東日本高速道路株式会社

倉庫・運輸関連不動産管理

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E04370 Japan GAAP


3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

1 経営成績等の状況の概要

(1) 財政状態及び経営成績の状況

当中間連結会計期間における日本の経済は、4月から6月期までの実質GDP成長率(2次速報値)が3四半期連続のプラス成長と緩やかに持ち直しており、今後もインバウンド需要の回復等をけん引役に緩やかな回復が続くことが期待されます。当社グループにおいても、高速道路事業においては交通量及び料金収入が、道路休憩所事業においてはサービスエリア・パーキングエリア(以下それぞれ「SA」・「PA」といいます。)の売上高が、それぞれ前事業年度を上回っており、SA・PAの売上高は新型コロナウイルス感染症の感染拡大前である令和元年度を上回る水準まで回復しております。

当社は、グループ一体経営を推進しつつ、経営方針である「お客さま第一」、「公正で透明な企業活動」、「終わりなき効率化の追求」、「チャレンジ精神の重視」及び「CSR経営の推進」を常に念頭に置き、お客さまに安全・安心・快適・便利な高速道路空間を提供することを使命としております。令和3年度に策定した「NEXCO東日本グループ中期経営計画(令和3年度~令和7年度)」(以下「中期経営計画」といいます。)において、令和7年度までの5年間を「SDGsの達成に貢献し、新たな未来社会に向けて変革していく期間」と位置づけ、6つの基本方針(「安全・安心で自動運転等のイノベーションにも対応した快適な高速道路の実現」「老朽化や災害に対する高速道路インフラの信頼性の飛躍的向上」「高速道路の整備・強化と4車線化の推進によるネットワーク機能の充実」「多様なお客さまのニーズを踏まえた使いやすさの追求」「ポストコロナ時代におけるグループ全体の経営力の強化」「新たな日常に対応した誰もが生き生きと働けるワークスタイルの実現」)のもと、着実に事業を実施してまいりました。

この結果、当中間連結会計期間の業績は、各種事業について一定の進捗があったものの、道路資産完成高が前年同期比で減少したこと等により、営業収益が503,002百万円(前年同期比9.3%増)、営業利益が31,412百万円(同19.4%増)、経常利益が33,002百万円(同18.4%増)となり、これに特別損益及び法人税等を加減した結果、親会社株主に帰属する中間純利益は27,242百万円(同11.3%増)となりました。

 

(高速道路事業)

高速道路事業においては、安全で快適な走行環境を確保するため、道路機能の向上、清掃や点検、道路の補修等の管理を適正かつ効率的に行うとともに、高速道路ネットワークの早期整備に向け高速道路の新設及び改築に取り組んでまいりました。

近年頻発している自然災害に的確に対応し、「命の道」として、災害救助や被災地域の復興支援のために交通路を確保することは当社グループの大きな使命です。

令和2年度に関越自動車道で発生した集中的な降雪による大規模な車両滞留事象を踏まえ、「人命を最優先に幹線道路上で大規模な車両滞留を徹底的に回避すること」を基本的な考え方として、地域ごとのタイムライン(段階的な行動計画)作成、応援を含めた体制の構築、関係機関と連携した躊躇のない通行止めの実施、通行止め予測の公表を含めた出控え等の行動変容を促す呼びかけの繰り返しといった取組みを継続してまいりました。今後もこれらの取組みを着実に実施していくとともに、大雪による通行止めが予想される区間を3日前から広報する等、よりお客さまの行動変容につながる取組みを講じてまいります。

安全・安心を次の世代へ引き継ぐため、インフラ老朽化への対策として実施する大規模更新・修繕事業(高速道路リニューアルプロジェクト)については、平成27年度から着手しており、引き続き同事業の推進に向けて、必要な各種調査・設計を行うとともに、新技術の活用や渋滞等の社会的影響の最小化を図りながら工事を進めてまいります。

