売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率

ニュース

  • ニュースリリースデータがありません。


最終更新:

E04370 Japan GAAP

売上高

1.11兆 円

前期

1.03兆 円

前期比

107.6%


 

3 【事業の内容】

当社及び関係会社(子会社24社及び関連会社7社(令和5年3月31日現在))は、高速道路事業、受託事業、道路休憩所事業、その他の4部門に関係する事業を行っており、各事業における当社及び関係会社の位置付け等は、次のとおりであります。

なお、次の4部門は、「第5 経理の状況  1 連結財務諸表等  (1) 連結財務諸表  注記事項  (セグメント情報等)」に掲げるセグメントの区分と同一です。

(1) 高速道路事業

高速道路事業においては、東日本地域の1都1道15県(注1)において、平成18年3月31日に当社が独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構(以下「機構」といいます。)と締結した「高速自動車国道北海道縦貫自動車道函館名寄線等に関する協定」(その後の変更を含み、以下「協定」といいます。)、道路整備特別措置法(昭和31年法律第7号)(以下「特措法」といいます。)第3条の規定による許可及び同法第4条の規定に基づき、高速道路(注2)の新設、改築、維持、修繕、災害復旧その他の管理等を行っており、また、同法第9条の規定に基づき、当該高速道路の道路管理者の権限の一部を代行しております。

当事業において、以下の業務については、当社が関係会社に委託しております。

料金収受業務

(連結子会社)
㈱ネクスコ・トール東北、㈱ネクスコ・トール関東、㈱ネクスコ・トール北関東、㈱ネクスコ・サポート北海道、㈱ネクスコ・サポート新潟

 

(持分法適用関連会社)
東京湾横断道路㈱

保全点検業務

(連結子会社)
㈱ネクスコ・エンジニアリング北海道、㈱ネクスコ・エンジニアリング東北、㈱ネクスコ東日本エンジニアリング、㈱ネクスコ・エンジニアリング新潟

(持分法適用関連会社)
東京湾横断道路㈱

維持修繕業務

(連結子会社)
㈱ネクスコ・メンテナンス北海道、㈱ネクスコ・メンテナンス東北、㈱ネクスコ・メンテナンス関東、㈱ネクスコ・メンテナンス新潟、㈱関東エリアクリーン

 

(持分法適用関連会社)
東京湾横断道路㈱

交通管理業務

(連結子会社)
㈱ネクスコ・パトロール東北、㈱ネクスコ・パトロール関東、㈱ネクスコ・サポート北海道、㈱ネクスコ・サポート新潟

 

(持分法適用関連会社)
東京湾横断道路㈱

その他業務(注)3

(連結子会社)
㈱ネクスコ東日本トラスティ

 

(持分法適用関連会社)
㈱NEXCOシステムソリューションズ、高速道路トールテクノロジー㈱、㈱高速道路総合技術研究所

 

(注) 1.北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、富山県及び長野県(東京都、神奈川県、富山県及び長野県は一部区域)

2.高速道路会社法第2条第2項に規定する高速道路をいいます。

3.用地調査管理、財産整理及び道路敷地管理等、有料道路の通行料金及び交通量等の電子計算、料金収受機械の保守・点検・整備・保全等並びに高速道路技術に関する調査・研究及び技術開発の業務を行っております。

 

(2) 受託事業

受託事業においては、国及び地方公共団体等との協議の結果、経済性及び効率性等から当社において一体として実施することが適当と認められた高速道路跨道橋及び取付道路等の工事等を当社が行っております。

 

(3) 道路休憩所事業

道路休憩所事業においては、高速道路の休憩所、給油所等の建設及び管理等を行っております。

当社グループの管理するSA・PA328箇所のうち、商業施設を所有している190箇所についてはネクセリア東日本㈱(連結子会社)が、一般国道409号(東京湾横断・木更津東金道路)の海ほたるPAについては東京湾横断道路㈱(持分法適用関連会社)が、それぞれ商業施設の管理運営を行っております。また、SA・PAの直営店舗運営業務については㈱ネクスコ東日本リテイル(連結子会社)が、商業施設の管理点検業務及びコンシェルジェ業務については㈱ネクスコ東日本エリアサポート(連結子会社)が、商業施設における配送・共同仕入れ等の業務については㈱ネクスコ東日本ロジテム(連結子会社)が、飲食店舗運営業務については㈱ネクセリア・シティフード(連結子会社)が行っております。

 

