E04340 Japan GAAP
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
当社グループを取り巻く事業環境では、政府主導の「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」や「デジタル田園都市国家構想」、国土交通省主導で3次元都市モデルの整備・活用・オープンデータ化を目指す「Project PLATEAU(プラトー)」などが推進されております。また、2024年問題を抱える建設・物流業界をはじめ、あらゆる分野でデジタルトランスフォーメーション(DX)の波が広がっているなど、当社グループが保有する技術やノウハウなどを発揮する事業領域に対するニーズは、依然として高い水準を維持しております。
このような事業環境下において創業70周年を迎えた当社グループは、8月に、「パスコグループ中期経営計画2023-2025」を策定、発表しております。本計画では、新たな飛躍に向けた経営基盤の再構築を目的として、「“真に信頼される企業経営”への変革を第一に、空間情報の活用による新たな市場戦略の礎を築く」を基本方針とし、「経営の真価」「事業の進化」の計画をそれぞれ進めております。「経営の真価計画」では、社会に存在を期待され、持続可能な企業経営を維持するため、経営理念を重視した健全な経営を遂行するための計画を定め、パスコの真の価値を再構築しております。また、「事業の進化計画」では、持続可能な地球環境の創出及び社会基盤の構築に貢献するため、3つの“しんか(深化・伸化・新化)”計画を策定し、空間情報事業の拡大・成長を目指しております。
(具体的な活動)
経営の真価については、前期に発覚した不適切な会計処理事案に対して、再発防止策をさらに実効性の高い具体的なプランに落とし込み、全社一体となって取り組んでおります。
また、経営ビジョン「地球をはかり、未来を創る ~人と自然の共生にむけて~」のもと、中期経営計画に「環境に配慮した事業活動への転換」を掲げており、その一環として、環境省主導の「生物多様性のための30by30アライアンス」(2030年までに陸と海の30%以上を保全する目標に向けた活動)へ参加いたしました。さらに、当社のサステナビリティ経営に関する取り組みの成果をまとめた「サステナビリティレポート2023」の初版を発行しております。
事業の進化については、持続可能な地球環境の創出及び社会基盤の構築に貢献するための活動を進めております。「ASPICクラウドアワード2023」において、社会的に有益で最も優秀なサービスとして、当社のGIS自治体クラウドサービス「PasCAL for LGWAN」が評価され、「社会業界特化型ASP・SaaS部門」総合グランプリを受賞いたしました。
各部門の活動の状況につきましては、以下の通りです。
国内公共部門においては、国土強靱化に向けた調査・測量分野が引き続き落ち着きをみせている一方で、政府のデジタル規制改革の追い風により、「デジタル田園都市国家構想」に基づく各種台帳のデジタル化業務やその利活用のためのシステム導入が、引き続き順調に拡大しております。
国内民間部門においては、各分野のDXを支援するサービスラインナップの充実と販売戦略の強化に努め、継続型サービスの拡大に注力しております。
海外部門においては、世界情勢の先行き不透明な状況は継続しておりますが、引き続き、ビジネスチャンスの拡大と安定した生産活動に注力しております。
(経営成績)
受注高および売上高、営業利益等の損益の状況を四半期ごとに示すと下記のとおりであります。
当社グループは、主要顧客である官公庁からの受注が第1四半期に集中し、収益は年度末の納期に向けて増加する季節的変動があります。
当累計期間(2023年4月1日~2023年12月31日)
前連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)
受注高、売上高の状況をセグメントごとに示すと下記のとおりであります。
当累計期間(2023年4月1日~2023年12月31日)
(注) 1 前連結会計年度末受注残高の上段( )内表示額は、前連結会計年度における年度末受注残高であり、下段は当累計期間の外国為替相場の変動を反映させたものであります。
<国内部門>(公共部門・民間部門)
