売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E05320 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

① 経営成績の状況

当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に対する各種制限が解消され、社会・経済活動の正常化が進行したことから、景気は緩やかな回復基調となりました。その一方で、不安定な世界情勢に起因する世界的な資源価格の高騰や円安による物価上昇が続いており、今後の景気の先行きは不透明な状況が続いております。

このような経営環境の中、当社グループは、中期経営計画に基づき、特に今後の成長性が期待されるブロックチェーン領域に経営資源を迅速に投下し、当社が掲げる「ブロックチェーン技術の社会実装を推進し、その普及に貢献する」というミッションの実現を目指し、現在のサービス及び収益基盤を維持しつつ、事業横断的なクライアントやパートナーとの連携を深め、新たなパイプラインや協業体制を開拓しております。

また、2023年はブロックチェーンゲームやGameFiが広く普及した年であり、当社グループにおいてはお客様の法務、会計、規制面をサポートするトークノミクスの活用にも注力しております。その結果、複数のゲーム会社と協業したGameFiプロジェクトによる収益化が始まり、今後の更なる成長が見込まれます。さらに、当社子会社であるチューリンガム株式会社及び株式会社Zaifによる垂直統合型Web3.0のバリューチェーン展開を推進しており、当社グループの強みであるトークン設計・発行を中心に収益事業の拡大を目指してまいります。

以上の結果、当第1四半期連結累計期間の業績は、売上高41百万円(前年同四半期比133百万円のマイナス)、EBITDA△548百万円(前年同四半期はEBITDA△43百万円)、営業損失595百万円(前年同四半期は営業損失126百万円)、経常損失654百万円(前年同四半期は経常損失124百万円)、親会社株主に帰属する四半期純損失650百万円(前年同四半期は親会社株主に帰属する四半期純損失148百万円)となりました。

(※)EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却費

 

セグメント別の概況は以下のとおりであります。

当社のセグメント別の製品・サービス分類は次のとおりです。

セグメント

製品・サービス

ブロックチェーンサービス事業

・先端IT技術を適用するシステムの受託開発

・先端IT技術の社会実装を目的とする受託研究

・ブロックチェーン技術の基礎研究及びこれらに関する製品の製造及び販売並びに役務の提供

・暗号資産交換業

システムエンジニアリング事業

・高度IT技術者の育成、並びに紹介及び派遣事業

・SES事業及びシステムの受託開発事業

インキュベーション事業

・経営及び各種コンサルティング事業

・投融資業

 

 

[ブロックチェーンサービス事業]

チューリンガム株式会社においては、ブロックチェーン技術や暗号理論を用いたR&Dをベースとしながら、ブロックチェーン開発支援や受託開発、トークンエコノミクスと言われる暗号資産をどのようにサービスやプロジェクトの中で利活用するのかというトークンのデザインやマーケットへの供給を行う際に誰にどのように分配を行っていくかといった暗号資産開発に関わる包括的なサービスを提供しています。

当第1四半期連結累計期間においては、前四半期から引き続き、株式会社ドリコムと『Wizardry(ウィザードリィ)』 IPを用いたブロックチェーンゲームにおける共同事業及び株式会社GALLUSYSとのスマホカメラを活用した全く新しいSnap to Earnサービス「SNPIT」のトークノミクス設計支援を進めております。双方のプロジェクトにおいてINO(Initial NFT Offering)と呼ばれるNFTの初期販売を実施いたしました。その結果として、NFT市場が冷え込んでいる中、両プロジェクトともNFTの事前販売は盛況であり、その一部が当第1四半期連結累計期間の売上高に寄与しました。

また、今後の市場の上昇局面を見据え、今後の暗号資産プロジェクトにつながるコンサルティング事業やWeb3アプリケーション開発事業の発掘に力を入れております。そのため営業体制を刷新し、Web3に新規参入する企業を中心に事業拡大を進めております。

株式会社Zaifにおいては、暗号資産交換業者として顧客へ暗号資産の売買に係るサービスを提供しております。2023年11月(みなし取得日は2023年9月30日)からクシムグループの一員となり、新経営体制においては『赤字体質からの脱却』を目標と据えて、預り残高を活用した安定収益源の創出、コスト最適化、新規暗号資産の上場の3つの施策を中心に事業を推進している最中であります。

預り残高を活用した安定収益源の創出につきましては、長期保有を志向するユーザーを多く抱えていることから、ユーザー志向に合致するステーキングサービスを開始することといたしました。具体的には、イーサリアムネットワークのProof of Stakeというコンセンサスアルゴリズムを活用したステーキングサービスであります。本サービスは、今春リリースを予定しており、サービス提供以降の収益化が見込まれます。本サービスの詳細については、インターネット上の当社ウェブサイト(https://www.kushim.co.jp/ir_news/)に掲載の2024年2月21日付プレスリリースをご覧下さい。

コスト最適化につきましては、まず今期の開発計画を大幅に見直し、収益面もしくは費用面において高い確率で効果が期待できる施策、及び法令やルールに準拠するための施策に絞り、あわせてインフラ費用の見直しも併せて進めた結果、前事業年度比月額10百万円以上のコスト削減を果たしております。

新規暗号資産の上場につきましては、グループ会社であるチューリンガム及び暗号資産の発行体との連携により、有望な暗号資産の新規上場に取り組み収益の強化を目指してまいります。直近においては、Skeb Coinが2024年年初に上場の認可が下り、同年5月下旬に上場することとなりました。本上場の詳細については、インターネット上の当社ウェブサイト(https://www.kushim.co.jp/ir_news/)に掲載の2024年3月5日付プレスリリースをご覧下さい。

