売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E31741 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

 (経営成績の状況)

この度の令和6年能登半島地震により被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。当社グループでは震災後、通信障害等の復旧のため、緊急一次対応をいたしました。今後も関係機関等と連携し、一日も早い被災地の復旧と復興に向けて、支援活動に取り組んでまいります。

さて、当第2四半期連結累計期間(2023年9月1日~2024年2月29日)におけるわが国経済は、経済社会活動の正常化が進み、インバウンド需要の復調等が見られるものの、為替動向の懸念や世界的な物価高、また不安定な国際情勢等により、先行きは不透明な状況となっております。

 

当社グループは、国内及びベトナムを中心とするアセアンにおいて、カーボンニュートラルやSociety5.0等、持続可能で豊かな社会の実現に向けて、ダイナミックにChallenge&Innovationする企業集団を目指し、長年培ってきた電気設備・電気通信設備工事の技術や経験を活かし、再生可能エネルギーや無線通信インフラ設備等様々な社会インフラの構築及び保守メンテナンス、老朽化したインフラ設備の更新工事等のEPC(Engineering、Procurement、Construction)事業に取り組んでおります。また、現中期経営計画の実現に向けて、2022年に新たに立ち上げたCRE(不動産)事業を両輪とする「両利きの経営」により、事業の多角化を図るとともに、事業を通じてサステナブルな社会構築を目指しております。さらに、2024年3月に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」を公表いたしましたが、中長期的な企業価値向上に向けて、中核であるEPC事業の収益力向上と不動産事業収益の平準化、政策保有株式売却による資本効率向上、株主還元の充実などにより株主資本コストを上回るROE10%以上を継続的に確保し、PBRの向上を図ってまいります。

 

a サステナブル経営を目指して

-1. 環境保全への取り組み

当社グループではサステナブル経営のもと、森林保有や使用電力の再エネ化等脱炭素や環境保全への取り組みを行ってまいりました。当社が現在保有する森林は合計31haとなり、引き続きカーボンニュートラル実現や水資源保全に向けて保有森林の拡大を進めてまいります。この内、那智勝浦の保安林(16.7ha)は、都市に立地する企業の緑地管理による地域への社会貢献として高い評価を受け、2022年9月にSEGES*1よりExcellent Stage2の認定を取得し、改めて2024年3月に維持審査に合格しました。2023年11月に日本自然保護協会に参画するとともに、所有林にセンサーカメラを設置し、生物多様性の保全への取り組みを強化する等、引き続きネイチャーポジティブの実現に努めてまいります。

-2. 太陽光パネルのライフサイクルサポートへ

当社グループでは、太陽光発電所の建設やO&M(オペレーション&メンテナンス)に20年以上取り組んでおり、2023年2月には、太陽光パネルのライフサイクルにわたりサポートするため、J&T環境株式会社(JFEグループ及び、東京電力・中部電力のグループ会社である株式会社JERAが出資するリサイクル企業)と業務提携いたしました。今後太陽光パネルの大量廃棄が予想されており、リサイクルまでサポートすることにより循環型社会の構築に貢献してまいります。

-3. 人材育成への取り組み

建設工事の需要が高まる一方、日本国内においては人口減少が続き、電気工事を含む建設業の高度技術者の不足が大きな課題となっています。

当社グループでは、前年度に行ったJESCO AKUZAWA株式会社及びマグナ通信工業株式会社のM&Aにより、資格保有者が大幅に増加しました(1級電気工事施工管理技士105名、1級電気通信工事施工管理技士54名(監理技術者含))。引き続き、Webを活用した自社教育システム「JESCOアカデミー」による技術者教育を幅広く推進してまいります。また、グループ会社の人材紹介企業JESCOエキスパートエージェント株式会社を通じて、ベトナム国を中心にアセアン地域から高度技術者の採用も進めてまいります。

 

b  当期業績について

国内EPCにおいては、国土交通省による建設投資額見通しは2020年より増加傾向が続いており、当社においても、今後拡大が期待される再生可能エネルギーや無線通信インフラ設備を注力分野とし、さらなる事業拡大に努めております。

再生可能エネルギー分野では、エネルギー高騰や企業の脱炭素化により需要が高まる工場の屋根やゴルフ場のカーポート等に設置する自家消費型太陽光発電設備の受注が拡大しております。

