売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E05447 IFRS


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

①財政状態

当第3四半期連結会計期間末における資産合計は441,719百万円となり、前連結会計年度末に比べ39,821百万円の増加となりました。これは主に現金及び現金同等物、営業債権及びその他の債権、使用権資産、のれんが増加したこと等によるものであります。

負債につきましては、負債合計が345,787百万円となり、前連結会計年度末に比べ23,050百万円の増加となりました。これは主にその他の流動負債が減少した一方、営業債務及びその他の債務、社債及び借入金、リース負債が増加したこと等によるものであります。

また、当社が金融機関と締結しているシンジケートローン契約の一部には四半期報告書の提出期限に係る条項が付されており、2023年12月期第2四半期報告書の提出期限延長により、当該条項に抵触いたしました。このため、当第3四半期連結会計期間末において、関連する5,033百万円の借入金の分類を非流動負債から流動負債へ変更しております。なお、当第3四半期連結会計期間末における各財務制限条項への抵触の事実はありません。

資本につきましては、資本合計が95,933百万円となり、前連結会計年度末に比べ16,772百万円の増加となりましたが、これは主に配当の支払により減少した一方、四半期利益の計上及び為替の影響等により増加したものであります。

 

 

②経営成績

当第3四半期連結累計期間(2023年1月~9月)における事業環境は、インフレ率は昨年後半をピークに緩やかな落ち着きを見せたものの、コロナ禍以前の水準に比べ依然として高く、また、ウクライナ情勢の長期化による地政学的緊張や、世界的な原燃料費の高騰など、国際情勢に重大な影響を及ぼす事象の発生が続き、経済活動の重しとなる状況でありました。

国内においては、原燃料高や、半導体製造装置等の輸出規制、在庫調整局面等により電気機器関連は、期初に想定していた本格的な生産活動まで回復に至らないなどの逆風となりました。一方、新型コロナウイルスの新規感染者減少に伴う個人消費の持ち直しや水際対策緩和など政策的な追い風が見られ、また、主要顧客である大手輸送用機器メーカーにおいては半導体等の部材不足の影響が緩和し、生産活動は回復基調にあります。また、労働市場が逼迫するなか、ITに限らず幅広い業種においてエンジニアの活用ニーズはいまだ活況であります。

このような国内の事業環境に対して、当社グループは、かねてより業績平準化による成長基盤の強化を推進してまいりました。製造系分野においては、長く重石となっていた半導体等の部材不足の影響が緩和し、生産活動は回復基調となりました。外国人技能実習生等の管理受託分野においては、適切な管理実績が顧客に高く評価され、9月末の管理人数は21,038名と国内首位を維持することに加えて、実習生が借金を背負って出国する債務労働問題の解消に向けた外国人労働市場全体の健全化にも取り組んでおります。

技術系分野においては、高止まりするエンジニアニーズに対して、当社グループの教育機関であるKENスクールを活用し、機械設計のみならず、ITや建設、医薬分野に至るまで、多岐にわたって未経験者を教育して配属するスキームにより、採用単価の上昇を抑えながら増員して業績を伸長させました。加えて、新卒採用人数も国内首位を争う規模となり、4月には約1,800名(連結では約2,300名)の新卒者が入社しております。これは採用力のみならず、未経験者の配属先を開拓する営業力と新人教育力、さらには派遣先との信頼関係の賜と考えます。このほか、マクロ環境の影響を受けやすい製造分野とは異なり、景気変動の影響を受けにくい事業分野も拡大を図っております。米軍施設向け事業では、建物や設備の改修・保全への需要は引き続き堅調でありましたが、調達リードタイム長期化及び資材高騰により足もとの成長は足踏みする結果になりました。

一方、海外においては、経済成長が低迷し金融リスクが高まるなかでインフレは高止まりしており、不確実性が依然として高い状況でありました。

このような海外の事業環境に対して、当社グループは、海外においても従前より業績平準化による成長基盤の強靭化を力強く推し進めてまいりました。景気変動の影響を受けにくい政府事業等の公共系アウトソーシング事業等を拡充することに加えて、根強い需要がある技術系分野を展開するほか、人材不足の国に対して人材の余剰感のある国から人材を流動化するスキームをグローバル規模で展開しております。事業ポートフォリオ及び地域ポートフォリオ分散の取組が功を奏し、技術系のみならず製造系及びサービス系も増収となりました。

以上の結果、当第3四半期連結累計期間の連結売上収益は551,721百万円(前年同期比9.8%増、第3四半期として売上収益の過去最高を更新)、営業利益は15,842百万円(前年同期比5.9%減)、税引前四半期利益は14,525百万円(前年同期比13.4%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は6,989百万円(前年同期比4.2%増)となりました。事業活動としましては、グループ再編コストや南米における係争費用などの一過性費用、のれん等の減損損失を除くと営業利益は前年同期比3.4%減となり、概ね堅調であったと評価しております。

なお、当社グループは、成長の持続可能性を重視しております。SDGs経営に向けたサステナビリティ方針として、当社グループでは、事業を通して世界の様々な人々の「就業機会」と「教育機会」の創造を実現し、社会課題の解決と事業の成長、ステークホルダーへの貢献に持続的に取り組み、事業活動が広く社会に還元される仕組みを追求してまいります。

 

