E04340 Japan GAAP
前期
562.3億 円
前期比
110.3%
株価
1,866 (03/29)
発行済株式数
14,418,025
EPS(実績)
284.30 円
PER(実績)
6.56 倍
前期
645.3万 円
前期比
106.1%
平均年齢(勤続年数)
43.5歳(11.8年)
従業員数
2,333人(連結:2,819人)
当社グループ(セコム㈱の子会社である当社および連結子会社)は、「国内部門」と「海外部門」からなる空間情報サービス事業(地理空間情報の収集、加工・処理・解析、ICT技術を活用した高品質な情報サービス提供事業)を単一事業として行っています。
国や地方自治体等をお客様とする「国内公共部門」では、航空写真撮影や地図整備のほか、自治体行政事務の効率化と住民サービスの向上を図るためのソリューション提供を行っています。また、自治体の財政健全化や地方創生に資する取り組みや、人工衛星や航空機の撮影データを活用した災害・環境モニタリング等のサービスを提供しています。
流通業や製造業、金融業等様々な民間企業をお客様とする「国内民間部門」では、企業経営を支援する商圏分析等のエリアマーケティング分野や、配送計画や移動体の管理等のロジスティクス分野向けにサービスを提供するほか、災害時の初動対応やBCP(事業継続計画)策定の支援サービスを提供しています。
「海外部門」では開発途上国や新興国等を中心に、国土基盤図の整備や社会インフラ整備に必要な地図整備、コンサルティングサービスを提供しています。
当社および当社の関係会社(親会社および親会社の子会社等ならびに当社の連結子会社9社、持分法適用関連会社1社(2023年3月31日現在))の主要な会社の位置付けは下記の事業系統図のとおりです。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、将来に関する事項は有価証券報告書提出日現在における判断です。
当社グループを取り巻く事業環境は、政府が主導する「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」により、道路・海岸・ダム・森林分野などにおける3次元地形データの計測、データの加工・解析、データ活用のためのマネジメント技術の需要が高い水準を維持しました。また、政府主導の「デジタル田園都市国家構想」や国土交通省主導の「Project PLATEAU(プラトー)」の取り組みにおいても、当社のデジタル技術が発揮できる領域が拡大しました。
一方で、新型コロナウイルス感染症の影響が落ち着きを見せるなか、ウクライナ情勢の影響、円安や資源価格上昇による物価高騰などは、先行き不透明な状況が続いております。
このような事業環境下において当社グループは、引き続き「地球をはかり、未来を創る ~人と自然の共生にむけて~」を経営ビジョンに掲げ、企業活動の持続可能性(サステナビリティ)を維持・発展させるために、企業の社会的責任(CSR)を包含したESG(Environment:環境/Social:社会/Governance:企業統治)に配慮した経営のもと、空間情報事業を通して、国際的な持続可能な開発目標(SDGs)の幅広い目標達成を目指してまいりました。
(当期の具体的な活動)
「パスコグループ中期経営計画2018-2022」の最後の年となる当期も、「持続的な企業成長に向けた利益体質への変革」に取り組んでまいりました。「グループ連結営業利益額を倍増(2017年度のグループ連結営業利益額20億円から40億円に)」を目標に掲げ、「データ流通社会の到来に向けた事業戦略の転換」と「新たな空間情報の活用を見据えた将来への投資」の2つの方針を定め、5か年にわたり邁進してまいりました。この間に取り組んだ数々の施策は、一定の成果を収めたることができたと考えております。
その施策の一つとして取り組んでまいりましたDX(デジタル・トランスフォーメーション)と働き方改革の推進に関する成果を、以下にご紹介いたします。
2022年11月1日、国民サービスの向上などの改革につながる優れた取り組みが評価され、経済産業省が選定する「DX認定事業者」に認定されました。また、2023年2月28日には、国土交通省の「インフラ DX 大賞」において優秀賞を受賞いたしました。さらに、公共インフラ巡回監視の自動化・省力化を目指した取り組みが評価され、一般社団法人レジリエンスジャパン推進協議会が主催する「第9回ジャパン・レジリエンス・アワード(強靱化大賞)」において、「企業・産業部門」で「準グランプリ・二階俊博国土強靱化提唱者賞」を受賞いたしました。
また、デジタルデータの活用推進に関しましては、当社の3次元計測技術とメタバースの親和性を活かした地方創生を目指す、首里城公園を対象にしたDX化の実証実験に取り組むほか、社会課題の解決に向けた新たなビジネスの創出にも果敢に挑戦してまいりました。
具体的には、地盤や自然災害、地理空間情報など、社会活動のリスク対策に必要不可欠な「リスク情報プラットフォーム(OPx)」ビジネスにおいてオンラインサービスを開始し、サービスの充実を図りました。また、道路橋を 24時間監視するIoT インフラ遠隔監視サービス「Infra Eye(インフラアイ)」の提案を開始し、道路橋監視の効率化・省人化の支援に取り組んでおります。
各部門の事業活動の状況につきましては、以下の通りです。
国内公共部門においては、河川・道路・砂防などの分野を中心とした調査業務、3次元地形図の整備業務が拡大いたしました。また、「デジタル田園都市国家構想」にもとづく各種台帳のデジタル化業務や、その利活用のためのシステム導入なども拡大いたしました。
国内民間部門においては、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う影響からの復調の兆しが見えております。具体的には、鉄道事業者向けの情報システムサービスなどが堅調に推移いたしました。
