三菱UFJ証券ホールディングス株式会社

証券、商品先物取引業証券

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E03771 Japan GAAP


3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当中間連結会計期間の経営者による財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の分析は、以下のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、半期報告書提出日(2023年11月28日)現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 重要な会計方針および見積り

 当社グループの中間連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この中間連結財務諸表の作成にあたり、トレーディング商品(デリバティブを含む)および投資についての評価、固定資産の減損、繰延税金資産についての回収可能性、退職給付費用および債務、貸付等債権に対する貸倒引当金、偶発事象や訴訟、その他資産・負債の報告数値や財務諸表の開示内容に影響を与える事項に対して、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる判断や見積りを行っております。なお、前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 当社グループの中間連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1.中間連結財務諸表等 (1)中間連結財務諸表 注記事項(中間連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績の認識および分析・検討内容

当社グループでは、「MUFG Way」に基づいてお客さまに最適なソリューションをご提供すると共に、リスク管理、コンプライアンス、情報管理の徹底により、「MUFGの中核として業界No.1のクオリティを有し、お客さま満足度No.1の証券会社」としての地位の確立をめざしています。当社グループの財政状態、経営成績等は、証券・金融商品取引業の性格上、国内外の経済情勢・市場動向の影響を受けて変動し易い特性を持っております。

当中間連結会計期間のわが国の景気は、回復基調となりました。経済正常化の動きに伴いサービス消費が増加したほか、新型コロナウイルスの水際対策の緩和を受けた訪日外国人の旅行消費の回復が続きました。また、部品の供給制約緩和で国内の自動車生産が持ち直し、乗用車販売や自動車輸出、関連投資が増加しました。さらに、夏場には部品や情報関連財の輸出も増加し、輸出全体でみても持ち直しの動きがみられました。こうした中、企業の生産は増加基調となり、企業収益の改善も続きました。

株式市場では、4、6月の金融政策決定会合で金融緩和政策の継続が決定され、現行の緩和環境が続くとの見方が強まったほか、海外からの投資の増加もあり、日経平均株価は上昇基調となり、7月上旬には33年ぶりの高値を記録しました。ただ、その後は高値警戒感の強まりや、米国の長期金利の上昇や株価の下落などを受け、8月中旬まで下落基調が継続しました。9月中旬にかけては、一旦持ち直す局面もありましたが、米国の金融引き締め長期化への懸念から米国長期金利が一段の上昇を示し、米国株価が下落基調となったことを受け、9月末にかけて水準を下げて終わりました。

債券市場では、日銀の金融緩和政策修正への警戒が続く中、米国の長期金利上昇もあり、国内の長期金利(新発10年物国債利回り)に対する上昇圧力が継続する一方、現行の金融緩和政策の維持の決定が続き、長期金利は7月下旬にかけて横ばい圏で推移しました。その後、日銀が7月にイールドカーブ・コントロールの柔軟化を決定したことを受け、上昇基調となりました。9月に入ると、日銀の早期のマイナス金利政策解除への警戒感が強まったことにより大幅に上昇し、9月末には、10年ぶりの高水準を記録しました。

 

この結果、当中間連結会計期間の連結純営業収益は1,934億9百万円(前年度中間期比117.9%)、販売費・一般管理費は1,641億35百万円(同114.0%)、連結経常利益は431億89百万円(同124.9%)、親会社株主に帰属する中間純利益は212億27百万円(同113.1%)となりました。

 

当中間連結会計期間の主要な収益・費用の概況は以下のとおりです。

 

① 受入手数料

区     分

  前中間連結会計期間

 (自 2022年4月1日

  至 2022年9月30日)

    (百万円)

  当中間連結会計期間

 (自 2023年4月1日

  至 2023年9月30日)

    (百万円)

前年度中間期比

(%)

受入手数料

65,935

90,118

136.7

 

委託手数料

11,407

14,586

127.9

 

引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料

13,282

18,432

138.8

 

募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料

10,207

11,984

117.4

 

