三菱UFJ証券ホールディングス株式会社

証券、商品先物取引業証券

売上高

利益

資産

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最終更新:

E03771 Japan GAAP

売上高

4,928.1億 円

前期

3,512.8億 円

前期比

140.3%


3【事業の内容】

当社グループ(連結子会社9社、持分法適用関連会社1社)は、金融商品取引業を中心とする営業活動を各地域で展開し、主たる事業として投資・金融サービス業(有価証券の売買およびその委託の媒介等、有価証券の引受けおよび売出し、有価証券の募集および売出しの取扱い、有価証券の私募の取扱い、その他の金融商品取引業ならびに貸金業等)を営んでおり、お客さまに対し資金調達、資金運用の両面で幅広い投資・金融サービスを提供しております。その中で当社は、証券持株会社として傘下の事業会社各社のグループ間連携を推進しつつ、業態毎に経営資源の配分や業績の確認を行っております。したがって、当社グループは、業態・地域別のセグメントから構成されており、「証券業務(国内)」「証券業務(欧州)」「証券業務(米州)」を報告セグメントとしております。

なお、2016年7月1日付でMUFGセキュリティーズアメリカは当社の連結範囲から除外されておりますが、当社の社内収益管理は引き続き同社を含めて行うため、セグメント情報においては、「証券業務(米州)」での開示を継続しております。

同一の親会社をもつ会社である株式会社三菱UFJ銀行および三菱UFJ信託銀行株式会社と当社グループとの間には、資金貸借取引または有価証券の売買等の取引において継続的で緊密な事業上の関係があります。

以上述べた事項を系統図によって示すと次のとおりであります。

 

※画像省略しています。

23/06/26

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度の経営者による財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の分析は、以下のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月26日)現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 重要な会計方針および見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、トレーディング商品(デリバティブを含む)および投資についての評価、固定資産の減損、繰延税金資産についての回収可能性、退職給付費用および債務、貸付等債権に対する貸倒引当金、偶発事象や訴訟、その他資産・負債の報告数値や財務諸表の開示内容に影響を与える事項に対して、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる判断や見積りを行っております。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、財政状態または経営成績に対して重大な影響を与え得る会計上の見積りおよび判断が必要となる項目は以下のとおりです。

 

トレーディング商品

 トレーディング商品(デリバティブを含む)は時価により評価され、評価損益はトレーディング損益に計上されております。時価については、市場で取引されているものについては、市場取引価格、業者間取引価格、またはこれらに準ずる価格等によっております。市場取引価格または業者間取引価格がない場合には、原金融資産の時間的価値とボラティリティ等を加味した時価評価モデル等によって算出されております。

 なお、時価の算定に用いたインプットの観察可能性および重要性に応じて、以下の3つのレベルに分類しております。

 レベル1の時価:同一の資産または負債の活発な市場における(無調整の)相場価格により算定した時価

 レベル2の時価:レベル1のインプット以外の直接または間接的に観察可能なインプットを用いて算定した時価

 レベル3の時価:重要な観察できないインプットを使用して算定した時価

 特に、時価算定の基礎となるインプットが市場で観察できず、その時価算定に与える影響が重要なデリバティブ(レベル3デリバティブ)の時価評価に係る見積りや仮定は、複雑性および不確実性の程度が高くなります。詳細については「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り) 2.会計上の見積りの内容について連結財務諸表利用者の理解に資するその他の情報」に記載しております。当社グループでは、デリバティブ取引の時価評価における主要な構成要素である評価モデル、インプットおよび出口価格への調整の妥当性について、フロント部門から独立したミドル部門において以下の内部統制を整備運用し、適切であると考えております。

 イ.フロント部門が決定する評価モデルに対する内部統制

 ロ.フロント部門が決定する時価算定の基礎となるインプットに対する内部統制

 ハ.ミドル部門が自ら算定する出口価格への調整に関する内部統制

 なお、トレーディング商品の時価に関連する内容については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(金融商品関係)」に記載しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績の認識および分析・検討内容

