E00369 Japan GAAP
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間の我が国の経済は、新型コロナウイルスの5類感染症への移行以降、経済活動や社会生活が正常化し、インバウンド需要が拡大するなど、緩やかな景気の回復が見られます。一方、国内の物価上昇により消費者の節約志向が高まるなど、消費行動に影響を与えていることに加え、不安定な国際情勢の長期化や円安の進行による原材料価格高騰の継続、米国の金融引締め継続による景気下振れリスクなどが懸念され、事業を取り巻く環境は依然として不確実な状況が続いております。
このような中、当社グループは2030経営計画の達成に向け、2021中期経営計画の最終年度として「飛躍に向けた新たな経営基盤づくり」に取り組むとともに、様々な外部環境の変化に対応すべく事業強化を図ってまいりました。
その結果、国内では主に菓子食品事業、冷菓事業及び国内事業子会社が好調であったことに加え、米国事業が高成長を持続したことから、売上高は、1,637億9千7百万円と前年同期実績に比べ159億2千8百万円(10.8%)の増収で、第3四半期連結累計期間としては過去最高となりました。
損益については、原材料価格の高騰がありましたが、増収及び価格改定効果により、営業利益は前年同期実績に比べ59億4千1百万円(43.2%)増益の196億9千1百万円と順調に回復しております。経常利益も前年同期実績に比べ61億8千万円(44.2%)増益の201億7千5百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期実績に比べ51億2千8百万円(57.9%)増益の139億8千5百万円となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
<食料品製造>
菓子食品事業
ビスケットカテゴリーでは、「森永ビスケット」は、前期より「ムーンライト」を中心としたプロモーション及び商品展開を強化しており、既存ブランドを活用した新商品の発売や高付加価値商品の贅沢シリーズが寄与し、ブランド全体で引き続き好調に推移しました。
キャンディカテゴリーでは、「ハイチュウ」は、人気コンテンツとコラボレーションした既存品の限定パッケージ及びキャンペーンの展開や、新商品の発売が寄与し、好調が続きました。「森永ラムネ」は、受験生をターゲットとした販売促進の強化により、ボトル形態、パウチ形態の「大粒ラムネ」いずれも好調が継続し、前年同期実績を大きく上回りました。
チョコレートカテゴリーでは、「カレ・ド・ショコラ」は、基幹品の販売は堅調に推移しましたが、新商品の苦戦により、前年同期実績を下回りました。「ダース」は、既存の箱形態の新商品「香るダース」や、スイーツ需要に向けた新商品「半熟ダース」の売上が大きく寄与するなど戦術の変更が奏功し、前年同期実績を上回りました。「チョコボール」は、基幹品は堅調に推移しましたが、大人向けの「大玉チョコボール」の苦戦や一部商品の終売によるアイテム数の絞り込みが影響し、前年同期実績を下回りました。
食品カテゴリーでは、「森永甘酒」は、健康ブランドとして強化するべく冬の体調管理をテーマとした継続的な情報発信に取り組み、前年同期実績を上回りました。「森永ココア」は、暖冬の影響もありココア市場全体が前年を下回る中、主力の「森永ミルクココア」は前年同期実績を下回りました。一方、「カカオの力」が機能性を訴求するプロモーション展開により好調に推移したほか、メディアでダイエット効果が取り上げられた「純ココア」の好調継続により、前年同期実績並みとなりました。
これらの結果、菓子食品事業全体の売上高は581億1千万円と前年同期実績に比べ40億1千万円(7.4%)増となりました。
損益については、原材料価格の高騰を増収及び価格改定効果で打ち返し、営業利益は前年同期実績に比べ27億1千1百万円(278.7%)増益の36億8千3百万円となりました。
冷菓事業
「ジャンボ」グループは、「チョコモナカジャンボ」「バニラモナカジャンボ」ともに、インパクトのあるパッケージデザインで展開した冬季限定品の販売が好調に推移したことに加え、メディア露出による話題化も寄与し、前年同期実績を上回りました。「板チョコアイス」は、品質の独自価値を訴求するTVCMを投入し基幹品の販売が好調に推移したほか、秋冬限定品として発売した「白い板チョコアイス」の想定を上回る販売好調(一時休売)、高付加価値の新商品の発売も寄与し、前年同期実績を大きく上回りました。通年発売2年目となる「ザ・クレープ」は、デザートアイスという品質特徴や喫食シーンを訴求するTVCM等のプロモーション展開に取り組み、前年同期実績を大きく上回りました。「アイスボックス」は、お酒の割材としての活用や乾燥対策などの訴求で秋冬の需要拡大に取り組んだことに加え、秋冬の店頭での取り扱い向上も寄与し、前年同期実績を大きく上回りました。
これらの結果、冷菓事業全体の売上高は372億4千9百万円と前年同期実績に比べ44億2千万円(13.5%)増となりました。
損益については、原材料価格の高騰を増収及び価格改定効果で打ち返し、営業利益は前年同期実績に比べ17億4千7百万円(50.7%)増益の51億9千6百万円となりました。
in事業
「inゼリー」は、前年に新型コロナウイルス感染者向けとして自治体へ商品を供給した売上実績がある中、引き続きターゲット毎の飲用シーンの訴求に取り組んだ結果、「エネルギーブドウ糖」や「フルーツ食感」が好調に推移し、前年同期実績並みとなりました。「inバー」は、プロテイン摂取手段の多様化による競争環境の激化に伴いプロテインバー市場が漸減する中、喫食シーンを訴求するプロモーション展開により主力品が堅調に推移し、前年同期実績を上回りました。
これらの結果、in事業全体の売上高は253億4千1百万円と前年同期実績に比べ2億3千6百万円(0.9%)増となりました。
損益については、価格改定による収益性改善に対し、原材料価格の高騰の影響が大きく、営業利益は前年同期実績に比べ3億6百万円(4.8%)減益の61億7百万円となりました。