また、定期点検及び変状箇所における点検技術の高度化を踏まえた詳細調査の実施により、新たな劣化事象や劣化の進行が確認されたことから、当社、中日本高速道路株式会社及び西日本高速道路株式会社の3社が設置した「高速道路資産の長期保全及び更新のあり方に関する技術検討委員会」において、劣化メカニズムの解明や更新の必要性等に関する中間とりまとめが令和4年度に行われました。これを受け、著しい変状が確認され新たに更新が必要な箇所を対象とした更新計画(概略)を同年度にとりまとめました。その後、高速道路の更新・進化のために必要な事業の財源を確保するため、高速道路の料金徴収期間を延長することができること等を内容とする道路整備特別措置法及び独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法の一部を改正する法律(令和5年法律第43号)が令和5年5月31日に成立し、同年6月7日及び9月6日に施行されました。

道路構造物の劣化に多大な影響を与え、重大な交通事故を惹起するおそれのある車両制限令違反車両の排除のため、車両重量自動計測装置の整備推進等の取締り強化、当該違反車両に対する大口・多頻度割引停止措置、違反防止を図る広報活動等を引き続き講じてまいります。

さらに、高速道路の長期的な「安全・安心」の確保に資する、ICTやロボティクス、AI等最新技術を活用した次世代インフラ総合マネジメントシステム「スマートメンテナンスハイウェイ(以下「SMH」といいます。)プロジェクト」については、令和2年度より技術開発から全社的な第1期運用の段階へ移行し、各種SMH開発ツールの定着及び深化を進めました。令和4年度からの第2期運用では、ロボティクス技術による点検業務の高度化と施設分野などへの更なる適用領域拡大を進めてまいります。

円滑な交通の確保に向けては、交通容量の増加による渋滞緩和、交通の定時制・安全性の向上を目指し、引き続き主要渋滞箇所における渋滞原因の検証を進めるとともに、適切な対策を講じてまいります。今後も付加車線設置等によるハード対策のほか、ペースメーカーライト等によるソフト対策も含め、更なる渋滞軽減に努めてまいります。

交通事故削減に向けては、高速道路での逆走事故ゼロを目指して、進行方向を明示するハード対策、啓発広報などのソフト対策を統一的に実施するとともに、企業等から公募した逆走検知や抑制に係る技術を活用した更なる安全対策を図ってまいります。また、対面通行区間における突破・正面衝突事故の防止対策では、車線を区画するワイヤロープを土工部、中小橋において大部分の区間で設置を終える一方で、トンネル、長大橋の区間については公募により選定されたセンターパイプ、センターブロックを令和3年度に試行設置し、有効性、適用性の検証を進めております。

高速道路の利便性向上のため、ETCを活用した時間帯割引、ETCマイレージサービスを継続実施するとともに、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴う観光需要の回復等を見据え、地域の観光振興を目的としたETC周遊割引「ドラ割」を新たに通年販売とし、お得に旅を楽しみたいというお客さまのニーズに応えております。

令和3年度に発表された社会資本整備審議会道路分科会国土幹線道路部会の「中間答申」で示された観光需要の平日への分散の観点から、「ドラ割」の平日の利用に対してのみ、ETCマイレージサービスのポイントを販売価格の15%分追加付与するキャンペーンを令和4年度から継続実施しております。また、渋滞の激化を避ける観点から、令和4年度以降のゴールデンウィーク、お盆及び年末年始においては休日割引を適用しないこととしております。

東京湾アクアラインにおいては、土日・祝日の特定の時間帯に交通が集中することによって激しい混雑が発生していることを受けて、交通需要の偏在等による混雑の緩和を図ることを目的に「東京湾アクアライン交通円滑化対策検討会」が新設されました。同検討会にて千葉県の提案により料金施策の議論がなされたことを踏まえ、土日・祝日の東京湾アクアライン上り線(木更津→川崎方面)において、特定の時間帯の割引料金を変動させるETC時間帯別料金の社会実験を令和5年7月22日から実施しております。

料金管理業務の高度化・効率化については、料金所の特性に応じたETC及び料金精算機の導入に継続して取り組み、令和5年9月21日に首都圏中央連絡自動車道坂戸インターチェンジ(以下「IC」といいます。)(出入口)をETC専用料金所として運用開始しました。

このほか、福島第一原子力発電所事故により警戒区域等から避難されている方を対象として平成23年度から国の施策に基づき開始した高速道路の無料措置(注1)及び母子避難者等を対象とした高速道路の無料措置(注2)を当中間連結会計期間においても継続しております。

