売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E03349 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概況

 当第1四半期連結累計期間(2024年3月1日~2024年5月31日)における国内経済は、社会経済活動の正常化や雇用・所得環境の改善、訪日観光客の増加などを背景に、緩やかな回復基調で推移しました。一方で、地政学リスクの高まり、円安の継続による原材料価格の高騰や、継続的な物価の上昇による消費の減速懸念など、依然として先行き不透明な状況が続いております。当社が経営基盤としている九州におきましては、インバウンド需要の増加に加え、半導体関連産業を中心とした設備投資の活発化による地域経済への波及効果が生じつつありますが、物価高に伴う消費者の生活防衛意識の高まりなと、当社を含む九州のスーパーマーケットを取り巻く経営環境は前年同期時に比べて成長は鈍化しており、厳しさを増しております。

 このような状況のもと、当社は、新たに策定した中期経営計画において「成長領域へのシフト」「商品改革」「既存資産の魅力度向上」「生産性・経営効率の向上」「サステナブル経営の推進」を重点取り組みとして掲げており、これらを通じて経営環境の変化に対応し、企業価値の向上に努めております。

 店舗面では、今後の成長に向けて新たに3店舗を出店しました。このうち、3月にオープンした「イオン湯布院店(大分県由布市)」は、昨年閉店したマックスバリュ湯布院店のスクラップ&ビルドによる出店で、地元湯布院と共生するコンパクトなショッピングセンターとして、地元にこだわった食料品売場に加えて、毎日の心地よいライフスタイルをサポートする衣料品や住居余暇売場を展開したほか、免税カウンターを導入し、インバウンド需要を取り込みに努めました。また、都市部におけるマーケットシェア拡大を目指した店舗展開として、4月に「マックスバリュエクスプレス千代店(福岡県福岡市博多区)」をオープンしました。一方で、今後の成長に向けた業態転換のため1店舗を閉鎖したことで、当第1四半期連結累計期間末における店舗数は340店舗となりました。

 なお、直近の取り組みとして、福岡市東区に新たな商業施設「Kashii iina Terrace(かしい いーな てらす)」、大分県日田市に「イオンタウン日田ショッピングセンター」を6月にオープンしています。

 売上高におきましては、店舗数の増加に加えて、売上構成比の高い食料品の売上が堅調に推移したことで前年同期比102.5%となりました。商品別の動向では、春先の気温が低かったことで季節性の高いアパレル商材を中心に売上が伸び悩んだこと、昨年の行動制限緩和に伴う外出・旅行需要、スクール水着需要の反動影響などもあり、衣料品の売上は前年を下回りました。一方で、食料品については、「しあわせプラス(応援価格)」をはじめとする生活応援施策の品目数拡大やお取引先さまと連携したオリジナル商品の展開、「トップバリュベストプライス」の展開強化など、値ごろ感を重視した訴求を強化したことで、既存店の食料品売上は前年同期比102.8%となりました。また、販売促進面では、イオングループの公式トータルアプリ「iAEON」の新規会員獲得、アプリクーポン企画などの販促施策強化により需要喚起に努めました。これらの取り組みにより、既存店の売上高は、前年同期比101.5%と伸長しました。

 営業総利益におきましては、期間を通して営業収益は堅調に推移しましたが、荒利益率の低下により、営業総利益は前年同期比101.6%となりました。第2四半期以降、価格対応やセールスを強化するなど需要喚起に努め、引き続き環境変化への対応を進めてまいります。

 販売費及び一般管理費におきましては、今後さらに不足すると予見される労働人口を補うため生産性向上につながるセルフレジや電子棚札などのDX関連先行投資を積極的に実行し導入店舗を拡大いたしました。当四半期末における電子棚札の導入店舗数は、前期末時点に比べ84店舗増加し、計217店舗となりました。また、新規出店や既存店の活性化を計画的に進めたほか、当社の人的資本経営の方針に基づき、物価上昇へ対応し従業員満足の向上にも繋げるべく賃上げを実施いたしました。一方で省エネ機器の導入などにより既存店の水道光熱費は前年同期比89.3%となりました。これらに加え、前年第2四半期以降に本格的出店を開始したイオンウエルシア九州株式会社の経費増加により、販売費及び一般管理費は前年同期比105.3%となりました。