 当社グループでは、「MUFG Way」に基づいてお客さまに最適なソリューションをご提供するとともに、リスク管理、コンプライアンス、情報管理の徹底により、「MUFGの中核として業界No.1のクオリティを有し、お客さま満足度No.1の証券会社」としての地位の確立をめざしています。当社グループの財政状態、経営成績等は、証券・金融商品取引業の性格上、国内外の経済情勢・市場動向の影響を受けて変動し易い特性を持っており、当連結会計年度の経済情勢・市場動向は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経済情勢・市場動向」に記載のとおりですが、こうした中、当社グループは、MUFGグループの有する顧客基盤やネットワーク、および強固な財務基盤と、Morgan Stanleyが有する質の高い商品、サービス、ネットワークを有機的に結び付けることで、法人、個人のお客さまに質の高い証券サービスの提供に努めています。また、徹底した経費抑制施策の実行により利益水準の向上にも努力しております。

 

 この結果、当連結会計年度の連結純営業収益は3,522億57百万円(前年度比114.3%)、販売費・一般管理費は2,977億41百万円(同104.4%)、連結経常利益は845億41百万円(同175.8%)、親会社株主に帰属する当期純利益は448億2百万円(同260.3%)となりました。

 

 当連結会計年度の主要な収益・費用の概況は以下のとおりです。

① 受入手数料

区     分

   前連結会計年度

 (自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

    (百万円)

   当連結会計年度

 (自 2022年4月1日

  至 2023年3月31日)

    (百万円)

前年度比(%)

受入手数料

166,415

151,850

91.2

 

委託手数料

26,642

23,241

87.2

 

引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料

36,698

26,896

73.3

 

募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料

26,750

18,628

69.6

 

その他の受入手数料

76,324

83,085

108.9

   受入手数料の合計は1,518億50百万円で前年度比91.2%となりました。内訳は次のとおりです。

a.委託手数料

 当連結会計年度の東証の1日平均売買高(内国普通株合計)は、株数で17億27百万株(前年度比102.0%)、金額で3兆5,143億円(同102.9%)となりました。このような状況のもと、当社グループの株式委託手数料は224億23百万円(同87.1%)、債券委託手数料は1百万円(同88.0%)となり、委託手数料は合計で232億41百万円(同87.2%)となりました。

b.引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料

 国内株式発行市場は、米国の金融引き締めを巡る不透明な市場環境が継続する中、第3四半期以降は複数の大型売出しや新規公開が実施され、徐々に回復の動きが見られたものの、前年度と比べ発行額は減少しました。当社グループはこのような環境のもと、複数の案件で主幹事をつとめました。

 国内債券発行市場は、短中期債やESG債を中心に複数の起債が見られたものの、金利環境の変化を受けて投資家の需要が弱含み、起債に慎重となった発行体も多く、前年度と比べ発行額は減少しました。当社グループはこのような環境のもと、多数の案件で主幹事をつとめました。

 海外債券発行市場は、インフレ懸念等を背景とした各国中央銀行による金融引き締めの影響を受け、債券発行額は前年度と比べ減少しましたが、当社グループの海外現地法人は、三菱UFJ銀行との緊密な協働・連携により、多数の主幹事案件を獲得しました。

 以上の結果、当連結会計年度の引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料は合計で268億96百万円(前年度比73.3%)となりました。

c.募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料

 募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料は、その大半を連結子会社の三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社(以下「MUMSS」といいます。)における投資信託の募集取扱手数料が占めています。

 当社グループは、マーケット環境の見通しをもとに、運用目的に基づいたテーラーメイド型のポートフォリオの構築をお客さま毎に提案し、商品・サービスの提供を行っております。当連結会計年度は、年度初めより米国金利上昇、インフレ加速等の影響で不安定なマーケット環境であったこともあり、公募投資信託の販売が低調となり、募集取扱手数料は前年度比減少しました。公募投信では「JPMグローバル高利回りCBファンド2022-08」「先進国好利回りCBファンド2023-03」等の割安なCBのキャピタルゲインを狙いとした限定追加型利回り商品の新規募集を複数行いました。また、インカムゲインを狙いとした「三菱UFJ/マッコーリー グローバル・インフラ債券ファンド」などの既存債券ファンドがお客さまのポートフォリオに多く組み込まれました。また、テクノロジー関連銘柄等の価格下落や、米中堅銀行の破綻等による金融不安を踏まえ、お客さまに対するフォローも引き続き丁寧に行いました。

 以上の結果、当連結会計年度の募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料は186億28百万円(前年度比69.6%)となりました。

d.その他の受入手数料

 その他の受入手数料には、投資信託の代行手数料のほかに、M&A業務および財務アドバイザリー業務にかかる手数料、証券化・不動産ファイナンス業務などを含んでおります。M&A業務では、MUFGとMorgan Stanleyが有する国内外ネットワークや、プロダクトに関する豊富な知見・経験の活用を通じ、国内/クロスボーダーを問わず多くの実績を積み重ね、お客さまの企業価値向上に貢献いたしました。