当社が目指す高度なモビリティサービス提供の方向性を「自動運転社会の実現を加速させる次世代高速道路の目指す姿(構想)」(以下「次世代高速道路構想」といいます。)として令和3年度に公表しました。その後、重点プロジェクトの検証を進め「次世代高速道路構想の具体化について」として、実証実験計画の策定と愛称「moVision」を令和4年度に公表し、構想の具体化に向けた検討を進めております。

また、令和5年8月3日に開催された第14回デジタル田園都市国家構想実現会議や同年9月15日に開催された第2回デジタルライフライン全国総合整備実現会議の「中間とりまとめ(案)」において、自動運転車用レーンを令和7年度以降に東北自動車道(6車線区間の一部)を対象に検討することが発表されました。今後、具体化に向けて国等の関係機関と連携し検討を進めてまいります。

高速道路の新設事業については、ミッシングリンク解消に向けた道路整備、首都圏ネットワークを形成する環状道路の整備等を約85kmの区間で実施し、4車線化拡幅等事業については、首都圏中央連絡自動車道(久喜白岡ジャンクション(以下「JCT」といいます。)~大栄JCT)等約239kmの区間において実施しました。加えて、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構(以下「機構」といいます。)に帰属する道路資産に係る事業費の一部を無利子貸付金として補助する制度によるスマートIC新設等については、28箇所で実施し、令和5年9月10日に東北自動車道の都賀西方スマートICが開通しました。

東京外かく環状道路(関越~東名)の陥没空洞事故については、地盤補修範囲の土地・家屋等を対象として、仮移転または事業者による買取等のご相談をさせていただきながら、令和5年8月から地盤補修を進めております。引き続き、住民の皆さまのご意見を伺いながら、工事中の振動・騒音の軽減に努めるとともに、安全に細心の注意を払い、責任を持って地盤補修を実施してまいります。

また、大泉JCT本線トンネル(南行)工事及び東名JCT Hランプシールドトンネル工事については、国が設置したシールドトンネル施工技術検討会でとりまとめた「シールドトンネル工事の安全・安心な施工に関するガイドライン」を踏まえた再発防止対策を策定しており、その対策が有効に機能していることを確認しながら掘進しております。引き続き、施工状況や周辺環境をモニタリングしながら細心の注意を払いつつ、慎重に進めてまいります。

中間連結会計期間の高速道路事業における営業収益は471,638百万円(前年同期比8.7%増)、営業費用は443,229百万円(同8.4%増)となりました。以上の結果、営業利益は28,409百万円(同14.3%増)となりました。

 

(注)1.福島第一原子力発電所事故により国として避難を指示又は勧奨している区域等から避難されている方を対

象とした生活再建に向けた一時帰宅等の移動の支援を目的として実施している無料措置をいいます。この無料措置は特定のICを入口又は出口とする走行(令和5年11月1日以降は、被災時に一部の地域に住所を有していた方について、当該走行のうち事前に申請する区間の走行)に対して適用(対象車種は中型車以下)され、令和6年3月31日までの予定で継続されております。

2.福島第一原子力発電所事故により警戒区域等を除く福島県浜通り・中通り等の対象地域から避難して二重

生活を強いられている母子等及び対象地域内に残る父親等を対象とした生活支援を目的として実施している無料措置をいいます。この無料措置は母子等避難先の最寄りICと父親等居住地の最寄りIC間の走行に対して適用(対象車種は中型車以下)され、令和6年3月31日までの予定で継続されております。

 

(受託事業)

受託事業においては、国及び地方公共団体等の委託に基づく道路の新設、改築、維持、修繕等で経済性、効率性等から当社が行う事業と一体として実施することが適当と認められる工事等について、事業を推進してまいりました。

当中間連結会計期間の受託事業における営業収益は12,708百万円(前年同期比2.6%増)、営業費用は12,294百万円(同0.9%減)となりました。以上の結果、営業利益は414百万円(前年同期は営業損失31百万円)となりました。

 

(道路休憩所事業)

