売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E05306 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)  財政状態及び経営成績の状況

(経営成績の状況)

当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行されたことにより社会経済活動の正常化が本格化し、全体としては緩やかな回復基調が続いたものの、先行きについては、ウクライナ情勢の長期化と、世界的な金融引き締めが続く中、物価の上昇、為替や金融資本市場の変動などの影響に注視を要する状況にあります。

一方、子育て支援事業を取り巻く環境は、加速する少子化対策として、「こども家庭庁」が2023年4月に設立されるとともに、2023年6月に次元の異なる少子化対策の具体的な中身を示す「こども未来戦略」が政府から出され、国策としての少子化対策が一層強化されております。「こども未来戦略」の具体的な内容は、75年ぶりの保育士の配置基準改善による子どもを安心して預けられる体制整備、更なる処遇改善による保育士人材の確保や就労要件を問わず全ての子育て家庭が保育所を利用できるようにする「こども誰でも通園制度」を創設するなど、次元の異なる様々な少子化対策が計画され、今後、子育てをしやすい環境整備が促進されることからも子育て支援事業の社会的な役割は、ますます重要性が増すものと考えられます。

このように、政府による少子化対策として子育て環境の整備を拡充する一方で、少子化が加速する地域においては、児童数の獲得に向けた競争が激化しており、持続的な成長と更なる収益拡大に向けた構造改革及び新規事業の開発・早期収益化が必要となることから、外部環境の変化等を鑑み、2024年3月期連結業績予想の公表に合わせて、ローリング方式にて中期経営計画(2024年3月期~2026年3月期)を見直しております。重点目標に「成長・競争優位性の確立」「収益構造改革」「経営基盤改革」を掲げ、構造改革と事業改革による成長に向けた積極的な新規事業の開発、M&A、システム化等によるインフラ整備、盤石な事業基盤の構築により、新たなサービス価値の創出と競争優位性を確立するとともに事業を通じて社会問題を解決することで、当社グループの経営理念である「子育て支援を通じて笑顔溢れる社会づくりに貢献します」を実現することで持続的な成長を目指しております。

具体的には、社会環境の変化に対応すべく「成長・競争優位性の確立」としては、中長期的な成長に向けた新規事業の開発、既存事業及び新たな事業領域の拡大に向けた積極的なM&Aの推進、競争優位性を捉えた、新たな学習プログラムの拡充(STEAMS保育・学童プログラムの導入など)、課外の時間を活用した習い事事業の展開(英語・体操・音楽教室など)、新たな施設としてネイティブ英語講師を配置した「バイリンガル保育園」の運営、「モンテッソーリ式保育園」のテスト導入、乳児期・幼児期・学童期を一貫した子育て支援体制の確立に向けた保育園と学 童クラブ・児童館と連携したドミナント戦略により、現在の学童クラブ・児童館を2倍の200施設に拡大すべく新規受託を積極的に推進しております。加えて、子育て環境の整備に向けた地域との連携強化による「マイ保育園制度」(これから子どもを産み、育てようとする方へのサポート)に取り組むなど、各地域において「選ばれ続ける園・施設づくり」としての差別化戦略を積極的に推進しております。

新規事業としては、子育て支援プラットフォーム「コドメル」においては、サービス機能、商品を拡充しCtoC・BtoC・BtoBの対応強化、保護者の困りごとである夕食準備への対応やグループ内に不動産会社「株式会社子育てサポートリアルティ」を設立し、子育て支援事業に関する不動産仲介業、不動産賃貸業、不動産管理業、不動産コンサルティング業などを推進するなど、早期収益化に向けた対応を図っております。

 

また、新たな事業展開として、人材紹介・派遣、外国人特定技能者の紹介事業のノウハウを有する株式会社ワンズウィルの全株式を取得する株式譲渡契約を2023年11月27日に締結いたしました。これは、国内の労働力不足への対応ならびに今後、政府による異次元の少子化対策に向けた様々な対応に向け、保育士をはじめとした専門人材の獲得や海外からの有能な人材活用など、両社の強みを活かした新たな事業として人材紹介・派遣事業を推進します。

更に、2023年10月27日に株式会社ダスキンとの業務提携を締結し、両社が有する経営資源・ノウハウの有効活用及び相互の協力により、両社の企業価値の最大化とともに、社会問題や顧客・保護者の困りごとの解決に向けた新たなサービスの創出、豊かな暮らしの実現を目的としたものです。これらの推進に際しては、早期に協業検討委員会を立ち上げ新たな事業を展開してまいります。

