売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E00371 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績の状況

令和6年1月1日に発生した能登半島地震により被災された皆様に謹んでお見舞い申し上げますとともに、被災地の一日も早い復興をお祈り申し上げます。

 

当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴う経済活動の正常化が進み、またインバウンド需要も増加する中、景気は緩やかな回復基調で推移しました。一方で、物価上昇、為替変動、不安定な国際情勢による地政学リスクの影響など、依然として先行き不透明な状況が続いております。

このような状況のもと、当社グループは2023年度、中期3カ年計画「Be Resilient 2023 ~新しい時代をしなやかに生きる~」の最終年度を迎え、財務目標並びに非財務目標の達成と今後の中長期プランを策定する重要な年次となっています。現状、中期3カ年計画の目標数値に対しては計画に沿って順調に進捗しており、確実な目標達成を目指してまいります。

今年度はパーパスである「おいしい!の笑顔をつくる」を追求していくため、活動テーマを「倦まず・弛まず・積極果敢」として、サステナブル経営を目指し、目標達成に向けたイノベーションに取り組んでおります。

三重県津市「中勢北部サイエンスシティ」内に竣工した井村屋株式会社「あのつFACTORY」はグループ全体の成長戦略に向けて順調に稼働を始め、生産性の向上や省エネなど、その効果を発揮しつつあります。また、井村屋フーズ株式会社の調味料事業では、粉末加工商品の拡大に向け、品質面と環境面そして生産性向上の観点から新たな付加価値を創造する新工場スプレードライヤー6号機を9月に竣工し、計画に沿って順調に稼働しております。独自技術を活かした新規商材の提案を行い、市場開拓を進めていきます。海外市場開拓に向けても積極的な提案活動を進め、更なる成長戦略に取り組んでおります。

当第3四半期連結累計期間における当社グループの売上高は、井村屋株式会社の冷菓カテゴリーや点心・デリカテゴリーを中心に各カテゴリーの売上が増加しました。また、井村屋フーズ株式会社におけるOEM商品の受注が順調に推移しました。その結果、連結売上高は、369億92百万円(前年同期比7.5%増)となりました。

損益面では、原材料価格、物流費用が増加する中、価格の改定を行うとともに継続した生産性向上活動によりコスト削減を図ったことで営業利益、経常利益が増加しました。親会社株主に帰属する四半期純利益においては、前期に特別利益として計上した井村屋株式会社「あのつFACTORY」に対する補助金収入4億14百万円が今期は発生していない影響により前年同期から減少しました。

その結果、営業利益は22億28百万円(前年同期比21.3%増)、経常利益は24億54百万円(同16.9%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は16億92百万円(同1.2%減)となりました。

 

各セグメントの概況は次のとおりであります。

 

① 流通事業

流通事業(BtoC事業)の中心となる井村屋株式会社では、冬場の主力となる「肉まん・あんまん」などの点心・デリカテゴリーが好調に推移し、冷菓カテゴリーも売上が増加しました。BtoB事業の井村屋フーズ株式会社では、スパウチ商品の受注が順調に推移しました。

以上の結果、流通事業の売上高は335億48百万円(前年同期比8.5%増)となり、セグメント利益は30億32百万円(同18.6%増)となりました。

 

   流通事業におけるカテゴリー別の概況につきましては以下のとおりです。

 

(菓子カテゴリー)

「片手で食べられる小さなようかん」の売上が伸長し、宇治抹茶を使用した新商品の「片手で食べられる小さなようかん 抹茶」も順調に推移しました。鳥インフルエンザの影響による鶏卵不足から上期に生産調整を行った「カステラ」も10月~12月では売上が増加しました。また、災害時にお役立ちする備蓄用商品「えいようかん」は高い評価をいただいております。

以上の結果、菓子カテゴリーの売上高は51億25百万円(前年同期比0.7%増)となりました。

 

(食品カテゴリー)

「カップおしるこ」「お気に入りしるこ」などホットデザート商品が好調に推移しました。また、新商品の「レンジで煮物 かぼちゃのそぼろ煮」「レンジで煮物 なすのみぞれ煮」も好評をいただいております。冷凍食品では「ゴールドまん」シリーズの売上が増加しました。井村屋フーズ株式会社の食品加工事業では、新型コロナウイルス感染症が5類に移行し、スポーツやイベントの活発化に伴いスパウチ商品の受託加工が順調に推移しました。

以上の結果、食品カテゴリーの売上高は64億25百万円(前年同期比11.7%増)となりました。

 

(デイリーチルドカテゴリー)

「豆腐類」では「硬め豆腐」や「そのまま食べて美味しい豆腐」の売上が伸長し、販売戦略上では、業務用向け商品の販売を強化し、売上が増加しました。

以上の結果、デイリーチルドカテゴリーの売上高は15億2百万円(前年同期比1.3%増)となりました。

 

(冷菓カテゴリー)

発売50周年を迎えた主力商品「あずきバー」シリーズが引き続き好調に推移しました。記念限定商品の「こしあんバー」「あずきバー 復刻版」も好評を得て、第3四半期において過去最高の売上本数2億89百万本を記録しました。米国のIMURAYA USA, INC.やマレーシアのIMURAYA MALAYSIA SDN. BHD.においても現地で「あずきバー」の販売促進活動を積極的に展開し、海外市場での更なる成長戦略に取り組みました。また、新商品の「SHALILI カフェラテアイス」「ショコラケーキアイス」も売上増加に貢献しました。

