E04340 Japan GAAP
前期
620.2億 円
前期比
97.9%
株価
2,135 (09/12)
発行済株式数
14,418,025
EPS(実績)
353.17 円
PER(実績)
6.05 倍
前期
684.5万 円
前期比
102.5%
平均年齢(勤続年数)
43.8歳(12.2年)
従業員数
2,340人(連結:2,838人)
当社グループ(セコム㈱の子会社である当社および連結子会社)は、「国内部門」と「海外部門」からなる空間情報サービス事業(地理空間情報の収集、加工・処理・解析、ICT技術を活用した高品質な情報サービス提供事業)を単一事業として行っています。
国や地方自治体等をお客様とする「国内公共部門」では、航空写真撮影や地図整備のほか、自治体行政事務の効率化と住民サービスの向上を図るためのソリューション提供を行っています。また、自治体の財政健全化や地方創生に資する取り組みや、人工衛星や航空機の撮影データを活用した災害・環境モニタリング等のサービスを提供しています。
流通業や製造業、金融業等様々な民間企業をお客様とする「国内民間部門」では、企業経営を支援する商圏分析等のエリアマーケティング分野や、配送計画や移動体の管理等のロジスティクス分野向けにサービスを提供するほか、災害時の初動対応やBCP(事業継続計画)策定の支援サービスを提供しています。
「海外部門」では開発途上国や新興国等を中心に、国土基盤図の整備や社会インフラ整備に必要な地図整備、コンサルティングサービスを提供しています。
当社および当社の関係会社(親会社および親会社の子会社等ならびに当社の連結子会社8社、持分法適用関連会社1社(2024年3月31日現在))の主要な会社の位置付けは下記の事業系統図のとおりです。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、将来に関する事項は有価証券報告書提出日現在における判断です。
当社グループを取り巻く事業環境においては、政府主導の「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」や「デジタル田園都市国家構想」、国土交通省主導の「Project PLATEAU(プラトー)」などが引き続き推進されております。また、2024年問題を抱える建設・物流業界などの分野では、デジタルトランスフォーメーション(DX)の拡大も続いており、当社グループが持つ技術やノウハウなどを発揮する事業領域に対するニーズは、継続して高い水準にあります。
このような事業環境下において2023年11月に創業70周年を迎えた当社グループは、2023年8月に「パスコグループ中期経営計画2023-2025」をスタートいたしました。本計画は、新たな飛躍に向けた経営基盤の再構築を目的としており、「“真に信頼される企業経営”への変革を第一に、空間情報の活用による新たな市場戦略の礎を築く」を基本方針とし、「経営の真価計画」「事業の進化計画」の達成に向けて、活動を開始しております。「経営の真価計画」では、経営理念を重視した健全な経営を遂行するため、パスコの真の価値を再構築することとしております。また、「事業の進化計画」では、3つの“しんか(深化・伸化・新化)”計画を策定し、空間情報事業の拡大・成長に向けた取り組みを進めております。
(具体的な活動)
中期経営計画の初年度となる当期は、計画の方針に則り、以下の通り着実な歩みを進めてまいりました。
経営の真価については、「公正・公平な業務姿勢の徹底」のため、コンプライアンス教育の徹底や社内体制の強化に取り組みました。また、「環境に配慮した事業活動への転換」の一環としては、環境省主導の「生物多様性のための30by30アライアンス」への参加や、当社初となる「サステナビリティレポート」を発行いたしました。
事業の進化については、「深化」(既存事業の革新・強化)のために、生産性向上に向けた取り組みや、事業領域拡大に向けた体制強化を進めております。また、「伸化」(持続可能な事業の拡大)のために、タイ王国との衛星分野における基本合意の締結や、茨城県との衛星とAIを活用した不法投棄早期発見の実証、森林変化情報サービス提供などに取り組んでおります。さらに、「新化」(多様性による新たな事業創造)のために、メタバースを活用した実証プロジェクトへの参加など、新たな事業創造に向けた活動も進めております。
また、空間情報事業者の使命として、2024年1月に発生した令和6年能登半島地震をはじめとする大規模自然災害などの被災状況把握に努め、二次災害の予防と迅速な復旧活動計画の策定などを支援いたしました。
各部門の活動の状況につきましては、以下の通りです。
国内公共部門においては、政府のデジタル規制改革の追い風により、「デジタル田園都市国家構想」に基づく各種台帳のデジタル化業務や、その利活用のためのシステム導入が、引き続き順調に拡大しております。
国内民間部門においては、次の飛躍期に向けたサービスラインナップの充実と販売戦略の強化に努め、継続型サービスの拡大に注力いたしました。
海外部門においては、新たな海外市場戦略に基づき、コア技術の海外展開を図るなど、引き続き、ビジネスチャンスの拡大に注力しております。
(当期の経営成績)
当期および前期の連結経営成績は下記のとおりであります。
連結経営成績
受注高、売上高等の損益の状況を四半期ごとに示すと下記のとおりであります。
当社グループは、主要顧客である官公庁からの受注が第1四半期に集中し、収益は年度末の納期に向けて増加する季節的変動があります。
