売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E04510 Japan GAAP

売上高

1.84兆 円

前期

1.08兆 円

前期比

169.8%

時価総額

4,763.0億 円

株価

2,602 (04/25)

発行済株式数

183,051,100

EPS(実績)

621.08 円

PER(実績)

4.19 倍

平均給与

804.6万 円

前期

793.9万 円

前期比

101.3%

平均年齢(勤続年数)

41.5歳(19.0年)

従業員数

1,816人(連結:7,078人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

 

3 【事業の内容】

当社グループは、当社、子会社72社及び関連会社107社(2023年3月31日現在)によって構成されており、主に、水力、火力、風力など当社又は関係会社で保有する発電所による発電事業及び卸電力取引市場等から調達した電力の販売事業を行っているほか、送電事業として子会社で保有する送・変電設備により、沖縄電力㈱を除く一般送配電事業者9社の電力託送を行っております。

 

当社グループの事業の内容としては、当社及び関係会社が行う「電気事業」、電気事業を補完し電気事業の円滑かつ効率的な遂行に資する「電力周辺関連事業」、海外における発電事業及びその関連事業を行う「海外事業」並びに当社グループの保有する経営資源、ノウハウを活用して行う石炭販売事業等の「その他の事業」があります。

なお、次の4部門は「第5 経理の状況 1 (1) 連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一です。

 

[電気事業]

当社は、水力、火力など当社で保有する発電所により電力の供給をする発電事業及び卸電力取引市場等から調達した電力の販売事業を行っているほか、送電事業として子会社で保有する送・変電設備により、沖縄電力㈱を除く一般送配電事業者9社の電力託送を行っております。設備毎の特徴は以下のとおりです(2023年3月31日現在)。

(水力発電) 当社設立以降、規模の大きな水力発電所を数多く開発し、合計出力857万kWの水力発電設備を保有しております。これらの設備は電力需要の変動に素早く対応できるため、電力需要が高まる昼間帯を中心に利用されております。

(火力発電) 石炭火力に特化しており、合計出力841万kWの石炭火力発電設備を保有しております。主に電力需要のベース部分を担う電源として利用されていることから設備の利用率が高く、電力安定供給に貢献している電源と言えます。

(託送)   北海道・本州間、本州・四国間、本州・九州間等、一般送配電事業者の供給地域を繋ぐ基幹送電線等(総亘長2,410km)及び周波数の異なる東西日本を繋ぐ周波数変換所を保有しております。

また、当社の子会社及び関連会社は風力発電事業及び火力発電事業等を行っております。

 

[電力周辺関連事業]

電気事業を補完し、その円滑、効率的な遂行に資する事業を行っております。

発電所の受託運営、電力設備の設計・施工・点検保守・補修、燃料や石炭灰に関する港湾運用、炭鉱開発、石炭の輸入・輸送、バイオマス燃料の調達・製造、厚生施設等の運営、電算サービス等

 

[海外事業]

海外における発電事業及びその関連事業、海外におけるエンジニアリング・コンサルティング事業等を行っております。

 

[その他の事業]

保有する経営資源、ノウハウを活用し、国内での廃棄物発電等の新たな電力事業、環境関連事業、情報通信事業、国内におけるエンジニアリング・コンサルティング事業、石炭等販売事業等を行っております。

 

当社グループを事業系統図によって示すと次頁のとおりです。

 

 

[事業系統図]

 

※画像省略しています。

 

当連結会計年度の主な関係会社の異動等は次のとおりです。

 

[電気事業]

当連結会計年度において、糸魚川発電㈱は2022年8月に全保有株式を譲渡したことにより、また、美浜シーサイドパワー㈱は2022年11月に清算したことにより、連結子会社に該当しなくなりました。また、あきたみらいエネルギー(同)及び由利本荘みらいエネルギー(同)は2022年8月に清算したことにより、持分法適用の範囲から除外しております。

 

[電力周辺関連事業]

当連結会計年度において、2022年12月に連結子会社のJ-POWERテレコミュニケーションサービス㈱は連結子会社であった日本ネットワーク・エンジニアリング㈱を吸収合併しております。

 

