モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社

証券、商品先物取引業証券

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率

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最終更新:

E10802 Japan GAAP

売上高

1,068.2億 円

前期

964.4億 円

前期比

110.8%


3【事業の内容】

 当社の最終親会社及び支配事業体はモルガン・スタンレーであり、当社、当社の親会社(モルガン・スタンレー・ホールディングス株式会社)及びその子会社(総称して「当グループ」)並びにモルガン・スタンレーのその他の連結子会社とともに、「モルガン・スタンレー・グループ」を構成しています。モルガン・スタンレー・グループはグローバルな金融サービス会社であり、法人・機関投資家向け証券業務、ウェルス・マネジメント業務及び投資運用業務のいずれの事業セグメントにおいても、市場で重要な地位を維持しています。

 日本においては、当グループは、証券業務、資産運用業務や不動産関連業務など、多岐にわたる事業を展開しております。とりわけ当社は、株式会社東京証券取引所、株式会社大阪取引所及び株式会社東京金融取引所の取引参加者資格を有しており、企業・機関投資家を対象とした有価証券の販売・トレーディング業務など幅広い金融サービスを提供しています。

 

(事業系統図)

 以上に述べた事項を国内における事業系統図によって示すと次のとおりです。

 

※画像省略しています。

 

22/06/30

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

業績等の概要

(1)業績

 世界経済は、国・地域ごとにばらつきはあるものの、総じてみれば堅調な回復を続けました。米国や欧州では、ワクチン接種の進展を背景に経済活動の制限が緩和されたこともあり、基調として持ち直しの動きが続いた一方、中国では、環境規制や不動産市場の抑制策、ゼロコロナ政策を背景に徐々に景気に減速感が強まりました。物価については、既往の緩和的なマクロ政策や経済活動の再開、供給制約や原材料価格の上昇を背景に世界的にインフレが高まりました。そうしたもとで、多くの中央銀行が金融政策の引締めに転じ、英国では2021年12月以降、イングランド銀行が早いペースでの政策金利の引き上げを実施しています。米国では、2022年3月に地政学的緊張による不確実性が高まる中でも連邦準備制度理事会(FRB)が利上げに踏み切り、インフレ抑制のための急速な金融緩和縮小が意識される中、長期金利は上昇しました。

 

 わが国経済は、持ち直しの動きが続きました。個人消費は、2021年秋に緊急事態宣言が全面的に解除され回復に転じましたが、2022年に入り、一部地域でのオミクロン株の感染拡大とまん延防止等重点措置の影響で一進一退の状況が続いております。一方、生産や輸出は、自動車産業を中心に供給制約の悪影響が生じたものの、堅調な海外需要に支えられて基調としては増加を続けました。消費者物価は、2021年春の携帯電話通信料引き下げの影響を除くと、エネルギー品目や食料での価格上昇を主因に前年比の伸びが拡大しています。マクロ政策面では、岸田新首相の下、政府は2021年11月に大型の経済対策を決定しました。日本銀行は2%の物価安定目標の下で、物価が上昇する中でもイールドカーブ・コントロールの枠組みを維持しており、長期金利の上昇を抑制するための指値オペを実施しています。市場では内外金利差の拡大が意識され、為替は円安方向で推移しています。

 

 このような環境の中、当社の当事業年度の営業利益は332億9百万円(前事業年度比45%増)、経常利益は336億2千9百万円(同45%増)、当期純利益は230億2千8百万円(同49%増)となりました。

 

(2)損益の経過

受入手数料

① 委託手数料

 株式にかかる委託手数料10億6千2百万円(前事業年度比3%減)、債券にかかる委託手数料6百万円(同15%増)を計上し、合計で10億6千8百万円(同3%減)を計上しました。

 

② 引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料

 債券統括本部で2千8百万円(前事業年度比0%増)の手数料を計上し、合計で2千8百万円(同0%減)を計上しました。

 

③ 募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料

 株式統括本部で45億4千1百万円(前事業年度比36%増)の募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料を計上しました。

 

④ その他の受入手数料

 その他の受入手数料として、主に株式関連業務447億5千2百万円(前事業年度比11%増)、債券関連業務308億5千6百万円(同6%減)を含む787億7千9百万円(同1%増)を計上しました。

 

 以上により合計で844億1千8百万円(同3%増)の受入手数料を計上しました。

 