その他の受入手数料

31,038

45,114

145.4

 受入手数料の合計は901億18百万円で前年度中間期比136.7%となりました。内訳は次のとおりです。

a.委託手数料

当中間連結会計期間の東証の1日平均売買高(内国普通株合計)は、株数で19億78百万株(前年度中間期比117.4%)、金額で4兆2,205億円(同122.4%)となりました。このような状況のもと、当社グループの株式委託手数料は141億89百万円(同129.3%)となり、委託手数料は合計で145億86百万円(同127.9%)となりました。

b.引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料

国内株式発行市場は、米国の金融政策を巡る不透明さが残る市場環境でしたが、徐々に回復の動きが見られ、複数の大型公募増資・売出しや新規公開の実施により、米国の金利上昇および地政学リスク顕在化の影響で低調だった前年度中間期と比べ発行額は大幅に増加しました。当社グループはこのような環境のもと、複数の案件で主幹事をつとめました。

国内債券発行市場は、日銀の金融緩和策修正に対する過度な警戒感懸念の後退による金利環境の良化を背景に、起債環境が改善し、事業債や金融機関債を中心に多数の起債が見られ、前年度中間期に比べ発行額は増加しました。当社グループはこのような環境のもと、多数の案件で主幹事をつとめました。

海外発行市場は、インフレ、金利上昇および地政学リスク等の影響を受け、債券発行額は前年度中間期からは減少しましたが、当社グループの海外現地法人は、株式会社三菱UFJ銀行との緊密な協働・連携により、多数の主幹事案件を獲得しました。

以上の結果、当中間連結会計期間の引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料は合計で184億32百万円(前年度中間期比138.8%)となりました。

c.募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料

募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料は、その大半を連結子会社の三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社における投資信託の募集取扱手数料が占めています。

当社グループは、マーケット環境の見通しをもとに、運用目的に基づいたテーラーメイド型のポートフォリオの構築をお客さま毎に提案し、商品・サービスの提供を行っております。当中間期は、期初こそ不安定な金融市場のあおりを受けたものの、その落ち着きとともに公募投資信託の販売が増加し、募集取扱手数料は前年度中間期比で増加しました。キャピタルゲインを狙いとした「イーストスプリング・インド消費関連ファンド」や長期金利のピークアウト観測と景気悪化懸念を背景にインカムニーズをとらえた「三菱UFJ/マッコーリーグローバル・インフラ債券ファンド」等の既存ファンドのほか、インカムゲインを狙いとした「GS米ドル建て社債ターゲット2023-09」等の新規ファンドがお客さまのポートフォリオに多く組み込まれました。

以上の結果、当中間連結会計期間の募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料は119億84百万円(前年度中間期比117.4%)となりました。

d.その他の受入手数料

その他の受入手数料には、投資信託の代行手数料のほかに、M&A業務および財務アドバイザリー業務にかかる手数料、証券化・不動産ファイナンス業務などを含んでおります。M&A業務では、MUFGとMorgan Stanleyが有する国内外ネットワークや、プロダクトに関する豊富な知見・経験の活用を通じ、国内/クロスボーダーを問わず多くの実績を積み重ね、お客さまの企業価値向上に貢献いたしました。

以上の結果、当中間連結会計期間のその他の受入手数料は451億14百万円(前年度中間期比145.4%)となりました。

② トレーディング損益および金融収支

区     分

  前中間連結会計期間

 (自 2022年4月1日

  至 2022年9月30日)

    (百万円)

  当中間連結会計期間

 (自 2023年4月1日

  至 2023年9月30日)

    (百万円)

前年度中間期比

(%)

トレーディング損益

96,002

80,546

83.9

 

株券等トレーディング損益

△67,260

△21,461

 

債券等・その他トレーディング損益

163,263

102,008

62.5

金融収支

2,033

22,739

 

金融収益

55,146

128,303

232.7

 

