売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E05283 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績の状況

当第3四半期連結累計期間(2023年4月1日から2023年12月31日まで。以下、「当第3四半期」という。)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス禍からの経済社会活動の正常化が進展し、個人消費を中心に緩やかな回復基調となりました。しかしながら、資源・原材料高によるインフレ抑制のための世界的な金融引き締めや不透明な国際情勢を背景とした海外景気の下振れが、引き続きわが国の景気を下押しするリスクとなっております。

このような中、当社グループはインフレ下での収益確保には生産性の向上が重要な課題であると認識し、ストック型ビジネスに一層注力するとともに、ソフトウェア開発ビジネス等においてもDX推進を支援するコンサル業務やPMO案件といった付加価値の高いビジネスの拡大を推進しております。

また、引き続き積極的な人材投資を行い、継続的な待遇改善を実施して、優秀な人材の安定確保に取り組んでおります。

ソリューションデザイン事業は、大きな成長が見込まれる、車載、DX分野の拡大に注力し、受注拡大と収益性の向上に取り組みました。

フレームワークデザイン事業は、金融分野でのシステム開発ノウハウを、公共、流通/サービス分野のお客様に展開し、業務アプリケーション開発とインフラ(クラウド)構築の業務で受注拡大に取り組みました。

ITサービス事業は、新たなビジネスモデルを創造する企業や、多様な働き方へ対応する企業からのITアウトソーシング需要に対して、各種ツール導入やビジネスプロセス改善に関するPMOサービスの提供に注力しました。

ビジネスソリューション事業は、モノありきのビジネスではなくサービスビジネスに注力し、サブスクリプションビジネスとシステム開発+サポート業務を中心としたストック型ビジネスの更なる強化を図りました。

サブスクリプションビジネスモデルの推進を担うクラウド事業は、自社商材『Canbus.\キャンバスドット』(以下、『Canbus.』)、『Cloudstep』の機能拡張を実施、DX推進をプロジェクトから支援する『DXデザインラボ』の提供を積極的に展開しました。

以上の結果、当第3四半期の連結業績は、売上高57,140百万円(前年同期比5.2%増)となりましたが、ソリューションデザイン事業において発生した不採算プロジェクトの影響を他事業で吸収するには至らず、営業利益7,025百万円(同0.2%増)、経常利益7,095百万円(同1.2%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益4,844百万円(同1.3%減)となりました。

 

セグメント別の業績は、次のとおりであります。なお、各セグメントの売上高にはセグメント間の内部売上高または振替高を含めております。

 

①ソリューションデザイン事業

ソリューションデザイン事業は、「車載」、「社会インフラ」、「ネットビジネス」、「プロダクト」および「DXサービス」の5つのカテゴリーに区分しております。当事業では、開発意欲の旺盛なクライアントの受注活動に取り組んでおりましたが、一部のクライアントで開発プロジェクトが収束しており、新規プロジェクトの立ち上げに注力しております。

このような中、第1四半期から続いた不採算プロジェクトは第2四半期で収束したものの、その影響における機会損失およびリソースが対応に割かれたための営業機会の逸失に加え、要員配属の遅れにより、当事業の売上高は15,748百万円(前年同期比5.1%減)、営業利益は1,670百万円(同39.6%減)となりました。

当事業におきましては、組織力の強化に向けた改善に取り組んでおります。

 

(車載)

車載分野では、自動車産業においてモビリティソフトウェアの重要性が高まっており、車載インフォティメント、統合コックピットシステム、電気自動車向けの開発需要が旺盛で受注が拡大しております。弊社がこれまでモバイル領域で培ったソフトウェア開発の技術力を活かし、国内完成車メーカーやTire1サプライヤーからの需要に応える開発体制を強化しております。新プロジェクトの立ち上げも順調に進んでおり、今後も次世代向けモビリティ開発の受注拡大に注力してまいります。

 

 

(社会インフラ)

通信インフラ、決済インフラ、交通インフラ、電力など、社会のしくみを支え生活を豊かにする社会インフラ分野では、車載分野やプロダクト分野で培った組込みやWebの経験を活かして、電力や宇宙航空関連の引き合いが増えております。今後も電力や宇宙航空関連に注力しつつ、自治体・公共系への展開も推進してまいります。

 

(ネットビジネス)

インターネットサービス、eコマースなど、インターネットビジネスに関わるネットビジネス分野では、インターネットサービスでの5Gを活かした大規模開発プロジェクトが収束し、需要が落ち着いてきております。

