E04346 Japan GAAP
前期
183.9億 円
前期比
108.0%
株価
1,314 (04/23)
発行済株式数
1,470,000
EPS(実績)
352.38 円
PER(実績)
3.73 倍
前期
546.4万 円
前期比
102.1%
平均年齢(勤続年数)
42.7歳(18.1年)
従業員数
326人(連結:327人)
当社の企業集団は、トレーディア株式会社(当社)および連結子会社1社、持分法適用関連会社6社より構成されており、輸出部門、輸入部門、国際部門、倉庫部門、その他の部門を営んでおります。
当社が営んでいる主な事業内容と各関連会社等の当該事業に係る位置付けは次のとおりであります。
当社および当社の関係会社の事業における当社および関係会社の位置付けおよびセグメントとの関連は、次のとおりであります。なお、セグメントと同一の区分であります。
1 輸出部門
荷主(輸出貿易業者)の委託を受け、輸出書類およびネゴ書類の作成、輸出貨物の梱包、通関手続業務、港湾における船舶への輸送、現地での配送、納入先での据付けなどを行う事業でありまして、当社は五大港(神戸・大阪・名古屋・京浜・横浜)において業務から荷役作業までを一貫責任体制で行っております。
阪神コンテナー輸送株式会社(関連会社)は、陸運業者であり、海上コンテナの輸送を行っております。また、三笠陸運株式会社(関連会社)は、陸運業者であり、トラック運送を行っております。広瀬産業海運株式会社(関連会社)は、はしけ運送業者であり、はしけによる貨物の運送を行っております。
2 輸入部門
荷主(輸入貿易業者)の委託を受け、海外の産地から国内の納入先までの船舶やコンテナ等の手配から、関連する官公庁への各種申請、輸入関税・消費税の包括延納申請、船舶により運送された貨物の港湾における船舶からの受取若しくは荷主への引渡しを行っております。また、五大港(神戸・大阪・名古屋・京浜・横浜)を拠点とする自家倉庫およびその他外貿各港での商品保管や仕分など、輸入に関わるすべての業務を代行しております。
阪神コンテナー輸送株式会社(関連会社)は陸運業者であり、海上コンテナの輸送を行っております。また、三笠陸運株式会社(関連会社)は陸運業者であり、トラック運送を行っております。
3 国際部門
海外各国の業者と業務提携を行い、日本と諸外国間外航海運の利用運送を行うとともに諸外国の内陸運送、通関を含むドア・ツー・ドアの輸送を一貫して引受けるものであります。錦茂国際物流(上海)有限公司(関連会社)は物流事業者であり、主に日本~中国及び中国国内の輸送を引き受けております。
4 倉庫部門
阪神地区における当社保有の倉庫設備の一部を貸し出し、賃料収入を得ております。
5 その他の部門
船内荷役、その他の事業を行っております。
※ 他の連結子会社・関連会社の主な業務は以下の通りであります。
大日物流株式会社(連結子会社)は、輸出入に関わる業務の請負事業を主な業務として営んでおります。
ソーラー・エンタープライズ株式会社(関連会社)は、損害保険代理業を主な業務として営んでおります。
株式会社忠和商会(関連会社)は、倉庫作業の請負を主な業務として営んでおります。
以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。
※画像省略しています。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、国内外における新型コロナウイルス感染症による活動制限や半導体などの供給制約が緩和されたことにより、個人消費や設備投資に回復が見られ、緩やかながらも持ち直しました。一方で、ウクライナ情勢の影響による原材料、エネルギー価格の高騰を発端に世界的なインフレが進行し、各国における政策金利の引上げによって世界的な景気減速懸念も高まり、依然として不透明な状況が続いております。
当社グループが属する港湾物流業界における貿易に関しましては、当連結会計年度初めに上海ロックダウンの影響を受け、輸出、輸入ともに取扱量・取扱件数が一時的に減少する事態に見舞われましたが、ロックダウン解除後は回復し堅調に推移しました。一方、国際物流を担うコンテナ船による海上輸送においては、海上運賃の高騰と円安の追い風を受け、近年にない活況を呈しました。今後、世界経済の減速懸念はあるものの、外需は引続き緩やかに回復に向かい、また、内需はコロナ禍の収束とともに、個人消費が持ち直し、一般消費財の取扱量の増加が期待されます。その一方で、海上輸送においては、国際物流網の混乱の収束、分散化・最適化への動きから、激しい価格競争が繰り広げられることが予想されます。
a.財政状態