金融費用

53,112

105,564

198.8

98,036

103,286

105.4

国内株式市場は、28,203円でスタートした日経平均株価が、31,857円で終了しました。金融緩和政策修正への警戒感が強い中、4、6月の金融政策決定会合における金融緩和政策の継続の決定を受けて現行の緩和環境が続くとの見方が強まり、株価は上昇基調となりました。海外からの投資の増加もあり、7月上旬に33,762円まで上昇し、33年ぶりの高値を記録しました。その後は高値警戒感を受け、下落に転じました。7月下旬には日銀のイールドカーブ・コントロールの柔軟化が決定され、国内長期金利が上昇し、さらに米国の長期金利の上昇とそれに伴う米国株価の下落などを受け、8月中旬にかけて下落基調が継続しました。8月下旬から9月中旬にかけては、一旦持ち直しましたが、米国の金融引き締め長期化への懸念から米国長期金利が一段の上昇を示し、米国株価が下落基調となったことを受け、9月末にかけて水準を下げて終わりました。

国内債券市場は、長期金利(新発10年国債利回り)が0.33%で始まり、0.77%で終了しました。長期金利は、日銀の金融緩和政策の修正への警戒が継続したほか、米国の長期金利上昇もあり、国内の長期金利に対する上昇圧力が続く一方、4、6月の金融政策決定会合では、金融緩和政策の維持が決定され、7月下旬にかけて0.4%を挟み、横ばい圏で推移しました。その後、日銀が7月の金融政策決定会合でイールドカーブ・コントロールの柔軟化を決定し、0.5%を上回る推移となることを容認したことを受け、上昇基調となりました。9月に入り、日銀の早期のマイナス金利政策解除への警戒感が強まったことにより大幅に上昇し、9月末には、一時0.77%まで上昇し、10年ぶりの高水準を記録しました。また、クレジット市場では、クレジットスプレッドが高水準ながら縮小しました。

海外市場(1~6月)では、3月中旬の米中堅銀行の破綻を契機に短期金利ボラティリティおよびクレジット・MBSのスプレッドが一時急上昇・急拡大したものの、4月に入り短期金利ボラティリティやクレジットスプレッドは幾分か落ち着きを取り戻しました。また10年物米国債利回りも3月上旬の4.0%台から3月下旬には質への逃避から3.3%まで低下しましたが、景気の底堅さから利上げが継続するとの観測により6月末にかけて3.8%台まで再上昇しました。こうした市場の金利に対する見方が混在する中、当社グループは市場変動に応じた慎重かつリスク抑制的な業務運営を継続しつつ、顧客へのサービス・ソリューション提供に努めました。

以上の結果、当中間連結会計期間のトレーディング損益は、株券等によるものが214億61百万円の損失(前年度中間期は672億60百万円の損失)、債券等・その他によるものが1,020億8百万円(前年度中間期比62.5%)、合計では805億46百万円(同83.9%)となりました。

また、金融収益1,283億3百万円(同232.7%)から金融費用1,055億64百万円(同198.8%)を差し引いた金融収支は、227億39百万円(前年度中間期は20億33百万円)となりました。

トレーディング損益と金融収支は合計で1,032億86百万円(同105.4%)となりました。

③ 販売費・一般管理費

 国内拠点では、大型案件成約等に連動して取引関係費や人件費が増加しました。また、海外拠点でも、為替影響に加え、収益連動の取引関係費等が増加した結果、当中間連結会計期間の販売費・一般管理費は1,641億35百万円(前年度中間期比114.0%)となりました。

④ 特別損益

 当中間連結会計期間の特別利益は該当なく(前年度中間期は1億23百万円)、特別損失は13億67百万円(前年度中間期は5億26百万円)となりました。特別損失は、事業構造改善費用10億7百万円、金融商品取引責任準備金繰入れ3億59百万円であります。

 

 

 当中間連結会計期間のセグメントの業績は、次のとおりであります。

 