当社グループにおける更なる成長戦略として、新規事業創出・早期収益化、既存事業の拡大に向けM&Aを積極的に推進することで、当社グループの経営理念である「子育て支援を通じて笑顔溢れる社会づくりに貢献します」の実現とともに持続的な成長を図ってまいります。

「収益構造改革」については、事業構造を見直し、人員配置の最適化、収支管理強化及びデータ活用によるムダな運営・業務の是正による業務効率化に努めるとともに、業務プロセス改革やシステム導入による更なる業務改善を図っております。

「経営基盤改革」については、当社の事業の要は「人」であることから人財教育・研修体制を拡充するととも に、優秀な人財確保・育成と従業員のエンゲージメントを向上させることで意識改革に繋げております。また、持 続的な成長と優位性を支えるべく、人財戦略(研修の拡充、風土刷新)、グループガバナンスの強化、現場完結型の業務・運営体制の確立による組織活性化に取り組んでおります。

 

新規施設の開設につきましては、2024年3月期第3四半期連結累計期間において保育園1園(東京都)、学童クラブ・児童館9施設(東京都8施設、埼玉県1施設)の計10施設を開設しており、計画どおり推進しております。

 

(保育園)

  品川区立八潮西保育園                                          (2023年4月1日)
 

(学童クラブ・児童館)

 平成小学校放課後子供教室                       (2023年4月1日)
    竜泉こどもクラブ                                 (2023年4月1日)
    調布市立調和小学校第2学童クラブ                     (2023年4月1日)
    みなみっ子広場                                        (2023年4月1日)
    港区放課GO→クラブこうなん                           (2023年4月1日)
    鷹番小ランランひろば                                   (2023年4月1日)
    四小あおぞら学童クラブ                                 (2023年4月1日)
    アスク浅草橋こどもクラブ                                     (2023年6月1日)

 松原第二児童クラブ                                              (2023年7月21日)

 

(バイリンガル保育園)

  認可保育園および東京都認証保育所を、ネイティブ英語講師を配置した「バイリンガル保育園」に変更。

  アスク バイリンガル保育園 永福  (旧名称:アスク永福保育園)   (2023年4月1日)

  アスク バイリンガル保育園 亀戸  (旧名称:アスク亀戸保育園)   (2023年4月1日)

  GENKIDSバイリンガル保育園 新子安 (旧名称:GENKIDS新子安保育園) (2023年4月1日)

  アスク バイリンガル保育園 浅草橋 (旧名称:アスク浅草橋保育園) (2023年6月1日)

  アスク バイリンガル保育園 明大前 (旧名称:アスク明大前保育園) (2023年6月1日)

 

 

※1:2023年3月末日をもって、東京都認証保育所の「アスク不動前保育園」を閉園いたしました。また、学童クラブの「わくわく赤羽ひろば/赤羽こどもクラブ第一」、「わくわく赤羽ひろば/赤羽こどもクラブ第二」、「わくわく赤羽ひろば/赤羽こどもクラブ第三」、「わくわく桐ヶ丘郷ひろば/桐ヶ丘郷っ子クラブ第一」、「わくわく桐ヶ丘郷ひろば/桐ヶ丘郷っ子クラブ第二」、「わくわく桐ヶ丘郷ひろば/桐ヶ丘郷っ子クラブ第三」、「わくわく袋ひろば/赤北ひばりクラブ第三」、「わくわく四岩ひろば/四岩小いちょうクラブ第一」、「わくわく四岩ひろば/四岩小いちょうクラブ第二」、「三鷹市南浦学童保育所A分室」、「港区放課GO→クラブほんむら」、「文京区茗台臨時育成室」は、契約期間満了により2023年3月末日をもって撤退いたしました。

 

その結果、2023年12月末日における保育園の数は209園、学童クラブは86施設、児童館は11施設となり、子育て支援施設の合計は306施設となりました。

 

以上より、当社グループの連結売上高は27,279百万円(前年同期比4.7%増)、営業利益は3,470百万円(同38.9%増)、経常利益は3,418百万円(同35.5%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は2,227百万円(同25.3%増)となりました。

 