(4) その他

その他においては、コンサルティング事業、カード事業、WEB事業、駐車場事業、占用施設活用事業、トラックターミナル事業及び海外事業等を実施しております。

このうち、コンサルティング事業については、地方公共団体等の高速道路跨道橋点検業務を、カード事業については、ETC機能、クレジット機能及び電子マネー決済機能を搭載した「E-NEXCO pass」の発行をそれぞれ当社が行っております。また、WEB事業については、料金検索システム及びSA・PA情報の提供並びに地域特産品等の販売等を当社及び㈱ネクスコ東日本イノベーション&コミュニケーションズ(連結子会社)が行っております。駐車場事業については、日比谷自動車駐車場の管理運営を、占用施設活用事業については、高速道路の高架下の占用施設を活用した事業を、当社並びにその一部業務を委託した㈱ネクスコ東日本エリアサポート(連結子会社)及び㈱ネクスコ東日本トラスティ(連結子会社)が行っております。トラックターミナル事業については、東北高速道路ターミナル㈱(持分法適用関連会社)が仙台南(宮城県名取市)及び郡山(福島県郡山市)の2箇所におけるトラックターミナルの管理運営を行っております。海外事業については、インドにおいて有料道路運営事業に当社が参画しています。また、インド現地法人であるE-NEXCO INDIA PRIVATE LIMITED(連結子会社)では、インドにおける技術支援業務の一環として路面性状測定業務を実施しております。日本高速道路インターナショナル(株)(持分法適用関連会社)では、海外における道路事業に関する調査等の業務を行っております。

その他、㈱ネクスコ東日本イノベーション&コミュニケーションズ(連結子会社)がスマートメンテナンスハイウェイ(以下「SMH」といいます。)(注1)関連技術や情報基盤高度化技術の調査研究・開発及びそれらの成果について内部活用の展開支援・外販等の業務を行っております。また、㈱NEXCO保険サービス(持分法適用関連会社)が損害保険及び生命保険の代理店業務を行っております。

 

(注) 1.長期的な道路インフラの安全・安心の確保に向け、ICT(Information and Communication Technology)の導入や機械化等を行い、これらが技術者と融合した総合的なメンテナンス体制を構築し、維持管理・更新の効率化や高度化を図るものです。

 

以上に述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。

 

※画像省略しています。

(注) 1.◎は連結子会社、○は持分法適用関連会社、△は関連当事者を示しております。

2.機構は、機構法第15条第1項に従い、当社が新設、改築、修繕又は災害復旧を行った高速道路に係る道路資産が、特措法第51条第2項ないし第4項の規定により機構に帰属する時において、機構法第14条第1項の認可を受けた業務実施計画に定められた機構が当社から引き受ける新設、改築、修繕又は災害復旧に要する費用に係る債務の限度額の範囲内で、当該高速道路の新設、改築、修繕又は災害復旧に要する費用に充てるために当社が負担した債務を引き受けることとされております。

 

 

※画像省略しています。
23/06/28

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

1 経営成績等の状況の概要

(1) 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における日本の経済は、新型コロナウイルス感染症対策と社会経済活動との両立をより強固なものとした、ウィズコロナに向けた新たな段階への移行が進む中で、緩やかな持ち直しの動きが続きました。当社グループにおいても、高速道路事業においては交通量及び料金収入が、道路休憩所事業においてはSA・PAの売上高が、それぞれ回復し、新型コロナウイルス感染症の感染拡大前である令和2年3月期の連結会計年度の水準までは届かなかったものの、2期連続で前連結会計年度を上回りました。

当社は、グループ一体経営を推進しつつ、経営方針である「お客さま第一」、「公正で透明な企業活動」、「終わりなき効率化の追求」、「チャレンジ精神の重視」及び「CSR経営の推進」を常に念頭に置き、お客さまに安全・安心・快適・便利な高速道路空間を提供することを使命としております。前連結会計年度に策定した「NEXCO東日本グループ中期経営計画(令和3年度~令和7年度)」において、令和7年度までの5年間を『SDGsの達成に貢献し、新たな未来社会に向けて変革していく期間』と位置づけ、6つの基本方針(「安全・安心で自動運転等のイノベーションにも対応した快適な高速道路の実現」、「老朽化や災害に対する高速道路インフラの信頼性の飛躍的向上」、「高速道路の整備・強化と4車線化の推進によるネットワーク機能の充実」、「多様なお客さまのニーズを踏まえた使いやすさの追求」、「ポストコロナ時代におけるグループ全体の経営力の強化」、「新たな日常に対応した誰もが生き生きと働けるワークスタイルの実現」)のもと、着実に事業を実施してまいりました。

当連結会計年度の営業収益は1,108,624百万円(前期比7.5%増)、営業損失が5,112百万円(前期は営業損失4,717百万円)、経常損失が1,738百万円(前期は経常損失1,233百万円)となり、この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は7,384百万円(前期は当期純損失1,480百万円)となりました。

 

(高速道路事業)

 高速道路事業においては、安全で快適な走行環境を確保するため、道路機能の向上、清掃や点検、道路の補修等の管理を適正かつ効率的に行うとともに、高速道路ネットワークの早期整備に向け高速道路の新設及び改築に取り組んでまいりました。

 当連結会計年度末現在で管理延長は計44道路3,943㎞となっております。

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大の局面がありましたが、様々な感染防止対策を講じながら、安全・安心を確保しつつ、24時間365日絶えず高速道路サービスの提供に努めました。サービス水準維持のため、作業員詰所等の分離、テレビ会議の活用等により接触機会削減に努めるとともに、衛生対策の推進、感染者発生時の代替要員の確保等を実施し、事業継続に努めました。