道路休憩所事業においては、令和5年7月13日に東北自動車道佐野SA(下り線)の芝生広場とドッグランがオープンし、これまでの商業施設・トイレ棟のリニューアル、別棟カフェのオープンを経て、旅のドラマを演出する「ドラマチックエリア」としてグランドオープンしました。佐野SAを一つの大きな“Park(パーク)”に見立てた「佐野パークSA」をコンセプトに、高台に位置する開放的なロケーションを生かし、商業施設と広い芝生広場が一体となった憩いの空間をお客さまに提供しております。

また、夜間もご利用いただいているトラックドライバーの方々をはじめとするお客さまへのサービス・利便性向上のため、令和5年6月22日に関越自動車道寄居PA(下り線)にコンビニ店舗と同じ商品を24時間お買い求めいただける「セブン自販機」を導入しました。その他、「ENJOY!よりみち」をテーマとした地域や季節ならではのプロモーション展開等、高速道路でのドライブをより楽しんでいただけるよう、各種施策を展開しております。

当中間連結会計期間の道路休憩所事業における営業収益は18,096百万円(前年同期比17.9%増)、営業費用は15,576百万円(同10.7%増)となりました。以上の結果、営業利益は2,519百万円(前年同期は営業利益1,282百万円)となりました。

 

(その他)

その他の事業においては、新規事業開発、海外事業等を推進しております。

新規事業開発においては、オープンイノベーションを更に促進し、新たな技術やサービス、アイデア等を持つ会社とともに技術・ビジネスモデルを検証しながら、高速道路の新サービスの実現や地域の活性化、社会課題の解決に資する事業の創出を目的とした「ドラぷらイノベーションラボ」において、前事業年度までに採択したプログラムの実証実験を行いつつ、当事業年度においても引き続きアクセラレータープログラムの募集を行っております。

海外事業においては、インド現地法人(E-NEXCO INDIA PRIVATE LIMITED)が、ひび割れ、わだち掘れ等を的確に把握できる路面性状測定車「E-NEXCO Eye」を導入し、インドでの路面調査業務を実施しております。また、国内の高速道路事業で蓄積された技術とノウハウを活用し、インドやバングラデシュの道路整備に関するコンサルティング事業を行っております。

当中間連結会計期間のその他事業における営業収益は1,552百万円(前年同期比8.6%減)、営業費用は1,485百万円(同1.9%減)となりました。以上の結果、営業利益は67百万円(同63.5%減)となりました。

 

当中間連結会計期間末の総資産は、2,058,759百万円(前連結会計年度末比313,737百万円増) 、負債は、1,790,336百万円(同285,449百万円増)、 純資産は、268,423百万円(同28,288百万円増)となりました。自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ1.9ポイント減少し、13.0%となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

税金等調整前中間純利益33,033百万円に加え、減価償却費18,701百万円等の資金増加要因があった一方、首都圏中央連絡自動車道等の仕掛道路資産の増加等による棚卸資産の増加額128,669百万円、工事等未払の減等による仕入債務の減少額108,967百万円等の資金減少要因があったことから、営業活動によるキャッシュ・フローは257,690百万円の資金支出(前年同期比127,716百万円増)となりました。

なお、上記棚卸資産の増加額のうち124,273百万円は、道路整備特別措置法(昭和31年法律第7号)(以下「特措法」といいます。)第51条第2項ないし第4項の規定に基づき工事完了時等に機構に帰属することとなる資産の増加によるものであります。かかる資産は、中間連結貸借対照表上は「仕掛道路資産」勘定(流動資産)に計上され、その建設には財務活動の結果得られた資金を充てております。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

料金収受機械、ETC装置及び社内システムのソフトウェア等の設備投資による支出20,693万円等があったことから、投資活動によるキャッシュ・フローは20,507百万円の資金支出(前年同期比9,931百万円減)となりました。

 

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

リース債務の返済による支出898百万円等があった一方、道路建設事業費として道路建設関係社債の発行による収入289,495百万円、長期借入れによる収入100,690百万円等があったことから、財務活動によるキャッシュ・フローは390,512百万円の資金収入(前年同期比143,306百万円増)となりました。

 

以上の結果、現金及び現金同等物の当中間連結会計期間末残高は、334,379百万円(前年同期末比64,958百万円増)となりました。

 