当連結会計年度の総資産は、前連結会計年度に比べ3億13百万円余増加し、104億25百万円余となりました。
当連結会計年度の負債合計は、前連結会計年度に比べ1億40百万円余減少し、67億45百万円余となりました。
当連結会計年度の純資産合計は、前連結会計年度に比べ4億54百万円余増加し、36億80百万円余となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、このような不安定な状況の中、従業員の安全に配慮しつつ、リモートワークやオンラインでの商談を活用しながら積極的な営業展開に努めてまいりました。その結果、総取扱量は前年同期比3.0%増加し、国際部門の伸長により営業収入は前年同期比8.0%増の198億55百万円余(対前年同期14億65百万円余増)となりました。
損益面につきましては、国際部門の利益貢献により営業総利益は前年同期比20.2%増の12億34百万円余(対前年同期2億7百万円余増)となりました。営業損益は、一般管理費が増加したものの前年同期比48.5%増の4億43百万円余の利益(対前年同期1億44百万円余増)、経常損益は、持分法による投資利益等が減少しましたが、受取配当金が増加したため、前年同期比39.3%増の6億19百万円余の利益(対前年同期1億74百万円余増)となりました。さらに特別利益として投資有価証券売却益1億48百万円余を計上したため、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比69.0%増の5億18百万円余(対前年同期2億11百万円余増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
輸出部門
輸出部門におきましては、食料品と雑貨の取扱いが増加し、主力の機械機器製品が微減となった結果、取扱量は前年同期比で微増となりました。しかしながら、取扱件数が前年を大きく下回ったことで通関料収入等の減少を招き収益性が悪化したことから、輸出部門の営業収入は前年同期比3.9%減の26億43百万円余(対前年同期1億5百万円余減)、セグメント損失74百万円余(前年同期はセグメント利益25百万円余)となりました。
輸入部門
輸入部門におきましては、繊維製品、機械製品の取扱いが減少しましたが、雑貨が大きく増加し、取扱量は前年同期比11.6%増加となりました。また、取扱件数が前年を上回り、輸入部門の営業収入は前年同期比3.0%増の51億59百万円余(対前年同期1億48百万円余増)となりましたが、高付加価値案件が少なく収益面で貢献できず、セグメント損失85百万円余(前年同期はセグメント損失75百万円余)となりました。
国際部門
国際部門におきましては、輸出・輸入ともに、運賃は下期にかけて下落基調で推移しましたが、当初の想定レートよりも円安が継続した影響で、日本円で収受する運賃収入が増加したため、営業収入・セグメント利益が増加しました。輸出においては、航空便のスポット案件、北米向け三国間、台湾、インド向け設備等が好調に推移しました。下期では運賃下落の影響もありましたが、混載便の強化で利益の確保に努めました。そのため、取扱量は前年同期並みとなり、営業収入は前年同期比5.4%増加となりました。輸入においては、東南アジアからの雑貨の取扱いが好調でしたが、中国からの靴、衣類関連の低迷を補うに至らず、取扱量は前年同期比8.5%減少となりました。下期で運賃下落の影響もありましたが、営業収入は前年同期比16.3%増加となりました。その結果、国際部門の営業収入は前年同期比13.5%増の118億52百万円余(対前年同期14億8百万円余増)、セグメント利益は前年同期比88.7%増の5億39百万円余(対前年同期2億53百万円余増)となりました。
倉庫部門
倉庫部門におきましては、賃借人の変更等に伴い賃料収入が前年同期比4.2%減少し、営業収入は56百万円余(対前年同期2百万円余減)となりましたが、セグメント利益は前年並みの52百万円余となりました。
その他
船内荷役等の営業収入は前年同期比13.1%増の1億45百万円余となり、セグメント利益は前年同期比0.9%減の10百万円余となりました。