 以上の結果、当連結会計年度のその他の受入手数料は830億85百万円(前年度比108.9%)となりました。

② トレーディング損益および金融収支

区     分

   前連結会計年度

 (自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

    (百万円)

   当連結会計年度

 (自 2022年4月1日

  至 2023年3月31日)

    (百万円)

前年度比(%)

トレーディング損益

92,630

182,567

197.1

 

株券等トレーディング損益

417

△9,883

 

債券等・その他トレーディング損益

92,212

192,450

208.7

金融収支

49,075

17,835

36.3

 

金融収益

92,232

158,384

171.7

 

金融費用

43,156

140,549

325.7

141,705

200,402

141.4

 国内株式市場は、27,624円でスタートした日経平均株価が、28,041円で終了しました。年度初めは米国の金融引き締め加速観測が強まり、株価は6月下旬にかけて下落基調となりました。その後、米景気の先行き弱含みへの懸念から米国の金融引き締め加速への警戒感が弱まり、8月中旬にかけて水準を切り上げました。下期に入ると、米国の金融引き締め減速、早期金融引き締め停止の観測が表れ、11月下旬にかけ株価の上昇が続いたものの、金融引き締め観測の後退に加えて、12月の日銀の長期金利の許容変動幅拡大もあり、下落基調となりました。その後は、米インフレ率のピークアウトの観測から米国の早期金融引き締め停止、金融緩和実施の見通しが広まり、株価は上昇基調となりました。3月には米中堅銀行の経営破綻などを契機とした金融不安が広がるも、米金融当局の迅速な対応に伴い株価下落も一時的なものとなりました。

 国内債券市場は、長期金利(新発10年物国債利回り)が0.20%で始まり、0.32%で終了しました。米国の金融引き締めが加速する中、日銀の金融緩和政策修正の観測もあり、長期金利は日銀の許容変動幅の上限である0.25%程度での推移が続きました。夏場には、米国の金融引き締め加速の観測が弱まり、水準を下げる場面もありましたが、日銀の金融緩和政策修正の観測は根強く、9月には0.25%程度まで水準を戻し、その後も0.25%程度での推移となりました。12月に日銀が長期金利の許容変動幅を拡大させると、長期金利は大幅に上昇し、新たな許容変動幅の上限である0.50%程度での推移が続きました。3月中旬には、米中堅銀行の破綻を受け、長期金利は0.2%台まで低下しましたが、米金融当局の対応により不安が和らいだことで再び0.3%台まで上昇しました。また、クレジット市場では、クレジットスプレッドが拡大しました。

 海外市場(1~12月)では、地政学的リスクの顕在化によるサプライチェーン逼迫等からインフレが加速し、継続的かつ大幅な金融引き締めとともに金利先高観も高まり、10年物米国債利回りは年初の1.5%から4.3%近辺まで上昇しましたが、年末にかけてインフレのピークアウトが意識され一時3.4%台まで低下し、クレジットスプレッドは上下しながらも年度を通じ拡大しました。

 このような環境のもと、当社グループは、市場変動に応じた慎重かつリスク抑制的な業務運営に注力しつつ、顧客へのソリューション提供に努めました。

 以上の結果、当連結会計年度のトレーディング損益は、株券等による損失が98億83百万円(前年度は4億17百万円の利益)、債券等・その他による利益が1,924億50百万円(前年度比208.7%)、合計では1,825億67百万円(同197.1%)となりました。

 また、金融収益1,583億84百万円(前年度比171.7%)から金融費用1,405億49百万円(同325.7%)を差し引いた金融収支は、178億35百万円の利益(同36.3%)となりました。

 トレーディング損益と金融収支は合計で2,004億2百万円(同141.4%)となりました。

③ 販売費・一般管理費

 国内拠点では、固定費の抑制運営を継続しておりますが、大型案件成約等に連動して取引関係費が増加しました。また、海外拠点でも、為替影響に加え、インフレにより人件費等が増加した結果、当連結会計年度の販売費・一般管理費は2,977億41百万円(前年度比104.4%)となりました。