「証券業務(国内)」

 国内では、全業務で前年度中間期比増収となりました。国内営業においては、株価上昇とともに株式売買が増加し、またポートフォリオ提案に基づく株式投信の組み入れ増加も寄与し、前年度中間期から回復しました。また、アドバイザリー型ビジネスモデルの浸透により預り資産残高も順調に積み上がりました。グローバルマーケッツ業務においては、相場変動局面を捉えた顧客フロー取込みや大型ソリューション案件の成約等により収益が伸長しました。また、インベストメントバンキング業務においても、発行市場環境の回復や、複数のM&A案件・証券化案件の成約により、前年度中間期から回復し、セグメント収益・セグメント利益ともに増加しました。

 この結果、当中間連結会計期間における証券業務(国内)の純営業収益は1,496億1百万円(前年度中間期比117.5%)、セグメント利益は217億84百万円(同126.5%)となりました。

 

「証券業務(欧州)」

 欧州では、インベストメントバンキング業務において、発行市場回復により債券引受が復調しました。また、グローバルマーケッツ業務においては、クレジットの回復、大口のデリバティブ案件成約等により、セグメント収益・セグメント利益ともに増加しました。

 この結果、当中間連結会計期間における証券業務(欧州)の純営業収益は429億30百万円(前年度中間期比131.5%)、セグメント利益は39億67百万円(同716.4%)となりました。

 

「証券業務(米州)」

 米州では、インベストメントバンキング業務において、発行市場回復により債券引受が復調しました。また、グローバルマーケッツ業務においては、クレジットやMBS等の回復により、セグメント収益・セグメント利益ともに増加しました。

 この結果、当中間連結会計期間における証券業務(米州)の純営業収益は541億4百万円(前年度中間期比158.6%)、セグメント利益は63億14百万円(前年度中間期は5億27百万円)となりました。

 

「その他」

 持株会社において営業外収益で計上される子会社からの受取配当金の増加等により、セグメント利益は増加しました。

 この結果、当中間連結会計期間におけるその他の純営業収益は170億43百万円(前年度中間期比92.9%)、セグメント利益は619億42百万円(同138.8%)となりました。

 

 なお、上記のセグメント別純営業収益には、セグメント間の内部純営業収益または振替高が含まれております。

 

(3) 財政状態の分析

 当中間連結会計期間末における総資産は38兆31億67百万円(前年度末比5兆5,439億41百万円増)となりました。内訳は流動資産が37兆3,939億83百万円(同5兆5,938億42百万円増)であり、このうちトレーディング商品が15兆813億49百万円(同3兆1,443億90百万円増)、有価証券担保貸付金が16兆5,050億円(同2兆5,505億39百万円増)となっております。固定資産は6,091億83百万円(同499億1百万円減)となっております。

 負債合計は、36兆9,060億49百万円(同5兆4,873億75百万円増)となりました。内訳は流動負債が35兆1,044億76百万円(同5兆5,953億19百万円増)であり、このうちトレーディング商品が15兆1,506億20百万円(同2兆7,379億66百万円増)、有価証券担保借入金が10兆3,642億43百万円(同1兆8,120億99百万円増)となっております。固定負債は1兆7,965億54百万円(同1,083億2百万円減)となっております。

 純資産合計は1兆971億17百万円(同565億65百万円増)となりました。うち、利益剰余金は配当金支払いによる34億19百万円の減少および親会社株主に帰属する中間純利益による212億27百万円の増加の結果、2,501億42百万円(同178億7百万円増)となっております。また、為替換算調整勘定は491億75百万円(同438億1百万円増)となっております。

 