当連結会計年度(2023年4月1日~2024年3月31日)
前連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)
受注高、売上高の状況をセグメントごとに示すと下記のとおりであります。
当連結会計年度(2023年4月1日~2024年3月31日)
(注) 1 前連結会計年度末受注残高の上段( )内表示額は、前連結会計年度における年度末受注残高であり、下段は当連結会計年度の外国為替相場の変動を反映させたものであります。
<国内部門>(公共部門・民間部門)
国内公共部門の受注高は、国土強靭化による受注や衛星データ受信業務が好調だったことから前期比3,556百万円増加(前期比6.7%増)の56,480百万円となりました。売上高は、各種台帳業務等が堅調に推移し、前期と同水準となる前期比406百万円減少(同0.8%減)の53,527百万円となりました。受注残高は、複数年契約の受注が増加したことから前期比2,952百万円増加(同16.1%増)の21,302百万円となりました。
国内民間部門の受注高は、車両搭載型レーザー(MMS:モービル・マッピング・システム)による測量業務等が減少したことにより、前期比1,307百万円減少(同26.5%減)の3,631百万円となりました。売上高は、MMSによる測量業務等の減少により前期比746百万円減少(同13.4%減)の4,838百万円となりました。受注残高は前期比1,207百万円減少(同22.2%減)の4,240百万円となりました。
この結果、国内部門(公共部門・民間部門)合計では、受注高が前期比2,249百万円増加(同3.9%増)の60,112百万円、売上高は前期比1,152百万円減少(同1.9%減)の58,366百万円、受注残高は前期比1,745百万円増加(同7.3%増)の25,543百万円となりました。
<海外部門>
海外部門の受注高は、前期に当社において大型の国土基盤図整備業務の受注があったこと、およびインドネシア共和国の子会社において大型案件の受注があったことにより、前期比821百万円減少(同29.8%減)の1,937百万円となりました。売上高は、前期に3次元地図データ整備業務が好調だったことから、前期比158百万円減少(同6.4%減)の2,338百万円、受注残高は前期比370百万円減少(同30.2%減)の858百万円となりました。
この結果、受注高合計は前期比1,428百万円増加(同2.4%増)の62,049百万円、売上高は前期比1,311百万円減少(同2.1%減)の60,704百万円、受注残高は前期比1,374百万円増加(同5.5%増)の26,401百万円となりました。
利益面につきましては、売上総利益は、売上高の減少により、前期比567百万円減少(同3.2%減)の17,184百万円となりました。
営業損益は、人員増加および賃上げ実施に伴う人件費増加の影響で販売費及び一般管理費が前期比558百万円増加(同4.9%増)、および売上総利益の減少により前期比1,126百万円減少(同17.5%減)の5,306百万円の営業利益となりました。
経常損益は、営業利益の減少により前期比1,092百万円減少(同16.7%減)の5,433百万円の経常利益となりました。
税金等調整前当期純損益は、経常利益が減少したものの、前期に先進光学衛星「だいち3号」(ALOS-3)の打上げ失敗による減損損失1,722百万円の計上、および当期にその打上げ失敗に係る受取損害保険金1,625百万円の計上により、前期比1,689百万円増加(同29.8%増)の7,349百万円の税金等調整前当期純利益となりました。
親会社株主に帰属する当期純損益は、税金等調整前当期純利益の増加により前期比992百万円増加(同24.2%増)の5,092百万円の親会社株主に帰属する当期純利益となりました。
当社グループは、納品後の入金が年度明けの4、5月に集中することから、「受取手形、売掛金及び契約資産」および「短期借入金」が年度末にかけて増加していき、第1四半期で減少する傾向があります。「受取手形、売掛金及び契約資産」および「短期借入金」の推移を四半期ごとに示すと下記のとおりであります。
当連結会計年度
前連結会計年度
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末(以下「前期末」)より3,144百万円増加し74,121百万円となりました。その主な要因は、前期末より「退職給付に係る資産」が1,283百万円増加、「受取手形、売掛金及び契約資産」が1,014百万円増加したことによるものです。
負債合計は前期末より1,995百万円減少し41,249百万円となりました。その主な要因は、当期に前期末営業債権の多くが回収され、回収資金で借入金を返済し、前期末より2,400百万円減少したことによるものです。
純資産合計は、前期末より5,140百万円増加し32,872百万円となりました。その主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益5,092百万円により「利益剰余金」が増加したことによるものです。
(3)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における「現金及び現金同等物」(以下「資金」)は、前連結会計年度末に比べ634百万円増加し19,729百万円となりました。