④ 特別損益

 当連結会計年度の特別利益は11億91百万円(前年度は1億32百万円)、特別損失は27億48百万円(前年度は14億10百万円)となりました。特別利益は投資有価証券売却益11億91百万円であります。特別損失のうち主なものは、減損損失22億22百万円、事業構造改善費用2億35百万円であります。

 

 当連結会計年度のセグメントの業績は、次のとおりであります。

 

「証券業務(国内)」

 国内では、国内営業において、アドバイザリー型ビジネスモデルの浸透により預り資産残高は順調に積み上がりましたが、不透明な相場環境からお客さまの投資意欲が低下し、前年度から減速しました。インベストメントバンキング業務においては、大型M&A案件等をクロージングしましたが、厳しい発行市場環境が影響し、株式引受・債券引受が年度を通じて苦戦しました。一方、グローバルマーケッツ業務において、相場変動局面を捉えた顧客フロー取込みやポジション収益の計上により、フィクストインカムの収益が大きく伸長したことで、セグメント収益は増加しました。なお、業績連動による取引関係費の増加でセグメント利益は減少しました。

 この結果、当連結会計年度における証券業務(国内)の純営業収益は2,783億84百万円(前年度比101.1%)、セグメント利益は392億31百万円(同97.3%)となりました。

 

「証券業務(欧州)」

 欧州では、グローバルマーケッツ業務において、ボラタイルなマーケット環境下でリスク抑制的な業務運営を行いながらも、レーツなど一部の業務は好調でした。前年度の米国顧客との取引に起因した損失等の剥落影響もあり、セグメント収益・セグメント利益ともに増加しました。

 この結果、当連結会計年度における証券業務(欧州)の純営業収益は689億97百万円(前年度比222.2%)、セグメント利益は75億65百万円(前年度は161億18百万円の損失)となりました。

 

「証券業務(米州)」

 米州では、利上げ影響やボラティリティ上昇を受け、インベストメントバンキング業務においては、発行市場低迷により債券引受が苦戦しました。また、グローバルマーケッツ業務においても、クレジットやMBS等のフロープロダクツ業務が減速し、セグメント収益・セグメント利益ともに減少しました。

 この結果、当連結会計年度における証券業務(米州)の純営業収益は654億49百万円(前年度比81.5%)、セグメント損失は1億71百万円(前年度は152億51百万円の利益)となりました。

 

「その他」

 持株会社において営業外収益で計上される子会社からの受取配当金の減少等により、セグメント利益は減少しました。

 この結果、当連結会計年度におけるその他の純営業収益は336億80百万円(前年度比114.7%)、セグメント利益は668億96百万円(同83.9%)となりました。

 

 なお、上記のセグメント別純営業収益には、セグメント間の内部純営業収益または振替高が含まれております。

 

(3) 財政状態の分析

 当連結会計年度末における総資産は32兆4,592億25百万円(前年度末比7,345億40百万円増)となりました。内訳は流動資産が31兆8,001億40百万円(同6,355億71百万円増)であり、このうちトレーディング商品が11兆9,369億59百万円(同9,335億62百万円減)、有価証券担保貸付金が13兆9,544億61百万円(同7,271億59百万円増)となっております。固定資産は6,590億84百万円(同989億69百万円増)となっております。

 負債合計は、31兆4,186億73百万円(同6,985億77百万円増)となりました。内訳は流動負債が29兆5,091億57百万円(同6,733億12百万円増)であり、このうちトレーディング商品が12兆4,126億54百万円(同1兆9,798億66百万円増)、有価証券担保借入金が8兆5,521億44百万円(同2兆1,501億56百万円減)となっております。固定負債は1兆9,048億56百万円(同252億62百万円増)となっております。

 純資産合計は1兆405億51百万円(同359億62百万円増)となりました。うち、利益剰余金は配当金支払いによる252億27百万円の減少および親会社株主に帰属する当期純利益による448億2百万円の増加の結果、2,323億34百万円(同195億75百万円増)となっております。また、為替換算調整勘定は53億73百万円(同108億6百万円増)となっております。

 