これらの主な要因は、以下の通りです。

売上高におきましては、新たな業態としてのバイリンガル保育園、モンテッソーリ式保育園の導入ならびに幼児学習プログラムの拡充など、「選ばれ続ける園・施設づくり」の様々な取り組みにより、期中での児童数の増加、新規施設の開設・新規受託等により、前年同期比4.7%増収となりました。

営業利益におきましては、電気料金の値上げや各種仕入れ商材の価格高騰により原価が増加したものの、上記の施策により売上高が増加したこと、および各施設での補助金の最大化に向けた対応ならびに運営の効率化、発注体制の見直し等に努めた結果、前年同期比38.9%増と増益となりました。

経常利益ならびに親会社株主に帰属する四半期純利益につきましても、売上高の伸長および既存施設の収益改善、効率的な運営を図ったことで、経常利益は前年同期比35.5%増、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比25.3%増と増益となりました。

 

(財政状態の状況)

当第3四半期連結会計期間末の財政状態につきましては、総資産は34,825百万円(前期末比868百万円減)となりました。

流動資産は23,415百万円(同197百万円減)となりましたが、これは、主に現金及び預金が567百万円増加した一方で、未収入金が640百万円、その他が129百万円減少したこと等によるものであります。

固定資産は11,410百万円(同671百万円減)となっております。これは、主に建物及び構築物が306百万円、繰延税金資産が174百万円、長期貸付金が169百万円減少したこと等によるものであります。

負債合計は19,497百万円(同2,612百万円減)となりました。

流動負債は8,157百万円(同136百万円減)となりましたが、これは、主にその他が334百万円増加した一方で、賞与引当金が434百万円減少したこと等によるものであります。

固定負債は11,339百万円(同2,476百万円減)となっておりますが、これは、主に長期借入金が2,533百万円減少したこと等によるものであります。

当第3四半期連結会計期間末の純資産合計は15,328百万円(同1,744百万円増)となっておりますが、これは、主に利益剰余金が1,717百万円増加したこと等によるものであります。

 

(2) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(3)  経営方針・経営戦略等

当社グループを取り巻く経営環境は、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行されたことにより社会経済活動の正常化が本格化し、全体としては緩やかな回復基調が続いたものの、先行きについては、ウクライナ情勢の長期化と、世界的な金融引き締めが続く中、物価の上昇、為替や金融資本市場の変動などの影響に注視を要する状況にあります。

 

子育て支援事業を取り巻く環境は、「こども家庭庁」の設立、政府による次元の異なる少子化対策として子育て環境の整備が拡充される一方で、少子化が加速する地域においては、児童数の獲得に向けた競争が激化しております。

中期経営計画の重点目標として「成長・競争優位性の確立」「収益構造改革」「経営基盤改革」を掲げ、構造改革と事業改革による成長に向けた積極的な新規事業の開発、M&A、システム化等によるインフラ整備、盤石な事業基盤の構築により、新たなサービス価値の創出と競争優位性を確立し、事業を通じて社会問題を解決することで、当社グループの経営理念である「子育て支援を通じて笑顔溢れる社会づくりに貢献します」を実現するとともに持続的な成長を目指してまいります。

 

(長期経営ビジョン)

当社グループ経営理念である『子育て支援を通じて笑顔溢れる社会づくりに貢献します』の実現に向け、新たなサービスと価値の創出を目指します。

構造改革と事業改革による、成長に向けた積極的な新規事業の開発、M&A、システム化等によるインフラ整備、盤石な事業基盤の構築により、新たなサービス価値の創出と競争優位性を確立し、事業を通じて社会問題を解決することで、当社グループの経営理念である「子育て支援を通じて笑顔溢れる社会づくりに貢献します」を実現するとともに持続的な成長を目指します。

 

① 成長・競争優位性の確立

中長期的な成長に向けた新規事業の開発、既存事業及び新たな事業領域の拡大に向けた積極的なM&Aの推進、競争優位性を捉えた学習プログラムの拡充、保護者の困りごとを解決する様々な差別化戦略を推進する。

1)新規事業の開発と早期収益化

・子育て支援プラットフォーム事業「コドメル」のサービス機能、商品を拡充しCtoC・BtoC・BtoBビジネスを国内に留まることなくグローバルに展開する

・新たな事業領域の拡大に向けた子育て関連及び異業種との提携による新規ビジネスを創出する

2)保護者の困りごとの解決に向けた新たな事業展開

・自宅で簡単に調理できる夕食準備や、各施設において親子で食事ができる「こども食堂」など、フード事業の展開を推進する

・課外の時間を活用した習い事事業を展開する(英語・体操・音楽教室など)