一方で、キャッシュレス決済、Fintech領域のサービス需要が高まってきており、引き合いも増加しております。これまで培った、企画から開発・検証、ITコンサルやITサービスまで提供できるトータルソリューションを強みに受注拡大に取り組んでまいります。

 

(プロダクト)

スマートフォン、家電、ロボット、決済端末などの開発に関わるプロダクト分野では、強みである「AI」、「IoT」、「モバイル」をキーワードに多くの引き合いをいただき、受注につながっております。プロダクトの開発・品質検証だけでなく、環境構築やサポートなどプロダクトのライフサイクルをワンストップで支援できることも高く評価いただいているため、今後も、競合他社との差別化を図りながら受注を拡大してまいります。

 

(DXサービス)

DXサービスの分野は、デジタルトランスフォーメーション(DX:ITの浸透により生活やビジネスなどあらゆる面が向上するという概念)の実現に向け需要が増加する中、業務プロセスやデータ活用の最適化、AIや自動化による業務効率化など、柔軟性と拡張性に優れたシステム開発の受注が継続して拡大しております。また、クラウド勤怠管理の『TimeTapps』、関係の質を高めるグループウェア『Palette.Link』など自社サービスの受注も旺盛になっているため、引き続き、自社サービスの開発も積極的に推進してまいります。

 

②フレームワークデザイン事業

当事業は金融分野でのアプリケーション開発実績を基に、公共、流通/サービス、社会インフラなどのお客様に提案範囲を広げ、システム開発案件の受注拡大につなげております。

金融分野では生損保、銀行業の顧客に向けた基幹システム開発業務を行っております。契約管理システム、勘定系システムなどの長期の開発業務に加え、基幹システムのクラウド移行、CX向上に向けた新規サービスの開発など、DX関連の引き合いが増加し、堅調に推移しております。

公共分野では中央省庁関連の案件を中心に新規プロジェクトの受注が進んでおり、システム開発、インフラ構築、運用保守それぞれの業務領域が堅調に推移しております。当期は地方自治体向けの案件受注も進んでおり、対応領域の拡大が進んでおります。

また、法人分野に向けては、ローコード開発ツールを活用した技術支援サービスと、DX化に向けたシステム刷新を目的としたシステム開発提案を推進しております。システム企画段階におけるPoC支援からシステム開発後の運用保守まで、システムのトータルサポートをラボ体制で実現することによって、受注の増加につなげております。

これらの結果、当事業の売上高は5,073百万円(前年同期比13.1%増)、営業利益は1,258百万円(同34.8%増)となりました。

 

③ITサービス事業

システムの運用・保守、ヘルプデスク・ユーザーサポート、PMOなど、ITに関する様々なアウトソーシングサービスを主な業務とする当事業は、新たなビジネスモデルを創造する企業や、多様な働き方へ対応する企業からのITアウトソーシング需要に対して、クラウドソリューション等の各種ツール導入やビジネスプロセス改善に関するPMOサービスの提供に注力しました。

ソフトウエアテストサービス事業においては、ネットビジネス/ゲーム領域顧客の知見を活かし、エンタープライズ領域顧客へ下期から舵を切り出しております。新たな顧客開拓、即戦力人材の調達およびパートナー企業との関係性を強化してまいります。

障がい者活躍については、一人ひとりの個性把握とスキルアップの取組みに注力し、得意を活かせる職域の拡大が進みました。

これらの結果、当事業の売上高は13,614百万円(前年同期比2.9%増)、営業利益は2,172百万円(同14.9%増)となりました。

 

④ビジネスソリューション事業

IIT関連商品の法人向け販売および外資・中堅企業向けを中心としたシステムインテグレーションを主な業務とする当事業は、円安や資源高、物価高など先行き不透明感はあるものの、DXによる生産性の向上やコスト削減、競争力強化に向けた案件が徐々に活性化しております。

具体的には、クラウドマイグレーションの手法の一つであるリフト&シフト案件をはじめ、クラウド関連のシステムインテグレーション事業は数多くの案件を受注することができました。

また、サーバー群のEOL(保守サポート終了)からサーバー本体、ストレージ、ネットワーク製品などハードウェアの販売およびサービス案件の計上も進めることができました。

さらにはRPAやデータ連携ツールを活用した企業のデジタル化に向けたシステム開発、保守運用案件、セキュリティサービスやサポートサービスについても多くの引き合いをいただき、受注を増やすことができました。