トレーディング損益

 株券等トレーディングでは89億3千1百万円の利益(前事業年度90億4千8百万円の利益)を、債券等トレーディングでは96億3百万円の利益(同14億9千8百万円の利益)を、その他のトレーディングでは4百万円の損失(同5千7百万円の利益)を計上し、合計で185億3千1百万円の利益(同106億4百万円の利益)を計上しました。

 

金融収支

 金融収益は38億7千5百万円(同4%減)を、金融費用は83億5千6百万円(同7%減)を計上し、金融収益から金融費用を差し引いた金融収支は44億8千1百万円の損失(前事業年度49億4百万円の損失)となりました。

 

営業投資有価証券関連損益

 当事業年度は営業投資有価証券関連損益の計上はありませんでした。

 

販売費・一般管理費

 グループ会社間における配賦費用269億2千万1百万円(前事業年度比15%増)、人件費222億7千4百万円(同16%減)、取引関係費80億1千2百万円(同4%増)等、合計で652億5千7百万円(同1%増)を計上しました。

 

営業外損益

 営業外収益は4億1千9百万円(前事業年度比102%増)を計上し、営業外費用は0百万円(同67%増)を計上しました。

 

特別損益

 当事業年度は特別損益を計上しておりません。

 

 なお、当社の報告セグメントは、「法人・機関投資家向け証券業務」という単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。

 

(3)財政状態

 当社における自己取引に関する期末上場デリバティブ未決済建玉の会計処理は、銘柄ごとにみなし決済損益を相殺し、資産の部又は負債の部の「デリバティブ取引」勘定のいずれか一方に計上する方法によっておりましたが、当事業年度の期首から、金融商品取引清算機関との間で授受する先物取引差金の授受をもって当該先物取引の実現損益として処理する方法に変更しております。そのため、当該会計方針の変更を反映した遡及修正後の数値で比較分析を行っております。

 

資産の部

 流動資産は8兆3,115億1千2百万円(前事業年度末比46%増)となりました。これは主に有価証券担保貸付金の増加によるものです。

 固定資産は66億2千1百万円(同18%増)となりました。

 以上の結果、当事業年度末の総資産は8兆3,181億3千4百万円(同46%増)となりました。

 

負債の部

 流動負債は7兆7,513億9千2百万円(前事業年度末比51%増)となりました。これは主に有価証券担保借入金の増加、トレーディング商品の増加及び関係会社短期借入金の減少によるものです。

 固定負債は3,624億8千3百万円(同0%増)となりました。これは主に長期借入金の増加によるものです。

 特別法上の準備金は、当事業年度における追加計上はありません。

 以上の結果、当事業年度末の負債合計は8兆1,243億2千9百万円(同47%増)となりました。

 

純資産の部

 純資産は1,938億4百万円(前事業年度末比4%増)となりました。これは剰余金の配当による利益剰余金の減少、当期純利益による利益剰余金の増加によるものです。

 

(4)キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末の現金及び現金同等物の残高は、前事業年度末残高より457億5百万円増加し、3,283億2千6百万円となりました。各区分のキャッシュ・フローの状況の内訳は、以下のとおりです。

 

営業活動によるキャッシュ・フロー

 営業活動による収入は、税引前当期純利益336億2千9百万円、トレーディング商品の減少2,835億7百万円、受入保証金の増加1,630億7千8百万円、有価証券担保貸付金及び有価証券担保借入金の減少513億2千万円等がありました。

 一方営業活動による支出は、短期差入保証金の増加1,952億9千9百万円、信用取引資産及び信用取引負債の増加229億4千3百万円、立替金及び預り金の増加29億2千1百万円等がありました。

 これにより営業活動によるキャッシュ・フローは、3,375億1千1百万円の収入(前事業年度は5,608億2千5百万円の支出)となりました。

 

投資活動によるキャッシュ・フロー

 投資活動による資金の増減はありませんでした(前事業年度は489億9千7百万円の収入)。

 

財務活動によるキャッシュ・フロー

 財務活動による収入は、長期借入による収入80億円、社債の発行による収入21億円等がありました。一方財務活動による支出は、関係会社短期借入金の減少による支出2,811億5千5百万円、配当金の支払いによる支出140億5千5百万円等がありました。

 これにより、財務活動によるキャッシュ・フローは、2,921億1千1百万円の支出(前事業年度は4,282億4千1百万円の収入)となりました。

 