 近年頻発している自然災害に的確に対応し、「命の道」として、災害救助や被災地域の復興支援のために交通路を確保することは当社グループの大きな使命です。

 令和2年12月に関越自動車道で発生した集中的な降雪による大規模な車両滞留事象を踏まえ、「人命を最優先に幹線道路上で大規模な車両滞留を徹底的に回避すること」を基本的な考え方として、地域ごとのタイムライン(段階的な行動計画)作成、応援を含めた体制の構築、関係機関と連携した躊躇のない通行止め実施、通行止め予測の公表を含めた出控え等の行動変容を促す呼びかけの繰り返しといった取組みを継続してまいりました。今後もこれらの取組みを着実に実施していくとともに、新たな広報媒体の活用や、よりお客さまの行動変容につながる呼びかけ方法の検討等によって、更なる対策強化を講じてまいります。

 令和4年3月に発生した福島県沖を震源とする地震では、最大震度6強が観測され、福島県内の区間で多数の損傷を確認したため、盛土のり面補修等の本復旧工事を進めてまいりましたが、同年11月18日に完了しました。特に、常磐自動車道新地IC~山元IC間においては、舗装の段差や盛土のり面の変状が発生し、工事の際に通常は通行止めが必要となる状況でしたが、車線運用を工夫し、お客さまが通行可能な車線を確保しながら進めました。

 安全・安心を次の世代へ引き継ぐため、インフラ老朽化への対策として実施する大規模更新・修繕事業(高速道路リニューアルプロジェクト)については、平成27年度から着手しており、引き続き同事業の推進に向けて、必要な各種調査・設計を行うとともに、新技術の活用や渋滞等の社会的影響の最小化を図りながら工事を進めております。

 また、定期点検及び変状箇所における点検技術の高度化を踏まえた詳細調査の実施により、新たな劣化事象や劣化の進行が確認されたことから、当社、中日本高速道路株式会社及び西日本高速道路株式会社の3社が設置した「高速道路資産の長期保全及び更新のあり方に関する技術検討委員会」において、劣化メカニズムの解明や更新の必要性等に関する中間とりまとめが行われました。これを受け、著しい変状が確認され新たに更新が必要な箇所を対象に、この3社として更新計画(概略)をとりまとめました。(注1)

 道路構造物の劣化に多大な影響を与え、重大な交通事故を惹起するおそれのある車両制限令違反車両の排除のため、車両重量自動計測装置の整備推進等の取締り強化、当該違反車両に対する大口・多頻度割引停止措置、違反防止を図る広報強化等を講じました。

 更に、高速道路の長期的な「安全・安心」の確保に資する、ICTやロボティクス等最新技術を活用した次世代インフラ総合マネジメントシステム「SMHプロジェクト」については、点検データの統計・分析にビジネスインテリジェンスツールを活用することで、保全計画検討における意思決定プロセスを標準化し、生産性の向上を図るとともに、各種SMH開発ツールの定着及び深化を進め、適用領域拡大を進めてまいります。また、高速道路上の事故や落下物等の事象を早期発見し迅速な対応を行うことを目的に、交通監視カメラ映像からこれら事象を自動検知する技術の開発・実証を進め、更なる安全性の向上を目指します。

 円滑な交通の確保に向けては、交通容量の増加による渋滞緩和、交通の定時制・安全性の向上を目指し、引き続き、主要渋滞箇所における渋滞原因の検証を進めるとともに、適切な対策を講じてまいります。令和3年4月に一部運用を開始していた関越自動車道(上り線)前橋IC出口車線について、令和5年3月に延伸を完了させました。今後も付加車線設置等によるハード対策のほか、ペースメーカーライト等によるソフト対策も含め、更なる渋滞軽減に努めてまいります。

 交通事故削減に向けては、高速道路での逆走事故ゼロを目指し、統一的な逆走防止のハード対策を進めたほか、ソフト対策を継続的に実施するとともに、企業等から公募した逆走検知や抑制に係る技術の中で有効なものを活用しながら更なる安全対策を図ってまいります。対面通行区間における突破・正面衝突事故の防止対策では、ワイヤロープを土工部、中小橋を中心に順次展開するとともに、トンネル、長大橋については公募により選定されたセンターパイプ、センターブロックを令和3年秋に試行設置し、対策としての有効性、適用性の検証を進めております。

 高速道路の利便性向上のため、ETCを活用した時間帯割引、ETCマイレージサービスを継続実施するとともに、全国旅行支援の実施に伴う更なる観光需要の高まり等を受け、ETC周遊割引「ドラ割」の実施期間を令和5年3月末まで延長し、お得に旅を楽しみたいというお客さまのニーズに応えました。

 令和3年8月に発表された社会資本整備審議会道路分科会国土幹線道路部会(以下「国土幹線道路部会」といいます。)の「中間答申」で示された観光需要の平日への分散の観点から、「ドラ割」の平日のみの利用に対し、ETCマイレージサービスのポイントを販売価格の15%分追加付与するキャンペーンを令和4年11月7日から実施しました。また、渋滞の激化を避ける観点から、令和4年度以降のゴールデンウィーク、お盆及び年末年始においては休日割引を適用しないこととしました。