これらの結果、当事業の売上高は21,293百万円(前年同期比13.1%増)、営業利益は1,659百万円(同39.8%増)となりました。

 

⑤クラウド事業

企業等に自社サービスやクラウドサービスを提供し、サブスクリプションモデルの推進を担う当事業は、DXを推進する企業から、ノーコードDXプラットフォーム『Canbus.』の引き合いを多く受けました。さらに『Canbus.』によるシステムの刷新だけではなくDXを推進するうえでPMOやBPOなどプロジェクトのコンサルティングから運用をスポットで利用できる『DXデザインラボ』の提供を開始し、『Canbus.』でのシステム化だけではなくDXに向けたトータルソリューションを可能とし多くの引き合いをいただきました。特に生成系AIの引き合いが旺盛で今後も積極的に投資と営業強化を推進しております。しかしながら、PoC案件が多く大型案件の受注までには至らなかったため、今後巻き返しを図ってまいります。

これらの結果、当事業の売上高は1,449百万円(前年同期比7.5%増)、営業利益は256百万円(同1.0%減)となりました。

 

⑥海外事業

米国では巨大テック系以外の企業では依然として厳しい状況が続く中、当社の米国子会社は、一部の製造業でのシステムテスト業務が減少するも、在シリコンバレー日系企業からのスタートアップ企業が持つ要素技術の有効性を確認するPoC開発検証業務の受注が増加傾向であることに加え、別の製造業からのシステム開発・検証業務の新規引き合いも出てきている状況です。

また、米国子会社の出資先である米国ONE Tech社は、独自開発した『MicroAI™』の製造業と通信会社への販売に注力しております。もう一つの出資先である米国StrongKey社は、FIDO認証によるセキュリティ対策サービスやスマートホームの新通信規格「Matter」に対応させたPKIサービス(Public Key Infrastructure、公開鍵暗号基盤)の販売に注力しております。

これらの結果、当事業の売上高は100百万円(前年同期比2.7%減)、営業損失は18百万円(前年同期は営業損失21百万円)となりました。

 

⑦投資育成事業

株式会社GaYaは、PC・スマホ向けゲーム『競馬伝説』シリーズの運営やスマホ・タブレット向けアプリの設計・開発を行っております。当第3四半期はスマホゲーム『競馬伝説PRIDE』においてゲーム内シーズンの切替を行い、併せて新競走馬の投入および育成の奥行を更に拡大する機能をリリースしました。受託ゲーム開発では参画中プロジェクトのPMO支援、全体の工数管理およびリリースへ向けた最終開発に注力しました。また、非ゲーム分野における既存顧客からの受託開発も順調に推移しました。

これらの結果、当事業の売上高は143百万円(前年同期比44.5%減)、営業利益は27百万円(前年同期は営業損失2百万円)となりました。

 

(2)財政状態の状況

(資産)

当第3四半期連結会計期間末における総資産は48,752百万円(前期末は48,879百万円)となり、前期末と比較して126百万円の減少となりました。流動資産は42,327百万円(前期末は42,275百万円)となり、前期末と比較して51百万円の増加となりました。これは主に現金及び預金817百万円の増加、受取手形、売掛金及び契約資産474百万円の減少、商品382百万円の減少によるものであります。固定資産は6,425百万円(前期末は6,603百万円)となり、前期末と比較して178百万円の減少となりました。有形固定資産は1,429百万円(前期末は1,622百万円)となり、前期末と比較して193百万円の減少となりました。無形固定資産は271百万円(前期末は317百万円)となり、前期末と比較して46百万円の減少となりました。投資その他の資産は4,724百万円(前期末は4,663百万円)となり、前期末と比較して60百万円の増加となりました。これは主に投資有価証券273百万円の増加、繰延税金資産333百万円の減少によるものであります。

 

(負債)

負債の合計は12,623百万円(前期末は14,228百万円)となり、前期末と比較して1,605百万円の減少となりました。これは主に未払法人税等812百万円の減少、買掛金763百万円の減少、賞与引当金637百万円の減少によるものであります。

 

(純資産)

純資産は36,128百万円(前期末は34,650百万円)となり、前期末と比較して1,478百万円の増加となりました。これは主に親会社株主に帰属する四半期純利益4,844百万円、剰余金の配当3,501百万円によるものであります。自己資本比率につきましては、前期末と比較して3.2ポイント上昇し73.1%となりました。

 

(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は8百万円であります。

なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。