 以上の結果、当第1四半期連結累計期間の経営成績は、売上高にその他の営業収入を加えた営業収益1,263億28百万円(対前年同四半期増減率2.4%)、営業利益7億1百万円(同△63.9%)、経常利益8億75百万円(同△59.3%)、親会社株主に帰属する四半期純利益5億35百万円(同△69.5%)となりました。

 

 当四半期における主な取り組みは以下のとおりです。

 

(今後の成長に向けた取り組み)

 新規出店としては、「イオン湯布院店」、「マックスバリュエクスプレス千代店」に加えて、イオン若松ショッピングセンター内にペット専門店「ペットワイド若松店(福岡県北九州市若松区)」をオープンしました。

 都市部におけるマーケットシェア拡大を目指し、福岡市内へ「近くて便利な、コンパクトスーパーマーケット」をコンセプトとした「マックスバリュエクスプレス」の展開を進めており、2021年度以降の福岡市内における出店数は計8店舗となりました。カット野菜や冷凍食品、出来立て惣菜などの即食・簡便商材や小容量サイズの品揃えを充実し、小型店舗独自の商品開発を進めるなどの取り組みにより、既存店の売上は前年同期比105.5%と好調に推移しました。

 イオンウエルシア九州株式会社では、調剤併設型ドラッグストアと生鮮食品・お弁当・お惣菜まで揃えたスーパーマーケットを融合した新業態「ウエルシアプラス」を2023年度に5店舗出店いたしました。オープン以降、処方せん枚数が着実に増加しており、1年が経過した「ウエルシアプラス大野城若草店(福岡県大野城市)」の5月度売上は前年同期比119.4%と伸長しました。当四半期においては、今後の高速出店に向けた店舗オペレーションの確立と資格取得者の確保、ビューティアドバイザーをはじめとする専門スタッフの育成に取り組んでいます。

 新たな顧客接点の創出の取り組みとして、「イオンの移動販売」では、4月に「イオン島原店(長崎県島原市)」で新たに取り組みを開始し、当該サービス実施店舗数は当四半期末時点で計4店舗となったほか、当社のオフィス向けキャッシュレス無人店舗「スマートNICO」については、各企業の事業所のほか大学や医療介護施設にも拡大し、当四半期末時点で計29か所になりました。また、「Uber Eats」「Wolt」を利用した商品配達サービスを当四半期において7店舗に導入し、計111店舗まで拡大しています。

 「決済」「ポイント」「クーポン」「お得な情報」が一つのアプリで完結できるイオングループの公式トータルアプリ「iAEON」の新規会員獲得とアプリクーポンを活用した販促施策の強化に取り組んでおり、当社店舗をお気に入り店舗に登録いただいた会員数は当四半期末時点で62.8万人となりました。

 

(収益力向上の取り組み)

 店舗面では、既存施設の資産価値を高める取り組みとして、4月に「イオンモール香椎浜(福岡県福岡市東区)」をリニューアルいたしました。2024年度において3回に分けて実施するショッピングセンター全体の大規模リニューアル計画の第1期として、地域のお客さまがより快適に、居心地よく過ごしていただける空間を提供するべく、直営売場や専門店の配置を見直し、新たな商品・売場・専門店の導入を進めました。

 商品面では、トラベル関連商品や化粧品、毎日の健康をサポートするウェルネスフード、オーガニック&ナチュラル、総菜や冷凍食品等の品揃えを拡充しました。また、月替わりで実施している「素材にこだわった逸品」企画では、九州の生産者、お取引先さまと連携し地産地消・地産域消の取り組みを推進しました。また、環境とからだに優しい商品を集めた当社独自の新たなショップ「b!olala(ビオララ)」の展開を進めており、当四半期末時点における導入店舗数は、「イオンモール香椎浜」を含めて計3店舗となりました。一方で、様々な商品の値上げが続く中で、生活応援施策「しあわせプラス(応援価格)」の取り組みを強化し、オリジナル商品の品揃えを拡大するなど、引き続き企業努力により食品や日用品等の価格維持に努めました。