通販事業
「おいしいコラーゲンドリンク」は、オンライン広告を効果的に投入することで定期顧客数を着実に伸ばし、売上高は前年同期実績を上回りました。通販事業の第2の柱候補の商品である「おいしい青汁」は、順調に売上高を拡大しております。
これらの結果、通販事業全体の売上高は81億3千9百万円と前年同期実績に比べ4億1千2百万円(5.3%)増となりました。
損益については、原材料価格の高騰を増収及び価格改定効果で打ち返し、営業利益は前年同期実績に比べ4千万円(8.2%)増益の5億3千万円となりました。
事業子会社
㈱アントステラは、引き続き全国の直営店において量り売りやギフト商品の販売が好調に推移したほか、大手量販店の銘店コーナーへの出店の増加も寄与し、前年同期実績を上回りました。森永市場開発㈱は、行楽シーズンによる国内旅行の好調や訪日外国人の増加を背景に、テーマパークにおける販売が引き続き好調に推移し、前年同期実績を大きく上回りました。
これらの結果、事業子会社全体の売上高は69億6千3百万円と前年同期実績に比べ14億9百万円(25.4%)増となりました。
営業利益は前年同期実績に比べ2億6千万円(75.3%)増益の6億6百万円となりました。
[国内における主な商品の前年同期比 (単位:%)]
※表中の数値は国内販売実績にて算出
米国事業
「HI-CHEW」は、品質価値の1つである“chewy”を訴求する新作TVCMを投入し、更なる認知率の向上及び購買喚起に取り組んだほか、販売店率も順調に拡大し、成長を続けております。ゼリー飲料「Chargel」は、日系スーパーへの導入が進み、試食販売等で飲用体験を創出し購買喚起に取り組んだほか、引き続き米系スーパー及びスポーツ系チャネルへの導入促進に取り組んでおります。また、スポーツイベントでのサンプリング活動をはじめとしたPR活動を強化し、ブランド認知及び商品理解の促進を積極的に進めております。
これらの結果、米国事業全体の売上高は148億3千9百万円と前年同期実績に比べ39億6千1百万円(36.4%)増となりました。
損益については、原材料価格の高騰や戦略的な広告投資等がありましたが、増収及び価格改定効果、前年高騰していた海上運賃の低下により、営業利益は前年同期実績に比べ15億8千1百万円(125.0%)増益の28億4千5百万円となりました。
中国・台湾・輸出等
中国では、「HI-CHEW」の販売が引き続き好調に推移しましたが、日本製品の輸入販売は苦戦しました。台湾では、「HI-CHEW」及び「inゼリー」が好調に推移しました。探索・研究領域である欧州・東アジア・オセアニア地区でも、「HI-CHEW」の売上高を着実に拡大しております。
これらの結果、中国・台湾・輸出等全体の売上高は59億3千万円と前年同期実績に比べ8億6千3百万円(17.0%)増となりました。
営業利益は前年同期実績に比べ1億7千3百万円(34.5%)増益の6億7千5百万円となりました。
以上の結果、<食料品製造>の売上高は1,567億2百万円と前年同期実績に比べ10.9%増となりました。セグメント利益は193億1千3百万円と前年同期実績に比べ59億5千6百万円の増益となりました。
<食料卸売>
売上高は、50億8千4百万円と前年同期実績に比べ10.2%増となりました。セグメント利益は2億8千4百万円と前年同期実績に比べ8千2百万円の増益となりました。
<不動産及びサービス>
売上高は、14億6千万円と前年同期実績に比べ0.8%減となりました。セグメント利益は6億6千3百万円と前年同期実績に比べ3百万円の減益となりました。
<その他>
売上高5億5千万円、セグメント利益1億3千3百万円であります。
当第3四半期連結会計期間末における総資産の残高は2,120億5千9百万円となり、前連結会計年度末に比べ68億3千3百万円増加しております。主な要因は、原材料及び貯蔵品や未収還付法人税等、及び土地が減少した一方で、受取手形及び売掛金や現金及び預金の一部を取り崩し合同運用指定金銭信託とした有価証券、及び有形固定資産のその他に含まれる建設仮勘定が増加したことなどによるものであります。
負債の残高は831億9千2百万円となり、前連結会計年度末に比べ38億2千2百万円増加しております。主な要因は、賞与引当金が減少した一方で、未払法人税等が増加したことなどによるものであります。
純資産の残高は1,288億6千7百万円となり、前連結会計年度末に比べ30億1千1百万円増加しております。主な要因は、配当金の支払や自己株式の取得により減少した一方で、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上やその他有価証券評価差額金、及び為替換算調整勘定が増加したことなどによるものであります。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末より0.6ポイント減少し、60.1%となりました。
(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当第3四半期連結累計期間において、前連結会計年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定について、重要な変更はありません。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費は21億9千1百万円であります。セグメントごとの研究開発費は「食料品製造」が21億6百万円、報告セグメントに含まれない「その他」が8千4百万円であります。
当第3四半期連結累計期間は、「2021中期経営計画」に掲げる、2030年の目指す姿「中長期的な企業価値向上を果たす事業戦略を支える強固な経営基盤の構築」に向けての1stステージとして、「技術を基軸に、未来に向けて新たな顧客価値を創造する」という基本方針のもと、中長期視点での研究開発力の強化と共創により「既存技術の深化」を進めながら、「新規技術の探索」のチャレンジを継続いたしました。