輸出入・港湾関連情報処理センター株式会社

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最終更新:

E31791 Japan GAAP

売上高

79.7億 円

前期

80.7億 円

前期比

98.8%


3【事業の内容】

1.概要

当社は、NACCSの管理、プログラム開発・変更等同システムの運営に関する業務である輸出入等関連業務(※1)と、当社の目的を達成するために財務大臣の認可を受けて行う業務(※2)を行っております。

国際物流では、輸出入者、貨物の運送業者、貨物を保管する事業者、これら関係者を代理して行政手続きを行う事業者、行政機関など、多くの関係者(※3)の間で様々な国際物流に関する情報がやりとりされます。

NACCSは、それらをオンラインで結び、貨物の流れに沿って必要な行政手続きや各種業務を初めとした関係者間での手続きを総合的に処理することを通じて、情報の一元的管理や共有化、再利用を実現しており、官民が共同で利用する日本で唯一のシステムであり、国際物流に不可欠なサプライチェーンマネジメントを支援する総合物流情報プラットフォームであります。なお、当社の事業セグメントは、電子情報処理組織の運営に関する業務のみの単一セグメントとしているため、セグメント別の記載はしておりません。

(※1)輸出入等関連業務(本来業務):税関手続、空港・港湾手続、貿易管理手続、食品衛生手続、検疫手続(人)、動物検疫手続、植物検疫手続、入国管理手続に関する業務

(※2)財務大臣の認可を受けて行う業務(目的達成業務):海外におけるNACCS型貿易関連システム導入の支援、医薬品等輸出入手続のシステム化、業務状況等分析業務、貿易関連書類電子保管業務

(※3)多くの関係者:国際物流に関連する業種

(航空):航空会社、航空貨物代理店、保税蔵置場、混載業者、通関業者、機用品業者、損害保険会社、輸出入者等

(海上):船会社、船舶代理店、コンテナヤード、保税蔵置場、非船舶運航業者(NVOCC)、通関業者、海運貨物取扱業者、損害保険会社、輸出入者等

[事業系統図]

※画像省略しています。

 

2.輸出入等関連業務:本来業務(NACCS法第9条第1項)

NACCSは、民間業務(貨物管理等)を含む輸出入等関連業務を処理する官民共同のシステムです。

NACCSは、輸出入申告の約99%を電子的に処理しており、ペーパーレス化を実現しているとともに、1回の入力・送信で輸出入関連手続を行うことができるシングルウィンドウ化を実現しております。また、関税等の自動納付やシステムによる自動許可を可能とし、通関手続に要する時間を短縮することにも役立っております。

NACCSは、平成20年10月のSea-NACCSの更改及び平成22年2月のAir-NACCS更改を機に、システムの見直しを行い、Air-NACCSとSea-NACCSを統合するとともに、国土交通省が管理・運営していた港湾EDIシステムや経済産業省が管理・運営していたJETRASなどの関連省庁システムについてもNACCSに統合し、第5次NACCSとして稼働を開始しました。平成29年10月に稼働を開始した第6次NACCSでは、新たに損害保険会社をお客様に加えるとともに、国土交通省所管の港湾サブシステムをNACCSに統合するなど、港湾・空港における物流情報等を総合的に管理するプラットフォームシステムとして利便性の向上を図っております。

当社は、NACCSをご利用のお客様(官民双方)より、システム利用料金を頂くことにより、プログラムの開発等、NACCSの運営をしております。

 

 

[輸出入等関連業務の一覧イメージ]

                ※画像省略しています。

 

 

 

[輸出入等関連業務のイメージ図]

※画像省略しています。

 

3.目的達成業務(NACCS法第9条第2項)

① 海外におけるNACCS型貿易関連システム導入の支援

当社は、海外におけるNACCS型貿易関連システム導入の支援に関し、目的達成業務として実施すべく財務大臣より認可を取得したうえで、支援を実施いたしました。

ベトナムにおいては、これまでに現地税関総局のコンサルタントとして、NACCS型貿易関連システム(Viet Nam Automated Cargo Clearance System:以下「VNACCS」という。)構築業者(株式会社エヌ・ティ・ティ・データ)の進捗理の業務等を実施し、また、VNACCSの導入・運用に関する技術支援業務(システム利用者管理)を実施いたしました。

