円の返済による減少、営業未払金の減少2,024百万円によるものです。
(純資産合計)
純資産合計は23,917百万円となり、前事業年度末に比べ14,618百万円増加しました。これは主に、公募増資に係る新株発行に伴うその他資本剰余金の増加7,453百万円、欠損填補及び当期純利益の計上による繰越利益剰余金の増加12,541百万円、為替予約等のデリバティブ取引による繰延ヘッジ損益の減少5,376百万円によるものです。
2)経営成績
当社は、航空事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は行っておりません。
(運航体制等の状況)
前事業年度末までまん延防止重点防止措置が発出されていたこと等により旅客需要の減少が続いた第1四半期会計期間には最大約12%の減便を行いましたが、第3四半期会計期間以降においては、旅客需要の回復が進んだことにより全便運航体制となりました。加えて当社運航機材29機を最大限に活用し、週末や連休などの高需要時には羽田=福岡線、羽田=新千歳線を中心に、追加定期便を運航し収益の拡大に努めました。
その結果、当事業年度の運航便数は54,199便となり、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた前年同期と比較して19.5%増加しました。
(事業収益及び営業費用の状況)
当事業年度においては、有償旅客数が前年同期比68.5%増の7,022,017名となった結果、事業収益は84,661百万円(前事業年度比79.6%増)となりました。事業費については、運航便数の増加に伴う航空燃料費や空港使用料等の変動費の増加により75,718百万円と前年同期に比して16,516百万円増加しましたが、事業収益が拡大したことから営業利益は3,453百万円(前事業年度は16,694百万円の営業損失)となりました。経常利益は円安に伴う外貨建資産に係る為替差益の計上により3,713百万円(前事業年度は15,079百万円の経常損失)となりました。
当期純利益はソフトウエア仮勘定の減損損失1,212百万円の計上があった一方で、法人税等調整額の計上3,258百万円により、5,726百万円(前事業年度は6,729百万円の当期純損失)となりました。
3)キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の事業領域である航空業界は、2020年度初頭からの新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により旅客需要の大部分が蒸発するなど業績に大きな打撃を受けましたが、2022年度にはワクチンの普及や各種行動制限が解除されたこと等により人流にも顕著な回復が見られました。2023年度には新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行等を受けて名実ともにポストコロナ時代に入り、旅客需要も新型コロナウイルス感染症拡大以前の状況に戻るものと考えております。一方で、世界的なインフレや円安、ロシアのウクライナ侵攻に伴う原油価格の高騰等、引き続き注視及び対処していかなければならない環境下におかれております。なお、次期の業績予想にあたり、為替レートは1ドル=130円(ヘッジ後121.5円)、ドバイ原油価格は76ドル/BBL(ヘッジ後79.6ドル/BBL)を前提としております。
このような環境のもと、当社は安全運航を大前提に、DX推進による顧客利便、生産性の更なる向上、次世代機材の導入を推進することで、変化する競争環境下においても安定的に利益を確保することができる体制を築いて参ります。
また、定時性や顧客満足といったサービス品質についても引き続き高い水準で探求しつつ、自治体や企業とのコラボレーション・イベント企画等を通じて就航地との共生、更なる発展に資することができるよう貢献して参ります。新規路線の検討においては国内主要空港のみならず地方と地方を結ぶ路線等多角的な検討を行いながら、ビジネス・観光需要だけでなくその地域に根ざした路線就航を検討し、チャーター便などの運航については状況に応じて積極的に取り組む方針であります。
c.資本の財源及び資金の流動性
当社は、新型コロナウイルス感染症の拡大により毀損した財務基盤強化のため、2022年7月にシンジケートローン300億円の借換(借入期間1年)を行っております。また、2022年12月14日には次世代航空機材の導入費用を確保すること等を目的として東京証券取引所グロース市場に上場し、併せて行った公募増資により約142億円の資金を調達いたしました。
なお、これらの資金調達により一定の資金が確保できたことから、株式会社みずほ銀行、株式会社三井住友銀行、株式会社りそな銀行をアレンジャーとして締結したコミットメントライン契約を終了し、株式会社日本政策投資銀行を借入先とする資本性劣後ローン20億円の返済を行っております。
なお、当事業年度末において、有利子負債の残高は31,725百万円となっております。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は22,519百万円となっております。