(3)生産、受注及び販売の実績

当社グループの各事業は、受注生産形態をとらない事業が多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

このため、生産、受注及び販売の実績については、前記「(1) 財政状態及び経営成績の状況」においてセグメント別の業績に関連付けて記載しております。

 

2 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

本項に記載した予想、予見、見込み、見通し、方針、所感等の将来に関する事項は、当半期報告書提出日現在において判断したものであり、将来に関する事項には、不確実性が内在しており、あるいはリスクを含んでいるため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性もありますので、ご留意ください。

 

(1) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等の状況に重要な影響を与える要因について

① 高速道路事業の特性について

高速道路事業においては、高速道路株式会社法(平成16年法律第99号)第6条第1項及び独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法(平成16年法律第100号)(以下「機構法」といいます。)第13条第1項の規定により機構と平成18年3月31日付けで締結した「高速自動車国道北海道縦貫自動車道函館名寄線等に関する協定」(以下「協定」といいます。)並びに特措法第3条第1項の規定による同日付けの事業許可に基づき、機構から道路資産を借り受けたうえ、道路利用者より料金を収受、かかる料金収入を機構への道路資産賃借料及び当社が負担する管理費用の支払いに充てております。

かかる協定及び事業許可においては、高速道路の公共性に鑑み当社の収受する料金には当社の利潤を含めないことが前提とされております。なお、各会計年度においては、料金収入や管理費用等の実績と当初計画との乖離等により利益又は損失が生じる場合があり、かかる利益は、高速道路事業における将来の経済情勢の変動や自然災害等のリスクに備え、積み立てることとしております。

また、高速道路事業においては、冬期における交通確保のための雪氷対策や維持修繕関係の工事が下半期に完成することが多いこと等から、上半期よりも下半期に費用がより多く計上される傾向にあります。他方、夏期の好天や長期休暇が多いこと等に伴い、料金収入は上半期のほうがより多い傾向にあります。

 

(注) 高速道路事業の管理費用等には、高速道路の安全な交通を確保するため、自治体等が管理する高速道路を跨ぐ道路(跨道橋)のうち、ロッキング橋脚の橋梁に対する耐震対策事業が含まれており、当該事業は営業収益を計上しないため高速道路事業の利益剰余金を原資とした「跨道橋耐震対策積立金」等を活用しております。

 

② 機構による債務引受け等について

当社は、特措法に基づき行う高速道路の新設、改築、修繕又は災害復旧を事業の一つとしており、また、当社が行うべき新設、改築、修繕又は災害復旧の対象となる高速道路は、協定の定めによるところでありますが、機構は、機構法第15条第1項に従い、当社が新設、改築、修繕又は災害復旧を行った高速道路に係る道路資産が特措法第51条第2項ないし第4項の規定により機構に帰属する時において、機構法第14条第1項の認可を受けた業務実施計画に定められた機構が当社から引き受ける新設、改築、修繕又は災害復旧に要する費用に係る債務の限度額の範囲内で、当該高速道路の新設、改築、修繕又は災害復旧に要する費用に充てるために当社が負担した債務を引き受けることとされております。

特措法第51条第2項ないし第4項の規定により道路資産が機構に帰属する場合、損益計算書においては当該資産及びそれに見合う債務に相当する額が、営業収益及び営業費用に同額計上されます。そのため、当会計年度中の当該資産及びそれに見合う債務の多寡に応じて、営業収益及び営業費用の額が同額で変動いたします。

当社と機構は、四半期分の債務引受けにつき借入金債務及び債券債務を原則として弁済期日が到来する順に当該四半期の翌四半期の最初の月の中旬までに一括して選定すること、債務引受けは併存的債務引受けの方法によること等、債務引受けの実際の運用について確認しております。なお、高速道路の更新事業に係る財政融資資金借入金債務の引渡しについては、特例として利息据置期限を弁済期日とみなして取り扱います。

なお、高速道路に係る道路資産が機構に帰属し、当該資産に対応する債務が機構に引き受けられた際には、かかる資産及び債務は当社の中間連結財務諸表ないし中間財務諸表に計上されないこととなりますが、当該債務(財政融資資金借入金債務を除く)について、当社は引き続き機構と連帯してその弁済の責めを負うこととされており、かかる債務の履行に関する主たる取扱いは機構が行うこととなります。