海外部門においては、東南アジア諸国連合(ASEAN)地域に所在する海外子会社の事業活動に物価上昇と円安の影響があるものの、開発途上国や新興国向けの政府開発援助(ODA)事業の調査業務や写真測量業務が拡大しております。
(当期の経営成績)
当期および前期の連結経営成績は下記のとおりであります。
連結経営成績
受注高、売上高等の損益の状況を四半期ごとに示すと下記のとおりであります。
当社グループは、主要顧客である官公庁からの受注が第1四半期に集中し、収益は年度末の納期に向けて増加する季節的変動があります。
当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)
前連結会計年度(2021年4月1日~2022年3月31日)
受注高、売上高の状況をセグメントごとに示すと下記のとおりであります。
当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)
(注) 1 前連結会計年度末受注残高の上段( )内表示額は、前連結会計年度における年度末受注残高であり、下段は当連結会計年度の外国為替相場の変動を反映させたものであります。
<国内部門>(公共部門・民間部門)
国内公共部門の受注高は、前期において航空レーザーによる測量業務等の受注が堅調に推移したことに加え、衛星データ受信業務で大型受注があったため、前期比1,140百万円減少(前期比2.1%減)の52,923百万円となりました。売上高は、航空レーザーによる測量業務等が増加したことに加え、前期に受注した大型の衛星データ受信業務等による増加により、前期比5,228百万円増加(同10.7%増)の53,934百万円となりました。受注残高は前期比1,010百万円減少(同5.2%減)の18,350百万円となりました。
国内民間部門の受注高は、前期において不動産業界向けクラウドサービスで大型案件の受注があったため、前期比1,038百万円減少(同17.4%減)の4,939百万円となりました。売上高は前期比149百万円減少(同2.6%減)の5,584百万円となりました。受注残高は前期比645百万円減少(同10.6%減)の5,448百万円となりました。
この結果、国内部門(公共部門・民間部門)合計では、受注高が前期比2,179百万円減少(同3.6%減)の57,862百万円、売上高は前期比5,078百万円増加(同9.3%増)の59,519百万円、受注残高は前期比1,656百万円減少(同6.5%減)の23,798百万円となりました。
<海外部門>
海外部門の受注高は、当社において大型の国土基盤図整備業務の受注があったこと、インドネシアの子会社において大型案件の受注があったことにより、前期比868百万円増加(同46.0%増)の2,758百万円となりました。売上高は、3次元地図データ整備業務が好調であったこと等により、前期比709百万円増加(同39.7%増)の2,496百万円、受注残高は前期比290百万円増加(同31.0%増)の1,228百万円となりました。
この結果、国内部門および海外部門の合計では、受注高合計は前期比1,310百万円減少(同2.1%減)の60,620百万円、売上高は前期比5,787百万円増加(同10.3%増)の62,016百万円、受注残高は前期比1,365百万円減少(同5.2%減)の25,027百万円となりました。
利益面につきましては、売上総利益は、売上高の増加および生産効率の向上により、前期比3,451百万円増益(同24.1%増)の17,752百万円の売上総利益となりました。
営業損益は、営業・管理人員増加に伴う人件費増加の影響で販売費及び一般管理費が前期比893百万円増加(同8.6%増)したものの、売上総利益の増加により前期比2,558百万円増加(同66.0%増)の6,432百万円の営業利益となりました。
経常損益は、営業利益の増加により前期比2,590百万円増加(同65.8%増)の6,525百万円の経常利益となりました。
税金等調整前当期純損益は、減損損失1,725百万円を計上したものの、固定資産売却益1,126百万円の計上および経常利益の増加により前期比2,213百万円増加(同64.2%増)の5,659百万円の税金等調整前当期純利益となりました。
親会社株主に帰属する当期純損益は、税金等調整前当期純利益の増加により前期比1,759百万円増加(同75.2%増)の4,099百万円の親会社株主に帰属する当期純利益となりました。
当社グループは、納品後の入金が年度明けの4、5月に集中することから、「受取手形、売掛金及び契約資産」および「短期借入金」が年度末にかけて増加していき、第1四半期で減少する傾向があります。「受取手形、売掛金及び契約資産」および「短期借入金」の推移を四半期ごとに示すと下記のとおりであります。
当連結会計年度
前連結会計年度
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末(以下「前期末」)より1,094百万円増加し70,977百万円となりました。その主な要因は、売上の増加により営業債権が増加し、「受取手形、売掛金及び契約資産」が前期末より2,853百万円増加したことによるものです。
負債合計は前期末より2,594百万円減少し43,244百万円となりました。その主な要因は、当期に前期末営業債権の多くが回収され、回収資金で借入金を返済し、「長期借入金」が前期末より2,800百万円減少したことによるものです。
純資産合計は、前期末より3,688百万円増加し27,732百万円となりました。その主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益4,099百万円により「利益剰余金」が増加したことによるものです。