(注) その他のセグメントの営業収入には、セグメント間の内部営業収入2百万円余を含んでおります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、13億57百万円余となり、前連結会計年度末より5億73百万円余の増加となりました。各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動による資金は9億85百万円余の獲得(前連結会計年度56百万円余支出)となっております。これは、営業債務の減少1億22百万円余がありますが、税金等調整前当期純利益7億68百万円余、営業債権の減少2億6百万円余、立替金の減少23百万円余によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動による資金は1億47百万円余の獲得(前連結会計年度61百万円余支出)となっております。これは、主に有形・無形固定資産の取得による支出83百万円余がありますが、投資有価証券の売却による収入2億28百万円余によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動による資金は5億58百万円余の支出(前連結会計年度1億54百万円余獲得)となっております。これは、主に短期借入金の純減額2億65百万円余、配当金の支払額73百万円余によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、生産・販売の形態をとらない業種のため、実態にあわせた表示をしております。
営業実績
当連結会計年度における営業実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
セグメントの名称 |
営業実績(千円) |
前期比(%) |
輸出部門 |
2,643,468 |
△3.9 |
輸入部門 |
5,159,531 |
3.0 |
国際部門 |
11,852,908 |
13.5 |
倉庫部門 |
56,760 |
△4.2 |
その他 |
145,152 |
13.1 |
小計 |
19,857,821 |
8.0 |
消去 |
△2,640 |
- |
合計 |
19,855,181 |
8.0 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積っております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。
(退職給付費用)
退職給付費用および債務の計算は、その計算の際に使われた仮定により異なります。これらの仮定には、割引率、利息費用、年金資産の長期期待運用収益率などの要因が含まれております。これらの仮定と実際の結果との差額は発生した連結会計年度に債務認識しております。当社は使用した仮定は妥当なものと考えておりますが、実績との差異または仮定自体の変更により、当社グループの退職給付費用および債務に影響を与える可能性があります。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等」の「重要な会計上の見積り」をご参照下さい。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
当連結会計年度において流動資産は前連結会計年度より3億13百万円余増加し、固定資産は前連結会計年度並となり、結果総資産は104億25百万円余と前連結会計年度より3億13百万円余の増となりました。流動資産増加については、年度末にかけて海上運賃が下落したため受取手形、売掛金及び契約資産が2億6百万円余減少しましたが、手元運転資金を手厚くしたことにより、現金及び預金が5億73百万円余増加したためです。固定資産増加については、減価償却に伴い有形固定資産が84百万円余減少しましたが、投資有価証券が80百万円余増加したことが主たる要因です。
負債については、前連結会計年度より1億40百万円余減少しました。流動負債においては、主に未払法人税等が1億15百万円余増加しましたが、海上運賃水準の安定化に伴い短期的な運転資金需要が収まり、短期借入金が2億65百万円余減少したことによります。固定負債は退職給付に係る負債等の増加もありましたが、主に計画的な有利子負債圧縮により長期借入金が1億66百万円余減少したためです。
純資産合計は、前連結会計年度に比べ4億54百万円余増加しています。退職給付に係る調整累計額が98百万円余減少したものの、前連結会計年度末に比べ当社グループ保有の金融関係株式を中心に株価が上昇し、その他有価証券評価差額金が1億1百万円余増加に加え、利益剰余金が4億44百万円余増加したためです。
海上運賃高騰に伴い、短期的には資金需要に備えるため有利子負債増加は容認してまいりましたが、長期的には計画的に有利子負債の圧縮を図っており、当連結会計年度においては自己資本比率も改善しました。当社グループは、一定の財務規律の下で事業投資や株主還元を行っており、当連結会計年度のコロナ禍の状況下に於いては、安定した財務構成を維持するため、設備投資として大幅な財政出動を要するものは控え、安全面に配慮した既存設備の維持更新を基本とし、生産性の向上を図るためIT関連投資の促進に努めています。