[海外事業]

当連結会計年度より、2022年7月に設立したJ-POWER Alaska Development, LLC、2023年2月に設立したJ-Power Generation Philippines Inc.及びJ-POWER VIETNAM Co., Ltd.を新たに連結の範囲に含めております。また、2023年2月に株式を取得したLake Mainit Hydro Holdings Corp.及びAgusan Power Corp.を新たに持分法適用の範囲に含めております。

 

[その他の事業]

主要な関係会社の異動等はありません。

 

23/06/29

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度の収入面は、電気事業の販売電力量は減少しましたが、電力販売価格の上昇等により、売上高(営業収益)は前連結会計年度に対し69.8%増加1兆8,419億円となりました。これに営業外収益を加えた経常収益は前連結会計年度に対し68.6%増加1兆8,666億円となりました。

一方、費用面は、電気事業の火力の燃料費や他社購入電源費の増加等により、営業費用は前連結会計年度に対し66.2%増加1兆6,580億円となりました。これに営業外費用を加えた経常費用は前連結会計年度に対し64.0%増加1兆6,958億円となりました。

経常利益は、石炭販売価格の上昇による豪州連結子会社の増益等もあり、前連結会計年度に対し134.5%増加1,707億円となり、法人税等を差し引いた親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に対し63.1%増加1,136億円となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。

(電気事業)

電気事業の販売電力量は、水力は出水率が前連結会計年度を下回った(99%94%)こと等により、前連結会計年度に対し4.3%減少88億kWhとなりました。火力については、発電所利用率が前連結会計年度を下回った(当社個別:67%65%)こと等により、前連結会計年度に対し4.8%減少456億kWhとなりました。卸電力取引市場等から調達した電力の販売は、前連結会計年度に対し21.2%減少128億kWhとなり、電気事業全体では前連結会計年度に対し8.5%減少684億kWhとなりました。

売上高(電気事業営業収益)は、電力販売価格の上昇により、前連結会計年度に対し61.6%増加1兆4,202億円となりました。

セグメント利益は、火力の燃料価格上昇による燃料費の増加や電力取引価格の上昇による他社購入電源費の増加があったものの、売上の増加等により、前連結会計年度に対し104.6%増加545億円となりました。

 

(電力周辺関連事業)

売上高(その他事業営業収益)は、豪州連結子会社の石炭販売収入において販売価格が上昇したこと等により、前連結会計年度に対し31.9%増加3,217億円となりました。

セグメント利益は、売上の増加等により、前連結会計年度に対し259.3%増加928億円となりました。

 

(海外事業)

海外事業の販売電力量は、タイで販売電力量が減少したものの、米国ジャクソン火力発電所が2022年5月4日に営業運転を開始したことにより、前連結会計年度に対し29.0%増加142億kWhとなりました。

売上高(海外事業営業収益)は、米国ジャクソン火力発電所の営業運転開始に加え、電力販売価格の上昇等により、前連結会計年度に対し91.3%増加2,775億円となりました。

セグメント利益は、2022年12月に発生した米国の寒波による設備トラブルに伴う減益があったものの、米国ジャクソン火力発電所の営業運転開始や為替の影響等により、前連結会計年度に対し3.1%増加226億円となりました。

 

(その他の事業)

売上高(その他事業営業収益)は、前連結会計年度に対し39.2%増加293億円となりました。

セグメント利益は、前連結会計年度に対し46.3%増加18億円となりました。

 

 

資産については、流動資産の増加や円安の影響等により、前連結会計年度末から2,965億円増加3兆3,626億円となりました。

一方、負債については、前連結会計年度末から678億円増加2兆1,699億円となりました。このうち、有利子負債額は前連結会計年度末から993億円増加1兆8,858億円となりました。なお、有利子負債額のうち3,050億円は海外事業のノンリコースローン(責任財産限定特約付借入金)です。

また、純資産については、親会社株主に帰属する当期純利益の計上に加え、為替換算調整勘定や繰延ヘッジ損益の増加等により前連結会計年度末から2,286億円増加1兆1,927億円となりました。