(4) キャッシュ・フローの状況

 当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、短期借入金の増加による収入、約定見返勘定の差引残高の減少による収入、長期借入れによる収入および立替金及び預り金の差引残高の減少による収入等があったものの、有価証券担保貸付金及び有価証券担保借入金の差引残高の増加による支出、トレーディング商品の差引残高の増加による支出、社債の償還による支出および長期借入金の返済による支出等により、前年度末比2,597億40百万円の資金の減少となり、当中間連結会計期間末の資金残高は2兆6,005億4百万円(前年度中間期末比122.7%)となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間連結会計期間における営業活動による資金の減少は、3,190億24百万円(前年度中間期比247.3%)となりました。これは主に、約定見返勘定の差引残高の減少による収入3,225億29百万円、立替金及び預り金の差引残高の減少による収入1,617億25百万円および利息及び配当金の受取りによる収入1,557億51百万円があったものの、有価証券担保貸付金及び有価証券担保借入金の差引残高の増加による支出6,705億69百万円およびトレーディング商品の差引残高の増加による支出4,855億23百万円があったこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間連結会計期間における投資活動による資金の減少は、102億33百万円(前年度中間期比5.9%)となりました。これは主に、貸付金の減少による収入185億57百万円および投資有価証券の売却及び償還による収入174億83百万円があったものの、投資有価証券の取得による支出247億84百万円および無形固定資産の取得による支出219億29百万円があったこと等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間連結会計期間における財務活動による資金の減少は、247億13百万円(前年度中間期は1,826億13百万円の増加)となりました。これは主に、短期借入金の増加による収入3,272億22百万円および長期借入れによる収入1,987億34百万円があったものの、社債の償還による支出4,143億62百万円および長期借入金の返済による支出1,752億2百万円があったこと等によるものであります。

 

(5) 資本の財源および資金の流動性に係る情報

① 資本の財源

 当社グループは、MUFGグループの一員として、有価証券の売買および売買等の委託の媒介・取次ぎ・代理、有価証券の引受けおよび売出し、有価証券の募集・売出しの取扱いおよび私募の取扱い、各種デリバティブ取引、M&Aや資産の証券化等に係るアドバイス、投資顧問業、ウェルスマネジメント業務等の幅広い投資・金融サービスを展開しており、当該業務を営む上で充分な資本を確保する必要があります。

 当社グループの財務計画・事業戦略の策定・実施に当たっては、業務運営上のリスクに見合った適正な資本水準の設定・維持に努めており、加えて市場の急激な変動によりもたらされ得る大きな損失にも耐えることができる必要充分な資本水準が維持されるかについても、定期的に確認しております。また、当社グループは、国内外で投資・金融サービス業務を行っており、各国・地域における法規制上必要な資本も維持しなければなりません。

 

② 資金調達の基本方針

 当社グループは、主たる事業として投資・金融サービス業を営んでおり、事業を継続する上で必要な流動性を十分かつ効率的に確保することを資金調達の基本方針としております。

 財務の安定性という観点では、環境が大きく変動した場合においても、業務の継続に支障をきたすことのないよう、平時から十分な資金を確保するよう努めております。また、資金流動性の危機事象発生を想定したストレステストを実施することで、そのような環境が一定期間以上継続した場合でも資金流動性が枯渇しないだけの資金量を確保しております。

 当社グループでは、グループ全体での拠点横断・統合的な資金流動性管理を行うため、グループ主要各社共通の基本方針を定め、各社が当該方針および各国・地域の規制等に則った管理を行うと共に、当社においてもグループ全体の資金繰り状況のモニタリングを行っております。また、資金調達においては、主要各社自身による資金調達に加えて当社を中心とした資金調達・供給体制を整備することで、各社の資金繰り状況に応じた機動的な流動性供給を行っております。

 

③ 資金調達の方法および状況

 当社グループの資金調達手段には、社債、ミディアム・ターム・ノート、親会社である株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループや株式会社三菱UFJ銀行を含む金融機関からの借入、短期社債、コールマネー等の無担保調達および貸借取引等の有担保調達があります。これらの多様な調達手段を適切に組み合わせることにより、仮に資金流動性の危機事象が発生した場合でも業務を継続するための十分な資金を確保しております。

 

④ 資金需要の動向

 当社グループが投資・金融サービス業を営むうえでは、トレーディング業務等における商品在庫確保などのために資金需要が発生しますが、資金需要の総量はマーケット環境や顧客動向によって変動します。そのため、当社グループではグループ主要各社共通の基本方針に従い、発生する無担保資金需要の総額を各社の調達力の範囲内に抑えることを目的に、無担保資金需要の総量枠を各社にて設定しております。また、当社および各子会社にて資金需要の状況を日次でモニタリングし、資金需要の総量に見合った資金調達を行っております。