ミャンマーにおいては、これまでに現地関税局のコンサルタントとして、NACCS型貿易関連システム(Myanmar Automated Cargo Clearance System:以下「MACCS」という。)構築業者(株式会社エヌ・ティ・ティ・データ)進捗管理の業務等を実施するとともに、MACCSの導入・運用に関する技術支援業務(システム利用者管理・ヘルプデスク構築)を実施いたしました。また、MACCSの運用改善とミヤワディ地区への地方展開支援に関する技術支援業務を実施いたしました。

さらに、将来的にASEAN諸国へ展開する可能性を探ることを目的に、ASEANシングル・ウィンドウに関する調査業務に参加いたしました。

② 医薬品等輸出入手続のシステム化

当社は、財務大臣より医薬品等輸出入手続のシステム化の認可を取得しており、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(以下「医薬品医療機器等法」という。)に基づいた、製造販売業者、医療従事者、輸出用医薬品等製造業者の輸出入に係る手続き※をNACCSにて行えるよう、平成26年11月より業務を開始しました。

※医薬品医療機器等法許可業者又はその他の業者・医療従事者・個人等による輸入手続きである「輸入報告」、輸出用医薬品等の製造届出手続き及び輸入届出手続きである「輸出用製造輸入届出」

③ 業務状況等分析業務

当社は、お客様自身のNACCS業務利用実績データを利活用した業務状況等分析業務について、平成29年3月31日付で財務大臣の認可を取得し、同年4月1日から開始いたしました。

④ 貿易関連書類電子保管業務

当社は、NACCSで処理された情報を活用し、当該情報の自動保管や検索機能による取り出し等、お客様の利便性の向上に貢献可能な貿易関連書類電子保管業務について、平成30年3月29日付で財務大臣の認可を取得し、令和元年12月1日からサービスを開始いたしました。

 

 

20/06/19

1【業績等の概要】

(1)業績

第9期事業年度(自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日)

当事業年度における我が国経済は、政府の経済政策や日銀の金融緩和策を背景に企業収益や雇用環境の改善等

が見られ緩やかな回復基調にあるものの、個人消費の回復では依然足踏み状態が続いております。また、世界経

済も中国をはじめとする新興国の成長鈍化、英国のEU離脱、米国新政権の政策動向などにより、その先行きは

不透明な状況下で推移しております。

このような経営環境のもと、当社におきましては、①システムの安定的運用とサービス向上、②「総合物流情

報プラットフォーム」の構築、③次期NACCS(第6次NACCS)の開発・円滑な導入、④新規事業、⑤経

営基盤の強化、⑥企業の社会的責任(CSR)、⑦株主還元という7つの重点計画を策定して事業運営に取り組

んでまいりました。また一方で、一般競争入札の徹底や経費の節減等効率的な経営にも努めた結果、当事業年度

の売上高は、9,418百万円(前事業年度比0.7%増)、営業利益は496百万円(同91.5%増)、経常利益は455百

万円(同154.2%増)、当期純利益は286百万円(同183.8%増)となりました。
 

各取組の詳細は以下のとおりであります。

 

① システムの安定的運用とサービス向上

イ 当事業年度は、システム障害の予兆となり得る事象・現象の段階で横並び点検を行うなど予防措置を講ずるインシデント管理を実施し、システムの障害発生を未然に防ぐなど、24時間365日、システムの安定運用に努めてまいりました。

  しかしながら、平成28年10月8日にNACCSで一部のハードディスクの故障により、業務の一部に障害が発生したことから、当事業年度のNACCSの稼働率が99.99%となりました。なお、本障害の検証結果を踏まえ、システム障害時の対応訓練及びマニュアルの改訂を実施いたしました。

  また、平成29年3月には、「システム総点検」を行い、システムが安定的に稼働するよう、保守・運用に努めてまいりました。

  その他、平成28年9月及び11月には、「災害対応訓練」、同年12月13日(安定運用の日)には、「システム障害発生時の対応訓練」を実施し、システム障害や大規模災害等によるシステム停止に対し、システムの迅速な復旧を確保するよう努めてまいりました。

ロ お客様のニーズを把握し、サービスの向上を図るため、全国16地区でNACCS地区協議会を開催するとともに、NACCSの操作方法や機能などを説明するセミナーを開催いたしました。