以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の29.9%から32.3%となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権や棚卸資産の増加があったものの、税金等調整前当期純利益の増加等により、前連結会計年度に対し274億円増加1,558億円の収入となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、インドネシアバタン発電所プロジェクトへの投融資の反動減等により、前連結会計年度に対し280億円減少1,508億円の支出となりました

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、コマーシャル・ペーパーの償還による支出の増加があったものの、社債や借入れによる資金調達の増加に加え、米国ジャクソン火力発電所の権益一部譲渡による収入等により、前連結会計年度に対し119億円増加960億円の収入となりました。

 

以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に対し1,117億円増加3,342億円となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

当社グループが実施する事業のうち、電気事業の受給実績、販売実績、資材の状況及び海外事業の販売実績について記載しております。

 

○ 電 気 事 業

a.受給実績

種別

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

発受電電力量(百万kWh)

70,145

90.8

損失電力量等(百万kWh)

△1,554

80.4

内部取引(百万kWh)

△123

22.4

販売電力量(百万kWh)

68,467

91.5

 

(注)発受電電力量は、水力・汽力・風力発電電力量等の合計です。

 

b.販売実績

① 販売実績

 

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比 (%)

電力量 (百万kWh)

電力料・託送料
(百万円)

電力量

電力料・託送料

発電事業・電力販売事業

68,467

1,362,461

91.5

165.6

送電事業

49,599

101.7

合計

68,467

1,412,061

91.5

162.0

 

(注)発電事業の販売電力量及び電力料は、水力・汽力・風力等の合計です。

 

② 主要顧客別売上状況

 

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日

売上高(百万円)

割合(%)

売上高(百万円)

割合(%)

(一社)日本卸電力取引所

230,835

26.3

295,927

20.9

中国電力㈱

128,877

14.7

259,412

18.3

関西電力㈱

78,442

9.0

164,313

11.6

九州電力㈱

59,856

6.8

140,084

9.9

 

(注)割合は電気事業営業収益に対する割合です。

 

c.資材の状況

① 石炭、重油及び軽油の受払状況

(イ) 石 炭

 

期首残高(t)

受入量(t)

払出量(t)

棚卸修正(t)

期末残高(t)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

1,169,845

17,814,360

17,283,599

24,549

1,725,155

前年同期比(%)

102.9

100.9

97.4

22.1

147.5

 

 

(ロ) 重 油

 

期首残高(kl)

受入量(kl)

払出量(kl)

棚卸修正(kl)

期末残高(kl)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

25,182

37,786

25,409

52

37,612

前年同期比(%)

93.6

102.5

64.9

9.4

149.4

 

 

(ハ) 軽 油

 

期首残高(kl)

受入量(kl)

払出量(kl)

棚卸修正(kl)

期末残高(kl)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

10,529

24,125

24,401

132

10,386

前年同期比(%)

101.6

85.8

86.7

64.9

98.6

 

 

 

○ 海 外 事 業 

① 販売実績

 

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

電力量(百万kWh)

電力料(百万円)

電力量(百万kWh)

電力料(百万円)

ガス火力(コンバインドサイクル)

11,061

143,355

14,269

274,302

 

(注)タイ及びアメリカにおけるプロジェクトのうち、主要な販売実績について記載しております。

 

② 主要顧客別売上状況

 

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日

売上高(百万円)

割合(%)

売上高(百万円)

割合(%)

タイ電力公社(EGAT)

130,007

89.6

206,755

74.5

PJM

50,034

18.0

 

(注) 1 割合は海外事業営業収益に対する割合です。

2 PJM は米国東部地域における独立系統運用機関(Independent System Operator)です。

3 米国ジャクソン火力発電所が2022年5月4日に営業運転を開始したことにより、当連結会計年度においてPJMに対する売上状況が著しく増加しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たっては、当連結会計年度末における資産及び負債の報告数値並びに当連結会計年度における収益及び費用の報告数値に影響を与える見積りを行う必要があります。当該見積りについては、経営者は過去の実績や見積り時点で入手可能な情報等に基づく仮定を用いて合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。

当社グループは、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、以下のものが重要であると考えております。