また、日本道路公団の民営化に伴い当社、機構、中日本高速道路㈱及び西日本高速道路㈱が承継した日本道路公団の債務の一部について、当社と、機構、中日本高速道路㈱及び西日本高速道路㈱との間に、連帯債務関係が生じております(日本道路公団等民営化関係法施行法(平成16年法律第102号)(以下「民営化関係法施行法」といいます。)第16条)。

 

(2) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの中間連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。かかる中間連結財務諸表の作成に際しては、中間連結会計期間末における資産、負債及び中間連結会計期間における収益、費用の金額並びに開示に影響を与える事項についての見積りを行う必要があります。当該見積りについては、過去の実績や現在の状況に応じ、考えられる様々な要因に基づき合理的に判断を行い、継続して評価を行っておりますが、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれら見積りと異なる場合があります。

当社グループの中間連結財務諸表において採用する重要な会計方針は、後記「第5 経理の状況 1 中間連結財務諸表等 (1) 中間連結財務諸表 注記事項 中間連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の会計方針が、当社グループの中間連結財務諸表においては重要であると考えております。

 

① 仕掛道路資産

高速道路の新設、改築、修繕又は災害復旧の結果生じた資産は、当社グループの中間連結財務諸表において「仕掛道路資産」勘定(流動資産)に計上されますが、かかる資産の取得原価は、建設価額に用地取得に係る費用その他の附帯費用を加算した価額に労務費、人件費のうち道路建設に要した費用として区分された費用の額及び除却工事費用等資産の取得に要した費用の額を加えた額となります。なお、仕掛道路資産の建設に充当した借入資金の利息で、当該資産の工事完了の日までに発生したものは上記建設価額に算入しております。

なお、上記「(1) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等の状況に重要な影響を与える要因について ②機構による債務引受け等について」に記載のとおり、かかる資産は、特措法第51条第2項ないし第4項の規定に基づき道路資産として機構に帰属すると同時に、協定に基づき当社が機構から借り受けることとなりますが、かかる借受けについてはオペレーティング・リースとして処理し、借受けに係る資産及び負債は当社グループの中間連結財務諸表には計上されないこととなります。

 

② 重要な収益及び費用の計上基準

(高速道路事業)

料金収入は、顧客が当社の管理する道路を通行した時点で収益を認識しております。なお、ETCマイレージサービス制度に係る将来の無料走行に使用できるポイント等を付与した場合、当該ポイント等にて追加のサービスを顧客に提供したものとして、将来、当該サービスが顧客に移転した時に履行義務を充足するものとして収益を認識しております。道路資産完成高は、高速道路事業等会計規則(平成17年国土交通省令第65号)に基づき、仕掛道路資産を機構に引き渡した時点で収益を認識しております。

 

(受託事業)

 主として、履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を認識しております。発生した原価が履行義務の充足における進捗度に比例すると判断しているため、見積総原価に対する実際原価の割合(インプット法)に基づき、進捗度を測定しております。ただし、契約における取引開始日から履行義務の全部を充足すると見込まれる時点までの期間が短い等、重要性が乏しい場合は、引き渡し時点において履行義務が充足されたものとして収益を認識しております。

 

(道路休憩所事業)

道路休憩所事業収入は、主に高速道路のSA等における商業施設及び敷地を賃貸しており、通常の賃貸借取引に係る方法により収益を認識しております。

 

③ 退職給付債務及び費用

従業員の退職給付債務及び費用は、数理計算上で設定される諸前提条件に基づいて算出しております。これらの前提条件には、割引率、退職率、死亡率及び期待運用収益率等が含まれます。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、退職給付債務及び費用に影響する可能性があります。

 

(3) 財政状態及び経営成績の分析

①財政状態の分析

当中間連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ313,737百万円増加し、2,058,759百万円となりました。仕掛道路資産が増加したことが主な要因であります。

負債は、前連結会計年度末に比べ285,449百万円増加し、1,790,336百万円となりました。道路建設関係社債及び道路建設関係長期借入金が増加したことが主な要因であります。