 経費面では、新規出店や既存店の活性化、DX投資など今後の成長に向けた投資を推進する一方で、セルフレジや電子棚札の導入店舗拡大、店舗オペレーション効率改善のための什器導入、販促施策のデジタルシフトなどに継続して取り組み、生産性の向上に努めました。

 

(地域貢献・持続可能な社会の実現に向けた取り組み)

 お買い物を通してできる社会貢献として4月に実施した「環境特別WAONボーナスポイント」の取り組みでは、対象の環境配慮型商品の販売実績に基づき、4,954,135円を宮崎県綾町に寄附する予定です。また、6月実施分に関しましては、令和6年能登半島地震で被害を受けられた「白米千枚田」の復興支援活動にお役立ていただくため、石川県輪島市への寄附を予定しております。なお、2023年度は当該企画を年4回実施し、年間寄附金総額は18,028,105円となっております。

 4月に発生した「台湾地震」の被災地域の一日も早い復旧と復興を願い、イオングループ各社とともに緊急支援募金を実施いたしました。4月30日までの募金期間に皆さまからいただいた寄附金17,862,523円(※当社及びイオンウエルシア九州株式会社における募金総額は11,530,953円)は、6月に当社店舗で実施した台湾フェアにあわせて、台南市長に贈呈いたしました。

 お客さまご自身が環境や社会に配慮した取り組みに参加し、体感いただける機会として、古くなった羽毛ふとんを店頭で回収し、洗浄・再商品化し再販売をするリサイクルループの取り組みを、当社GMS52店舗で3月より開始しました。

 地域課題の解決に向けて労使共同でボランティア活動を行う「イオン ハートフル・ボランティア」の一環として実施した宮崎県日向市東郷地区のカモミール収穫支援活動に、新入社員など当社従業員60名が参加しました。この取り組みは、高齢化による人手不足の支援と東郷町のまちおこしであるカモミールの普及を目的に実施しているもので、今年で3年目となりました。今後も地域の皆さまと連携し、地域の課題解決に向けた活動を推進してまいります。

 

② 財政状態の状況

(資産)

 当第1四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ45億21百万円増加し、1,760億36百万円となりました。

 流動資産は、前連結会計年度末に比べ28億44百万円増加し、525億96百万円となりました。これは主に棚卸資産が10億70百万円増加したことによるものです。

 固定資産は、前連結会計年度末に比べ16億77百万円増加し、1,234億39百万円となりました。これは主に有形固定資産が18億55百万円増加したことによるものです。

 

(負債)

 当第1四半期連結会計期間末における負債は、前連結会計年度末に比べ51億88百万円増加し、1,264億14百万円となりました。

 流動負債は、前連結会計年度末に比べ119億89百万円増加し、963億34百万円となりました。これは主に未払法人税等が11億32百万円減少したものの、買掛金が30億52百万円、短期借入金が59億83百万円増加し、さらに1年内返済予定の長期借入金が返済期日到来に伴い、長期借入金より振り替えられたこと等により47億円増加したことによるものです。

 固定負債は、前連結会計年度末に比べ68億1百万円減少し、300億80百万円となりました。これは主に長期借入金が返済期日到来に伴い、1年内返済予定の長期借入金へ振り替えられたこと等により67億47百万円減少したことによるものです。

 

(純資産)

 当第1四半期連結会計期間末における純資産は、前連結会計年度末に比べ6億66百万円減少し、496億21百万円となりました。これは主に利益剰余金が7億15百万円減少したことによるものです。

 

(2)資本の財源及び資金の流動性

 当第1四半期連結会計期間における資金需要は、運転資金(その主なものは商品の仕入、広告宣伝費、人件費及び設備関連費用等)及び資本的支出であり、その資金源泉は営業活動によって得られた資金と借入金により賄いました。

 

(3)事業上及び財務上の対処すべき課題

 当第1四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

(4)研究開発活動

 該当事項はありません。