当期におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは5,386百万円の資金の増加(前期は3,576百万円の資金の増加)となりました。主な資金の増加要因は、税金等調整前当期純利益7,349百万円、固定資産の減価償却費1,841百万円です。また、主な資金の減少要因は、法人税等の支払額2,249百万円です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは1,528百万円の資金の減少(前期は444百万円の資金の減少)となりました。主な資金の減少要因は、生産機材・ツール等の有形・無形固定資産の取得による支出2,230百万円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは3,437百万円の資金の減少(前期は3,416百万円の資金の減少)となりました。主な資金の減少要因は、短期借入金の純減額1,600百万円、長期借入金の返済による支出800百万円、配当金の支払額1,007百万円です。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いておりますが、これらの見積りおよび仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(貸倒引当金)
債権の貸倒による損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額について貸倒引当金を計上しております。
経済状況、販売先の財務状況、支払能力および支払状況、担保の処分可能見込額等の前提条件に重要な変動が生じた場合、これらの貸倒引当金の見積りに重要な影響を及ぼす可能性があります。
(固定資産の減損)
当社グループは、事業用資産については管理会計上の区分に基づいて、賃貸用資産および遊休資産については個別物件単位でグルーピングを行っております。収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上しております。
回収可能価額は、将来キャッシュ・フローを割り引いた使用価値または不動産鑑定評価額等より処分費用見込額を控除した正味売却価額により算定しております。将来キャッシュ・フローは、中期経営計画の前提となった数値を、経営環境等の外部要因に関する情報や当社グループが用いている内部の情報(過去における経営計画の達成状況・予算等)と整合的に修正し、各資産グループの現在の使用状況や合理的な使用計画等を考慮して見積っております。
将来キャッシュ・フロー、割引率および不動産鑑定評価額等の前提条件に重要な変動が生じた場合、固定資産の減損の見積りに重要な影響を及ぼす可能性があります。
(繰延税金資産)
繰延税金資産の回収可能性は、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断しております。当該判断は、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性、タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性および将来加算一時差異の十分性のいずれかを満たしているかどうかにより判断しております。
収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性を判断するにあたっては、一時差異等の解消見込年度および繰戻・繰越期間における課税所得を見積っております。課税所得は、中期経営計画の前提となった数値を、経営環境等の外部要因に関する情報や当社グループが用いている内部の情報(過去における経営計画の達成状況、予算等)と整合的に修正し見積っております。
当該見積りおよび当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産および法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。
(工事原価総額の見積り)
請負業務に関する工事収益の計上に際して、一定の期間にわたり充足される履行義務については、履行義務の充足に係る進捗度に基づいて収益を一定の期間にわたって認識しております。当該収益認識に係る進捗度は、発生した原価の累計額が工事原価総額に占める割合で算定しております。
工事原価総額の見積り時に想定していなかった原価の発生等により工事原価総額を見直した場合は、工事進捗度が変動するため、売上高および売上原価の金額に重要な影響を与える可能性があります。
(工事損失引当金)
将来損失が発生すると見込まれ、かつ、連結会計年度末時点で当該損失額を合理的に見積ることが可能な請負業務について、翌連結会計年度以降の損失見積額を引当計上しております。
受注規模の大きい請負業務において、想定していなかった原価の発生や工期の延長等により見積りを超えた原価が発生する場合は、工事損失引当金の見積りに重要な影響を及ぼす可能性があります。
(退職給付に係る負債)
確定給付制度の退職給付債務および関連する勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割り引くことにより算定しております。数理計算上の仮定には、割引率、期待運用収益率等の様々な計算基礎があります。
当該見積りおよび当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する退職給付に係る負債および退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。