国内公共部門の受注高は、「デジタル田園都市国家構想」に基づく各種台帳のデジタル化業務の受注が好調だったため、前年同期比433百万円増加(前年同期比1.0%増)の45,867百万円となりました。売上高は、航空レーザ測量および地図データ整備測量業務が減少したことにより、前年同期比1,098百万円減少(同3.2%減)の33,404百万円となりました。受注残高は前年同期比521百万円増加(同1.7%増)の30,812百万円となりました。
国内民間部門の受注高は、車両搭載型レーザ(MMS:モービル・マッピング・システム)による測量業務が減少したことにより、前年同期比1,190百万円減少(同34.3%減)の2,281百万円となりました。売上高は、前年同期比745百万円減少(同17.8%減)の3,449百万円となりました。受注残高は前年同期比1,090百万円減少(同20.3%減)の4,280百万円となりました。
この結果、国内部門(公共部門・民間部門)合計では、受注高が前年同期比757百万円減少(同1.5%減)の48,149百万円、売上高は前年同期比1,844百万円減少(同4.8%減)の36,854百万円、受注残高は前年同期比569百万円減少(同1.6%減)の35,093百万円となりました。
<海外部門>
海外部門の受注高は、前年同期にインドネシアの子会社において大型案件の受注があったことにより、前年同期比490百万円減少(同23.1%減)の1,638百万円となりました。売上高は、前年同期比59百万円減少(同3.3%減)の1,759百万円、受注残高は前年同期比134百万円減少(同10.4%減)の1,162百万円となりました。
この結果、受注高合計は前年同期比1,248百万円減少(同2.4%減)の49,787百万円、売上高は前年同期比1,904百万円減少(同4.7%減)の38,613百万円、受注残高は前年同期比704百万円減少(同1.9%減)の36,255百万円となりました。
利益面につきましては、売上総利益は、売上高の減少および将来損失の発生を見込んだ工事損失引当金282百万円の計上により、前年同期比945百万円減益(同9.7%減)の8,812百万円となりました。
営業損益は、人員増加および賃上げ実施に伴う人件費増加の影響で販売費及び一般管理費が前年同期比562百万円増加(同6.8%増)、および売上総利益の減益により前年同期比1,507百万円減少し、17百万円の営業損失となりました。
経常損益は、営業損益の減益により前年同期比1,491百万円減少し、50百万円の経常利益となりました。
税金等調整前四半期純損益は、先進光学衛星「だいち3号」(ALOS-3)の打上げ失敗による受取損害保険金1,625百万円を計上したものの、経常損益の減益、および前期の固定資産売却益1,126百万円の計上により前年同期比613百万円減少の2,054百万円の税金等調整前四半期純利益となりました。
親会社株主に帰属する四半期純損益は、税金等調整前四半期純損益の減益により前年同期比419百万円減少の1,368百万円の親会社株主に帰属する四半期純利益となりました。
(財政状態の状況)
当社グループは、納品後の入金が年度明けの4、5月に集中することから、「受取手形、売掛金及び契約資産」および「短期借入金」が年度末にかけて増加していき、第1四半期で減少する傾向があります。「受取手形、売掛金及び契約資産」および「短期借入金」の推移を四半期ごとに示すと下記のとおりであります。
当連結会計期間
前連結会計年度
当第3四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末(以下「前期末」)より11,763百万円減少し59,213百万円となりました。また、負債合計は前期末より12,624百万円減少し30,620百万円となりました。その主な要因は、当累計期間に前期末営業債権の多くが回収され、回収資金で借入金を返済したことによるもので、「受取手形、売掛金及び契約資産」が8,913百万円減少、「短期借入金」が8,500百万円減少となりました。
純資産合計は、前期末より860百万円増加し28,592百万円となりました。その主な要因は、剰余金の配当1,007百万円により減少したものの、親会社株主に帰属する四半期純利益1,368百万円、「その他有価証券評価差額金」が538百万円の増加により増加となりました。
当累計期間において事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
当累計期間における研究開発費の実績額は205百万円であります。