E32215 Japan GAAP
前期
2.83兆 円
前期比
78.0%
当社グループ(当社及び当社の関係会社) は、当社、子会社10社及び関連会社17社(2024年3月31日現在)で構成され、送電・変電・配電設備による電力の供給、送電・変電・配電・通信設備の建設・保守、設備土地・建物等の調査・取得・保全などの電気事業を中心とする事業を行っており、主要な関係会社は、以下のとおりである。
(主な関係会社)
東京電設サービス㈱、東電タウンプランニング㈱、東電用地㈱、テプコ・ソリューション・アドバンス㈱、テプコ・パワー・グリッド・ユーケー社、東電物流㈱、ディープ・シー・グリーン・エナジー(香港)社、㈱関電工、グリーンウェイ・グリッド・グローバル社、㈱東光高岳、㈱昭栄電気産業、㈱アット東京、トライトン・ノール・オフト・ビッドコ社、トライトン・ノール・オフト社
[事業系統図]
(注)◎印を付した会社は、当連結会計年度において、新たに当社グループに加えた会社である。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりである。
[資産・負債・純資産]
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末に比べ1,470億円増加し、7兆1,795億円となった。これは、固定資産仮勘定が増加したことなどによるものである。
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ1,090億円増加し、6兆454億円となった。これは、有利子負債が増加したことなどによるものである。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ380億円増加し、1兆1,340億円となった。これは、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などによるものである。この結果、自己資本比率は15.8%と前連結会計年度末に比べ0.2ポイント上昇した。
[収支の状況]
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比22.0%減の2兆2,050億円となった。
エリア需要は、前連結会計年度比0.6%減の2,635億kWhとなった。
また、経常利益は前連結会計年度比117.8%増の1,567億円、税金等調整前当期純利益は同16.5%増の1,567億円となった。ここに、法人税、住民税及び事業税369億円、法人税等調整額22億円、非支配株主に帰属する当期純利益2億円を計上し、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比21.4%増の1,173億円となった。なお、1株当たり当期純利益は2,518円91銭となった。
当社グループは単一セグメントであるため、セグメントごとの記載をしていない。
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ9億円(0.1%)減少し、1兆7,476億円となった。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の収入は、前連結会計年度比91.1%増の3,495億円となった。これは、売上債権の増減額が減少したことなどによるものである。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の支出は、前連結会計年度比35.5%増の3,413億円となった。これは、固定資産の売却による収入が減少したことなどによるものである。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の支出は、95億円(前連結会計年度は1,644億円の収入)となった。これは、社債の発行による収入が減少したことなどによるものである。
当社グループは、主に送配電に関する電気事業が連結会社の事業の大半を占めており、また、電気事業以外の製品・サービスは多種多様であり、受注生産形態をとらない製品も少なくないため、生産及び販売の実績については、電気事業のみを記載している。
なお、当社グループは単一セグメントであるため、セグメントごとの記載をしていない。
(注) 主な相手先別の託送収入実績及び当該託送収入実績の総託送収入実績に対する割合は次のとおりである。
当社は、2023年12月1日、電気事業法第18条第1項に規定された「託送供給等約款」の変更に係る認可申請(発電側課金制度の導入に伴う供給条件の設定及び電気事業法第17条の2第4項の規定により2023年11月24日に経済産業大臣から承認された「託送供給等に係る収入の見通し」の変更に基づく新たな料金を設定)を経済産業大臣に行い、2024年1月17日に経済産業大臣の認可を受け、2024年4月1日から実施している。
主要託送供給料金は下記のとおりである。
託送供給料金表
(消費税等相当額を含む料金単価)
(注) 1.上記契約種別のほか、臨時接続送電サービス、発電量調整受電計画差対応電力、接続対象計画差対応電力、需要抑制量調整受電計画差対応電力、給電指令時補給電力がある。
2.SBとは、電流制限器又はその他適当な電流を制限する装置。
3.時間帯別接続送電サービスにおける「昼間時間」とは、毎日午前8時から午後10時までの時間をいい、「夜間時間」とは、「昼間時間」以外の時間をいう。ただし、日曜日、祝日(「国民の祝日に関する法律」に規定する休日)及び1月2日・3日、4月30日、5月1日・2日、12月30日・31日は、全日「夜間時間」扱いとする。
4.系統設備効率化割引とは、需要地近郊や既に送配電設備が手厚く整備されている地域など、送配電設備の追加増強コストが小さい地域に接続する電源に対して、発電側課金の負担額を軽減するものである。
5.従来適用してきた近接性評価割引は、新たに導入する割引制度と趣旨や割引の考え方が重複している面もあることから廃止する。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
当社グループは、電力供給の信頼度を確保したうえで、国際的にも遜色のない低廉な託送原価水準の実現を目指し、効率的でサステナブルな事業運営に取り組んできた。
当連結会計年度の連結収支については、収益面では、需給調整に係る売上が減少したことなどから、売上高(営業収益)は前連結会計年度比22.0%減の2兆2,050億円となり、その他の収益を加えた経常収益合計は同21.8%減の2兆2,320億円となった。
一方、費用面では、電気調達費用が減少したことなどにより、経常費用合計は前連結会計年度比25.4%減の2兆752億円となった。
この結果、経常利益は前連結会計年度比117.8%増の1,567億円となった。
また、法人税、住民税及び事業税369億円を計上したことなどから、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比21.4%増の1,173億円となった。