  また、NACCS地区協議会委員宛に「NACCS地区協議会通信」をメール配信し、NACCS関連情報を随時提供するとともに、意見等の集約に努めてまいりました。

  その他、各事務所が対応しているお客様からのお問い合わせ業務を本社へ集約するとともに、利用契約手続き業務の効率化を行い、お客様対応の迅速化と品質強化を図ってまいりました。

ハ NACCSは、官民共同システムであり、多くのお客様にNACCSを利用していただくことが、国際物流の効率化と進展につながることから、関係省庁とも連携をとりつつ、国際物流に携わる方々に対して加入促進を行ってまいりました。また、港湾における国際物流業務の一層の効率化に寄与することを目的とした「コンテナヤードにおける搬出入業務等サービス」等について、積極的なプロモーション活動を行い、利用拡大を図ってまいりました。

ニ 平成29年3月末現在、NACCS参加事業所数は海上10,225事業所、航空5,331事業所となり、平成28年3月末時点と比べて海上で575事業所、航空で791事業所増加しております。(なお、「海空共用」の事業所は、海上及び航空の両事業所に含めております。)

 


②「総合物流情報プラットフォーム」の構築

次期NACCSの開発・円滑な導入をはじめ、システムの機能向上に継続的に取り組むとともに、新規事業の推進による周辺サービスの拡大を図ることで、港湾・空港における利便性・信頼性の高い、簡易で効率的な「総合物流情報プラットフォーム」を構築するため、次期NACCSの開発や新規事業の導入といったシステムの機能向上、多角的サービスの提供等の取り組みを推進してまいりました。

「総合物流施策大綱(2013-2017)」(平成25年6月閣議決定)に盛り込まれている、NACCSへの国土交通省のコンテナ物流情報サービス(Colins)機能の反映による民間業務の拡充について、反映させる機能等を検討してまいりました。

③ 次期NACCSの開発・円滑な導入

次期NACCSについては、平成29年10月の稼働を目途として、平成28年3月に確定した詳細仕様に基づき開発を進めるとともに、関係省庁及び民間のお客様のご協力をいただきながら円滑な導入に向けた準備を進めてまいりました。

イ 詳細仕様説明会等の実施

次期NACCSの円滑な導入を目的に、平成28年4月から6月にかけて詳細仕様説明会、同年8月には自社システム利用者向け接続試験説明会、同年10月から12月にかけて利用申込等説明会、平成29年1月から2月にかけて関係業界向け業務説明会等を開催してまいりました。

ロ 接続試験の実施

次期NACCSの更改に合わせて自社システムを構築又は改修するお客様の開発を支援するため、平成28年8月に自社システム利用者向け接続試験説明会を開催し、同年12月より接続試験を実施してまいりました。

ハ 安定的な収益の確保の検討

次期NACCSの導入に向けて、システムの安定的な運用等の確保を考慮しつつ、経済性の高いシステムとなるよう、システム経費、今後要すると見込まれる人件費、セキュリティ対策費用などを踏まえて利用料金の見直しを検討した結果、次期NACCSの料金体系及び従量料金は現行据え置きとさせていただきました。

 

④ 新規事業

イ NACCSで処理された情報を活用した情報提供等サービスの開発について、共同開発会社とともに、事業内容等について検討してまいりました。

ロ 「日本再興戦略」(平成25年6月閣議決定)でうたわれている、通関手続の電子化、民民間貿易取引の電子化の推進の方向性を踏まえ、貿易関連文書の電子保管サービス等について事業化の可能性を検討してまいりました。

ハ お客様自身のNACCS業務利用実績を利活用した業務状況等分析業務について検討を行い、平成29年3月31日付で財務大臣の認可を取得し、同年4月1日から開始することといたしました。

ニ お客様のNACCSの機能等へのご要望のうち、汎用のNACCSの機能以外について、お客様のご要望に応じたカスタマイズの実現について検討してまいりました。

ホ 従来からのNACCSの利用に関する説明会の実施に加え、新たにお客様のご要望に応じて、個別にお客様にNACCSの操作に関する講習を実施するなどのNACCSの利用に関する研修事業について検討してまいりました。