3)既存事業の拡大を捉えた新たな学習プログラム及び地域連携による「選ばれ続ける園・施設づくり」を推進

・新たな学習プログラムの拡充(STEAMS保育・学童プログラムの導入)、ネイティブ英語講師を配置したバイリンガル保育園の展開によるこどもの将来の可能性を拡げる取り組み、また、規制緩和を捉えた質の高い学習プログラムの有料化ビジネスを展開する

・子育て環境の整備に向けた地域との連携強化による「マイ保育園制度」(これから子どもを産み、育てようとする方へのサポート)を推進する

4)積極的なM&Aの推進

・業界環境が変化するなか、今後の業界再編を捉えた同業企業及び業容拡大に向けた子育てに関する周辺企業やシナジー効果が得られる企業を対象に積極的なM&Aを推進する

 

② 収益構造改革

事業構造を見直し、ムダな業務の是正、ICT化による運営の効率化、人員配置の更なる適正化による収益性向上を図る。また、業務プロセス改革やシステム導入による更なる業務改善を図る。

1)経営の効率化、コスト削減

・システム化、人員配置の最適化、収支管理強化及び費用コントロールの徹底、データ活用による運営、ムダな業務是正による業務の効率化などにより間接コストの軽減を図る

 

2)収益基盤の強化

・規制緩和や補助金制度の変更を捉えた様々な施策を実践する

・ドミナント戦略として、乳児期・幼児期・学童期を一貫してサポートする子育て支援体制の確立に向け、保育園の新規開設、学童クラブ・児童館の新規受託を推進し、人員の最適化、運営の効率化、子育て支援のサポート対応強化を図る

 

③ 経営基盤改革

当社の事業の要は「人」であることから人財教育・研修体制を拡充するとともに、優秀な人財確保・育成と従業員のエンゲージメントを向上させることで意識改革に繋げる。また、持続的な成長と優位性を支えるべく、人財戦略、グループガバナンスの強化を図る。

1)人財育成、風土刷新

・人財の基盤づくりとしての研修の拡充、意識改革による風土刷新を図り、従業員のモチベーション向上と離職率の抑制を図る

2)経営管理の高度化

・ガバナンスの強化、現場完結型の業務・運営管理体制の確立、リスク管理の徹底とコンプライアンス意識の向上により、組織全体のマネジメントをより効率的かつ効果的に実行することで、総合的な経営基盤の強化を図る

3)SDGs及び環境改善に向けた取り組み強化

・子育て支援を起点とした社会貢献活動、環境に配慮した事業運営を図る
 

(4)  優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(5)  研究開発活動

該当事項はありません。

 

(6)  従業員数

①  連結会社の状況

当第3四半期連結累計期間において、業容拡大のため、子育て支援事業において34名増加しております。

なお、従業員数は就業人員数であります。

 

②  提出会社の状況

当第3四半期累計期間において、業務の効率化により人員配置の適正化を図り、当社における従業員数は7名減少しております。

なお、従業員数は就業人員数であります。

 

(7)  主要な設備

① 当第3四半期連結累計期間に主要な設備の変動はありません。

 

② 前連結会計年度末において計画中であった主要な設備の新設の計画について、当第3四半期連結累計期間に変更はありません。

 

(8)  経営成績に重要な影響を与える要因

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因について以下のことが考えられます。

子育て支援事業における国や地方自治体の保育所に対する政策方針の変化が挙げられます。

加速する少子化対策として、政府において子どもに関する政策を一元化し、子どもに対する取り組み・政策を社会の中心に据える「こども家庭庁」が2023年4月に設立され、また、2023年6月に次元の異なる少子化対策の具体的な中身を示す「こども未来戦略」が政府から出され、国策としての少子化対策が一層強化されております。

今後、少子化対策に向けた政策、子育てをしやすい環境整備等を促進する施策が子育て支援事業に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループはこのような情勢を好機と捉え、「選ばれ続ける園・施設づくり」として、学習プログラムの拡充や差別化戦略を積極的に推進しており、環境が整えば児童数の増加につながることが見込まれ、収益拡大と共に保育士確保に要する費用などのコストが一時的に増加する可能性があります。