(5)特定金融会社等の開示に関する内閣府令(1999年5月19日 大蔵省令第57号)に基づく貸付金の状況

 当社の貸付金の状況は次のとおりです。なお、当事業年度末において営業貸付金の残高はありません。

 

① 貸付金の種別残高内容

 2022年3月31日現在営業貸付金残高はありません。

 

② 資金調達内容

2022年3月31日現在

 

借入先等

残高(百万円)

平均調達金利(%)

金融機関等からの借入

 

400,598

0.85%

社債

 

133,510

1.18%

合計

534,108

0.94%

自己資本

 

193,804

 

資本金・出資額

62,149

 

③ 業種別貸付金残高内訳

 2022年3月31日現在、営業貸付金残高はありません。

 

④ 担保別貸付金残高内訳

 2022年3月31日現在、営業貸付金残高はありません。

 

⑤ 期間別貸付金残高内訳

 2022年3月31日現在、営業貸付金残高はありません。

 

(6)生産、受注及び販売の実績

 当社の取引形態は一般的な製造業等における「生産」や「受注」といった概念が存在しないため記載しておりません。また当事業年度における販売実績がないため記載しておりません。

 

(7)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する分析・検討状況は次のとおりです。なお文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものです。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する分析・検討内容

 財政状態の分析については、「第2「事業の状況」 3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」 業績等の概要 (3)財政状態」に記載しております。

決算期

(単位:百万円)

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

金額

構成比

金額

構成比

金額

構成比

純営業収益

91,531

100%

87,462

100%

98,467

100%

受入手数料

81,544

89%

81,761

93%

84,418

86%

トレーディング損益

21,994

24%

10,604

12%

18,531

19%

金融収支

△12,013

△13%

△4,904

△6%

△4,481

△5%

その他

6

0%

0%

0%

 

 受入手数料は、その他の受入手数料に係るグループ会社間における移転価格手数料747億8千4百万円(前事業年度比1%増)、受託業務33億9千9百万円(同7%増)が主な内容です。

 

 トレーディング損益は株券等トレーディングにおいて、商品有価証券に係る実現損益188億9千7百万円の利益(前事業年度635億3千9百万円の損失)、評価損益129億6千4百万円の利益(同265億7千万円の損失)、デリバティブ取引に係る実現損益720億7千4百万円の損失(同1,188億2千4百万円の利益)、評価損益491億4千3百万円の利益(同196億6千6百万円の損失)を計上しました。債券等トレーディングにおいて、商品有価証券に係る実現損益733億4千4百万円の損失(同426億7千9百万円の損失)、評価損益836億2千3百万円の利益(同448億1千5百万円の利益)、デリバティブ取引に係る実現損益13億2千3百万円の損失(同3億5千9百万円の損失)、評価損益6億4千8百万円の利益(同2億7千8百万円の損失)を計上しました。

 またその他のトレーディング損益では実現損益527億8千2百万円の損失(同247億3千3百万円の利益)、評価損益527億7千8百万円の利益(同246億7千5百万円の損失)を計上しました。

 

 新型コロナウイルス感染症や地政学的緊張の高まりに伴う経済環境の下にあっても、当社の業績は堅調に推移しております。また、今後の広がり方や収束時期等が不透明な状況ではありますが、当社のビジネスモデルは、長期的な経営環境の機会と課題に対応可能な安定したものであると考えています。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2「事業の状況」3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」 業績等の概要 (4)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

流動性資金調達及び資本管理

 当社は内部の管理枠組み・手続き、導入済み及び今後導入される規制基準への継続的な遵守を通じて、資金流動性及び資本を管理しております。

 

資金調達及び流動性管理

流動性リスク管理の枠組み

 当社の流動性リスク管理規程及び手続はモルガン・スタンレー・グループの規程及び手続と平仄を取り、当社取締役会は資金流動性リスクにおける許容範囲を定め、適切な資金流動性リスクの管理について最終的な責任を負っております。

 当社の流動性リスク管理の枠組みは、様々な市場の状態及び時間軸において、当社が十分な資金流動性を確保することを主な目的としています。この枠組みは、当社が金融債務の履行及びビジネス戦略の実行をサポートできるよう設計されております。