 

a.固定資産の減損

当社グループは、継続的に収支の把握を行っている管理会計上の区分を基本として資産をグルーピングしております。減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産及び資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失を認識します。

減損の兆候の判定並びに減損損失の認識及び測定に当たっては、過去の実績や入手可能な情報等を踏まえた合理的な見積り及び仮定に基づき検討しておりますが、経営環境、市況又は事業計画の変化により当該見積り及び仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

 

b.有価証券の減損

当社グループは、時価のある有価証券について、時価が著しく下落したときは、回復する見込みがあると認められる場合を除き、当該時価を以て貸借対照表価額とし、評価差額を減損損失として認識します。また、時価のない有価証券について、当該会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく下落したときは、回復可能性が十分な証拠によって裏付けられる場合を除き、相当の減額を行い、評価差額を減損損失として認識します。

回復可能性の検討に当たっては、過去の実績や入手可能な情報等を踏まえた合理的な見積り及び仮定に基づき検討しておりますが、経営環境、市況又は事業計画の変化により当該見積り及び仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

c.退職給付費用及び債務

当社及び一部の国内子会社は、数理計算上で設定される前提条件(割引率、将来の退職金ポイント累計、退職率、死亡率、年金資産の長期期待運用収益率等)に基づき、従業員に係る退職給付費用及び債務を算出しておりますが、実際の算出結果が前提条件と異なる場合、特に株価等市況が大きく変化し年金資産の実運用収益率が影響を受けた場合又は割引率が低下した場合、数理計算上の差異が大きくなり、その償却により人件費が影響を受けます。

 

d.繰延税金資産の回収可能性

当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の判断に当たって、将来の課税所得を合理的に見積もっております。将来の課税所得の見積りに当たっては、合理的な要因に基づく業績予測等を前提としておりますが、経営環境の変化又は税制改正による法定実効税率の変更等が生じ、繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産を減額し費用を計上します。また、当該変更等により計上金額を上回る繰延税金資産を将来回収できると判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産を増額し収益を計上します。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績の分析

(イ)営業収益

営業収益は、前連結会計年度に対し7,573億円(69.8%)増加1兆8,419億円となりました。

このうち電気事業営業収益は、電力販売価格の上昇により、前連結会計年度に対し5,414億円(61.8%)増加1兆4,179億円となりました。

海外事業営業収益は、米国ジャクソン火力発電所の営業運転開始に加え、電力販売価格の上昇等により、前連結会計年度に対し1,324億円(91.3%)増加2,775億円となりました。

また、その他事業営業収益は、豪州連結子会社の石炭販売価格が上昇したこと等により、前連結会計年度に対し833億円(132.2%)増加1,464億円となりました。

 

(ロ)営業費用及び営業利益

営業費用は、前連結会計年度に対し6,604億円(66.2%)増加1兆6,580億円となりました。

電気事業営業費用は、修繕費の減少はあったものの、火力の燃料費や他社購入電源費の増加等により、前連結会計年度に対し5,161億円(62.6%)増加1兆3,406億円となりました。

海外事業営業費用は、米国ジャクソン火力発電所の営業運転開始に加え、タイGulf JPで燃料費が増加したこと等により、前連結会計年度に対し1,303億円(110.2%)増加2,485億円となりました。

また、その他事業営業費用は、前連結会計年度に対し139億円(25.5%)増加688億円となりました。

営業利益は、石炭販売価格の上昇による豪州連結子会社の増益等もあり、前連結会計年度に対し968億円(111.4%)増加1,838億円となりました。

 

 

(ハ)営業外収益と費用及び当期経常利益

営業外収益は、持分法投資利益は減少したものの、固定資産売却益の計上等により、前連結会計年度に対し22億円(10.0%)増加247億円となりました。なお、当連結会計年度の持分法投資利益は、2022年12月に発生した米国の寒波による設備トラブルや中国プロジェクトでの減損等により減少しております。

営業外費用は、為替差損の大幅な減少があったものの、米国ジャクソン火力発電所の営業運転開始に伴う支払利息の増加や固定資産除却損の計上等により、前連結会計年度に対し11億円(3.3%)増加378億円となりました。為替差損は、主にタイGulf JPが保有するドル建て借入金の決算時における為替変動の評価により発生します。当連結会計年度は、前連結会計年度に比べドルに対するバーツ安の進行が大きく縮小しました。