当社グループは単一セグメントであるため、セグメントごとの記載をしていない。
(a) キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりである。
(b) 有利子負債
2024年3月31日現在の社債、長期借入金、短期借入金については、以下のとおりである。
当連結会計年度(2024年3月31日)
上記については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(金融商品関係)2.金融商品の時価等に関する事項(注2)社債、長期借入金及びその他の有利子負債の連結決算日後の返済予定額」にも記載。
東京電力ホールディングスグループとして、四次総特等において、取引金融機関に対し追加与信及び借換え等による与信を維持することなどをお願いしており、当社においてもご協力をいただいている。これらの金融機関の支援・協力のもとで、当社は2017年3月に公募社債を発行している。その後も継続しており、2023年度は3,600億円の公募社債を発行している。引き続き社債の発行を継続するなど、当社グループの自律的な資金調達を実施していく。
金融機関からの借入金や社債の発行により調達した資金は、電気事業等に必要な設備資金、借入金返済及び社債償還等に充当している。設備投資計画については、「第3 設備の状況」のとおりであり、借入金返済及び社債償還の予定については、「② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る状況 イ.キャッシュ・フロー等 (b) 有利子負債」のとおりである。
また、東京電力ホールディングスグループでは、グループ全体でより効率的な資金の運用を図る観点からグループ金融制度を採用しており、当社も参加している。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりである。
四次総特に記載のとおり、当社は、最新ICT技術の迅速導入やカイゼンの取り組みの全面展開、組織の集中化やグループ会社を含めた改革など非連続の事業構造改革の実現に取り組み、2018年度の目標である託送原価(2016年度比500億円以上削減)を実現した。
グローバルトップレベルの事業運営基盤の確立(2025年度の託送原価を2016年度比で1,500億円程度削減)に向けた非連続な経営効率化等の取り組みを通じて、廃炉に充てる等の資金(10年平均1,200億円程度)を捻出することを目標に掲げている。
当連結会計年度における廃炉等負担金は1,242億円となった。
東京電力ホールディングス株式会社は、2016年4月1日付けで同社の燃料・火力発電事業(燃料輸送事業及び燃料トレーディング事業を除く)、一般送配電事業及び小売電気事業等を会社分割の方法により東京電力フュエル&パワー株式会社、当社及び東京電力エナジーパートナー株式会社へ承継(以下、この会社分割を「本件吸収分割」という。)し、ホールディングカンパニー制に移行した。
ホールディングカンパニー制への移行にあたっては、2014年1月に国の認定を受けた新・総合特別事業計画(その後の変更を含む)において、本件吸収分割前に発行された一般担保付社債について、債権者の権利に実質的な影響を与えない方策を講じることとしており、ホールディングス既存国内公募社債は、当社が発行した一般担保付社債を信託財産とした信託の受託者による連帯保証により権利の保護が図られている。
ホールディングス既存国内公募社債の権利保護の仕組み
① 東京電力ホールディングス株式会社は、株式会社三井住友銀行との間で、東京電力ホールディングス株式会社を委託者兼受益者、株式会社三井住友銀行を受託者とし、ホールディングス既存国内公募社債の各号と残存金額、満期及び利率が同等の当社が発行した一般担保付社債(以下、「ICB」(Inter Company Bond)という。)及び金銭を信託財産とする信託を設定した(以下、当該信託に関する契約を個別に又は総称して「本件ICB信託契約」という。)。また、本件ICB信託契約における受託者が東京電力ホールディングス株式会社の委託を受けて、ホールディングス既存国内公募社債の社債権者のためにホールディングス既存国内公募社債について連帯保証している(以下、個別に又は総称して「本件連帯保証契約」という)。当該信託には責任財産を信託財産に限定する特約が付されるため、受託者の固有財産は連帯保証債務の引当てにならない(責任財産限定特約付)。
② 連帯保証後のホールディングス既存国内公募社債の元利金支払は、東京電力ホールディングス株式会社がホールディングス既存国内公募社債の元利金支払を継続できない状況となった場合においても、当社によるICBの元利金支払がなされる限り受託者(連帯保証人)により行われる。他方、当社がICBの元利金支払を継続できない状況となった場合には、東京電力ホールディングス株式会社がホールディングス既存国内公募社債の元利金支払を行う。
③ 当社がICBの元利金支払を継続できない状況となり、かつ、東京電力ホールディングス株式会社がホールディングス既存国内公募社債の元利金支払を継続できない状況となった場合には(これらの状況の発生の先後は問わない。)、受託者は、ホールディングス既存国内公募社債に係る社債権者集会の承認決議がなされ、これについて裁判所の認可の決定があった後、ICBを対応するホールディングス既存国内公募社債の社債権者に対して交付する(当該交付と引換えに受託者(連帯保証人)の連帯保証債務は免除される。)。なお、当該社債権者はICBとは独立した債権として引き続きホールディングス既存国内公募社債を保有することとなる。他方、上記社債権者集会で承認決議がなされなかったとき、又は社債権者集会の承認決議について裁判所の不認可の決定があったときは、本件ICB信託契約及び本件連帯保証契約は終了し、受託者は当該本件ICB信託契約に従いその時点で保有しているICBを委託者兼受益者である東京電力ホールディングス株式会社に返還する。この場合、ホールディングス既存国内公募社債の社債権者は引き続きホールディングス既存国内公募社債を保有することとなる。なお、東京電力ホールディングス株式会社によれば、同社は、東京電力ホールディングス株式会社に倒産手続が開始された場合においても上記②及び本③のような取扱いがなされると考えているものの、倒産手続においてこれと異なる取扱いがなされる可能性は否定できないとのことである。
④ 上記②及び③以外の場合で、やむをえない事情により信託事務の遂行が著しく困難又は不可能となった等の事由により本件ICB信託契約が終了した場合には、これに対応する本件連帯保証契約も終了し、受託者は当該本件ICB信託契約に従いその時点で保有しているICBを委託者兼受益者である東京電力ホールディングス株式会社に返還する。この場合、ホールディングス既存国内公募社債の社債権者は引き続きホールディングス既存国内公募社債を保有することとなる。