 以下の原則が当社の流動性リスク管理の枠組みにおける指針となっております。

・満期を迎える債務、その他の予定された又は偶発的な資金流出に対して十分な資金流動性が確保されていること。

・短期資金への依存を限定した上で、資産・負債の満期プロファイルが一致・調整されていること。

・資金調達手段、調達先、通貨、地域及び調達期間が分散・多様化されていること。

・流動性ストレステストは資金調達へのアクセスが限定的となる期間を想定及び前提としていること。

 

資本管理

 当社は、強靭な財務基盤を維持する上で資本が重要であると考えております。内部の管理規程・手続きに則り、また、規制要件を充足する形で資本管理を行い、モニタリングしております。

 モルガン・スタンレー・グループの資本管理規程と平仄を取り、ビジネスの機会、リスク、資本の可用性、収益率等に基づき、内部資本規程、規制要件、格付機関のガイドラインに則り資本額を管理しております。将来においては、ビジネスニーズの変化に応じ、資本ベースを拡大若しくは縮小する可能性があります。

 当社の必要資本額は、事業継続及び規制資本要件の充足を担保するものとなっております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

・財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5「経理の状況」2「財務諸表等」(1)「財務諸表」「注記事項」(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

・当該見積りや仮定の判断の妥当性を確保するための体制は、「第5「経理の状況」2「財務諸表等」(1)「財務諸表」「注記事項」(金融商品関係) 1.金融商品の状況に関する事項 (3)金融商品に係る主たるリスク管理体制 市場リスク②」に記載のとおりです。具体的には、下記の時価検証プロセスを導入しております。

 

時価検証プロセス

 当社の金融商品の時価評価について、最終決定権限を持つファイナンス本部に属するバリュエーション・コントロール(VC)は営業部門から独立し、時価評価方針、プロセス及び手続きに責任を負っています。VCは時価検証プロセスを導入し、評価モデルに基づくものを含む、時価で測定される当社の金融商品の時価の妥当性を検証します。

 

モデル・レビュー:VCはリスク管理本部に属するモデル・リスク・マネジメント(MRM)とともに、評価モデルの理論的健全性、評価手法の妥当性、及び営業部門が開発し観察可能なインプットを用いるキャリブレーション手法を独立してレビューします。モデルへのインプットが観察不能である場合、VCは提案された評価方法の妥当性をレビューし、市場参加者が観察不能なインプットを用いる場合の評価方法と首尾一貫しているかを決定します。観察可能なインプットがない場合に用いる評価手法には各種補外法及び類似の観察可能なインプットの使用が含まれます。レビューにおいて、VCは評価手法を開発し、営業部門の評価モデルによって計算された時価を独立して検証します。当社は一般に、モデル導入当初、及びその後定期的に時価とモデルをレビューします。

 

独立時価検証  :営業部門は、承認されたモデルと評価方法に基づいて時価を決定する責任を負います。一般に月次で、VCは独立して、評価モデルを用いて決定された金融商品の時価を検証します。その際に、VCは営業部門が用いたインプットの妥当性を検証し、上記のモデル・レビューにおいて承認済みの、文書化された評価方針への準拠性をテストします。当該独立時価検証と、営業部門が計算した時価に対してVCが行った調整の結果は、トレーダー及び各デスク管理者、管理責任者に定期的に報告されます。VCは直近に行われた取引、その他の観察可能な市場データ、例えば取引所のデータ、ブローカー/ディーラーから得るデータ、第三者ベンダーからのデータ、及びアグリゲーション・サービス業者からのデータなどを用いて、評価モデルに基づく金融商品の独立時価検証を行います。VCは外部データソース及びその評価手法について、当該外部業者が第三者時価情報源に対して期待される最低限の基準を満たしているかを評価します。承認された外部業者から提供をうける時価データは数多くの手法によって評価されます。例えば、外部業者から得た時価と実際の取引における価格の比較、評価手法及び外部業者が時価算定に用いた前提条件の分析、外部業者が提供する時価(又は外部業者が入手した時価)に基づく取引が、市場でどの程度活発であるかを評価します。その結果、VCは観察可能な市場データのランキングを作成し、最上位に位置するデータソースを使用して、営業部門による金融商品時価評価額を検証します。特定の新規かつ重要な取引について、VCはモデル及び評価手法をレビューします。当初計上される取引の時価については、ファイナンス本部とMRMの両方が承認を行います。

 

市場で観察不能なインプットが時価評価に重要な影響を与える取引:

VCは営業部門の評価技法について、市場参加者が使用するものと首尾一貫しているかどうかをレビューします。