以上の結果、当第1四半期連結累計期間のブロックチェーンサービス事業全体における売上高は99百万円(前年同四半期比73百万円のプラス)、EBITDAは△277百万円(前年同四半期はEBITDA△9百万円)、セグメント損失は310百万円(前年同四半期はセグメント損失79百万円)となりました。

なお、ブロックチェーンサービス事業に関するのれん償却額32百万円は当セグメント損失に含めております。

 

[システムエンジニアリング事業]

株式会社クシムソフトにおいては、SES事業及びシステムの受託開発事業を担っております。

SES事業につきましては、ニーズの高いオープン系を中心としたIT技術者の採用と育成により、顧客システム開発の支援、エンジニア派遣事業を拡充しております。当第1四半期においては、参画中のプロジェクトでは継続した取引が続いたものの、Asteria warp案件に向けた新たな中途採用社員の教育期間と重なり、稼働率が一時的に低下いたしました。なお、教育期間は短く実施されたこともあり、2023年12月には稼働率が回復傾向となりました。

受託開発事業につきましては、引き続き開発納品後の運用保守案件を中心に、SES事業の顧客からの開発案件、システムのバージョンアップ対応、さらには請負契約でのAsteria warp案件等、営業活動の幅を広げて案件レコードを積み重ねております。また、当第1四半期連結累計期間において請け負っているすべての案件において滞りなく納品が完了しております。

今後は、Asteria warp案件の拡大を目指すことにより、従来の受託開発事業の領域からDX支援の領域にリソースを集中させ、本案件での実績を積み重ねることによって専門性の高いDX人材を育成し、SES事業においては当該人材による付加価値の高いエンジニアリングサービスを提供することで両事業の売上高及び利益向上へ寄与するよう努めてまいります。

以上の結果、当第1四半期連結累計期間のシステムエンジニアリング事業全体における売上高は128百万円(前年同四半期比21百万円のマイナス)、EBITDA3百万円(前年同四半期比20百万円のマイナス)、セグメント損失10百万円(前年同四半期はセグメント利益9百万円)となりました。

なお、システムエンジニアリング事業に関するのれん償却額13百万円は当セグメント損失に含めております。

 

[インキュベーション事業]

暗号資産運用につきましては、グループ全体で複数の暗号資産への投資を実行した結果、18百万円超の収益獲得に至りました。一方、市場における暗号資産のボラティリティの影響を受けた結果、保有する暗号資産の評価損として206百万円を計上するに至りました。暗号資産市場はマクロ経済全体の影響を受ける可能性があり、今後もその影響を注視して運用をしてまいります。なお、既に公表の通り当社グループで保有する暗号資産のうち2024年5月に国内上場を予定している銘柄がございますが、暗号資産市場動向を踏まえ上場後の価値が最大化し、収益回復に貢献できるようにマーケティング活動に注力して参ります。

広告事業収益につきましては、当社で運用している情報メディアサイトである「KUSHIM HACK」において、ブロックチェーン、暗号資産、Web3.0及びNFT等にフォーカスした情報発信をしており、本メディアサイトにおける広告事業収益は2百万円となりました。本メディアサイトにおける協業依頼等も増えていることから、引き続き当社グループの事業関連性の高い情報発信を行って参ります。

M&A及び資本提携による事業投資につきましては、引き続き、Web3分野でのシナジーを追求した案件選定もすることで、より間口を広げたM&A戦略を推進してまいります。

以上の結果、暗号資産売却益18百万円、同評価損206百万円及びメディアサイト広告事業収益2百万円等を合算した結果、当第1四半期連結累計期間のインキュベーション事業全体における売上高は△186百万円(前年同四半期は売上高△0百万円)、EBITDAは△203百万円(前年同四半期はEBITDA△0百万円)、セグメント損失は203百万円(前年同四半期はセグメント損失0百万円)となりました。

 

② 財政状態の分析

資産、負債及び純資産の状況
(資産の部)

当第1四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べて15,223百万円増加し76,884百万円となりました。

流動資産の残高は前連結会計年度末に比べて15,000百万円増加し74,562百万円となりました。これは主に現金及び預金が219百万円増加、預託金が749百万円増加、利用者暗号資産が14,291百万円増加、売掛金及び契約資産が151百万円減少、自己保有暗号資産が176百万円減少したことによるものであります。

固定資産の残高は前連結会計年度末に比べて223百万円増加し2,322百万円となりました。これは主に投資有価証券が276百万円増加、のれんが45百万円減少したことによるものであります。

(負債の部)

当第1四半期連結会計期間末における負債は、前連結会計年度末に比べて15,428百万円増加し73,059百万円となりました。

流動負債の残高は前連結会計年度末に比べて14,971百万円増加し71,369百万円となりました。これは主に預り暗号資産が14,291百万円増加、預り金が864百万円増加、1年内償還予定の社債が100百万円減少、その他が64百万円減少したことによるものであります。

固定負債の残高は前連結会計年度末に比べて457百万円増加し1,690百万円となりました。これは主に長期借入金が918百万円増加、社債が452百万円減少したことによるものであります。

(純資産の部)

当第1四半期連結会計期間末における純資産は前連結会計年度末に比べて205百万円減少し3,825百万円となりました。これは主に資本金が235百万円増加、資本剰余金が235百万円増加、利益剰余金が650百万円減少したことによるものであります。

 

(2)経営方針・経営戦略等

セグメント間の比較可能性の確保及び実態収益を把握する観点から、経営上の目標の達成状況を判断する指標としてEBITDAを設定しております。なお、EBITDAは営業利益に減価償却費及びのれん償却額を加算して算出しております。

 

(3)事業上及び財務上の対処すべき課題

当第1四半期連結累計期間において、当社グループの対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

(4)研究開発活動

該当事項はありません。