経常利益は、営業利益の増加等により、前連結会計年度に対し979億円(134.5%)増加1,707億円となりました。

 

(ニ)親会社株主に帰属する当期純利益

税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に対し979億円(134.5%)増加1,707億円となりました。

法人税等合計は、豪州連結子会社での課税所得の増加に加え、当社の繰越欠損金控除に伴う繰延税金資産の取崩し等により、前連結会計年度に対し537億円増加しました。

また、非支配株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に対し2億円(4.0%)増加53億円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に対し440億円(63.1%)増加1,136億円となりました。

 

b.経営成績に重要な影響を与える要因

○ 営業収益

(電気事業営業収益)

当社グループの電気事業営業収益は主に、当社グループの発電設備で発電した電力の販売による収入、卸電力取引市場等から調達した電力の販売による収入、並びに一般送配電事業者からの託送料収入により構成されます。販売電力量は、小売電気事業者等の電力需給動向により影響を受けるため、当社グループの電力量料金に係る収入は間接的に小売電力需要の影響を受けます。

 

(イ) 発電設備容量

当社グループは、発電施設の建設にあたり、長期的な電力需要の見通し、市場競争の進展度合い等の想定されうる将来の事業環境を前提に、当該発電施設の収益性を判断し、開発計画を策定しております。想定以上の事業環境の変化により当社が期待する収益性を確保できない可能性はありますが、基本的に発電設備容量の増加は販売電力量及び販売電力料の増加に結びつきます。

 

(ロ) 電力需要

日本の最終電力需要の見通しによっては、長期的に建設・運転可能な発電所数等が左右されることになり、間接的に当社グループの収益に影響します。また、電力需要は冷夏・暖冬等の天候によっても影響を受けます。

 

(ハ) 電気料金等

発電事業に関する料金は、小売電気事業者等への販売料金と卸電力取引市場への販売料金により構成されます。小売電気事業者等への販売料金は、電気事業法の改正に伴い、2016年4月より卸規制等が撤廃され、販売先との協議により決定しております。卸電力取引市場への販売料金は電力市場価格に基づくため、当該価格変動の影響を受けます。一方、送電事業に関する料金は、健全な送配電ネットワーク維持のため、引き続き規制部門として送電事業で必要と想定される適正な原価に適正な利潤を加えて算定しております。

発電事業に関する小売電気事業者等への販売料金及び送電事業に関する料金の詳細な条件は契約当事者間で協議の上、適宜改定を行っています。また、料金の構成としては、揚水を除く発電設備については、原則として基本料金と販売電力量に応じた従量料金としています。一方、揚水発電設備、送・変電設備については、原則として全額を基本料金としております。

なお、火力発電設備の従量料金の大半を占める燃料費相当部分については、海外炭の価格動向など市況の変動が大きいため、原則として販売先との間で燃料調達に係る市況の変動を適宜反映する仕組みを導入しております。

また、卸電力取引市場等から調達する電力についての販売料金は、販売先との契約により決定し、適宜改定を行っております。

 

(海外事業営業収益)

当社グループの海外事業営業収益は主に、タイにおける当社の連結子会社とタイ電力公社(EGAT)との長期電力販売契約に基づく販売電力料収入及びアメリカにおける当社の連結子会社の電力市場での販売電力料収入です。

タイにおいては、販売電力料収入には固定料金である基本料金収入と販売電力量に応じた電力量料金収入があります。当社の連結子会社の販売電力量は、販売先であるタイ電力公社の電力需給動向により影響を受けるため、当社の連結子会社の電力量料金に係る収入は間接的に電力需要の影響を受けます。

また、アメリカにおいては、販売電力料収入には販売容量に応じた容量収入と販売電力量に応じた電力量料金収入があります。当社の連結子会社の容量収入は容量市場における容量需給動向により変動します。当社の連結子会社の販売電力量は、電力市場における電力需給動向により影響を受けるため、当社の連結子会社の電力量料金に係る収入は電力需要の影響を受けます。