(4) キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、有価証券担保貸付金及び有価証券担保借入金の差引残高の増加による支出、約定見返勘定の差引残高の増加による支出および社債の償還による支出等があったものの、トレーディング商品の差引残高の減少による収入、短期借入金の増加による収入、社債の発行による収入および長期借入れによる収入等により、前年度比6,763億72百万円の資金の増加となり、当連結会計年度末の資金残高は2兆8,602億44百万円(前年度比131.0%)となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動による資金の減少は、8,634億43百万円(前年度は6億67百万円の減少)となりました。これは主に、トレーディング商品の差引残高の減少による収入2兆9,095億80百万円があったものの、有価証券担保貸付金及び有価証券担保借入金の差引残高の増加による支出2兆8,972億12百万円および約定見返勘定の差引残高の増加による支出9,699億20百万円があったこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、992億27百万円(前年度は596億53百万円の増加)となりました。これは主に、投資有価証券の売却及び償還による収入1,467億22百万円および有価証券の売却及び償還による収入470億53百万円があったものの、投資有価証券の取得による支出1,987億45百万円、有価証券の取得による支出513億77百万円および無形固定資産の取得による支出356億13百万円があったこと等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動による資金の増加は、1兆6,129億57百万円(前年度比670.9%)となりました。これは主に、社債の償還による支出2,312億9百万円、長期借入金の返済による支出1,281億91百万円およびコマーシャル・ぺーパーの減少による支出1,204億89百万円があったものの、短期借入金の増加による収入1兆5,587億78百万円、社債の発行による収入3,246億28百万円および長期借入れによる収入2,527億47百万円があったこと等によるものであります。

 

(5) 資本の財源および資金の流動性に係る情報

① 資本の財源

 当社グループは、MUFGグループの一員として、有価証券の売買および売買等の委託の媒介・取次ぎ・代理、有価証券の引受けおよび売出し、有価証券の募集・売出しの取扱いおよび私募の取扱い、各種デリバティブ取引、M&Aや資産の証券化等に係るアドバイス、投資顧問業、ウェルスマネジメント業務等の幅広い投資・金融サービスを展開しており、当該業務を営む上で充分な資本を確保する必要があります。

 当社グループの財務計画・事業戦略の策定・実施に当たっては、業務運営上のリスクに見合った適正な資本水準の設定・維持に努めており、加えて市場の急激な変動によりもたらされ得る大きな損失にも耐えることができる必要充分な資本水準が維持されるかについても、定期的に確認しております。また、当社グループは、国内外で投資・金融サービス業務を行っており、各国・地域における法規制上必要な資本も維持しなければなりません。

 

② 資金調達の基本方針

 当社グループは、主たる事業として投資・金融サービス業を営んでおり、事業を継続する上で必要な流動性を十分かつ効率的に確保することを資金調達の基本方針としております。

 財務の安定性という観点では、環境が大きく変動した場合においても、業務の継続に支障をきたすことのないよう、平時から十分な資金を確保するよう努めております。また、資金流動性の危機事象発生を想定したストレステストを実施することで、そのような環境が一定期間以上継続した場合でも資金流動性が枯渇しないだけの資金量を確保しております。なお、資金流動性リスク管理の状況については、「3  事業等のリスク  (2) 大幅な市場変動に伴うリスク  ④  流動性リスク」をあわせてご参照ください。

 当社グループでは、グループ全体での拠点横断・統合的な資金流動性管理を行うため、グループ主要各社共通の基本方針を定め、各社が当該方針および各国・地域の規制等に則った管理を行うと共に、当社においてもグループ全体の資金繰り状況のモニタリングを行っております。また、資金調達においては、主要各社自身による資金調達に加えて当社を中心とした資金調達・供給体制を整備することで、各社の資金繰り状況に応じた機動的な流動性供給を行っております。

 

③ 資金調達の方法および状況

 当社グループの資金調達手段には、社債、ミディアム・ターム・ノート、親会社であるMUFGや三菱UFJ銀行を含む金融機関からの借入、短期社債、コールマネー等の無担保調達および現先取引、貸借取引等の有担保調達があります。これらの多様な調達手段を適切に組み合わせることにより、仮に資金流動性の危機事象が発生した場合でも業務を継続するための十分な資金を確保しております。

 

④ 資金需要の動向

 当社グループが投資・金融サービス業を営むうえでは、トレーディング業務等における商品在庫確保などのために資金需要が発生しますが、資金需要の総量はマーケット環境や顧客動向によって変動します。そのため、当社グループではグループ主要各社共通の基本方針に従い、発生する無担保資金需要の総額を各社の調達力の範囲内に抑えることを目的に、無担保資金需要の総量枠を各社にて設定しております。また、当社および各子会社にて資金需要の状況を日次でモニタリングし、資金需要の総量に見合った資金調達を行っております。