 料金所の特性に応じ、ETC及び料金精算機を活用した遠隔収受等の料金管理業務の高度化・効率化に継続して取り組みました。また、令和2年12月に公表したETC専用化等に向けたロードマップを踏まえ、令和4年4月1日に東京外環自動車道戸田西IC(入口)及び戸田東IC(入口)をETC専用料金所として運用を開始するとともに、ETCの更なる普及促進を図るため、当社を含む高速道路6会社共同で同年1月27日から6月30日までETC車載器購入助成キャンペーンを実施したほか、令和5年3月1日からETCパーソナルカードのデポジットの下限引下げ等によるETCの利用環境の改善に取り組んでおります。

 このほか、福島第一原子力発電所事故により警戒区域等から避難されている方を対象として平成23年6月から国の施策に基づき開始した高速道路の無料措置(注2)を当連結会計年度においても継続するとともに、母子避難者等を対象とした無料措置(注3)についても継続しました。

 「『持続可能な国土幹線道路システムの構築に向けた取組』中間とりまとめ」(令和2年9月国土幹線道路部会)を踏まえ、将来の自動車交通の更なる発展をけん引していくべく、当社が目指す高度なモビリティサービス提供の方向性を『自動運転社会の実現を加速させる次世代高速道路の目指す姿(構想)』(以下「次世代高速道路構想」といいます。)としてとりまとめ、重点的に取り組むべき「31の重点プロジェクト」を令和3年4月に記者発表しました。その後、「次世代高速道路構想の具体化について」として、次世代高速道路構想を対外的に広くPRするための愛称「moVision」及びロゴマークの決定並びに重点プロジェクトのうち「大容量通信設備」、「リアルタイム全線監視」等を具体化していくための実証実験計画策定について令和4年4月27日に公表しました。また、重点プロジェクトのうち「走行中給電」については、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構が公募した「グリーンイノベーション基金事業/スマートモビリティ社会の構築プロジェクト」に採択され、高規格道路向けの走行中給電システムの開発に取り組んでいくことを同年7月20日に公表しました。今後、更なる具体化に向けて関係機関と連携し検討を進めます。他の重点プロジェクトについても、引き続き、国内外の最新技術動向や関連業界の社会情勢を把握しながら継続的に検討を進め、推進に取り組んでまいります。

 道路建設事業においては、令和4年9月30日にスマートIC6箇所の整備を追加する高速道路事業の変更について、国土交通大臣から許可を受けました。

 なお、当連結会計年度においては、計5道路85㎞の区間で、開通に向け、新設事業を実施しました。

 4車線化拡幅等事業では、計12道路245kmの区間で実施し、仙台南部道路(今泉IC~長町IC)及び首都圏中央連絡自動車道(久喜白岡JCT~幸手IC、境古河IC~坂東IC)の計2道路21㎞が4車線となりました。

 また、スマートIC事業は、計27箇所で実施し、北関東自動車道の出流原スマートIC、東北自動車道の菅生スマートIC、上信越自動車道の甘楽スマートIC及び日本海東北自動車道の胎内スマートICが完成しました。

 一方、東京外かく環状道路(関越~東名)の陥没空洞事故については、地盤の補修を行うため、地盤補修範囲の土地・家屋等を対象として、仮移転又は事業者による買取り等のご相談をさせていただきながら、令和4年12月から地盤補修工事で使用するヤード等の整備を進めております。実際に発生した損害に係る原状回復及び補償についても、引き続き真摯に対応してまいります。

 また、大泉JCT本線トンネル(南行)工事及び東名JCT Hランプシールドトンネル工事については、国が設置したシールドトンネル施工技術検討会でとりまとめた「シールドトンネル工事の安全・安心な施工に関するガイドライン」を踏まえた再発防止対策を策定しており、その対策が有効に機能していることを確認しながら、事業用地内を掘進しております。引き続き、施工状況や周辺環境をモニタリングしながら細心の注意を払いつつ、慎重に進めてまいります。

当連結会計年度の高速道路事業における営業収益は1,049,574百万円(前期比6.6%増)、営業費用は1,057,224百万円(同7.0%増)となりました。以上の結果、営業損失は7,650百万円(前期は営業損失3,325百万円)となりました

 

(注)1.高速道路の更新・進化のために必要な事業の財源確保のため、高速道路の料金徴収期間を延長することができること等を内容とする特措法及び機構法の一部を改正する法律案が、令和5年2月10日に第211回国会(常会)に提出され、同年5月31日に成立し、同年6月7日に公布(公布の日から三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行)されました。

2.福島第一原子力発電所事故により国として避難を指示又は勧奨している区域等から避難されている方を対象とした生活再建に向けた一時帰宅等の移動の支援を目的として実施している無料措置をいいます。この無料措置は特定のICを入口又は出口とする走行(令和5年11月1日以降は、被災時に一部の地域に住所を有していた方について、当該走行のうち事前に申請する区間の走行)に対して適用(対象車種は中型車以下)され、令和6年3月31日までの予定で継続されております。

