売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E00043 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 第1四半期連結会計期間より、会計方針の変更を行っており、前第3四半期連結累計期間及び前連結会計年度との比較分析にあたっては、遡及適用後の数値を用いております。詳細は、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。

 また、第1四半期連結会計期間より、報告セグメントの変更を行っており、前第3四半期連結累計期間との比較分析にあたっては、一部の販売数量及び平均価格につき集計方法の見直しが反映された後の数値を用いております。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

 当第3四半期連結累計期間における我が国経済は、緩やかに回復しています。先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、緩やかな回復が続くことが期待されます。ただし、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっています。また、物価上昇、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があります。

 当社グループの業績に大きな影響を及ぼす国際原油価格について、代表的指標のひとつであるブレント原油(期近物終値ベース)で当期は1バレル当たり82.10米ドルから始まりました。1月10日の米エネルギー情報局(EIA)のエネルギー短期見通しにおける今後の石油需要増の見通しや中国のゼロコロナ政策の終了による原油需要の回復への期待等を背景に原油価格は続伸し、1月23日には88.19米ドルまで上昇しました。2月から3月初旬にかけては概ね80米ドル前半と堅調に推移しましたが、3月10日以降、シリコンバレーバンク等の米国の複数銀行の相次ぐ経営破綻や金融大手UBSによるクレディ・スイス・グループの救済目的の買収から原油価格が大きく上下するも3月下旬はこうした米欧の金融機関の経営難が世界経済を下押しするリスクへの懸念が一旦落ち着き、3月31日には79.77米ドルの値を付けました。4月から5月にかけては、米地銀のファースト・リパブリック・バンクの経営破綻や米連邦公開市場委員会での利上げの決定等から景気が弱含むとして概ね70米ドルから75米ドル程度のレンジで推移しました。その後の6月にはOPEC+の閣僚級会合において協調減産の枠組みを2024年末まで延長することが合意される等があり約75米ドル前後の値動きでしたが、7月にサウジアラビアが原油減産でロシアと協調する姿勢を示したことで今後原油需給が引き締まるとの見方が広がり、7月前半から後半にかけて原油価格は上昇を続け、7月31日には85.56米ドルの値を付けました。8月前半は小幅な反発と下落が見られたものの85米ドル前後で推移しましたが、8月29日に大型のハリケーン・イダリアが米メキシコ湾を北上し、メキシコ湾岸の石油生産に影響するとの警戒から相場が上昇し、8月31日は86.86米ドルの値をつけました。9月に入るとサウジアラビアとロシアが供給削減を年内いっぱい延長するとの表明を受けて徐々に値を上げ、9月27日には米オクラハマ州クッシングでの原油在庫減少を背景に原油需給の引き締まり観測から96.55米ドルという高値を付けたのち、9月29日に95.31米ドルで当期を終えました。なお、当第3四半期連結累計期間の原油の当社グループ販売平均価格は、80.67米ドルとなりました。

 一方、業績に重要な影響を与えるもう一つの要因である為替相場ですが、当第3四半期連結累計期間は1米ドル131円台で始まり、円安基調で推移しました。1月中旬には日銀による政策修正観測の高まりから日米金利差の縮小が意識され、一時127円台まで円高が進みましたが、日銀の政策金利据置の決定や好調な米経済指標の影響を受けて米ドルが買われ、3月上旬には一時137円台まで円安が進みました。その後、3月下旬にかけては米国を中心とした金融システム不安に伴う米ドル売りの拡大から一時130円台まで円高が進んだものの4月末の日銀金融政策決定会合にて、総裁交代後の新体制下においても大規模緩和策の維持が決定されたことを受け、再び137円台まで円安が進行しました。5月以降は、米国のインフレ動向に応じて米連邦準備理事会(FRB)による利上げ停止が意識され、一時的に円高方向へ進む局面もありましたが、米国経済の底堅さを背景に144円台まで米ドル高が進行しました。7月前半には米国のインフレ鈍化観測や日銀金融政策の是正観測により、一時138円台まで米ドル安が進行しましたが、その後は堅調な米国経済指標や日銀による金融緩和の長期化観測を踏まえ再び円安が進行しました。8月以降についても引き続き日米の金利差拡大が意識され、円安基調での推移となり、9月末公示仲値(TTM)は前期末から16円88銭円安の149円58銭となりました。なお、当社グループ売上の期中平均レートは、前年同期に比べ、9円79銭円安の1米ドル138円12銭となりました。

 

