フェスタリアホールディングス株式会社

ブランドなど:bijou SOPHIA
小売業宝飾品スタンダード

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E03392 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 業績の状況

当第3四半期連結累計期間(2023年9月1日~2024年5月31日)におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかながら回復基調で推移しております。しかしながら、原材料・エネルギー価格の高騰、金融資本市場の変動等の影響に加え、世界的な金融引締め等が続く中、地政学的緊張の長期化、中国経済の停滞等、海外景気の下振れによる景気の下押しリスクが懸念されるなど、依然として先行き不透明な状況が続いております。

当社グループが属する宝飾業界は、インバウンド需要の回復、賃上げや株高を背景に高額品が堅調であった一方で、消費の二極化や物価上昇に伴う節約志向の高まりに加え、原材料費の高騰や人材不足等への対応により全般的にコスト負担が増加傾向となるなど、総じて厳しい事業環境となりました。

このような環境のもと、当社グループは、引き続き「強みの進化」と「ビジネスモデルの再構築」を中期の基本方針に掲げ、人的資本経営の実践を基軸に当社の強みを進化させることで付加価値の高い商品やサービスを継続的に創出し、持続的な成長を可能とする経営基盤の確立を目指しております。

主な取り組みとして、労働人口の減少に伴う人材獲得競争の激化や人材流動性の加速を受け、採用活動の強化や既存社員の待遇改善等、将来的な成長に向けた積極的な人財投資の推進に努めました。また、進行する消費の二極化を踏まえ、低価格帯及び高価格帯を中心に商品ラインナップの充実を図るとともに、ブランドや業態特性に応じたMD(Merchandising)やVMD(Visual Merchandising)の見直し・仕組み化を進めました。低価格帯商品の拡充においては、地金価格の高騰や競争環境の激化を踏まえ、新素材商品の開発・投入を進め、差別化を打ち出す取り組みに注力しました。高価格帯商品への対応においては、主力商品である“Wish upon a star”のプレステージラインを中心に品揃えを強化したことに加え、富裕層をターゲットとしたプロモーションイベントやポップアップストアの開催、百貨店外商やプライベートバンクとの連携など、新たな客層へのアプローチを図りました。

成長投資の一環であるDX(Digital Transformation)推進については、攻めのDXとして主にブライダルジュエリーを中心にジュエリーの3Dデジタルカスタマイズシステムを本格展開したほか、OMO(Online Merges with Offline)戦略をサポートするCRM(Customer Relationship Management)システム「festaria Members Club」を全国の店舗に導入し、会員登録の促進を実施しました。さらに、販売スタッフが自らジュエリーを着用してオンラインサイトに投稿できる「スタッフDX」ツールを導入し、顧客体験の向上によるEC売上の拡大や顧客のファン化を促進する取り組みに着手しました。これら様々な顧客接点の強化施策やCRM戦略の推進により顧客を中心とした360度タッチポイントの実現を目指しております。

守りのDXでは、業務効率の向上や的確かつ迅速な意思決定の支援機能に加え、DX推進によるビジネスモデルの変革を見据え付加価値の高い商品やサービスを継続的に創出するためのシステム基盤の構築を目的として、基幹システム刷新に向けた要件定義の作成を進めました。

海外事業については、海外小売事業部門の台湾子会社の台灣貞松股份有限公司(日本名:台湾貞松㈱)は、引き続きアジアマーケットの重要拠点として、フェスタリアグループの強みに立脚したビジネス展開を進め、収益性の向上を図りつつ、さらなるブランド力の強化を目指しました。

グループ生産工場の中核であるベトナム子会社D&Q JEWELLRY Co.,Ltd(日本名:ディーアンドキュー ジュエリー)については、製造体制の強化による品質向上に努めるとともに、新素材商品の開発・製造に加え、3Dデジタルカスタマイズシステムの活用に伴うオーダーメイド受注商品の製造リードタイム短縮を図るなど、SPA企業としてSCM(Supply Chain Management)の最適化を進めました。さらに、生産合理化による製造コストの低減を進めるなかで、自社ブランドのみならずOEM生産等を検討し、営業機能を強化した結果、大手ジュエリーメーカーを含む数社からの製造受注が実現しました。

これらの取り組みにより、売上高につきましては、第1四半期連結会計期間においては、ブライダルジュエリーの落ち込みのほか、一部の店舗で店舗スタッフの欠員が発生した影響もあり、全体的に伸び悩んだものの、年明け以降は、店舗スタッフが概ね充足したことに加え、インバウンド需要や富裕層ビジネスの拡大もあり、高価格帯のファッションジュエリーが堅調に推移したため、前年同四半期に比べ315百万円(4.9%増)の増加となりました。特に第3四半期連結会計期間では、階層別教育の強化により店舗人員の戦力化が進みつつあること、さらに3Dデジタルカスタマイズシステムの活用によりブライダルジュエリーが回復傾向となったことから、前年同四半期比12.0%増と大幅な増収となりました。

売上総利益は、金価格が第3四半期連結累計期間平均で前年同期比24.0%増となるなど、原材料価格の高騰が売上原価を圧迫したものの、機動的な価格戦略の推進により売上総利益率は同水準を確保したことから、前年同四半期比189百万円(4.7%増)増加しました。

費用面に関しては、人材の確保、定着に向けた対応を強化したことから人件費が大きく増加したことに加え、DX推進に伴う外注費やプロモーションコストの継続的な投下により、販売費及び一般管理費は前年同四半期比156百万円(4.0%増)増加しました。

以上の結果、当第3四半期連結累計期間における当社グループの業績は、売上高6,694百万円前年同期比4.9%増)、営業利益122百万円前年同期比37.7%増)、経常利益108百万円前年同期比87.1%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益68百万円前年同期比117.5%増)となりました。

 

(2) 財政状態の分析

当第3四半期連結会計期間末の資産の部は、前連結会計年度に比べて445百万円(6.6%)増加して、7,163百万円となりました。これは主に、売掛金が46百万円減少しているものの、現金及び預金が326百万円、商品及び製品が165百万円増加したことによるものであります。

当第3四半期連結会計期間末の負債の部は、前連結会計年度に比べて390百万円(7.4%)増加して、5,700百万円となりました。これは主に、支払手形及び買掛金が57百万円、借入金が222百万円、未払金及び未払費用が55百万円、前受金が60百万円増加したことによるものであります。

当第3四半期連結会計期間末の純資産の部は、前連結会計年度に比べ54百万円(3.9%)増加して1,463百万円となりました。これは主に、為替換算調整勘定が8百万円、利益剰余金が44百万円増加したことによるものであります。

 この結果、自己資本比率は19.9%となり、前連結会計年度末に比べ0.5ポイント減少いたしました。

 

(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

(4) 研究開発活動

該当事項はありません。