3.福島第一原子力発電所事故により警戒区域等を除く福島県浜通り・中通り等の対象地域から避難して二重生活を強いられている母子等及び対象地域内に残る父親等を対象とした生活支援を目的として実施している無料措置をいいます。この無料措置は母子等避難先の最寄りICと父親等居住地の最寄りIC間の走行に対して適用(対象車種は中型車以下)され、令和6年3月31日までの予定で継続されております。

 

(受託事業)

受託事業においては、国及び地方公共団体等の委託に基づく道路の新設、改築、維持、修繕等で、経済性、効率性等から当社が行う事業と一体として実施することが適当と認められる工事等について、事業を推進してまいりました。

当連結会計年度の受託事業における営業収益は32,452百万円(前期比25.7%増)、営業費用は32,449百万円(同25.7%増)となりました。以上の結果、営業利益は2百万円(前期は営業損失2百万円)となりました。

 

(道路休憩所事業)

道路休憩所事業においては、当社が管理する328箇所(うち、当社の商業施設がある箇所は190箇所。)のSA・PAをより魅力ある空間として楽しんでいただけるものにするため、当社全額出資の子会社であるネクセリア東日本㈱、㈱ネクスコ東日本リテイル、㈱ネクスコ東日本エリアサポートと一体となって取り組んでおります。高速道路商業施設運営のスペシャリストとして、業務執行の効率性を追求しながら、お客さまにご満足いただけるエリアづくりに努めてまいりました。

当連結会計年度における商業施設の運営にあたっては、新型コロナウイルス感染症を踏まえ引き続き商業施設内の感染防止対策を徹底するとともに、お客さまに高速道路でのドライブをもっと楽しんでいただけるよう、「ENJOY!よりみち」をテーマに、地域や季節ならではの各種プロモーションを展開しました。商業施設の改修では、令和4年7月13日に東北自動車道佐野SA(下り線)が旅のドラマを演出する「ドラマチックエリア」としてリニューアルオープンしました。上下線が隣接し、徒歩での往来が可能な佐野SAを一つの大きな“Park(パーク)”に見立てた「佐野パークSA」をコンセプトに、地域と連携して地域色豊かな商品・メニューの開発を行い、「佐野パークSA」ならではの消費体験を提供しております。

当連結会計年度の道路休憩所事業における営業収益は31,147百万円(前期比25.5%増)、営業費用は28,811百万円(同7.6%増)となりました。以上の結果、営業利益は2,335百万円(前期は営業損失1,957百万円)となりました。

 

(その他)

その他の事業においては、再生可能エネルギー事業(仙台泉太陽光発電所)で当連結会計年度から新たに遠隔制御を導入・実施する等、事業運営の効率化に努めております。更には、カード事業、日比谷駐車場事業、仙台南及び郡山トラックターミナルにおけるトラックターミナル事業、高速道路の高架下における駐車場等の占用施設活用事業等を行っております。

また、新規事業開発では、オープンイノベーションを更に促進し、新たな技術やサービス、アイデア等を持つ会社とともに技術・ビジネスモデルを検証しながら、高速道路の新サービスの実現や地域の活性化、社会課題の解決に資する事業の創出を目的とした「ドラぷらイノベーションラボ」において、応募のあったプログラムの中から、当連結会計年度は7件を採択しました。前連結会計年度に採択したプログラムも含め、採択企業との調整を進め、順次実証実験を実施しております。

海外事業においては、インド現地法人(E-NEXCO INDIA PRIVATE LIMITED)が、ひび割れ、わだち掘れ等を的確に把握できる路面性状測定車「E-NEXCO Eye」を導入し、インドでの路面調査業務を開始したところです。また、国内の高速道路事業で蓄積された技術とノウハウを活用し、インドやバングラデシュの道路整備に関するアドバイザリー事業を行いました。

当連結会計年度のその他の事業における営業収益は3,627百万円(前期比26.8%減)、営業費用は3,464百万円(同21.8%減)となりました。以上の結果、営業利益は162百万円(同68.9%減)となりました。

 

その他、当社及び大学院大学が保有する知識、経験、人材等を総合的に活用し、事業構想の実践を目指す人材の育成を通じて地域の活性化に貢献するため、令和3年8月2日に大学院大学と「人材育成と地域活性化に係る相互協力に関する基本協定」を締結のうえ、令和4年4月の「事業構想大学院大学仙台校」の設立に係る支援を実施しました。

 

当連結会計年度末の総資産は、1,745,022百万円(前期比13.5%増)、負債は、1,504,886百万円(同15.6%増)、純資産は、240,135百万円(同1.9%増)となりました。自己資本比率は、13.7%(同1.6ポイント低下)となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

道路資産賃借料未払の増加等による仕入債務の増加額57,987百万円、減価償却費36,289百万円、税金等調整前当期純利益1,286百万円に加え、未払又は未収消費税等の増加額9,733百万円等の資金増加要因があった一方、売上債権の増加額299百万円、一般国道468号(横浜横須賀道路)の工事進捗等の仕掛道路資産の増加等による棚卸資産の増加額145,691百万円等の資金減少要因があったことから、営業活動によるキャッシュ・フローは56,487百万円の資金支出(前期比44,289百万円減)となりました。