当連結会計年度末における「現金及び現金同等物」(以下「資金」)は、前連結会計年度末に比べ50百万円減少し19,095百万円となりました。
当期におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは3,576百万円の資金の増加(前期は6,321百万円の資金の増加)となりました。主な資金の増加要因は、税金等調整前当期純利益5,659百万円、固定資産の減価償却費1,766百万円です。また、主な資金の減少要因は、売上債権及び契約資産の増加額3,512百万円、法人税等の支払額1,358百万円です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは444百万円の資金の減少(前期は2,153百万円の資金の減少)となりました。主な資金の減少要因は、生産機材・ツール等の有形・無形固定資産の取得による支出2,528百万円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは3,416百万円の資金の減少(前期は1,334百万円の資金の減少)となりました。主な資金の減少要因は、長期借入金の返済による支出2,800百万円、配当金の支払額576百万円です。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いておりますが、これらの見積りおよび仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(貸倒引当金)
債権の貸倒による損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額について貸倒引当金を計上しております。
経済状況、販売先の財務状況、支払能力および支払状況、担保の処分可能見込額等の前提条件に重要な変動が生じた場合、これらの貸倒引当金の見積りに重要な影響を及ぼす可能性があります。
(固定資産の減損)
当社グループは、事業用資産については管理会計上の区分に基づいて、賃貸用資産および遊休資産については個別物件単位でグルーピングを行っております。収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上しております。
回収可能価額は、将来キャッシュ・フローを割り引いた使用価値または不動産鑑定評価額等より処分費用見込額を控除した正味売却価額により算定しております。将来キャッシュ・フローは、中期経営計画の前提となった数値を、経営環境等の外部要因に関する情報や当社グループが用いている内部の情報(過去における経営計画の達成状況・予算等)と整合的に修正し、各資産グループの現在の使用状況や合理的な使用計画等を考慮して見積っております。
将来キャッシュ・フロー、割引率および不動産鑑定評価額等の前提条件に重要な変動が生じた場合、固定資産の減損の見積りに重要な影響を及ぼす可能性があります。
(繰延税金資産)
繰延税金資産の回収可能性は、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断しております。当該判断は、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性、タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性および将来加算一時差異の十分性のいずれかを満たしているかどうかにより判断しております。
収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性を判断するにあたっては、一時差異等の解消見込年度および繰戻・繰越期間における課税所得を見積っております。課税所得は、中期経営計画の前提となった数値を、経営環境等の外部要因に関する情報や当社グループが用いている内部の情報(過去における経営計画の達成状況、予算等)と整合的に修正し見積っております。
当該見積りおよび当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産および法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。
(工事原価総額の見積り)
請負業務に関する工事収益の計上に際して、一定の期間にわたり充足される履行義務については、履行義務の充足に係る進捗度に基づいて収益を一定の期間にわたって認識しております。当該収益認識に係る進捗度は、発生した原価の累計額が工事原価総額に占める割合で算定しております。
工事原価総額の見積り時に想定していなかった原価の発生等により工事原価総額を見直した場合は、工事進捗度が変動するため、売上高および売上原価の金額に重要な影響を与える可能性があります。
(工事損失引当金)
将来損失が発生すると見込まれ、かつ、連結会計年度末時点で当該損失額を合理的に見積ることが可能な請負業務について、翌連結会計年度以降の損失見積額を引当計上しております。
受注規模の大きい請負業務において、想定していなかった原価の発生や工期の延長等により見積りを超えた原価が発生する場合は、工事損失引当金の見積りに重要な影響を及ぼす可能性があります。
(退職給付に係る負債)
確定給付制度の退職給付債務および関連する勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割り引くことにより算定しております。数理計算上の仮定には、割引率、期待運用収益率等の様々な計算基礎があります。
当該見積りおよび当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する退職給付に係る負債および退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。