 

○ 営業費用

(電気事業営業費用)

(イ) 減価償却費

重要な減価償却資産の減価償却の方法は、定額法によっております。今後、新たに大規模な設備が資産計上されると減価償却費も増加します。

 

(ロ) 燃料費

火力発電所の燃料に使用する石炭については、主として長期契約若しくは期間1年程度の契約により行っております。また、補完的にスポットでの調達も行っております。長期契約に基づく石炭の購入価格は、通常、1年に1回市場価格を踏まえて調整されます。当社の燃料費は、石炭の価格変動、輸送船舶の需給状況、燃料調達先の設備・操業トラブル等の影響を受けます。

 

(ハ) 人件費

従業員に係る退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件(割引率、将来の退職金ポイント累計、退職率、死亡率、年金資産の長期期待運用収益率等)に基づき算出されておりますが、実際の算出結果が前提条件と異なる場合、特に株価等市況が大きく変化し年金資産の実運用収益率が影響を受けた場合又は割引率が低下した場合、数理計算上の差異が大きくなり、その償却により人件費が影響を受けます。

 

(ニ) 修繕費

設備信頼性を維持するため計画的な補修を実施しておりますが、定期点検の内容、規模等により修繕費は変動します。

 

(ホ) 他社購入電源費

電力市場価格や販売先との契約に基づく販売電力量等により、卸電力取引市場等からの電力の調達に要する他社購入電源費は変動します。

 

 

(海外事業営業費用)

(イ) 燃料費

タイにおける火力発電に用いる燃料の天然ガスは、タイ石油公社(PTT)と長期燃料供給契約を締結し購入しております。当社の連結子会社の燃料費は、ガス価格の変動、タイ石油公社の設備・操業トラブル等の影響を受けます。

また、アメリカにおける火力発電に用いる燃料の天然ガスは、市場から購入しております。当社の連結子会社の燃料費は、ガス価格の変動の影響を受けます。

 

○ 営業外収益・費用

営業外費用には、支払利息のほか為替差損があり、金利及び為替の変動によって影響を受けます。

 

c.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(イ) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

(ロ) 資金需要の動向

当社グループの主な資金需要は、電気事業及び海外事業への設備投資並びに長期負債の借換資金です。当連結会計年度の電気事業に係る設備投資は、前連結会計年度より173億円増加1,072億円、海外事業に係る設備投資は、前連結会計年度より263億円減少129億円です。

 

(ハ) 資金調達の方法及び状況

当社グループの資金需要は設備投資と債務の借換に係るものが大半であるため、資金調達は長期資金で手当てすることを原則としています。

長期資金調達に際しては、低利かつ安定的な資金調達手段として普通社債の発行及び金融機関からの借入を行っており、当連結会計年度末の普通社債発行残高は8,440億円、借入残高は1兆283億円となりました。

短期資金については、運転資金に加え、調達の即応性を高める観点から機動的なつなぎ資金調達を実施することとしており、これら短期の資金需要を満たすために3,000億円のコマーシャル・ペーパーの発行限度枠を設定しています。

なお、当連結会計年度末の有利子負債残高は、前連結会計年度末から993億円増加1兆8,858億円となりました。

○ 長期有利子負債

当連結会計年度末の長期有利子負債は、社債7,740億円、長期借入金8,933億円です。なお、長期借入金のうち2,843億円はノンリコースローン(責任財産限定特約付借入金)です。

○ 短期有利子負債

当連結会計年度末の短期有利子負債は、1年以内に償還予定の社債700億円、1年以内に返済予定の長期借入金1,349億円及び短期借入金107億円です。なお、1年以内に返済予定の長期借入金及び短期借入金のうち238億円はノンリコースローン(責任財産限定特約付借入金)です。

 

d.目標とする経営指標の達成状況等

当社グループは、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標」に記載のとおり、2023年度に実現を目指す財務目標として「連結経常利益900億円以上」及び「連結自己資本比率30%以上」を設定しています。

当連結会計年度における連結経常利益は1,707億円、連結自己資本比率は32.3%となりました。