なお、上記棚卸資産の増加額のうち145,697百万円は、特措法第51条第2項ないし第4項の規定に基づき工事完了時等に機構に帰属することとなる資産の増加によるものであります。かかる資産は、連結貸借対照表上は「仕掛道路資産」勘定(流動資産)に計上され、その建設には財務活動の結果得られた資金を充てております。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

料金収受機械、ETC装置及び社内システムのソフトウェア等の設備投資による固定資産の取得による支出43,339百万円等があったことから、投資活動によるキャッシュ・フローは36,494百万円の資金支出(前期比2,498百万円減)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

一般国道468号(首都圏中央連絡自動車道)4車線化等に基づく機構への道路資産の帰属等による債務引受けにより、道路建設関係社債の償還等281,385百万円(機構法第15条第1項による債務引受額281,385百万円に相当します。)等の支出があった一方、道路建設事業費として道路建設関係社債の発行による収入324,294百万円及び長期借入れによる収入90,972百万円があったことから、財務活動によるキャッシュ・フローは132,440百万円の資金収入(前期比35,880百万円減)となりました。

以上の結果、当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、222,049百万円(前期比39,421百万円の増)となりました。

 

(参考情報)

提出会社の当事業年度(自  令和4年4月1日  至  令和5年3月31日)における、高速道路事業等会計規則(平成17年国土交通省令第65号)第6条の規定により作成した「高速道路事業営業収益、営業外収益及び特別利益明細表」は、以下のとおりであります。

 

 

高速道路事業営業収益、営業外収益及び特別利益明細表

(自  令和4年4月1日  至  令和5年3月31日)

(百万円)

1.

営業収益

 

 

 

 

料金収入

791,754

 

 

 

道路資産完成高

250,405

 

 

 

受託業務収入

5

 

 

 

その他の売上高

1,453

 

1,043,618

2.

営業外収益

 

 

 

 

受取配当金

2,694

 

 

 

土地物件貸付料

316

 

 

 

雑収入

377

 

3,388

3.

特別利益

 

 

 

 

固定資産売却益

3,255

 

 

3,255

 

高速道路事業営業収益等合計

 

 

1,050,262

 

 

(3) 生産、受注及び販売の実績

当社グループの各事業は、受注生産形態をとらない事業が多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

このため、生産、受注及び販売の実績については、前記「(1) 財政状態及び経営成績の状況」においてセグメント別の業績に関連付けて記載しております。

 

2 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

本項に記載した予想、予見、見込み、見通し、方針、所感等の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであり、将来に関する事項には、不確実性が内在しており、あるいはリスクを含んでいるため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性もありますので、ご留意ください。

 

(1) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等の状況に重要な影響を与える要因について

①  高速道路事業の特性について

高速道路事業においては、高速道路株式会社法(平成16年法律第99号)第6条第1項及び機構法第13条第1項の規定により機構と平成18年3月31日付けで締結した「高速自動車国道北海道縦貫自動車道函館名寄線等に関する協定」(以下「協定」といいます。)並びに特措法第3条第1項の規定による同日付けの事業許可に基づき、機構から道路資産を借り受けたうえ、道路利用者より料金を収受、かかる料金収入を機構への道路資産賃借料及び当社が負担する管理費用の支払いに充てております。

かかる協定及び事業許可においては、高速道路の公共性に鑑み当社の収受する料金には当社の利潤を含めないことが前提とされております。なお、各会計年度においては、料金収入や管理費用等の実績と当初計画との乖離等により利益又は損失が生じる場合があり、かかる利益は、高速道路事業における将来の経済情勢の変動や自然災害等のリスクに備え、積み立てることとしております。

また、高速道路事業においては、冬期における交通確保のための雪氷対策や維持修繕関係の工事が下半期に完成することが多いこと等から、上半期よりも下半期に費用がより多く計上される傾向にあります。他方、夏期の好天や長期休暇が多いこと等に伴い、料金収入は上半期のほうがより多い傾向にあります。

 

(注)高速道路事業の管理費用等には、高速道路の安全な交通を確保するため、自治体が管理する高速道路を跨ぐ道路(跨道橋)のうち、ロッキング橋脚の橋梁に対する耐震対策事業が含まれており、当該事業は高速道路事業の利益剰余金を原資とした「跨道橋耐震対策積立金」等を活用しております。

 

②  機構による債務引受け等について

既述のとおり、当社は、特措法に基づき行う高速道路の新設、改築、修繕又は災害復旧を事業の一つとしており、また、当社が行うべき新設、改築、修繕又は災害復旧の対象となる高速道路は、協定の定めによるところでありますが、機構は、機構法第15条第1項に従い、当社が新設、改築、修繕又は災害復旧を行った高速道路に係る道路資産が特措法第51条第2項ないし第4項の規定により機構に帰属する時において、機構法第14条第1項の認可を受けた業務実施計画に定められた機構が当社から引き受ける新設、改築、修繕又は災害復旧に要する費用に係る債務の限度額の範囲内で、当該高速道路の新設、改築、修繕又は災害復旧に要する費用に充てるために当社が負担した債務を引き受けることとされております。