一方、再生可能エネルギー設備の増加に伴う出力抑制の拡大の影響で系統用蓄電所*2の需要が高まっております。2023年12月内閣府GX実行会議の投資戦略によると、2030年には累計約14~24GWhの導入が見込まれており、当社においても、系統用蓄電所の建設に積極的に取り組んでまいります。

無線通信インフラ関連分野では、2050年を展望した国土強靭化計画に基づき、河川監視システムや防災無線システム等防災減災関連設備工事に取り組んでまいりました。さらに、総務省の「デジタル田園都市国家インフラ整備計画」の2030年末5G人口カバー率99%実現に向けて、移動体通信設備工事の全国展開を行ってまいりました。

アセアンEPCにおいては、ベトナムに拠点を持つ3社を中心に事業を展開しております。注力分野であるエンジニアリング事業では、設計拠点を5拠点体制とし、設計人員も2023年8月期末の220名から20名増員し、現在約240名となりました。さらに300名体制の早期構築に向けて増員を進めるとともに、専門教育により技術力強化やBIM*3要員拡大に取り組んでおります。

JESCO ASIA社では、2022年12月にベトナム政府より、国際空港の入札参加資格となる35,000V以下の電気事業ライセンスを取得し、国際空港の電気設備設計にも注力しております。これにより、ホーチミン市東部にハブ空港として建設されるロンタイン国際空港の電気設備詳細設計、ハノイ市のノイバイ国際空港第2ターミナルビル拡張工事の電気設備詳細設計を元請グループとして受注したのに続き、2024年3月にはロンタイン国際空港の電気設備及びICT*4施工監理業務を受注いたしました。また、JESCO PEICO ENGINEERING社においては、ベトナム宇宙センター電気通信工事(LOTUSat-1)を受注いたしました。本事業は地球観測衛星関連施設の整備等を行うもので、これによりベトナムにおける減災にも貢献してまいります。

一方、建設部門においては、ベトナムにおける不動産開発会社の融資及び社債発行への規制強化等により、一部の工事で工事代金の入金遅延が発生しており、貸倒引当金157百万円を計上いたしました。今後もベトナムの不動産市場環境について注視してまいります。

 

このような状況のもと、当第2四半期連結累計期間の受注高は、80億17百万円(前年同四半期比66.3%増)、経営成績は、売上高58億48百万円(同0.7%増)、営業利益89百万円(同72.0%減)、経常利益1億2百万円(同70.5%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益5億21百万円(同23.3%減)となりました。

 

セグメント別の経営成績は、以下のとおりであります。

 

a 国内EPC事業

注力分野である再生可能エネルギー関連設備事業において自家消費型太陽光発電設備工事の受注が拡大した他、無線通信インフラ関連設備工事においても順調に推移するとともに、系統用蓄電所の引合いも増加してまいりました。この結果、増収となりましたが、前期には高収益案件があったため、減益となりました。

当第2四半期連結累計期間における当セグメントの受注高は、74億48百万円(前年同四半期比107.5%増)、経営成績は、売上高51億49百万円(同21.3%増)、セグメント利益3億73百万円(同9.6%減)となりました。

 

b アセアンEPC事業 

エンジニアリング部門においては、DXの活用により国内設計部門との一体化のもと、現在注力している技術力強化及び技術員の増員等が新規顧客の獲得に寄与し、順調に推移いたしました。

一方、建設部門においては、ベトナムにおける規制強化等が引き続き建設業に影響を与えており、中断している工事の再開時期の遅れにつながったことに加え、貸倒引当金の計上により減収減益となりました。

当第2四半期連結累計期間における当セグメントの受注高は、3億93百万円(前年同四半期比63.3%減)、経営成績は、売上高5億22百万円(同62.6%減)、セグメント損失2億45百万円前年同期はセグメント利益5百万円)となりました。
 

c 不動産事業

両利きの経営の柱の一つとして、2022年1月に設立いたしましたJESCO CRE株式会社においては、不動産の賃貸借事業をベースに、リニューアルによるバリューアップ等幅広く事業に取り組んでおります。保有ビルの賃貸管理収入等が順調に推移したことにより、増収となったものの、前期に取得いたしました販売用不動産2件の減価償却費を計上したことにより、減益となりました。

  当第2四半期連結累計期間における当セグメントの受注高は、1億76百万円(前年同四半期比8.2%増)、経営成績は、売上高1億76百万円(同8.2%増)、セグメント利益18百万円(同82.7%減)となりました。