純資産は、前連結会計年度末に比べ28,288百万円増加し、268,423百万円となりました。親会社株主に帰属する中間純利益の計上による利益剰余金の増加が主な要因であります。

自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ1.9ポイント減少し、13.0%となりました。

 

②経営成績の分析

(ア)営業収益

当中間連結会計期間における営業収益は、合計で503,002百万円(前年同期比9.3%増)となりました。昨年度を上回っている実績ではあるものの、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける前の交通量までは届いていない状況であり、料金収入が421,168百万円(同4.2%増)、特措法第51条第2項ないし第4項の規定に基づき、機構に帰属した道路資産の額が49,954百万円(同88.5%増)となったこと等により、営業収益は471,638百万円(同8.7%増)となりました。受託事業については、国及び地方公共団体の委託に基づく工事が増加したこと等により12,708百万円(同2.6%増)、道路休憩所事業については、行動規制が緩和されたこと等で高速道路利用が回復してきたことによる店舗売上高の増等により18,096百万円(同17.9%増)、その他については、連結子会社の外販減等により1,552百万円(同8.6%減)となりました。 

 

(イ)営業利益

当中間連結会計期間における営業費用は、合計で471,589百万円(前年同期比8.7%増)となりました。その内訳は、高速道路事業が、機構に帰属した道路資産の額の増加に伴い売上原価が増加したこと等により443,229百万円(同8.4%増)、受託事業が、国及び地方公共団体の委託に基づく工事が減少したこと等により12,294百万円(同0.9%減)、道路休憩所事業が、休憩所事業を行う子会社の売上原価・販管費の増等により15,576百万円(同10.7%増)、その他が、連結子会社の外販減等により1,485百万円(同1.9%減)となりました。

以上の結果、当中間連結会計期間における営業利益は合計で31,412百万円(同19.4%増)となりました。その内訳は、高速道路事業が営業利益28,409百万円(同14.3%増)、受託事業が営業利益414百万円(前年同期は営業損失31百万円)、道路休憩所事業が営業利益2,519百万円(前年同期は営業利益1,282百万円)、その他が営業利益67百万円(同63.5%減)であります。

 

()営業外損益

当中間連結会計期間の営業外収益は、持分法による投資利益686百万円、土地物件貸付料318百万円等の計上により1,687百万円(前年同期比4.3%増)、営業外費用は控除対象外消費税35百万円等により96百万円(同36.5%増)となりました。

 

()経常利益

以上の結果、当中間連結会計期間の経常利益は33,002百万円(前年同期比18.4%増)となりました。

 

()特別損益

特別利益は固定資産売却益136百万円の計上により137百万円(前年同期比94.6%減、なお前年同期は特別利益2,582百万円)となりました。

特別損失は固定資産除却損94百万円等の計上により106百万円(同71.9%減)となりました。

 

()親会社株主に帰属する中間純利益

法人税等を控除した親会社株主に帰属する中間純利益は27,242百万円(前年同期比11.3%増)となりました。

 

(4) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性について

① 資本の財源

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況及び分析については、前記「1 経営成績等の状況の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであり、必要とする資金の調達は、料金の収受等の営業活動のほか、道路建設関係社債の発行及び金融機関等からの借入れを通じて実施いたします。

 

② 資金需要の主な内容

機構との協定に基づき、お客さまからいただく高速道路料金収入から、機構が保有する債務の返済に充てる道路資産賃借料の支払い及び高速道路の維持管理を行います。

また、道路建設関係社債の発行及び金融機関等からの借入れにより、特措法第51条第2項ないし第4項の規定に基づき工事完了時等に機構に帰属することとなる道路資産に係る投資を行います。

(上記のうち投資事業に係る資産及び設備の概要については後記「第3 設備の状況」に記載しております。)

 

③ 資金調達について

前記②のとおり、特措法第51条第2項ないし第4項の規定に基づき工事完了時等に機構に帰属することとなる道路資産に係る投資については、道路建設関係社債の発行及び金融機関等からの借入れにより賄っています。

資金の調達においては低利かつ安定的な調達を目指し、社債の発行及び金融機関等からの借入金による調達バランスの最適化を図っております。