特措法第51条第2項ないし第4項の規定により道路資産が機構に帰属する場合、損益計算書においては当該資産及びそれに見合う債務に相当する額が、営業収益及び営業費用に同額計上されます。そのため、当会計年度中の当該資産及びそれに見合う債務の多寡に応じて、営業収益及び営業費用の額が同額で変動いたします。

当社と機構は、四半期分の債務引受けにつき借入金債務及び債券債務を原則として弁済期日が到来する順に当該四半期の翌四半期の最初の月の中旬までに一括して選定すること、債務引受けは併存的債務引受けの方法によること等、債務引受けの実際の運用について確認しております。なお、高速道路の更新事業にかかる財政融資資金借入債務の引渡しについては、特例として利息据置期限を弁済期日とみなして取り扱います。

なお、高速道路に係る道路資産が機構に帰属し、当該資産に対応する債務が機構に引き受けられた際には、かかる資産及び債務は当社の連結財務諸表ないし財務諸表に計上されないこととなりますが、当該債務(財政融資資金借入金債務を除く)について、当社は引き続き機構と連帯してその弁済の責めを負うこととされており、かかる債務の履行に関する主たる取扱いは機構が行うこととなります。

また、道路公団の民営化に伴い当社、機構、中日本高速道路㈱及び西日本高速道路㈱が承継した道路公団の債務の一部について、当社と、機構、中日本高速道路㈱及び西日本高速道路㈱との間に、連帯債務関係が生じております(民営化関係法施行法第16条)。

 

(2) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。かかる連結財務諸表の作成に際しては、決算日における資産、負債及び会計期間における収益、費用の金額並びに開示に影響を与える事項についての見積りを行う必要があります。当該見積りについては、過去の実績や現在の状況に応じ、考えられる様々な要因に基づき合理的に判断を行い、継続して評価を行っておりますが、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれら見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表において採用する重要な会計方針は、後記「第5 経理の状況  1 連結財務諸表等  (1) 連結財務諸表  注記事項  連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の会計方針が、当社グループの連結財務諸表においては重要であると考えております。

 

①  仕掛道路資産

高速道路の新設、改築、修繕又は災害復旧の結果生じた資産は、当社グループの連結財務諸表において「仕掛道路資産」勘定(流動資産)に計上されますが、かかる資産の取得原価は、建設価額に用地取得に係る費用その他の附帯費用を加算した価額に労務費、人件費のうち道路建設に要した費用として区分された費用の額及び除却工事費用等資産の取得に要した費用の額を加えた額となります。なお、仕掛道路資産の建設に充当した借入資金の利息で、当該資産の工事完了の日までに発生したものは上記建設価額に算入しております。

なお、上記「(1) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等の状況に重要な影響を与える要因について ② 機構による債務引受け等について」に記載のとおり、かかる資産は、特措法第51条第2項ないし第4項の規定に基づき道路資産として機構に帰属すると同時に、協定に基づき当社が機構から借り受けることとなりますが、かかる借受けについてはオペレーティング・リースとして処理し、借受けに係る資産及び負債は当社グループの連結財務諸表には計上されないこととなります。

 

② 重要な収益及び費用の計上基準

(高速道路事業)

料金収入は、顧客が当社の管理する道路を通行した時点で収益を認識しております。なお、ETCマイレージサービス制度に係る将来の無料走行に使用できるポイント等を付与した場合、当該ポイント等にて追加のサービスを顧客に提供したものとして、将来、当該サービスが顧客に移転した時に履行義務を充足するものとして収益を認識しております。道路資産完成高は、高速道路事業等会計規則(平成17年国土交通省令第65号)に基づき、仕掛道路資産を機構に引き渡した時点で収益を認識しております。

 

(受託事業)

主として、履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を認識しております。発生した原価が履行義務の充足における進捗度に比例すると判断しているため、見積総原価に対する実際原価の割合(インプット法)に基づき、進捗度を測定しております。ただし、契約における取引開始日から履行義務の全部を充足すると見込まれる時点までの期間が短い等、重要性が乏しい場合は、引き渡し時点において履行義務が充足されたものとして収益を認識しております。

 

(道路休憩所事業)

道路休憩所事業収入は、主に高速道路のSA・PA等における商業施設及び敷地を賃貸しており、通常の賃貸借取引に係る方法により収益を認識しております。

 

③ 退職給付債務及び費用

従業員の退職給付債務及び費用は、数理計算上で設定される諸前提条件に基づいて算出しております。これらの前提条件には、割引率、退職率、死亡率及び期待運用収益率等が含まれます。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、退職給付債務及び費用に影響する可能性があります。

 

なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関する繰延税金資産の回収可能性の判断等の会計上の見積りについては、後記「第5 経理の状況  1 連結財務諸表等  (1) 連結財務諸表  注記事項  重要な会計上の見積り」及び「第5 経理の状況  2 財務諸表等  (1) 財務諸表  注記事項  重要な会計上の見積り」に記載しております。

 

(3) 財政状態及び経営成績の分析

①  財政状態の分析

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ208,784百万円増加し、1,745,022百万円となりました。仕掛道路資産が増加したことが主な要因であります。

負債は、前連結会計年度末に比べ204,114百万円増加し、1,504,886百万円となりました。道路建設関係社債及び高速道路事業営業未払金が増加したことが主な要因であります。

純資産は、前連結会計年度末に比べ4,670百万円増加し、240,135百万円となりました。利益剰余金の増加が主な要因であります。

自己資本比率は、前連結会計年度に比べ1.6ポイント低下し、13.7%となりました。

 

②  経営成績の分析
(ア)  営業収益

当連結会計年度における営業収益は、合計で1,108,624百万円(前期比7.5%増)となりました。高速道路事業については、交通量は、新型コロナウイルス感染症の影響からの持ち直しの動きが引き続きみられたことから回復し、料金収入に料金引下げ措置等に対する減収補てんを加えた額は、792,782百万円(同6.7%増)となり、特措法第51条第2項ないし第4項の規定に基づき機構に帰属した道路資産の額が250,405百万円(同6.6%増)となったこと等により1,049,574百万円(同6.6%増)となりました。受託事業については、国及び地方公共団体等の委託に基づく工事が増加したこと等により32,452百万円(同25.7%増)、道路休憩所事業については、行動制限が緩和されたこと等で高速道路利用が回復してきたことによる店舗売上高の増加により31,147百万円(同25.5%増)、その他の事業については、連結子会社の外販減等により3,627百万円(同26.8%減)となりました。

 

(イ)  営業利益

当連結会計年度における営業費用は、合計で1,113,737百万円(前期比7.5%増)となりました。高速道路事業については、協定に基づく機構への道路資産賃借料が557,951百万円(同7.9%増)となる一方で、特措法第51条第2項ないし第4項の規定に基づき機構に帰属した道路資産の額の増加により道路資産完成原価が250,405百万円(同6.6%増)になったこと等により1,057,224百万円(同7.0%増)となりました。受託事業については、国及び地方公共団体等の委託に基づく工事が増加したこと等により32,449百万円(同25.7%増)、道路休憩所事業については、飲食・物販の店舗売上高の増加に伴い売上原価が増加したこと等により28,811百万円(同7.6%増)、その他の事業については、連結子会社の外販減等により3,464百万円(同21.8%減)となりました。

以上により、当連結会計年度における営業損失は合計で5,112百万円(前期は営業損失4,717百万円)となりました。その内訳は、高速道路事業が営業損失7,650百万円(前期は営業損失3,325百万円)、受託事業が営業利益2百万円(前期は営業損失2百万円)、道路休憩所事業が営業利益2,335百万円(前期は営業損失1,957百万円)、その他の事業が営業利益162百万円(同68.9%減)であります。

 

(ウ)  営業外損益

当連結会計年度の営業外収益は、持分法による投資利益1,468百万円、土地物件貸付料499百万円等の計上により3,552百万円(前期比3.1%減)、営業外費用は連結PL控除対象外消費税84百万円等の計上により178百万円(同2.7%増)となりました。

 

(エ)  経常利益

以上の結果、当連結会計年度の経常損失は1,738百万円(前期は経常損失1,223百万円)となりました。

 

(オ)  特別損益

特別利益は、固定資産売却益3,690百万円等の計上により3,699百万円(前期比146.2%増、なお前期は1,502百万円)となりました。

特別損失は、固定資産除却損420百万円等の計上により674百万円(同0.8%増)となりました。

 

(カ)  親会社株主に帰属する当期純利益

法人税等を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は7,384百万円(前期は当期純損失1,480百万円)となりました。

 

(4) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性について

①  資本の財源

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況及び分析については、前記「1 経営成績等の状況の概要  (2) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであり、必要とする資金の調達は、料金の収受等の営業活動のほか、道路建設関係社債の発行及び金融機関等からの借入れを通じて実施いたします。

 

②  資金需要の主な内容

機構との協定に基づき、お客さまからいただく高速道路料金収入から、機構が保有する債務の返済に充てる道路資産賃借料の支払い及び高速道路の維持管理を行います。

また、道路建設関係社債の発行及び金融機関等からの借入れにより、特措法第51条第2項ないし第4項の規定に基づき工事完了時等に機構に帰属することとなる道路資産にかかる投資を行います。

(上記のうち投資事業にかかる資産及び設備の概要については後記「第3 設備の状況」に記載しております。)

 

③  資金調達について

前記②のとおり、特措法第51条第2項ないし第4項の規定に基づき工事完了時等に機構に帰属することとなる道路資産に係る投資については、道路建設関係社債の発行及び金融機関等からの借入れにより賄っています。

資金の調達においては低利かつ安定的な調達を目指し、社債の発行及び金融機関借入金による調達バランスの最適化を図っております。