ヘ ミャンマーへのNACCS型貿易関連システムの導入支援に関し、プロジェクトの調達・実施に係る進捗の監理、利用者管理やヘルプデスク等の技術支援を実施し、平成28年11月に当該システムは稼働開始いたしました。その他、JICAから公示された「カンボジア国ナショナル・シングル・ウィンドウ構築に向けた通関手続き及び通関電子システムの改善提案のための情報収集・確認調査」業務を平成29年1月に受注いたしました。

ト PAA(Pan Asian e-Commerce Alliance)における協議、出港前報告を電子的に行う体制を整備した際にNACCSと接続した海外のサービス・プロバイダーとの連携等を通じた国境を越えた電子情報交換及び海外システムとの連携の検討を推進するため、平成28年4月の第52回PAA韓国会合、同年8月の第53回PAAインドネシア会合、同年12月の第54回PAAタイ会合に出席いたしました。また、同年6月セネガルで開催されたWCO(World Customs Organization)IT Conference等の場を活用し、税関分野におけるIT利用のトレンドについて情報収集を行ってまいりました。

 

⑤ 経営基盤の強化

イ 重要な経営判断と業務執行の監督を行う取締役会(社外取締役2名を含む)と、取締役会から独立した監査役会、さらには取締役会の諮問機関である第三者委員会の「経営諮問委員会」により経営の適法性・妥当性が確保されるコーポレート・ガバナンスの実現に努めてまいりました。

ロ 社員一人ひとりが、法令はもとより社内規程や企業倫理等を遵守するため、全社員参加の会議においてコンプライアンスの重要性について説明を行うとともに、社員研修を実施しコンプライアンスの徹底に努めてまいりました。

 

 

ハ 当社の調達に関する契約については、一般競争入札等によることを原則とし、調達手続きの透明性を確保するとともに、経費及び調達コストの削減に努めてまいりました。また、業務の効率化を図るため、従来の企画部及びシステム部を廃止し、新たにシステム企画部及び経営戦略企画部を新設し、組織を機能別に再編いたしました。

ニ 平成26年8月に災害対策基本法に基づく指定公共機関に指定されたことを踏まえ、万一大規模災害が発生した場合であっても、NACCSの早期復旧を図れるよう、平成28年9月及び11月に災害対応訓練を実施するなど、万全な対応に努めてまいりました。また、当社を取り巻くリスクについて定期的に見直しを行い的確に把握した上で、それらを適切に管理することで、リスク管理の徹底に努めてまいりました。

ホ 定期的にセキュリティ監査や自己点検を実施するとともに、情報セキュリティに関する意識の向上及び知識の習得を図るための研修を実施する等、情報セキュリティの強化に努めてまいりました。

ヘ システムの安定的運用や新規事業の推進のためには、社員の能力を向上させ、最大限発揮していくことが必要不可欠なことから、システムの専門知識を有する社員、貿易・物流実務に精通した社員及びグローバルに活躍できる社員を育成するため、新たに海外同業他社への人材交流プログラムを実行する等、研修の充実に努めてまいりました。

ト 当社ホームページ等、当社の業務内容に関する積極的な情報公開を行ってまいりました。また、提供する情報について、拡充を図ってまいりました。

チ 情報処理運営協議会、NACCS地区協議会をはじめとしたお客様との定期会合等を活用し、社会ニーズの把握に努めてまいりました。

 

⑥ 企業の社会的責任(CSR)

NACCSによる電子化等を通じたペーパーレス化の推進によるCO₂の削減はもとより、災害対策基本法に基づく指定公共機関としての国や地方自治体との連携強化や、事業所周辺の清掃活動等による地域への貢献活動を実施してまいりました。

 

⑦ 株主還元

株主との建設的な対話を通じて、NACCSの安定的運用とサービスの向上に努めるとともに、配当を含めた株主の負託にも応えられる企業を目指し、NACCSと親和性の高い新規事業等の検討を進めるなど、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に努めてまいりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

第9期事業年度(自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日)

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ336百万円増加し、3,295百万円となりました。

当事業年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果増加した資金は3,601百万円(前事業年度は3,288百万円の収入)となりました。これは主に税引前当期純利益455百万円、減価償却費3,904百万円の計上のほか、前受収益の減少758百万円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果減少した資金は422百万円(前事業年度は398百万円の支出)となりました。これは主にソフトウェア等の無形固定資産の取得による支出407百万円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果減少した資金は2,842百万円(前事業年度は3,253百万円の支出)となりました。これはリース債務の返済による支出2,842百万円によるものであります。