 このような事業環境の中、当第3四半期連結累計期間は、原油の販売価格の下落により、売上高は前年同期比969億円、5.7%減の1兆6,018億円となりました。このうち、原油売上高は前年同期比1,509億円、11.4%減の1兆1,674億円、天然ガス売上高は前年同期比541億円、14.8%増の4,192億円です。当第3四半期連結累計期間の販売数量は、原油が前年同期比1,807千バレル、1.8%増の104,728千バレルとなり、天然ガスは前年同期比40,423百万立方フィート、12.5%増の362,722百万立方フィートとなりました。このうち、海外天然ガスは、前年同期比39,918百万立方フィート、15.9%増の290,811百万立方フィート、国内天然ガスは、前年同期比14百万立方メートル、0.7%増の1,920百万立方メートル、立方フィート換算では71,654百万立方フィートとなっております。販売価格は、海外原油売上の平均価格が1バレル当たり80.67米ドルとなり、前年同期比19.16米ドル、19.2%下落、海外天然ガス売上の平均価格は千立方フィート当たり5.76米ドルとなり、前年同期比0.99米ドル、14.7%下落、また、国内天然ガスの平均価格は立方メートル当たり93円96銭となり、前年同期比18円81銭、25.0%上昇しております。売上高の平均為替レートは1米ドル138円12銭となり、前年同期比9円79銭、7.6%の円安となりました。

 売上高の減少額969億円を要因別に分析しますと、販売数量の増加により630億円の増収、平均単価の下落により2,625億円の減収、売上の平均為替レートが円安となったことにより1,027億円の増収、その他の売上高が1億円の減収となりました。

 一方、売上原価は前年同期比268億円、3.9%減の6,545億円、探鉱費は前年同期比8億円、3.5%増の239億円、販売費及び一般管理費は前年同期比56億円、7.2%増の839億円となりました。以上の結果、営業利益は前年同期比765億円、8.4%減の8,393億円となりました。

 営業外収益は前年同期比32億円、1.4%減の2,217億円、営業外費用は金融資産の条件変更等から生じる損失の剥落等により、前年同期比476億円、42.1%減の654億円となりました。以上の結果、経常利益は前年同期比321億円、3.1%減の9,956億円となりました。

 特別損失は、豪州での環境規制強化等を含む外部環境の変化等に伴い一部プロジェクトで減損損失を計上したことにより756億円となりました。法人税等は前年同期比1,063億円、14.1%減の6,453億円、非支配株主に帰属する四半期純損失は58億円です。以上の結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比137億円、5.1%増の2,803億円となりました。

 

 セグメント別の業績は次のとおりであります。

 なお、第1四半期連結会計期間より、セグメント利益及び報告セグメントを変更しており、前第3四半期連結累計期間との比較分析にあたっては、変更後のセグメント利益及び報告セグメントに基づく数値を用いております。詳細は、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。

① 国内石油・天然ガス事業(国内O&G)

 ガス価の上昇により、売上高は前年同期比346億円、22.3%増の1,895億円となり、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比177億円、109.0%増の340億円となりました。

 

② 海外石油・天然ガス事業(海外O&G)- イクシスプロジェクト

 販売数量の増加により、売上高は前年同期比203億円、8.0%増の2,736億円となり、金融資産の条件変更等から生じる損失の剥落等により、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比728億円、46.5%増の2,296億円となりました。

 

③ 海外石油・天然ガス事業(海外O&G)- その他のプロジェクト

 油価の下落により、売上高は前年同期比1,580億円、12.4%減の1兆1,191億円となりましたが、減損損失の増加等により、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比754億円、72.2%減の289億円となりました。

 

 当第3四半期連結会計期間末における総資産は6兆9,713億円となり、前連結会計年度末の6兆2,598億円と比較して7,114億円の増加となりました。このうち、流動資産は9,668億円で、有価証券の増加等により前連結会計年度末と比較して2,374億円の増加となりました。固定資産は6兆45億円で、有形固定資産及び投資その他の資産の増加等により前連結会計年度末と比較して4,740億円の増加となりました。

 一方、負債は2兆3,872億円となり、前連結会計年度末の2兆2,374億円と比較して1,497億円の増加となりました。このうち、流動負債は8,241億円で、前連結会計年度末比2,973億円の増加、固定負債は1兆5,631億円で、前連結会計年度末比1,475億円の減少となりました。

 純資産は4兆5,840億円となり、前連結会計年度末比5,617億円の増加となりました。このうち、株主資本は3兆701億円で、前連結会計年度末比1,618億円の増加となりました。その他の包括利益累計額は1兆2,477億円で、前連結会計年度末比3,951億円の増加、非支配株主持分は2,661億円で、前連結会計年度末比46億円の増加となりました。

 

(2)事業上及び財務上の対処すべき課題

 当第3四半期連結累計期間において、当社の事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は、次のとおりであります。