セグメントの業績は次のとおりであります。

(国内技術系アウトソーシング事業)

国内技術系アウトソーシング事業におきましては、コロナ禍の影響は限定的であり、旺盛なエンジニアニーズを背景に前年同期比で二桁の増収となりました。一方の利益面では、外勤社員の稼働率低下及び固定資産の減損損失が162百万円生じたことなどにより減益となりました。引き続きKENスクールを活用した未経験者を教育して配属するスキームにより採用により減益となりました。引き続きKENスクールを活用した未経験者を教育して配属するスキームにより採用単価の抑制を図ってまいります。各産業で採用活動が復活して採用競争が激化するなかにあっても採用計画人数を確保し、期末外勤社員数は、前年同期末(2022年9月末)比1,575名増の26,237名と、後発ながら業界トップクラスとなっております。製造業の景気変動の影響を受けにくくするための重点分野として位置付けているIT分野や建設、医薬分野も引き続き拡大しました。

以上の結果、売上収益は119,818百万円(前年同期比10.5%増)、営業利益は7,200百万円(前年同期比8.9%減)となりました。

 

(国内製造系アウトソーシング事業)

国内製造系アウトソーシング事業におきましては、自動車業界の生産回復を背景に、前年同期比で増収となりました。利益面ではグループ再編コストや半導体の在庫調整局面等を起因とした需要鈍化によるのれんの減損損失が1,366百万円生じたことなどにより減益となりました。期末外勤社員数は前年同期末比1,765名減の25,066名であります。管理業務受託におきましては、顧客メーカーの外国人技能実習生活用ニーズは引き続き堅調であり、適切な管理実績を引き続き高く評価され、国内首位の事業者として9月末の管理人数は21,038名となりました。

以上の結果、売上収益は92,415百万円(前年同期比3.5%増)、営業利益は3,946百万円(前年同期比5.2%減)となりました。

(国内サービス系アウトソーシング事業)

国内サービス系アウトソーシング事業におきましては、製造系とは異なり景気変動の影響を受けにくい米軍施設向け事業が主力事業であります。米軍施設の建物や設備の改修・保全業務の需要は堅調であるものの、輸入建設資材の船便遅延といった調達リードタイム長期化が継続し、加えて建設資材や海上輸送費の高騰の影響により費用が増加したことにより、増収減益となりました。しかしながら米軍施設向け事業においては受注残高を積み増しており、中長期での事業収益力は損なわれていないと考えます。

以上の結果、売上収益は24,370百万円(前年同期比6.4%増)、営業利益は2,039百万円(前年同期比16.0%減)となりました。

 

(海外技術系事業)

海外技術系事業におきましては、前年同期比で増収減益となりました。英国では利益率の高い公的債権回収事業が回復傾向を継続し、回収効率が向上した一方で、アイルランドではグローバルIT大手のレイオフ等の先行き不透明感が人材紹介事業に一部影響を及ぼしました。インフレが高止まりして費用増となりましたが、派遣事業が安定的に手堅く推移しました。

以上の結果、売上収益は129,595百万円(前年同期比7.5%増)、営業利益は5,996百万円(前年同期比0.3%減)となりました。

 

(海外製造系及びサービス系事業)

海外製造系及びサービス系事業におきましては、オランダの大手スーパーを中心としたインターネットショッピング関連事業だけでなく物流系への注力や派遣単価引上げ、また、ドイツにおける航空業界向けの旺盛な需要を背景に二桁増収となりました。

一方、利益面では、米国における景気後退懸念による設備投資の抑制を背景としたのれんの減損損失648百万円が生じたほか、海外技術系と同様にインフレが高止まりしたことによる費用増となりましたが、前年同期比では変異株急拡大に伴う対策費用などの一過性要因の剥落もあり、大幅な増益となりました。

以上の結果、売上収益は185,477百万円(前年同期比15.0%増)、営業利益は5,019百万円(前年同期比35.9%増)となりました。

 

(その他の事業)

その他の事業におきましては、特例子会社での障がい者による事務のシェアードサービス事業及び手話教室事業等が、計画どおりに推移しました。

以上の結果、売上収益は46百万円(前年同期比3.0%減)、営業利益は181百万円(前年同期比28.7%減)となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当第3四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ6,860百万円増加し、60,184百万円となりました。

当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況及びこれらの要因は以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当第3四半期連結累計期間における営業活動による資金の増加は12,621百万円となりました。これは、税引前四半期利益14,525百万円、減価償却費及び償却費14,738百万円、営業債権及びその他の債権の増加5,010百万円、営業債務及びその他の債務の増加6,454百万円、未払消費税等の減少4,420百万円、法人所得税等の支払額7,795百万円等を反映したものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当第3四半期連結累計期間における投資活動による資金の減少は3,593百万円となりました。これは、事業の取得に伴う支出626百万円、敷金及び保証金の差入による支出607百万円等を反映したものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当第3四半期連結累計期間における財務活動による資金の減少は5,735百万円となりました。これは、短期借入金の増加16,360百万円、長期借入による収入13,784百万円、長期借入金の返済による支出24,113百万円、リース負債の返済による支出7,677百万円、配当金の支払額3,148百万円等を反映したものであります。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第3四半期連結累計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 

(4)研究開発活動

該当事項はありません。