 

<受注高、売上高及び繰越受注残高>

                                  (単位:百万円)

期間

セグメント

期首繰越

受注残高

当期受注高

当期売上高

次期繰越

受注残高

前第2四半期連結累計期間
(自 2022年9月1日
 至 2023年2月28日)

国内EPC事業

3,520

3,588

4,246

2,862

アセアンEPC事業

1,572

1,070

1,398

1,244

不動産事業

162

162

合計

5,092

4,821

5,807

4,106

当第2四半期連結累計期間
(自 2023年9月1日
 至 2024年2月29日)

国内EPC事業

6,234

7,448

5,149

8,532

アセアンEPC事業

1,061

393

522

931

不動産事業

176

176

合計

7,295

8,017

5,848

9,463

 

 

 

*1 SEGES:公益財団法人都市緑化機構が、企業等によって創出された良好な緑地や取り組みを評価し、社会・

  環境に貢献している、良好に維持されている緑地であることを認定する制度。

  SEGES…Social and Environmental Green Evaluation System

*2 系統用蓄電所:電力ネットワーク(系統)や再生可能エネルギー発電所等に大規模な蓄電池を接続し、

  電力の充放電を行う設備。

*3 BIM:ICTを活用し、3次元の建設デジタルモデルに建築物のデータベースを含めた建築の新しいワークフロー

  を提供する設計ソフト。

  BIM…Building Information Modeling

*4 ICT:デジタル化された情報やデータを交換・共有する技術。

  ICT…Information and Communication Technology(情報通信技術)

 

 (財政状態の状況)

当第2四半期連結会計期間末における流動資産は、116億59百万円となり、前連結会計年度末に比べ22億11百万円の増加となりました。これは、受取手形・完成工事未収入金等が2億94百万円、未成工事支出金が3億83百万円、販売用不動産が15億6百万円増加したこと等によるものであります。当第2四半期連結会計期間末における固定資産は、64億44百万円となり、前連結会計年度末に比べ8億74百万円の減少となりました。これは、不動産の売却に伴い建物及び構築物が2億60百万円、土地が8億15百万円減少したこと等によるものであります。この結果、当第2四半期連結会計期間末における資産合計は、181億3百万円となり、13億32百万円の増加となりました。

当第2四半期連結会計期間末における流動負債は、68億22百万円となり、前連結会計年度末に比べ18億17百万円の増加となりました。これは支払手形・工事未払金等が6億48百万円、短期借入金が12億55百万円増加したこと等によるものであります。当第2四半期連結会計期間末における固定負債は、46億8百万円となり、前連結会計年度末に比べ6億30百万円の減少となりました。これは、社債が1億85百万円、長期借入金が3億94百万円減少したこと等によるものであります。この結果、当第2四半期連結会計期間末における負債合計は、114億30百万円となり、11億87百万円の増加となりました。

当第2四半期連結会計期間末における純資産合計は、66億73百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億45百万円の増加となりました。

なお、自己資本比率は前連結会計年度末の33.4%から当第2四半期連結会計期間末は32.5%になりました。
 

(2) キャッシュ・フローの状況

当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1億17百万円増加し、24億1百万円となりました。当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

営業活動によるキャッシュ・フロ-は、税金等調整前四半期純利益7億11百万円、仕入債務の増加額6億70百万円、貸倒引当金の増加額1億65百万円等の増加要因に対し、固定資産売却損益5億28百万円、売上債権の増加7億84百万円、販売用不動産の増加額15億39百万円、法人税等の支払額3億24百万円等の減少要因により、19億45百万円の支出(前第2四半期連結累計期間は1億81百万円の支出)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フロ-は、固定資産の売却による収入15億67百万円、投資有価証券の売却による収入4億44百万円等の増加要因に対し、投資有価証券の取得による支出1億85百万円等の減少要因により、17億12百万円の収入(前第2四半期連結累計期間は25億33百万円の収入)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フロ-は、短期借入れによる収入25億78百万円等の増加要因に対し、短期借入金の返済による支出13億18百万円、長期借入金の返済による支出4億61百万円、配当金の支払額2億5百万円等の減少要因により、3億62百万円の収入(前第2四半期連結累計期間は17億65百万円の支出)となりました。
 

 (3) 経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について重要な変更はありません。