① 基本方針の内容

 当社グループは、今後も増加する我が国及び世界のエネルギー需要に応え、長期にわたり引き続き、エネルギー開発・安定供給の責任を果たしつつ、2050年ネットゼロカーボン社会の実現に向けたエネルギー構造の変革に積極的に取り組みます。具体的には、石油・天然ガス分野を引き続き基盤事業と位置づけ、事業の強靭化とクリーン化を進めることにより、エネルギーの安定供給と気候変動への責任ある対応という二つの社会的責任を果たしてまいります。さらに、ネットゼロカーボン社会に向け、気候変動対応目標を定めるとともに、水素事業、石油・天然ガス分野事業のCO2低減(CCUS他)、再生可能エネルギーの強化と重点化、カーボンリサイクルの推進と新分野事業の開拓、森林保全の推進のネットゼロ5分野を推進します。

 

② 財産の有効な活用及び不適切な支配の防止のための取り組み

 当社グループは、資本効率性・財務健全性を意識しつつ、強固な財務体質を活かして、石油・天然ガス資源の安定的かつ効率的な供給を可能とするために事業基盤の拡大を目指し、探鉱・開発活動及び供給インフラの整備・拡充等への成長投資を行います。当社グループは、プロジェクトが生み出すキャッシュを、成長投資と株主還元にバランスよく配分することで、新たなキャッシュの創出と株主価値の増大を図り、持続的な企業価値の向上を目指します。

 また、当社は、上記①の方針に基づき、投機的な買収や外資による経営支配等により、中核的企業として我が国向けエネルギー安定供給の効率的な実現に果たすべき役割に背反する形での経営が行われること又は否定的な影響が及ぶことがないよう、経済産業大臣に対し甲種類株式を発行しております。

 その内容としては、ⅰ)取締役の選解任、ⅱ)重要な資産の全部又は一部の処分等、ⅲ)当社の目的及び当社普通株式以外の株式への議決権(甲種類株式に既に付与された種類株主総会における議決権を除く。)の付与に係る定款変更、ⅳ)統合、ⅴ)資本金の額の減少、ⅵ)解散、に際し、当社の株主総会又は取締役会の決議に加え、甲種類株式の株主による種類株主総会(以下、「甲種類株主総会」という)の決議が必要とされております。ただし、ⅰ)取締役の選解任及びⅳ)統合については、定款に定める一定の要件を充たす場合に限り、甲種類株主総会の決議が必要とされております。甲種類株主総会における議決権の行使に関しては、甲種類株主が令和4年経済産業省告示第54号に定める甲種類株式の議決権行使の基準に則り、議決権を行使できるものとしております。

 当該基準では、上記ⅰ)及びⅳ)に係る決議については、「中核的企業として我が国向けエネルギー安定供給の効率的な実現に果たすべき役割に背反する形での経営が行われていく蓋然性が高いと判断される場合」、上記ⅲ)の当社普通株式以外の株式への議決権(甲種類株式に既に付与された種類株主総会における議決権を除く。)の付与に係る定款変更の決議については、「甲種類株式の議決権行使に影響を与える可能性のある場合」、上記ⅱ)、ⅲ)当社の目的に係る定款変更、ⅴ)及びⅵ)に係る決議については、「中核的企業として我が国向けエネルギー安定供給の効率的な実現に果たすべき役割に否定的な影響が及ぶ蓋然性が高いと判断される場合」のみ否決するものとされております。

 さらに、当社の子会社定款においても子会社が重要な資産処分等を行う際に、上記ⅱ)の重要な資産の全部又は一部の処分等に該当する場合には、当該子会社の株主総会決議を要する旨を定めており、この場合も当社取締役会の決議に加え、甲種類株主総会の決議を必要としています。なお、当社の取締役会は、甲種類株主による甲種類株式の議決権行使を通じた拒否権の行使に関して権能を有しておらず、従って甲種類株式は当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではありません。

 

③ 上記②の取り組みについての取締役会の判断

 上記②の取り組みは、我が国向けエネルギー安定供給の効率的な実現及び持続的な企業価値の向上を目指すものであり、上記①の方針に沿うものであります。

 また、上記②の甲種類株式は、拒否権の対象が限定され、その議決権行使も令和4年経済産業省告示第54号に定める経済産業大臣による甲種類株式の議決権行使の基準に則り行われることから、経営の効率性・柔軟性を不当に阻害しないよう透明性を高くし、その影響が必要最小限にとどまるよう設計されておりますので、上記①の方針に沿うものであり、株主の皆様の共同の利益を損なうものではないと考えております。

 

(3)研究開発活動

 当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は2,763百万円であります。