以上の結果、冷菓カテゴリーの売上高は135億97百万円(前年同期比12.9%増)となりました。

 

(点心・デリカテゴリー)

「肉まん・あんまん」などの点心・デリカテゴリーは、コンビニエンスストアにおける付加価値を高めた新商品やリニューアル商品が好調に推移し、売上が増加しました。

以上の結果、点心・デリカテゴリーの売上高は64億92百万円(前年同期比6.5%増)となりました。

 

(スイーツカテゴリー)

スイーツカテゴリーでは、コロナ禍からの社会経済活動の活性化に伴い客数が順調に回復する中で、「La maison JOUVAUD(ラ・メゾン・ジュヴォー)」各店舗の売上は前年同期を上回りました。催事販売としても11月に株式会社JR東日本クロスステーションが店舗展開する「コレもう食べた?」(JR新橋駅)に期間限定で出店しました。また、「アンナミラーズ」では、前年に「アンナミラーズ高輪店」を閉店した影響により売上は減少しましたが、バーチャルショップをグランドオープンし、12月には「コレもう食べた?」(JR高円寺駅)に期間限定で出店し好評を得ました。お客様に感謝の気持ちをお伝えするとともに様々なブランドの活用を展開しております。

以上の結果、スイーツカテゴリーの売上高は3億14百万円(前年同期比15.7%減)となりましたが、今後のブランド活用に期待がもてる状況となっております。

 

(VISON(ヴィソン)カテゴリー)

VISON(ヴィソン)では、三重県の水と酒米、酵母にこだわった日本酒の製造・販売を行う「福和蔵」と、和菓子を販売する「菓子舗井村屋」の2店舗を三重県多気町の大型商業リゾート施設内にて運営しております。「福和蔵」においては、「福和蔵 純米大吟醸」が、5月に世界的に最も権威のある審査会の一つであるIWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)2023 SAKE(日本酒)部門「純米大吟醸酒」カテゴリーにおいてゴールドメダルを受賞しました。更に9月には「福和蔵 純米吟醸」が全米日本酒歓評会において金賞を受賞し、高い評価をいただくとともに認知度も向上しております。「菓子舗井村屋」においては、「酒々(ささ)まんじゅう 芳醸菓」や季節の味覚を取り入れた限定商品を店舗にて販売しております。11月には初めて松坂屋名古屋店にて催事販売を行い、好評を得ております。

以上の結果、VISON(ヴィソン)カテゴリーの売上高は90百万円(前年同期比2.5%増)となりました。

 

② 調味料事業

国内では井村屋フーズ株式会社のシーズニング事業において、家庭内食向け需要の高まりにより調味料商材が堅調に推移しました。また、9月に竣工した新工場スプレードライヤー6号機は計画に沿って稼働し、生産性の向上が図られています。中国での調味料事業は、ゼロコロナ政策終了後の経済回復の遅れや不動産不況の影響もあり、中国国内の売上が減少しました。

以上の結果、調味料事業の売上高は32億71百万円(前年同期比1.4%減)となり、セグメント利益は5億32百万円(同5.1%減)となりました。

 

③ その他事業

イムラ株式会社においてSDGsの一環として井村屋商品のアウトレット販売を行っている「MOTTAINAI屋」は、引き続き地域のお客様に好評をいただいており、売上も増加しました。また、「ソフトアイスクリーム&スイーツ店WaiWai(ワイワイ)」においては、「アンナミラーズ」「ジュヴォー」のクリスマスケーキを販売し売場の活性化を図りました。

以上の結果、井村屋グループ株式会社の賃貸事業を加えた、その他事業の売上高は1億72百万円(前年同期比5.4%増)となり、セグメント利益は45百万円(同122.6%増)となりました。

 

(2) 財政状態の状況

当第3四半期連結会計期間の財政状態は以下のとおりであります。

総資産は388億円となり、前連結会計年度末に比べ46億93百万円の増加となりました。流動資産は、冬物商品の販売及び月末銀行休業日に伴う売掛金の増加などにより、35億11百万円増の162億47百万円となりました。固定資産は、新しい製造設備の導入に伴う建物及び機械装置の増加や、投資有価証券の評価額の増加などにより、11億81百万円増の225億53百万円となりました。

負債は185億40百万円となり、前連結会計年度末に比べ31億17百万円の増加となりました。流動負債は、未払金や冬物商品の生産に連動した買掛金の増加などにより、29億53百万円増の158億74百万円となりました。固定負債は、長期繰延税金負債の増加などにより、1億63百万円増の26億65百万円となりました。

純資産は利益剰余金の増加などにより、15億75百万円増の202億59百万円となりました。

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

2024年3月期通期の連結業績予想につきましては、「おしるこ」や「ぜんざい」などの冬物商品に加え、冷菓商品が好調に推移しておりますが、不安定な世界情勢を背景に原材料価格や物流コストの上昇が続いており、消費動向も依然として先行き不透明な状況にあることを慎重に考慮し、2023年5月11日付の「2023年3月期決算短信」において公表いたしました業績予想につきましては現時点では変更はありません。

ただし、今後の業績推移等によって通期業績予想の見直しが必要と判断した場合には、速やかに開示いたします。

 

(4) 研究開発活動

当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は3億76百万円であります。

なお、当第3四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。