b.経営成績の分析
<輸出部門>
輸出部門については、経営成績に繋がる外部要因としてグローバルなサプライチェーンの枠組みによる海外経済情勢の影響を受けます。当社グループの主力取扱い貨物である機械機器製品の受注状況は、当連結会計年度始めに中国向け貨物が上海ロックダウンの影響を受け、一時的に取扱量が大幅に減少する事態となり、ロックダウン解除後には堅調さを取り戻したかにみえました。しかしながら中国経済の減速と相まって世界的な半導体不足や生産調整の影響が尾を引き機械機器製品の荷動きが鈍く、他の商品取扱いの強化に取組んだものの、補うには至りませんでした。また、取扱件数が大幅に減少し通関料収入等の落込みが大きく影響しため収益性が悪化し、前連結会計年度25百万円余のセグメント利益より一転して74百万円余のセグメント損失となりました。
<輸入部門>
輸入部門については、当社グループ扱い商品は生活消費材が中心となっており、国内の景況感による消費動向が営業収入に影響します。年度当初に、主要輸入先である中国の上海ロックダウンの影響を受け収益を圧迫しましたが、ロックダウン解除後には荷動きが大幅に回復し、上半期にかけ業績の改善が見られました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の収束とともに、当社グループの主要取扱い貨物の生活雑貨の取扱いが大幅増加し取扱量を確保し取扱い件数も前年を上回ったものの、当連結会計年度全般において基幹倉庫を活用した高付加価値案件の受注が減少し、取扱い単価の低下を招いた結果、収益性の改善には至りませんでした。前連結会計年度75百万円余のセグメント損失より悪化し、85百万円余のセグメント損失となりました。
<国際部門>
国際部門については、営業収入に占める海上運賃等の仕入原価の割合が高く収益率が低い商品となっており、収入源である海上運賃の大部分は外貨建てであるため為替レートの影響を受け、同時に仕入れる海上運賃の水準にも大きく左右される商品となっています。当連結会計年度において国際輸出・輸入ともに、上期は海上運賃の高騰と円安の追い風を受け日本円で収受する運賃収入が増加し、営業収入及び利益面で大きく業績に貢献しました。下期に入り海上運賃は下落基調で推移しましたが、当初見込みよりも下落時期がずれ込み下落幅も緩やかであったこと、円安水準が持続し、なお且つ最大限収入面での運賃水準の維持に努めたことが功を奏し、上期よりさらに業績を押し上げる結果となりました。加えて航空便によるスポット案件、三国間及び設備案件の取込み、収益性の高い混載便の強化に努め、営業収入は前連結会計年度より14億8百万円余増加し、セグメント利益は前連結会計年度2億85百万円余から大幅に増加し5億39百万円余となりました。
<倉庫部門・その他>
倉庫部門は、安定した収益源としてセグメント利益は52百万円余を計上し、その他については、前連結会計年度並み利益の10百万円余となりました。
c.キャッシュ・フローの状況の分析
企業活動の財源及び資金の流動性については、当連結会計年度は海上運賃の高騰と円安により国際部門の営業収入増加と利益面へ大きく寄与し、財源としての利益は拡大し累積した結果、営業活動による資金は9億85百万円余の獲得となりました。当社グループの属する港湾運送業界では、輸入部門での関税・消費税、輸出及び輸入部門における海上運賃を取引先に代わり一旦立替える商習慣が根強く残っております。年度当初より海上運賃高騰により立替金が増加し、運転資金を圧迫する事態に見舞われ、加えて国際部門の営業収入増加の影響を受け、資金需要が急激に高まったまま推移しましたが、立替金の圧縮策として取り組んだ取引先の口座より関税等を直接引き落とすリアルタイム口座方式への切替えや、事前に高額海上運賃支払いに備え前受金を確保したことが資金獲得に寄与しました。投資活動による資金は一部銘柄の投資有価証券の売却により1億47百万円余の獲得としています。一方、資金運用は、短期的に金融機関との借入枠を増額し資金調達を行い、現金及び預金の最適な水準を維持しつつ資金の流動性を確保し、長期借入金をシンジケートローンによる計画的な有利子負債の圧縮を図り、両者の調整により安定化を図っています。当年度末にかけて海上運賃水準の安定化に伴い各部門に関連する資金需要も収まったため、短期借入金を返済し財務活動による資金は5億58百万円支出となり、結果当連結会計年度末の資金としては、前連結会計年度末より5億73百万円増加となりました。